JP2019052130A - 環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物 - Google Patents
環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】キヌレニンが関与する疾患の治療のための環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物の提供。【解決手段】シアノバクテリアから単離した、特定のアミノ酸の配列からなる環状ペプチド化合物である、キヌレニン産生阻害剤。【選択図】なし
Description
本発明は、環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物に関する。
キヌレニンはトリプトファンからナイアシンを生成する代謝経路(キヌレニン経路)で代謝されるアミノ酸の一種である。近年、がん細胞から放出されるキヌレニンが免疫寛容(生体に本来備わっている免疫監視機構が働かず、がん細胞が排除されない状況)の状態を作り出し、がんの進行に寄与しているとの報告がなされている。
例えば、特許文献1には、生体内でキヌレニンを産生する律速酵素であるインドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼの阻害剤であり、がん等の疾患の治療に有用である1,2,5−オキサジアゾール誘導体が記載されている。
一方、自然界に存在する物質を単離し、これを医薬品として利用しようという試みがなされている。例えば、海洋域に生息する生物から単離した物質に医薬品として有用な活性が見出されている(例えば、非特許文献1参照)。
細胞工学,32,675−681,2013
キヌレニンの産生を阻害する活性を有する化合物を新たに見出すことは、キヌレニンが関与する疾患の治療方法の発展に資すると考えられる。特に、がん細胞におけるキヌレニンの産生の抑制を作用機序とする抗がん剤は、直接的にがん細胞の増殖を阻害する既存の抗がん剤に比べて副作用の大幅な軽減が期待できる。
また、海洋域に生息する生物から単離した物質にキヌレニンの産生を抑制する活性を見出したという報告はこれまでなされていない。
また、海洋域に生息する生物から単離した物質にキヌレニンの産生を抑制する活性を見出したという報告はこれまでなされていない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施形態が含まれる。
<1>下記式(1)で表される環状ペプチド化合物。
<1>下記式(1)で表される環状ペプチド化合物。
<2>キヌレニンの産生を抑制するための、<1>に記載の環状ペプチド化合物。
<3>キヌレニンが関与する疾患の治療のための、<1>又は<2>に記載の環状ペプチド化合物。
<4>前記キヌレニンが関与する疾患が、がん、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応及び外傷からなる群より選択される少なくとも1種である、<3>に記載の環状ペプチド化合物。
<5><1>〜<4>のいずれか1項に記載の環状ペプチド化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
<6>シアノバクテリアから単離した環状ペプチド化合物である、キヌレニン産生阻害剤。
<7>前記シアノバクテリアがOkeania sp.である、<6>に記載のキヌレニン産生阻害剤。
<8>キヌレニンが関与する疾患の治療のための、<6>又は<7>に記載のキヌレニン産生阻害剤。
<9>前記キヌレニンが関与する疾患が、がん、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応及び外傷からなる群より選択される少なくとも1種である、<8>に記載のキヌレニン産生阻害剤。
<10><6>〜<9>のいずれか1項に記載のキヌレニン産生阻害剤を有効成分として含む、医薬組成物。
本発明によれば、環状ペプチド化合物、キヌレニン産生阻害剤及び医薬組成物が提供される。
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態は、下記式(1)で表される環状ペプチド化合物である。
本開示の第1実施形態は、下記式(1)で表される環状ペプチド化合物である。
上記構造を有する環状ペプチド化合物は、キヌレニンの産生を抑制する活性を有する。キヌレニンの産生の抑制は、種々の態様で観察されうる。例えば、上記環状ペプチド化合物の存在下におけるキヌレニンの産生量の抑制、減少、消失等にとして観察されうる。キヌレニンの産生の抑制は、例えば、産生したキヌレニンの分解により達成されるものであってもよく、キヌレニンの産生自体の抑制によるものであってもよい。
上記環状ペプチド化合物は、キヌレニン産生を抑制する機能が損なわれない限りにおいて種々の改変を施してもよい。例えば、環状ペプチド化合物を構成するアミノ酸残基のそれぞれが置換基を有していてもよく、アミノ酸残基のそれぞれがL体又はD体のいずれであってもよい。
上記環状ペプチド化合物は、生物から単離したものであっても、化学的又は生物工学的手法によって作製したものであってもよい。ある実施形態では、上記環状ペプチド化合物はシアノバクテリアから単離したものであってもよい。シアノバクテリアの種類は特に制限されないが、海洋域に生息するシアノバクテリアであってもよく、Okeania sp.であってもよい。
上記環状ペプチド化合物は、キヌレニンの産生を抑制する活性を有するため、キヌレニンの産生を抑制するために用いることができる。すなわち、上記環状ペプチド化合物はキヌレニン産生阻害剤であってもよい。
上記環状ペプチド化合物は、例えば、キヌレニンの産生が関与する疾患の治療に用いることができる。本開示において「治療」には、キヌレニンの産生が関与する疾患の症状を消失又は軽減させることのほか、症状の進行の度合いを抑制することも含まれる。
キヌレニンの産生が関与する疾患としては、各種のがん、アルツハイマー病、ウイルス感染症、自己免疫疾患、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応、外傷等が挙げられるが、本開示はこれらに制限されるものではない。
キヌレニン産生阻害剤は、医薬品に限らずサプリメント、食品、飲料等の形態で用いるものであってもよく、研究等の医療行為以外の目的に用いるものであってもよい。
キヌレニン産生阻害剤は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが好ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが好ましく、経口、または例えば腸内、口腔内、皮下、筋肉内、静脈内等の非経口をあげることができる。投与形態としては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤等がある。
キヌレニン産生阻害剤の有効用量および投与回数は、投与形態、患者の年令、体重、治療すべき症状の性質、重篤度等により異なるが、通常、投与量は、1日当たり0.01〜1000mg/人、好ましくは5〜500mg/人であり、投与回数は、1日1回又は分割して投与するのが好ましい。
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態は、シアノバクテリアから単離した環状ペプチド化合物であるキヌレニン産生阻害剤である。
本開示の第2実施形態は、シアノバクテリアから単離した環状ペプチド化合物であるキヌレニン産生阻害剤である。
環状ペプチド化合物を得る対象のシアノバクテリアの種類は特に制限されないが、海洋域に生息するシアノバクテリアであってもよく、Okeania sp.であってもよい。
シアノバクテリアから単離した環状ペプチド化合物は、上述した第1実施形態の式(1)で表される環状ペプチド化合物であってもよい。
キヌレニン産生阻害剤のその他の詳細は、上述した第1実施形態における「環状ペプチド化合物」を「キヌレニン産生阻害剤」に読み替えたうえで参照できる。
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態は、第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を有効成分として含む医薬組成物である。
本開示の第3実施形態は、第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を有効成分として含む医薬組成物である。
医薬組成物が第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤以外の成分を含む場合、当該成分としては、薬剤の調製に一般に用いられる媒質及び製剤用添加物が挙げられる。媒質としては、固体媒質(例えば、ゼラチン、乳糖)及び液体媒質(例えば、アルコール、水、生理食塩水)が挙げられる。製剤用添加物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤などが挙げられる。これらの成分の配合量は、第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤が有効成分として作用しうるのであれば特に制限されない。
医薬組成物の形態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ、乳剤、リモナーデ剤等の経口投与に適した形態、座剤、注射剤等の非経口投与に適した形態などが挙げられる。
経口投与に適した形態の製剤、例えば乳剤、シロップ剤等の液体調製物は、水、ショ糖、ソルビット、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントフレーバー等のフレーバー類などを使用して製造できる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適した形態の製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性製剤からなる。例えば注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液又は塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。
局所製剤は、活性化合物を、1種もしくはそれ以上の媒質、例えば鉱油、石油、多価アルコール等又は局所医薬製剤に使用される他の基剤中に溶解又は懸濁させて調製する。
腸内投与のための製剤は、通常の担体、例えばカカオ脂、水素化脂肪、水素化脂肪カルボン酸等を用いて調製し、座剤として提供される。
腸内投与のための製剤は、通常の担体、例えばカカオ脂、水素化脂肪、水素化脂肪カルボン酸等を用いて調製し、座剤として提供される。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示したグリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤(抗酸化剤を含む)、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
<第4実施形態>
本開示の第4実施形態は、第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を細胞に接触させる工程を含む、キヌレニン産生阻害方法、又はキヌレニンの産生が関与する疾患の治療方法である。
本開示の第4実施形態は、第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を細胞に接触させる工程を含む、キヌレニン産生阻害方法、又はキヌレニンの産生が関与する疾患の治療方法である。
第1実施形態の環状ペプチド化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を細胞に接触させる方法は特に制限されず、経口投与、静脈内投与、留置等の外科的処置等を挙げることができる。また、上述した第3実施形態の医薬組成物の状態で細胞に接触させてもよい。
第1実施形態の化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を接触させる対象の細胞は、例えば、がん細胞のようにキヌレニンの産生が通常よりも亢進している状態の細胞であってもよい。第1実施形態の化合物又は第2実施形態のキヌレニン産生阻害剤を接触させる対象の細胞は、ヒトの細胞であってもヒト以外の動物(実験動物、家畜動物、愛玩動物等)の細胞であってもよい。また、生体内の細胞であっても生体外の細胞(培養細胞を含む)であってもよい。
キヌレニン産生阻害方法は、キヌレニンの産生が関与する疾患の治療を目的とするものであっても、治療以外の試験研究、検査等を目的とするものであってもよい。
キヌレニン産生阻害方法がキヌレニンの産生が関与する疾患の治療を目的とするものである場合、治療対象となるキヌレニンの産生が関与する疾患としては、各種のがん、アルツハイマー病、ウイルス感染症、自己免疫疾患、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応、外傷等が挙げられるが、本開示はこれらに制限されるものではない。
以下、実施例に基づき本開示の実施形態を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。
(1)細胞の培養及び継代
A431細胞(ヒト上皮がん細胞株)の培養には、DMEM培地[Dulbecco’s modified Eagle’s medium;DMEM(日水製薬)に、0.01% NaHCO3(ナカライテスク)、2mM L−グルタミン(ナカライテスク)、抗生物質混合溶液(100units/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.25μg/mL アムホテリシンB、ナカライテスク)、10%子牛胎児血清(Fetal bovin serum; FBS、SIGMA−ALDRICH)を加えたもの]を用いた。A431細胞懸濁液を直径100mmのシャーレ(Thermo Scientific)に移してインキュベートした。細胞が十分増殖し、シャーレの底面の大半を覆う状態となった際にシャーレの培地を取り除き、2mLのリン酸塩緩衝溶液(Phosphate buffered saline;PBS、8.0g/L NaCl、0.2g/L KCl、1.15g/L Na2HPO4、0.2g/L KH2PO4)で洗浄した。PBSを取り除き、1mLのトリプシン(ナカライテスク)を加え、10分間インキュベートした後にDMEM培地9mLを加え、細胞懸濁液とした。次に、予め任意の量のDMEM培地を加えた別のシャーレに懸濁液を加え、各濃度の細胞懸濁液を調製し、インキュベートした。
A431細胞(ヒト上皮がん細胞株)の培養には、DMEM培地[Dulbecco’s modified Eagle’s medium;DMEM(日水製薬)に、0.01% NaHCO3(ナカライテスク)、2mM L−グルタミン(ナカライテスク)、抗生物質混合溶液(100units/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、0.25μg/mL アムホテリシンB、ナカライテスク)、10%子牛胎児血清(Fetal bovin serum; FBS、SIGMA−ALDRICH)を加えたもの]を用いた。A431細胞懸濁液を直径100mmのシャーレ(Thermo Scientific)に移してインキュベートした。細胞が十分増殖し、シャーレの底面の大半を覆う状態となった際にシャーレの培地を取り除き、2mLのリン酸塩緩衝溶液(Phosphate buffered saline;PBS、8.0g/L NaCl、0.2g/L KCl、1.15g/L Na2HPO4、0.2g/L KH2PO4)で洗浄した。PBSを取り除き、1mLのトリプシン(ナカライテスク)を加え、10分間インキュベートした後にDMEM培地9mLを加え、細胞懸濁液とした。次に、予め任意の量のDMEM培地を加えた別のシャーレに懸濁液を加え、各濃度の細胞懸濁液を調製し、インキュベートした。
(2)KYNアッセイ
シアノバクテリアに含まれる物質と、A431細胞からのキヌレニン産生量との関係を調べるために、下記の手法でKYN(キヌレニン)アッセイを実施した。
KYNアッセイには、シアノバクテリアのメタノール抽出物を使用した。シアノバクテリアのメタノール抽出物は、沖縄県石垣島で採集したシアノバクテリア(Okeania sp.)約10gにメタノール100mLを加え、7日間静置した後の抽出液をろ過、濃縮し、得られた残渣の重量を測定し、濃度が100mg/mLになるようにメタノールを添加して調製した。
シアノバクテリアに含まれる物質と、A431細胞からのキヌレニン産生量との関係を調べるために、下記の手法でKYN(キヌレニン)アッセイを実施した。
KYNアッセイには、シアノバクテリアのメタノール抽出物を使用した。シアノバクテリアのメタノール抽出物は、沖縄県石垣島で採集したシアノバクテリア(Okeania sp.)約10gにメタノール100mLを加え、7日間静置した後の抽出液をろ過、濃縮し、得られた残渣の重量を測定し、濃度が100mg/mLになるようにメタノールを添加して調製した。
A431細胞懸濁液を15mLエッペンチューブに移して遠心分離機にかけ、デカンテーションで上清液を除去し、100μM L−トリプトファン(和光純薬)を含むDMEM培地(トリプトファン含有培地)を加えた。さらに、トリプトファン含有培地で希釈し、A431細胞の懸濁液4.0×105cells/mLを作製した後に、この懸濁液を96穴プレートに100μL/wellの濃度で播種した。24時間のインキュベーションの後、培地を取り除き、トリプトファン含有培地を90μL/wellずつ加えた。100mg/mLに調製済みのシアノバクテリアのメタノール抽出物をA431細胞に添加した際の濃度が1μg/mL、10μg/mL、100μg/mLになるようにメタノールで希釈し、1μL/wellずつ添加した。1時間インキュベートした後に1μg/mLのIFN−γ(Interferon−γ human,recombinant Animal−component free、SIGMA−ALDRICH)溶液を10μL/wellずつ加え、24時間のインキュベーションの後、吸光度(460nm)をマイクロプレートリーダー(SYNERGY H1、バイオテック・ジャパン)で測定した。その後、7% トリクロロ酢酸(和光純薬)溶液と2% p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(和光純薬)の酢酸溶液の混合液(2:5)を200μL/wellずつ添加し、5分間静置後、再度吸光度を測定し、キヌレニンの産生量を数値化した。
KYNアッセイの結果、シアノバクテリアのメタノール抽出物の存在下では、コントロール(シアノバクテリアのメタノール抽出物を添加せず)と比較したときにキヌレニンの産生量が少ないことがわかった。
(3)MTTアッセイ
シアノバクテリアのメタノール抽出物と、A431細胞の生存状態との関係を調べるために、下記の手法でMTTアッセイを実施した。
KYNアッセイと同様にA431細胞の懸濁液を96穴プレートに播種し、シアノバクテリアのメタノール抽出物と1μg/mLのIFN−γ溶液を添加した。24時間のインキュベーションの後にMTT(3−(4,5−di−methylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide、ナカライテスク)試薬を15μL/wellずつ添加し、4時間インキュベートした。その後、上清を除去し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を150μL/wellずつ添加して沈殿を溶解させ、吸光度(540nm)を測定した。
シアノバクテリアのメタノール抽出物と、A431細胞の生存状態との関係を調べるために、下記の手法でMTTアッセイを実施した。
KYNアッセイと同様にA431細胞の懸濁液を96穴プレートに播種し、シアノバクテリアのメタノール抽出物と1μg/mLのIFN−γ溶液を添加した。24時間のインキュベーションの後にMTT(3−(4,5−di−methylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide、ナカライテスク)試薬を15μL/wellずつ添加し、4時間インキュベートした。その後、上清を除去し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を150μL/wellずつ添加して沈殿を溶解させ、吸光度(540nm)を測定した。
MTTアッセイの結果、シアノバクテリアのメタノール抽出物の存在下では、コントロール(シアノバクテリアのメタノール抽出物を添加せず)と比較したときにA431細胞の減少に差は認められなかった。
(4)活性物質の単離
KYNアッセイとMTTアッセイの結果から、シアノバクテリアのメタノール抽出物の存在下ではA431細胞の減少を伴わずにキヌレニンの産生が抑制されていることがわかった。このことから、シアノバクテリアには細胞によるキヌレニンの産生を抑制する活性物質が含まれていると推測し、シアノバクテリアのメタノール抽出物からの活性物質の単離を下記の手法で行った。
KYNアッセイとMTTアッセイの結果から、シアノバクテリアのメタノール抽出物の存在下ではA431細胞の減少を伴わずにキヌレニンの産生が抑制されていることがわかった。このことから、シアノバクテリアには細胞によるキヌレニンの産生を抑制する活性物質が含まれていると推測し、シアノバクテリアのメタノール抽出物からの活性物質の単離を下記の手法で行った。
シアノバクテリア(湿重量415g)にメタノール1Lを加え、一週間静置した。続いて、上清をろ過し、濃縮してメタノール抽出物を得た。得られたシアノバクテリアのメタノール抽出物を水と酢酸エチルを用いて分液した。活性評価の結果、酢酸エチル層に活性を見出したため、酢酸エチル層を90%メタノールとヘキサンで分液し、活性を評価した。その結果、90%メタノール層に活性を見出した。続いて、分液操作によって得た90%メタノール層の濃縮物をODSカラムクロマトグラフィー(Cosmosil 75C18−OPN、ナカライテスク)で精製した。ODSカラムクロマトグラフィーでメタノール/水混合溶媒(40/60、60/40、80/20、100/0)で溶出して得た各画分の活性を評価した結果、メタノール/水:80/20の混合溶媒で溶出した画分に活性を見出した。次に、活性が確認された画分の濃縮物を高速液クロマトグラフィーで精製した。カラムにはSTR ODS−II(サイズ:内径250mm×20mm、信和化工)を使用し、溶媒にメタノール/水:80/20の混合溶媒を用いて、流速を5mL/minに設定し、溶出物の吸光度(λ=215nm)をUV検出器(SPD−10AVVP、島津製作所)で検出し、クロマトグラムを得た。各精製画分の活性を評価した結果、リテンションタイム58分付近の成分に活性が確認されたため、回収した。回収した成分について再度、同一条件で高速液体クロマトグラフィーによる精製を行い、リテンションタイム58分の成分を濃縮して、活性物質(8.1mg)を得た。
(5)活性物質の構造解析
得られた活性物質の構造をNMRにより解析したところ、上述した式(1)で表される構造であることがわかった。
得られた活性物質の構造をNMRにより解析したところ、上述した式(1)で表される構造であることがわかった。
(6)活性物質の生理活性
単離した活性物質のKYNアッセイとMTTアッセイを、上述した手法に従って行った。評価結果は、それぞれ下記表1のとおりであった。
単離した活性物質のKYNアッセイとMTTアッセイを、上述した手法に従って行った。評価結果は、それぞれ下記表1のとおりであった。
Claims (10)
- 下記式(1)で表される環状ペプチド化合物。
- キヌレニンの産生を抑制するための、請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
- キヌレニンが関与する疾患の治療のための、請求項1又は請求項2に記載の環状ペプチド化合物。
- 前記キヌレニンが関与する疾患が、がん、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応及び外傷からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の環状ペプチド化合物。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の環状ペプチド化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
- シアノバクテリアから単離した環状ペプチド化合物である、キヌレニン産生阻害剤。
- 前記シアノバクテリアがOkeania sp.である、請求項6に記載のキヌレニン産生阻害剤。
- キヌレニンが関与する疾患の治療のための、請求項6又は請求項7に記載のキヌレニン産生阻害剤。
- 前記キヌレニンが関与する疾患が、がん、うつ病、神経変性疾患、白内障、臓器移植拒絶反応及び外傷からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のキヌレニン産生阻害剤。
- 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のキヌレニン産生阻害剤を有効成分として含む、医薬組成物。
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Non-Patent Citations (4)
Title |
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佐々木 智未 他: "海洋シアノバクテリア由来キヌレニン産生阻害剤KNP−1の同定", 第35回メディシナルケミストリーシンポジウム 講演要旨集, JPN6022005804, 4 October 2017 (2017-10-04), pages 282, ISSN: 0004705593 * |
佐々木 智未 他: "海洋生物からのキヌレニン産生抑制剤の探索", 第61回日本薬学会関東支部大会 日本薬学会関東支部大会若手シンポジウム 講演要旨集, JPN6022005800, 10 September 2017 (2017-09-10), pages 120, ISSN: 0004705590 * |
佐々木 智未 他: "海洋生物由来キヌレニン産生抑制物質の探索", 日本化学会第97春季年会予稿集, JPN6022005801, 3 March 2017 (2017-03-03), pages 2 - 198, ISSN: 0004705591 * |
佐々木 智未 他: "海洋生物由来キヌレニン産生抑制物質の探索", 日本化学会第97春季年会予稿集, JPN6022005803, 3 March 2017 (2017-03-03), pages 1 - 115, ISSN: 0004705592 * |
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