JP2019043941A - カルバゾール誘導体及びビフェニル誘導体の製造方法並びに新規ビフェニル誘導体 - Google Patents

カルバゾール誘導体及びビフェニル誘導体の製造方法並びに新規ビフェニル誘導体 Download PDF

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益揮 川本
伊藤 嘉浩
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Abstract

【課題】安価な原料を用いて簡便な工程によりカルバゾール誘導体を高収率で大量に製造する方法の提供。【解決手段】一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、カルバゾール誘導体及びビフェニル誘導体の製造方法並びに新規ビフェニル誘導体化合物に関する。
カルバゾールは、窒素原子を含む複素環式化合物であり、光導電性を示す。そのため、カルバゾール及びその誘導体は有機半導体材料分野等、各種分野に応用されている。
例えば、カルバゾールの3位及び4位の炭素原子並びに5位及び6位の炭素原子にベンゼン環が縮環したジベンゾカルバゾールは、DNAと付加体を形成し、DNAを損傷することが報告されている。また、ジベンゾカルバゾールは、国際ガン研究機関(IARC)によって、人に対する発がん性が疑われる化学物質(グループ 2B)に分類されており、毒物学、薬理学研究におけるガン誘発標準物質として用いられている。
ジベンゾカルバゾールはカルバゾールの類似化合物であることから、有機半導体材料、特に有機発光材料、トランジスタ材料、太陽電池材料としての応用が期待される。
しかしながら、従来のジベンゾカルバゾールの製造方法は、多段階(2-5ステップ)で煩雑であり、ジベンゾカルバゾールの収率も30%未満と低く、反応効率が悪いといった問題がある(非特許文献1〜7)。また、比較的高収率(85%)でジベンゾカルバゾールを合成する手法も報告されているが、原料化合物が高価であるといった問題がある(非特許文献8)。
したがって、従来のジベンゾカルバゾールの製造方法は、収率が低い、反応効率が悪い、原料化合物が高価であるといった理由から、ジベンゾカルバゾールの価格は高額であり、大量の材料(数グラムから数トン)を必要とする有機半導体デバイスへの応用が妨げられてきた。
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従って、本発明の目的は、安価な原料を用いて簡便な工程により高収率でカルバゾール誘導体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、以下の方法により、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
〈1〉
一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法。
[一般式(1)及び一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
〈2〉
一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させ、一般式(2)で表される化合物を製造する第1工程と、
前記一般式(2)で表される化合物に、アミノ化剤を反応させ、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を製造する第2工程と
を有する、〈1〉に記載のカルバゾール誘導体の製造方法。
[一般式(1)〜一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
〈3〉
一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法。
[一般式(2)及び一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
〈4〉
一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体の製造方法。
[一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
〈5〉
アミノ化剤が亜硫酸アンモニウム一水和物、亜硫酸水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素三アンモニウム及び硫酸三水素アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である、〈1〉〜〈4〉のいずれか1項に記載の製造方法。
〈6〉
一般式(1)〜一般式(3)において、2組の隣接するR3及びR4がそれぞれ結合してベンゼン環を形成したものである、〈1〉〜〈5〉のいずれか1項に記載の製造方法。
〈7〉
一般式(2)で表される化合物。
[一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
〈8〉
一般式(3−1)で表される化合物。
[一般式(3−1)中、Rはハロゲン原子であり、nは1〜6の整数である。]
本発明の製造方法における原料化合物は、光学活性に応じた反応選択性を示さない。したがって、原料化合物はキラル分離操作が不要であり安価に入手できる。また、本発明は、反応物を混合し、オートクレーブで加熱する、という少なくとも1工程の簡便な方法である。また、生成物は再結晶のみで容易に精製ができ、スケールアップに伴う新たな操作や手順の変更も不要である。
したがって、本発明によれば、安価な原料を用いて簡便な工程によりカルバゾール誘導体を高収率で大量に製造することができる。
(a)ジベンゾカルバゾールのDSC測定結果を示すグラフである。(b)ジベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール誘導体化合物6a及びジベンゾカルバゾール誘導体化合物6bのスピンコーティング薄膜の写真である。(c)ジベンゾカルバゾール誘導体化合物6cの単結晶の写真である。(d)ジベンゾカルバゾール誘導体化合物6cの結晶構造を表す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[カルバゾール誘導体の製造方法]
まず、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法について説明する。
本発明の一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法の一つとして、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させる方法がある。このカルバゾール誘導体の製造方法を以下本明細書において「製造方法1」とする。
また、本発明の一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法の一つとして、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体から、上記製造方法1における反応中間体である一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体を介して製造する方法がある。このカルバゾール誘導体の製造方法を以下本明細書において「製造方法2」とする。
製造方法2は、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させ、一般式(2)で表される化合物を製造する第1工程と、前記一般式(2)で表される化合物に、アミノ化剤を反応させ、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を製造する第2工程とを有する。
さらに、本発明の一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法の一つとして、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させる方法がある。このカルバゾール誘導体の製造方法を以下本明細書において「製造方法3」とする。
一般式(1)〜一般式(3)のR1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。
一般式(1)〜一般式(3)において、R1、R2、R3及びR4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
一般式(1)〜一般式(3)において、R1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数1〜20のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基も含まれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。該アルキル基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基,カルボキシル基,ホルミル基,ヒドロキシル基,ビニル基,アルキニル基,ニトロ基,シアノ基,スルホニル基,ホスホリル基,アジ基等が挙げられる。
一般式(1)〜一般式(3)において、R1、R2、R3及びR4で表される炭素原子数6〜20のアリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。また、ベンゼン環又は縮合環の2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合した基も含まれる。具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基等が挙げられる。該アリール基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基,カルボキシル基,ホルミル基,ヒドロキシル基,ビニル基,アルキニル基,ニトロ基,シアノ基,スルホニル基,ホスホリル基,アジ基等が挙げられる。
一般式(1)〜一般式(3)において、R1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して形成される環は、単環でも多環でもよく、脂肪族環でも芳香族環でもよく、炭素環でも複素環であってもよい。具体的には、R3及びR4が結合してベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環,シクロヘキサン環,ジオキサン環,クラウンエーテル環,ピラジン環,ピリミジン環,ピリダジン環,ピリジン環,イミダゾール環,ピラゾール環,ピロール環,チオフェン環,フラン環,アヌレン環,アズレン環等を形成している態様が挙げられる。特に、一般式(1)で表される化合物は2,2’-ジヒドロキシビナフチル誘導体であり、一般式(2)で表される化合物は2-アミノ-2’-ヒドロキシ-1,1’-ビナフチル誘導体であり、一般式(3)で表される化合物は7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール誘導体であることが好ましい。また、R1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して形成される環において炭素原子に結合する水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。
また、一般式(1)〜一般式(3)中、2つのR1は互いに同じ種類の置換基でもよいし、異なる置換基であってもよい。R2、R3及びR4も同様である。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物がキラリティーを有する化合物である場合、それらはR-体であっても、S-体であってもよい。本発明の方法は、原料化合物である一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の光学活性に応じた反応選択性を示さない。したがって、原料化合物を安価に入手できる観点から、光学活性体(R-体及びS-体)の等モル混合物であるラセミ体を原料化合物として用いることが好ましい。
製造方法1〜3におけるアミノ化剤としては、具体的に下記化合物が挙げられる。
・亜硫酸アンモニウム一水和物(Ammonium sulfite monohydrate)(NH4)2SO3 H2O, CAS: 7783-11-1
・亜硫酸水素アンモニウム(Ammonium hydrogen sulfite)NH4HSO3, CAS: 10192-30-0
・硫酸水素アンモニウム(Ammonium hydrogen sulfate) (NH4)HSO4, CAS: 7803-63-6
・硫酸アンモニウム(Ammonium sulfate)(NH4)2SO4, CAS: 7783-20-2
・硫酸水素三アンモニウム (NH4)3H(SO4)2
・硫酸三水素アンモニウム (NH4)H3(SO4)2
上述した中でも、好ましくは亜硫酸アンモニウム一水和物及び亜硫酸水素アンモニウムである。
製造方法1〜3において、反応基質である一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物に対して、アミノ化剤の量は、10〜40倍当量、好ましくは10〜36倍当量、より好ましくは24〜36倍当量である。製造方法1〜3においては、反応基質に対するアミノ化剤の量が多いほど、生成物である一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の収率が高くなるため好ましい。
製造方法1〜3において、溶媒としてアンモニア水を使用する。アンモニア水の量は、アミノ化剤に対して2〜3倍当量、好ましくは約2.6倍当量である。
製造方法1〜3における反応温度は、190〜220℃である。反応温度が190℃未満だと生成物である一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の収率が低くなるため好ましくない。
また、製造方法1〜3における反応時間は、通常3〜12日程であり、好ましくは5〜12日程である。
製造方法1〜3において、反応基質である一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物、アミノ化剤及びアンモニア水を混合して、上述した反応温度にて反応を行なう。このとき、反応系は閉鎖系で行なうことが好ましい。したがって、本発明の方法は密閉可能なオートクレーブ等の反応容器を用いることが好ましい。
製造方法1では、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体、アミノ化剤及びアンモニア水を混合し、上述した反応温度及び反応時間で撹拌する。このとき、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に対して、アミノ化剤及びアンモニア水を、複数回に分けて添加してもよい。例えば、アミノ化剤及びアンモニア水を、n回に分けて添加する場合、反応初期において、上述した量の1/nのアミノ化剤及びアンモニア水を一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体と混合する。この混合物を上述した反応温度に昇温し、撹拌する。上述した反応時間の1/nが経過した時点で、反応混合物を25℃前後までいったん冷却し、上述した量の1/nのアミノ化剤及びアンモニア水を加え、再び上述した反応温度に昇温し、撹拌する。これを(n−1)回繰り返すことで、反応初期の一度にアミノ化剤及びアンモニア水を加えた場合に比べて、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を高収率で得ることができる。
製造方法2では、第1工程として、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体、アミノ化剤及びアンモニア水を混合し、上述した反応温度及び反応時間で撹拌する。次に、第2工程として、生成した一般式(2)で表される化合物、アミノ化剤及びアンモニア水を混合し、上述した反応温度及び反応時間で撹拌する。
製造方法3では、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体、アミノ化剤及びアンモニア水を混合し、上述した反応温度及び反応時間で撹拌する。製造方法1で副生成物として得られる一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体を、後述する精製方法により回収して、製造方法3に用いることで、効率よく一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を製造することができる。
製造方法1〜3の各反応が終了後、常法により精製することで、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を得ることができる。精製方法は、生成物である一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体により適宜選択される。例えば、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体がジベンゾカルバゾール誘導体である場合、ジベンゾカルバゾール誘導体はベンゼンに可溶で、反応中間体である2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル誘導体はベンゼンに不溶であるため、ベンゼンによる再結晶により容易に精製することができる。また、クロマトグラフィーなどによって精製してもよい。
[2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体及びその製造方法]
次に、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体及びその製造方法について説明する。
本発明の一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体は、一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることにより製造することができる。この2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体の製造方法を以下本明細書において「製造方法4」とする。
この一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体は、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を製造するための中間体として有用である。
一般式(1)及び一般式(2)のR1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよく、具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。
また、製造方法4におけるアミノ化剤としては、具体的に下記化合物が挙げられる。
・亜硫酸アンモニウム一水和物 (Ammonium sulfite monohydrate) (NH4)2SO3 H2O, CAS: 7783-11-1
・亜硫酸水素アンモニウム(Ammonium hydrogen sulfite)NH4HSO3, CAS: 10192-30-0
・硫酸水素アンモニウム(Ammonium hydrogen sulfate) (NH4)HSO4, CAS: 7803-63-6
・硫酸アンモニウム(Ammonium sulfate)(NH4)2SO4, CAS: 7783-20-2
・硫酸水素三アンモニウム(NH4)3H(SO4)2
・硫酸三水素アンモニウム (NH4)H3(SO4)2
上述した中でも、好ましくは亜硫酸アンモニウム一水和物及び亜硫酸水素アンモニウムである。
反応基質である一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に対して、アミノ化剤の量は、10〜40倍当量、好ましくは10〜36倍当量、より好ましくは10〜12倍当量である。
製造方法4において、溶媒としてアンモニア水を使用する。アンモニア水の量は、アミノ化剤に対して2〜3倍当量、好ましくは約2.6倍当量である。
製造方法4における反応温度は、220℃以下が好ましい。反応温度が220℃を超えると生成物である一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体の収率が低くなるため好ましくない。
また、製造方法4における反応時間は、特に限定されず、反応温度にもよるが3〜12日程であり、反応時間が短い程生成物である一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体の収率が高くなるため好ましい。
製造方法4において、反応基質である一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体、アミノ化剤及びアンモニア水を混合して、上述した反応温度にて反応を行なう。このとき、反応系は閉鎖系で行なうことが好ましい。したがって、本発明の方法は密閉可能なオートクレーブ等の反応容器を用いることが好ましい。
反応終了後、常法により精製することで、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体を得ることができる。精製方法は、生成物である一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体により適宜選択される。
なお、製造方法2の第1の工程は、上述した製造方法4と同様にして行なうことができる。
また、本発明は一般式(3−1)で表される化合物をも提供する。
一般式(3−1)中、Rはハロゲン原子であり、nは1〜6の整数である。Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
以下、実施例を示し、本願発明を更に詳細に説明するが、本願発明は下記の例に制限されるものではない。
以下の例において、各反応はポリテトラフルオロエチレンでコートされたオートクレーブ(HU-100、三愛科学株式会社製)を用いて行なった。反応温度は、アルミニウムビーズを使用した温度コントロール恒温槽(NSB-120D、株式会社日伸理化製)により維持した。また、以下の例の各反応において、亜硫酸アンモニウム一水和物:アンモニア水は、1:2.6 (mol/mol)とした。
製造した各化合物は、1H-NMR 及び 13C-NMR スペクトル測定(AL 300 又は AL 400、日本電子株式会社製)、IRスペクトル測定(FT/IR-4100 分光光度計、日本分光株式会社製)、高分解能質量分析(HRMS; QSTAR Elite、株式会社エービー・サイエックス製)を用いて同定した。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による精製は、クロロホルムを溶離液とし、カラム:Shodex K-5001(サイズ:直径50 mm、長さ300 mm、昭和電工株式会社製)を用いた。反応収率は、キラルカラム(CHIRALPAK AD-H、サイズ:直径4.6 mm、長さ250 nm、株式会社ダイセル)を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC;ChromNAV HPLCシステム、日本分光株式会社製)により算出した。
[実施例1]

(1)アミノ化剤の一段階混合による製造
実施例1−1
ラセミ体の2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル(rac-BINOL、5.0 g, 17.5 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物(AR、23.5 g, 175 mmol)及びアンモニア水(32 mL, 464 mmol)をオートクレーブに入れた。オートクレーブに入れた該混合物を表1に記載の反応温度及び反応時間で撹拌した。反応後の混合物を25℃まで冷却し、得られた固形物を水で洗浄し、濾過した。濾物をベンゼンで再結晶することで、ラセミ体の2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル (rac-NOBIN)及びDBCを分離した。
反応収率をキラルHPLCより算出した。また、ベンゼンより再結晶した後の化合物の単離収率を算出した。これら反応収率及び単離収率を表1に記載する。
得られたrac-NOBIN及びDBCの融点、1H-NMR、13C-NMR、IR及びMSスペクトル測定結果を以下に記載する。
rac-NOBIN: 1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 3.74 (s, 2H, binaphthyl-NH2), 5.17 (s, 1H, binaphthyl-OH), 7.03-7.06 (d, 1H, J = 7.8 Hz, aromatic ring), 7.13-7.19 (t, 2H, J = 7.9 Hz, aromatic ring), 7.22-7.24 (m, 2H, aromatic ring), 7.30-7.32 (d, 1H, J = 5.7 Hz, aromatic ring), 7.34-7.39 (t, 2H, J = 7.05 Hz, aromatic ring), 7.79-7.81 (d, 1H, J = 6.9 Hz, aromatic ring), 7.84-7.89 (t, 2H, J = 7.65 Hz, aromatic ring), 7.91-7.94 (d, 1H, J = 9 Hz, aromatic ring); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 108.65, 114.19, 117.68, 118.15, 122.75, 123.62, 123.71, 124.49, 126.39, 127.28, 128.21, 128.31, 128.35, 129.46, 130.33, 130.55, 133.15, 134.60, 143.54, 151.78.
DBC: mp: 159 °C; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.54 (dd, 2H, J = 8.0, 7.2 Hz, aromatic ring), 7.64 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic ring), 7.70 (dd, 2H, J = 7.2, 7.2 Hz, aromatic ring), 7.87 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic ring), 8.05 (d, 2H, J = 7.6 Hz, aromatic ring), 8.68 (s, 1H, DBC-NH), 9.23 (d, 2H, J = 8.4 Hz, aromatic ring); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 112.56, 117.62, 123.27, 125.15, 125.43, 126.78, 129.17, 129.92, 136.10; FT-IR (ν cm-1): 3400, 3000, 1600, 1400, 900, 675; HRMS calcd. for C20H13N ([M+Na]+): 290.0940, found: 290.0940.
実施例1−2〜実施例1−7
アミノ化剤の量をrac-BINOLに対して表1に記載の量比とし、反応時間を表1に記載の時間とした以外は、実施例1−1と同様にして反応を行なった。反応条件及び収率を表1にまとめる。
(2)アミノ化剤の二段階混合による製造
実施例1−8
ラセミ体の2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル(rac-BINOL、1.6 g, 5.6 mmol)、アミノ化剤として表2に記載した量の半量の亜硫酸アンモニウム一水和物(AR、9.0 g, 67 mmol)及びアンモニア水(12 mL, 174 mmol)をオートクレーブに入れた。オートクレーブに入れた該混合物を表2に記載の反応温度で、表2に記載の反応時間の半分の時間撹拌し、該混合物を25℃まで冷却した。冷却した反応混合物に、表2に記載した量の残りの半量のAR(9.0 g, 67 mmol)及びアンモニア水(12 mL, 174 mmol)を加え、再び表2に記載した反応温度で、表2に記載した残りの反応時間、混合物を撹拌した。
反応後の混合物を25℃まで冷却し、得られた固形物を水で洗浄し、濾過した。濾物をベンゼンで再結晶することで、rac-NOBIN及びDBCを分離した。
反応収率をキラルHPLCより算出し、ベンゼンより再結晶した単離収率を算出し、表2に記載する。
実施例1−9〜実施例1−13
アミノ化剤の量をrac-BINOLに対して表2に記載の量比とし、反応温度及び反応時間を表2に記載の温度及び時間とした以外は、実施例1−8と同様にして反応を行なった。反応条件と収率を表2にまとめる。
(3)スケールアップしたrac-BINOLからDBCの製造
実施例1−14
rac-BINOL の量を3.0 g、ARの量を44.8 g、アンモニア水の量を60 mLとした以外は、実施例1−10と同様の条件で反応を行ない、rac-NOBIN及びDBCを分離した。
その結果、2.7 gのDBCが反応収率99%以上、単離収率96%で得られた。
(4)rac-NOBINからDBCの製造
実施例1−15
rac-NOBIN (2.0 g, 7.0 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (22.5 g, 168 mmol)及びアンモニア水(60 mL, 436 mmol)をオートクレーブに入れ、200 ℃で10日間撹拌した。反応後の混合物を25 ℃に冷却後、得られた反応物を水で洗い、次にベンゼンに溶解した後、再結晶するとDBC (1.8 g)を単離収率96%で得た。
実施例1−16
反応温度を190 ℃、反応時間を10日間とした以外は実施例1−15と同様の条件で反応を行なったところ、DBC (1.3 g)を単離収率69%で得た。
(4)種々のアミノ化剤による製造
アミノ化剤を亜硫酸アンモニウム一水和物から亜硫酸水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム及び硫酸アンモニウムにそれぞれ変更し、反応時間を表3に記載の時間とした以外は実施例1−10と同様の条件で反応を行なった。
反応基質であるrac-BINOLとアミノ化剤とのモル比、反応時間及び反応時間によって、rac-NOBIN及びDBCの収率が変化することがわかった。アミノ化剤の量比が多い程、DBCの収率が高くなることがわかった。また、加えるアミノ化剤の半量を最初に加え、反応時間の半分が経過した時点で残りの半量を加えることで、効率良くDBCを合成することに成功した。また、濾物にベンゼンを加えると、DBCはベンゼンに溶解し、反応中間体であるrac-NOBINは沈殿するため、クロマトグラフィーなどの分離操作を必要とせず、再結晶のみで簡単にDBCの精製が可能である。
また、本発明の方法は、反応のスケールアップをおこなっても反応収率、単離収率が低下しないことがわかった。
さらに、反応中間体として生成したrac-NOBINを回収して、同様の条件で反応させることで、単離収率96%でDBCを合成できる。つまり、rac-BINOLだけでなく、反応中間体からもDBCを合成できる高効率な反応である。
[実施例2]
(1)アミノ化剤の二段階混合による製造
実施例2−1
ラセミ体の6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトール (1.0 g, 2.2 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (4.8 g, 36 mmol)及びアンモニア水 (13.5 mL, 94 mmol) をオートクレーブに入れ、190 ℃で 6 日間撹拌した。反応物を25 ℃に冷却した後、亜硫酸アンモニウム一水和物 (4.8 g, 36 mmol)及びアンモニア水 (13.5 mL, 94 mmol) を該オートクレーブに加え、さらに190 ℃で 6 日間撹拌した。反応物を25 ℃に冷却した後、得られた反応物をクロロホルムに溶解し,サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である3,11-ジブロモ-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール (0.2 g) を単離収率 20% で得た。
(2)rac-6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトールから6,6'-ジブロモ-2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチルの製造
実施例2−2
ラセミ体の6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトール (0.5 g, 1.12 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物(2.5 g, 18 mmol)及びアンモニア水 (6.5 mL, 46.1 mmol) をオートクレーブに入れ,200 ℃で 5 日間撹拌した。 反応物を25 ℃に冷却した後、得られた反応物をクロロホルムに溶解し、サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である6,6'-ジブロモ-2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル (0.29 g) を単離収率 58% で得た。
(3)6,6'-ジブロモ-2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチルから3,11-ジブロモ-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾールの製造
実施例2−3
6,6'-ジブロモ-2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル (0.2 g, 0.4 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (1.4 g, 10.6 mmol)及びアンモニア水 (4.0 mL, 28.1 mmol) をオートクレーブに入れ、190 ℃で 10 日間撹拌した。反応物を25 ℃に冷却後、反応物を水で洗い、次にクロロホルムに溶解した後、サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である3, 11-ジブロモ-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール (0.11 g) を単離収率 56% で得た。
[実施例3]
(1)アミノ化剤の二段階混合による製造
実施例3−1
2,2'-ジヒドロキシビフェニル (1.0 g, 5.9 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (13 g, 96 mmol)及びアンモニア水 (35 mL, 249 mmol) をオートクレーブに入れ、200 ℃で 6 日間撹拌した。反応物を25 ℃に冷却した後、亜硫酸アンモニウム一水和物 (13 g, 96 mmol)及びアンモニア水 (35 mL, 249 mmol) を該オートクレーブに加え、さらに200 ℃で 6 日間撹拌した。
反応物を25 ℃に冷却した後、クロロホルムに溶解し、サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である9H-カルバゾール (0.11 g) を単離収率 12% で得た。
(2)2,2'-ジヒドロキシビフェニルから2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニルの製造
実施例3−2
2,2'-ジヒドロキシビフェニル (0.5 g, 2.6 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (5.7 g, 42.5 mmol)及びアンモニア水 (15 mL, 111 mmol) をオートクレーブに入れ,200 ℃で 5 日間撹拌した。 反応物を25 ℃に冷却した後、得られた反応物をクロロホルムに溶解し、サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル (0.15 g) を単離収率 30% で得た。
(3)2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニルから9H-カルバゾールの製造
実施例3−3
2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル (0.1 g, 0.54 mmol)、亜硫酸アンモニウム一水和物 (1.7 g, 12.9 mmol) 及びアンモニア水 (5.0 mL, 33.7 mmol) をオートクレーブに入れ、200 ℃で 10 日間撹拌した。反応物を25 ℃に冷却した後、得られた反応物を水で洗い、次にクロロホルムに溶解した後、サイズ排除クロマトグラフィーによって目的物である9H-カルバゾール (0.03 g) を単離収率 35% で得た。
本発明の方法は、DBC誘導体やカルバゾールの合成にも有用であることがわかった。原料にrac-6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトール又は2,2'-ヒドロキシビフェニルを用いた合成において、目的化合物である3,11-ジブロモ-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール又は9H-カルバゾールをそれぞれ単離収率 20%、12%で得ることができた。また、原料に2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビナフチル又は2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニルを用いた合成においても同様の方法で、DBC、3,11-ジブロモ-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール又は9H-カルバゾールをそれぞれ単離収率96%、56%、35%で得ることができた。
更に、上記実施例1で製造したDBCを用いて、DBC誘導体を製造した。
[参考例1]N-(2-エチルヘキシル)-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(化合物6a)の製造
DBC (2.0 g, 7.5 mmol) の無水DMF (30 mL) 溶液に、NaH (0.4 g, 18 mmol) をゆっくり加え、反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で30分間撹拌した。この反応混合物に、2-エチルヘキシルブロミド (1.7 g, 9.0 mmol) を加え、アルゴン雰囲気下、25℃で24時間撹拌した。
得られた混合物を蒸留水 (300 mL) でクエンチし、ジクロロメタン (300 mL) で抽出した。得られた粗生成物を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、固体残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=90:10 v/v)で精製し、化合物6a (2.2 g, 77%) を白黄色粉末として得た。
[参考例2]N-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(化合物6b)の製造
DBC (1.5 g, 5.6 mmol) の無水トルエン (30 mL) 溶液に、1-ブロモ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゼン (1.8 g, 6.7 mmol)、t-BuONa, (1.2 g 13.4 mmol)及びP(t-Bu)3 (1.38 mmol, 2.8 mL、10 wt%ヘキサン溶液)をアルゴン雰囲気下で加えた。減圧下で撹拌後、反応混合物にPd(dba)2 (0.16 g, 0.28 mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。
沈殿した固体をろ過により除去した。残渣をトルエン (30 mL) で洗浄し、その後,メタノールを加えると、沈殿が生じた。ろ過後の固体残渣をメタノール (30 mL) で洗浄し、アセトンから再結晶して化合物6b (2.2 g, 86%) を淡黄色粉末として得た。
6b: mp: 197 °C; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.40 (s, 18H, DBC-N-Ph-C(CH3)3), 7.40 (s, 2H, aromatic ring), 7.52 (dd, 2H, J = 14.8, 7.6 Hz, aromatic ring), 7.59 (dd, 3H, J = 8.8, 3.6 Hz, aromatic ring), 7.70 (dd, 2H, J = 15.2, 7.2 Hz, aromatic ring), 7.84 (d, 2H, J = 9.2 Hz, aromatic ring), 8.03 (d, 2H, J = 7.6 Hz, aromatic ring), 9.27 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic ring); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 31.474, 35.16, 112.04, 117.43, 122.04, 122.26, 123.35, 125.40, 126.65, 129.07, 129.11, 130.10, 136.23, 138.02, 152.77; FT-IR (ν cm-1): 3100, 3000, 2850, 1600, 1400, 1350, 1300, 1250, 900, 675; HRMS calcd. for C34H33N ([M+Na]+): 478.2505, found: 478.2506.
[参考例3]N-(4-ニトロフェニル)-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(化合物6c)の製造
DBC (2.0 g, 7.5 mmol) の無水DMSO (30 mL) 溶液に、CsF (1.3 g, 9.0 mmol) 及び1-フルオロ-4-ニトロベンゼン (1.2 g, 9.0 mmol) を加えた。反応混合物を、110℃で2時間、ついで25℃で12時間撹拌した。反応後の生成物にメタノールを添加した後、沈殿が生じた。沈殿物をクロロホルムから再結晶して、化合物6c (2.5 g, 85%) を黄色粉末として得た。
6c: mp: 235 °C; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.54-7.58 (m, 4H, aromatic ring), 7.69-7.77 (m, 4H, aromatic ring), 7.86 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic ring), 8.04 (d, 2H, J = 7.6 Hz, aromatic ring), 8.50 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic ring), 9.21 (d, 2H, J = 8.4 Hz, aromatic ring); 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 110.95, 118.56, 123.99, 125.36, 125.47, 125.83, 127.39, 128.42, 128.87, 129.16, 130.45, 137.04, 142.82, 164.81; FT-IR (ν cm-1): 3100, 1600, 1550, 1500 1400, 1350, 1300, 1250, 900, 675; HRMS calcd. for C26H16N2O2 ([M+Na]+): 411.1104, found: 411.1105.
上記で製造したDBC及びDBC誘導体(化合物6a〜6c)について、以下の測定を行なった。
熱重量分析(TGA)は、TGA-50(株式会社島津製作所)を用いて昇温速度10℃/分、窒素下で測定を行なった。
示差走査熱量測定(DSC)は、SII ナノテクノロジー EXSTAR 6220(セイコーインスツル株式会社)を用いて、加熱冷却速度10℃/分、窒素下で測定を行なった。
X線回折装置は、SmartLab(株式会社リガク)を用いた。電荷結合素子(CCD)検出器Saturn 70CCD(株式会社リガク)を備えた回折計AFC-8(株式会社リガク)を用いてMoKα線により結晶構造データを収集した。
旋光度は、旋光計P-2200(日本分光株式会社)を用いて、試料濃度1 g/cm3、光路長10 cm、THFを溶媒として測定を行なった。
吸収スペクトルは紫外可視分光光度計V-550(日本分光株式会社)を、発光スペクトルは蛍光分光光度計FP-6500(日本分光株式会社)をそれぞれ用いて、1, 4-ジオキサンを溶媒として測定した。
最高被占分子軌道(HOMO)レベルは、大気中光電子分光装置AC-3(理研計器株式会社)を用いて測定した。
膜厚はDektak表面プロファイラ(ブルカー社)を用いて測定した。
これらの結果を表4及び表5にまとめた。
各化合物は熱的に安定であった。DBCのDSC測定結果を図1(a)に示す。石英ガラス基板上に、スピンコーティングによりDBC(i)、化合物6a(ii)及び化合物6b(iii)の膜をそれぞれ作成した。得られたアモルファス薄膜(膜厚80 nm)は、光散乱のない良好な透明性を示した(図1(b))。一方、液相結晶成長法により、化合物6cの針状単結晶(平均幅0.1 mm、長さ6.5 mm)を得た(図1(c))。図1(d)は化合物6cの結晶構造を示す。
本発明の方法によれば、安価な原料を用いて簡便な工程によりカルバゾール誘導体を高収率で大量に製造できる。したがって、本発明の方法により安価に大量に合成されたカルバゾール誘導体を用いて、上記参考例のような各種DBC誘導体の製造、有機半導体材料への応用が期待される。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法。
    [一般式(1)及び一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
  2. 一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させ、一般式(2)で表される化合物を製造する第1工程と、
    前記一般式(2)で表される化合物に、アミノ化剤を反応させ、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体を製造する第2工程と
    を有する、請求項1に記載のカルバゾール誘導体の製造方法。
    [一般式(1)〜一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
  3. 一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(3)で表されるカルバゾール誘導体の製造方法。
    [一般式(2)及び一般式(3)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
  4. 一般式(1)で表される2,2'-ジヒドロキシビフェニル誘導体に、アミノ化剤を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される2-アミノ-2'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル誘導体の製造方法。
    [一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
  5. アミノ化剤が亜硫酸アンモニウム一水和物、亜硫酸水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素三アンモニウム及び硫酸三水素アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 一般式(1)〜一般式(3)において、2組の隣接するR3及びR4がそれぞれ結合してベンゼン環を形成したものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 一般式(2)で表される化合物。
    [一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子6〜20のアリール基又はR1、R2、R3及びR4のうち隣接する2つの基が結合して環を形成してもよい。]
  8. 一般式(3−1)で表される化合物。
    [一般式(3−1)中、Rはハロゲン原子であり、nは1〜6の整数である。]
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