JP2019053300A - カバー部材 - Google Patents

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健悟 塩本
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【課題】表裏を問わずに収納体の窓部に設置して使用することができるカバー部材を提供すること。【解決手段】カバー部材1は、光を発する光源を収納し、光源からの光が外部に向かって出射される窓部を有する収納体の窓部を覆うように設置して使用されるものである。このカバー部材1は、偏光子で構成された偏光層2と、偏光層2の一方の面に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第1樹脂層3Aと、偏光層2の他方の面に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第2樹脂層3Bとを備え、波長λが450nm以上650nm以下の可視光の範囲で、下記式(1)を満足する。(Vfrontは、第1樹脂層側から可視光を透過させたときのTD方向とMD方向の透過率との差A1と和B1との比A1/B1であり,Vbackは第2樹脂層側から可視光を透過させたときの透過率との差A2と和B2との比A2/B2である。)【選択図】図3

Description

本発明は、カバー部材に関する。
偏光子と、偏光子上に設けられた光透過性基板とを有する偏光板が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の偏光板を、例えば、自動車に搭載して用いられるヘッドアップディスプレイ装置に設置して用いることができる。ヘッドアップディスプレイ装置は、レーザ光源からの赤(R)、緑(G)、青(B)のレーザ光をそれぞれ照射して、フロントガラスをスクリーンとして、当該スクリーン上に画像を形成する装置である。この場合、偏光板は、レーザ光が外側に向かって透過する窓部に設置することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の偏光板を窓部に設置する際、表裏間違えて設置してしまうと、レーザ光に対し、求められる透過率が得られない場合がある。
特開2015−55679号公報
本発明の目的は、表裏を問わずに収納体の窓部に設置して使用することができるカバー部材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 光を発する光源を収納し、該光源からの光が外部に向かって出射される窓部を有する収納体の前記窓部を覆うように設置して使用されるカバー部材であって、
偏光子で構成された偏光層と、
前記偏光層の一方の面側に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第1樹脂層と、
前記偏光層の他方の面側に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第2樹脂層とを備え、
波長λが450nm以上650nm以下の可視光の範囲で、前記波長λの間隔を5nmとしたとき、下記式(1)を満足することを特徴とするカバー部材。
Figure 2019053300
[但し、式(1)中、Vfrontは、前記第1樹脂層側から前記第2樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のTD方向の透過率と前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のMD方向の透過率との差A1と、前記第1樹脂層側から前記第2樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B1との比A1/B1であり、
backは、前記第2樹脂層側から前記第1樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との差A2と、前記第2樹脂層側から前記第1樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B2との比A2/B2である。]
(2) 前記第1樹脂層は、第1シート材で構成され、該第1シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
前記第2樹脂層は、第2シート材で構成され、該第2シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、延伸度が0%以上20%以下のものである上記(1)に記載のカバー部材。
(3) 前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、厚さが0.3mm以下のものである上記(2)に記載のカバー部材。
(4) 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、リタデーションが110nm以下である上記(2)または(3)に記載のカバー部材。
(5) 前記第1樹脂層は、第1シート材で構成され、該第1シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
前記第2樹脂層は、第2シート材で構成され、該第2シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、延伸度が20%を超えたものである上記(1)に記載のカバー部材。
(6) 前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、厚さが0.3mmを超えたものである上記(5)に記載のカバー部材。
(7) 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、リタデーションが2500nm以上5800nm以下である上記(5)または(6)に記載のカバー部材。
(8) 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、遅相軸もしくは進相軸が前記偏光層の吸収軸に対して±5度の範囲内でズレている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のカバー部材。
(9) 当該カバー部材の総厚は、0.2mm以上1mm以下である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のカバー部材。
(10) 縦が250mm、幅が50mm、総厚が0.2mm以上1mm以下である当該カバー部材に対して、支点間距離を200mmとして両持ち支持した状態での、当該カバー部材の自重による最大撓みは、10mm以下である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のカバー部材。
(11) 前記偏光層は、主としてポリビニルアルコール樹脂で構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のカバー部材。
本発明によれば、表裏を問わずに収納体の窓部に設置して使用することができる。
図1は、本発明のカバー部材を自動車のヘッドアップディスプレイを構成する一部材に適用した場合の実施形態を示す側面図である。 図2は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大断面図である。 図3は、図2中のカバー部材の拡大断面図である。 図4は、図3に示すカバー部材の分解斜視図(透過率(偏光度)を測定する状態を示す図)である。 図5は、図3に示すカバー部材の分解斜視図(偏光層の吸収軸(透過軸)と、第1樹脂層の遅相軸(もしくは進相軸)と、第2樹脂層の遅相軸(もしくは進相軸)との関係を示す図)である。 図6は、図5中の矢印B方向から見た図である。 図7は、図5中の矢印C方向から見た図である。 図8は、カバー部材の最大撓みを測定するときに用いられるカバー部材のサンプル(試験片)を示す斜視図である。 図9は、図8に示すカバー部材のサンプルを用いて最大撓みを測定する状態を示す側面図である。 図10は、湾曲させたカバー部材を透過させた後に投射された画像の色調の変化を確認する為の装置の側面図である。
以下、本発明のカバー部材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のカバー部材を自動車のヘッドアップディスプレイを構成する一部材に適用した場合の実施形態を示す側面図である。図2は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大断面図である。図3は、図2中のカバー部材の拡大断面図である。図4は、図3に示すカバー部材の分解斜視図(透過率(偏光度)を測定する状態を示す図)である。図5は、図5は、図3に示すカバー部材の分解斜視図(偏光層の吸収軸(透過軸)と、第1樹脂層の遅相軸(もしくは進相軸)と、第2樹脂層の遅相軸(もしくは進相軸)との関係を示す図)である。図6は、図5中の矢印B方向から見た図である。図7は、図5中の矢印C方向から見た図である。図8は、カバー部材の最大撓みを測定するときに用いられるカバー部材のサンプル(試験片)を示す斜視図である。図9は、図8に示すカバー部材のサンプルを用いて最大撓みを測定する状態を示す側面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3および図9中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図1、図2中の左側を「前」または「前方」、右側を「後」または「後方」と言う。また、図3中では、理解を容易にするため、カバー部材を平坦な状態で図示するとともに、厚さ方向を誇張して模式的に図示している。また、図4および図5では、偏光層および2つの樹脂層を描いており、それ以外の層については省略している。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)10は、自動車100に搭載して用いられる。このヘッドアップディスプレイ10は、ダッシュボード101の上部に内蔵されている。
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ10は、光源11と、反射部材12と、収納体13とを備えている。
光源11は、赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの色のレーザ光LSを独立して照射することができる。そして、光源11を走査しつつ、各色のレーザ光LSの照射タイミング等を制御することにより、画像を形成することができる。光源11とは、例えば、レーザ光源やLCD光源等が挙げられる。
反射部材12は、例えばプリズムで構成されており、光源11からのレーザ光LSを反射することができる。反射部材12で反射されたレーザ光LSは、フロントガラス102をスクリーンとして、当該フロントガラス102の裏面(内側の面)102aに投影される。この投影光は、前記画像として運転手Hに認識される(図1、図2参照)。
図2に示すように、収納体13は、箱状をなし、その内側に、光源11や反射部材12、その他、ヘッドアップディスプレイ10を構成する部品等を収納することができる。また、収納体13は、フロントガラス102側に向かって開口した開口部で構成された窓部131を有している。この窓部131を介して、レーザ光LSは、収納体13の外部、すなわち、フロントガラス102に向かって出射される。
また、収納体13の窓部131には、カバー部材1が当該窓部131を覆うように設置されている。これにより、塵や埃等の異物が窓部131を介して収納体13内に侵入するのを防止することができ、よって、光源11のレンズや反射部材12が当該異物によって曇ったり汚れたりするのを防止することができる。
図3に示すように、カバー部材1は、光透過性を有し、偏光層2と、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bと、接合層4Aおよび接合層4Bと、ハードコート層5Aおよびハードコート層5Bとを備える積層板である。以下、各層について説明する。
偏光層2は、カバー部材1の厚さ方向の中央に位置する中間層であり、その厚さtがカバー部材1の面方向に一定の部分である。
この偏光層2は、主としてポリビニルアルコール(PVA)樹脂で構成されている。本実施形態では、偏光層2は、ポリビニルアルコール樹脂に、ヨウ素や二色性染料などに代表される二色性色素を染色し、ホウ素化合物等で架橋したものとなっている。
また、偏光層2は、前記構成材料からなるシート材(フィルム)2’を加工したものとなっている。すなわち、当該シート材2’は、カバー部材1での偏光層2の厚さtよりも厚いシート材であり、そのシート材2’を厚さtとなるまで一方向に向かって延伸した延伸状態とすることにより、偏光層2として用いられる(得られる)。これにより、偏光層2は、偏光子として機能する偏光層となる。
厚さtとしては、特に限定されず、例えば、0.01mm以上0.04mm以下であるのが好ましい。厚さtが0.01mm未満であると、偏光層2が偏光子として機能が十分に図れないことがあり、また、厚さtが0.04mmを超えても、それ以上の偏光子として機能の向上は望めない。
偏光層2の屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.52以上1.70以下であるのが好ましく、1.54以上1.67以下であるのがより好ましい。
図3に示すように、偏光層2の上面21(一方の面)側には、第1樹脂層3Aが配置され、下面22(他方の面)側には、第2樹脂層3Bが配置されて(設けられて)いる。
第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bは、それぞれ、主としてポリカーボネート樹脂で構成されている。このポリカーボネート樹脂としては、重量平均分子量が19000以上40000以下であるのが好ましく、19500以上35000以下であるのがより好ましい。これにより、第1樹脂層3Aは、例えば十分な耐衝撃性を有するものとなる。また、後述する式(1)を満足することに寄与する。
また、第1樹脂層3Aは、ポリカーボネート樹脂製の第1シート材3A’で構成され、この第1シート材3A’が、偏光層2を構成するシート材2’(偏光子)の一方の面に接合されたものである。これと同様に、第2樹脂層3Bも、ポリカーボネート樹脂製の第2シート材3B’で構成され、この第2シート材3B’が、偏光層2を構成するシート材2’(偏光子)の他方の面に接合されたものである。
第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bは、カバー部材1を、後述する式(1)を満足するものとするために、これらの延伸の程度が低い場合と、高い場合との2つの場合に分けられるものである。そして、第1樹脂層3Aは、第1シート材3A’での延伸の程度によって、それに適した厚さt3Aがある。また、第2樹脂層3Bも、第2シート材3B’での延伸の程度によって、それに適した厚さt3Bがある。
そこで、以下では、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bの延伸の程度を2つの場合に分けて考える。1つ(場合1)は、延伸の程度が低い(非延伸含む)場合であり、もう1つ(場合2)は、延伸の程度が高い場合である。
場合1では、延伸度が0%以上20%以下であるのが好ましく、0%以上5%以下であるのがより好ましい。
この場合、第1シート材3A’および第2シート材3B’は、いずれも、厚さ(厚さt3A、厚さt3B)が0.3mm以下のものであるのが好ましく、0.15mm以上0.25mm以下であるのがより好ましい。なお、厚さt3Aと厚さt3Bとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
そして、このような数値範囲により、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bを、それぞれ、リタデーション(複屈折率×厚さ)を有するものとすることができる。このリタデーションとしては、例えば、110nm以下であるのが好ましく、10nm以上80nm以下であるのがより好ましい。これにより、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bは、それぞれ、偏光性を有するものとなる。
場合2では、延伸度が20%を超えたものであるのが好ましく、20%を超え300%以下であるのがより好ましい。
この場合、第1シート材3A’および第2シート材3B’は、いずれも、厚さ(厚さt3A、厚さt3B)が0.3mmを超えたものであるのが好ましく、0.3mmを超え0.5mm以下であるのがより好ましい。なお、厚さt3Aと厚さt3Bとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
そして、このような数値範囲により、場合2でも、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bを、それぞれ、リタデーション(複屈折率×厚さ)を有するものとすることができる。このリタデーションとしては、例えば、2500nm以上5800nm以下であるのが好ましく、3000nm以上5500nm以下であるのがより好ましい。これにより、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bは、それぞれ、偏光性を有するものとなる。
このように、延伸の程度によって厚さを変更(調整)することにより、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bは、いずれも、偏光性を発揮することができる。
第1樹脂層3Aの遅相軸(もしくは進相軸)O3Aと、第2樹脂層3Bの遅相軸(もしくは進相軸)O3Bとは、いずれも、偏光層2の吸収軸Oと平行であるのが好ましいが、所定の範囲内であれば、ズレていてもよい。この場合、図5、図6に示すように、第1樹脂層3Aの遅相軸(もしくは進相軸)O3Aは、偏光層2の吸収軸Oに対して±5度の範囲内のズレであれば許容される。また、図5、図7に示すように、第2樹脂層3Bの遅相軸(もしくは進相軸)O3Bは、偏光層2の吸収軸Oに対して±5度の範囲内のズレであれば許容される。なお、第1樹脂層3Aの遅相軸O3Aの偏光層2の吸収軸Oに対するズレ量は、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bの延伸の程度が低い場合(場合1)と、延伸の程度が高い場合(場合2)とでは、場合1であるときには±5度の範囲内であればよいが、場合2であるときにはこれよりも低く設定されていることが好ましく、具体的には、±3度の範囲内であることが好ましく、±1度の範囲内であることがより好ましい。これにより、カバー部材1を、後述する式(1)をより確実に満足するものとすることができる。また、「遅相軸」とは、第1樹脂層3Aや第2樹脂層3Bを透過する光の進む速度が遅い(位相が遅れる)方位のことであり、これと反対に、光の進む速度が速い(位相が進む)方位をその位相子の「進相軸」と言う。
そして、上記のような構成をなすカバー部材1をヘッドアップディスプレイ10に用いた使用状態では、図3に示すように、ヘッドアップディスプレイ10の外部から照射される外光、すなわち、太陽光(自然光)OLは、カバー部材1を透過する際に、所定の偏光方向の光がカバー部材1で吸収され、残りの光OL’が収納体13にまで到達することとなる(後述する可視光VLについても同様(図4参照))。これにより、太陽光OLの収納体13内への侵入が抑制され、よって、収納体13内の光源11や反射部材12等が太陽光OL(特に紫外線や熱)によって経時的に劣化するのをできる限り防止することができる。一方、光源11から発せられ、フロントガラス102上で画像を形成するレーザ光LSは、偏光光であるため、カバー部材1を透過しても当該カバー部材1で吸収されずにそのまま外部へ出射される。なお、レーザ光LSの偏光方向と、光OL’の偏光方向とは、同じである。このようにカバー部材1は、偏光板としても機能する。
また、上述した場合1および場合2を満足しないとき、すなわち、例えば、第1樹脂層3Aのリタデーションが110nmを超え2500nm未満である場合、遅相軸(もしくは進相軸)O3Aが吸収軸Oに対して±5度の範囲内のズレであっても、後述する式(1)を満足するカバー部材1とすることができず、カバー部材1の偏光性が著しく低下してしまい、その結果、カバー部材1は、収納体13の窓部131に設置して使用されることは実質的に不可能となる。
さらに、場合1において、第1樹脂層3Aが延伸度0%以上20%未満であってもリタデーションが1110nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下の範囲に入らないとき、または場合2において、延伸度20%を超え300%未満であってもリタデーションが2500nm以上5800nm以下の範囲に入らないときには、遅相軸(もしくは進相軸)O3Aが吸収軸Oに対して±5度の範囲内のズレであっても、後述する式(1)を満足するカバー部材1とすることができず、カバー部材1の偏光性が著しく低下してしまい、その結果、カバー部材1は、収納体13の窓部131に設置して使用されることは実質的に不可能となる。
第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.58以上1.60以下であるのが好ましく、1.585以上1.595以下であるのがより好ましい。
また、偏光層2と第1樹脂層3Aとは、接合層4Aを介して接合され、偏光層2と第2樹脂層3Bとは、接合層4Bを介して接合されている。接合層4Aおよび接合層4Bは、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、アクリル接着剤、アクリル粘着剤等の各種接着剤または粘着剤である。これにより、各層同士の接合を確実に行なうことができ、カバー部材1は長期間の使用に耐え得るものとなる。
接合層4Aの厚さt4A、接合層4Bの厚さt4Bとしては、特に限定されず、例えば、0.005mm以上0.050mm以下であるのが好ましく、0.006mm以上0.030mm以下であるのがより好ましい。厚さt4A、厚さt4Bが0.005mm未満であると、接着力の低下を招くことがあり、また、厚さt4A、厚さt4Bが0.050mmを超えても、それ以上の接着力の向上を望めない。また、厚さt4Aと厚さt4Bとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
接合層4Aや接合層4Bの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.30以上1.55以下であるのが好ましく、1.320以上1.545以下であるのがより好ましい。
第1樹脂層3A上には、ハードコート層5Aが設けられている。これにより、比較的傷がつき易い第1樹脂層3Aを保護することができる。なお、ハードコート層5Aは、当該ハードコート層5Aとなるワニス状の材料を第1樹脂層3A上に塗布して、この塗布されたものに紫外線を照射することにより硬化したものである。
同様に、第2樹脂層3B上にも、ハードコート層5Bが設けられている。これにより、比較的傷がつき易い第2樹脂層3Bを保護することができる。ハードコート層5Bも、当該ハードコート層5Bとなるワニス状の材料を第2樹脂層3B上に塗布して、この塗布されたものに紫外線を照射することにより硬化したものである。なお、カバー部材1では、ハードコート層5Aおよびハードコート層5Bのうちのいずれかを省略してもよい。
ハードコート層5Aおよびハードコート層5Bは、それぞれ、紫外線硬化性樹脂で構成され、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはポリエステルウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルフェノール系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。そして、これらの中でもアクリル系化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂が好ましい。これにより、各樹脂層との密着性を向上することができる。
ハードコート層5Aの厚さt5A、ハードコート層5Bの厚さt5Bとしては、特に限定されず、例えば、0.002mm以上0.020mm以下であるのが好ましく、0.003mm以上0.015mm以下であるのがより好ましい。また、厚さt5Aと厚さt5Bとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
ハードコート層5Aおよびハードコート層5Bの屈折率としては、特に限定されず、例えば、1.40以上1.60以下であるのが好ましく、1.440以上1.595以下であるのがより好ましい。
以上のような構成のカバー部材1は、偏光層2に関して、その一方側の接合層4A、第1樹脂層3A、ハードコート層5Aと、他方側の接合層4B、第2樹脂層3B、ハードコート層5Bとが対照的に配置されている。これにより、カバー部材1を収納体13に設置して使用した使用状態で、経時的な不本意な変形(反り)を防止することができ、例えば、各層が剥離するのを確実に防止することができる。これにより、長期的にカバー部材1を使用し続けることができる。
また、カバー部材1は、収納体13に設置して使用される際には、総厚tが、例えば、0.2mm以上1mm以下であるのが好ましく、0.35mm以上0.6mm以下であるのがより好ましい。これにより、カバー部材1をできる限り薄いものとすることができる。総厚tが0.2mm未満であると、カバー部材1自体の耐熱性の低下を招くことがあり、また、総厚tが1mmを超えると、図2に示した取り付けができないことがある。
また、カバー部材1は、その平面視での形状が長方形で使用されるものであり、この場合、縦が50mm以上200mm以下であるのが好ましく、60mm以上190mm以下であるのがより好ましく、横が100mm以上400mm以下であるのが好ましく、130mm以上380mm以下であるのがより好ましい。
図2に示すように、カバー部材1は、その使用状態で収納体13側が凸、フロントガラス102側が凹となるように湾曲している。これにより、カバー部材1は、太陽光OLを反射し易いものとなり、当該太陽光OLの収納体13内への侵入をさらに抑制することができる。また、例えばカバー部材1がダッシュボード101から突出するのを防止することができ、よって、当該カバー部材1が運転手Hの視界を遮るのを防止することができる。
ところで、カバー部材1を収納体13の窓部131に、フロントガラス102側が凹となるように湾曲させて設置する際、表裏間違えて設置してしまうと、レーザ光LSに対し、求められる偏光度(透過率)が得られないおそれがある。
そこで、本発明者らは、カバー部材1を、表裏を問わず使用可能とすべく、鋭意研究を重ねた結果、波長λが450nm以上650nm以下の可視光VLの範囲で、前記波長λの間隔を5nmとしたとき、下記式(1)を満足すれば、カバー部材1を表裏問わず使うことができることを見出した。以下、下記式(1)の左辺を単に「Σ」と言うことがある。
Figure 2019053300
但し、Vfrontは、式(1)中、第1樹脂層3A側から第2樹脂層3B側に向かって可視光VLを透過させたときの第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3BのTD方向の透過率と第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3BのMD方向の透過率との差A1と、第1樹脂層3A側から第2樹脂層3B側に向かって可視光VLを透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B1との比A1/B1である。
backは、式(1)中、第2樹脂層3B側から第1樹脂層3A側に向かって可視光VLを透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との差A2と、第2樹脂層3B側から第1樹脂層3A側に向かって可視光VLを透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B2との比A2/B2である。
なお、Σは、0を超える。また、Σは、0.0005以下であるのが好ましく、0.0002以下であるのがより好ましい。
そして、この式(1)を満足することより、カバー部材1は、第1樹脂層3A側から第2樹脂層3B側に向かって可視光VLに対する偏光度と、第2樹脂層3B側から第1樹脂層3A側に向かって可視光VLに対する偏光度との差が、できる限り小さいものとなる。これにより、カバー部材1を、フロントガラス102側が凹となるように湾曲させて収納体13の窓部131に設置する際に、その表裏問わずに設置して、ヘッドアップディスプレイ10に組み込むことができる。
なお、カバー部材1は、Σが0.0008を超えると、各方向からの可視光VLに対する偏光度との差が著しくなる。この場合、カバー部材1の設置向き、すなわち、どちらを表側にし、どちらを裏側にするかによっては、カバー部材1の偏光性が著しく低下することに起因して、光(例えばレーザ光LS)が十分に透過しなかったりして、カバー部材1が本来の機能を発揮するのが困難となる。その結果、例えば、フロントガラス102の裏面102aに投影される画像に色調の変化が生じる。
なお、Σの測定方法としては、特に限定されず、例えば、図4に示す測定装置6を用いることができる。
図6に示すように、測定装置6は、可視光VLを発光する発光部61と、発光部61からの可視光VLを受光する受光部62との組を2組と、分光器(図示せず)とを有する透過率測定器である。2組のうちの1つの組の発光部61と受光部62とは、発光部61が第1樹脂層3A側に配置され、受光部62が第2樹脂層3B側に配置されている。また、残りの組の発光部61と受光部62とは、発光部61が第2樹脂層3B側に配置され、受光部62が第1樹脂層3A側に配置されている。なお、透過率測定器としては、特に限定されず、例えば、日本分光社製「V−660」を用いることができる。
そして、カバー部材1の平面視での中心点(中央部)とそこから離れた任意の2つの点とにそれぞれ発光部61から所定の波長λ(但し、λは450nm以上650nm以下)の可視光VLを照射して、受光部62で受光する。これにより、これら3つの点での透過率を測定して、これらの平均を取ることができる。この作業を、波長λを450nm以上650nm以下の範囲内で5nm毎に変えて繰り返して行ない、各波長λでの平均透過率の合計を得ることができる。この合計は、Σであり、0.0008以下となっていることを確認することができる。また、この合計(Σ)は、偏光層2自体の偏光度や色調の差の影響をある程度相殺したものとなっている。
また、Σは、前述した各層の形成条件や積層条件等のような各種諸条件を変更、調整することにより、上記範囲を満たすことができる。
具体的には、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bとして、例えば、延伸の程度が低いもの(好ましくは延伸度が0%以上20%以下)である前記場合1のものを用意する際には、その厚さt3A、厚さt3Bを好ましくは0.3mm以下、そのリタデーションを好ましくは110nm以下に設定し、また、延伸の程度が高いもの(好ましくは延伸度が20%超)である前記場合2のものを用意する際には、その厚さt3A、厚さt3Bを好ましくは0.3mm超、そのリタデーションを好ましくは2500nm以上5800nm以下に設定する。そして、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bが場合1および場合2のいずれを満足するときにおいても、第1樹脂層3Aおよび第2樹脂層3Bの遅相軸(もしくは進相軸)O3A、O3Bを、偏光層2の吸収軸Oに対して±5度の範囲内のズレ量に設定することで、Σを、比較的容易に上記範囲を満足するものとすることができる。
そのため、カバー部材1を、フロントガラス102側が凹となるように湾曲させて収納体13の窓部131に設置する際に、その表裏問わずに設置して、ヘッドアップディスプレイ10に組み込むことができる。
また、カバー部材1は、収納体13の窓部131に設置して使用するには、できる限り薄い方が好ましいが、自動車100内での通常の使用に耐え得る程度の剛性を有するのが好ましい。
そこで、本発明者らは、前記と同様に鋭意研究を重ねた結果、下記に示す条件下でのカバー部材1の最大撓み量uを規定して、これを満たせば、カバー部材1の総厚tを前述した数値範囲としても、カバー部材1は、使用に耐え得る程度の剛性を保証することができることを見出した。
図9に示すカバー部材1に対して、支点間距離Mを200mmとして両持ち支持した状態での、カバー部材1の自重による最大撓み量uは、10mm以下であり、1mm以上8mm以下であるのが好ましい。
総厚tは、前述した数値範囲のとおりである。
また、図8中のLは、カバー部材1の全長である。そして、最大撓み量uを得るときのカバー部材1の全長L(縦)は、230mm以上300mm以下であるのが好ましく、240mm以上260mm以下であるのがより好ましく、250mmであることがさらに好ましい。
また、図8中のWは、カバー部材1の幅である。そして、最大撓み量uを得るときのカバー部材1の幅Wは、40mm以上60mm以下であるのが好ましく、45mm以上55mm以下であるのがより好ましく、50mmであることがさらに好ましい。
そして、最大撓み量uが前記数値範囲内にあることにより、カバー部材1をできる限り薄くしつつ、当該カバー部材1は、自動車100内での通常の使用に耐え得る程度の剛性を有するものとなる。これにより、例えば、使用状態での不本意な変形(撓み)を防止することができる。
なお、最大撓み量uの測定方法としては、特に限定されず、例えば、図9に示す測定装置7を用いることができる。
図9に示すように、測定装置7は、床面70から上方に向かって立設した支持部71および支持部72を有している。支持部71と支持部72とは、図9中の左右方向に離間しており、その離間距離は、前記支点間距離M(=200mm)となっている。
支持部71は、その角部711で、縦が250mm、幅が50mmに設定されたカバー部材1の図9中の左側を支持し、支持部72は、その角部721で、縦が250mm、幅が50mmに設定されたカバー部材1の図9中の右側を支持することができる。これにより、カバー部材1は、支点間距離Mが200mmで両持ち支持された状態となる。この状態で、床面70からカバー部材1の最下点Pまでの距離(高さ)Nと、床面70から角部711(角部721)までの距離(高さ)Nとを、それぞれ、例えばレーザ測長計等を用いて測定する。なお、床面70から角部711までの距離と、床面から角部721までの距離とは、同じである。そして、距離Nから距離Nを減じた値が最大撓み量uとして求められる。
また、最大撓み量uは、前述した各層の形成条件や積層条件等のような各種諸条件を変更、調整することにより、上記範囲を満たすことができる。
以上、本発明のカバー部材を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、カバー部材を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、第1樹脂層および第2樹脂層の少なくとも一方に、金属酸化物の粒子が分散して含有されていてもよい。この粒子は、太陽光に含まれる赤外線を吸収することができるIR(Infrared Rays)カット材である。これにより、例えば炎天下での収納体内の温度上昇を抑制して、熱による光源等の劣化を防止することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
<ポリビニルアルコール樹脂>
ポリビニルアルコール樹脂として、クラレ社製「クラレビニロン♯7500」を用意した。
<ポリウレタン系接着剤>
ポリウレタン系接着剤として、一液型湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を用意した。
<ポリカーボネート樹脂>
ポリカーボネート樹脂として、ビスフェノールA型ポリカーボネート(三菱エンジニアプラスチックス社製、「E-2000」、粘度平均分子量27000)を用意した。
<紫外線硬化性樹脂>
アクリル系化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂として、下記化学式(A)で示される化合物(アクリル樹脂)70重量部、2官能ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製、「EB8402」)20重量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート10重量部を配合し、この紫外線硬化性樹脂の濃度が30重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈した。
ここへ、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5重量部、表面調整剤(共栄社化学社製、「グラノール450」)を紫外線硬化性樹脂に対して重量比で0.05重量部添加し、ハードコート層の形成に用いるハードコート層形成用樹脂組成物を作製した。
CCH(OCHCRCHOCOCH=CH (A)
(式中、nは2〜4の整数を示す。Rは−CHOCOCH=CHで表わされる基を示す。)
2.カバー部材の製造
(実施例1)
[1]まず、用意したポリビニルアルコール樹脂を、水槽中で延伸しながらC.I.ダイレクトブラック17を溶解した水溶液にて染色した後にホウ酸溶液中に浸漬処理し、さらに水洗、乾燥処理を行うことで平均厚さt0.060mm、偏光度90%の偏光層を得た。
[2]次いで、用意したポリカーボネート樹脂を、単軸押出機が備えるTダイからシート状に押出した後、これを加熱温度270℃で押出加工を施した後に冷却することで、平均厚さt3A,3B0.100mm、延伸度0.3%の第1および第2樹脂層を得た。
また、第1および第2樹脂層のリタデーションおよび基準辺に対する配向角を、位相差測定装置(王子計測機器株式社製、「型番KOBRA−21ADH」)を用いて測定したところ、それぞれ、第1樹脂層は15nm、−1.0°、第2樹脂層は20nm、−1.8°であった。
[3]次いで、偏光層の吸収軸に対して、第1および第2樹脂層の基準辺がともに0°となるように、ポリウレタン系接着剤を介して、偏光層の上面および下面に、それぞれ、第1および第2樹脂層を接合することで、中間層としての偏光層に、第1および第2接合層を介して、第1および第2樹脂層が積層された積層体を得た。
なお、形成された第1および第2接合層の平均厚さt4A,4Bは0.02mmであった。
[4]次いで、紫外線硬化性樹脂を含むハードコート層形成用樹脂組成物を、第1および第2樹脂層上に塗布して乾燥させた後に、紫外線を照射することで、積層体が備える第1および第2樹脂層上に、それぞれ、平均厚さt5A,5B0.005mmの第1および第2ハードコート層を形成した。
そして、この第1および第2ハードコート層が形成された積層体を、縦300mm×幅200mmの大きさに裁断することで、実施例1のカバー部材(透光性樹脂シート)を得た。
(実施例2、3)
前記工程[2]において、形成される第1および第2樹脂層の平均厚さt3A,3Bを表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例2、3のカバー部材を得た。
(実施例4、5)
前記工程[2]において、Tダイからシート状に押出されたポリカーボネート樹脂に対して、延伸加工を施すことで、平均厚さt3A,3Bおよび延伸度が表1に示すように変更された第1および第2樹脂層を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして実施例4、5のカバー部材を得た。
(比較例1)
前記工程第1および第2樹脂層に偏光層の吸収軸に対する配向角が異なるサンプルを使用したこと以外は、前記実施例1と同様にして比較例1のカバー部材を得た。
3.評価
各実施例および比較例のカバー部材を、以下の方法で評価した。
<1>カバー部材におけるΣの大きさの測定
まず、各実施例および比較例のカバー部材について、測定装置6を用いて、カバー部材1の平面視での中央部と、上端部と、下端部との3点において、それぞれ、発光部61から波長λが450nm以上650nm以下の範囲内である可視光VLを、5nm毎に切り替えて照射し、カバー部材1を透過した可視光VLを受光部62で受光した。なお、この受光部62による可視光VLの受光は、発光部61からの可視光VLの照射を、第1樹脂層側と第2樹脂層側との双方において実施した場合について、それぞれ行った。
これにより、これら3つの点において、それぞれ、測定した各波長λにおける(Vfront−Vbackを求め、そして、得られた(Vfront−Vbackに基づいて、3つの点における各Σを算出した後に、これらの平均値を求めることで、3つの点における平均値としてのΣを得た。
<2>湾曲させたカバー部材を透過させた後に投射された画像の色調の変化の有無
まず、各実施例および比較例のカバー部材について、それぞれ、図10に示す通り、中央部に凹部を形成して、曲率半径R−100mmに湾曲させた湾曲状態で設置されたカバー部材1に対し、偏光された光を照射できる装置210(投射機)にて出射させた光を、上記カバー部材1を通過後、角度45°に設置したガラス220に投影した場合の画像の色調を観察者Aにより観察した。
このガラス220に投影される画像の観察者Aによる色調の観察を、第1樹脂層3A側が凸となるように湾曲させた場合(表)と、第1樹脂層3A側が凹となるように湾曲させた場合(裏)との双方について実施し、観察された双方における画像の色調の変化に基づいて、次のように評価した。
[評価基準]
◎:双方において投影された画像間に色調の変化は認められなかった。
〇:双方において投影された画像間に
若干の色調の変化が認められたものの実用上に問題はなかった。
×:双方において投影された画像に明らかな色調の変化が認められた。
<3>カバー部材に認められる最大撓みの大きさ
まず、各実施例および比較例のカバー部材について、それぞれ、縦250mm×幅50mmの大きさに裁断し、その後、支点間距離M=200mmに設定された測定装置7を用いて、支持部71と支持部72とによりカバー部材1を両持ち支持した状態とした。そして、この状態で、床面70からカバー部材1の最下点Pまでの距離(高さ)Nと、床面70から角部711までの距離(高さ)Nとを、それぞれ、測定することで、最大撓み量u(N−N)を求めた。
以上のようにして得られた各実施例および比較例のカバー部材における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2019053300
表1に示したように、各実施例におけるカバー部材では、上記式(1)を満足しており、これにより、カバー部材1を湾曲させる際の表裏に影響を受けることなく、装置210により出射された画像を視認することができる結果を示した。
これに対して、比較例におけるカバー部材では、上記式(1)を満足しておらず、その結果、カバー部材1を湾曲させる際の表裏によって、装置210により出射された画像に明らかな色調の変化が認められる結果を示した。
1 カバー部材
2 偏光層
2’ シート材(フィルム)
21 上面
22 下面
3A 第1樹脂層
3A’ シート材(第1シート材)
3B 第2樹脂層
3B’ シート材(第2シート材)
4A、4B 接合層
5A、5B ハードコート層
6 測定装置
61 発光部
62 受光部
7 測定装置
70 床面
71、72 支持部
711、721 角部
10 ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)
11 光源
12 反射部材
13 収納体
131 窓部
100 自動車
101 ダッシュボード
102 フロントガラス
102a 裏面(内側の面)
210 装置
220 ガラス
A 観察者
H 運転手
LS レーザ光
全長
M 支点間距離
距離(高さ)
距離(高さ)
最下点
OL 太陽光(自然光)
OL’ 光
吸収軸
3A、O3B 遅相軸(もしくは進相軸)
VL 可視光
総厚
、t3A、t3B、t4A、t4B、t5A、t5B 厚さ
最大撓み量

Claims (11)

  1. 光を発する光源を収納し、該光源からの光が外部に向かって出射される窓部を有する収納体の前記窓部を覆うように設置して使用されるカバー部材であって、
    偏光子で構成された偏光層と、
    前記偏光層の一方の面側に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第1樹脂層と、
    前記偏光層の他方の面側に設けられ、主としてポリカーボネート樹脂で構成された第2樹脂層とを備え、
    波長λが450nm以上650nm以下の可視光の範囲で、前記波長λの間隔を5nmとしたとき、下記式(1)を満足することを特徴とするカバー部材。
    Figure 2019053300
    [但し、式(1)中、Vfrontは、前記第1樹脂層側から前記第2樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のTD方向の透過率と前記第1樹脂層および前記第2樹脂層のMD方向の透過率との差A1と、前記第1樹脂層側から前記第2樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B1との比A1/B1であり、
    backは、前記第2樹脂層側から前記第1樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との差A2と、前記第2樹脂層側から前記第1樹脂層側に向かって前記可視光を透過させたときの前記TD方向の透過率と前記MD方向の透過率との和B2との比A2/B2である。]
  2. 前記第1樹脂層は、第1シート材で構成され、該第1シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
    前記第2樹脂層は、第2シート材で構成され、該第2シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
    前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、延伸度が0%以上20%以下のものである請求項1に記載のカバー部材。
  3. 前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、厚さが0.3mm以下のものである請求項2に記載のカバー部材。
  4. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、リタデーションが110nm以下である請求項2または3に記載のカバー部材。
  5. 前記第1樹脂層は、第1シート材で構成され、該第1シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
    前記第2樹脂層は、第2シート材で構成され、該第2シート材が前記偏光子の前記一方の面に接合されたものであり、
    前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、延伸度が20%を超えたものである請求項1に記載のカバー部材。
  6. 前記第1シート材および前記第2シート材は、いずれも、厚さが0.3mmを超えたものである請求項5に記載のカバー部材。
  7. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、リタデーションが2500nm以上5800nm以下である請求項5または6に記載のカバー部材。
  8. 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層は、いずれも、遅相軸もしくは進相軸が前記偏光層の吸収軸に対して±5度の範囲内でズレている請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカバー部材。
  9. 当該カバー部材の総厚は、0.2mm以上1mm以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のカバー部材。
  10. 縦が250mm、幅が50mm、総厚が0.2mm以上1mm以下である当該カバー部材に対して、支点間距離を200mmとして両持ち支持した状態での、当該カバー部材の自重による最大撓みは、10mm以下である請求項1ないし9のいずれか1項に記載のカバー部材。
  11. 前記偏光層は、主としてポリビニルアルコール樹脂で構成されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載のカバー部材。
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