JP2019045328A - 絶縁テープの余寿命診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度で絶縁テープの余寿命を診断できる、絶縁テープの余寿命診断方法を提供すること。【解決手段】新品の第1の絶縁テープと使用した第1の絶縁テープとを準備する工程と、第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットし各々の点の間の関係を表す検量線を求める工程と、絶縁テープの寿命を算出する工程と、第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程とを有する、絶縁テープの余寿命診断方法。【選択図】図4

Description

本発明は、絶縁テープの余寿命診断方法に関する。
従来から、絶縁テープは、各種の電気的接続部における絶縁手段として使用されている。例えば、地中には、大電力送電用の電力ケーブルが布設されており、各々の電力ケーブルは接続部により接続されている。この電力ケーブルの一部の接続部には、絶縁テープを巻くことにより漏電防止を図っている。
電力ケーブルは数十年にわたって使用されるため、電力ケーブルの接続部も経年により絶縁性能が低下し、絶縁破壊に至る場合がある。このため、電力ケーブルの接続部に巻かれる絶縁テープの絶縁性能が劣化し、残りの使用可能な期間(余寿命)が短くなった場合には、新品に取り替えるなど必要に応じて補修作業が行われる。一方で、絶縁テープの余寿命を外見上、判断することは困難であるため、簡易的に絶縁テープの余寿命を診断する方法が要望されていた。
絶縁テープの劣化が起こる主な原因としては、絶縁テープ中に含まれる酸化防止剤が経年と共に化学反応により他の物質に変化し、絶縁テープ中の酸化防止剤量が減少することが考えられる。酸化防止剤が無くなることで絶縁テープの主材料の酸化が起こり、結果的に絶縁テープの絶縁性能の低下に至るものと考えられる。
ゴム、プラスチック、オイル等の酸化による劣化を評価する指標として従来から、等温法により測定した酸化誘導時間(OIT;Oxidative Induction Time)が利用されている。等温法は、ASTM D3895「Test method for oxidative induction time of polyolefins by thermal analysis」、JIS C 3660−4−2「ポリオレフィン絶縁導体の銅触媒の酸化劣化試験方法」等にその方法の規格が記載されている。等温法の測定原理を図1に示す。
図1に示すように、等温法ではまず、示差走査熱量計(DSC)により窒素雰囲気下で試料を加熱して一定温度まで昇温させた後、一定温度に維持する(図1のA)。次に、雰囲気を空気又は酸素に変更することで試料を酸化可能な状態とする(図1のB)。これにより、酸化防止剤の効果が無くなった状態にある試料の酸化反応が起こり、発熱ピークが観測される。雰囲気を空気又は酸素に変更した時から酸化反応が起き始めるまでの時間が酸化誘導時間(OIT)となる。すなわち、図1に示されるように、酸化誘導時間(OIT)は、(発熱ピークの接線とベースラインとの交点の時間)−(雰囲気を窒素から空気又は酸素に変更した時間)として測定される。そして、経年と共に酸化防止剤が消費され試料の劣化が進むと、等温法で測定した際には図1の(1)から(2)のように発熱ピークが短時間側に移動し、酸化誘導時間は短くなり、絶縁テープの余寿命も短くなる。このように等温法により、各試料の使用年数とその酸化誘導時間との関係を調べることで、試料の余寿命を知ることが可能となる。
特許文献1(特開2000−346836号公報)には、等温法により測定した酸化誘導時間を利用したケーブル接続部の診断方法を開示する。
特開2000−346836号公報
等温法により測定した酸化誘導時間を利用する余寿命診断方法では、以下のような問題点があった。
(1)同一試料を測定した場合、酸化誘導時間の相対標準偏差が5から10%以上となり、測定精度が低い傾向にあった。また、このような傾向のため、試料の酸化誘導時間の真値を求めるために1試料当たり5から10回測定し平均値を求める必要があり、結果として酸化誘導時間の測定値を求めるために長い時間が必要であった。
(2)等温法では単位時間当たりに試料に供給される熱量が小さいため、酸化による発熱ピークを観測するまでには長い時間が必要であった。さらに測定時間は各試料の劣化度に依存するため、1回の測定当たり30〜120分程度の時間が必要であった。
(3)図1に示すように、酸化誘導時間は発熱ピークの接線とベースラインとの交点の時間から雰囲気を変更した時間を差し引くことにより、算出される。等温法により測定される発熱ピークがブロードであったり、複数のピークがある場合もあり、発熱ピークの接線とベースラインとの交点を判断することが困難であるか、又は交点の判断が可能であっても該交点にバラツキがあった。
上記(1)〜(3)の問題点のため、等温法により測定した酸化誘導時間を利用する、絶縁テープの余寿命診断方法では、測定誤差が大きく、また、長い測定時間が必要であった。
上記特許文献1に開示されるケーブル接続部の診断方法では上記の問題点が改良されており、比較的、高い精度でケーブル接続部の余寿命を診断することが可能である。しかし、絶縁テープの絶縁性能低下による事故防止の観点から、絶縁テープの余寿命診断に対する更なる精度が要望されていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明者は、昇温法により測定された酸化開始温度(IOT;Initial Oxidation Temperature)を利用することにより、高精度で絶縁テープの余寿命を診断できることを発見し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、高精度で絶縁テープの余寿命を診断できる、絶縁テープの余寿命診断方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、以下の各実施態様を有する。
[1]新品の第1の絶縁テープと、使用した第1の絶縁テープとを準備する工程と、
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
[2]同じ環境下で互いに異なる実使用時間、使用した、複数の第1の絶縁テープを準備する工程と、
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
[3]前記第1及び第2の絶縁テープは、エチレン−プロピレンゴムを含む、上記[1]又は[2]に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
[4]前記第1及び第2の絶縁テープは、電力ケーブル接続部用の絶縁テープである、上記[1]から[3]までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
[5]前記限界酸化開始温度は、200〜220℃である、上記[1]から[4]までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
[6]前記第2の絶縁テープは、180℃以下で使用される、上記[1]から[5]までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
高精度で絶縁テープの余寿命を診断できる、絶縁テープの余寿命診断方法を提供することができる。
等温法による酸化誘導時間の測定原理を説明する図である。 昇温法による酸化開始温度の測定原理を説明する図である。 電力ケーブルの接続部を表す概念図である。 絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との関係を表す図である。 絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との関係を表す図である。 絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との関係を表す図である。
1.第1の実施形態
第1の実施形態の絶縁テープの余寿命診断方法は、第1の絶縁テープを準備する工程と、第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程と、第1の絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度Tの関係を表す検量線を求める工程と、絶縁テープの寿命を算出する工程と、第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程とを有する。
以下では、上記の各工程について説明する。
(第1の絶縁テープを準備する工程)
最初に、後述する絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度との関係を表す検量線を作成する際に必要な、新品の第1の絶縁テープと、所定の実使用時間、使用した第1の絶縁テープを準備する。ここで、第1の絶縁テープの「使用」とは、所定の導電部を他の部分と絶縁するために絶縁テープとして使用する場合や、室温とは異なる温度環境下(例えば、室温よりも高温環境下)に絶縁テープをおく場合を意味する。従って、絶縁テープを製造してから室温環境下で放置された時間は、実使用時間には含まれない。この為、新品の第1の絶縁テープには、製造直後の絶縁テープだけでなく、上記のように製造後に室温環境下で放置された絶縁テープも含まれる。なお、事前の調査により絶縁テープを室温環境下で放置した場合には、絶縁テープに含まれる酸化防止剤量は変化せず、絶縁テープの絶縁性能は維持されることを確認している。余寿命を診断するテープ(第2の絶縁テープ)が使用された温度は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、105℃以下であることが更に好ましい。
新品及び使用した第1の絶縁テープは同一材料の絶縁テープに由来する同じ仕様のものである。互いに異なる実使用時間、使用した第1の絶縁テープの数が多いほど、検量線を作成する工程において、第1の絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度との関係を高精度に表す検量線を作成することができる。このため、第1の絶縁テープの数は多い方が好ましい。複数の第1の絶縁テープのうちの一つは、絶縁テープとして使用していない新品のものである。この場合、実使用時間は0となる。また、実使用時間の単位は秒、分、時間、日、月又は年の何れであっても良い。
(第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程)
次に、示差走査熱量計(DSC)を用いた昇温法により、各々の第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する。図2は昇温法による酸化開始温度の測定原理を表す図である。まず、空気又は酸素などの酸化雰囲気下で試料を一定速度で昇温させる。示差走査熱量計により、試料の酸化反応が起こる際の発熱ピークを検出し、この発熱ピークの接線とベースラインとの交点である温度を測定する。そして、この(発熱ピークの接線とベースラインとの交点である温度)を酸化開始温度として検出する。ここで、第1の絶縁テープの実使用時間が長いほど、酸化開始温度も低くなる。なお、試料の昇温速度、測定に使用する試料の重量など酸化開始温度の測定条件は、試料の種類・状態に応じて適宜、設定することができる。各々の第1の絶縁テープの酸化開始温度を測定する条件は同じものとする。
(第1の絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度Tの関係を表す検量線を求める工程)
次いで、y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T)とした点をプロットする。そして、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める。
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)。
事前の調査により、この検量線の種類としては上記式(1)の一次関数が、高精度で絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度の関係を表せることが分かっている。
(絶縁テープの寿命を算出する工程)
次に、下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する。
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)。
限界酸化開始温度は、絶縁テープの種類、内容成分、用途等に応じて適宜、設定することができる。好ましくは、限界酸化開始温度は180〜250℃の範囲内の温度であることが好ましく、190〜230℃の範囲内の温度であることがより好ましく、200〜220℃の範囲内の温度であることが更に好ましい。通常の絶縁テープではこれらの範囲内の限界酸化開始温度を有する場合、著しく絶縁性能が劣る状態となる。従って、限界酸化開始温度を上記数値範囲内に設定することにより、高精度で第2の絶縁テープの余寿命を診断することができる。
(第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程)
次に、下記式(3)により、第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する。
(余寿命)=(寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
なお、上記の第1の絶縁テープを準備する工程で準備した使用済みの第1の絶縁テープをそのまま第2の絶縁テープとして使用することもできる。すなわち、少なくとも2つの第1の絶縁テープを準備すれば、上式(1)の検量線及び上式(2)の寿命の算出式を求めることができる。この為、上式(1)及び(2)の作成のために準備した使用済みの第1の絶縁テープの実使用時間を上式(3)に代入することにより、該絶縁テープの余寿命(絶縁テープの残りの使用可能な期間)を算出することができる。このように使用済みの第1の絶縁テープを利用して、上式(1)及び(2)の作成と余寿命の算出を同時に行うことにより、第1の絶縁テープの数を少なくできるため、簡易且つ短時間で絶縁テープの余寿命を算出することができる。
2.第2の実施形態
第2の実施形態は、検量線を作成するための第1の絶縁テープが同じ環境下で互いに異なる実使用時間、使用した、複数の同仕様の絶縁テープである点が第1の実施形態と異なる。この実施形態では、第1の絶縁テープとして新品の絶縁テープを準備しない。図2に示すように、同一環境下で使用する限り、絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との間には直線性が認められる。このため、新品の第1の絶縁テープの入手が困難な場合などは、複数の使用済みの第1の絶縁テープを用いて、絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との関係を表す検量線を作成することができる。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の絶縁テープとして準備した絶縁テープの少なくとも一つについて、その余寿命を算出しても良い。
図2に示すように、第1及び第2の実施形態の方法で使用する昇温法では、試料に対して単位時間当たり大きな熱エネルギーを供給することができる。このため、ベースラインに対して発熱ピークがシャープとなりその高さも高くすることができる。従って、測定ごとの発熱ピーク及びベースラインのバラツキが小さく、ベースラインと発熱ピークの接線との交点を識別しやすく、該交点である酸化開始温度のバラツキも小さくすることができる。また、短時間で酸化開始温度を測定することができる。例えば、試料の種類や重量にもよるが、1回の測定を約30分で行うことができる。結果的に、高精度で短時間に酸化開始温度の測定を行うことが可能であり、高精度・短時間での絶縁テープの余寿命診断も可能となる。
第1及び第2の絶縁テープの材料は絶縁特性を有するものであれば特に限定されないが、絶縁性に優れるためゴムを含むことが好ましい。ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−スチレン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム等を使用することができる。絶縁性能に優れ、自己融着性を有することから、絶縁テープはエチレン−プロピレンゴムを含むことが好ましい。
また、第1及び第2の絶縁テープは、電力ケーブル接続部用の絶縁テープであることが好ましい。電力ケーブルには高電力が送電され、長期間にわたって使用されることから、電力ケーブル接続部には高い絶縁信頼性が要求される。従って、電力ケーブル接続部用の絶縁テープに一実施形態に係る余寿命診断法を適用することにより、高精度で余寿命を診断し、必要な場合には早期に絶縁テープの交換などの補修を行うことができる。
図3は、電力ケーブルの接続部を表す模式図である。図3の接続部において、電力ケーブル同士を接続する導体接続管1の周囲には、半導電性テープ2、絶縁テープ3、保護テープ5がこの順に巻かれ、更に防水混和物6が設けられている。防止混和物6は更に、保護管7及び防食層8で覆われている。このように電力ケーブルの接続箇所には様々なテープが巻かれた後、その周囲を更に様々な部材で覆うことにより接続部が構成され、電力ケーブルの接続箇所には高い絶縁性、防水性、及び防食性が付与される。例えば、地中に布設されるような電力ケーブルには大電力が送電されるため、電力ケーブル接続部の絶縁性を維持することは非常に重要となる。一実施形態に係る方法では、このような電力ケーブル接続部用の絶縁テープ3の余寿命を高精度で診断できる。このため、この方法を用いれば絶縁テープ3の交換時期を正確に予測でき、電力ケーブル接続部の絶縁性を安定的に維持することができる。
以下では、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(絶縁テープ)
エチレン−プロピレンゴム製の第1の絶縁テープI〜IIIを準備した。これらの第1の絶縁テープI〜IIIについて、下記表1〜3に記載のように経時的に熱処理を行ったものを用意した。
Figure 2019045328
Figure 2019045328
Figure 2019045328
上記の各第1の絶縁テープについて、等温法により酸化誘導時間、昇温法により酸化開始温度をそれぞれ、測定した。なお、各試料につき3回、測定を行い、その平均値を酸化誘導時間及び酸化開始温度Tとした。酸化誘導時間及び酸化開始温度の測定には示差走査熱量計(メトラートレド社製、DSC1)を使用し、それぞれ以下の条件に設定した。
(等温法)
絶縁テープ1mgを量り取りアルミ容器に入れ、比較用の空のアルミ容器とともに示差走査熱量計の電気炉に入れた。次に、流量30mL/minの窒素雰囲気下で40℃/minの速度で電気炉を昇温し、電気炉内温度が一定温度に達した後に、電気炉内雰囲気を流量30mL/minの酸素に変更した。電気炉内雰囲気を変更した時間を0とし、図1に示すような発熱ピークが測定されるまで、電気炉内温度を一定にしながら熱量を供給した。発熱ピークが観察された後、示差走査熱量計に内蔵されたソフトウェアで発熱ピークの接線とベースラインとの交点を算出し、最終的に酸化誘導時間を得た。
(昇温法)
絶縁テープ1mgを量り取りアルミ容器に入れ、比較用の空のアルミ容器とともに示差走査熱量計の電気炉に入れた。次に、流量80mL/minの酸素雰囲気下で10℃/minの速度で電気炉を昇温し、図2に示すような発熱ピークが測定されるまで、試料に熱量を供給した。発熱ピークが観察された後、示差走査熱量計に内蔵されたソフトウェアで発熱ピークの接線とベースラインとの交点を算出し、最終的に酸化開始温度Tを得た。
上記のようにして、測定した等温法による酸化誘導時間の測定は比較例に該当し、昇温法により測定した酸化開始温度の測定は実施例に相当する。
各温度で使用した第1の絶縁テープI〜IIIの、酸化誘導時間又は酸化開始温度の測定結果と、実使用時間との関係を表す検量線を作成した。これらの検量線を図4〜6に示す。なお、図4〜6はそれぞれ、第1の絶縁テープI〜IIIの検量線を表す。また、図4〜6において、左側のy軸の酸化開始温度は等間隔の目盛(整数軸)で表し、右側のy軸の酸化誘導時間は自然対数の目盛で表し、x軸の実使用時間は等間隔の目盛(整数軸)で表している。図4に示すように、酸化誘導時間と実使用時間との関係を表す検量線の相関係数は、酸化開始温度と実使用時間の関係を表す検量線の相関係数よりも小さかった。このため、図4からは、酸化開始温度と実使用時間の関係を表す検量線の方が、酸化誘導時間と実使用時間との関係を表す検量線よりも高い相関性を示すことが分かる。従って、酸化開始温度と実使用時間の関係を表す検量線を利用することにより、高精度で絶縁テープの余寿命を予測できることが分かる。また、図5〜6においても同様の傾向を示すことが分かる。このため、以後では、図4〜6の酸化開始温度と実使用時間の検量線に基づいて、絶縁テープの余寿命診断を行う。
上記のように算出した、実使用時間と酸化開始温度の関係を表す下記式(1)の検量線の算出結果を下記表4に示す。
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
Figure 2019045328
次に、下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出した。なお、限界酸化開始温度は210℃とした。
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
上記表1〜3と同様の環境下で、一定期間、使用した絶縁テープI〜III(第2の絶縁テープに相当)の余寿命を、下記式(3)により算出した。
(余寿命)=(寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
各第2の絶縁テープの酸化開始温度、実使用時間、寿命及び余寿命を、下記表5に示す。
Figure 2019045328
なお、上記実施例では、90℃未満の温度で使用した絶縁テープの酸化開始温度を示していない。しかし、上記と同様の測定を行うことにより、90℃未満の温度(例えば、50℃以上90℃未満)であっても、同一環境下で使用する限り、図4〜6と同様に、酸化開始温度と絶縁テープの実使用時間との間に高い相関性があることを示す直線状の検量線を作成することができた。この結果、比較的、低い温度であっても同一環境下で絶縁テープを使用する限り、高精度でその余寿命を診断できることを確認できた。
1 導体接続管
2 半導電性テープ
3 絶縁テープ
5 保護テープ
6 防水混和物
7 保護管
8 防食層

Claims (6)

  1. 新品の第1の絶縁テープと、使用した第1の絶縁テープとを準備する工程と、
    示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程と、
    y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
    (酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
    (式(1)において、a及びbは正の数を表す)
    下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
    (寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
    (式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
    下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
    (余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
    を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
  2. 同じ環境下で互いに異なる実使用時間、使用した、複数の第1の絶縁テープを準備する工程と、
    示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度Tを測定する工程と、
    y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
    (酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
    (式(1)において、a及びbは正の数を表す)
    下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
    (寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
    (式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
    下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
    (余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
    を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
  3. 前記第1及び第2の絶縁テープは、エチレン−プロピレンゴムを含む、請求項1又は2に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
  4. 前記第1及び第2の絶縁テープは、電力ケーブル接続部用の絶縁テープである、請求項1から3までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
  5. 前記限界酸化開始温度は、200〜220℃である、請求項1から4までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
  6. 前記第2の絶縁テープは、180℃以下で使用される、請求項1から5までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
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