JP2007003760A - 偽造防止媒体及び偽造防止シール - Google Patents

偽造防止媒体及び偽造防止シール Download PDF

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Abstract

【課題】製品に貼着され、 色変化によって製品の真正を証明する偽造防止媒体であって、安価で生産性に優れ、しかも、観察角度を変えることなく色変化の有無を確認することができ、このため、製品が遠距離に置かれている場合であっても、容易に真偽判定を行うことができる偽造防止媒体を提供すること。
【解決手段】製品側に配置され、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を交互に積層してなる虹彩性多層フィルム1と、この虹彩性多層フィルムより観察者側に配置された偏光膜2とを備える。別途用意した偏光フィルタ10を介して、かつ、この偏光フィルタ10を回転させることにより、色変化の有無を確認することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、偽造防止媒体に関する。本発明の偽造防止媒体は、例えば、シールとして製品に貼付することにより、この製品が真正であることを証明することができる。仮に製品にこのシールが貼付されていなかった場合、その製品は偽造されたものである。
従来、偽造を防止する手段には、物品そのものを真似することが困難なものとするか、あるいは真似することが困難なシール等を貼着することにより、真正製品と偽造製品とを区別できるようにするものがある。
この後者の代表的なものとして、近年多用されているレリーフ型ホログラムを利用したシール等がある。これは画像を微細な凹凸状に形成したものであり、この微細凹凸により反射光を回折させて前記画像を再生するものである。反射光の波長に応じて回折角が異なり、見る角度(すなわち、ホログラムを支持している角度)に応じて固有のカラーシフト(反射光の色変化)を生じ、観察する位置により見える色が異なる。このため、観察角度を変えたときの色変化の有無や画像を確認することにより、真正製品であるか否かを容易に判定することができる。かかるレリーフ型ホログラムは、カラーコピー機による複製はもちろん、その他の方法による偽造も困難であることから、偽造防止用のシールや転写箔として広く用いられてきた。
しかしながら、近年に至って偽造技術の進展に伴って、レリーフ型ホログラムの偽造も出現するようになり、偽造防止効果も薄れてきている。
ところで、このレリーフ型ホログラムと同様に、可視光線を波長分散させ、見る角度によるカラーシフト(反射光の色変化)の効果を実現する材料として、互いに屈折率の異なる複数のセラミッック薄膜層を積層して構成される多層薄膜(特許文献1〜7参照)が知られている。
特開昭61−105509号公報 特開平7−146649号公報 特開平7−199812号公報 特開平7−214960号公報 特開平7−144500号公報 特開平7−146650号公報 特開平11−224050号公報 これらは薄膜の光学特性と膜厚により得られる光の干渉作用を利用したものであり、特定の波長域に反射・透過特性を有し、観察する位置によりこの反射・透過特性が変化して見える色が異なる。このため、前記レリーフ型ホログラムの場合と同様に、観察角度を変えたときの色変化を確認することにより、真正製品であるか否かを容易に判定することができる。
しかしながら、前記多層薄膜層は、セラミックを光学膜厚に多数積層したものであり、このような薄膜に積層するためには、真空蒸着法等の真空成膜法を、薄膜ごとに繰り返して使用する必要があった。このため、膜厚を高精度に制御して成膜することは困難で安定性に欠け、また、その分高価とならざるを得ないという問題があった。
また、前記多層薄膜を利用した偽造防止媒体は、その観察角度を変化させない限り色変化が生じることがなく、このため、製品の真偽を判定するためには、製品を傾けたり、観
察者自身が移動しなければならなかった。このため、例えば製品棚に陳列された製品に貼り付けられた偽造防止媒体を確認する場合等、手に取れない遠距離に置かれた製品の真偽判定を行なうことは困難であった。
そこで本発明は、安価で生産性に優れ、しかも、観察角度を変えることなく色変化の有無を確認することができ、このため、製品が遠距離に置かれている場合であっても、容易に真偽判定を行うことができる偽造防止媒体を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、製品に貼着して、観察者に対し製品の真正を証明する偽造防止媒体において、
製品側に配置され、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を交互に積層してなる虹彩性多層フィルムと、前記虹彩性多層フィルムより観察者側に配置された偏光膜とを備えることを特徴とする偽造防止媒体である。
請求項1に記載の発明によれば、虹彩性多層フィルムに入射し反射された光は、この虹彩性多層フィルムの多重反射と光路差とに起因して、その波長ごとに異なる方向に出射する。次に、この出射光は、偏光膜を透過して偏光に変化する。そして、この偏光を、別途準備した偏光フィルタを介して観察すると、前記偏光の偏光面と偏光フィルタとの交差角度に応じて、観察される光強度が変化し、その色彩も変化する。このため、観察者が移動することなく、その偏光フィルタを回転させることで明るさや色彩の変化を観察することが可能となり、その真偽を判定することができる。また、カラーコピーによってこの変化を再現することは不可能であるから、その偽造を防止することが可能である。
そして、前記虹彩性多層フィルムは複数のプラスチック系薄膜を交互に積層して構成されており、この虹彩性多層フィルムは、そのうちの一層を基材フィルムとして、この基材フィルム上に塗布することによって製造できるから、その膜厚の制御も容易であり、製造も容易である。このため、真空成膜法によって製造するセラミック多層薄膜層に比較して容易かつ安定して製造することが可能であり、安価に製造できる。
ところで、前記虹彩性多層フィルムにエンボスが施されている場合、エンボス部分の色と非エンボス部分で異なる色に見え、このため、その真偽の判定が一層容易となり、また、偽造は一層困難となる。請求項2〜6に記載の発明は、このような事情によってなされたものである。
すなわち、請求項2に記載の発明は、前記虹彩性多層フィルムにエンボスが施されていることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項3に記載の発明は前記エンボスが、断面三角形状の線状に施されていることを特徴とする請求項2に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項4に記載の発明は、前記エンボスが、そのエンボス領域の全面に渡って頂角が同一である断面三角形状に施されていることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体であり、
他方、請求項5に記載の発明は、前記エンボスが、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる頂角の断面三角形状に施されていることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体である。
また、請求項6に記載の発明は、前記エンボスが、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる方向に伸びる線状に施されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
次に、請求項7に記載の発明は、虹彩性多層フィルムの光学特性をより強調させたもので、すなわち、請求項7に記載の発明は、前記虹彩性多層フィルムより製品側の位置に光吸収層を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
次に、前記偏光膜としては、直線偏光膜と、円偏光膜のいずれを使用することもできる。請求項8〜9に記載の発明は、このような理由からなされたものである。
すなわち、請求項8に記載の発明は、前記偏光膜が直線偏光膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
また、請求項9に記載の発明は、 前記偏光膜が円偏光膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
また、請求項10に記載の発明は、前記偏光膜表面を物理的、化学的影響から守ってその損傷や汚れを防止するものですなわち、請求項8に記載の発明は、前記偏光膜の観察者側に保護層を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
また、請求項11に記載の発明は、前記偽造防止媒体の使用時の便宜を図ったもので、すなわち、請求項11に記載の発明は、製品に貼着して、観察者に対し製品の真正を証明する偽造防止シールにおいて、
製品側に配置され、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を交互に積層してなる虹彩性多層フィルムと、前記虹彩性多層フィルムより観察者側に配置された偏光膜とを備え、
かつ、前記製品に接着する接着層を備えることを特徴とする偽造防止シールである。
請求項1〜11に記載の発明によれば、観察者が移動することなく、別途準備された偏光フィルタを回転させながらその透過光の明るさや色彩の変化を観察して、その真偽を判定することができる。また、カラーコピーによってこの変化を再現することは不可能であるから、その偽造を防止することが可能である。しかも、セラミック系多層薄膜層を使用する場合に比較して、容易かつ安定して製造することが可能であり、安価に製造できる
(偽造防止媒体)
本発明に係る偽造防止媒体は、製品に貼着してその製品の真正を証明するものであり、この偽造防止媒体が貼着されていない製品は偽造品と認定できる。
製品の真偽を判定する機能を果たすため、本発明に係る偽造防止媒体は、製品側に配置された虹彩性多層フィルムと、偏光膜とを必須の構成要素とする。偽造防止媒体に入射した室内光等は虹彩性多層フィルムで反射され、こうして反射された光は、その波長ごとに、すなわち色彩ごとに異なる方向に出射する。そして、偏光膜を透過した出射光を、別途準備した偏光フィルタを介して観察することにより、その偏光フィルタの回転に伴って明るさや色彩が変化する現象を観察することができる。この現象を観察できる場合は真正の製品である。また、観察できない場合は偽造品と認定できる。
本発明に係る偽造防止媒体は、虹彩性多層フィルムと偏光膜のほか、この原理を損なわない範囲で、さらに別の層を構成要素として有することができる。
例えば、虹彩性多層フィルムより製品側の位置に配置された光吸収層である。この光吸収層により、製品表面からの反射ノイズ光を防いで、虹彩性多層フィルムの光学特性をより強調させることが可能となる。また、製品に接着する接着層を積層して使用時の便を図ることもできるし、偏光膜に保護層を積層して損傷や汚れから防ぐことも可能である。 なお、これら各層は、必要な接着剤層を介して積層することができる。
また、虹彩性多層フィルムには、エンボスを施すことができる。虹彩性多層フィルムにエンボスが施されている場合には、同一位置から観察しても、エンボス部分の色と非エンボス部分の色が異なる色に見え、このため、その真偽の判定が一層容易となり、また、偽造は一層困難となる。
エンボスは、虹彩性多層フィルムの全面に施すこともできるが、その一部にエンボスを施し、残余の部位をエンボスのない部位とすることが望ましい。エンボス部分の色彩と非エンボス部分の色彩の区別が明瞭となり、真偽の判定が容易だからである。例えば、文字や図形の形状にエンボスを施した場合には、この文字や図形を明確に読み取ることが可能となる。
エンボスは、断面三角形状の線状に施すことが望ましい。この場合、尾根に相当する頂部の両側で異なる色彩の反射光を射出して、そのエンボス形状の認識が容易となり、また、偏光フィルタを透して観察したときにも、その変化を容易に認識して真偽判定が容易となるからである。好ましくは、その一辺の長さが1mm程度の二等辺三角形状である。
また、このエンボスは、エンボス面の全面に渡って頂角が同一である断面三角形状に施しても良いし、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる頂角の断面三角形状に施しても良い。また、このエンボスは、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる方向に伸びる線状に施したものであっても良い。
図面の図1Aは、本発明に係る偽造防止媒体の第1形態の平面図であり、図1Bは、図1AのX−X線における断面説明図である。
この第1形態の媒体は、虹彩性多層フィルム1の表面に接着剤層3を介して偏光膜2を積層し、この偏光膜2上に保護層4を設けたものである。そして、虹彩性多層フィルム1には、その一部にエンボスが施されている。エンボスは、全体として、星形の形状を有する領域aに施されており、このエンボス領域aに、平行に伸びた多数の線から構成されるストライプ状に施されている。また、その断面形状は、一辺の長さが1mm程度の二等辺三角形状であり、この二等辺三角形は、エンボス領域aの全領域に渡って頂角が同一の三角形である。
偏光フィルタ10を透してこの媒体を観察したときの状況を図1Cに示す。図1Cから分かるように、偏光フィルタ10を重ねた部位は、その透過光強度が低下する。なお、この透過光強度は、偏光フィルタ10の角度によって変化する。
次に、図2は、本発明に係る偽造防止媒体の第2形態の断面説明図である。この第2形態の偽造防止媒体は、虹彩性多層フィルム1の表面に接着剤層3を介して偏光膜2と保護層4とを順次積層し、他方、虹彩性多層フィルム1の裏面に光吸収層5と接着層6とを積層したものである。
また、図3は、本発明に係る偽造防止媒体の第3形態の断面説明図である。この第3形態の偽造防止媒体は、互いに異なるエンボスを施したものである。すなわち、エンボス領域のうち、一部の領域a1に断面二等辺三角形状のエンボスを施すと共に、その他の部位a2に、頂角の異なる二等辺三角形状の断面を有するエンボスを施したものである。そして、領域a1に施されたエンボスは平行に伸びた多数の線から構成されるストライプ状であり、他方、領域a2に施されたエンボスは、これとは異なる方向に平行に伸びた多数の線から構成されるストライプ状に施されている。その他は第2形態の偽造防止媒体と同様である。
(虹彩性多層フィルム)
虹彩性多層フィルム1は、反射光を波長分散して、その波長(色彩)ごとに異なる方向に出射するもので、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を積層して構成される。この虹彩性多層フィルム1を構成する薄膜は、少なくとも2層あればよい。例えば、高屈折率薄膜と、低屈折率薄膜の2層である。この場合には、高屈折率薄膜表面からの反射光、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との境界面からの反射光、低屈折率薄膜の反対側表面からの反射光、及びこれら各界面間の多重反射光が互いに干渉して、その干渉光が出射する。この出射光の波長は、この出射光を構成する前記反射光相互の光路差に依存し、この光路差は入射角すなわち出射角に依存するから、その出射方向に応じて出射光の波長が異なる。
また、虹彩性多層フィルム1は3層以上の薄膜を積層して構成されたものであっても良い。たとえば、例えば、高屈折率薄膜、低屈折率薄膜、高屈折率薄膜の順で積層した3層である。一般に、薄膜の数が多いほど、出射光は明るくなる。
虹彩性多層フィルム1を構成する薄膜としては、必要に応じて各種助剤などを添加したプラスチック系材料が利用できる。プラスチプラスチック材料としては、ポリエチレンナフタレート(1.63=屈折率n:以下同じ)、ポリカーボネート(1.59)、ポリスチレン(1.59)、ポリエチレンテレフタレート(1.58)、ナイロン(1.53)、ポリエチレン(1.51)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリプロピレン(1.49)、ポリメチルペンテン(1.46)、フッ素系ポリメチルメタアクリレート(1.4)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、等が例示できる。
この虹彩性多層フィルム1は、前記プラスチック材料のうちいずれか1層をフィルムとして成型し、このフィルムを基材として、この基材上に、他のプラスチック材料を印刷又は塗布することによって製造することができる。印刷方法としては、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法が利用できる。また、塗布方法としては、バーコート法、グラビア法、ロールコート法等が利用できる。
(エンボス)
エンボスは、虹彩性多層フィルム1を一方向から見た場合でも違う色が見えるようにするために設けるものであり、そのエンボスの形状は、頂点の角度が等しい二等辺三角形を連ねた形状であることが望ましい。なお、断面形状が直角三角形のエンボスであってもよい。
エンボスの大きさは、前記二等辺三角形の一辺の長さが1mm前後の場合、エンボスが容易であり、また、色変化の安定の点で望ましい。このエンボスは、虹彩性多層フィルム1にエンボス版を重ねて加熱加圧することによって施すことができる。
(偏光膜)
偏光膜2は、別途準備した偏光フィルタと協力して、出射光の色彩を変化させるもので
ある。
偏光膜2として、直線偏光膜、円偏光膜のいずれを使用することもできるが、偏光膜2が直線偏光膜の場合には前記偏光フィルタとして直線偏光フィルタを使用し、偏光膜2が円偏光膜の場合には前記偏光フィルタとして円偏光フィルタを使用する必要がある。
なお、直線偏光膜としては、1軸異方性を有するフィルムに二色性吸収体を吸着させることにより、この二色性吸収体を異方軸に沿って配列させたものが使用できる。1軸異方性を有するフィルムとしては、例えば、1軸延伸ポリビニルアルコールが例示できる。また、二色性吸収体としてはヨウ素の錯体が例示できる。この他、二色性吸収体として、ブルー、レッド、グリーンまたそれらの混合色に着色した二色性染料を使用することもできる。なお、この直線偏光膜の製造に当たっては、フィルムを1軸延伸した後に二色性吸収体を吸着させて製造しても良いし、二色性吸収体を吸着させた後に延伸して製造しても良い。
また、直線偏光膜として、ポリ塩化ビニル等のフィルムを処理してポリエンを配向させたものを利用することも可能である。
また、円偏光膜としては、前記直線偏光膜の片面に、4分の1波長板を積層したものが使用できる。4分の1波長板は1軸異方性を有するフィルム又はシートであって、その異方軸に偏光面を有する偏光の光速度と、この異方軸に直交する方向に偏光面を有する偏光の光速度とを異ならせしめ、一方の偏光の位相を他方に比較して90度遅延せしめるものである。そして、前記直線偏光膜の異方軸とこの4分の1波長板の異方軸とが45度の角度で交差するように両者を積層すると、直線偏光膜に入射した光線は、円偏光として4分の1波長板から出射する。このため、直線偏光膜を虹彩性多層フィルム1側に、4分の1波長板をその反対側に位置するように配置する必要がある。4分の1波長板としては、1軸延伸されたポリカーボネートフィルム、1軸延伸された環状ポリオレフィンフィルム等が使用できる。
また、直線偏光フィルタとしては前記直線偏光膜と同一のものが使用できる。円偏光フィルタとして前記円偏光膜と同一のものを使用することもできるが、直線偏光膜の両面に、それぞれ、4分の1波長板を積層したものを使用することもできる。この場合には、円偏光フィルタの表裏の区別がなくなり、裏返して利用することが可能となる。
(保護層)
保護層4は、偏光膜2表面を物理的、化学的影響から守ってその損傷や汚れを防止するために設けられる。この保護層4としては、合成樹脂フィルムや合成樹脂の塗膜が利用できる。
合成樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート等のフィルムが使用できる。好ましくは、光学的に等方性のフィルム、すなわち、無延伸フィルムである。なお、このフィルムは、接着剤を用いて貼り合わせればよい。
また、塗膜に使用される材料としては、公知のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、あるいはこれらの共重合体が例示できる。また、これらの樹脂にイソシアネート、エポキシ等の硬化剤を添加して強靭性を付与したものを利用することもできる。好ましくは、(メタ)アクリロイル基を分子内に持つ化合物をモノマーとして、このモノマーを重合して得られる樹脂である。モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を1〜20個有するものが好ましく使用できる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等である。これらモノマーに光開始剤を添加して塗料化し、この塗料を塗布して形成された塗膜に紫外線等を照射することにより、前記モノマーを重合させることができる。なお、塗膜の形成には、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法、バーコート法、グラビア法、ロールコート法等などの塗布方法を用いることができる。また、この塗膜に紫外線等を照射する場合には、高圧水銀ランプ等の紫外線照射装置を使用できる。なお、紫外線照射時に窒素等の不活性ガスを紫外線照射区域に充填し酸素阻害を軽減することでより強固な塗膜を形成することもできる。
(光吸収層)
虹彩性多層フィルム1は、この虹彩性多層フィルム1を構成する各薄膜の膜厚と屈折率等に応じて特定波長の光を透過させ、それ以外の波長の光を反射させる性質を持っている。光吸収層5は、上記虹彩性多層フィルム1の光学特性をより強調させるために設けるものである。この透過波長の光を吸収して製品表面からの反射を防ぐことにより、前記反射光からノイズを除去して、上記虹彩性多層フィルム1の光学特性をより強調させるものである。
この光吸収層5の色相は、虹彩性多層フィルム1を透過する光を吸収できるものであればよいが、濃色のものが好ましく、中でも黒色が好ましい。光吸収層5は、例えば、印刷インキで印刷することによって形成することができる。印刷は、虹彩性多層フィルム1のエンボスの前又は後のいずれでもよい。
(接着層)
接着層6は、本発明に係る偽造防止媒体を製品に接着するものである。この接着層6が設けられている偽造防止媒体は、そのまま、シールとして製品に貼着することができる。また、この接着層が設けられていない偽造防止媒体は、別途準備した接着剤によって製品に貼着すればよい。
接着層6としては、虹彩性多層フィルム1や光吸収層5を変質させたり、侵すものでなければ、一般的な接着材料を用いることができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系等の粘着材等である。また、この粘着材に、各種添加剤を添加したものを使用してもよい。添加剤としては、例えば、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分が例示できる。また、添加剤として、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等の改質成分を添加することもできる。また、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等を添加することも可能である。
接着層6は、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法、バーコート法、グラビア法、ロールコート法等などの塗布方法で塗布形成することができる。印刷又は塗布は、虹彩性多層フィルム1のエンボスの前又は後のいずれでもよい。
(製造方法)
本発明に係る偽造防止媒体は、まず、虹彩性多層フィルム1にエンボスする。次に、虹彩性多層フィルム1の裏面に光吸収層5と接着層6とを、この順に積層する。光吸収層5と接着層6とを設けた後にエンボスしてもよい。なお、この接着層5には、離型紙を貼着して、シール使用時までその表面を保護しておくことが望ましい。
次に、虹彩性多層フィルム1の表面に、順次、偏光膜2、保護層4を積層して偽造防止媒体を製造することができる。虹彩性多層フィルム1と偏光膜2との積層は、接着剤層3を用いて可能である。
この接着剤層3としては、前記接着層6と同様の粘着材が使用できる。すなわち、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系等の粘着材等である。また、この粘着材に、各種添加剤を添加したものを使用してもよい。
また、前記保護層4として合成樹脂フィルムを使用する場合には、接着剤によって積層することができる。この接着剤についても、前記接着層6と同様の粘着材が使用できる。
互いに屈折率の異なる多数のプラスチック系薄膜を積層して構成された膜厚19μmの虹彩性多層フィルムを使用して、前記第2形態の偽造防止シール(図2参照)を作成した。
すなわち、この虹彩性多層フィルム1の裏面に、下記組成のインキを塗布して光吸収層5を形成した。塗布方法はグラビア法である。また、光吸収層5の膜厚は10μmである。
[光吸収層5用インキの組成]
スミインキ 90重量部
(商品名:SS66 911墨 東洋インキ製造(株)製)
希釈溶剤(商品名:S965溶剤 東洋インキ製造(株)製) 10重量部
この光吸収層5の上に、下記組成の塗料を塗布して、厚さ10μmの接着層6を形成し、離型紙を貼り合わせた。膜厚は10μmである。
[接着層6用塗料の組成]
アクリル系樹脂
(商品名:BPS5160 東洋インキ製造(株)製) 60重量部
希釈溶剤(商品名:VC202C溶剤 東洋インキ製造(株)製) 40重量部
次に、エンボス板で加熱加圧して、前記虹彩性多層フィルム1をエンボスした。なお、エンボス板は、そのエンボス部aが星形をしており、このエンボス領域にストライプ状の凹凸を設けたもので、このストライプを構成する線の断面形状は、頂角が90度の二等辺三角形である。
そして、リップコーター法により、接着剤層用塗料を虹彩性多層フィルム1表面に10μmの厚さに塗布して接着剤層3を形成した。この塗料は、前記接着層6用塗料と同一の組成である。そして、ロールラミネーターを使用して、この接着剤層6上に直線偏光膜2を積層した。
次に、リップコーター法により、前記直線偏光膜2上に、次の組成からなる塗料を塗布した。そして、高圧水銀灯を用いて、この塗膜に500mJの紫外線照射を行って硬化させ、保護層4を形成した。保護層4の厚みは5μmである。
[保護層4用塗料の組成]
アクリルモノマー
(商品名:NKエステル ATMMT 新中村化学工業(株)製)40重量部
反応開始剤
(商品名:イルガキュア184 チバガイギー社製) 5重量部
希釈溶剤
(商品名:VC202C溶剤 東洋インキ製造(株)製) 55重量部
得られた偽造防止シールを商品券に貼着し、肉眼で観察したところ、正面から見るとエンボス部分は緑色、非エンボス部分は赤色に見えた。また、角度を変えて観察すると、エンボス部分と非エンボス部分の双方共に色彩が変化して見えた。
次に、この偽造防止シールをカラーコピー機でコピーし、そのコピーを観察したところ、全体が黒く、前記エンボス部分と非エンボス部分の区別が困難であった。
次に、1m離れた位置で、別途用意した直線偏光フィルタを介して偽造防止シールを観察したところ、この直線偏光フィルタの回転に伴ってその明暗が変化した。
図1Aは本発明の偽造防止媒体の第1の形態を示す平面図、図1Bは図1AのX−X線における断面説明図、図1Cは使用時の状態を示す平面図。 本発明の偽造防止媒体の第2の形態を示す断面説明図。 本発明の偽造防止媒体の第3の形態を示す断面説明図。
符号の説明
1‥‥‥虹彩性多層フィルム
2‥‥‥偏光膜
3‥‥‥接着剤層
4‥‥‥保護層
5‥‥‥光吸収層
6‥‥‥接着層

Claims (11)

  1. 製品に貼着して、観察者に対し製品の真正を証明する偽造防止媒体において、
    製品側に配置され、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を交互に積層してなる虹彩性多層フィルムと、前記虹彩性多層フィルムより観察者側に配置された偏光膜とを備えることを特徴とする偽造防止媒体。
  2. 前記虹彩性多層フィルムにエンボスが施されていることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
  3. 前記エンボスが、断面三角形状の線状に施されていることを特徴とする請求項2に記載の偽造防止媒体。
  4. 前記エンボスが、そのエンボスエンボス領域の全面に渡って頂角が同一である断面三角形状に施されていることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体。
  5. 前記エンボスが、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる頂角の断面三角形状に施されていることを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体。
  6. 前記エンボスが、そのエンボス面のうち一部の部位において、その他の部位とは異なる方向に伸びる線状に施されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の偽造防止媒体。
  7. 前記虹彩性多層フィルムより製品側の位置に光吸収層を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偽造防止媒体。
  8. 前記偏光膜が直線偏光膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偽造防止媒体。
  9. 前記偏光膜が円偏光膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偽造防止媒体。
  10. 前記偏光膜の観察者側に保護層を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の偽造防止媒体。
  11. 製品に貼着して、観察者に対し製品の真正を証明する偽造防止シールにおいて、
    製品側に配置され、互いに屈折率の異なる複数のプラスチック系薄膜を交互に積層してなる虹彩性多層フィルムと、前記虹彩性多層フィルムより観察者側に配置された偏光膜とを備え、
    かつ、前記製品に接着する接着層を備えることを特徴とする偽造防止シール。
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