JP2019052290A - 有機膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1と呼ばれる過酸化水素含有アンモニア水溶液を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物を提供する。【解決手段】有機膜形成用組成物であって、該有機膜形成用組成物が、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と有機溶媒とを含み、該有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占める有機膜形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体装置製造用基板に配線パターンを形成する時に使用される多層レジスト膜材料に関するものであり、特に有機膜形成用組成物に関するものである。
従来、半導体装置の処理能力の高性能化は、リソグラフィー技術における光源の短波長化によるパターン寸法の微細化がけん引していた。しかし、近年、ArF光源以降の短波長化の速度が鈍化しているため、微細化に代わる半導体装置の処理能力の高性能化が求められていた。その方法の一つとして、平面型トランジスタより高速で動作可能な3次元トランジスタを高密度に配置した、処理能力の高い半導体装置が提案されている。このような半導体装置を製造するための基板(以下、基板とする)は、従来の基板に比べて複雑な段差加工を経た3次元構造となっている。そのため、従来の平面型トランジスタを形成する際に適用されていた単層フォトレジストによるパターン形成方法でパターン形成を行おうとすると、基板加工途中で形成される段差に対してフォトレジスト膜が追従してしまい、フォトレジスト膜表面に段差が発生し、結果として平坦なレジスト膜を得ることができなくなる。それによりフォトレジストを露光してパターン形成する時に、フォトレジストに焦点を正確に合わせることができなくなり、結果として基板加工の歩留まりが低下する。これを防止するための新しい材料や方法が求められている。
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、平坦化性能の高い下層膜で段差のある基板を平坦化し、この平坦膜上でフォトレジスト膜を形成することで、露光時の焦点裕度が広くなり基板加工における歩留まりの低下を防ぐことができる。さらに、この方法では、上層フォトレジスト膜と基板に対してそれぞれエッチング選択性が異なる下層膜を選択すると、レジスト上層膜にパターンを形成した後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとしてドライエッチングで中間膜にパターンを転写し、さらに下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングで被加工基板にパターンを転写することが可能になる。
この多層レジスト法としては、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法が一般的である。例えば、被加工基板上に平坦性が高く基板加工に十分なドライエッチング耐性を持つ有機レジスト下層膜を成膜し、その上にケイ素含有レジスト下層膜を中間膜として成膜し(以下、ケイ素含有レジスト中間膜と言う)、その上にフォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジストパターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを用いることでケイ素含有レジスト中間膜に転写できる。さらに酸素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては、ケイ素系のレジスト中間膜は、有機レジスト下層膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、ケイ素含有レジスト中間膜パターンは酸素系ガスプラズマによるドライエッチングを用いることで有機レジスト下層膜に転写できる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンは形成することが難しいレジスト上層膜形成用組成物や、基板を加工するためにはドライエッチング耐性が十分でないレジスト上層膜形成用組成物を用いても、ケイ素含有膜にだけパターンを転写することができれば、加工に十分なドライエッチング耐性を持つ有機レジスト下層膜のパターンを得ることができる。このようなドライエッチングによるパターン転写は、レジスト現像時の現像液による摩擦等を原因としたパターン倒れのような問題が発生することは無いため、高いアスペクト比であってもドライエッチングマスクとして十分機能する厚さの有機膜のパターンが得られるようになる。そして、このように形成された有機レジスト下層膜のパターンをドライエッチングマスクとして用いることで、複雑な段差を有する3次元トランジスタ構造を持つ基板にパターンを転写することが可能となる。上述のような有機レジスト下層膜としては、例えば特許文献1に記載のもの等、すでに多くのものが公知となっている。
一般に3層レジスト法では、加工寸法を安定化させるため有機レジスト下層膜へのドライエッチングによるパターン転写では、有機レジスト下層膜パターンの上に数nmの厚さのケイ素含有レジスト中間膜を残す必要がある。この残ったケイ素分は、有機レジスト下層膜パターンをマスクとして基板にパターンを転写している最中に、基板を加工するドライエッチングガスによりエッチング除去されるため、基板加工後には有機レジスト下層膜パターン上に残らない。そのため、基板加工後に残った有機レジスト下層膜パターンをドライエッチング(アッシング)又は湿式除去しても、基板上にそのケイ素分が残渣として残ることは無い。
このように多層レジスト法は、基板加工方法として大きな段差が形成されている基板に対しても適用できることから、広範な基板加工に利用されている。そこで、この特徴を利用して、3次元トランジスタ形成工程の一部であるイオン打込み工程のイオン打込み遮蔽マスクとしての利用が期待されている。しかしながら、3層レジスト法で形成されたイオン打込み用の有機レジスト下層膜パターンでは、当該有機レジスト下層膜パターンをマスクとして基板加工をしていないため、実際には、上記のように有機レジスト下層膜パターン上にケイ素分が残留している。そのため、このような有機レジスト下層膜パターンを遮蔽マスクとしてイオンを打込むと、有機レジスト下層膜上に残っているケイ素分が打込まれるイオンにより変性し、打込み工程終了後の洗浄工程では有機レジスト下層膜パターンと同時に除去することができず、除去できなかったものは基板上に異物として残留してしまい、イオン打込み工程の歩留まり低下を引き起こす。これを防ぐためには、イオン打込み前に有機レジスト下層膜パターン上に残っているケイ素分を有機レジスト下層膜パターンに影響を与えることなく選択的に洗浄除去しなくてはいけない。しかし、このケイ素分は有機レジスト下層膜にパターン転写する際のドライエッチングガスにより変性しており、基板に損傷を与えない洗浄液として半導体製造工程で一般的に適用されている過酸化水素含有アンモニア水溶液(以下、アンモニア過水とも言う)では洗浄除去できない。この変性したケイ素分を完全に洗浄除去するためにはフッ酸系洗浄液の適用が必要であるが、この洗浄液では半導体基板表面にも損傷を与えてしまい当該加工工程における歩留まりが低下する。そこで、ドライエッチングによる有機レジスト下層膜へのパターン転写が終了した後、有機レジスト下層膜パターン上に残ったケイ素分を基板に損傷を与えないで除去できる方法ならびにそれに適した材料が求められている。
特開2016−094612号公報(米国特許出願公開第2013/0337649(A1)号明細書)
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1(Standard Cleaner 1)と呼ばれる過酸化水素含有アンモニア水溶液を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、有機膜形成用組成物であって、該有機膜形成用組成物が、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と有機溶媒とを含み、該有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占める有機膜形成用組成物を提供する。
Figure 2019052290
(式中、Rは炭素数1〜19の炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシフェニル基、又はアミノ基であり、Rは水素原子又はALである。ALは加熱又は酸の作用により酸性の官能基を生じる基である。Rは水素原子、フラニル基、又は塩素原子もしくはニトロ基を有していてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。k、k、及びkは1〜2であり、lは1〜3であり、mは0〜3であり、nは0又は1である。)
このような有機膜形成用組成物であれば、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1と呼ばれる過酸化水素含有アンモニア水溶液を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物となる。また、このような有機膜形成用組成物であれば、3次元トランジスタ形成時のイオン打込み遮蔽マスク用材料として適用することが可能となる。
このとき、前記有機膜形成用組成物が、アンモニア過水に可溶であるケイ素含有レジスト中間膜の直下、かつ、アンモニア過水に難溶である有機レジスト下層膜の直上に導入する有機膜を形成するためのものであることが好ましい。
本発明の有機膜形成用組成物は、基板上に形成された3層レジスト法において、有機レジスト下層膜とフォトレジスト直下に形成されたケイ素含有レジスト中間膜の間に形成される有機膜(以後、本有機膜とも言う)を形成できる組成物(以後、本組成物とも言う)であり、実質4層レジストを形成できる有機膜形成用組成物である。基板上に有機レジスト下層膜を形成し、本有機膜を有機レジスト下層膜とケイ素含有レジスト中間膜の間に形成し、次にケイ素含有レジスト中間膜を形成し、さらに上層レジストを形成した後、上層レジストでパターンを形成し、このパターンをドライエッチングでケイ素含有レジスト中間膜に転写し、その転写されたパターンをマスクとして、一気に本有機膜と有機レジスト下層膜をドライエッチングしてパターン転写することができる。ここで、ケイ素含有レジスト中間膜がアンモニア過水に可溶なものであり、かつ、有機レジスト下層膜がアンモニア過水に難溶なものであれば、上記のように転写されたパターン上に残るケイ素分を本有機膜と共にアンモニア過水で除去することができ、これにより、ケイ素分残渣の無い有機レジスト下層膜パターンを得ることができる。この有機レジスト下層膜パターンをイオン打込み遮蔽マスクとして適用すると、段差の大きな3次元トランジスタにおいても正確なイオン打込みが可能となり、高い歩留まりで3次元トランジスタ加工が可能となる。
またこのとき、前記ケイ素含有レジスト中間膜が、ホウ素及びリンのいずれかもしくは両方を含むものであることが好ましい。
パターン形成されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクとして、ドライエッチングで本有機膜と有機レジスト下層膜に一気にパターン転写すると、ケイ素含有レジスト中間膜パターンはドライエッチング中のガスやプラズマの作用により構造変化が発生し、アンモニア過水に対する溶解性が低下する場合がある。しかしながら、ケイ素含有レジスト中間膜がホウ素及びリンのいずれかもしくは両方を含むことにより、ドライエッチングのガスや条件に依らず、ドライエッチング後においてもアンモニア過水に可溶なケイ素含有レジスト中間膜及び/又はケイ素分残渣とすることができる。
またこのとき、前記有機膜形成用組成物が、さらに、熱酸発生剤及び架橋剤のいずれかもしくは両方を含有するものであることが好ましい。
本発明の有機膜形成用組成物が熱酸発生剤及び架橋剤のいずれかもしくは両方を含有するものであれば、有機レジスト下層膜上に均一な膜厚で均一組成の本有機膜を形成することができるだけでなく、当該有機膜上にケイ素含有レジスト中間膜を形成する際にインターミキシングが発生することを抑制できる。
またこのとき、前記有機膜形成用組成物が、基板上にスピンコートし、次いで加熱することにより、29%アンモニア水/35%過酸化水素水/水=1/1/8で混合した65℃の溶液による処理によって、5nm/分以上の溶解速度を有する有機膜を与えるものであることが好ましい。
このような性能をもつ有機膜を与える有機膜形成用組成物であれば、半導体装置製造用基板に損傷を与えずに、アンモニア過水で本有機膜及び本有機膜上のケイ素分残渣を十分に取り除くことができる。
さらに、前記有機膜形成用組成物が、膜厚が10nm以上100nm未満である有機膜を与えるものであることが好ましい。
このような膜厚を有する有機膜を与える有機膜形成用組成物であれば、ケイ素含有レジスト中間膜をドライエッチングマスクとして一気に本有機膜と有機レジスト下層膜にパターン転写しても、上層レジストで形成されたパターンの精度を保持した状態でパターン転写することが可能になる。
このような有機膜形成用組成物であれば、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1と呼ばれるアンモニア過水を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物となる。また、本発明の有機膜形成用組成物を有機レジスト下層膜とケイ素含有レジスト中間膜の間に適用することにより、イオン打込み用遮蔽マスク形成時に、ケイ素分がパターン上に残留していないイオン打込みマスクを形成することが可能となる。これにより、3次元トランジスタの製造工程における歩留まり低下を防止することが可能になり、より高性能の半導体装置を経済的に製造することが可能となる。
上述のように、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1と呼ばれるアンモニア過水を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、下記の一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と有機溶媒とを含み、該有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占める有機膜形成用組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、有機膜形成用組成物であって、該有機膜形成用組成物が、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と有機溶媒とを含み、該有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占める有機膜形成用組成物である。
Figure 2019052290
(式中、Rは炭素数1〜19の炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシフェニル基、又はアミノ基であり、Rは水素原子又はALである。ALは加熱又は酸の作用により酸性の官能基を生じる基である。Rは水素原子、フラニル基、又は塩素原子もしくはニトロ基を有していてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。k、k、及びkは1〜2であり、lは1〜3であり、mは0〜3であり、nは0又は1である。)
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[有機膜形成用組成物]
本発明の有機膜形成用組成物は、高分子化合物と有機溶媒とを含むものである。以下、各成分について、さらに詳細に説明する。
<高分子化合物>
本発明の有機膜形成用組成物における高分子化合物は、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有するものである。
Figure 2019052290
(式中、Rは炭素数1〜19の炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシフェニル基、又はアミノ基であり、Rは水素原子又はALである。ALは加熱又は酸の作用により酸性の官能基を生じる基である。Rは水素原子、フラニル基、又は塩素原子もしくはニトロ基を有していてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。k、k、及びkは1〜2であり、lは1〜3であり、mは0〜3であり、nは0又は1である。)
ここで、一般式(1)で示される繰り返し単位としては、以下の構造のものを例示することができる。
Figure 2019052290
一般式(2)で示される繰り返し単位としては、以下の構造のものを例示することができる。
Figure 2019052290
一般式(3)で示される繰り返し単位としては、以下の構造のものを例示することができる。
Figure 2019052290
一般式(4)で示される繰り返し単位としては、以下の構造のものを例示することができる。
Figure 2019052290
このうち、好ましい繰り返し単位としては、上記一般式(2)又は(3)で示されるものを例示できる。このような繰り返し単位を有する高分子化合物を含む有機膜形成用組成物であれば、極性の高いカルボキシ基が効果的に位置することにより、アンモニア過水による湿式除去性に優れた有機膜を形成できる。
ここで、上記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位として、n=0のものを得るためのモノマーとしては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、4−フェニルフェノール、トリチルフェノール、ピロガロール、チモール、ヒドロキシフェニルグリシジルエーテル、4−フルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、4−トリフルオロメチルフェノール、4−クロロフェノール、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−ビニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)ナフタレン等を挙げることができる。
n=1のものを得るためのモノマーとしては、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−1−ナフトール、2−メトキシカルボニル−1−ナフトール、6−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフトール、6−(シクロヘキシル)−2−ナフトール、1,1’−ビ−2,2’−ナフトール、6,6’−ビ−2,2’−ナフトール、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、1−ヒドロキシメチルナフタレン、2−ヒドロキシメチルナフタレン、8−ヒドロキシナフタレン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシナフタレン−7−スルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン−7−スルホン酸、1,7−ジヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸等を挙げることができる。
これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、n値、k値、及びエッチング耐性を制御するため、2種類以上を組み合わせてもよい。
これらのモノマーと縮合反応させる縮合剤としては、以下のアルデヒド化合物を例示できる。例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロペンテンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、ノルボルナンカルボキシアルデヒド、ノルボルネンカルボキシアルデヒド、アダマンタンカルボアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2、3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3、4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、3−ニトロベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2−エチルベンズアルデヒド、3−エチルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、3−メトキシベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、アントラセンカルボアルデヒド、ピレンカルボアルデヒド、フルフラール等を挙げることができる。
その他にも、以下の式で表すことができる化合物を例示できる。
Figure 2019052290
モノマーと縮合剤であるアルデヒド化合物の比率は、モノマーのモル量の合計量1モルに対して好ましくは0.01〜5モルであり、より好ましくは0.05〜2モルである。
上記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位が占める全繰り返し単位中の比率としては、全体を100%として、10%以上が好ましく、より好ましくは30%以上である。
上記のような原料を使用して重縮合反応を行う場合、通常、無溶媒又は溶媒中で酸又は塩基を触媒として用いて、室温又は必要に応じて冷却もしくは加熱下にて行うことができ、これにより高分子化合物(ポリマー)を得ることができる。用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が例示でき、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。これらの溶媒は、反応原料100質量部に対して0〜2,000質量部の範囲で使用できる。
酸触媒としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を用いることができる。塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類を用いることができる。その使用量は、原料に対して好ましくは0.001〜100重量%、より好ましくは0.005〜50重量%の範囲である。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、室温から100℃がさらに好ましい。
重縮合反応の方法としては、モノマー、縮合剤、触媒を一括で仕込む方法や、触媒存在下でモノマー、縮合剤を滴下していく方法が挙げられる。
また、重縮合反応終了後、系内に存在する未反応原料、触媒等を除去するために、反応釜の温度を130〜230℃にまで上昇させ、1〜50mmHg程度で揮発分を除去する方法や、適切な溶媒や水を加えてポリマーを分画する方法、ポリマーを良溶媒に溶解後、貧溶媒中で再沈する方法等を、得られた反応生成物の性質により使い分けることができる。
このようにして得られたポリマーのポリスチレン換算の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が500〜500,000であることが好ましく、特に1,000〜100,000であることが好ましい。また、分子量の分散度は1.2〜20の範囲内が好ましく用いられる。モノマー成分、オリゴマー成分、又は分子量(Mw)1,000以下の低分子量体をカットすることでベーク中の揮発成分を抑えられ、ベークカップ周辺の汚染、あるいは堆積した揮発成分がウエハ上に落下することによる表面欠陥を防ぐことができる。
<有機溶媒>
本発明の有機膜形成用組成物は有機溶媒を含む。有機溶媒の具体例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル,プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できるが、これらに限定されるものではない。
ここで、有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、ラクトンから選ばれる1種以上(例えば、上記例示した有機溶媒のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種以上)の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占めていなくてはならない。有機溶媒がこの条件を満たさない場合、有機レジスト下層膜の直上に均質な有機膜を形成することができない。
また、本発明の有機膜形成用組成物には、架橋反応をさらに促進させるための酸発生剤や架橋剤を添加することができる。酸発生剤としては、熱分解によって酸を発生するもの(熱酸発生剤)や、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。
酸発生剤としては、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、ビススルホン誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、β−ケトスルホン酸誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸塩、スルホン酸エステル誘導体等を挙げることができる。具体的には、特開2008−65303号公報(米国特許出願公開第2008/0038662(A1)号明細書)の(0081)〜(0111)段落に記載のものを挙げることができる。
架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の二重結合を含む化合物等を挙げることができる。具体的には、特開2008−65303号公報(米国特許出願公開第2008/0038662(A1)号明細書)の(0074)〜(0080)段落に記載のものを挙げることができる。
また、本発明の有機膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、特開2009−269953号公報(米国特許出願公開第2009/0274978(A1)号明細書)の(0142)〜(0147)段落に記載のものを挙げることができる。
さらに、本発明の有機膜形成用組成物には、保存安定性を向上させるための塩基性化合物を添加することができる。塩基性化合物は、酸発生剤より微量に発生した酸が架橋反応を進行させるのを防ぐための、酸に対するクエンチャーの役割を果たす。このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等を挙げることができる。具体的には、特開2008−65303号公報(米国特許出願公開第2008/0038662(A1)号明細書)の(0112)〜(0119)段落に記載のものを挙げることができる。
以上説明したような本発明の有機膜形成用組成物は、アンモニア過水に可溶であるケイ素含有レジスト中間膜の直下、かつ、アンモニア過水に難溶である有機レジスト下層膜の直上に導入する有機膜の形成に好適に用いることができる。
また、本発明の有機膜形成用組成物は、膜厚が10nm以上100nm未満である有機膜を与えるものであることが好ましく、膜厚が20nm以上80nm以下であることがさらに好ましい。有機膜の膜厚が10nm以上であれば湿式処理によるケイ素分の除去効果を十分に得ることができ、また、100nm未満であればドライエッチング加工時のサイドエッチングを抑制することができ、加工に不具合が生じる恐れがなくなる。
[有機膜]
本発明の有機膜形成用組成物により、有機膜を形成することができる。本発明の有機膜形成用組成物を用いて有機膜を形成する方法としては、上記の本発明の有機膜形成用組成物をスピンコート法等で被加工基板上にコーティングする方法が挙げられる。スピンコート後、溶媒を蒸発させ、レジスト上層膜やレジスト中間層膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークを行う。ベークは100℃以上、400℃以下の範囲内で行い、10〜600秒、好ましくは10〜300秒の範囲内で行う。ベーク温度は、より好ましくは150℃以上350℃以下である。
上記したように、本発明の有機膜形成用組成物により形成された有機膜は、ケイ素含有レジスト中間膜の直下、かつ、有機レジスト下層膜の直上に好適に導入することができる。
このようなケイ素含有レジスト中間膜としては、アンモニア過水に可溶であり、アンモニア過水で溶解又は剥離可能なものが好ましい。例えば、特開2010−085912号公報(米国特許出願公開第2010/0086870(A1)号明細書)、特開2010−085893号公報(米国特許出願公開第2010/0086872(A1)号明細書)、特開2015−028145号公報(米国特許出願公開第2015/0004791(A1)号明細書)、国際公開第2010/068336号(米国特許出願公開第2011/0233489(A1)号明細書)、特開2016−074772号公報(米国特許出願公開第2016/0096977(A1)号明細書)、特開2016−074774号公報(米国特許出願公開第2016/0096978(A1)号明細書)に記載のケイ素含有レジスト下層膜を、本発明におけるケイ素含有レジスト中間膜として用いることが好ましい。これらの中でも、ホウ素及びリンのいずれかもしくは両方を含むものはアンモニア過水での湿式除去性に優れるため、特に好ましい。
また、本発明で適用できる有機レジスト下層膜としては、アンモニア過水に対して耐性のあるもの(即ち、アンモニア過水に難溶であるもの)が好ましい。例えば、特開2004−205685号公報(米国特許第7,427,464(B2)号明細書)、特開2010−122656号公報(米国特許出願公開第2010/0099044(A1)号明細書及び米国特許出願公開第2013/0184404(A1)号明細書)、特開2012−214720号公報(米国特許出願公開第2012/0252218(A1)号明細書)、特開2016−094612号公報(米国特許出願公開第2013/0337649(A1)号明細書)にて開示されている有機レジスト下層膜を使用することができる。
上記の有機レジスト下層膜は、スピンコート法等で有機レジスト下層膜組成物を被加工基板上にコーティングすることで形成される。スピンコート法等を用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。スピンコート後、溶媒を蒸発し、レジスト上層膜やレジスト中間膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークを行う。ベークは100℃以上、600℃以下の範囲内で行い、10〜600秒、好ましくは10〜300秒の範囲内で行う。ベーク温度は、より好ましくは200℃以上500℃以下である。デバイスダメージやウエハの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウエハプロセスでの加熱温度の上限は、600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは500℃以下である。
上記のように有機レジスト下層膜を形成する方法においては、被加工基板上に有機レジスト下層膜組成物を、スピンコート法等でコーティングし、この組成物を空気、N、Ar、He等の雰囲気中で焼成して硬化させることにより有機レジスト下層膜を形成することができる。この有機レジスト下層膜組成物を、酸素を含む雰囲気中で焼成することにより、アンモニア過水に対して耐性のある硬化膜を得ることができる。
このようにして有機レジスト下層膜を形成することにより、その優れた埋め込み/平坦化特性により、被加工基板の凹凸に係らず平坦な硬化膜を得ることができるため、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する基板上に平坦な硬化膜を形成する場合に極めて有用である。
なお、この半導体装置製造用・平坦化用の有機レジスト下層膜の厚さは適宜選定されるが、5〜500nm、特に10〜400nmとすることが好ましい。
本発明の有機膜形成用組成物をケイ素含有レジスト中間膜の直下、かつ、有機レジスト下層膜の直上に導入する有機膜の形成に適用し、イオン打込み用遮蔽マスクを形成する際、上記の有機膜及びケイ素含有レジスト中間膜を湿式除去するには、過酸化水素を含有した剥離液が好ましい。このとき、剥離を促進するため、剥離液に酸又はアルカリを加えてpH調整するとさらに好ましい。このようなpH調整剤(酸又はアルカリ)としては、塩酸や硫酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、アンモニア、エタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の窒素を含むアルカリ、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)等の窒素を含む有機酸化合物等を例示できる。特にアンモニアが好ましい。即ち、上記剥離液としてはアンモニア過水が好ましい。
剥離液としてアンモニア過水を用いる場合、アンモニアと過酸化水素と希釈用脱イオン水の比率としては、脱イオン水100質量部に対して、アンモニアは0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部であり、過酸化水素は0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
湿式除去は、0℃〜80℃、好ましくは5℃〜70℃の剥離液を用意し、これに処理したい被加工基板が形成されているシリコンウエハを浸漬するだけでよい。さらに必要であれば、表面に剥離液をスプレーしたり、ウエハを回転させながら剥離液を塗布する等、定法の手順により容易にケイ素含有レジスト中間膜、ならびに本発明の有機膜形成用組成物により形成された有機膜を除去することが可能である。
特に、本発明の有機膜形成用組成物は、基板上にスピンコートし、次いで加熱することにより、29%アンモニア水/35%過酸化水素水/水=1/1/8で混合した65℃の溶液による処理によって、5nm/分以上の溶解速度を有する有機膜を与えるものであることが好ましい。
なお、アンモニア過水の処理の後、有機レジスト下層膜の表面に残るケイ素を定量してケイ素分の除去程度を確認することが好ましい。例えば、特開2016−177262号公報(米国特許出願公開第2016/0276152(A1)号明細書)に記載されている方法により分析が可能である。
以上のように、本発明の有機膜形成用組成物であれば、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液、例えば半導体製造プロセスで一般的に使用されているSC1と呼ばれるアンモニア過水を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物となる。また、本発明の有機膜形成用組成物を有機レジスト下層膜とケイ素含有レジスト中間膜の間に適用することにより、イオン打込み用遮蔽マスク形成時に、ケイ素分がパターン上に残留していないイオン打込みマスクを形成することが可能となる。これにより、3次元トランジスタの製造工程における歩留まり低下を防止することが可能になり、より高性能の半導体装置を経済的に製造することが可能となる。
以下、合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。なお、下記例において、%は質量%を示し、分子量測定はGPCによって行った。GPC測定において、検出はRIで行い、溶離溶剤はテトラヒドロフランとして、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
[高分子化合物の合成]
[合成例(A1)]
500mlの3口フラスコにレゾルシノール40.00g(0.36mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物の20質量%PGME溶液10.00g、及び2−メトキシ−1−プロパノール72.00gを採り、攪拌しながら80℃まで加熱した。そこへ37%ホルマリン23.59g(ホルムアルデヒド0.29mol)を加え、11時間攪拌した。反応液に超純水160gと酢酸エチル200gを加えて分液ロートに移し、酸触媒と金属不純物を除去するために超純水150gで10回洗浄した。得られた有機層を76gまで減圧濃縮した後、酢酸エチルを加えて150gの溶液とし、n−ヘキサン217gを加えた。n−ヘキサン層が上層、高濃度ポリマー溶液が下層となって分離し、この上層を除いた。同様の操作を2度繰り返し、得られたポリマー溶液を濃縮、さらに80℃で13時間減圧乾燥して高分子化合物A1を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=800、Mw/Mn=1.3であった。この高分子化合物A1は、一般式(4)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A2)]
1,000mlの3口フラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン80.1g(0.50mol)、37%ホルマリン溶液26.4g(0.24mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール250gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、20%パラトルエンスルホン酸2−メトキシ−1−プロパノール溶液18gをゆっくり加え、液温110℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン500gを加え、有機層を純水200gで5回洗浄後、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF300mLを加え、ヘキサン2,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A2を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=3,000、Mw/Mn=2.7であった。この高分子化合物A2は、一般式(4)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A3)]
2,000mlの3口フラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン80.1g(0.50mol)、3,4−ジ−t−ブトキシベンズアルデヒド100.1g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A3を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2,900、Mw/Mn=2.9であった。この高分子化合物A3は、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A4)]
1,000mLのフラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン80g(0.50mol)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド36.6g(0.30mol)、及びメチルセロソルブ145gを加え、70℃で撹拌しながらp−トルエンスルホン酸の20質量%メチルセロソルブ溶液20gを添加した。温度を85℃に上げ6時間撹拌後、室温に冷却し、酢酸エチル800mLで希釈した。分液ロートに移し変え、脱イオン水200mLで洗浄を繰り返し、反応触媒と金属不純物を除去した。得られた溶液を減圧濃縮した後、残渣に酢酸エチル600mLを加え、ヘキサン2,400mLでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーをろ別、回収後、減圧乾燥して高分子化合物A4を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=3,800、Mw/Mn=2.4であった。この高分子化合物A4は、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A5)]
2,000mlの3口フラスコに2,7−ジヒドロキシナフタレン80.1g(0.50mol)、テレフタルアルデヒド酸=t−ブチル100.1g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A5を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2,900、Mw/Mn=2.9であった。この高分子化合物A5は、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A6)]
2,000mlの3口フラスコに6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸94.4g(0.50mol)、テレフタルアルデヒド酸=t−ブチル100.1g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A6を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=3,500、Mw/Mn=2.8であった。この高分子化合物A6は、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A7)]
2,000mlの3口フラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン80.1g(0.50mol)、テレフタルアルデヒド酸60.1g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A7を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2,200、Mw/Mn=2.9であった。この高分子化合物A7は、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A8)]
200mlの3口フラスコに6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸9.4g(0.05mol)、テレフタルアルデヒド酸5.3g(0.05mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール60gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液0.6gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル150gを加え、有機層を3%硝酸水溶液30gで洗浄後、さらに純水30gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF40mLを加え、ヘキサン300mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A8を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2,000、Mw/Mn=2.6であった。この高分子化合物A8は、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A9)]
2,000mlの3口フラスコにo−クレゾール54.1g(0.50mol)、3,4−ビス(t−ブトキシカルボニルメトキシ)ベンズアルデヒド140.2g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A9を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=3,200、Mw/Mn=3.0であった。この高分子化合物A9は、一般式(3)で示される繰り返し単位を有するものである。
[合成例(A10)]
2,000mlの3口フラスコに1,6−ジヒドロキシナフタレン80.1g(0.50mol)、4−t−ブトキシカルボニルメトキシベンズアルデヒド94.5g(0.40mol)、及び2−メトキシ−1−プロパノール600gを窒素雰囲気下、液温80℃で均一溶液とした後、25%水酸化ナトリウム水溶液6.4gをゆっくり加え、液温110℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、酢酸エチル1,500gを加え、有機層を3%硝酸水溶液300gで洗浄後、さらに純水300gで5回洗浄を行い減圧乾固した。残渣にTHF400mLを加え、ヘキサン3,000mLでポリマーを再沈させた。沈降したポリマーをろ過で分別し減圧乾燥して高分子化合物A10を得た。GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、Mw=2,700、Mw/Mn=2.7であった。この高分子化合物A10は、一般式(3)で示される繰り返し単位を有するものである。
[実施例及び比較例]
上記の高分子化合物A1〜A10、添加剤として架橋剤XL1〜3、熱酸発生剤AG1、界面活性剤としてFC−4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む有機溶媒を表1に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって有機膜形成用組成物(Sol.1〜22)をそれぞれ調製した。なお、Sol.1〜10、15〜16、20〜22が本発明の有機膜形成用組成物であり、Sol.11〜14、17〜19は比較用の有機膜形成用組成物である。また、調製した有機膜形成用組成物中、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒を占める量を表1に併せて示す。
Figure 2019052290
以下に、熱酸発生剤AG1、架橋剤XL1〜3を示す。
Figure 2019052290
また、表1中の有機溶媒は以下を意味する。
PGMEA:プロピレングリコ−ルメチルエーテルアセテート
Cyho:シクロヘキサノン
PGEE:プロピレングリコールエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
4M2P:4−メチル−2−ペンタノール
[溶剤耐性評価:実施例1−1〜15、比較例1−1〜7]
本発明の有機膜形成用組成物により形成される有機膜は、直上にケイ素含有レジスト中間膜がスピンコートされることから、形成される有機膜がインターミキシングが起こらない有機膜であるかを調べるために有機溶剤への耐性を評価した。上記の有機膜形成用組成物(Sol.1〜22)をそれぞれシリコン基板上に塗布し、285℃で60秒間焼成して有機膜を形成して膜厚T1を測定した。得られた有機膜上にPGMEA/PGME=30/70(質量比)をスピンコートした後、100℃で30秒間加熱処理して膜厚T2を測定した。これらの測定結果から、T1−T2で示される膜厚減を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2019052290
表2の実施例1−1〜15に示されるように、Sol.1〜10、15〜16、20〜22から形成される有機膜は十分な有機溶剤耐性を有する。従って、これらの有機膜の直上にケイ素含有レジスト中間膜をスピンコートしても、インターミキシングすることなく積層膜を形成できることが明らかとなった。
[有機レジスト下層膜上の成膜性評価:実施例2−1〜15、比較例2−1〜7]
本発明の有機膜形成用組成物により形成される有機膜は有機レジスト下層膜上に積層されることから、有機レジスト下層膜上での成膜性を確認した。シリコンウエハ上に、有機レジスト下層膜として信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−102を塗布し、膜厚200nmの有機レジスト下層膜を形成した。この上に有機膜形成用組成物(Sol.1〜22)を塗布し、285℃で60秒間焼成して有機膜を形成し、有機膜の成膜状態を確認した。結果を表3に示す。
Figure 2019052290
表3の実施例2−1〜15に示される通り、Sol.1〜10、15〜16、20〜22はスピンコートによって有機レジスト下層膜上に成膜不良なく膜形成することができた。一方で、比較例2−1〜7に示されるように、アルコール系有機溶媒を70wt%以上含むSol.11〜14、17〜19は有機レジスト下層膜上ではじきを生じ、膜を積層することができなかった。
[有機膜のアンモニア過水による湿式除去性:実施例3−1〜12]
上記の有機膜形成用組成物(Sol.1〜10、15〜16)をそれぞれシリコン基板上に塗布し、285℃で60秒間焼成して25nmになるように有機膜を形成して膜厚T1を測定した。この膜を29%アンモニア水/35%過酸化水素水/水=1/1/8で混合し65℃に保ったアンモニア過水中に5分間浸漬し、純水で洗浄した後に100℃で60秒間加熱乾燥させ、膜厚T3を測定した。また、このときの膜除去速度を求めた。これらの結果を表4に示す。
Figure 2019052290
表4に示される通り、Sol.1〜10、15〜16から形成される有機膜は、アンモニア過水にて5nm/分以上の速度で除去可能であることが分かった。
[有機レジスト下層膜アッシング後の残渣評価:実施例4−1〜15、比較例4−1]
シリコンウエハ上に、有機レジスト下層膜として信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−102を膜厚200nmで形成した。その上に本発明の有機膜形成用組成物(Sol.1〜10、15〜16、20〜22)をそれぞれ塗布し、285℃で60秒間加熱して有機膜を積層した。一方、比較例4−1では、有機膜を導入しなかった。
次に、下記の表5に示すケイ素含有レジスト中間膜形成用組成物(SiARC−1)を塗布し、220℃で60秒間加熱して膜厚35nmのケイ素含有レジスト中間膜を積層した。その上に下記の表6に示すポジ型現像用ArFレジスト溶液(PR−1)を塗布し、110℃で60秒間加熱して膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。さらに、このフォトレジスト膜上に下記の表7に示す液浸保護膜組成物(TC−1)を塗布し、90℃で60秒間加熱して膜厚50nmの保護膜を形成した。
続いて、これらのウエハをArF液浸露光装置((株)ニコン製NSR−S610C、NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、160nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。このようにして得られたウエハに対し、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4800)でパターンの断面形状を、また、(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)でパターンの倒れを観察した。
フォトレジストパターンが得られたこれらのウエハに対し、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いて、表8、表9に示す処理条件でドライエッチングを行い、それぞれケイ素含有レジスト中間膜と有機レジスト下層膜を加工した。また、得られたウエハにおいて、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)でパターンの断面形状を観察した。
次に、有機レジスト下層膜加工後に残存したケイ素含有レジスト中間膜を湿式除去するため、上記ウエハを29%アンモニア水/35%過酸化水素水/水=1/1/8で混合して65℃に保ったアンモニア過水で5分間処理した。処理後に純水で洗浄し、100℃で60秒間加熱乾燥させた。また、アンモニア過水処理でケイ素分を除去できているか確認するため、有機レジスト下層膜表面をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のK−ALPHAでXPS分析し、有機レジスト下層膜上のケイ素を定量した。
以上の工程で得られた有機レジスト下層膜パターンを、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いて表10に示す処理条件で処理し、残存した有機レジスト下層膜をアッシング除去した。アッシング処理後のウエハを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で観察し、残渣の有無を確認した。結果を表11に示す。
上記のケイ素含有レジスト中間膜形成用組成物(SiARC−1)の組成を以下の表5に示す。
Figure 2019052290
TPSNO:硝酸トリフェニルスルホニウム
表5に示されるSiARCポリマー1の分子量、及び構造式を以下に示す。
SiARCポリマー1:分子量(Mw)=2,800
Figure 2019052290
表5に示されるSiARCポリマー2の分子量、及び構造式を以下に示す。
SiARCポリマー2:分子量(Mw)=2,800
Figure 2019052290
上記のポジ型現像用ArFレジスト溶液(PR−1)の組成を以下の表6に示す。
Figure 2019052290
表6に示されるArFレジストポリマー1の分子量、分散度、及び構造式を以下に示す。
ArFレジストポリマー1:分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
Figure 2019052290
表6に示される酸発生剤:PAG1の構造式を以下に示す。
Figure 2019052290
表6に示される塩基:Quencherの構造式を以下に示す。
Figure 2019052290
上記のポジ型現像によるパターニング試験に用いる液浸保護膜組成物(TC−1)の組成を以下の表7に示す。
Figure 2019052290
上記の表7に示される保護膜ポリマーの分子量、分散度、及び構造式を以下に示す。
保護膜ポリマー:分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
Figure 2019052290
ケイ素含有レジスト中間膜のドライエッチング加工条件を、以下の表8に示す。
Figure 2019052290
有機レジスト下層膜のドライエッチング加工条件を、以下の表9に示す。
Figure 2019052290
有機レジスト下層膜のアッシング除去条件を、以下の表10に示す。
Figure 2019052290
上記の有機レジスト下層膜アッシング後の残渣評価において得られた、フォトレジストパターンの断面形状及びパターンの倒れの観察結果、ドライエッチング加工後のパターン断面形状の観察結果、アンモニア過水処理後の有機レジスト下層膜表面のケイ素残量、そして有機レジスト下層膜パターンをアッシングした後の残渣の有無について、以下の表11に示す。
Figure 2019052290
表11に示される通り、アンモニア過水で除去可能なSol.1〜10、15〜16から形成される有機膜を導入すると、アンモニア過水処理後に有機レジスト下層膜上にケイ素が残らず、有機レジスト下層膜パターンをアッシングした後に残渣が発生しなくなった。また、実施例4−13〜15、比較例4−1にて有機膜の膜厚の影響を確認したところ、実施例4−13に示されるように、有機膜が薄い場合には、アンモニア過水処理後の有機レジスト下層膜表面にケイ素分残渣は見られず、有機レジスト下層膜パターンをアッシングした後に残渣は発生しなかった。また、実施例4−15に示されるように、膜が厚い場合には、ドライエッチング加工時に有機膜部分にサイドエッチングが入ったものの、有機レジスト下層膜パターンをアッシングした後に残渣は発生しなかった。一方で、比較例4−1が示す通り、有機膜が無い場合にはケイ素分残渣の除去効果が得られず、有機レジスト下層膜パターンをアッシングした後に残渣が発生した。
以上より、本発明の有機膜形成用組成物であれば、半導体装置基板やパターニング工程で必要な有機レジスト下層膜に対してダメージを与えない剥離液を用い、ドライエッチングで変性したケイ素分残渣と共に容易に湿式除去可能な有機膜を形成できる有機膜形成用組成物となり、3次元トランジスタ形成時のイオン打込み遮蔽マスク用材料として適用することが可能なものとなることが明らかとなった。特に有機膜を10nm以上100nm未満の膜厚で導入することにより、残渣の発生しない加工プロセスをより確実に構築することができることが明らかとなった。これにより、3次元トランジスタの製造工程における歩留まり低下を防止することが可能になり、より高性能の半導体装置を経済的に製造することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (6)

  1. 有機膜形成用組成物であって、
    該有機膜形成用組成物が、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と有機溶媒とを含み、該有機溶媒において、プロピレングリコールエステル、ケトン、及びラクトンから選ばれる1種以上の合計が全有機溶媒中の30wt%を超える量を占めるものであることを特徴とする有機膜形成用組成物。
    Figure 2019052290
    (式中、Rは炭素数1〜19の炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、メトキシカルボニル基、ヒドロキシフェニル基、又はアミノ基であり、Rは水素原子又はALである。ALは加熱又は酸の作用により酸性の官能基を生じる基である。Rは水素原子、フラニル基、又は塩素原子もしくはニトロ基を有していてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。k、k、及びkは1〜2であり、lは1〜3であり、mは0〜3であり、nは0又は1である。)
  2. 前記有機膜形成用組成物が、アンモニア過水に可溶であるケイ素含有レジスト中間膜の直下、かつ、アンモニア過水に難溶である有機レジスト下層膜の直上に導入する有機膜を形成するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の有機膜形成用組成物。
  3. 前記ケイ素含有レジスト中間膜が、ホウ素及びリンのいずれかもしくは両方を含むものであることを特徴とする請求項2に記載の有機膜形成用組成物。
  4. 前記有機膜形成用組成物が、さらに、熱酸発生剤及び架橋剤のいずれかもしくは両方を含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物。
  5. 前記有機膜形成用組成物が、基板上にスピンコートし、次いで加熱することにより、29%アンモニア水/35%過酸化水素水/水=1/1/8で混合した65℃の溶液による処理によって、5nm/分以上の溶解速度を有する有機膜を与えるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物。
  6. 前記有機膜形成用組成物が、膜厚が10nm以上100nm未満である有機膜を与えるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機膜形成用組成物。
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