JP2019048008A - 磁気治療具およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟質性紐状体の内部に磁石が精度よく配置されていて、見た目や使用感に優れ、ばりの除去作業が不要な磁気治療具およびその製造方法を提供する。【解決手段】長手方向に延びた軟質性紐状体10と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている異方性磁石20a、20bとを有する磁気治療具1であって、前記軟質性紐状体は、長手方向に延びた第1紐状部材と第2紐状部材とを接合した接合体であり、前記軟質性紐状体が弾性チューブ状体25に収容されていることを特徴とする磁気治療具。【選択図】図1

Description

本発明は、首や腕などに掛けて使用され、磁気の作用により、血行促進などの効果が期待される磁気治療具およびその製造方法に関する。
磁石を有するネックレスやブレスレットを身に着けると、磁気の作用により、血行促進などの効果が得られることが知られている。例えば、柔軟で折り曲げ可能な軟質性紐状体と、その軟質性紐状体の内部に収容された磁石と、その軟質性紐状体の両端に備えられた連結具とを有する磁気治療具が知られている。
特許文献1には、シリコーンゴムに複数の磁石を収容した可撓性を有する長尺な磁性部(軟質性紐状体)を備えた磁気治療具が開示されている。この特許文献1には、磁気治療具の製造方法として、磁性部に対応する上型と下型とを備えた金型を用い、金型の磁性部に対応する部分にシリコーンゴムをセットし、そのセットしたシリコーンゴムに磁性体を配置した後、プレス成型する方法が開示されている。
特開2009−18060号公報
磁気治療具による磁気の作用を安定して得るためには、磁石の向きや間隔が不均一とならないように、磁石を軟質性紐状体の内部に精度よく配置することが必要となる。磁石を軟質性紐状体の内部に精度よく配置するため、軟質性紐状体を、長手方向に延びた第1紐状部材と第2紐状部材とを接合した接合体とし、第1紐状部材と第2紐状部材の間に磁石を配置することは有効である。例えば、特許文献1に開示されている磁気治療具では、上型と下型とにそれぞれセットしたシリコーンゴムを、プレス成型によって接合することによって、軟質性紐状体(磁性部)を製造している。
しかしながら、プレス成型のような金型を使用する方法では、金型と金型の間の隙間からシリコーンゴムが押し出されるため、パーティングラインと共にばりが発生しやすい。磁気治療具の軟質性紐状体にばりが発生していると、見た目が悪くなるばかりでなく、ばりの部分が人体に引っ掛かりため、装着感を損なうおそれがある。このため、通常は、軟質性紐状体に発生したばりを除去するが、ばりを除去する作業は時間が掛かるだけでなく、軟質性紐状体に傷をつける等の不良が発生する要因となる。また、ばりの除去の際に軟質性紐状体に傷がつくと、軟質性紐状体を長手方向に過剰な力で引っ張ったときに、その傷から亀裂が生じるおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、軟質性紐状体の内部に磁石が精度よく配置されていて、見た目や使用感に優れ、ばりの除去作業が不要な磁気治療具およびその製造方法を提供することにある。
本発明の発明者は、ばりが発生した軟質性紐状体を弾性チューブ状体に収容することにより、ばりの除去作業を行わなくても見た目や使用感に優れた磁気治療具とすることが可能となることを見出した。
従って、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様にかかる磁気治療具は、長手方向に延びた軟質性紐状体と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている磁石とを有する磁気治療具であって、前記軟質性紐状体は、長手方向に延びた第1紐状部材と第2紐状部材とを接合した接合体であり、前記軟質性紐状体が弾性チューブ状体に収容されていることを特徴としている。
(2)上記(1)に記載の磁気治療具において、前記磁石は異方性磁石であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の磁気治療具において、前記第1紐状部材は、前記第2紐状部材と接合する面に凹状に形成された凹状磁石支持部を有し、前記磁石の少なくとも一部が前記凹状磁石支持部に挿入されていてもよい。
(4)上記(1)〜(3)のうちいずれか1つに記載の磁気治療具において、さらに、前記軟質性紐状体の一端側に形成された第1クラスプ部および他端側に形成された第2クラスプ部を有し、前記第1クラスプ部および前記第2クラスプ部のうち、少なくともいずれか一方には、前記第1クラスプ部と前記第2クラスプ部とを脱着自在に係着させる係着手段が形成されていてもよい。
(5)本発明の一態様にかかる磁気治療具の製造方法は、磁石材と、表面に凹状に形成された凹状磁石支持部を有する第1紐状部材とを用意する工程と、前記第1紐状部材の前記凹状磁石支持部に、前記磁石材の少なくとも一部を挿入する工程と、前記第1紐状部材の前記磁石材が挿入されている側の表面に、第2紐状部材を接合させて、長手方向に延びた軟質性紐状体と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている前記磁石材とを有する成形体を得る工程と、前記成形体の軟質性紐状体を弾性チューブ状体に収容する工程と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている前記磁石材を着磁させる工程と、を有することを特徴としている。
(6)上記(5)に記載の磁気治療具において、前記磁石材は異方性磁石材であってもよい。
本発明によれば、軟質性紐状体の内部に磁石が精度よく配置されていて、見た目や使用感に優れ、ばりの除去作業が不要な磁気治療具およびその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかる磁気治療具の平面図である。 図1の磁気治療具の第1クラスプ部と第2クラスプ部を外した状態を示す平面図である。 図2のA部分の長手方向に沿った断面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 本実施形態の磁気治療具に用いられる異方性磁石周辺の磁束線を説明する概念図である。 第1実施形態にかかる磁気治療具の製造方法を説明するフロー図である。 第1実施形態にかかる磁気治療具の製造方法における用意工程で用意される異方性磁石材と第1紐状部材とを説明する図であって、(a)は長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の(b)−(b)線断面図である。 第1実施形態にかかる磁気治療具の製造方法における挿入工程で得られた異方性磁石材を挿入した第1紐状部材を説明する図であって、(a)は長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の(b)−(b)線断面図である。 第1実施形態にかかる磁気治療具の製造方法における接合工程で得られる成形体を説明する図であって、(a)は長手方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の(b)−(b)線断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる磁気治療具の平面図である。 図10のB部分の長手方向に沿った断面図である。
以下、本発明について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる磁気治療具の平面図である。図2は、図1の磁気治療具の第1クラスプ部30aと第2クラスプ部30bを外した状態を示す平面図である。図3は、図2のA部分の長手方向に沿った断面図であり、図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図1〜4に示すように、本実施形態の磁気治療具1は、軟質性紐状体10と、軟質性紐状体10の内部に収容されている異方性磁石20a、20bと、軟質性紐状体10が収容されている弾性チューブ状体25を有する。本実施形態では、2つの異方性磁石20a、20bで一つの強磁力発生部21を構成している。強磁力発生部21において、異方性磁石20aと異方性磁石20bとは、互いに反発する位置関係、すなわち、それぞれ同じ磁極が同じ側を向き、かつ互いに隣接する位置関係で支持固定されている。
磁気治療具1は、軟質性紐状体10の一端側に形成された第1クラスプ部30aおよび他端側に形成された第2クラスプ部30bを有する。第1クラスプ部30aと第2クラスプ部30bを係着させることによって、磁気治療具1は、図1に示すようにリングを形成する。リングを形成している磁気治療具1は、例えば、磁気ネックレス、磁気ブレスレットとして使用される。
(軟質性紐状体)
軟質性紐状体10は、−60℃以上60℃以下の温度範囲で、折り曲げ可能な弾性体であることが好ましい。
軟質性紐状体10の断面形状は本実施形態では円形であるが、折り曲げ可能であれば、その断面形状に、特に制限はなく、例えば、楕円形、多角形としてもよい。軟質性紐状体10の径(図3、4においてφ)は、特に限定されないが、例えば、0.3cm以上2cm以下の範囲である。また、軟質性紐状体10の長さ方向の長さは、特に限定されないが、例えば、ネックレスとして使用されるものは、30cm以上70cm以下の範囲であり、ブレスレットとして使用されるものは、10cm以上30cm以下の範囲である。
軟質性紐状体10は、長手方向に延びた第1紐状部材11と第2紐状部材15とを接合した接合体である。第1紐状部材11および第2紐状部材15は、軟質樹脂から形成されていることが好ましい。軟質樹脂としては、ゴムおよびエラストマーを用いることができる。ゴムの例としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。エラストマーの例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。第1紐状部材11および第2紐状部材15は、それぞれ異なる軟質樹脂から形成されていてもよいが、接合強度の観点から同一種の軟質樹脂から形成されていることが好ましい。本実施形態では、第1紐状部材11と第2紐状部材15ともにシリコーンゴムを用いている。シリコーンゴムを用いることによって、軟質性紐状体10は、軽量で柔軟性が高くなるとともに、生体親和性に優れたものとなる。第1紐状部材11と第2紐状部材15の接合部分には、ばり17が発生している。
第1紐状部材11は、第2紐状部材15と接合する面に凹状に形成された凹状磁石支持部12を有し、異方性磁石20a、20bの少なくとも一部が凹状磁石支持部12に挿入されている。本実施形態では、異方性磁石20a、20bの50体積%以上の部分が、凹状磁石支持部12に挿入されている。異方性磁石20a、20bが、凹状磁石支持部12に挿入されて、支持されることによって、異方性磁石20a、20bの配置位置が凹状磁石支持部12で決まるため、異方性磁石20a、20bの配置位置をより精度よく保持することができる。
凹状磁石支持部12の開口サイズは、異方性磁石20a、20bの底面(凹状磁石支持部12に挿入される側の下面)のサイズと同じもしくはわずかに狭い方が好ましい。この場合、凹状磁石支持部12と異方性磁石20a、20bの保磁力が高くなるので、異方性磁石20a、20bの配置位置がずれにくくなり、異方性磁石20a、20bの配置位置を精度よく保持できる。ただし、凹状磁石支持部12の開口サイズが狭くなり過ぎると、凹状磁石支持部12に異方性磁石20a、20bを挿入しにくくなるおそれがある。このため、凹状磁石支持部12の開口サイズは、異方性磁石20a、20bの底面のサイズに対して95%以上であることが好ましい。
本実施形態において、第1紐状部材11は、長手方向に沿った中央部に、長手方向に沿った両側部よりも盛り上がった凸部13を有し、凸部13に凹状磁石支持部12が設けられている。本実施形態では、凸部13の断面形状は、上底が下底よりも短い台形状とされている。凸部13を設けることによって、凹状磁石支持部12が深くなり、第1紐状部材11と異方性磁石20a、20bの保持力が向上する。このため、異方性磁石20a、20bの配置位置がよりずれにくくなり、異方性磁石20a、20bの配置位置をより精度よく保持できる。また、凸部13を設けることによって、第1紐状部材11と第2紐状部材との接合面積が広くなるので、第1紐状部材11と第2紐状部材15との接合力が強くなる。
第2紐状部材15は、第1紐状部材11と接合する面に凹状に形成された凹状磁石収容部16を有し、異方性磁石20a、20bの少なくとも一部が凹状磁石収容部16に収容されている。異方性磁石20a、20bが凹状磁石収容部16に収容されることによって、第2紐状部材15と異方性磁石20a、20bとの保持力が向上する。このため、異方性磁石20a、20bの配置位置がさらにずれにくくなり、異方性磁石20a、20bをさらに精度よく保持できる。また、第1紐状部材11と第2紐状部材15との接合力が強くなる。
(異方性磁石)
異方性磁石20a、20bは、図3、4に示すように、磁化方向が目視で判別できるように長方体にすることが望ましい。本実施形態では、幅方向(Y方向)の長さW、高さ方向(Z方向)の長さH、長手方向(X方向)の長さLが、1:2:4とされている。
また、異方性磁石20a、20bの高さ方向の長さHは、軟質性紐状体10の径φに対して、50%以上80%以下の範囲にあることが好ましい。Hがこの範囲にあると、異方性磁石20a、20bを凹状磁石収容部16で安定に支持することができ、異方性磁石20a、20bの配置位置がずれにくくなるとともに、高さ方向の軟質性紐状体10の厚さが薄くなり過ぎず、折り曲げなどによる軟質性紐状体10の割れや破損が生じにくくなる。
さらに、異方性磁石20a、20bの角および辺は、面取りまたはR加工されていることが好ましい。これによって、例えば、軟質性紐状体10が過剰に折り曲げられたとき、あるいは軟質性紐状体10に過度に圧力が負荷されたときでも異方性磁石20a、20bに微細な割れや欠けが生じにくくなる。
異方性磁石20a、20bの材料としては、希土類磁石、異方性フェライト磁石、異方性ラバー磁石など磁気治療具用の磁石として通常、使用されているものを利用することができる。本実施形態では、異方性磁石20a、20bとして希土類磁石を用いている。
本実施形態においては、2つの異方性磁石20a、20bで一つの強磁力発生部21を構成している。強磁力発生部21では、異方性磁石20aと異方性磁石20bとは互いに反発する位置関係で支持固定されている。これによって、強磁力発生部21は、単独の異方性磁石と比較して、遠く離れた位置に磁気を届けることが可能な強い磁力を発生させることができる。この理由を、図5を参照しながら説明する。
図5(a)は、異方性磁石20を単独で配置したときの異方性磁石20の周りに分布する磁束線の状態を表す概念図である。図5(a)において破線で表されるように、異方性磁石20を単独で配置した場合、近くに他の磁石が配置されていないため、異方性磁石20の周辺は、異方性磁石20のN極から磁束が出て、同じ異方性磁石20のS極に戻り、異方性磁石20から近い領域に磁束が集中する磁気回路が形成される。そのため、異方性磁石20の磁束は、異方性磁石20から遠くへ及ばない。
図5(b)は、異なる磁極が同じ側を向く2つの異方性磁石20a、20bを、互いに隣接するように配置したときの異方性磁石20a、20bの周りに分布する磁束線の状態を表す概念図である。図5(b)において破線で表されるように、異なる磁極が同じ側を向く2つの異方性磁石20a、20bを、互いに隣接するように配置した場合、一方の異方性磁石のN極と他方の異方性磁石のS極とが接近して配置されているため、異方性磁石20a、20bのN極から出た磁束は、近接する他の異方性磁石のS極か、又は同じ異方性磁石のS極へ戻る。従って、異方性磁石20a、20bから近い領域に磁束が集中する磁気回路が形成される。そのため、異方性磁石20a、20bの磁束は、異方性磁石20a、20bから遠くへ及ばない。
図5(c)は、同じ磁極が同じ側を向く2つの異方性磁石20a、20bを、互いに隣接するように配置したときの異方性磁石20a、20bの周りに分布する磁束線の状態を表す概念図である。図5(c)において破線で表されるように、同じ磁極が同じ側を向く2つの異方性磁石20a、20bを、互いに隣接するように配置した場合、一方の異方性磁石のN極(又はS極)と他方の異方性磁石のN極(又はS極)とが接近して配置されているため、異方性磁石20a、20bのN極から出た磁束は、近接する他の異方性磁石のN極の影響により、異方性磁石に近接する領域を通過してS極へ戻ることが阻害される。従って、異方性磁石20a、20bから遠い領域に磁束が集中する磁気回路が形成される。そのため、異方性磁石20a、20b(強磁力発生部21)から遠く離れた位置に磁気を届けることができる。
本実施形態では、一つの強磁力発生部21を構成する2つの異方性磁石20a、20bを揃えて(平行)に並べる必要がある。着磁の際、磁界を印加する方向は一定のため、磁石材の向きが揃っていないと規定の磁界を得られない場合がある。従って、着磁をさせる前の磁石材を軟質性紐状体の内部に精度よく配置することが必要となる。
(弾性チューブ状体)
弾性チューブ状体25には、軟質性紐状体10が収容されている。軟質性紐状体10は、ばり17が発生した状態で、弾性チューブ状体25に収容されている。軟質性紐状体10が弾性チューブ状体25に収容されているので、ばり17が見えにくくなり、またばり17が人体に直接接触しなくなるので、使用感が向上する。
弾性チューブ状体は、折り曲げ可能な弾性体である。弾性チューブ状体25は、弾性が軟質性紐状体10よりも高いことが好ましい。弾性チューブ状体25を高弾性とすることによって、軟質性紐状体10が変形しにくくなるので、形状の安定性が向上する。また、弾性チューブ状体25の肉厚は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上2mm以下の範囲である。
弾性チューブ状体25の材料としては、ゴムおよびエラストマーを用いることができる。ゴムの例としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。エラストマーの例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。本実施形態では、シリコーンゴムを用いている。
(第1クラスプ部、第2クラスプ部)
第1クラスプ部30aおよび第2クラスプ部30bは、その少なくとも一方に、第1クラスプ部30aと第2クラスプ部30bとを脱着自在に係着させる係着手段が形成されている。係着手段としては、例えば、永久磁石を用いることができる。
(磁気治療具の製造方法)
次に、本実施形態の磁気治療具1の製造方法について、図6〜9を参照して説明する。
本実施形態の磁気治療具1の製造方法は、図6に示すように、用意工程S01と、挿入工程S02と、接合工程S03と、収容工程S04と、着磁工程S05とを有する。
(用意工程)
用意工程S01では、図7に示すように、異方性磁石材22a、22bと、第1紐状部材11とを用意する。
異方性磁石材22a、22bは、着磁によって、異方性磁石20a、20bを生成する部材である。異方性磁石材22a、22bは長方体であり、角および辺は面取りまたはR加工されている。これによって、次の挿入工程S02において、第1紐状部材11の凹状磁石支持部12に挿入する際の作業を円滑に行うことが可能となる。異方性磁石材22a、22bは、例えば、磁界を印加しながら、磁石材料の粉体を固めることにより作製することができる。これにより磁化容易軸が揃った異方性磁石材22a、22bを得ることができる。
第1紐状部材11は、表面に凹状に形成された凹状磁石支持部12を有する。凹状磁石支持部12は、異方性磁石材22a、22bを収容して支持する。また、第1紐状部材11は、長手方向に沿った中央部に、断面形状が、上底が下低よりも短い台形状の凸部13を有する。第1紐状部材11の作製方法は原料の軟質樹脂の種類によっても異なるが、例えば、軟質樹脂としてシリコーンゴムを用いる場合は、金型成形によって作製することができる。
(挿入工程)
挿入工程S02では、図8に示すように、上記用意工程S01で用意した第1紐状部材11の凹状磁石支持部12に、異方性磁石材22a、22bを挿入する。この場合、成型済みの第1紐状部材11の凹状磁石支持部12に異方性磁石材22a、22bを挿入するので、従来のように、硬化前のシリコーンゴムに磁石材を配置する場合に比して、磁石材を精度よく配置することができる。
(接合工程)
接合工程S03では、上記挿入工程S02で異方性磁石材22a、22bを挿入した第1紐状部材11の異方性磁石材22a、22bが挿入されている側の表面に、第2紐状部材15を接合させる。例えば、軟質樹脂としてシリコーンゴムを用いる場合は、図9に示すように、磁気治療具製造用金型40を使用して第1紐状部材11と第2紐状部材15を接合させることができる。磁気治療具製造用金型40は、第1金型41(下型)と第2金型42(上型)から構成されている。第1金型41及び第2金型42は、それぞれ半円筒状に彫り込まれた凹部を有し、これらを組み合わせることによって内部に円筒を有する磁気治療具製造用金型40が形成される。具体的には、先ず、異方性磁石材22a、22bを挿入した第1紐状部材11を第1金型41に配置する。次いで、第1紐状部材11の上に未硬化のシリコーンゴムを配置した後、第1金型41と第2金型42とを組み合わせて、磁気治療具製造用金型40を形成する。この磁気治療具製造用金型40の内部は、第1紐状部材11と未硬化のシリコーンゴムが充填された状態となる。そして、この磁気治療具製造用金型40を加熱して、未硬化のシリコーンゴムを硬化させることによって、第2紐状部材15を生成させるとともに第1紐状部材11と第2紐状部材15とを接合させる。こうして、長手方向に延びた軟質性紐状体10と、軟質性紐状体10の内部に収容されている異方性磁石材22a、22bとを有する成形体を得る。この形成体は、第1紐状部材11と第2紐状部材15の接合部分にばり17が発生している。
(収容工程)
収容工程S04では、上記接合工程S03で得られた成形体の軟質性紐状体10を弾性チューブ状体に収容する。
成形体を弾性チューブ状体に収容する方法としては、弾性チューブ状体の内径を拡げながら、成形体を弾性チューブ状体に圧入する方法、熱収縮性の弾性チューブ状体を用いて、熱収縮性の弾性チューブ状体に成形体を挿入した後、弾性チューブ状体を加熱して熱収縮させる方法を用いることができる。
(着磁工程)
着磁工程S05では、上記接合工程S03で得られた成形体の異方性磁石材22a、22bを着磁させる。異方性磁石材22a、22bを着磁させる方法としては、一般に磁石材を着磁させるために使用されている着磁器を用いることができる。このとき、着磁の磁界方向と異方性磁石材22a、22bの向きを揃えて着磁を行う。特に異方性磁石材の場合には、磁化容易軸が揃っているので異方性磁石材の向きが揃っていないと、一定方向の磁界を印加して着磁を行った時に、それぞれの磁石において十分な磁力が発現しないおそれがある。本実施形態の場合には、異方性磁石材22a、22bの向きや間隔が不均一とならないように、異方性磁石材22a、22bを精度よく配置することができるので、着磁工程S04により十分な磁力を得ることができる。なお、着磁工程S05は、収容工程S04の前に実施してもよいし、収容工程S04の後に実施してもよい。
以上のようにして軟質性紐状体10が弾性チューブ状体25に収容された磁気治療具が得られる。この磁気治療具の軟質性紐状体10に、第1クラスプ部30aと第2クラスプ部30bを形成することによって、本実施形態の磁気治療具1が完成する。第1クラスプ部30aと第2クラスプ部30bを形成する方法としては、例えば、用意工程S01で用意する第1紐状部材11の両端にクラスプ(留め具)を取り付ける方法、接合工程S03で得られた成形体の両端にクラスプを取り付ける方法を用いることができる。
以上のように構成された本実施形態の磁気治療具1においては、軟質性紐状体10が弾性チューブ状体25に収容されているので、軟質性紐状体10のばり17を除去する作業を行わなくても見た目や使用感に優れたものとなる。また、本実施形態の磁気治療具1では、軟質性紐状体10が、長手方向に延びた第1紐状部材11と第2紐状部材15とを接合した接合体であり、第1紐状部材11は、第2紐状部材15と接合する面に凹状に形成された凹状磁石支持部12を有し、異方性磁石20a、20bの少なくとも一部が凹状磁石支持部12に挿入されているので、異方性磁石20a、20bの向きや間隔が不均一とならないように、精度よく異方性磁石20a、20bを配置させることができる。さらに、本実施形態の磁気治療具1では、異方性磁石20a、20bを用いているので、安定した磁力の効果を発揮させることができる。
本実施形態の磁気治療具1の製造方法においては、収容工程S04にて、接合工程S03で得られた成形体の軟質性紐状体10を弾性チューブ状体25に収容するので、軟質性紐状体10のばり17を除去する作業を行わなくても見た目や使用感に優れた磁気治療具1を製造することができる。また、挿入工程S02で第1紐状部材11の凹状磁石支持部12に、異方性磁石材22a、22bを挿入した後、接合工程S03で、第1紐状部材11と第2紐状部材15とを接合させるので、異方性磁石材22a、22bを精度よく配置することができる。さらに、接合工程S03において、長手方向に延びた軟質性紐状体10と、軟質性紐状体10の内部に収容されている異方性磁石材22a、22bとを有する成形体を得た後、着磁工程S05で異方性磁石材22a、22bを着磁させるので、着磁させた異方性磁石20a、20bの磁力が安定する。従って、本実施形態の磁気治療具1の製造方法によれば、異方性磁石20a、20bを精度よく配置することができ、かつより安定した磁力の効果を発揮することができる磁気治療具1を製造することができる。
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態にかかる磁気治療具の平面図である。図11は、図10のB部分の長手方向に沿った断面図である。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10及び図11に示すように、本実施形態にかかる磁気治療具2は、軟質性紐状体10の異方性磁石20a、20bを収容しない部分がくびれている。すなわち、第1紐状部材11には第1くびれ部14が形成されていて、第2紐状部材15には第2くびれ部18が形成されている。そして、弾性チューブ状体25には、第1くびれ部14及び第2くびれ部18の段差に沿って、くびれ部26が形成されている。
本実施形態の磁気治療具2では、軟質性紐状体10の第1くびれ部14及び第2くびれ部18の段差に沿って、弾性チューブ状体25にくびれ部26が形成されているので、くびれ部26を有しない場合と比較して、軟質性紐状体10と弾性チューブ状体25との間の摩擦抵抗が大きくなる。これにより、弾性チューブ状体25が引っ張られても、弾性チューブ状体25が軟質性紐状体10から外れにくくなる。よって、本実施形態の磁気治療具2によれば、長期間にわたって、見た目や使用感に優れ、パーティングラインで亀裂が生じにくくなる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、上記の各実施形態では、2つの異方性磁石20a、20bを、互いに反発する位置関係、すなわち、それぞれ同じ磁極が同じ側を向き、かつ互いに隣接する位置関係で支持固定することによって、一つの強磁力発生部21を構成したが、この場合に限定されるものではない。具体的には、複数個の異方性磁石を互いに離れた位置に配置して、各異方性磁石にて発生する磁気を人体に作用させるようにしてもよい。
また、上記の各実施形態では、磁石として長方体の異方性磁石20a、20bを用いているが、これに限定されるものではない。具体的には、磁石として等方性磁石を用いてもよい。また磁石の形状は、楕円柱状、多角柱状などの柱状とすることができる。
また、上記の各実施形態では、第1紐状部材11、51の凸部13、53は上底が下低よりも短い台形状とされているが、これに限定されるものではない。具体的には、凸部は半円状、半楕円状とすることができる。
また、軟質性紐状体10と弾性チューブ状体25との間の摩擦抵抗を大きくして、弾性チューブ状体25を軟質性紐状体10から外れにくくするために、軟質性紐状体10の表面の一部もしくは全部にローレット加工等を施してもよい。
さらに、磁気治療具の見栄えをよくするために、弾性チューブ状体25の外周面を着色してもよい。
1、2…磁気治療具、10…軟質性紐状体、11…第1紐状部材、12…凹状磁石支持部、13…凸部、14…第1くびれ部、15…第2紐状部材、16、…凹状磁石収容部、17…ばり、18…第2くびれ部、20、20a、20b…異方性磁石、21…強磁力発生部、22a、22b…異方性磁石材、25…弾性チューブ状体、26…くびれ部、30a…第1クラスプ部、30b…第2クラスプ部、40…磁気治療具製造用金型、41…第1金型、42…第2金型

Claims (6)

  1. 長手方向に延びた軟質性紐状体と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている磁石とを有する磁気治療具であって、
    前記軟質性紐状体は、長手方向に延びた第1紐状部材と第2紐状部材とを接合した接合体であり、
    前記軟質性紐状体が弾性チューブ状体に収容されていることを特徴とする磁気治療具。
  2. 前記磁石が異方性磁石である請求項1に記載の磁気治療具。
  3. 前記第1紐状部材は、前記第2紐状部材と接合する面に凹状に形成された凹状磁石支持部を有し、前記磁石の少なくとも一部が前記凹状磁石支持部に挿入されている請求項1又は2に記載の磁気治療具。
  4. さらに、前記軟質性紐状体の一端側に形成された第1クラスプ部および他端側に形成された第2クラスプ部を有し、前記第1クラスプ部および前記第2クラスプ部のうち、少なくともいずれか一方には、前記第1クラスプ部と前記第2クラスプ部とを脱着自在に係着させる係着手段が形成されている請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の磁気治療具。
  5. 磁石材と、表面に凹状に形成された凹状磁石支持部を有する第1紐状部材とを用意する工程と、
    前記第1紐状部材の前記凹状磁石支持部に、前記磁石材の少なくとも一部を挿入する工程と、
    前記第1紐状部材の前記磁石材が挿入されている側の表面に、第2紐状部材を接合させて、長手方向に延びた軟質性紐状体と、前記軟質性紐状体の内部に収容されている前記磁石材とを有する成形体を得る工程と、
    前記成形体の軟質性紐状体を弾性チューブ状体に収容する工程と、
    前記軟質性紐状体の内部に収容されている前記磁石材を着磁させる工程と、を有することを特徴とする磁気治療具の製造方法。
  6. 前記磁石材が異方性磁石材である請求項5に記載の磁気治療具の製造方法。
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