JP3864063B2 - コイル絶縁紙の劣化度評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、絶縁紙の劣化度を評価するための方法、例えば油入変圧器、油入リアクトルなどの油入機器の寿命を診断するために、その運転温度における絶縁紙の劣化度を評価する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
変圧器の寿命は、コイルの絶縁に使用されているコイル絶縁紙の劣化によって決ると言われている。コイル絶縁紙が劣化すると引張強さなどの機械的強度は低下するが、絶縁破壊電圧はほとんど低下しないことが知られている。変圧器の長期間使用に伴いコイル絶縁紙の機械的強度が低下している時に、コイルに機械力が作用するとコイル絶縁紙が損傷して絶縁破壊につながる可能性が有る。
【0003】
コイル絶縁紙の劣化度は、CO+CO2あるいはフルフラール等の絶縁紙の劣化生成物の発生量を測定する、あるいはコイル絶縁紙の平均重合度を測定することによって評価されている。コイル絶縁紙の機械的強度と平均重合度の間には相関のあることが知られている。
【0004】
平均重合度の評価基準は、例えば、日本電機工業会規格 JEM1463−1993「変圧器用絶縁紙の平均重合度評価基準」がある。同規格では、平均重合度が450以下になると寿命レベルであり、250以下になると危険レベルであると規定されている。図3は、同規格の解説に記載された平均重合度残率と引張強さ残率との関係を示す図であり、同図に基づき、上記規定の根拠を「外部短絡時にコイルにかかる引張力をもとに、経年劣化後の絶縁紙に必要な最低引張強さは初期値の60%が限界となる。この考え方を図3に適用すると、引張強さ残率が60%になるのは平均重合度残率では40〜45%程度となっているので、初期値を1000前後とすると、絶対値では400〜450程度になると考えられる。従って平均重合度の寿命レベルとしては測定のバラツキも考慮して450以下とした」としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コイル絶縁紙に機械力が作用するのは、変圧器が運転中であり、運転温度雰囲気に置かれた条件である。
【0006】
また、実験によれば、コイル絶縁紙の引張強さは、測定温度によって異なる特性を有する。さらに、この特性は、劣化した絶縁紙でも同様であり、測定温度によって引張強さが異なる。すなわち、絶縁紙の強度と平均重合度の関係は、機器の運転温度によって異なる。従って、コイル絶縁紙の引張強さと平均重合度との相関については、運転温度で求めるのが適当である。
【0007】
しかるに、上記JEM1463の解説に用いている図3の平均重合度残率と引張強さ残率との関係は、使用温度とは関係なく一律に適用されるものである。従って、この方法で求めた評価は、運転温度が考慮されていないため、より正確な評価がされないという問題がある。
【0008】
この発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、コイル絶縁紙の劣化度を電気機器の運転温度を考慮したより正確な評価ができるようにして、電気機器の寿命をより正確に診断することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明における第1のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、電気機器からコイル絶縁紙の試料を採取し、該採取した試料の評価基準温度における平均重合度残率を測定して劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、平均重合度残率を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取した試料の平均重合度残率の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものである。
【0010】
また、本発明における第2のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、上記第1のコイル絶縁紙の劣化度評価方法において、上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の測定値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出するものである。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32)
【0011】
また、本発明における第3のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記採取した劣化生成物の評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記試料の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものである。
【0012】
また、本発明における第4のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、上記第3のコイル絶縁紙の劣化度評価方法において、上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出するものである。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32)
【0013】
また、本発明における第5のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、換算平均重合度を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いるものである。
【0014】
また、本発明における第6のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の評価基準温度における発生量から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における劣化生成物の発生量の値を求め、該求めた劣化生成物の発生量の値を換算発生量として、該換算発生量でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものである。
【0015】
また、本発明における第7のコイル絶縁紙の劣化度評価方法は、換算発生量を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実験室においてコイル絶縁紙を強制的に劣化させ、このコイル絶縁紙の平均重合度を測定し、測定温度を変えて引張強さを測定した結果を示した図である。同図において、引張強さは劣化前のコイル絶縁紙の20℃(評価基準温度)での測定値を初期値として残率で示している。また、平均重合度も強制的に劣化させる前の値を初期値100%とし、平均重合度残率が79%、44%、31%の場合について示している。なお、測定温度120℃は、電気機器において使用されることのない温度であるが、参考データとして示している。
【0017】
図に示されているように、コイル絶縁紙の引張強さは、測定温度が高くなるに従って、低下している。また、劣化が進み平均重合度残率が小さくなるとコイル絶縁紙の引張強さは低下するが、劣化が進んでも測定温度に対してほぼ同じ傾斜を示す。
【0018】
図2は、図1の測定結果を引張強さ残率と平均重合度残率との関係で示した図である。図に示されているように、引張強さ残率は平均重合度残率が小さくなるに従って、ほぼ直線的に低下している。低下の傾斜は、測定温度に関わらずほぼ同じ傾斜を示している。図2を、従来の評価に用いられている図3と対比すると、図3の値は、図2の測定温度20℃のときの値とほぼ同じであり、電気機器(実機)で測定した平均重合度残率を、図3(図2では20℃の直線)にあてはめた場合に求められる引張強さ残率は、上記測定した平均重合度残率を実機の使用温度に対応する測定温度の直線(60℃〜120℃の直線)にあてはめた場合に求められる引張強さ残率よりも大きな値になることが分かる。例えば、実機の使用温度が80℃であり、測定された平均重合度残率が80%の場合に、20℃の直線では引張強さ残率が80%と大きな値になるが、80℃の直線では60%になる。
【0019】
以上のように、コイル絶縁紙の劣化度の評価は、使用温度を考慮することによってより正確になることが分かる。
【0020】
そこで、機器から採取したコイル絶縁紙試料の劣化度を評価するに当り、採取試料の平均重合度測定値をそのまま評価値とするのではなく、換算平均重合度を用いる。換算平均重合度は、図2を用いて求める。同図において、実機の使用温度に対応する測定温度の直線に採取試料の平均重合度残率の測定値をあてはめて引張強さ残率を求め、ここで求めた引張強さ残率に対応する20℃の直線における平均重合度残率を求めて、この求めた平均重合度残率を換算平均重合度残率とする。
【0021】
なお、本実施の形態において、機器からコイル絶縁紙を採取し、この採取試料の平均重合度を測定して平均重合度残率を求めたが、機器から発生するCO+CO2あるいはフルフラールなどの絶縁紙の劣化生成物量を測定し、予め求められた絶縁紙の劣化生成物量と平均重合度残率との関係から、測定した絶縁紙の劣化生成物量を平均重合度残率に換算し、この換算した平均重合度残率を用いてもよい。
【0022】
また、本実施の形態において評価基準温度が20℃の場合を示したが、評価基準温度は適宜規定すればよい。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態1では、採取したコイル絶縁紙試料の平均重合度残率の測定値または絶縁紙の劣化生成物量を換算した平均重合度残率を用いたものであったが、平均重合度残率の測定値または換算値に代えて、CO+CO2あるいはフルフラールなどの絶縁紙の劣化生成物量の測定値そのものを用いてもよい。
【0024】
この場合、実験室において実使用温度に相当する温度でコイル絶縁紙を強制的に劣化させて劣化生成物の単位時間当りの発生量を測定し、強制劣化させたコイル絶縁紙の引張強さを測定温度を変えて測定して、図1と同様の測定温度と引張強さ残率との関係を求める。
【0025】
次に、劣化生成物の発生量の測定結果と引張強さ残率との関係を基準温度及び各強制劣化温度について図2と同様に示し、実機の使用温度に対応する測定温度の直線に採取試料の劣化生成物発生量をあてはめて引張強さ残率を求め、ここで求めた引張強さ残率に対応する20℃の直線における劣化生成物発生量を換算発生量とし、この換算発生量でコイル絶縁紙の劣化度を評価する。
【0026】
実施の形態3.
図2から、各測定温度における回帰式を求め、この回帰式を用いて、各測定温度において測定した重合度残率から換算重合度残率を算出する関係式を求めると下記式(1)及び(2)となる。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
上記式(1)及び(2)において、Dは換算平均重合度残率(%)、DMは測定平均重合度残率(%)、Tは使用温度(℃)であり、A,B,C、α、βは各々係数であり、それぞれ下記式(3)〜(6)を満たす。
0.7≦A≦0.8 …(3)
23≦C≦24 …(4)
−0.45≦α≦−0.35 …(5)
31≦β≦32 …(6)
【0027】
機器から採取したコイル絶縁紙の平均重合度残率測定値をDM、採取した機器の温度をTして、上記式(1)ないし(6)から、評価基準温度における換算平均重合度残率(%)を求めることができる。
【0028】
なお、本実施の形態において、機器から発生するCO+CO2あるいはフルフラールなどの絶縁紙の劣化生成物量を測定し、予め求められた絶縁紙の劣化生成物量と平均重合度残率との関係から、測定した絶縁紙の劣化生成物量を平均重合度残率に換算し、この換算した平均重合度残率を用いてもよい。
【0029】
実施の形態4.
日本電機用工業会規格 JEM 1463ではコイル絶縁紙の平均重合度評価基準として、寿命レベル450(平均重合度残率45%)以下、危険レベル250(平均重合度残率25%)以下と規定しているが、平均重合度評価基準として寿命レベル及び危険レベルの基準値として、上記実施の形態1に示した換算平均重合度残率または実施の形態2に示した換算発生量を用いることによって、より正確な評価ができる。
【0030】
具体的には、寿命レベルを換算平均重合度残率45%(引張強さ残率60%)とすると、図2において、実機における使用温度が80℃の場合には、実機から採取されたコイル絶縁紙の平均重合度残率が80%以下で寿命レベルに達したと評価される。
【0031】
また、上記式(1)及び(2)では、実機の使用温度Tにおいて、換算平均重合度残率Dが45として求められる平均重合度残率DMの値以下に、実機から採取されたコイル絶縁紙の平均重合度残率が達した場合に、寿命レベルと評価される。換算発生量を用いた評価においても同様の考え方により評価される。
【0032】
【発明の効果】
本発明における第1のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、電気機器からコイル絶縁紙の試料を採取し、該採取した試料の評価基準温度における平均重合度残率を測定して劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、平均重合度残率を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取した試料の平均重合度残率の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものであるので、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の運転温度を考慮してより正確な評価ができるようになり、電気機器の寿命をより正確に診断することができる。
【0033】
また、本発明における第2のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、上記第1のコイル絶縁紙の劣化度評価方法において、上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の測定値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出するものであるので、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の使用温度を考慮してより正確な評価ができるようになる。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32)
【0034】
また、本発明における第3のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記採取した劣化生成物の評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記試料の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度算率に換算した値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものであるので、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の運転温度を考慮してより正確な評価ができるようになり、電気機器の寿命をより正確に診断することができる。
【0035】
また、本発明における第4のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、上記第3のコイル絶縁紙の劣化度評価方法において、上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出するものであるので、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の使用温度を考慮してより正確な評価ができるようになる。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32)
【0036】
また、本発明における第5のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、換算平均重合度を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いるものであるので、コイル絶縁紙の寿命レベルまたは危険レベルをより正確に評価でき、電気機器の寿命をより正確に診断することができる。
【0037】
また、本発明における第6のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の評価基準温度における発生量から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における劣化生成物の発生量の値を求め、該求めた劣化生成物の発生量の値を換算発生量として、該換算発生量でコイル絶縁紙の劣化度を評価するものであるので、コイル絶縁紙の劣化度を、電気機器の使用温度を考慮してより正確な評価ができるようになる。
【0038】
また、本発明における第7のコイル絶縁紙の劣化度評価方法によれば、換算発生量を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いるものであるので、コイル絶縁紙の寿命レベルまたは危険レベルをより正確に評価でき、電気機器の寿命をより正確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の評価法におけるコイル絶縁紙の引張強さ残率と測定温度依存性を示す図である。
【図2】 本発明の評価法におけるコイル絶縁紙の引張強さ残率と平均重合度残率の関係を示す図である。
【図3】 従来の評価法におけるコイル絶縁紙の平均重合度残率と引張り強さ残率の関係を示す図である。
Claims (7)
- 電気機器からコイル絶縁紙の試料を採取し、該採取した試料の評価基準温度における平均重合度残率を測定して劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、平均重合度残率を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取した試料の平均重合度残率の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価することを特徴とするコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
- 上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の測定値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出することを特徴とする請求項1記載のコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32) - 電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係から上記採取した劣化生成物の評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記試料の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量を上記コイル絶縁紙の平均重合度残率に換算した値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における平均重合度残率の値を求め、該求めた平均重合度残率の値を換算平均重合度残率として、該換算平均重合度残率でコイル絶縁紙の劣化度を評価することを特徴とするコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
- 上記評価基準温度、及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の平均重合度残率と引張強さ残率との関係から上記各温度における回帰式を求め、上記求めた回帰式から、上記平均重合度残率の値をDM(%)、上記電気機器が使用される温度をT(℃)としたときの、評価基準温度における換算平均重合度残率D(%)の下記式(1)及び(2)の関係を求めて上記換算平均重合度残率を算出することを特徴とする請求項1記載のコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
D=DM+1/A×(C−B) …(1)
B=α×T+β …(2)
(A,B,C、α、βは各々係数であり、0.7≦A≦0.8、23≦C≦24、−0.45≦α≦−0.35、31≦β≦32) - 上記請求項1ないし4のいずれかに記載の換算平均重合度を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いることを特徴とするコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
- 電気機器からコイル絶縁紙の劣化生成物を採取し、該採取した劣化生成物の評価基準温度における発生量から劣化度を評価するコイル絶縁紙の劣化度評価方法であって、劣化生成物の発生量を変えた試料それぞれの温度と引張強さ残率との関係を測定し、上記評価基準温度及び上記電気機器が使用される温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係を求め、上記電気機器が使用される温度において、上記採取したコイル絶縁紙の劣化生成物の発生量の測定値における引張強さ残率を求め、上記評価基準温度における上記コイル絶縁紙の劣化生成物の発生量と引張強さ残率との関係において、上記求めた引張強さ残率の値における劣化生成物の発生量の値を求め、該求めた劣化生成物の発生量の値を換算発生量として、該換算発生量でコイル絶縁紙の劣化度を評価することを特徴とするコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
- 上記請求項6記載の換算発生量を、電気機器がコイル絶縁紙の劣化によって信頼性が低下し、更新が必要であると判断される寿命レベル、またはコイル絶縁紙そのものの機械的強度が消失しており、コイル絶縁紙としての形状を保持できない危険レベルの検出値として用いることを特徴とするコイル絶縁紙の劣化度評価方法。
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