以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
自動分析装置の全体構成
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の一実施形態にかかる自動分析装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動分析装置1の全体構成を模式的に示した斜視図である。図2は、図1に示す本発明の一実施形態に係る自動分析装置1の全体構成のうち、点線で囲んだ部分を拡大した斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る自動分析装置1における試薬庫100内、特に試薬トレイを模式的に示した斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係る自動分析装置1における試薬容器150内の試薬吸引動作時を模式的に示した斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る自動分析装置1における試薬トレイ110、試薬容器収容部120、及び試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150を概念的に示した図(上面図)である。
本発明の一実施形態にかかる自動分析装置1は、図1に示すように、分析ユニット2とモニター3(図面では省略されるPC部を含む)とから構成されている。分析ユニット2は、試薬を吸引及び吐出する試薬吸引ノズル20、検体がセットされる検体ラック収容部30、検体を吸引及び吐出する検体ノズル40、試薬庫100、及び図示しない分析部等を有する。モニター3には、試薬庫100(図1においては、分析ユニット2の内部に設けられ、後述する天井蓋101の下方に設けられている)内にセットされる各種試薬の情報(例えば、試薬の種類、使用期限、ロット番号等)や、検体の分析結果、分析操作の開始又は停止の操作、試薬庫100内にセットされる各種試薬の交換の操作、等が表示される。
本発明の一実施形態にかかる自動分析装置1には、例えば血液を検体として使用することができる。分析ユニット2の内部に設けられる図示しない分析部には、例えば凝固時間法用の測定部及び吸光度測定法用の測定部が格納されている。凝固時間法とは、所定量の検体(例えば血液)を一定時間加温した後、試薬を添加して、検体と試薬を反応させ、試薬添加後から所定の光を照射して、かかる光の散乱光や透過光の強度変化をモニタリングし、検出された電気信号をデジタル信号変換及び演算処理して凝固時間を算出するものである。他方、吸光度測定法とは、所定量の検体に試薬を添加して、検体と試薬を反応させ、試薬添加後から吸光度を測定し、所定時間後の吸光度又は所定時間内の吸光度変化量から濃度や活性値を算出するものである。
図1及び図2に示すように、分析ユニット2の上部には、試薬吸引ノズル20、検体ラック収容部30、検体ノズル40、及び試薬庫100が設けられている。試薬庫100は、分析ユニットの内部に設けられており、図1及び図2においては、試薬庫100の一部を構成する天井蓋101のみが図示されており、天井蓋101の下方に試薬庫100が設けられている。
図2に示すように、試薬吸引ノズル20は、軸部22、アーム部24、及びノズル部26を有する。軸部22の一端は駆動部(図示せず)と連結されており、前後方向(図2においては紙面上下方向)に移動することができる。さらに、軸部22は回転可能に制御されている。軸部22の他端は、アーム部24に連結されているため、軸部22を回転させることにより、アーム部24を回転させると、これに伴ってノズル部26も軸部22を中心として回転することができる。これにより、ノズル部26を適宜回転させることで、洗浄場所(図示せず)にてノズル部26を洗浄することもでき、且つ所望の場所(吸引場所)においてノズル部26を下降させて試薬庫100内の試薬を吸引することができる。
図2に示すように、ノズル部26は、アーム部24から鉛直下方へ延在し、アーム部24とともに所定の位置まで回転した後、試薬庫100内に向かってノズル部26が下に移動するように、天井蓋101に設けられるノズル通過口101aから、試薬庫100内へと進入して、試薬を吸引する(例えば、図4参照)。
なお、ノズル部26は、所定時間内に複数の異なる試薬を吸引することが想定されることから、図1、図2及び図4に示すように、試薬間のコンタミネーション防止の観点から、複数(例えば2つ)のノズル部26が設けられることが好ましい。さらに、ノズル部26においては、試薬を吸引すると同時に、試薬を加温するためのヒーターを設けてもよい。試薬庫100内は、試薬を保管しておく保管機能を兼ねており、かかる保管に際して、試薬庫100内を冷却する場合がある。このような場合、保冷状態の試薬をノズル部26によって吸引すると同時に、ノズル部26に設けられるヒーターによって加温することで、かかる試薬を適温にさせた上で反応容器(図示せず)に吐出させることが可能となる。
検体ラック収容部30には、採血管又はサンプルカップ等に充填された検体を架設したラックがセットされる。検体ノズル40の構造は、試薬吸引ノズル20の構造と基本的に同じであるため(但し、検体ノズル40にはヒーターを設ける必要はなく、また吸引量は異なる)、ここでは説明を省略する。
次に、試薬庫100内の詳細について、図3乃至図5を参照しつつ説明する。図1及び図2において図示される天井蓋101の下方には、図3に示すような、略円盤状の試薬トレイ110が配されている。試薬トレイ110の下方には、試薬トレイ110を試薬庫100内にて回動可能とすべく、モーター等で構成される後述する回転機構200(図3乃至図5においては図示せず)が設けられており、試薬トレイ110は、かかる回転機構200上に載置されて、試薬庫100内において回動するように構成されている。
試薬トレイ110の周端近傍には、試薬トレイ110の外周に沿って、複数の試薬容器収容部120が等間隔に設けられる。なお、試薬容器収容部120は、図3乃至図5に示すように、試薬トレイ110の内径側にも等間隔で複数設けられてもよい。これにより、できる限り多くの試薬容器収容部120を、試薬トレイ110上に設けることができる。
図3乃至図5に示すように、試薬容器収容部120の側壁120aには、弾性部材121が設けられていてもよい。弾性部材121は、例えば板ばねを用いることができ、その一端は試薬トレイ110上に係止されており、弾性部材121の一部が試薬容器収容部120内に張り出すように設けられる。これにより、図4及び図5に示すように、試薬容器収容部120内に、様々な大きさ(外径)の試薬容器150が収容されても、弾性部材121が試薬容器150を試薬容器収容部120内において、試薬トレイ110の外周に向かって付勢して、試薬容器150が試薬容器収容部120内で動かないように支持することができる。またこれによって、試薬容器150の開口部151も固定される。
なお、図4に示すように、試薬トレイ110を適宜回動させて、任意の試薬容器収容部120に収容された試薬容器150を、吸引位置110xに位置させるように移動させると、試薬吸引ノズル20におけるノズル部26が試薬庫100の上方から下降されて、試薬容器150の開口部151から進入して、試薬容器150内に充填される試薬を吸引する。
なお、試薬庫100内は、例えばペルチェ素子等を用いて冷却されている。これにより、試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150内に充填される試薬を、試薬庫100内において、長期間保管することができる。
1.第1の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関し、更なる詳細を第1の実施形態として、以下説明する。
1−1.位置決め部122
第1の実施形態に係る自動分析装置1においては、図6に示すように、試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150が、試薬容器収容部120内において意図せず回転(自転)することのないよう、試薬トレイ110上に位置決め部122が設けられている。位置決め部122は、試薬トレイ110上であって、隣接する2つの試薬容器収容部120の間に設けられる。位置決め部122は、試薬容器150の外壁150aとして成形される係合構造150x、又は試薬容器150に別個に装着される試薬容器アダプタ300の外壁300aに設けられる係合構造300xと係合するためのスペースとして設計されている。
ここで、係合構造150x及び係合構造300xについて説明する。説明の便宜上、図20乃至図24を適宜参照して、試薬容器アダプタ300に係合構造300xを中心に説明する。
試薬容器アダプタ300は、図23及び図24に示すように、試薬容器150の周囲を覆うように装着される。なお、試薬容器アダプタ300が装着された試薬容器150は、試薬容器アダプタ300が装着されない試薬容器150と同様に、図4に示したように、試薬容器収容部120内に収容される。したがって、試薬容器150が試薬容器収容部120内に収容されると、試薬容器アダプタ300は、試薬容器150と試薬容器収容部120(試薬容器収容部120の側壁120a)との間に挿入された状態となる。
試薬容器アダプタ300は、図20乃至図24に示すように、中空状の略円筒形状を呈しており、例えば樹脂等の軽量な素材で成形される。1つの試薬容器アダプタ300に対し、1つの試薬容器150が装着されるようになっており、試薬吸引ノズル20のノズル部26が、試薬容器150の開口部151から、試薬容器150内へと進入することができるよう、試薬容器アダプタ300の上端部302も開口している。なお、試薬容器アダプタ300の上端部302は、図24に示すように、試薬容器150(開口部151)の上方に設けられてもよいし、後述する第3の実施形態における図12A及び図12Bに示すように、試薬容器150の開口部151と同じ高さとなるように設けてよい。
試薬容器アダプタ300には、窓部303が設けられている。窓部303は、試薬容器150の外壁150a上に貼付される二次元バーコード等の識別子153が、試薬庫100内において露出するように試薬容器150に装着される。これにより、試薬容器150に試薬容器アダプタ300が装着されていても、試薬庫100内に設けられる二次元バーコードリーダ等の読取機構(図示せず)によって、かかる識別子153が読取されるように構成されている。なお、かかる読取機構によって読取された識別子153は、各試薬容器収容部120内に収容される各試薬容器150に充填されている各試薬の情報(例えば、試薬の種類、使用期限、ロット番号等)として読み取られ、モニター3に表示され、かかる情報を使用者が一目で分かるように管理されている。
試薬容器アダプタ300の外壁300aには、図22A、図22C、及び図24に示すように係合構造300xが設けられている。係合構造300xとは、試薬容器アダプタ300の外壁300a上に設けられる凸構造であり、この凸構造が、試薬トレイ110上に設けられる位置決め部122に係合するように設計されている。なお、係合構造300xは、試薬容器アダプタ300の製造過程において、係合構造300xを設けるべく成形してもよいし、係合構造300xを別に製造しておき、試薬容器アダプタ300の外壁300a上に後から取付又は固定して設けてよい。
以上のとおり、係合構造300xは、試薬容器アダプタ300の外壁300aに設けられたが、試薬容器アダプタ300を用いない場合であって、係合構造300xのような凸構造を、試薬容器150の外壁150a上に直接設けることも可能である(この場合においては、係合構造150x)。例えば、試薬容器150の製造過程において、係合構造150xを設けるべく成形してもよいし、係合構造150xを別に製造しておき、試薬容器150の外壁150a上に後から取付又は固定して設けてもよい。この場合においては、凸構造である係合構造150xが、位置決め部122に係合することとなる。
なお、位置決め部122は、試薬トレイ110上であって、隣接する2つの試薬容器収容部120の間に設けられる旨、前述にて説明したが、例えば、図7A及び図7Bに示すように、後述する移動路180に係合構造150x(又は300x)の機能を兼ねさせるように設けてもよい。具体的には、移動路180は、後述するとおり、試薬容器収容部120の側壁120a及び試薬容器150の外壁150aとの間に設けられるものであって、試薬容器150の外壁150a又は試薬容器アダプタ300の外壁300aの側方に突出して設けられる。したがって、かかる突出した構造を、そのまま係合構造150x(又は300x)として機能させることも可能となる。この場合において、位置決め部122は、図6に示したものとは異なり、図7Aに示すように、略円状の試薬容器収容部120に隣接し、且つ試薬容器収容部120の外周側であって、試薬トレイ110の中心に向かって突出するように設けられることが好ましい。これにより、隣接する2つの試薬容器収容部120の間に位置決め部122が存在しない分、試薬トレイ110上に試薬容器収容部120を、より効率的に(より多く)配置させることが可能となる。なお、図7Bに示すように、試薬トレイ110上に試薬容器収容部120を、図7Aに比して、さらに効率的に(さらに多く)配置させるべく、隣接する2つの略円状の試薬容器収容部120がお互いに重なりあうように配置させてもよい。
上記のとおり、第1の実施形態に係る自動分析装置1においては、係合構造150x又は係合構造300x、及び位置決め部122を設けることによって、試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150が、試薬容器収容部120内において回転(自転)することを規制することができる。これにより、後述するとおり、吸引位置110xにおいて、試薬吸引ノズル20によって、試薬容器150内に充填される試薬を確実に吸引することができる。また、後述するとおり、吸引位置110xにおいて、磁場発生部130による磁場に磁性体140を確実に作用させることができ、これに付随して、試薬吸引ノズル20のノズル部26が、試薬容器150の開口部151から試薬容器150内へと進入する進入経路を確保すべく、後述の蓋部材160を確実に動作させて、かかる開口部151を開状態へと遷移させることができる。
1−2.蓋部材160
第1の実施形態に係る自動分析装置1においては、図8乃至図10に示すように、試薬容器150の開口部151の上方(試薬容器150に試薬容器アダプタ300が装着される場合にあっては、試薬容器アダプタ300の上方)に設けられ、試薬吸引ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150内への進入経路を開放又は閉塞するように動作する蓋部材160が設けられる。図8に示すように、蓋部材160は、基本的には、試薬容器150の開口部151を覆うようにして(閉塞するようにして)、試薬容器150内と、試薬容器150の外側とが連通しないように遮断している。これにより、試薬の蒸発や、他の試薬とのコンタミネーション等を効率的に防止している。
蓋部材160は、1つの試薬容器150に対して、1つの蓋部材160が設けられてもよいし、1つの試薬容器収容部120に対して、1つの蓋部材160が設けられていてもよい。したがって、自動分析装置1に対して、複数の蓋部材160が設けられることとなり、各蓋部材160は、後述のとおり、各々が独立して動作することができるよう設計されている。
ところで、試薬トレイ110を適宜回動させて、任意の試薬容器収容部120に収容された試薬容器150を、所定の位置(吸引位置110x)に位置させるように移動させると、図9に示すように、試薬吸引ノズル20におけるノズル部26が試薬庫100の上方から下降され、試薬容器150の開口部151から進入して、試薬容器150内に充填される試薬を吸引する。このとき、試薬容器150の開口部151を覆って(閉塞して)、試薬容器150内への試薬吸引ノズル(ノズル部26)の進入経路を閉塞していた蓋部材160は、対応する試薬容器150が吸引位置110xへと移動すると、かかる進入経路を開状態とすべく(開放すべく)、図9(図9において左側)に示すように動作する。なお、このとき、吸引位置110xに位置しない他の試薬容器150に関し、かかる他の試薬容器150に対応する蓋部材160は、試薬容器150の開口部151を覆うようにして(閉塞するようにして)、試薬容器150内と試薬容器150の外側とが連通しないよう、試薬容器150の開口部151を閉塞する状態を維持している。これにより、試薬容器150内に充填される試薬は、吸引時以外、試薬容器150の外側に暴露されないため、試薬の蒸発や、他の試薬とのコンタミネーション等を効率的に防止することができる。
なお、試薬トレイ110は、図8及び図9に示すように、試薬庫100内において、回転機構200上に載置されて回動可能に設けられている。具体的には、モーター204の回転軸202に試薬トレイ110の中心部が軸着されて、試薬トレイ110が回動可能となっている。
蓋部材160は、試薬トレイ110、試薬容器150、試薬容器アダプタ300、又は移動路180(厳密には、後述する板材150s)に取り付けられ、その支点171を形成することが好ましい。例えば、図8及び図9や、後述する第3の実施形態における図12A及び図12Bにおいては、移動路180を構成する板材150sに蓋部材160が取り付けられるように支点171が設けられている。これにより、蓋部材160は、かかる支点171を中心に動作(回動)することが可能となり、試薬ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150の開口部151への進入経路の閉状態から開状態への遷移、又は開状態から閉状態への遷移をスムーズに実行することができる。
また、試薬容器150の近傍であって、試薬容器150の周囲のいずれかの位置に配される磁性体140が、吸引位置110xにおいて、磁場発生部130が発出する磁場の作用を受けて試薬庫100内を移動することと連動して、蓋部材160は、試薬ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150の開口部151への進入経路が開状態となるべく(試薬容器150の開口部151を開放するように)動作するよう構成されている。具体的には、例えば図8及び図9に示すように、蓋部材160を、屈曲点170を介して、蓋部160a及び蓋部160bが連結された屈曲構造を用いることができる。さらに、蓋部160bを磁性体140に連結するように設けることで、磁性体140が、前述のとおり試薬庫100内において移動すると(例えば、図9に示すように、紙面下方向へ移動すると)、これに連動して、蓋部材160も、かかる屈曲構造を伸ばすように支点171を中心に動作(回動)することができ(屈曲点170及び蓋部160bが回動することで、蓋部160aも動作することができ)、吸引位置110xにおいて、試薬容器150の開口部151を開状態とすることができる。
次に、蓋部材160の取り付けられる具体的な構造について、図10を参照しつつ説明する。図10は、第1の実施形態に係る蓋部材160、特に蓋部160a、を模式的に示した斜視図である。図10に示すように、蓋部160aの上面(天井蓋101に対向する面)上には、重り161が設けられることが好ましい。これにより、一端蓋部材160(蓋部160a)が、吸引位置110xにおいて、試薬容器150の開口部151を開状態(図9の左側の状態)とした後、試薬トレイ110を回動させて、かかる試薬容器150を吸引位置110xでない位置へと移動させると、蓋部160aは、重り161の重さによって、試薬容器150の開口部151を閉状態とするように、元の位置(図8の状態)へ戻るように動作することができる。この蓋部160aの動作に連動して、蓋部160bも、磁性体140と一体的に、元の位置(図8の状態)へと戻るように動作する。このような動作を繰り返すことで、試薬容器150の開口部151を閉状態から開状態、又は開状態から閉状態へと遷移させることができる。
また、蓋部160aの下面(試薬容器150の開口部151に対向する面)には、樹脂発泡体等の弾性部材168が設けられていることが好ましい。かかる弾性部材168は、前述のとおり、蓋部160aが重り161の重さによって、試薬容器150の開口部151を閉状態とするように動作する際に、蓋部160aの下面が試薬容器150に直接当接することを防止することで、かかる閉状態とする際の衝撃を吸収して、蓋部160aの破損や劣化を防止している。なお、蓋部160aの重さによっては、重り161を省略してもよい。
また、蓋部160aには、支点171を構成する取付け部169が、蓋部160aから側方へと突出するように設けられることが好ましい。例えば図10に示すように、移動路180を形成する板材150sに設けられる円環状の接続部169xに取付け部169を挿通させることで、蓋部160aを板材150sに取付けることができる。これにより、蓋部160aは、取付け部169を支点171として、回動することが可能となる。なお、図10に示される取付け部169及び接続部169xの構造は、あくまで一例であって、蓋部160aが回動可能に取り付けられる限りにおいて、別の構造を用いても構わない。また、接続部169xは、板材150sではなく、試薬トレイ110、試薬容器150、又は試薬容器アダプタ300に設けてもよい。
前述の蓋部160bは、蓋部160aとは異なる面積、異なる厚み、異なる長さ、異なる幅、及び異なる部材のいずれかであってもよく、例えば撓むことも可能な紐を、蓋部160aの所定位置に固定した構成のものとしてもよい。なお、本発明において、蓋部160bに、かかる紐等撓むことが可能な物を用いた場合においては、蓋部160bは後述する第1継手部材190と同視しうるものということができる。
1−3.磁場発生部130
第1の実施形態に係る自動分析装置1においては、図9に示すように、吸引位置110xに対応する位置において、磁場を発生させる磁場発生部130が設けられる。ここで、吸引位置110xに対応する位置とは、試薬吸引ノズル20のノズル部26が、試薬庫100外から試薬庫内100内へと下降され、試薬容器150の開口部151から試薬容器150内へと進入する進入経路上(又はその延長線上)に位置する試薬容器収容部120に対して、鉛直方向に対向する、試薬庫100内における全ての位置のことを意味するものとする。
磁場発生部130は、吸引位置110xに対応する位置であって、例えば図9に示すように、試薬トレイ110の下方(且つ試薬庫100の底面100b上)に設けられる。この場合において、磁場発生部130は、試薬トレイ110の回転を妨げない限度において、試薬トレイ110に近接して配置される。また、磁場発生部130が発出する磁場を、後述する磁性体140に効率的に作用させるために、試薬トレイ110の下面(試薬庫100の底面100bに対向する面)に溝を設けて、かかる溝に磁場発生部130を配置させることで、磁場発生部130と磁性体140との相対距離が近づくようにしてもよい。
磁場発生部130としては、電磁石や永久磁石を用いることができる。電磁石を用いて、磁場発生のON/OFFを切替える場合には、自動分析装置1内に別途設けられる制御部(図示せず)によって、ON/OFFが制御される。具体的には、例えば、モニター3によって指定された所定の試薬容器150が、吸引位置110xに対応する位置に移動されてきたときに、磁場発生のスイッチをONとし、それ以外の時には、かかるスイッチをOFFとする制御方法を用いることができる。また、例えば、所定時間が経過すると常にスイッチをON或いはOFFとするような制御方法を用いることもできる。
磁場発生部130の大きさは特に制限されないが、試薬庫100内において、試薬トレイ110及び回転機構200と干渉しない大きさとすればよく、また蓋部材160の重さ、後述する磁性体140の大きさ、蓋部材160と磁性体140との間の距離、等を考慮して、磁場発生部130の生成する磁場の強さを適宜設計すればよい。
磁場発生部130は、試薬庫100内、特に吸引位置110xに対応する位置において、強い磁場を発生させる。これにより、後述する磁性体140は、磁場発生部130が発出する磁場において、引力(場合によっては斥力)の作用を受けて、試薬庫100内において移動することができる。
1−4.磁性体140
第1の実施形態に係る自動分析装置1においては、図8及び図9に示すように、磁性体140は、試薬容器収容部120に収容される試薬容器150の周囲のいずれかの位置であって、かかる試薬容器150が吸引位置110xに位置した時に、磁場発生部130が発出する磁場の作用を受けて、移動することができる位置に配される。具体的には、例えば図8及び図9に示すように、試薬容器150の側方に設けられることが好ましい。なお、図8及び図9に示すように、磁性体140は、1つの試薬容器150に対して少なくとも1つ設けられる。
また、磁場発生部130が発出する磁場を効率的に磁性体140に作用させるためには、図9に示すように、試薬容器150が吸引位置110xに位置する場合において、磁性体140を、試薬トレイ110を挟んで、磁場発生部130に対向する位置に配するのが特に好ましい。
磁性体140は、外部環境の影響を受けて劣化することを防止するため、樹脂で外側をコーティングするか又は樹脂製容器に収容されていることが好ましい。また、磁性体140は、鉄、コバルト並びにニッケル等の強磁性体、又はN極とS極の配置を適切に配した永久磁石を用いることができる。
図8及び図9に示すように、第1の実施形態における磁性体140としては、磁場発生部130が発出する磁場との間において、磁性体140に引力を作用させるために、磁性体140として鉄やニッケル等を用いることが好ましい。これにより、試薬トレイ110を回動させて、試薬容器150が吸引位置110xに移動すると(図8の状態から図9の状態へと遷移させると)、磁場発生部130が発出する磁場において、磁性体140には引力が作用して、磁性体140は、磁場発生部130に近づく方向(図8においては紙面下方向であって、鉛直方向)に移動する。この磁性体140の移動に連動して、前述のとおり、蓋部材160(蓋部160a及び蓋部160b)も動作することとなり、試薬容器150の開口部151を閉状態から開状態へと遷移させることができる。
なお、磁性体140は、試薬容器150の側方に設けられる移動路180内に配置されることが好ましい。移動路180は、例えば図8及び図9に示すように、各試薬容器収容部120の側壁120a及び試薬容器150の外壁150aとの間に設けられるものであって、試薬容器収容部120の底面120bから、天井蓋101の方向へ延在するものである。さらに、移動路180は、内部に磁性体140を収容し、且つ磁性体140の移動(鉛直上方又は鉛直下方の移動)をガイドする機能を有している。また、移動路180内に、蓋部材160における蓋部160bの一部を移動路180内に収容することで、蓋部材160(蓋部160b)の動作をガイドすることも可能となっている。
移動路180は、例えば、試薬容器150の外壁150aの側方に、二枚の板材150s及び150t(厚み、材質等は問わない)を試薬容器150の外壁150aに平行、且つかかる二枚の板材150s及び150tを所定距離離隔して配置することで形成することができる。また、例えば、試薬容器150の外壁150aの側方に、一枚の板材(厚み、材質等は問わず、例えば板材150sのみ)を試薬容器150の外壁150aに平行、且つかかる外壁150aから所定距離離隔して配置することで、かかる外壁150aと一枚の板材(例えば板材150s)との間において形成することができる。この場合においては、試薬容器150の外壁150aを活用して、移動路180を形成することができるため、部品点数を抑えることができる。また、試薬容器収容部120内における限られたスペースで移動路180を形成するためには、一枚の板材を用いる方が好ましい。
なお、試薬容器150に試薬容器アダプタ300を装着する場合においては、図21、図22B、及び図22Cに示すように、試薬容器アダプタ300の外壁300aの側方に、一枚の板材(厚み、材質等は問わず、例えば板材150sのみ)を試薬容器アダプタ300の外壁300aに平行、且つかかる外壁300aから所定距離離隔して配置することで、かかる外壁300aと一枚の板材(例えば板材150s)との間において形成することができる。
1−5.第1の実施形態に係る自動分析装置1における試薬の吸引方法
以上の通り説明した第1の実施形態に係る自動分析装置1における、試薬の吸引方法について、以下説明する。
第1の実施形態に係る自動分析装置1における、試薬の吸引方法においては、まず第1に、前述したように、試薬トレイ110内に設けられる複数の試薬容器収容部120内のいずれかに、試薬容器150を収容するステップが含まれる。なお、前述のとおり、1つの試薬容器収容部120内においては、1つの試薬容器150しか収容することはできない。
なお、前述の第1のステップにおいては、試薬容器150の外壁150aとして成形される係合構造150x、又は試薬容器150に別個に装着される試薬容器アダプタ300の外壁300aに設けられる係合構造300xを、試薬トレイ110上に設けられるスペースである位置決め部122に係合させて、試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150の回転(自転)を規制している。
第2に、前述したように、試薬容器150の開口部151の上方に設けられる蓋部材160によって、試薬容器150の開口部151を閉塞させるステップを含む。これにより、試薬容器150内に充填される試薬の蒸発や他の試薬とのコンタミネーションを防止することができる。
第3に、前述したように、試薬トレイ110の下方に設けられる回転機構200によって、試薬トレイ110を回動させて、任意の試薬容器収容部120内に収容される所定の試薬容器150を、吸引位置110xへと移動させるステップを含む。なお、試薬トレイ110の回動は、自動分析装置1内に別途設けられる制御部(図示せず)によって制御されている。具体的には、例えば、各試薬容器収容部120に対応する位置にスリットが設けられる略円盤状のセクター板(図示せず)を、図8及び図9において示した回転機構200における回転軸202上(且つ、モーター204と試薬庫100との間)に軸着しつつ、かかるセクター板の近傍に、任意のスリットの回転位置を検出する回転位置検出センサ(図示せず)を設け、回転位置検出センサが取得するスリットの回転位置情報に基づいて、制御部がモーター204の回転(試薬トレイ110の回動)を制御する構成を用いることができる。さらに詳述すれば、モニター3において任意の試薬容器収容部120(任意の試薬容器150)を吸引対象とする旨の操作が実行されると、かかる任意の試薬容器収容部120に対応するスリットの回転位置情報を回転位置検出センサが取得して、その試薬容器収容部120が吸引位置110xへと回動し、且つ吸引位置110xにて停止するように、制御部がモーター204の回転(試薬トレイ110の回動)を制御する。以上より、回転位置検出センサによるスリットの回転位置情報と、モーター204(試薬トレイ110)の回転制御を併用して、試薬トレイ110の回動を精緻に制御し、任意の試薬容器収容部120を吸引位置110へと精度よく移動させることができる。なお、回転機構200を構成するモーター204にはステッピングモーターを用いることが好ましい。
第4に、前述したように、吸引位置110xに対応する位置であって、例えば試薬トレイ110の下方且つ試薬庫100の底面100b上に設けられる磁場発生部130が発出する磁場に、試薬容器150の周囲のいずれかの位置(例えば、試薬容器150の側方)に配される磁性体140を作用させて、磁性体140を鉛直方向に移動させるステップを含む。なお、第1の実施形態の自動分析装置1を用いる場合においては、磁場発生部130が発出する磁場に、磁性体140を作用させることで生じる引力により、磁性体140が磁場発生部130に近づく方向へ移動するように構成される。
第5に、前述したように、試薬容器150の上方に設けられる蓋部材160が、吸引位置110xにおいて、磁性体140が、磁場発生部130が発出する磁場の作用を受けて、移動することと連動して、試薬容器150の開口部151を開放させるように動作するステップを含む。
第6に、吸引位置110xにおいて、試薬吸引ノズル20のノズル部26が、試薬容器収容部120内に収容される試薬容器150の開口部151から、試薬容器150内へと進入して、試薬容器150内に充填される試薬を吸引するステップを含む。なお、試薬吸引ノズル20は、ノズル部26によって試薬容器150内に充填される試薬を所定量吸引した後、試薬容器150外へと上昇して、試薬を吸引するステップは終了する。
第7に、第6のステップにかかる、試薬を吸引するステップが終了すると、回転機構200によって試薬トレイ110が回動されることにより、吸引位置110xに配置されていた試薬容器150(試薬容器収容部120)は、吸引位置110xではない位置へと移動される。これに伴い、第4のステップにおいて、磁場発生部130が発出していた磁場が、吸引位置110xではない位置へと移動された当該試薬容器(当該試薬容器収容部120)には発出しなくなる(作用しなくなる)結果、当該試薬容器に対応する磁性体140にも引力が作用しなくなり、蓋部材160は、重り161の自重により、試薬容器150の開口部151が開状態から閉状態となるように動作する(図9の状態から図8の状態へと遷移する)。なお、磁場発生部130に電磁石を用いる場合においては、電磁石のスイッチをONからOFFとすることによって、吸引位置110xにおいて試薬容器150の開口部151を開状態から閉状態へと遷移させるべく、蓋部材160を動作させることもできる。このように、第1のステップから第7のステップを一連の流れとして、蓋部材160が、試薬容器150の開口部151が開状態又は閉状態となるように、適宜動作することができる。
2.第2の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関連する形態の要部の詳細を第2の実施形態として、図11A及び図11Bを参照しつつ、以下説明する。なお、第2の実施形態に係る自動分析装置1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の構成と殆どの部分において共通するため、かかる共通する部分については、図11A及び図11Bにおいて、図8及び図9と同じ符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
2−1.磁性体140
図11Aは、本発明の第2の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉塞された状態を模式的に示した断面図である。図11Bは、本発明の第2の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が開放された状態を模式的に示した断面図である。言い換えれば、図11Aは、試薬容器150が、吸引位置110xでない位置に位置している場合を示し、図11Bは、試薬容器150が吸引位置110xに位置する場合を示している。
図11Aに示すように、第2の実施形態に係る自動分析装置1においては、磁性体140が、試薬容器150の側方だけでなく、試薬容器150の下方にまで移動することができるように構成されている。具体的には、磁性体140が収容される移動路180が、試薬容器収容部120の底面120bから、天井蓋101の方向へ延在するだけでなく、試薬容器収容部120の底面120bから、試薬庫100の底面100bに向かって、さらに下方へと延在している(場合によっては、試薬トレイ110を貫通していてもよい)。これにより、図11Bに示すように、試薬容器150が吸引位置110xに位置するように、試薬トレイ110を回動させると、磁性体140は、磁場発生部130に当接又は近接するように、鉛直下方へ移動することができる。これによって、第1の実施形態に比して、磁性体140の鉛直下方への移動距離を大きくすることが可能となり、蓋部材160をより効率的に動作させることができる。また、磁場発生部130が発出する磁場に対して、磁性体140を効率的に作用させることができるため、第1の実施形態に比して、小さい磁場発生部130及び小さい磁性体140を用いることも可能となる。なお、前述の第1の実施形態と同様、試薬トレイ110の下面に溝を設けた場合には、かかる溝と移動路180とを連通させてもよい。ところで、移動路180の内径は、試薬容器収容部120に対する試薬容器150の微小な位置ずれを考慮して適宜設計されることが更に好ましい。
3.第3の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関連する形態の要部の詳細を第3の実施形態として、図12A及び図12Bを参照しつつ、以下説明する。なお、第3の実施形態に係る自動分析装置1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の構成と殆どの部分において共通するため、かかる共通する部分については、図12A及び図12Bにおいて、図8及び図9と同じ符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図12Aは、本発明の第3の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉塞された状態を模式的に示した断面図である。図12Bは、本発明の第3の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が開放された状態を模式的に示した断面図である。言い換えれば、図12Aは、試薬容器150が、吸引位置110xでない位置に位置している場合を示し、図12Bは、試薬容器150が吸引位置110xに位置する場合を示している。
3−1.蓋部材160
第3の実施形態に係る自動分析装置1においては、図12A及び図12Bに示すように、蓋部材160の端部162は、例えば移動路180を形成する板材150tに取り付けられ、かかる端部162を蓋部材160の支点171としている。これにより、蓋部材160は、端部162を中心に動作(回動)することが可能となり、試薬ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150の開口部151への進入経路の閉状態から開状態への遷移(図12Aの状態から図12Bの状態への遷移)、又は開状態から閉状態への遷移(図12Bの状態から図12Aの状態への遷移)を実現している。なお、蓋部材160が所定角度(例えば100度)を超えて回動してしまうことのないよう、蓋部材160の端部162には、過回動ストッパ(図示せず)が設けられている。
また、第3の実施形態においては、第1の実施形態における蓋部160bに相当するものとして、第1継手部材190が設けられている。また、試薬容器収容部120の側壁120aと試薬容器150の外壁150aとの間に設けられ、第1継手部材190が収容される第1の移動路180aと、試薬トレイ110内に設けられ、磁性体140が収容される第2の移動路180bと、が形成されている。
3−2.磁場発生部130及び磁性体140
図12A及び図12Bに示すように、第1の移動路180aは、試薬容器収容部120の底面120bから天井蓋101の方向へと延在し、蓋部材160近傍まで達している。また、第1移動路180aに収容される第1継手部材190は、第1移動路180a内から第2の移動路180bへと延在しており、一端において蓋部材160と当接するように設けられる。
第2の移動路180bは、試薬容器収容部120の底面120から試薬庫100の底面100bに向かって延在しており、その内径は第1の移動路180aの内径よりも大きく設計され、磁性体140及び第1継手部材190が収容されている。また、第2の移動路180bを設けるべく、試薬トレイ110の下面であって、試薬容器収容部120に対向する位置において、下方に突出した突出部112が設けられている。したがって、第2の移動路180bとは、磁性体140及び第1継手部材190を収容する、突出部112の内部に設けられる空間部ということもできる。突出部112は、試薬トレイ110の下面において、試薬トレイ110の周方向に沿って円環状に延在している。突出部112の試薬トレイ110の径方向外側及び内側の少なくともいずれか一方には、磁場発生部130が設けられる(図12A及び図12Bにおいては、磁場発生部130が、突出部112の試薬トレイ110の径方向外側及び内側の両方に設けられている)。
第2の移動路180bに収容される磁性体140は、第1継手部材190の他端と連結されている。磁性体140は、一端を試薬トレイ110に係止される第2継手部材192とも連結されている。ここで、第1継手部材190、磁性体140、及び第2継手部材192は、図12Aに示すように、第2の移動路180b内において、第2継手部材192の端部192aを支点、磁性体140を屈曲点とする、屈曲構造を呈している。具体的には、第1継手部材190に屈曲部190xに蝶番を設け、更に、磁性体140と第2継手部材192との連結部140xにも蝶番を設けて、かかる屈曲構造を形成している。
次に、図12Bに示すように、試薬容器150が吸引位置110xに位置するように、試薬トレイ110を回動させると、磁性体140は、第2の移動路180b内において、磁場発生部130が発出する磁場に作用して移動する。ここで、磁場発生部130と磁性体140とは、試薬トレイ110の径方向に沿って相互に対向する位置関係にあることから、磁場発生部130が発出する磁場に作用して、磁性体140は、試薬トレイ110の径方向へ移動する(図12Aにおける磁性体140の位置から図12Bにおける磁性体140の位置へと移動する)。この場合において、磁性体140は磁場発生部130との間において、引力又は斥力のどちらが作用してもよく、適宜選択すればよい。例えば、図12Bにおける紙面左側に配置されている磁場発生部130の右方をN極、紙面右側に配置されている磁場発生部130の左方をN極、磁性体140の左方をN極及び右方をS極、とするように配置することができる。
かかる磁性体140の移動に連動して、前述の蝶番が開放(屈曲状態を解消)するように動くこととなるため、第1継手部材190、磁性体140、及び第2継手部材192による屈曲構造も解消する。これにより、第1継手部材190は、図12Bに示すように、第1の移動路180aから、蓋部材160を押し上げるようにして、第1の移動路180aの外方まで延在する状態まで移動し、この第1継手部材190の移動に伴って、蓋部材160も、試薬容器150の開口部151を閉状態から開状態へと遷移させるように動作可能となる。
なお、第1継手部材190は、蓋部材160を押し上げることができる程度の強度をもった材質、例えば棒状の金属又は樹脂等を用いることができる。ただし、前述の屈曲構造を実現するために、第1継手部材190は、屈曲部190xにおける蝶番において、2つの部材に分割されることが好ましい。また、第2継手部材192は、第1継手部材190と同様、棒状の金属又は樹脂等を用いることもできるが、撓むことが可能な紐状物やバネ等の弾性部材を用いてもよい。
また、第2の移動路180b内には、ゴム等の弾性部材からなる第1ストッパ141、及び第2ストッパ142が、各々第2の移動路180bの内壁上に設けられることが好ましい。第1ストッパ141は、図12Aに示すように、磁性体140が、前述の屈曲構造を成して第2の移動路180b内に収容されている場合において、磁性体140が第2の移動路180bの内壁と衝突することを防止している。他方、第2ストッパ142は、図12Bに示すように、磁性体140が、前述の屈曲構造を解消した状態で第2の移動路180b内に収容されている場合において、磁性体140が第2の移動路180bの内壁と衝突することを防止している。
ところで、第2の移動路180bは、第1の移動路180aと同様に、各試薬容器収容部120に設けられることが好ましい。但し、試薬庫100内は保冷のため冷却されている場合は、結露水が発生しやすい。この結露水が第2の移動路180b内に入ってしまうと、磁性体140のスムーズな移動を妨害する可能性があるため、第2の移動路180bは、可能な限り密閉された空間であることが好ましい。また、自動分析装置1全体としてのコストの観点からも、部品点数は極力少ない方が好ましい。したがって、第2の移動路180bを、試薬トレイ110に設けた突出部112内ではなく、試薬トレイ110と別体であって、内部に第2の移動路180bを設けた別筐体を、吸引位置110xに対応する位置にのみ設けてもよい。この場合において、かかる別筐体は、試薬トレイ110と一体的に回動することもなく、あくまで吸引位置110xに対応する位置に固定される。これにより、試薬トレイ110に突出部112を設ける必要はない。この場合において、第1継手部材190は、屈曲部190xを境にして、2つの部材に分割し、吸引位置110xに対応する位置に配置される場合にのみ、かかる2つの部材が一体的に移動することができるように設計しておけばよい。
また、第2の移動路180b内において、磁性体140が図12Aに示す状態から図12Bに示す状態へ、及び図12Bに示す状態から図12Aに示す状態へ、各々効率的に遷移(移動)することができるよう、例えば、第2の移動路180b内にガイド溝やローラ、それらを設けた枠体等を適宜用いてもよい。
4.第4の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関連する形態の要部の詳細を第4の実施形態として、図13A乃至図15Bを参照しつつ、以下説明する。なお、第4の実施形態に係る自動分析装置1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の構成と多くの部分において共通するため、かかる共通する部分については、図13A乃至図15Bにおいて、図8及び図9と同じ符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図13Aは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉塞された状態を模式的に示した断面図である。図13Bは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉状態と開状態の中間にある状態を模式的に示した断面図である。図13Cは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が開放された状態を模式的に示した断面図である。図13Dは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉状態と開状態の中間にある状態を模式的に示した断面図である。付言すれば、図13Aは、試薬容器150が、吸引位置110xでない位置(110yのいずれか)に位置している場合を示し、図13Bは、試薬容器150が、吸引位置110xに隣接する位置(110z)に位置している場合を示し、図13Cは、試薬容器150が吸引位置110xに位置する場合を示し、図13Dは、試薬容器150が吸引位置110xに隣接する位置(110w)に位置している場合を示している。なお、110zと110wは、共に吸引位置110xに隣接する位置であるが、110zは試薬容器150が吸引位置110xに至る前に相当し、110wは試薬容器150が吸引位置110xに至った後に相当する。
また、図14Aは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を模式的に示した斜視図である。図14Bは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を、図14AのPの方向から模式的に示した下面図(上面図)である。図15Aは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を模式的に示した斜視図である。図15Bは、本発明の第4の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を、図15AのPの方向から模式的に示した下面図(上面図)である。
4−1.蓋部材160
第4の実施形態に係る自動分析装置1においては、図13A乃至図13Dに示すように、蓋部材160は試薬トレイ110、試薬容器アダプタ300、又は試薬容器150に支点171を介して取り付けられる。なお、図13A乃至図13Dにおいては、蓋部材160は、試薬容器アダプタ300に取り付けられており、支点171は、試薬容器150の開口部151の近傍であって、試薬容器アダプタ300の外壁300aの端部301に設けられる。蓋部材160は、支点171を中心に回動することが可能となっており、試薬ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150の開口部151への進入経路の閉状態から開状態への遷移(図13Aの状態から図13Bの状態を経由して、図13Cの状態への遷移)、又は開状態から閉状態への遷移(図13Cの状態から図13Dの状態を経由して、最終的には図13Aの状態への遷移)を実現している。なお、蓋部材160における支点171には、前述した過回動ストッパ(図示せず)が設けられていてもよい。
4−2.磁場発生部130及び磁性体140
次に、磁場発生部130は、図13A乃至図13Dに示すように、試薬庫100を形成する天井蓋101上に設けられ、試薬容器150の方向に向かって延在している。ここで、磁場発生部130は、図13Cに示すように、吸引位置110xに対応する位置(厳密には、試薬吸引ノズル20の進入経路を妨害しないよう、吸引位置110xに対応する位置から、僅かに天井蓋101の周方向に外れた位置)に設けられると同時に、図13A及び図13Bに示すように、吸引位置110xに対応する位置以外(110yの少なくともいずれかの位置、及び110zの位置)にも設けられる。具体的には、天井蓋101上であって、任意の試薬容器収容部120に対応する(対向する)位置から、吸引位置110xに対応する位置にかけて、断続的に設けられる。例えば、図13Aにおいては、吸引位置110xに対応する位置から所定距離離れた位置(110yの位置)であって、試薬容器収容部120に対向する位置に磁場発生部130が設けられている。次に、図13Bにおいては、天井蓋101上であって、吸引位置110xに対応する位置に隣接する位置(110zの位置)であって、試薬容器収容部120に対向する位置にも磁場発生部130が設けられている。
さらに、図13Aにおいて設けられる磁場発生部130の延在する長さが最も長く設定されている。かかる磁場発生部130の長さを基点として、図13B、図13Cと、吸引位置110xに対応する位置に向かうにつれて、磁場発生部130の延在する長さが次第に短くなるように、複数の磁場発生部130が設けられている。より詳しくは、図14A及び図14Bに示すように、天井蓋101上に、長さ(高さ)の異なる複数の磁場発生部130が、天井蓋101の外周に沿って、階段状且つ略円弧上に設けられている。なお、図14A(及び図15A)においては、紙面上方が試薬庫100内であることを付言しておく。
一方、磁性体140は、試薬容器150の上方に設けられる蓋部材160上(蓋部材160の上面160t上)に設けられており、磁性体140が、磁場発生部130の磁場の作用を受けると(引力が発生すると)、磁性体140が天井蓋101に近づくことと連動して、蓋部材160は、図13A乃至図13Cに示すように、支点171を中心に回動することとなる。
前述のように、延在する長さ(高さ)の異なる複数の磁場発生部130を、天井蓋101上に、階段状(磁場発生部130の延在する長さが次第に短くなるように)、且つ略円弧上に設けることによって、磁性体140を、吸引位置110xに至る前(110yのいずれかの位置)から複数の磁場発生部130による磁場に順次作用させることができる。これにより、吸引位置110xに至る前(110yの位置)から、蓋部材160による試薬容器150の開口部151を閉塞する状態を順次解除していくことが可能となる。なお、蓋部材160が吸引位置110xに(吸引位置110xに対応する位置)到着すると同時に、開口部151が開放されるように構成されるため、試薬吸引ノズル20による試薬の吸引に要するタイムラグを最小限とすることができる。
なお、磁場発生部130は、図13A乃至図13C、図14A、及び図14Bで示したような、複数の磁場発生部130を階段状に設ける代わりに、図15A及び図15Bに示すような、天井蓋101に対向する距離が次第に変化する傾斜面を有する磁場発生部130を、天井蓋101上に略円弧上に設けてもよい。
ところで、図14A、図14B、図15A、及び図15Bに示すように、延在する長さの異なる複数の磁場発生部130を設ける場合においても、前述の傾斜面を有する磁場発生部130を設ける場合においても、磁場発生部130は、天井蓋101の外周に沿って略円弧状に設けられるが、蓋部材160上に設けられる磁性体140に対して、効率的に磁場を作用させる観点から、かかる略円弧状は、吸引位置110xに対応する位置に向かって、次第に曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)ように設けられることが好ましい。
吸引位置110xにおいて、試薬容器150の内部に充填される試薬の吸引が終了すると、吸引位置110xに位置する試薬容器150は、試薬トレイ110を回動させることにより、図13Dに示すように、吸引位置110xに隣接する位置110wへと移動する。かかる位置110wにおいても、110x、110y、及び110zと同様、天井蓋101上に磁場発生部130が設けられており(図14A、図14B、図15A、及び図15Bにおいては位置110wに相当する磁場発生部130は形式上省略されている)、その延在する長さは吸引位置110xに対応する位置に設けられる磁場発生部130と略同一とされることが好ましい。110wの位置に設けられる磁場発生部130は、蓋部材160上に設けられる磁性体140に対して、斥力を作用させる磁場を発出するため、110wの位置に設けられる磁場発生部130の極性は、吸引位置110xに対応する位置、110y、及び110zの各位置に設けられる磁場発生部130の逆の極性となっている。これにより、蓋部材160は、磁場発生部130の磁場の作用による斥力と磁性体140の自重により、試薬容器150の開口部151を開状態から閉状態へと遷移させるべく(図13Cの状態から図13Dの状態を経由して、最終的に図13Aの状態へと遷移すべく)動作することとなる。なお、第4の実施形態においては、汎用されている試薬庫100(及び試薬トレイ110等)に特別な加工を施す必要がない点において有効である。
5.第5の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関連する形態の要部の詳細を第5の実施形態として、図16乃至図18Bを参照しつつ、以下説明する。なお、第5の実施形態に係る自動分析装置1は、第4の実施形態に係る自動分析装置1の構成と殆どの部分において共通するため、かかる共通する部分については、図16乃至図18Bにおいて、図13A乃至図15Bと同じ符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図16は、本発明の第5の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉塞された状態を模式的に示した断面図である。図17Aは、本発明の第5の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を模式的に示した斜視図である。図17Bは、本発明の第5の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を、図17AのPの方向から模式的に示した下面図(上面図)である。図18Aは、本発明の第5の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を模式的に示した斜視図である。図18Bは、本発明の第5の実施形態に係る自動分析装置1の要部であって、試薬庫100を形成する天井蓋101を、図18AのPの方向から模式的に示した下面図(上面図)である。
5−1.磁場発生部130及び磁性体140
第5の実施形態に係る自動分析装置1においては、図16に示すように、第4の実施形態において天井蓋101上に設けられた磁場発生部130に加えて、天井蓋101の中心側にも同様に、延在する長さの異なる複数の磁場発生部130が設けられる。この場合において、天井蓋101の中心側に設けられる、延在する長さの異なる複数の磁場発生部130は、図17A及び図17Bに示すように、外周側に設けられる磁場発生部130とは異なり、吸引位置110xに対応する位置に向かって、磁場発生部130の長さが次第に長くなるように、複数の磁場発生部130が設けられている。より詳しくは、図17A及び図17Bに示すように、天井蓋101上に、延在する長さ(高さ)の異なる複数の磁場発生部130が、天井蓋101の外周から所定距離中心側に、階段状且つ略円弧上に設けられている。なお、図17Aにおいては、紙面上方が試薬庫100内であることを付言しておく。
一方、磁性体140は、試薬容器150の上方に設けられる蓋部材160上(蓋部材160の上面160t上)の一端部160wだけなく、他端部160zにも設けられている。これにより、蓋部材160の一端部160w及び他端部160zに設けられる2つの磁性体140が各々、磁場発生部130の磁場の作用を受けると(一端部160wは引力の作用を受け、他端部160zは斥力の作用を受け)、第4の実施形態に比して、磁性体140が天井蓋101に効率的に近づくように移動することができ、これに連動して、蓋部材160は、支点171を中心に、効率的に回動することができる。
なお、磁場発生部130は、第4の実施形態における説明と同様、天井蓋101の外周から所定距離内径側に、複数の磁場発生部130を階段状に設ける代わりに、図18A及び図18Bに示すような、天井蓋101に対向する距離が次第に変化する傾斜面を有する磁場発生部130を、天井蓋101上に略円弧上に設けてもよい。
また、図17A、図17B、図18A、及び図18Bに示すように、延在する長さの異なる複数の磁場発生部130を設ける場合においても、前述の傾斜面を有する磁場発生部130を設ける場合においても、磁場発生部130は、天井蓋101の外周に沿って略円弧状に設けられるが、蓋部材160上に設けられる磁性体140に対して、効率的に磁場を作用させる観点から、かかる略円弧状は、吸引位置110xに対応する位置に向かって、次第に曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)ように設けられることが好ましい。
6.第6の実施形態に係る自動分析装置1
次に、前述の一実施形態に係る自動分析装置1に関連する形態の要部の詳細を第6の実施形態として、図19A乃至図19Cを参照しつつ、以下説明する。なお、第6の実施形態に係る自動分析装置1は、第4の実施形態に係る自動分析装置1の構成と殆どの部分において共通するため、かかる共通する部分については、図19A乃至図19Cにおいて、図13A乃至図15Bと同じ符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図19A乃至図19Cは、各々本発明の第6の実施形態に係る自動分析装置の要部であって、試薬容器150の開口部151が閉状態から開状態へと遷移していく様子を模式的に示した断面図である。
第6の実施形態に係る自動分析装置1においては、図19A乃至図19Cに示すように、蓋部材160が、折畳み式に可動するように構成されている。蓋部材160の他端部160zは、試薬トレイ110(図19A乃至図19Cにおいては図示せず)又は試薬容器アダプタ300(図19A乃至図19Cにおいては図示せず)に支点171として取り付けられている。蓋部材160上(蓋部材160の上面160t上)には、磁性体140が設けられており、天井蓋101上に設けられる磁場発生部130が発出する磁場の作用(図19A乃至図19Cの場合においては引力の作用)を受けることができるように構成されている。
蓋部材160には蝶番166が設けられている。また、蓋部材160の一端部160w(厳密には、蓋部材160の一端部160wであって、且つ蓋部材160の下面又は側面)にはローラ165が係止されており、ローラ165は、蓋部材160と試薬容器150の開口部151との間に設けられるガイドレール163上に載置されている。これにより、ローラ165は、ガイドレール163上を自由に移動(図19A乃至図19Cにおいては、紙面上左右方向に移動)することができるように構成されている。なお、ガイドレール163は、試薬吸引ノズル20(ノズル部26)の試薬容器150内への進入経路を防止しないよう設計される。
図19B及び図19Cに示すように、蓋部材160上に設けられる磁性体140が、天井蓋101上に設けられる磁場発生部130が発出する磁場により引力の作用を受けると、磁性体140は、磁場発生部130に近づく方向(図19B及び図19Cにおいては紙面上方向)へ移動することとなる。この磁性体140の移動と連動して、ローラ165がガイドレール163上を移動しつつ、蓋部材160も、蝶番166を屈曲点として全体を折畳むように動作する。これにより、最終的には、試薬容器150の開口部151を閉状態から開状態へと遷移させることができる。なお、図19Aは、試薬容器150が、吸引位置110xでない位置に位置している場合を示し(図13Aにおける110yの位置に相当)、図19Bは、試薬容器150が、吸引位置110xに隣接する位置(図13Bにおける110zの位置に相当)している場合を示し、図19Cは、試薬容器150が吸引位置110xに位置する場合を示している。
なお、図19A乃至図19Cにおいて、磁性体140は、蓋部材160上((蓋部材160の上面160t上)であって、その一端部160wと蝶番166との間に1つ設けられているが、例えば、前述の蓋部材160の動作効率を向上させるために、蝶番166と蓋部材160の他端部160zとの間に、さらに磁性体140を設けてもよい。また、これに対応して、天井蓋101上であって、蝶番166と蓋部材160の他端部160zとの間に設けられる磁性体140に対向する位置に、磁場発生部130をさらに設けてもよい。
また、試薬容器150の開口部151が開放された状態(図19Cの状態)から、閉塞された状態(図19Aの状態)へと戻すには、第4の実施形態において説明した通り、吸引位置110xではない位置(且つ、図19A及び図19Bに対応する位置ではない位置)において、天井蓋101上に、磁性体140との間で斥力を発生させる磁場発生部130を別途設けておくことが好ましい。これにより、当該位置において、磁性体140との間で斥力を作用させて、蝶番166を屈曲点とした折畳み状態(図19Cの状態)を解消させつつ、試薬容器150の開口部151を開状態(図19Cの状態)から閉状態(図19Aの状態)へと、蓋部材160を遷移(動作)させることができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、磁力の強さ等は適宜変更して実施することができる。自動分析装置1の各部の配置や構成等は、上記実施形態には限定されない。例えば、蓋部材160は、天井蓋101、試薬トレイ110、試薬容器150、及び試薬容器アダプタ300等に干渉しないよう、適宜設計される。