JP2019050716A - 車両動力補助システム - Google Patents
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Abstract
Description
車輪用軸受とホイールの間に電動発電機を設置するには、取付スペースに制限があるため、電動発電機のサイズを小さくし、さらに、減速機を無くすあるいは小さく減速機を使用する必要があった。この制限は、電動発電機による駆動力を減少するものであり、駆動力を上げるためには強い磁力を持った永久磁石を使用した電動発電機を使用する必要がある。電動発電機で発生する誘起電圧は、電動発電機の回転数と永久磁石の磁束に比例することが知られており、強い磁力を持った電動発電機は誘起電圧が大きくなる。
前記車両の車輪4,5を回転支持する車輪用軸受31に支持され、前記直流電源10から電力を供給することで前記車輪4,5を回転駆動可能な駆動アシスト力、または前記直流電源10へ電力を回生する回生制動力を発生させる電動発電機14と、
この電動発電機14を制御する制御装置39と、を備え、
前記制御装置39は、
前記直流電源10からの直流電力を交流電力に変換する電力変換回路12と、
この電力変換回路12を制御する制御回路16と、
前記直流電源10と前記電力変換回路12との間、または前記電力変換回路12と前記電動発電機14との間に設けられ、電気的に接続と遮断を切り替え可能な開放回路11,13と、を有し、
前記制御回路16は、
前記電動発電機14が回転することにより発生する誘起電圧と前記直流電源10の電源電圧とを比較し、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記開放回路11,13により前記電動発電機14と前記直流電源10とを電気的に切り離す。
車両の運転時において、制御回路16は、電動発電機14が回転することにより発生する誘起電圧と直流電源の電源電圧とを比較する。車両の走行速度が高速となり誘起電圧が電源電圧を超えるとき、開放回路11,13により電動発電機14と直流電源10とを電気的に切り離す。これにより、電動発電機14から電力変換回路12等を経由して直流電源10側へ電力が流れ込むことを防止する。したがって、電動発電機14から想定しない制動力が発生することを防止することができる。
この場合、電動発電機14が簡易で省スペースで済む構成であるため、車体の足回りの構造等を変更することなく、この電動発電機14を従動輪5に簡単に設置することができる。
前述のように、電動発電機14の部品点数が少なく構成が簡易で省スペースで済むことから、車体の足回りの構造等を変更することなく、この電動発電機14を駆動輪4に簡単に設置することができる。
前記制御回路16は、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記母線開放回路11を使用して前記直流電源10と前記電力変換回路12とを電気的に切り離してもよい。
この構成によると、直流電源10と電力変換回路12との間の母線開放回路11は、例えば、相開放回路の構成に比べて、スイッチング素子の個数を少なくできコスト低減を図れる。
前記制御回路16は、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記相開放回路13を使用して前記電力変換回路12と前記電動発電機14とを電気的に切り離してもよい。 この構成によると、電力変換回路12の異常発生時に、電動発電機14と電力変換回路12とを電気的に切り離すことができるので、電動発電機14から想定しない駆動力または制動力が発生することを防止することが可能となる。
例えば、相開放回路13を使用して電力変換回路12と電動発電機14とを電気的に切り離す場合、電動発電機14の巻線コイルが誘導性負荷となるため、大きな電流が流れている状態でスイッチング素子を切断するとスパイク状の高電圧の誘起電圧が発生し、スイッチング素子の耐電圧を超えるとスイッチング素子に異常が発生する課題がある。
そこで、スイッチング手段と並列にコンデンサまたはバリスタを接続することで、スイッチング素子から成るスイッチング手段に、耐電圧を超える高電圧が発生することを未然に防止することができる。
前記電流がゼロとは、電流が略ゼロの十分小さな電流の状態も含む。前記十分小さな電流は、電流を遮断したときに発生する逆起電圧が、スイッチング手段の耐電圧を超えない範囲の微小な電流であり、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により定められる。
前記定められた条件は、設計等によって任意に定める条件であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件を求めて定められる。
<電動発電機の搭載箇所について>
図1に示すように、この車両動力補助システムは、例えば、駆動輪の走行駆動を行う主駆動源1と機械的に非連結である従動輪を持つ車両に搭載される。図1の例では、車両は、前側の車輪4が駆動輪、後側の車輪5が従動輪となる前輪駆動車であり、主駆動源1が、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。この内燃機関は、クラッチ2、トランスミッション3等を介して前側の車輪(駆動輪)4に機械的に接続している。後側の左右の車輪(従動輪)5,5にそれぞれ電動発電機14,14を搭載している。各電動発電機14は、変速機を用いないダイレクトドライブモータであり、電力を供給することで駆動アシスト力を発生し、また、車両の運動エネルギーを電力に変換することで発電する。
<車輪用軸受について>
図3および図4に示すように、車輪用軸受31は、固定輪である外輪32と、複列の転動体34と、回転輪である内輪33とを有する。外輪32に複列の転動体34を介して内輪33が回転自在に支持されている。内外輪33,34間の軸受空間には、グリースが封入されている。内輪33は、外輪32よりも軸方向のアウトボード側に突出した箇所にハブフランジ33aを有する。外輪32は、インボード側の端部において、ナックル等の足回りフレーム部品Nkに図示外のボルトで取付けられている。なおこの明細書において、車両動力補助システムが車両に搭載された状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
ブレーキ35は、ディスク式のブレーキロータ36と、ブレーキキャリパ37とを備える摩擦ブレーキである。ブレーキロータ36は、平板状部36aと、外周部36bとを有する。平板状部36aは、ハブフランジ33aに重なる環状で且つ平板状の部材である。外周部36bは、平板状部36aから外輪32の外周側へ延びる。外周部36bは、平板状部36aの外周縁部からインボード側に円筒状に延びる円筒状部36baと、この円筒状部36baのインボード側端から外径側に平板状に延びる平板部36bbとを有する。
この電動発電機14は、駆動アシスト力および回生制動力を発生させる。電動発電機14は、外輪32の外周面に取付けられたステータ41と、このステータ41の外周側に位置する環状のロータ42とを備える。この電動発電機14は、アウターロータ型のIPM同期モータである。同期モータにおいて、ステータ41の巻き線形式として分布巻、集中巻の各形式が採用できる。
車輪用軸受31は、内輪33のハブフランジ33aと外輪32との間に、ロータ42の回転角度を検出する回転角度検出器45を備える。この回転角度検出器45は、内輪33に設けられたエンコーダ部45aと、外輪32に取付けられてエンコーダ部45aを読み取るセンサ部45bとを有する。この回転角度検出器45は、レゾルバ、ホール素子、光学式、磁気式など、形式および搭載位置を問わない。回転角度検出器45で検出された回転角度から、電動発電機14の回転速度を容易に算出し得る。
図5は、この車両動力補助システムSmの概念構成を示すブロック図である。同図5に示すように、主駆動源1は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関、または電動発電機(電動モータ)、または両者を組み合わせたハイブリッド型の駆動源である。前記「電動発電機」は、回転付与による発電が可能な電動モータを称す。図示の例では、車両30は、前側の車輪4が駆動輪、後側の車輪5が従動輪となる前輪駆動車であって、主駆動源1が内燃機関1aと駆動輪側の電動発電機1bとを有するハイブッリド車(以下、「HEV」と称することがある)である。
上位ECU40は、車両30の統合制御を行う手段であり、トルク指令生成手段43を備える。このトルク指令生成手段43は、アクセルペダル等のアクセル操作手段56およびブレーキペダル等のブレーキ操作手段57からそれぞれ入力される操作量の信号及び車速等の車両の情報の信号に従ってトルク指令を生成する。この車両30は、主駆動源1として内燃機関1aおよび駆動輪側の電動発電機1bを備え、また二つの車輪5,5をそれぞれ駆動する二つの電動発電機14,14を備えるため、前記トルク指令を各駆動源1a,1b,14,14に定められた規則によって分配するトルク指令分配手段44が上位ECU40に設けられている。
制御回路16は、直流電源電圧取得手段16a、電動発電機速度取得手段16b、相開放回路制御手段16c、電力変換回路制御手段16dおよび切断閾値電圧算出手段16eを有する。直流電源電圧取得手段16aは、直流電源10の直流電圧(電源電圧)に等しい電力変換回路12の入力電圧を取得する。電動発電機速度取得手段16bは、速度検出器15より電動発電機14の回転速度を取得する。
電力変換回路制御手段16dは、車両の状況に合わせて、直流電源10から電動発電機14へ電力を供給し駆動する信号、または、電動発電機14から直流電源10へ電力を回生し発電する信号を電力変換回路12へ出力する。切断閾値電圧算出16eは、電動発電機速度取得手段16bから得た回転速度より相開放回路13を切断する電源電圧(切断閾値電圧)を算出する。
図9は、制御回路が相開放回路に信号を出力する過程を示すフローチャートである。図7も適宜参照しつつ説明する。
本処理開始後、直流電源電圧取得手段16aが直流電源10の直流電圧を取得し(ステップS1)、電動発電機速度取得手段16bが電動発電機14の回転速度を取得する(ステップS2)。次に、切断閾値電圧算出16eは、ステップS2で取得した回転速度に誘起電圧定数を乗算し、誘起電圧の推定値を算出する。
以上説明した車両動力補助システムによれば、車輪5を回転支持する車輪用軸受31に電動発電機14が支持されるため、ドライブシャフト、ディファレンシャルギヤおよびクラッチなどが不要であり、駆動アシスト力を与えるための構成が簡易で済み、前記構造体を備えた従来例よりも、車両の重量が増大することを抑えることができる。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
各車両動力補助システムは、電動発電機14が駆動アシスト力および回生制動力を発生させる構成であるが、回生制動力のみ発生させるシステムとしてもよい。
正弦着磁されたY型結線の三相同期モータの電圧と電流の関係を表す回路方程式は下式となる。
上式をdq軸座標系に変換すると下式になる。
図13に示すようにコンデンサ59等の追加部品を接続する場合、前述の各実施形態よりもコストアップとなる。コンデンサ59等の追加部品を接続することなく高い電圧に耐えるスイッチング素子を選定することも考えられるが、この場合、スイッチング素子のオン抵抗が大きくなり損失が大きくなる、あるいは、コストアップとなる課題がある。
電流ゼロを検出する検出手段として、電流センサを使用してもよい。電流センサは、電流から発生する磁束を検出するホール式電流センサ、あるいは、シャント抵抗を設置し、シャント抵抗の端子間に発生する電圧降下を検出するセンサでもよい。電動発電機の制御に電流を使用する場合、電流センサが設置されるので、この制御に使用する電流センサを使用して電流ゼロを検出するセンサとしてもよい。
図14に示すように、U,V,Wの各相に電流センサ24a,24b,24cを設置し、制御回路16(図7)は、電流センサ24a(24b,24c)の電流ゼロを検出した場合スイッチング素子23a(23b,23c)の切断が可能と判断することができる。
4…車輪(駆動輪)
5…車輪(従動輪)
10…直流電源
11…母線開放回路
12…電力変換回路
13…相開放回路
14…電動発電機
16…制御回路
20,23…半導体スイッチング素子
24,24a,24b,24c…電流センサ(検出手段)
25a,25b,25c…電圧センサ(検出手段)
31…車輪用軸受
39…制御装置
59…コンデンサ(サージ保護部品)
61…バリスタ(サージ保護部品)
Claims (8)
- 車両に搭載された直流電源と、
前記車両の車輪を回転支持する車輪用軸受に支持され、前記直流電源から電力を供給することで前記車輪を回転駆動可能な駆動アシスト力、または前記直流電源へ電力を回生する回生制動力を発生させる電動発電機と、
この電動発電機を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換する電力変換回路と、
この電力変換回路を制御する制御回路と、
前記直流電源と前記電力変換回路との間、または前記電力変換回路と前記電動発電機との間に設けられ、電気的に接続と遮断を切り替え可能な開放回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記電動発電機が回転することにより発生する誘起電圧と前記直流電源の電源電圧とを比較し、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記開放回路により前記電動発電機と前記直流電源とを電気的に切り離す車両動力補助システム。 - 請求項1に記載の車両動力補助システムにおいて、前記車輪用軸受が、前記車両の主駆動源と機械的に非連結の車輪である従動輪を支持する軸受である車両動力補助システム。
- 請求項1に記載の車両動力補助システムにおいて、前記車輪用軸受が、前記車両の主駆動源と機械的に連結された車輪である駆動輪を支持する軸受である車両動力補助システム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両動力補助システムにおいて、前記開放回路は、前記直流電源と前記電力変換回路との間に、スイッチング手段で構成された母線開放回路を備え、
前記制御回路は、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記母線開放回路を使用して前記直流電源と前記電力変換回路とを電気的に切り離す車両動力補助システム。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両動力補助システムにおいて、前記開放回路は、前記電力変換回路と前記電動発電機との間に、スイッチング手段で構成された相開放回路を備え、
前記制御回路は、前記誘起電圧が前記電源電圧を超えるとき、前記相開放回路を使用して前記電力変換回路と前記電動発電機とを電気的に切り離す車両動力補助システム。 - 請求項4または請求項5に記載の車両動力補助システムにおいて、前記スイッチング手段と並列にサージ保護部品を接続した車両動力補助システム。
- 請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両動力補助システムにおいて、前記スイッチング手段を流れる電流を検出する検出手段を備え、前記制御回路は、前記誘起電圧が前記電源電圧を超え、且つ、前記検出手段で検出される電流がゼロのとき、前記スイッチング手段をオフにして前記電動発電機と前記直流電源とを電気的に切り離す車両動力補助システム。
- 請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両動力補助システムにおいて、前記制御装置は、前記車両の高速走行時に定められた条件を充足するとき、前記スイッチング手段をオフにして前記電動発電機と前記直流電源とを電気的に切り離し、前記定められた条件を充足しないとき、前記スイッチング手段をオンにし且つ弱め磁束制御を行いながら駆動アシストまたは回生制御を行う車両動力補助システム。
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