JP2019045488A - 状態監視装置のノイズ除去方法および状態監視装置 - Google Patents

状態監視装置のノイズ除去方法および状態監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノイズ除去による状態監視への悪影響を抑えつつ、確実にノイズを除去することができる状態監視装置を提供する。
【解決手段】状態監視装置のデータ演算部は、測定した波形に対してノイズ除去方法を実行し、インパルスノイズを除去する。ノイズ除去方法は、センサによって測定した測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準値Y1を決定するステップS2と、基準値Y1以上のノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズWSを決定するステップS3と、処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、処理ウインドウ内のデータ群から置換データ(実効値RMS2)を生成し、ノイズ波形のデータを置換データに置換するステップS4とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明はセンサを用いる状態監視装置に関し、特に状態監視装置のノイズ除去方法およびそのノイズ除去方法を用いる状態監視装置に関する。
特開2012−147276号公報(特許文献1)は、受信装置およびインパルスノイズ除去方法を開示する。インパルスノイズ除去方法の例としては、1)ノイズ除去部が、ノイズ位置の出力値を「0」へ置換することによって、インパルスノイズを除去する方法、2)ノイズ位置における出力値を時間平均値へ置換することによって、インパルスノイズ成分を減衰する方法、3)一般的なインパルスノイズの波形(以下、「ノイズレプリカ」と記載する)をあらかじめ記憶しておき、ノイズ位置における波形に対してノイズレプリカ分を減算することによって、インパルスノイズ成分を減衰する方法などが示されている。
特開2012−147276号公報
特開2012−147276号公報に示されたインパルスノイズの除去方法では、除去後のノイズ部のデータとその前後のデータとの差が大きくなる場合があり、元々ノイズがない波形と比べると不自然な波形となる。したがって、ノイズを除去することによって、そのデータに正常データとの差異が生じ、正常であるにもかかわらず異常と誤判定するおそれがある。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、状態監視装置において、ノイズ除去による状態監視への悪影響を抑えつつ、確実にノイズを除去することができる状態監視装置およびノイズ除去方法を提供することである。
本開示は、要約すると、被試験装置に設置されたセンサの出力を受ける状態監視装置に関し、状態監視装置は、センサによって測定した測定期間の波形のデータを取得するデータ取得部と、取得した測定期間の波形からノイズを除去するデータ演算部とを備える。データ演算部は、測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準範囲を決定し、基準範囲の上限値以上または基準範囲の下限値以下の大きさのノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、前記測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズを決定し、処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データを生成し、ノイズ波形のデータを置換データに置換する。
好ましくは、データ演算部は、処理ウインドウを測定期間の波形の先頭から所定データ数ずつ移動させる毎に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データを決定する。
好ましくは、データ演算部は、処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替え、昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータを用いて置換データを算出する。
より好ましくは、データ演算部は、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータを用いて置換データを算出する。
より好ましくは、データ演算部は、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータと大きい方から所定割合の数のデータとを除外して、残りのデータ群から前記置換データを算出する。
好ましくは、データ演算部は、測定期間の波形のデータが基準範囲の内側のデータから基準範囲の外側のデータに遷移する時点と、測定期間の波形のデータが範囲の外側であるデータから基準範囲の内側のデータに遷移する時点との間に含まれるデータ数の倍数を処理ウインドウのサイズとして決定する。
本開示の他の局面は、センサを用いる状態監視装置のノイズ除去方法に関する。ノイズ除去方法は、センサによって測定した測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準範囲を決定するステップと、基準範囲の上限値以上または基準範囲の下限値以下の大きさのノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズを決定するステップと、処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データを生成し、ノイズ波形のデータを置換データに置換するステップとを備える。
好ましくは、置換するステップは、処理ウインドウを測定期間の波形の先頭から所定データ数ずつ移動させる毎に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データを決定する。
好ましくは、置換するステップは、処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替えるステップと、昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータを用いて置換データを算出するステップとを含む。
より好ましくは、置換データを算出するステップは、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータを用いて置換データを算出する。
より好ましくは、置換データを算出するステップは、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータと大きい方から所定割合の数のデータとを除外して、残りのデータ群から置換データを算出する。
好ましくは、処理ウインドウのサイズを決定するステップは、測定期間の波形のデータが範囲の内側のデータから基準範囲の外側のデータに遷移する時点と、測定期間の波形のデータが基準範囲の外側であるデータから基準範囲の内側のデータに遷移する時点との間に含まれるデータ数の倍数を処理ウインドウのサイズとして決定する。
本発明の状態監視装置およびノイズ除去方法によれば、ノイズ除去が状態監視に与える悪影響を抑えつつ確実にノイズを除去することができる。
実施の形態1に係る状態監視装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の状態監視装置に適用されるノイズ除去方法の処理を示すフローチャートである。 インパルスノイズを含まないAEセンサの出力波形(電圧波形)の一例を示した図である。 インパルスノイズを含むAEセンサの出力波形(電圧波形)の一例を示した図である。 データ演算部でインパルスノイズの除去処理を施した後の電圧波形の一例を示した図である。 図2のステップS2(ウインドウサイズ用のしきい値の決定)の処理の詳細を示すフローチャートである。 図2のステップS3(ウインドウサイズの決定)の処理の詳細を示すフローチャートである。 処理ウインドウ内のデータ数と、実効値が基準値Y1(=RMS1×10)以上となるデータ数DNとの関係を示す図である。 図8の波形の最初のインパルスノイズ付近を拡大して示した図である。 図2のステップS4(ノイズ検出及び除去)の処理の詳細を示すフローチャートである。 ステップS53の処理ウインドウの要素E(n)の設定、ステップS54のデータの並べ替え、およびステップS55の演算について説明するための概念図である。 ノイズを含む原波形(図4)に対してメディアンフィルタ処理を施した電圧波形(比較例1)を示す図である。 ノイズを含む原波形(図4)に対してノイズ判別しきい値を一定値に固定してノイズ除去処理を行なった場合の電圧波形(比較例2)を示す図である。 ノイズ無し波形、ノイズ有り波形、ノイズ除去波形(実施例)、比較例1,2の波形から実効値を特徴量として算出した結果を比較した図である。 ノイズ無し波形、ノイズ有り波形、ノイズ除去波形(実施例)、比較例1,2の波形から波高率を特徴量として算出した結果を比較した図である。 負方向のインパルスノイズを含む電圧波形例である。 実施の形態2において状態監視装置に適用されるノイズ除去方法の処理を示すフローチャートである。 図17のステップS103の処理の詳細を示すフローチャートである。 図17のステップS104(ウインドウサイズの決定)の処理の詳細を示すフローチャートである。 図17のステップS105(ノイズ検出及び除去)の処理の詳細を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
[実施の形態1]
[状態監視装置の基本構成]
図1は、実施の形態1に係る状態監視装置の構成を示すブロック図である。図1を参照して、状態監視装置100は、被試験装置10に設置されたAE(Acoustic Emission)センサ20から信号を受けて、被試験装置10の状態を監視し、異常を検出する。被試験装置10は、例えば工場や発電所などに設置された回転機器を含む設備であり、AEセンサ20は、回転時に生じる異常振動を検出することができる。なお、実施の形態1では、監視対象としてAEを例示する。AEとは、材料が変形あるいは破壊する際に、内部に蓄えていた弾性エネルギーを音波(弾性波、AE波)として放出する現象である。しかし、設備の運転状況を確認できる出力信号であれば、監視対象はAEセンサ以外の検出信号であっても良い。例えば、振動、温度、負荷トルク、モータ電力等を検出するセンサをAEセンサ20に代えて使用しても良い。
状態監視装置100は、アンプ110と、A/Dコンバータ120と、データ取得部130と、記憶装置140と、データ演算部150と、表示部160とを含む。
回転機械に設置したAEセンサ20の電圧波形(以下、AEの電圧波形)は、アンプ110の回路においてエンベロープ処理されている。A/Dコンバータ120は、アンプ110の出力信号を受ける。データ取得部130は、A/Dコンバータ120からデジタル信号を受けてドリフト補正処理を行ない、記憶装置140に測定データを記録する。データ演算部150は、記憶装置140から測定しておいた測定データを読み出して、インパルスノイズを除去する。ノイズが除去された測定データは、被試験装置10の異常を判別する特徴量を抽出するために用いられる。データ演算部150は、ノイズが除去された測定データから被試験装置10の異常の有無を判断する。データ演算部150は、異常の有無を判断した場合、表示部160にその結果を表示させる。
[インパルスノイズ除去方法の説明]
図2は、実施の形態1の状態監視装置に適用されるノイズ除去方法の処理を示すフローチャートである。実施の形態1のノイズ除去方法は、センサを用いる図1の状態監視装置100のデータ演算部150において、以下のステップS1〜S4が実行されることを特徴とする。なお、測定データは、波形の離散点のデジタルデータである。測定データは、データ取得部130によって予めドリフト補正処理(所定期間の平均値が零となるように波形のレベルを調整する処理)されて、記憶装置140に記憶されている。ステップS1〜S4の詳細は後述するが、まずステップS1〜S4の概要を説明する。
ステップS1は、ドリフト補正されたセンサの出力波形を記憶装置140から読み出す処理である。なお、AEセンサ20の出力信号を記憶する前にドリフト補正処理しても良いし、ドリフト補正前の波形を記憶しておき、これを読み出した後にドリフト補正してデータ演算部150に入力しても良い。
ステップS2は、測定データ全体を統計処理し、ウインドウサイズ決定用のしきい値(基準値Y1)を決定する処理である。
ステップS3は、ステップS2で得られたしきい値とサイズ可変ウインドウによって、ノイズパルスを少なくとも1個内包するウインドウサイズWSを決定する処理である。パルスを少なくとも1個内包するようにウインドウサイズWSを決定する理由は、サイズがノイズパルス1個分より狭いとノイズパルスを完全に除去できない一方で、サイズが大きすぎても処理時間がかかるからである。
なお、ステップS3では、ループ処理によってウインドウサイズを徐々に大きくしながらノイズパルスを内包するか否かを判定しているが、サイズ可変ウインドウがノイズパルス1個分を内包した時点で、高速化のために処理は終了される。
ステップS4の前半では、ステップS3で決定したウインドウサイズの処理ウインドウをデータに対し所定データ数ずつスライドさせた時に、その処理ウインドウで基準値Y2を決定し、その基準値Y2を用いて処理ウインドウ内のノイズデータを特定する。
ステップS4の後半では、ノイズデータを処理ウインドウ内の絶対値処理後の昇順上位10%以上50%以下の統計量で置換する。
実施の形態1のノイズ除去方法が適用される波形を測定するセンサ20としては、AEセンサを例示したが、振動を測定するためのセンサであればよく、加速度センサ、速度センサ、変位センサ、AEセンサ、超音波センサ、温度センサ、音響センサのいずれであっても良い。
また、実施の形態1のノイズ除去方法が適用される波形から得られる統計量は、実効値、最大値、波高率、変調値、尖度、歪度、標準偏差を例示でき、統計量算出前の前処理としてバンドパスフィルタ処理やFFT(Fast Fourier Transform)処理やケプストラム処理を施しても良い。
なお、ノイズの発生要因は多々あり、電気的要因と機械的要因が挙げられる。電気的要因は、静電気の放電、スイッチやリレーにおける接点開閉時の放電などであり、機械的要因は、運転中に機械部品同士が接触することによるインパルス加振などである。
図3は、インパルスノイズを含まないAEセンサの出力波形(電圧波形)の一例を示した図である。図4は、インパルスノイズを含むAEセンサの出力波形(電圧波形)の一例を示した図である。図5は、データ演算部でインパルスノイズの除去処理を施した後の電圧波形の一例を示した図である。各々の波形の測定条件は、サンプリング速度:100kHz、データ長さ:5secである。
次に、図2の各ステップの詳細を説明する。図6は、図2のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。図1、図6を参照して、ステップS11において、データ演算部150は、記憶装置140からドリフト補正処理された波形を読み込む。続いてステップS12において、データ演算部150は、図3〜図5に示したような1波形の全データに対して実効値RMS1を算出する。実効値RMS1は、1波形の全データの二乗平均平方根(Root Mean Square)で与えられる。そして、ステップS13において、データ演算部150は、読み込んだ波形に対応する実効値RMS1の10倍の値を後に使用する基準値Y1としてメインルーチンに返す。
図7は、図2のステップS3(ウインドウサイズの決定)の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS3の処理では、処理ウインドウのウインドウサイズWSを決定するために、データの最初の点を基点としてウインドウサイズを1点ずつ増やしていきデータを抽出し昇順に並べる。なお、高速化のために、サイズ可変な処理ウインドウがノイズ1個分を内包した時点で、ループ処理を終了する。
まず、ステップS21において、データ演算部150は、記憶装置140からドリフト補正処理された波形を読み込む。ステップS22において、ループの判定に使用する変数iをゼロに初期化する。続いてステップS23において、データ演算部150は、変数iをインクリメントする。ステップS24において、変数iが3以上になるまで、ステップS23のインクリメント処理が実行される。
ステップS24において、変数iが3以上であった場合、ステップS25においてデータ演算部150は、処理ウインドウ内のデータ数をi個とし、最初のデータD(1)からi番目のデータD(i)までが処理ウインドウ内データであると定義する。続いて、ステップS26において、データ演算部150は、データD(1)〜D(i)の中から実効値が基準値Y1(=RMS1×10)以上であるデータ数DN(i)を算出し、記憶装置140に記憶する。
そしてステップS27において、データ演算部150は、現在の処理ウインドウ(サイズi個)のデータ数DN(i)に加えて、1ループ前の処理ウインドウ(サイズi−1個)のデータ数DN(i−1)、2ループ前の処理ウインドウ(サイズi−2個)のデータ数DN(i−2)を記憶装置140から読み出し、以下の式(1),(2)のように判定値A1,A2を算出する。
A1=DN(i)−DN(i−1) …(1)
A2=DN(i−1)−DN(i−2) …(2)
図8は、処理ウインドウ内のデータ数と、実効値が基準値Y1(=RMS1×10)以上となるデータ数DNとの関係を示す図である。図9は、図8の波形の最初のインパルスノイズ付近を拡大して示した図である。
判定値A1=1、A2=0となる場合は、インパルスノイズの開始時(パルス立ち上がり時)なのでこの時の位置をTP1とし、判定値A1=0、A2=1となる場合は、インパルスノイズの終了時(パルス立ち下がり時)なのでこの時の位置をTP2とする(ステップS28〜S31)。
なお、判定値A1=0、A2=0となる場合は、インパルスノイズの開始前またはインパルスノイズの終了後であり、判定値A1=1、A2=1となる場合は、インパルスノイズの最中であり、これらはいずれもステップS28でNO、かつステップS30でNOと判定される。
ステップS22〜S31の処理によって、位置TP1およびTP2が決定されると、ステップS32において、データ演算部150は、ウインドウサイズWSを算出する。ウインドウサイズWSは、インパルスノイズ1個分に相当する大きさ(TP2−TP1)を十分に内包する大きさが必要である。このため、式(3)によって算出したTP1、TP2の差分の10倍にウインドウサイズWSを定める。なお、ウインドウサイズWSは必ずしも差分の10倍である必要はなく、演算処理速度とノイズ除去性能の兼ね合いによって適宜倍率を決めても良い。
WS=10×(TP2−TP1) …(3)
ウインドウサイズWSが算出されたら、ステップS33において、データ演算部150は、ウインドウサイズWSをメインルーチンに返す。
続いて、図2のステップS4について説明する。図10は、図2のステップS4(ノイズ検出及び除去)の処理の詳細を示すフローチャートである。
図1、図10を参照して、まず、ステップS51において、データ演算部150は、記憶装置140からドリフト補正処理された波形を読み込む。ステップS52において、初期の処理ウインドウを設定する。このときの処理ウインドウのサイズは、図7のフローチャートの処理で決定されたウインドウサイズWSであり、処理ウインドウの位置は、観測時間の最初の時刻に取得されたデータが処理ウインドウの最初のデータとなるように設定される。この処理ウインドウの最初のデータの位置を示す変数をnとすると、n=1に設定される。
続いて、ステップS53において、要素E(n)として、処理ウインドウ内の最初のデータの値が記憶される。このときにステップS53Aにおいて、処理ウインドウ内のデータを絶対値化する。その後ステップS54において、データの並べ替え処理が実行され、ステップS55において並べ替えたデータから実効値RMS2および標準偏差σが演算され、これらを用いて基準値Y2(=15σ+RMS2)が演算される。
図11は、ステップS53の処理ウインドウの要素E(n)の設定、ステップS54のデータの並べ替え、およびステップS55の演算について説明するための概念図である。
処理ウインドウの最初のデータは要素E(n)であり、処理ウインドウのサイズは、ウインドウサイズWSである。処理ウインドウの最後のデータは要素E(n+WS−1)となる。n=1の場合は処理ウインドウがノイズ除去対象波形の最初のWS個の要素E(1)〜E(WS−1)で構成される。処理ウインドウは、nが増えるにつれて時間の増加方向にスライドする。
データ演算部150は、処理ウインドウ内のデータを昇順に並べ替える。並べ替えが終了すると、インパルスノイズ成分は昇順の順位が後方の部分に集中する。並べ替えが終了すると、ステップS55において、データ演算部150は、昇順で上位50%のデータの実効値を演算し、これをRMS2として記憶する。また、データ演算部150は、昇順で上位50%のデータの標準偏差を演算し、これをσとして記憶する。
図11をみればわかるように、インパルスノイズ成分は、昇順の順位において後方に集中するので、昇順上位50%には、インパルスノイズ成分はほとんど入らないことが期待できる。したがって、実効値RMS2および標準偏差σは、それぞれ処理ウインドウ内のインパルスノイズを除いた波形の実効値および標準偏差に近い値となる。実効値RMS2および標準偏差σから、基準値Y2(=15σ+RMS2)が算出される。
再び図10に戻り、ステップS54,S55の処理の後に、データ演算部150は、ステップS56において、要素E(n)が基準値Y2以上であるか否かを判断する。ここで、基準値Y2は、要素E(n)がインパルスノイズのデータであるか否かを判断するための判定値である。ステップS55で算出されたこの判定値は、必ずしも(15σ+RMS2)である必要はなく、インパルスノイズの高さや幅に合わせて変更されても良い。
E(n)≧Y2の場合(S56でYES)、ステップS57に示すようにE(n)がノイズの成分であると判断される。この場合、ステップS58において、要素E(n)として記憶されていたデータが、実効値RMS2に置換される。一方、E(n)<Y2の場合(S56でNO)、ステップS59に示すように、E(n)はノイズの成分でないと判断され、データはそのまま維持され、置換されない。
ステップS58またはS59の処理が終了すると、ステップS60において、要素E(n)がノイズ除去処理後の波形データとして記憶される。そして、ステップS61において、データ演算部150は、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達したか否かを判断する。
ステップS61において、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達していないと判断された場合には、ステップS62において処理ウインドウをデータ1点分後ろにスライドさせる。これはnに1を加算する処理に対応する。そして、ステップS53〜S61の処理が再び実行される。
一方、ステップS61において、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達したと判断された場合には、ステップS63において処理はメインルーチンに戻される。
このように、図10に示したノイズ除去処理では、ウインドウサイズWSを適用した処理ウインドウを全波形データに対してスライドさせていく。処理ウインドウ内のデータの最初の値をE(n)として記憶し、E(n)がノイズ成分である場合には、E(n)の記憶値をRMS2へ置換する。
(比較評価)
ノイズを含む電圧波形に対し、実施の形態1で説明したノイズ除去処理を施した場合と、比較例として他のノイズ除去処理を施した場合とにおいて、その電圧波形と波形から算出した特徴量(時間領域の実効値、時間領域の波高率)がどのように異なるかを評価した。ノイズ除去後の波形形状と波形から算出した特徴量が、ノイズ無し波形から得た特徴量に近いほど優れたノイズ除去方法といえる。特徴量については、ばらつきを評価するために別データで10回の計算を行った。
比較例1としては、一般的な手法であるメディアンフィルタ処理(スライドウインドウ内のデータを昇順に並べ替えた場合の中央値を返す)を行なった。比較例2としては、図10のアルゴリズムにおいて、ステップS56でノイズ判別を行なうための基準値Y2(=15σ+RMS2)を計算せず、固定値をしきい値およびノイズに置換する値とした。
図12は、ノイズを含む原波形(図4)に対してメディアンフィルタ処理を施した電圧波形(比較例1)を示す図である。図13は、ノイズを含む原波形(図4)に対してノイズ判別しきい値を一定値に固定してノイズ除去処理を行なった場合の電圧波形(比較例2)を示す図である。
図12の比較例1の波形では、インパルスノイズのピークは下がっているが、インパルスノイズ以外の部分の電圧波形も大きく変化しており、抽出すべき特徴量の情報が失われている。図13の比較例2の波形では、インパルスノイズ以外の部分は、原波形の形状が保たれているが、インパルスノイズはピークが一律に下がっているとはいえ残っている。したがって、特徴量を抽出するとインパルスノイズの影響が出てくることが考えられる。
実施の形態1に示すノイズ除去処理で得られた波形と上記の比較例1,2のノイズ除去処理によって得られた波形から、それぞれ特徴量を抽出して比較した。
図14は、ノイズ無し波形、ノイズ有り波形、ノイズ除去波形(実施例)、比較例1,2の波形から実効値を特徴量として算出した結果を比較した図である。図15は、ノイズ無し波形、ノイズ有り波形、ノイズ除去波形(実施例)、比較例1,2の波形から波高率を特徴量として算出した結果を比較した図である。
図14、図15の中の棒グラフは平均値、エラーバーは最大値と最小値を示す。比較例1の処理を施すと、波形形状が大きく変化し、実効値と波高率はノイズ無しに比べ小さくなる。比較例2の処理を施すと、ノイズ部で頭打ちにしたような波形形状に変化し、ノイズ無しの場合に比べ実効値のばらつきが大きくなり波高率は小さくなる。
これに対し実施の形態1で説明した処理を施すことにより、波形形状、実効値、波高率のいずれもノイズ無し波形に近い状態になり、ノイズを除去しつつも診断に必要な情報を含んだ状態に波形を維持することができる。
本発明のノイズ除去方法は、ノイズ除去による状態監視への影響を抑えつつ確実にノイズを除去することができる。
(実施の形態1のまとめ)
最後に、代表的な図を参照して、実施の形態1の主たる特徴について説明する。図1に示す状態監視装置100は、AEセンサ20によって測定した測定期間の波形のデータを取得するデータ取得部130と、取得した測定期間の波形からノイズを除去するデータ演算部150とを備える。
データ演算部150は、測定した波形に対してノイズ除去方法を実行し、インパルスノイズを除去する。図2に示すように、ノイズ除去方法は、センサによって測定した測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準範囲(基準値Y1より小さい範囲がインパルスノイズでないとする)を決定するステップS2と、基準範囲の上限値(基準値Y1)以上の大きさのノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズWSを決定するステップS3と、処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データ(実効値RMS2)を生成し、ノイズ波形のデータを置換データ(実効値RMS2)に置換するステップS4とを備える。
このように処理ウインドウのサイズWSを、測定波形全体よりも少ない範囲とすることにより、ノイズ除去処理の演算負荷を低減することができる。また、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータと置換する置換データ(実効値RMS2)を作成するので、置換するノイズ部分と離れた位置である処理ウインドウ以外のデータが置換データ(実効値RMS2)に与える影響を無くし、ノイズが重畳しなかった場合の波形に近づけることができる。
好ましくは、図10に示すように、置換するステップS4は、ステップS62において、処理ウインドウを測定期間の波形の先頭から所定データ数ずつ移動(図10では1データずつスライド)させる毎に、処理ウインドウ内のデータ群からノイズ波形のデータを置換する置換データ(実効値RMS2)を決定する。
好ましくは、図10に示すように、置換するステップS4は、処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替えるステップS54と、昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータ(昇順の小さい方から所定割合(図10では50%)の数のデータ)を用いて置換データ(実効値RMS2)を算出するステップS55とを含む。
図11に示すように処理ウインドウ内にインパルスノイズが含まれていた場合には、インパルスノイズ成分は昇順に並べ替えると集中する。集中する位置は、例えば順序の後ろの方である。昇順に並べ替えたデータ群において、インパルスノイズが含まれていないと考えられる連続して並ぶ一部のデータ(例えば、昇順に並べ替えたデータの小さい方から所定割合の数のデータ)を用いるので、インパルスノイズが含まれないデータを用いて、置換に使用する置換データ(実効値RMS2)を生成することができ、インパルスノイズの影響を少なくすることができる。
好ましくは、図7に示すように、処理ウインドウのサイズWSを決定するステップは、測定期間の波形のデータが基準範囲の内側のデータから基準範囲の外側のデータに(例えば、基準値Y1より小さいデータから基準値Y1以上のデータに)遷移する時点(A1=1&A2=0に相当)と、測定期間の波形のデータが基準範囲の外側のデータから基準範囲の内側のデータに(例えば、基準値Y1以上であるデータから基準値Y1より小さいデータに)遷移する時点(A1=0&A2=1に相当)との間に含まれるデータ数の倍数(S32では10倍)を処理ウインドウのサイズとして決定する。
図9に示すように、基準値Y1(=RMS1×10)以上の電圧を示すデータはインパルスノイズでありTP1〜TP2の幅はインパルスノイズ1パルス分の幅に該当する。したがって、ノイズ除去のためにはインパルスノイズ1パルスとその周辺が十分入る適切な幅にサイズWSを設定するので、ウインドウサイズWSを測定波形全体よりも少ない範囲としてデータ処理負荷を減らしつつも、適切なノイズ除去処理ができるサイズを確保することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、インパルスノイズを検出し、インパルスノイズとその周辺の波形をウインドウで切り出し、そのウインドウ内でノイズを含まないと考えられるデータから実効値を発生しインパルスノイズを実効値で置換した。しかし、インパルスノイズは正方向だけでなく負方向にも発生することがある。実施の形態2では、正方向だけでなく負方向のインパルスノイズに対しても除去することができる状態監視装置について説明する。
図16は、負方向のインパルスノイズを含む電圧波形例である。このような波形が得られた場合に対応するために、実施の形態2では、波形全体のデータが正の値となるように、波形をオフセットする処理を実行する。そして、インパルスノイズ除去後に、オフセットしていた波形全体を元に戻す処理を行なう。
実施の形態2の状態監視装置の構成を示すブロック図は、図1と同様であるので、説明は繰返さない。図17は、実施の形態2において状態監視装置に適用されるノイズ除去方法の処理を示すフローチャートである。実施の形態2のノイズ除去方法は、センサを用いる図1の状態監視装置100のデータ演算部150において、以下のステップS101〜S106が実行されることを特徴とする。なお、測定データは、実施の形態1と同様に波形の離散点のデジタルデータである。測定データは、データ取得部130によって予めドリフト補正処理(所定期間の平均値が零となるように波形のレベルを調整する処理)されて、記憶装置140に記憶されている。ステップS101〜S106の詳細は後述するが、まずステップS101〜S106の概要を説明する。
ステップS101は、ドリフト補正されたセンサの出力波形を記憶装置140から読み出す処理である。なお、AEセンサ20の出力信号を記憶する前にドリフト補正処理も良いし、ドリフト補正前の波形を記憶しておき、これを読み出した後にドリフト補正してデータ演算部150に入力しても良い。
ステップS102は、負のインパルスノイズが測定データに含まれていた場合に、全体を正の値として扱うために行なう処理である。ステップS102では波形全体の最小値の絶対値+1を波形全体の各測定点のデータに加算するオフセット処理が行なわれる。
ステップS103は、測定データ全体を統計処理し、ウインドウサイズ決定用のしきい値(基準値YU,YL)を決定する処理である。
ステップS104は、ステップS103で得られたしきい値とサイズ可変ウインドウによって、ノイズパルスを少なくとも1個内包するウインドウサイズWSを決定する処理である。
なお、ステップS104では、ループ処理によってウインドウサイズを徐々に大きくしながらノイズパルスを内包するか否かを判定しているが、サイズ可変ウインドウがノイズパルス1個分を内包した時点で、高速化のために処理は終了される。
ステップS105の前半では、ステップS104で決定したウインドウサイズの処理ウインドウを波形データに対し所定データ数ずつスライドさせた時に、その処理ウインドウで基準値YU2,YL2を決定し、その基準値YU2,YL2を用いて処理ウインドウ内のノイズデータを特定する。
ステップS105の後半では、処理ウインドウ内の絶対値処理後の昇順上位30%以上60%以下のデータから算出した統計量でノイズデータを置換する。
そして、ステップS106においてオフセット処理で各データ値に加算した値を各データ値から引く(逆オフセット処理)。
実施の形態2のノイズ除去方法が適用される波形を測定するセンサ20は、振動を測定するためのセンサであればよく、加速度センサ、速度センサ、変位センサ、AEセンサ、超音波センサ、温度センサ、音響センサのいずれであっても良い。
また、実施の形態2のノイズ除去方法が適用される波形から得られる統計量は、実効値、最大値、波高率、変調値、尖度、歪度、標準偏差を例示でき、統計量算出前の前処理としてバンドパスフィルタ処理やFFT(Fast Fourier Transform)処理やケプストラム処理を施しても良い。
次に、図17の各ステップの詳細を説明する。図18は、図17のステップS103の処理の詳細を示すフローチャートである。図1、図18を参照して、ステップS111において、データ演算部150は、記憶装置140からオフセット処理された波形を読み込む。続いてステップS112において、データ演算部150は、図3〜図5および図16に示したような1波形の全データに対して実効値RMS1を算出する。実効値RMS1は、1波形の全データの二乗平均平方根(Root Mean Square)で与えられる。
さらに、ステップS113において、データ演算部150は、1波形の全データの各データ点の値のうちから最大値MAX1,最小値MIN1を算出する。オフセット処理をしているので、各データ値は正の値となっており、また最小値MIN1=+1である。
この時、データ演算部150は、後に使用する基準値YU,YLを算出する。基準値YUは、読み込んだ波形に対応する実効値RMS1の10倍の値である。基準値YLは、読み込んだ波形に対応する実効値RMS1の0.1倍の値である。なお、上記の10倍、0.1倍という倍数は一例であり、インパルスノイズの大きさとノイズ無し波形の大きさの関係によって適宜変更しても良い。
続いて、ステップS114〜S119において、データ演算部150は、波形に含まれるインパルスノイズのピークの正負向きの情報である検出フラグ+noise,−noiseを求める。正方向ピークの有無は検出フラグ+noiseで表され、+noise=1は正方向のピーク有を示し、+noise=0は正方向のピーク無を示す。負方向ピークの有無は検出フラグ−noiseで表され、−noise=1は負方向のピーク有を示し、−noise=0は負方向のピーク無を示す。
具体的には、ステップS114において、最大値MAX1が基準値YUよりも大きいか否かが判断される。MAX1>YUが成立した場合(S114でYES)、ステップS115においてデータ演算部150は検出フラグ+noiseを“1”に設定する。一方、MAX1>YUが成立しない場合(S114でNO)、ステップS116においてデータ演算部150は検出フラグ+noiseを“0”に設定する。
続いて、ステップS117において、最小値MIN1が基準値YLよりも小さいか否かが判断される。MIN1<YLが成立した場合(S117でYES)、ステップS118においてデータ演算部150は検出フラグ−noiseを“1”に設定する。一方、MIN1<YLが成立しない場合(S117でNO)、ステップS119においてデータ演算部150は検出フラグ−noiseを“0”に設定する。
最後に、ステップS120において、データ演算部150は、基準値YU,YLおよび検出フラグ+noise,−noiseをメインルーチンに返す。
図19は、図17のステップS104(ウインドウサイズの決定)の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS104の処理では、処理ウインドウのウインドウサイズWSを決定するために、データの最初の点を基点としてウインドウサイズを1点ずつ増やしていきデータを抽出し昇順に並べる。なお、高速化のために、サイズ可変な処理ウインドウがノイズ1個分を内包した時点で、ループ処理を終了する。
まず、ステップS121において、データ演算部150は、記憶装置140からオフセット処理された波形を読み込む。ステップS122において、ループの判定に使用する変数iをゼロに初期化する。続いてステップS123において、データ演算部150は、変数iをインクリメントする。ステップS124において、変数iが3以上になるまで、ステップS123のインクリメント処理が実行される。
ステップS124において、変数iが3以上であった場合、ステップS125においてデータ演算部150は、処理ウインドウ内のデータ数をi個とし、最初のデータD(1)からi番目のデータD(i)までが処理ウインドウ内データであると定義する。
続いて、ステップS126では、データ演算部150は、検出フラグの値が、+noise=0かつ−noise=1である(負方向のインパルスノイズのみがある)か否かを判断する。
ステップS126において判定条件(+noise=0かつ−noise=1)が成立した場合(S126でYES)には、ステップS127に処理が進められる。ステップS127では、データ演算部150は、データD(1)〜D(i)の中から実効値が基準値YL(=RMS1×0.1)以下であるデータ数DN(i)を算出し、記憶装置140に記憶する。
一方、ステップS126において判定条件(+noise=0かつ−noise=1)が成立しない場合(S126でNO)には、ステップS128に処理が進められる。ステップS128では、データ演算部150は、データD(1)〜D(i)の中から実効値が基準値YU(=RMS1×10)以上であるデータ数DN(i)を算出し、記憶装置140に記憶する。
そしてステップS129において、データ演算部150は、現在の処理ウインドウ(サイズi個)のデータ数DN(i)に加えて、1ループ前の処理ウインドウ(サイズi−1個)のデータ数DN(i−1)、2ループ前の処理ウインドウ(サイズi−2個)のデータ数DN(i−2)を記憶装置140から読み出し、実施の形態1と同じ以下の式(1),(2)のように判定値A1,A2を算出する。
A1=DN(i)−DN(i−1) …(1)
A2=DN(i−1)−DN(i−2) …(2)
実施の形態1でも説明したが、判定値A1=1、A2=0となる場合は、インパルスノイズの開始時(インパルスノイズが正の場合はパルス立ち上がり時、インパルスノイズが負の場合はパルス立ち下がり時)なのでこの時の位置をTP1とし、判定値A1=0、A2=1となる場合は、インパルスノイズの終了時(インパルスノイズが正の場合はパルス立ち下がり時、インパルスノイズが負の場合はパルス立ち上がり時)なのでこの時の位置をTP2とする(ステップS130〜S133)。
なお、判定値A1=0、A2=0となる場合は、インパルスノイズの開始前またはインパルスノイズの終了後であり、判定値A1=1、A2=1となる場合は、インパルスノイズの最中であり、これらはいずれもステップS130でNO、かつステップS132でNOと判定される。
ステップS122〜S133の処理によって、位置TP1およびTP2が決定されると、ステップS134において、データ演算部150は、ウインドウサイズWSを算出する。ウインドウサイズWSは、インパルスノイズ1個分に相当する大きさ(TP2−TP1)を十分に内包する大きさが必要である。このため、以下の式(3)によって算出したTP1、TP2の差分の10倍にウインドウサイズWSを定める。なお、ウインドウサイズWSは必ずしも差分の10倍である必要はなく、演算処理速度とノイズ除去性能の兼ね合いによって適宜倍率を決めても良い。
WS=10×(TP2−TP1) …(3)
ウインドウサイズWSが算出されたら、ステップS135において、データ演算部150は、ウインドウサイズWSをメインルーチンに返す。
続いて、図17のステップS105について説明する。図20は、図17のステップS105(ノイズ検出及び除去)の処理の詳細を示すフローチャートである。
図1、図20を参照して、まず、ステップS151において、データ演算部150は、記憶装置140からオフセット処理された波形を読み込む。ステップS152において、データ演算部150は、初期の処理ウインドウを設定する。このときの処理ウインドウのサイズは、図19のフローチャートの処理で決定されたウインドウサイズWSであり、処理ウインドウの位置は、観測時間の最初の時刻に取得されたデータが処理ウインドウの最初のデータとなるように設定される。この処理ウインドウの最初のデータの位置を示す変数をnとすると、n=1に設定される。
続いて、ステップS153において、データ演算部150は、処理ウインドウ内のデータの最大値MAX2、最小値MIN2を検出する。そして、ステップS154では、データ演算部150は、インパルスノイズの置換処理の実行条件を判断する。ここで、+noise=1かつMAX2>YU(=10×RMS1)を満たす場合は、処理ウインドウに正方向のインパルスノイズを含む。また、+noise=0かつ−noise=1かつMIN2<YL(=0.1×RMS1)を満たす場合は、処理ウインドウに負方向のみのインパルスノイズを含む。ステップS154では、高速化のためこの2条件を満たすウインドウのみノイズ置換処理を続行する。この条件を満たさない場合には、ステップS154からステップS164に処理が進められる。
ステップS154において2条件のいずれか一方が満たされた場合(S154でYES)、ステップS155において、要素E(n)として、処理ウインドウ内の最初のデータの値が記憶される。その後ステップS156において、データの並べ替え処理が実行され、さらにステップS157において、並べ替えたデータから実効値RMS2および標準偏差σが演算され、これらを用いて基準値YU2(=RMS2+15σ),YL2(=RMS2−15σ)が演算される。
正方向または負方向のインパルスノイズを含む場合には、インパルスノイズ成分は、昇順の順位において後方または前方に集中するので、昇順上位30%〜60%の順位中央付近には、インパルスノイズ成分はほとんど入らないことが期待できる。したがって、実効値RMS2および標準偏差σは、それぞれ処理ウインドウ内のインパルスノイズを除いた波形の実効値および標準偏差に近い値となる。実効値RMS2および標準偏差σから、上記のように基準値YU2、YL2が算出される。
ステップS157の処理の後に、データ演算部150は、ステップS158において、「要素E(n)が基準値YU2以上である」、または「要素E(n)が基準値YL2以下である」という条件を満たすか否かを判断する。ここで、基準値YU2は、要素E(n)が正のインパルスノイズのデータであるか否かを判断するための判定値である。また基準値YL2は、要素E(n)が負のインパルスノイズのデータであるか否かを判断するための判定値である。ステップS157で算出されたこの判定値は、必ずしも、YU2=RMS2+15σ、YL2=RMS2−15σ、である必要はなく、インパルスノイズの高さや幅に合わせて変更されても良い。
E(n)≧YU2またはE(n)≦YL2の場合(S158でYES)、ステップS159に示すようにE(n)がノイズの成分であると判断される。この場合、ステップS161において、要素E(n)として記憶されていたデータが、実効値RMS2に置換される。一方、YL2<E(n)<YU2の場合(S158でNO)、ステップS160に示すように、E(n)はノイズの成分でないと判断され、データはそのまま維持され、置換されない。
ステップS160またはS161の処理が終了すると、ステップS162において、要素E(n)がノイズ除去処理後の波形データとして記憶される。そして、ステップS163において、データ演算部150は、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達したか否かを判断する。
ステップS163において、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達していないと判断された場合には、ステップS164に処理が進められる。
ステップS164においては、データ演算部150は、処理ウインドウをデータ1点分後ろにスライドさせる。これはnに1を加算する処理に対応する。そして、ステップS153〜S163の処理が再び実行される。
一方、ステップS163において、処理ウインドウがノイズ除去処理対象波形の最後に達したと判断された場合には、ステップS165において処理はメインルーチンに戻される。
このように、図20に示したノイズ除去処理では、ウインドウサイズWSを適用した処理ウインドウを全波形データに対してスライドさせていく。処理ウインドウ内のデータの最初の値をE(n)として記憶し、E(n)がノイズ成分である場合には、E(n)の記憶値をRMS2へ置換する。
(実施の形態2のまとめ)
最後に、代表的な図を参照して、実施の形態2の主たる特徴について説明する。図1に示す状態監視装置100は、AEセンサ20によって測定した測定期間の波形のデータを取得するデータ取得部130と、取得した測定期間の波形からノイズを除去するデータ演算部150とを備える。
好ましくは、データ演算部150は、処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替え、昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータを用いて置換データ(RMS2)を算出する。
好ましくは、データ演算部150は、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータと大きい方から所定割合の数のデータとを除外して、残りのデータ群(30〜60%)から置換データ(RMS2)を算出する。
処理ウインドウ内に正方向および負方向インパルスノイズが含まれていた場合には、インパルスノイズ成分は昇順に並べ替えると先頭部分と末尾部分に集中する。昇順に並べ替えたデータの中央付近(順位30〜60%)のデータを用いるので、インパルスノイズが含まれないデータを用いて、置換に使用する置換データ(実効値RMS2)を生成することができ、インパルスノイズの影響を少なくすることができる。
データ演算部150は、測定期間の波形のデータが基準範囲(YL〜YU)の内側のデータから基準範囲(YL〜YU)の外側のデータに遷移する時点(TP1)と、測定期間の波形のデータが基準範囲(YL〜YU)の外側であるデータから基準範囲(YL〜YU)の内側のデータに遷移する時点TP2との間に含まれるデータ数の倍数(たとえば10倍)を処理ウインドウのサイズとして決定する。なお、基準範囲の境界値は、内側、外側のどちらに含めても良い。本実施の形態では基準範囲の境界値であるYL,YUは、基準範囲の外側となっているため、YU以上をノイズとし、YL以下をノイズとしている。
図9に示すように、基準値YU(=RMS1×10)以上の電圧を示すデータは正方向のインパルスノイズでありTP1〜TP2の幅はインパルスノイズ1パルス分の幅に該当する。またインパルスノイズが負方向の場合は、基準値YL(=RMS1×0.1)以下の電圧を示すデータはインパルスノイズであり、TP1〜TP2の幅はインパルスノイズ1パルス分の幅に該当する。したがって、実施の形態2では、インパルスノイズが負方向の場合も含めて、インパルスノイズ1パルスとその周辺が十分入る適切な幅にサイズWSを設定することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 被試験装置、20 センサ、100 状態監視装置、110 アンプ、120 A/Dコンバータ、130 データ取得部、140 記憶装置、150 データ演算部、160 表示部。

Claims (12)

  1. 被試験装置に設置されたセンサの出力を受ける状態監視装置であって、
    前記センサによって測定した測定期間の波形のデータを取得するデータ取得部と、
    取得した前記測定期間の波形からノイズを除去するデータ演算部とを備え、
    前記データ演算部は、前記測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準範囲を決定し、前記基準範囲の上限値以上または前記基準範囲の下限値以下の大きさのノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、前記測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズを決定し、前記処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、前記処理ウインドウ内のデータ群から前記ノイズ波形のデータを置換する置換データを生成し、前記ノイズ波形のデータを前記置換データに置換する、状態監視装置。
  2. 前記データ演算部は、前記処理ウインドウを測定期間の波形の先頭から所定データ数ずつ移動させる毎に、前記処理ウインドウ内のデータ群から前記ノイズ波形のデータを置換する置換データを決定する、請求項1に記載の状態監視装置。
  3. 前記データ演算部は、前記処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替え、昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータを用いて前記置換データを算出する、請求項1または2に記載の状態監視装置。
  4. 前記データ演算部は、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータを用いて前記置換データを算出する、請求項3に記載の状態監視装置。
  5. 前記データ演算部は、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータと大きい方から所定割合の数のデータとを除外して、残りのデータ群から前記置換データを算出する、請求項3に記載の状態監視装置。
  6. 前記データ演算部は、前記測定期間の波形のデータが前記基準範囲の内側のデータから前記基準範囲の外側のデータに遷移する時点と、前記測定期間の波形のデータが前記基準範囲の外側であるデータから前記基準範囲の内側のデータに遷移する時点との間に含まれるデータ数の倍数を前記処理ウインドウのサイズとして決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の状態監視装置。
  7. センサを用いる状態監視装置のノイズ除去方法であって、
    前記センサによって測定した測定期間の波形のデータからノイズ判定の基準範囲を決定するステップと、
    前記基準範囲の上限値以上または前記基準範囲の下限値以下の大きさのノイズ波形少なくとも1波形分のデータを内包し、前記測定期間よりも短い期間の処理ウインドウのサイズを決定するステップと、
    前記処理ウインドウ内にノイズ波形のデータが存在する場合に、前記処理ウインドウ内のデータ群から前記ノイズ波形のデータを置換する置換データを生成し、前記ノイズ波形のデータを前記置換データに置換するステップとを備える、ノイズ除去方法。
  8. 前記置換するステップは、前記処理ウインドウを測定期間の波形の先頭から所定データ数ずつ移動させる毎に、前記処理ウインドウ内のデータ群から前記ノイズ波形のデータを置換する置換データを決定する、請求項7に記載のノイズ除去方法。
  9. 前記置換するステップは、
    前記処理ウインドウ内のデータ群を昇順に並べ替えるステップと、
    昇順に並べ替えたデータ群において、連続して並ぶ一部のデータを用いて前記置換データを算出するステップとを含む、請求項7または8に記載のノイズ除去方法。
  10. 前記置換データを算出するステップは、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータを用いて前記置換データを算出する、請求項9に記載のノイズ除去方法。
  11. 前記置換データを算出するステップは、昇順に並べ替えたデータ群の小さい方から所定割合の数のデータと大きい方から所定割合の数のデータとを除外して、残りのデータ群から前記置換データを算出する、請求項9に記載のノイズ除去方法。
  12. 前記処理ウインドウのサイズを決定するステップは、
    前記測定期間の波形のデータが前記基準範囲の内側のデータから前記基準範囲の外側のデータに遷移する時点と、前記測定期間の波形のデータが前記基準範囲の外側であるデータから前記基準範囲の内側のデータに遷移する時点との間に含まれるデータ数の倍数を前記処理ウインドウのサイズとして決定する、請求項7〜11のいずれか1項に記載のノイズ除去方法。
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