JP2019052152A - トレプロスチニルの塩 - Google Patents

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JP2019052152A JP2018201068A JP2018201068A JP2019052152A JP 2019052152 A JP2019052152 A JP 2019052152A JP 2018201068 A JP2018201068 A JP 2018201068A JP 2018201068 A JP2018201068 A JP 2018201068A JP 2019052152 A JP2019052152 A JP 2019052152A
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シャーマ,ビジェイ
Sharma Vijay
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Sanmin Yang
ジャン,イー
Yi Zhang
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Abstract

【課題】新規なトレプロスチニル塩の作製方法の提供。【解決手段】以下の式で示されるトレプロスチニル塩の合成方法であって、上記化合物は、式の出発化合物をアルキル化して得られた化合物を、インサイチュで塩基または塩基塩と接触させる工程を含むプロセスによって生成される。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)条に基づいて、2013年3月15日に出願さ
れた米国仮出願第61/791,015号の利益を主張し、参照によりその内容全体が本
開示に組み込まれる。
Remodulin(登録商標)、Tyvaso(登録商標)、およびOrenitr
am(商標)の有効成分、トレプロスチニルは、米国特許第4,306,075号におい
て最初に記載された。トレプロスチニル、および他のプロスタサイクリン誘導体は、Mori
arty, et al in J. Org. Chem. 2004, 69, 1890-1902, Drug of the Future, 2001, 26(4
), 364-374、米国特許第6,441,245号、同6,528,688号、同6,700
,025号、同6,809,223号、同6,756,117号;同8,461,393
号;同8,481,782号;同8,242,305号;同8,497,393号;米国
特許出願第2012−0190888号および同2012−0197041号;PCT公
報WO2012/009816号に記載されているようにして製造が可能である。
トレプロスチニルのさまざまな用途および/またはさまざまな形態が、例えば、米国特
許第5,153,222号;同第5,234,953号;同第6,521,212号;同
第6,756,033号;同第6,803,386号;同第7,199,157号;同第
6,054,486号;同第7,417,070号;同第7,384,978号;同第7
,879,909号;同第8,563,614号;同第8,252,839号;同第8,
536,363号;同第8,410,169号;同第8,232,316号;同第8,6
09,728号;同第8,350,079号;同第8,349,892号;同7,999
,007号;同第8,658,694号;同第8,653,137号;米国特許出願公開
第2005/0165111号;同第2009/0036465号;同第2008/02
00449号;同第2010−0076083号;同第2012−0216801号;同
第2008/0280986号;同第2009−0124697号;同第2013−02
61187号;PCT国際公開第00/57701号;2013年3月14日に出願され
た米国仮出願第61/781,303号および2013年3月25日に出願された同第6
1/805,048号に開示されている。本発明の実施形態をどのように実行するかを示
すための前述の参考文献の教示は参照により組み込まれる。
前述の参考文献の教示は参照により組み込まれ、本発明の実施形態をどのように実行す
るかを示している。しかしながら、これらの文書に記載されている方法は、過剰量の試薬
および長時間かかるクロマトグラフィー精製技術の使用を必要とするため、該方法はトレ
プロスチニルの塩を生成する実現可能な生成方法を記載していない。したがって、トレプ
ロスチニルの塩を調製する、経済的で効率が良く単純化された方法に対する必要が存在す
る。
要するに、トレプロスチニルは、医薬の観点から非常に重要である。したがって、例え
ば保管、輸送、操作、および/または製剤化において利点を有するトレプロスチニルの安
定な形態が求められている。合成の観点から、UT−15塩の所望の特性は、以下の特性
、より良好な水溶解度、より高い融点、稠密性、および安定な経過の1つまたは複数を含
みうる。
本発明の特定の実施形態は、トレプロスチニルのさまざまな塩の調製方法に関する。
一実施形態は、以下の式:

で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、該化合物は、式:

の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
、次に任意の塩基加水分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基
塩と接触させる工程を含むプロセスによって生成され、式中、Xは薬学的に許容される塩
の対イオンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも98%の純度で単離される、化合物
を提供する。一実施形態において、トレプロスチニル塩はIA族またはIIA族金属を含
む。別の実施形態において、トレプロスチニル塩はK、Ca、Na、Ba、Li、Mg、
またはCsを含む。さらに別の実施形態において、単離されたトレプロスチニル塩は、少
なくとも98.5%の純度、少なくとも98.8%の純度、少なくとも99%の純度、少
なくとも99.1%の純度、少なくとも99.2%の純度、少なくとも99.3%の純度
、少なくとも99.4%の純度、少なくとも99.5%の純度、少なくとも99.6%の
純度、少なくとも99.7%の純度、少なくとも99.8%の純度、または少なくとも9
9.9%の純度である。
一実施形態は、以下の式:

で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、式中、Xは薬学的に許容される塩の対イ
オンであり、トレプロスチニル塩は好ましくは結晶形態で単離される、化合物を提供する
。単離された塩は少なくとも99%の純度であることが好ましい。一実施形態において、
トレプロスチニル塩はIA族またはIIA族金属を含む。別の実施形態において、トレプ
ロスチニル塩はK、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsを含む。さらに別の実施
形態において、単離されたトレプロスチニル塩は、少なくとも99.1%の純度、少なく
とも99.2%の純度、少なくとも99.3%の純度、少なくとも99.4%の純度、少
なくとも99.5%の純度、少なくとも99.6%の純度、少なくとも99.7%の純度
、少なくとも99.8%の純度、または少なくとも99.9%の純度もしくは少なくとも
99.95%の純度である。
一実施形態は、以下の式:

で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、該化合物は、式:

の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
、次に水素化分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基塩と接触
させる工程を含むプロセスよって生成してもよく、式中、Xは薬学的に許容される塩の対
イオンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも98%の純度で単離される、化合物を提
供する。一実施形態において、トレプロスチニル塩はIA族またはIIA族金属を含む。
別の実施形態において、トレプロスチニル塩はK、Ca、Na、Ba、Li、Mg、また
はCsを含む。さらに別の実施形態において、単離されたトレプロスチニル塩は、少なく
とも98.5%の純度、少なくとも98.8%の純度、少なくとも99%の純度、少なく
とも99.1%の純度、少なくとも99.2%の純度、少なくとも99.3%の純度、少
なくとも99.4%の純度、少なくとも99.5%の純度、少なくとも99.6%の純度
、少なくとも99.7%の純度、少なくとも99.8%の純度、または少なくとも99.
9%の純度である。
別の実施形態は、以下の式:

で示されるトレプロスチニル塩化合物を作製する方法であって、式:

の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
、次に任意の塩基加水分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基
塩と接触させる工程を含み、式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、トレプ
ロスチニル塩は少なくとも98%の純度で単離される、方法を提供する。一実施形態にお
いて、トレプロスチニル塩はIA族またはIIA族金属を含む。別の実施形態において、
トレプロスチニル塩はK、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsを含む。さらに別
の実施形態において、単離されたトレプロスチニル塩は、少なくとも98.5%の純度、
少なくとも98.8%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.1%の純度、
少なくとも99.2%の純度、少なくとも99.3%の純度、少なくとも99.4%の純
度、少なくとも99.5%の純度、少なくとも99.6%の純度、少なくとも99.7%
の純度、少なくとも99.8%の純度、または少なくとも99.9%の純度である。
さらに別の実施形態は、以下の式

で示されるトレプロスチニル塩化合物を作製する方法であって、式:

の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
、次に水素化分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基塩と接触
させる工程を含み、式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、トレプロスチニ
ル塩は少なくとも98%の純度で単離される、方法を提供する。一実施形態において、ト
レプロスチニル塩はIA族またはIIA族金属を含む。別の実施形態において、トレプロ
スチニル塩はK、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsを含む。さらに別の実施形
態において、単離されたトレプロスチニル塩は、少なくとも98.5%の純度、少なくと
も98.8%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.1%の純度、少なくと
も99.2%の純度、少なくとも99.3%の純度、少なくとも99.4%の純度、少な
くとも99.5%の純度、少なくとも99.6%の純度、少なくとも99.7%の純度、
少なくとも99.8%の純度、または少なくとも99.9%の純度である。
結果的にトレプロスチニル塩をもたらす例示的な合成経路の実施形態を示す図である。図1において、各R1とR2は、H、TBDMS、THP、置換もしくは非置換のベンジル基等の、Hまたはアルコ−ル保護基からそれぞれ別々に選択されうる。例示的なアルコ−ル保護基として、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p−メトキシエトキシメチルエーテル、メトキシメチルエーテル、ジメトキシトリチル、p−メトキシベンジルエーテル、トリチル、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル(TOM)、またはトリイソプロピルシリル(TIPS)のエーテル)、テトラヒドロピラニル(THP)、メチルエーテル、およびエトキシエチルエーテル(EE)が挙げられるが、これらに限定されない。 収率とアセトン/エタノール比との関係を表すグラフである。 収率と酢酸エチル/エタノール比との関係を表すグラフである。
特に明記しない限り、不定冠詞「a」または「an」は「1つまたは複数の」を意味す
る。本発明はトレプロスチニルの新規な一水和物形態に関する。トレプロスチニルは、R
emodulin(登録商標)の有効成分であり、RemodulinはNYHAクラス
II、IIIおよびIVの症状を有する患者の肺動脈高血圧症(PAH)の治療用として
、米国FDAにより認可されており、皮下または静脈内投与を用いて、運動と関連性のあ
る症状を低減する。トレプロスチニルはまた、Tyvaso(登録商標)吸入液、および
Orenitram(商標)持続放出性錠剤の有効成分でもある。
トレプロスチニルの化学名は、以下の構造の2−((1R,2R,3aS,9aS)−
2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−2,3,3a,4,9,9
a−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)酢酸である
トレプロスチニル(UT−15)は、カルボン酸官能基を有するベンゾインデンプロス
タサイクリンであり、さまざまな塩基および塩基塩が酸官能基と反応して、図1に示すト
レプロスチニルの新しい塩を形成することができる。いくつかの実施形態において、アル
カリ金属水酸化物等の水酸化物塩基は、トレプロスチニルまたは合成のトレプロスチニル
中間体と反応して、トレプロスチニルの塩を形成することができる。水酸化物塩基は、例
えば、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水
酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、および水酸化マグネシウム等の無機塩
基であってもよい。結果として生じる塩は、例えば、カリウム、カルシウム、ナトリウム
、バリウム、リチウム、マグネシウム、またはセシウムの塩であってもよい。さらにいく
つかの実施形態において、炭酸塩等の塩基塩は、トレプロスチニルまたは合成のトレプロ
スチニル中間体と反応して、トレプロスチニルの塩を形成することができる。炭酸塩は例
えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、
炭酸アンモニウムであってもよい。
本明細書で実施されるプロセスによって、例えば、アミン基等の塩基性基を有する化合
物を含む追加の塩を使用することができ、塩基性塩としてはアンモニウム塩、アルカリ金
属塩(ナトリウム、カリウム、およびセシウムの塩等)ならびにアルカリ土類金属塩(マ
グネシウム、カルシウム、およびバリウムの塩等)が挙げられる。
一実施形態は、以下のいずれかの方法によるトレプロスチニルの新しい形態の塩の合成
を含む。いくつかの実施形態において、塩の合成は式(1)の化合物から出発する2工程
プロセスであってもよく、

式中、各R1とR2は、H、TBDMS、THP、置換もしくは非置換のベンジル基等の
、Hまたはアルコ−ル保護基からそれぞれ別々に選択されうる。本明細書で用いられるよ
うに「アルコ−ル保護基」とは、分子の他の部分で起こっている反応にアルコール基が関
与することを防ぐ官能基である。適切なアルコ−ル保護基は、当分野の技術者に周知であ
り、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc.
1981に見出されるアルコ−ル保護基を含み、参照によりその全教示が本明細書に組み込
まれる。例示的なアルコ−ル保護基として、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p−メト
キシエトキシメチルエーテル、メトキシメチルエーテル、ジメトキシトリチル、p−メト
キシベンジルエーテル、トリチル、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS
)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert−ブチルジメチルシリル
オキシメチル(TOM)、またはトリイソプロピルシリル(TIPS)のエーテル)、テ
トラヒドロピラニル(THP)、メチルエーテル、およびエトキシエチルエーテル(EE
)が挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、出発物質はベンゾ
インデントリオール、すなわちRとRが両方ともHである式(1)の化合物でありう
る。
第1工程は、ベンゾインデントリオールのような式(1)の化合物を、アルキル化試薬
を用いてアルキル化することでありうる。いくつかの実施形態において、アルキル化試薬
は式、

を有していてもよく、式中、XはCl、Br、またはI等のハロゲンであってもよく、R
はCNまたはCOOR’であってもよく、ここでR’はアルキル基または置換もしくは非
置換のベンジルであってもよい。アルキル基は飽和の直鎖または分岐の脂肪族基であって
もよい。例えば、アルキル基は(C1〜C6)アルキル、(C1〜C5)アルキル、(C
1〜C4)アルキル、または(C1〜C3)アルキルであってもよい。アルキル基の例と
して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ-アミル、およびヘキシルが挙げられる。
アルキル基はアルキル、シクロアルキル(例えば、シクロペンチルもしくはシクロヘキシ
ル)、アリール(例えば、フェニル)、またはヘテロアリール基で任意に置換される。置
換ベンジル基は、1つまたは複数のメタ、オルト、またはパラ位で、−NO、−CN、
ハロゲン(例えば、−F、−Cl、−Br、もしくは−I)、(C1〜C3)アルキル、
ハロ(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシおよびハロ(C1〜C3)アル
コキシからなる群からそれぞれ別々に選択されうる、1つまたは複数の置換基により任意
に置換されうる。特定の実施形態において、置換ベンジル基はパラ−メトキシベンジル、
またはパラ−ニトロベンジル(para-nitobenzyl)であってもよい。
アルキル化工程の結果として、以下の式(2):

の化合物が形成されうる。
いくつかの実施形態において、アルキル化工程は、例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム
、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、水酸化リチウム
、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
ルシウムでありうる塩基または塩基塩の存在下で実施されうる。
いくつかの実施形態において、アルキル化工程の溶媒は、アセトン、ブタノン、テトラ
ヒドロフラン、第三級ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、またはそれらの組合せ等の極
性非プロトン溶媒であってもよい。
いくつかの実施形態において、アルキル化工程は触媒なしで実施されうる。さらにいく
つかの他の実施形態において、アルキル化工程は、例えば、臭化テトラブチルアンモニウ
ム、ヨウ化カリウム、またはヨウ化ナトリウムでありうる、アルキル化触媒の存在下で実
施されうる。
いくつかの実施形態において、第2工程は、式2の化合物等のアルキル化工程の生成物
の加水分解であってもよい。特定の実施形態において、加水分解の後に加水分解生成物を
適切な溶媒から単離および/または結晶化することができる。加水分解生成物はトレプロ
スチニル塩、

または遊離酸としてのトレプロスチニルであってもよい。加水分解は式2の化合物等のア
ルキル化工程の生成物を、1つまたは複数の水酸化物または炭酸塩等の塩基性塩を含みう
る溶液と反応させることにより実施できる。水酸化物は例えば、アンモニア水酸化物、ま
たは金属水酸化物であってもよい。金属水酸化物は例えば、IA族またはIIA族の水酸
化物溶液であってもよい。特定の実施形態において、金属水酸化物はK、Ca、Mg、B
a、Cs、Li、またはNaの水酸化物であってもよい。いくつかの実施形態において、
塩基性塩は例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸
カルシウム、または炭酸アンモニウム等の炭酸塩であってもよい。
場合によっては、加水分解用の溶媒ならびに単離および/または結晶化工程用の溶媒は
同一であってもよいが、他の場合においては、該溶媒は異なってもよい。そのような溶媒
(複数可)は、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、酢酸エチ
ル、ヘキサン、ヘプタン、酢酸イソプロピル、またはそれらの組合せから選択される有機
溶媒であってもよい。
いくつかの実施形態において、R’が置換または非置換ベンジル基である場合、第2工
程は式2の化合物等のアルキル化生成物の水素添加分解(hydrogenalyzation)であって
もよい。アルキル化生成物の水素添加分解は、水素の存在下で、炭素担持Pd触媒等の水
素化触媒を炭素に用いて実施されうる。水素添加分解は、エタノール、メタノール、また
はイソプロピルアルコール等のアルコール溶媒中で実施されうる。水素添加分解の結果、
ベンジル基を開裂させてもよく、それにより遊離酸としてトレプロスチニルを含む「未精
製の」混合物が形成される。いくつかの実施形態において、「未精製の」混合物を濾過し
て蒸発させ、固体のトレプロスチニルを形成させてもよい。さらにいくつかの実施形態に
おいて、未精製の混合物を、水酸化物等の塩基または炭酸塩等の塩基塩で処理し、トレプ
ロスチニル塩を形成させてもよく、トレプロスチニル塩を単離および/または結晶化させ
てもよい。
いくつかの実施形態において、遊離酸としてのトレプロスチニルが中間体として単離さ
れる場合、次に中間体が上述したもの等の1つまたは複数の水酸化物または炭酸塩であり
うる適切な塩基または塩基塩を用いて、トレプロスチニルの塩の形態に転換されうる。一
実施形態において、トレプロスチニルはインサイチュで形成され、塩基または塩基塩と接
触し、トレプロスチニルの新しい塩を形成することができる。一実施形態において、トレ
プロスチニルは塩基または塩基塩と接触して、トレプロスチニルの新しい塩を形成する。
いくつかの実施形態において、合成プロセスは、遊離酸としてのトレプロスチニルおよ
びトレプロスチニル塩のいずれかまたは両方のための複数すなわち2つ以上の段階を通過
することを含みうる。例えば、加水分解または水素化分解の結果、遊離酸としてのトレプ
ロスチニルを形成することができ、遊離酸としてのトレプロスチニルは塩に転換すること
ができ、次にトレプロスチニル塩を遊離酸としてのトレプロスチニルに転換して戻しても
よく、それにより初期のトレプロスチニルより高純度になる場合もある。また、形成され
たトレプロスチニル塩は遊離酸としてのトレプロスチニルに転換することができ、遊離酸
としてのトレプロスチニルは新しい塩に転換することができ、新しい塩は最初の塩と同一
または異なりうる。トレプロスチニルまたはトレプロスチニル塩は、各段階中で、次の転
換の前に単離および/または結晶化されてもよく、またはされなくてもよい。
図1は、トレプロスチニル塩合成を含む特定の実施形態を例示する。塩の合成は、ベン
ゾインデントリオールから出発する2つまたは3つの工程プロセスであり、1)第1工程
は、図1に示すさまざまなアルキル化試薬を用いたベンゾインデントリオール(1)のO
−アルキル化であり、2)第2工程は、アルカリ金属塩基を用いることによる、ニトリル
中間体(6)またはエステル中間体(7)、(8)、および(9)の任意の加水分解であ
り、次に、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、
ヘキサン、ヘプタン、酢酸イソプロピル、またはそれらの組合せの1つ等の適切な溶媒か
ら、塩を単離および結晶化することである。場合によっては、反応工程用と再結晶工程用
の両溶媒系が同一であるが、別の場合においては、両溶媒系は異なってもよい。3)遊離
酸としてのトレプロスチニルが中間体として単離される場合、次に、図1に示した適切な
塩基を用いて、中間体をその塩の形態に転換して戻す。一実施形態において、トレプロス
チニルはインサイチュで形成され、塩基塩と接触させ、トレプロスチニルの新しい塩を形
成する。一実施形態において、トレプロスチニルを塩基塩と接触させ、トレプロスチニル
の新しい塩を形成する。
本明細書で具体化される方法により、精製を低減または単純化したトレプロスチニルま
たはトレプロスチニル塩の形成が可能となる。一実施形態において、トレプロスチニル塩
は、いかなる中間体の精製および/または遊離酸としてのトレプロスチニルの単離も伴う
ことなく、ベンゾインデントリオール等の式1の化合物から形成されうる。一実施形態に
おいて、遊離酸としてのトレプロスチニル、および少なくとも1つの不純物を含む組成物
を、塩基塩と接触させトレプロスチニルの新しい塩を形成して、実質的に純粋な、トレプ
ロスチニルの新しい塩を形成する。いくつかの実施形態において、トレプロスチニルの新
しい塩は、およそ99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99
.6、99.7、99.8、99.9、または99.95パーセントの純度で単離される
本発明の塩は、先行技術の方法により生成されたトレプロスチニル物質と異なる不純物
プロファイルを有しうる。例えば、本発明の塩は、トレプロスチニル(UT−15)の立
体異性体である1AU90、2AU90、および3AU90のいずれか;トリオール(プ
ロセス不純物または劣化生成物であってもよい);それぞれメチルエステルおよびエチル
エステル(プロセス不純物);ならびに750W93および751W93(トレプロスチ
ニルの2つのダイマーで、1つの分子の酸基がUT−15の別の分子のアルコールとエス
テル化している)等のより低濃度の1つまたは複数のトレプロスチニル不純物を有しうる
。いくつかの実施形態において、トレプロスチニルの新しい塩は、1つまたは複数の列記
した不純物を検出可能な量で含まない。
いくつかの実施形態において、該方法により、中間体の精製工程なしに、トリオール(
1)から実質的に純粋なトレプロスチニルの塩を生成することが可能となる。トリオール
(1)からの塩の収率は、70%超、または75%超、または80%超、または85%超
、または90%超でありうる。
経路1、経路2、または経路3):トリオール(1)は、

等のさまざまなアルキル化試薬(ハロアセトニトリル(2)、ブロモ酢酸メチル(3)、
ブロモ酢酸エチル(4)、およびブロモ酢酸ベンジル(5)等であってもよい)を用いて
、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化リチウム等の塩基または塩基塩の存在下で、アル
キル化されてもよい。トリオール(1)のフェノール性水酸基のO−アルキル化は、例え
ば、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、第三級ブチルメチルエーテル、酢酸エチ
ル等の溶媒中で、1〜3当量の塩基または塩基塩の存在下で、1〜1.2当量のアルキル
化剤を用いて実行されうる。このO−アルキル化は、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨ
ウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等の触媒を用いてまたは用いないで実行されうる。ハロ
アセトニトリル(2)を用いたアルキル化により、ニトリル中間体(6)を提供すること
ができ、さらにいかなるクロマトグラフィー精製もすることなく、加水分解(工程6→1
0)に進行しうる。同様に、トリオール(1)のO−アルキル化は、ブロモ酢酸メチル(
3)、ブロモ酢酸エチル(4)、およびブロモ酢酸ベンジル(5)等の酢酸塩を用いて、
そこでトレプロスチニルのほぼ最後の中間体(7、8、および9)の形態でエステルを提
供することにより実施されうる。これらのエステル中間体(7、8、および9)は、さら
にいかなるクロマトグラフィー精製もすることなく、加水分解に進行する。ベンジル基を
有するエステル中間体9は、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコール等
のアルコール溶媒中で、水素の存在下でパラジウム触媒を炭素に用いて水素化分解されう
る。全プロセスは、水素化状態(工程6→10)中に、ベンジル基を開裂させることがで
きた後に、遊離酸の形態にあるトレプロスチニル(UT−15)を含有する反応混合物の
アルコール溶液を濾過して蒸発させ、トレプロスチニル(UT−15)を得るか、または
水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウ
ム、水酸化リチウム等の塩基または塩基塩の0.5から1当量でこれを処理するという事
実により単純化されうる。この工程短縮により、以下のフローチャート図に示すプロセス
に至ることができる。
経路1、2、および3において、中間体6、7、8、および9は、プロセス中の加水分
解およびその単離中に用いられた塩基に応じて、トレプロスチニルまたはその塩形態(1
0)を後に提供することができる。上述の経路は、以下のように概略的に示されうる。
経路1:
実験的工程は、以下:1)トリオールをO−アルキル化し、ニトリル中間体を精製せず
にそのまま次の加水分解工程に進める工程、
2)エステル中間体を加水分解し、塩の形態として単離する工程、
3)結晶化して純粋な塩形態を得る工程
を含みうる。
経路2:
実験的工程は、以下:1)トリオールをO−アルキル化し、エステル中間体を精製せず
にそのまま次の加水分解工程に進める工程を含みうる。エステル中間体「R」は必ずしも
MeおよびEtに限定されず、むしろ当技術分野で公知の任意の適切なエステルを用いる
ことができる。例えば、RはC〜C12アルキル、またはC〜Cアルキルであって
もよい。Rは塩基加水分解工程の条件に適合する1つまたは複数の有機部分により任意に
置換されうる。
2)エステル中間体を加水分解し、塩の形態として単離する工程。
3)結晶化して純粋な塩形態を得る工程。
経路3:
実験的工程:1)トリオールをO−アルキル化し、精製せずにエステル中間体そのもの
を水素化分解のため次の工程に進める。
2)エステル中間体を水素化分解し、酸の、メタノールまたはエタノール溶液等のアル
コール溶液を、塩基を用いた処理を行い塩を形成する。または、エステルを塩基で加水分
解し、トレプロスチニルの塩形態を得ることができる。ベンジルエーテルは、置換ベンジ
ルであってもよい。あるいは、ベンジルは代わりに置換アリール基であってもよい。
3)結晶化して純粋な塩形態を得る。
一実施形態において、UT−15の塩は以下の改善された特性の少なくとも1つを実証
する:改善された溶解度、所望の生物活性、化学的に安定した固体形態、および固体投与
製剤中で安定した固体形態。
本出願はまた、トレプロスチニルのカリウム塩、トレプロスチニルのL-アルギニン塩
、トレプロスチニルのL-リジン塩、トレプロスチニルのN-メチルグルカミン塩、トレプ
ロスチニルのコリン塩、トレプロスチニルのマグネシウム塩、トレプロスチニルのアンモ
ニウム塩、トレプロスチニルのカルシウム塩、およびトレプロスチニルのトロメタミン塩
を含む多数の新規なトレプロスチニル塩を提供する。いくつかの実施形態において、トレ
プロスチニルの塩は結晶性固体形態であってもよい。さらにいくつかの実施形態において
、トレプロスチニルの塩は非晶質固体形態であってもよい。さらにいくつかの実施形態に
おいて、トレプロスチニルの塩は、少なくとも1つの結晶性固体形態と非晶質固体形態と
の混合物であってもよい。固体形態の塩の純度は、少なくとも98.0%、少なくとも9
8.5%、少なくとも98.8%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくと
も99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、
少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくと
も99.9%もしくは少なくとも99.95%でありうる。新規な塩は、少なくとも20
gまたは少なくとも30gまたは少なくとも40gまたは少なくとも50gまたは少なく
とも60gまたは少なくとも70gまたは少なくとも80gまたは少なくとも90gまた
は少なくとも100gまたは少なくとも110gまたは少なくとも120gまたは少なく
とも130gまたは少なくとも140gまたは少なくとも150gまたは少なくとも16
0gまたは少なくとも170gまたは少なくとも180gまたは少なくとも190gまた
は少なくとも200g等、大量に生成されうる。
本出願で開示される1つまたは複数の塩は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形
剤または添加剤と共に、医薬製剤の調製に用いられうる。適切な添加剤または賦形剤とし
て、スクロース、ラクトース、セルロース、糖、マンニトール、マルチトール、デキスト
ラン、ソルビトール、デンプン、寒天、アルギン酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、ト
ラガカントガム、アラビアガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成も
しくは半合成のポリマーまたはグリセリド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ル−セルロースおよび/またはポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定され
ない。いくつかの実施形態において、適切な溶媒に溶解されて、1つまたは複数の塩は、
皮下、静脈内、経口または吸入経路で投与されるトレプロスチニル製剤の調製に用いられ
うる。
いくつかの実施形態において、固体形態である1つまたは複数の本発明の塩はまた、経
口投与用に、粉剤、粒剤、錠剤、小丸剤、丸剤、カプセル剤、ジェルキャップ、およびカ
プレット等の固形経口剤形を調製するためにも用いられうる。任意に、経口剤形は投与を
助けるために、不活性希釈剤、またはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、またはパラ
ベンもしくはソルビン酸等の保存剤、またはアスコルビン酸、トコフェロールもしくはシ
ステイン等の抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味料、着香剤、または芳香
剤等の、1つまたは複数の他の原料を含有してもよい。さらに、識別用に1つまたは複数
の染料または色素を添加してもよい。錠剤は、当技術分野で公知の適切なコーティング物
質でさらに処理されてもよい。
実施例
本発明は以下の実施例によりさらに例示されるが、決してそれらに限定されない。
UT−15D−カリウム塩の調製

トレプロスチニル(UT−15)を水酸化カリウムのエタノール溶液、次に2つの異なる
溶媒、アセトンまたは酢酸エチルに添加することにより、トレプロスチニルのカリウム塩
を、作製した。実験は各溶媒系(エタノール/アセトンおよびエタノール/酢酸エチル)
内で、異なる比率で実行され、目的化合物を作製する最良の条件を見出した。結果は、エ
タノール/酢酸エチルがエタノール/アセトンより、比較的より良好な溶媒系であること
を示した。表1および2に示すように、アセトンまたは酢酸エチルの体積が増加した場合
、UT−15カリウム塩の収率もまた、収率がピークの約80%に到達するまで、それに
応じて増加した。全般に、エタノール/酢酸エチルの比1/10における反応条件が、溶
媒の沸点、体積、および生成物の収率(約80%)に関して処理し易い。エタノールおよ
び酢酸エチル内での反応結果に基づいて、より規模の大きい実験(約40g)を実行した
。結果により上述の所見の確証が得られた。UT−15カリウム塩の融点は、エタノール
/アセトンおよびエタノール/酢酸エチルの両方の場合において、約180℃であった。
UT−15カリウムの構造は、QC解析データおよび他のスペクトルデータにより確認さ
れた。
経路1は合成のフローチャートを提示する。
第一部:試験条件
実験の第一部では、UT−15カリウム塩を、エタノール/アセトンおよびエタノール
/酢酸エチルの2つの異なる溶媒系から合成した。実験はエタノールとアセトン、および
エタノールと酢酸エチルの異なる比で実行し、反応における最良の溶媒条件を見出した。
a.エタノールおよびアセトン
丸底フラスコ内の、エタノール(5mL)中の水酸化カリウム(1当量)の透明溶液に
、UT−15(1当量)を添加した。混合物を、透明溶液が得られるまで、室温で約10
分間撹拌した。次に撹拌しながら、エタノール溶液にアセトンを添加した。溶液から白色
固体が現れ始めたら、撹拌を止めた。混合物を室温で一晩放置した。固体を濾過により集
めた。固体をアセトンで洗浄し、次に70℃、真空下で4時間乾燥させた。詳細結果は、
表1および図2を参照のこと。
b.エタノールおよび酢酸エチル中
丸底フラスコ内の、エタノール(5mL)中の水酸化カリウム(1当量)の透明溶液に
、UT−15(1当量)を添加した。混合物を、透明溶液が得られるまで、室温で約10
分間撹拌した。次に撹拌しながら、エタノール溶液に酢酸エチルを添加した。溶液から白
色固体が現れ始めたら、撹拌を止めた。混合物を室温で一晩放置した。固体を濾過により
集めた。固体を酢酸エチルで洗浄し、次に70℃、真空下で3時間乾燥させた。詳細結果
は、表2および図3を参照のこと。
第二部:トレプロスチニル(UT−15)カリウム塩(40g規模)の調製
表3は合成に用いられた物質を示す。
5−L丸底フラスコに、水酸化カリウムおよびエタノールを添加した。透明になるまで
室温でそれを撹拌した。カリウム、エタノール溶液にUT−15を添加した。反応混合物
を、透明になるまで室温で約30分撹拌した。次に、撹拌しながら、混合物に酢酸エチル
をゆっくりと添加した。溶液から白色固体が現れ始めたら、撹拌を止めた。反応混合物を
室温で一晩放置した。固体を濾過し、酢酸エチル(500mL)で洗浄し、70℃、真空
下で6時間乾燥させ、生成物(35.12g、79.5%)を得た。
表4は分析データを示す。
UT−15−カルシウム塩およびトロメタミン塩
概要:目標はUT−15の新しい塩を合成する合成方法を策定し、各塩を少なくとも5
0g生成することであった。本報告には、UT−15の2つの新しい塩:カルシウムおよ
びトロメタミンの塩の合成が記載されている。
これらの新しい塩に関する分析データ:H−NMR、13C−NMR、IR、HPL
Cによる純度、DSCデータ、TGAデータ、水分含量、比旋光度を収集した。
トレプロスチニル(UT−15)は、カルボン酸部分を含有するベンゾインデンプロス
タサイクリンである。さまざまな塩基(有機および無機)がUT−15の新しい塩の合成
用に考えられた。本報告では2つの塩基を用いる:水酸化カルシウム(無機塩基)および
トロメタミン(有機塩基)。これらの塩の合成は、2工程プロセスである。第1工程は、
適切な溶媒系中でのUT−IS(カルボン酸部分)と塩基との反応を含み、第2工程は、
適切な溶媒系からの塩の再結晶であった。これらの工程の詳細は実施例の項に提示される
カルシウム塩
自動撹拌機、温度計、およびコンデンサを備えた3000mLの三つ口丸底フラスコに
、UT−15(60g)およびエタノール(600mL)を満たした。混合物を、透明に
なるまで75〜80℃で加熱した。透明溶液に、水酸化カルシウム(5.40g)を2回
に分けて添加した。反応混合物を撹拌して、70〜80℃に加熱して、透明溶液を得た(
約1時間)。溶液の温度を75〜80℃に保持しながら、水(1800mL)をゆっくり
と添加した。水の添加完了後に、溶液を撹拌しながら周囲温度まで一晩放冷した。生成物
を濾過し、水で洗浄し、減圧下で1時間乾燥させた。生成物をブフナー漏斗からガラス容
器に移しかえ、一晩ドラフト内で乾燥させた。最終的に生成物を高真空下、50〜55℃
で6時間さらに乾燥させた(50.2g、mp.154〜160℃)。
表6はカルシウム塩のデータを示す。
トロメタミン塩
自動撹拌機、温度計、およびコンデンサを備えた3000mLの三つ口丸底フラスコに
、UT−15(54.55g)、イソプロパノ−ル(330mL)、および水(15mL
)を満たし、透明溶液が得られるまで50〜55℃で加熱し、次にトロメタミン(17.
06g)を添加した。反応混合物を撹拌しながら60℃まで加熱し、透明溶液を得た。こ
の透明溶液に、温度を50〜55℃の間に保持しながら、メチルt−ブチルエーテル(M
TBE)をゆっくりと添加した。MTBEの添加完了後に、溶液を撹拌しながら周囲温度
まで一晩放冷した。生成物を濾過し、水で洗浄し、減圧下で1時間乾燥させた。生成物を
ブフナー漏斗からガラストレイに移しかえ、一晩ドラフト内で乾燥させた。最終的に生成
物を高真空下、45〜48℃で4時間乾燥させた(55.4g、mp.68〜71℃)。
表8にトロメタミン塩に関するデータを示す。
代替のトレプロスチニル塩の合成
目標はUT−15の代替の塩を合成する新方法を策定し、溶解試験のために、各塩を少
なくとも200mg生成することであった。UT−15の塩を合計7つ調製した。
1.UT−15−L−アルギニン塩
2.UT−15−L−リジン塩
3.UT−15−N−メチルグルカミン塩
4.UT−15−コリン塩
5.UT−15−カリウム塩
6.UT−15−マグネシウム塩
7.UT−15−アンモニウム塩
新しいUT−15塩の全てに関する分析データ:1H−NMR、13C−NMR、IR
、HPLCによる純度、DSCデータ、TGAデータ、水分含量、比旋光度を収集した。
UT−15はカルボン酸を含有するベンゾインデンプロスタサイクリンであるため、さ
まざまな塩基がUT−15の新しい塩の合成用に考えられた。本試験ではUT−15と共
に、4つの有機塩基と3つの無機塩基とを含む7つの塩基を用いた。4つの有機塩基は、
L−アルギニン、L−リジン、N−メチルグルカミン、およびコリンの水酸化物であった
。他の3つの無機塩基は、水酸化カリウム、アンモニアガス、および水酸化マグネシウム
を含む。塩の合成は、2工程プロセスであった。第1工程は、適切な溶媒系中でのUT−
15(カルボン酸)と塩基との反応であり、第2工程は、適切な溶媒系からの塩の再結晶
であった。場合によっては、反応工程と再結晶工程の両方の溶媒系は同一であり、別の場
合には、溶媒系は異なった。これらの工程の詳細は実施例の項に提示した。数例において
、少量の水を添加する目的は、混合物を50℃超に加熱した場合の、UT−15とアルコ
ール溶媒とのエステル合成を避けることであった。
アルギニン塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15−L−アル
ギニン塩(17.01g)、エタノール(200mL)を満たした。混合物を撹拌しなが
ら70〜80℃に加熱した。この温度で水(3mL)をゆっくりと添加して、透明溶液を
得た。水の添加完了後に、溶液を周囲温度までゆっくりと放冷した。生成物を濾過により
単離し、エタノールで洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス容器に移しかえ、一晩
ドラフト内で風乾した。生成物(ロットD−1041−011)を高真空下、70〜75
℃で16時間乾燥させた。
表10にアルギニン塩に関するデータを示す。
L−リジン塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(4.5g
)、2−プロパノ−ル(108mL)、水(9mL)、およびL−リジン(1.685g
)を満たした。反応混合物を撹拌し、70〜80℃に加熱し、透明溶液を得た。この温度
で、溶液の温度を55℃超に保持しながら、酢酸エチルをゆっくりと添加した。酢酸エチ
ルの添加完了後に、溶液を45℃まで1〜2時間、次に35℃まで1時間、次に25℃ま
でさらに1時間放冷した。周囲温度で、生成物を濾過により単離し、生成物を酢酸エチル
で洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス容器に移しかえ、一晩ドラフト内で風乾し
た。生成物を高真空下、50〜55℃で4〜5時間さらに乾燥させた。
表12にL-リジン塩に関するデータを示す。
N−メチルグルカミン塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(4.0g
)、2−プロパノ−ル(108mL)、水(0.8mL)、およびN−メチルグルカミン
(2.00g)を満たした。反応混合物を撹拌し、70〜80℃に加熱し、透明溶液を得
た。この温度で、溶液の温度を55℃超に保持しながら、MTBE(120mL)をゆっ
くりと添加し、次にヘキサン(40mL)を添加した。MTBEおよびヘキサンの添加完
了後に、溶液を45℃まで1〜2時間、次に35℃まで1時間、次に25℃までさらに3
0分間放冷した。周囲温度で、生成物を濾過により単離し、MTBE/ヘキサン(1:1
)で洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス容器に移しかえ、一晩ドラフト内で風乾
した。生成物を真空下、50〜55℃で4時間さらに乾燥させた。
表14はN−メチルグルカミン塩に関する結果を示す。
Mg塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(5.75
g)、エタノール(86mL)、水(55mL)、および水酸化マグネシウム(439m
g)を満たした。反応混合物を撹拌し、70〜80℃に加熱し、透明溶液を得た。溶液を
濾過し、あらゆる不溶性異物粒子を除去した。濾液を真空下で蒸発させ、ガム状の物質を
得た。ガム状の物質を、70〜80℃に加熱することによりエタノール(86mL)に溶
解した。この温度で、溶液の温度を55℃超に保持しながら、MTBE(86mL)をゆ
っくりと添加し、次にヘキサン(30mL)を添加した。MTBEおよびヘキサンの添加
完了後に、溶液を45℃まで1〜2時間、次に周囲温度まで一晩放冷した。周囲温度で生
成物を濾過により単離し、MTBEで洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス容器に
移しかえ、一晩ドラフト内で風乾した。生成物を真空下、50〜55℃で4時間さらに乾
燥させた。
表16にマグネシウム塩に関するデータを示す。
カリウム塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(4.00
g)、2−プロパノール(40mL)、水(1滴)、および水酸化カリウム(575mg
)を満たした。反応混合物を撹拌し、70〜80℃に加熱し、透明溶液を得た。この温度
で、溶液の温度を55℃超に保持しながら、MTBE(25mL)をゆっくりと添加し、
次にヘキサン(85mL)を添加した。MTBEおよびヘキサンの添加完了後に、溶液を
45℃までおよそ16時間、次に周囲温度まで放冷した。周囲温度で生成物を濾過により
単離し、MTBEで洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス皿に移しかえ、一晩ドラ
フト内で風乾した。生成物(ロットD−1029−041)を真空下、50〜55℃で4
時間さらに乾燥させた。
表18にカリウム塩に関するデータを示す。
アンモニウム塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(4.00
g)、2−プロパノール(40mL)を満たした。混合物を撹拌し、40〜45℃に加熱
し、透明溶液を得た。溶液の温度を30〜35℃まで放冷し、次に溶液内にアンモニアガ
スの気泡を45分間通した。アンモニアガスの注入口を取り外し、ヘキサン(75mL)
を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。周囲温度で生成物を濾過により単離し、M
TBE/ヘキサン(1:1)で洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス皿に移しかえ
、一晩ドラフト内で風乾した。生成物(ロットD−1029−043)を真空下、50〜
55℃で4時間さらに乾燥させた。
表20にアンモニウム塩に関するデータを示す。
コリン塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15(4.50
g)、2−プロパノール(60mL)を満たした。混合物を撹拌し、70〜80℃に加熱
し、透明溶液を得た。溶液に水酸化コリン(3.1g)を添加し、混合物を短い間撹拌し
た。溶媒を真空下で蒸発させ、ガム状の物質を得た。ガム状の物質を、70〜80℃に加
熱することにより、2−プロパノール(90mL)に溶解した。この温度で、溶液の温度
を55℃超に保持しながら、MTBE(115mL)をゆっくりと添加した。MTBEの
添加完了後に、溶液を50℃まで、次に40℃まで、周囲温度まで一晩放冷した。周囲温
度で生成物を濾過により単離し、MTBE/ヘキサン(1:1)で洗浄した。生成物をブ
フナー漏斗からガラス容器に移しかえ、一晩ドラフト内で風乾した。生成物を真空下、5
0〜55℃で4時間さらに乾燥させた。
表22にコリン塩に関するデータを示す
トレプロスチニルのカリウム塩およびL-アルギニン塩の合成
本実施例は、2つの塩、UT−15(UT−15D)のカリウム塩およびUT−15の
L-アルギニン塩の合成を報告する。
合成の観点から、UT−15塩の所望の特性は、より良好な水溶解度、より高い融点、
稠密性、および安定な経過を含みうる。2つの塩、UT−15DおよびUT−15−L−
アルギニンは所望の特性を所有する。現在、UT−15(UT−15D)のカリウム塩は
、エタノールおよび酢酸エチルを用いて調製された。最初は、UT−15のアルギニン塩
は、IPA/EtOAc/HOを用いて調製され、再結晶化された。一般に、IPA/
OおよびEtOH/HO溶媒系が再結晶に用いられた。再結晶用の溶媒の数は低減
された(3から2)。再結晶用には、イソプロパノールは70〜75℃の温度、高真空下
、45時間超で、UT−15−L−アルギニンから完全には除去されなかったが、一方、
エタノールは同様の条件下で16時間内に除去されたという理由から、エタノールがイソ
ロパノールより好ましい。
カリウム塩
自動撹拌機を備えた12−Lの三つ口丸底フラスコに、室温で、水酸化カリウム(21
.55g)、エタノール(650mL)を満たした。混合物を撹拌し、透明溶液を得た。
UT−15(150.00g,固体)を、周囲温度でエタノール中の水酸化カリウム溶液
に何回かに分けて添加した。UT−15の添加完了後に、混合物を30分間撹拌して透明
溶液を得た。周囲温度で、溶液を透明に保持しながら、酢酸エチル(7500mL)をゆ
っくりと溶液に添加した。透明溶液を周囲温度で、3〜4時間、静かに撹拌して、白色固
体を得た。生成物を濾過により単離し、酢酸エチルで洗浄した。生成物をブフナー漏斗か
らガラストレイに移しかえ、一晩ドラフト内で風乾した。生成物(ロットD−1029−
171)を真空下、60〜65℃で7〜8時間さらに乾燥させ、UT−15Dを得た(1
33.0g、収率81%)。
表24にカリウム塩に関するデータを示す。
L−アルギニン塩
磁気撹拌機と温度計を備えた500mLの二口丸底フラスコに、UT−15−L−アル
ギニン塩(17.01g)、エタノール(200mL)を満たした。混合物を撹拌しなが
ら70〜80℃に加熱した。この温度で、水(3mL)をゆっくりと添加し、透明溶液を
得た。水の添加完了後に、溶液を周囲温度までゆっくりと放冷した。生成物を濾過により
単離し、エタノールで洗浄した。生成物をブフナー漏斗からガラス容器に移しかえ、一晩
ドラフト内で風乾した。生成物(ロットD−1041−011)を高真空下、70〜75
℃で16時間乾燥させた。
表26にL−アルギニン塩に関するデータを示す。
前述は特に好ましい実施形態を表しているが、本発明はこれらに限定されないことを理
解されたい。当分野の技術者は、開示された実施形態に対してさまざまな変更がなされえ
て、そのような変更は本発明の範囲内であると意図するものであることに想到するであろ
う。
本明細書に引用された全ての出版物、特許出願、および特許は、参照によりその内容全
体が本明細書に組み込まれる。

Claims (25)

  1. 以下の式:

    で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、該化合物は、式:

    の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
    、次に任意の塩基加水分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基
    塩と接触させる工程を含むプロセスにより生成され、
    式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも
    98%の純度で単離される、化合物。
  2. トレプロスチニル塩が、IA族またはIIA族金属を含む、請求項1に記載の化合物。
  3. トレプロスチニル塩が、K、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsの塩である、
    請求項1に記載の化合物。
  4. トレプロスチニル塩が、少なくとも99%の純度で単離される、請求項1に記載の化合
    物。
  5. トレプロスチニル塩が、少なくとも99.5%の純度で単離される、請求項1に記載の
    化合物。
  6. 以下の式:

    で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、式中、Xは薬学的に許容される塩の対イ
    オンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも99%の純度で単離される、化合物。
  7. 前記塩が、IA族またはIIA族金属を含む、請求項6に記載の化合物。
  8. 前記塩が、K、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsである、請求項6に記載の
    化合物。
  9. 前記化合物が、少なくとも99.5%の純度である、請求項6に記載の化合物。
  10. トレプロスチニル塩が、少なくとも99.95%の純度で単離される、請求項6に記載
    の化合物。
  11. 以下の式:

    で示されるトレプロスチニル塩化合物であって、該化合物は、式:

    の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
    、次に水素化分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基塩と接触
    させる工程を含むプロセスにより生成され、
    式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも
    98%の純度で単離される、化合物。
  12. トレプロスチニル塩が、IA族またはIIA族金属を含む、請求項11に記載の化合物
  13. 前記塩が、K、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsの塩である、請求項11に
    記載の化合物。
  14. トレプロスチニル塩が、少なくとも99%の純度で単離される、請求項11に記載の化
    合物。
  15. トレプロスチニル塩が、少なくとも99.5%の純度で単離される、請求項11に記載
    の化合物。
  16. 以下の式:

    で示されるトレプロスチニル塩化合物を作製する方法であって、式:

    の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
    、次に任意の塩基加水分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基
    塩と接触させる工程を含み、
    式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、トレプロスチニル塩は少なくとも
    98%の純度で単離される、方法。
  17. トレプロスチニル塩が、IA族またはIIA族金属を含む、請求項16に記載の方法。
  18. トレプロスチニル塩が、K、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsの塩である、
    請求項16に記載の方法。
  19. トレプロスチニル塩が、少なくとも99%の純度で単離される、請求項16に記載の方
    法。
  20. トレプロスチニル塩が、少なくとも99.5%の純度で単離される、請求項16に記載
    の方法。
  21. 以下の式:

    で示されるトレプロスチニル塩化合物を作製する方法であって、式:

    の出発化合物をアルキル化して、単離されていないO−アルキル化化合物を形成する工程
    、次に水素化分解を行い、結果得られた化合物をインサイチュで塩基または塩基塩と接触
    させる工程を含み、
    式中、Xは薬学的に許容される塩の対イオンであり、単離されたトレプロスチニル塩は
    少なくとも98%の純度を有する、方法。
  22. トレプロスチニル塩が、IA族またはIIA族金属を含む、請求項21に記載の方法。
  23. トレプロスチニル塩が、K、Ca、Na、Ba、Li、Mg、またはCsの塩である、
    請求項21に記載の方法。
  24. トレプロスチニル塩が、少なくとも99%の純度で単離される、請求項21に記載の方
    法。
  25. トレプロスチニル塩が、少なくとも99.5%の純度で単離される、請求項21に記載
    の方法。
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