JP2019043928A - プロテクチンdxを有効成分として含有する高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用組成物 - Google Patents

プロテクチンdxを有効成分として含有する高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用組成物及び肝臓保護用組成物の提供。【解決手段】化学式1で表されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩。それらを有効成分として含む、組成物。【効果】プロテクチンDXを含む組成物は、0PR150発現を増加させ、ERストレスを減少させて肝細胞内の中性脂肪蓄積減少及び肝臓重量を減少させたばかりでなくHFD食餌マウス血清のアディポネクチン水準も減少させ、前記疾患の予防又は治療のための効果的に使用できる。【選択図】図6

Description

本発明は、プロテクチンDXを有効成分として含有する高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用組成物に関するもので、より詳細には、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学的組成物に関する発明である。
近年、栄養状態が良くなり、成人病が増加するにつれて、高脂血症患者が増える傾向にある。高脂血症(hyperlipidemia)とは、血液中の脂質成分が普通以上に増加した状態を意味する。血清内コレステロール及び中性脂質の増加が高脂血症の最も一般的な原因として取り扱われているが、過多な脂肪質の蓄積により血液循環障害及び微細循環不全を起こすことである。
さらに、脂肪肝疾患(fatty liver disease)は、高脂血症と同様に、近年、栄養状態が良くなり、成人病が増えるにつれて患者が増える傾向にある。脂肪肝は、肝臓細胞に脂肪が異常蓄積されることにより肝臓障害を招く疾患である。脂肪肝臓疾患の初期病態は、肝臓細胞に脂肪沈着だけを認める単純性脂肪肝であって、その後で脂肪肝炎(肝臓線維症を含む)、又は肝硬変や肝細胞癌に病態が進行することが知られている。一般的に、肝臓に脂肪が沈着する原因としては、アルコール摂取、肥満、糖尿病、脂質代謝異常、薬剤(ステロイド、テトラサイクリン等)、クッシング(Cushing)症候群、中毒(黄リンなど)、高度の栄養障害などを挙げられる。
脂肪肝疾患の原因は、大きくアルコール性と非アルコール性に分けられ、前者を原因とする肝臓疾患をアルコール性脂肪肝疾患(アルコール性肝臓障害とも称す)、後者を原因とする肝臓疾患を非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)と称す。
アルコール性脂肪肝疾患は、初期の単純性脂肪肝から進行し、脂肪肝炎、肝硬変に移行する。非アルコール性脂肪肝疾患は単純性脂肪肝にとどまり、病態は進行しないものと思われてきたが、最近、非アルコール性脂肪肝疾患においても、単純性脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に病態が進行する場合があることが明らかになった。
非アルコール性脂肪肝疾患とは、肝臓に有害と認められるほどのアルコール摂取、病歴が無いにも拘らず肝臓組織検査でアルコール性肝炎の特徴的な所見である脂肪性変化(fatty change、steatosis)と肝小葉炎(lobular hepatitis、steatohepatitis)などを示す場合を意味する。肝臓の病理所見は単純性脂肪肝から脂肪肝炎(Non-Alcoholic Steatohepatitis、NASH)、脂肪肝炎を伴う線維化症、肝硬変症などの多様なスペクトルを示しているが、非アルコール性脂肪肝疾患はこれらの全てを含む意味で使用される。
このような非アルコール性脂肪肝疾患では、殆どの場合、インスリン抵抗性、肥満、糖尿病及び高脂血症を伴う。このような合併症が存在する場合には先ず、その治療を実施することが必要である。非アルコール性脂肪肝疾患に対する治療の原則は、食餌療法や運動療法などの生活習慣の改善ではあるが、確実に実行することは難しいのが現実である。
非アルコール性脂肪肝炎においては、肝硬変、肝細胞癌に進展する可能性が高い点でより積極的な薬剤治療が必要である。非アルコール性脂肪肝炎の病態発症、進行に重要と考えられている酸化ストレスやインスリン抵抗性などの改善を目標にした治療も試みられてはいるが、十分な科学的根拠が確立された治療法がないのが現実である。
プロテクチンDX(Protectin DX、PDX)はProtectin/neuroprotection D1の異性体として、抗炎症及び抗糖尿性を有するω-3脂肪酸DHA(docosahexaenoic acid)に由来するものである。PDXはインフルエンザウイルス複製を抑制すると報告された。しかしながら、ERストレス及び高脂肪食餌(High Fat Diet、HFD)誘導肝臓疾患に対するPDXの効果は未だに明らかにされていない。
ここで、本発明者らは、高脂血症の状態でPDXが脂質代謝及びTG蓄積に及ぼす影響を初めて調査し、さらに、HepG2肝細胞から、パルミチン酸誘導ERストレスと、脂肪肝に対するPDXが媒介する保護メカニズムを確認した。さらに、動物モデルに対する実験を介して、PDXがERストレス及び脂肪肝、高脂血症に及ぼす影響を調査したところ、PDXが高脂血症、脂肪肝疾患及びERストレス媒介疾患の治療剤として有用に使うことができる薬剤であることを最初に明らかにした。
従って、本発明の目的は、下記化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は改善用食品組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を薬学的に許容可能な有効成分として含む、肝臓保護用薬学的組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、肝臓保護用食品組成物を提供することである。
従って、下記化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
さらに、本発明は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は改善用食品組成物を提供する。
さらに、本発明は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、肝臓保護用薬学的組成物を提供する。
本発明は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、肝臓保護用食品組成物を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
プロテクチンDXは、“10S,17S-dihydroxy-docosa-4Z,7Z,11E,13Z,15E,19Z-hexaeonic acid”としても知られており、天然から分離精製又は商業的に購入して使用するか又は当業界に公知された化学的合成法により製造することができる。
本発明によるプロテクチンDXは、それ自体又は薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができる。
前記「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容されてヒトに投与される時、通常的にアレルギー反応又はこれと類似した反応を起こさない非毒性の組成物を意味し、前記塩では薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が好ましい。前記遊離酸は有機酸と無機酸を使用できる。前記有機酸はこれに限定されるものではないものの、クエン酸、硝酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、ギ酸、プロピオン酸、蓚酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、グルコン酸、メタスルホン酸、グリコール酸、コハク酸、4-トルエンスルホン酸、グルタミン酸及びアスパラギン酸を含む。さらに、前記無機酸はこれに制限されるものではないが、塩酸、臭素酸、硫酸及びリン酸を含む。
本発明による薬学的組成物は、前記新規化合物を単独で含有するか又は薬学的に許容される担体とともに適合した形態で剤形化することができ、賦形剤又は希釈剤を追加して含有することができる。前記担体には全ての種類の溶媒、分散媒質、水中油又は油中水エ
マルジョン、水性組成物、リポソーム、マイクロビーズ及びミクロソームが含まれる。
薬学的に許容される担体には、例えば、経口投与用担体又は非経口投与用担体を追加して含み得る。経口投与用担体は、ラクトース、澱粉、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含むことができる。従って、経口投与用に使用される様々な薬剤伝達物質を含むことができる。さらに、非経口投与用担体は水、適合したオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含むことができ、安定化剤及び保存剤を追加して含むことができる。適合した安定化剤には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸のような硫酸化剤がある。適合した保存剤には、ベンザルコニウムクロライド、メチル又はプロピルパラベン及びクロロブタノールがある。本発明の薬学的組成物は、前記成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、乳化剤、懸濁剤などを追加して含むことができる。その他の薬学的に許容される担体は下記の文献に記載されていることを参考にすることができる(Remington's Pharmaceutical Sciences、19th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)。
本発明の組成物は、ヒトを含む哺乳動物にどのような方法によっても投与することができる。例えば、経口又は非経口的に投与できる。非経口的投与方法は、これに限定はされないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、境膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻孔内、腸管、局所、舌下又は直腸内投与でもある。
本発明の薬学的組成物は、上述した通りの投与経路によって、経口投与用又は非経口投与用製剤に剤形化することができる。
経口投与用製剤の場合に、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等で、当業界に公知された方法を利用して剤形化することができる。例えば経口用製剤は、活性成分を固体賦形剤と配合した後、粉砕して適合した補助剤を添加して顆粒混合物に加工することにより、錠剤又は糖衣錠剤を収得した。適合した賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトールなどを含む糖類と、トウモロコシ澱粉、お米澱粉及びジャガ芋澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤が含まれる。さらに、場合によっては、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウム等を崩壊剤として添加することができる。さらには、本発明の薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加して含むことができる。
非経口投与用製剤の場合には、注射剤、クリーム剤、ローション剤、オイル剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾル及び鼻腔吸込み剤の形態で、当業界に公知された方法により剤形化することができる。これらの剤形は、全ての製薬化学に一般的に公知された処方書の文献(Remington's Pharmaceutical Sciences、19th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)に記載されている。
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量で患者に投与することができ、多重投与量で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与することもできる。本発明の薬学的組成物は、患者の程度によって有効成分の含量を異にすることができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物の好ましい全体用量は、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.01μg〜10,000mg、最も好ましくは、0.1μg〜500mgでもある。しかしながら、前記薬学的組成物の用量は、製剤化方法、投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌及び排泄率など、多様な要因などを考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、このような点を考慮するに当分野の通常的な知識を有する技術者であれば本発明の組成物の適切な有効量を決定できる。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を示す限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されることはない。
さらに、本発明の薬学的組成物は、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療効果を有する公知の化合物と併用して投与できる。
本発明で「高脂血症」とは、中性脂肪とコレステロール等の脂質代謝が行われず、血液中に脂肪量が多いために誘発する疾患を意味する。より具体的に高脂血症とは、血液中に中性脂肪、LDL-コレステロール、リン脂質及び遊離脂肪酸などの脂質成分が増加した状態で発生頻度が高いコレステロール血症を意味する。
本発明で「脂肪肝疾患」とは、脂肪肝とも称され、肝細胞に脂肪(トリグリセリド等)が異常蓄積されることにより肝臓障害をもたらす疾患である。前記脂肪肝疾患は、肝炎、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝、栄養性脂肪肝、飢餓性脂肪肝及び非脂肪肝からなる群より選ばれるものであってもよい。
本発明のPDXを含有する組成物は、前記のような疾患の予防及び治療又は改善する活性を有している。つまり本発明の組成物は、肝臓の形態的、構造的、生理学的機能を維持するように脂肪肝疾患の進行を抑えて治療が可能であり、その発生を予防する効果もある。特に本発明の組成物は、血清及び肝臓組織内に存在する脂質含量を減少させることにより、高脂血症及び脂肪肝疾患を予防及び治療又は改善する活性を有していて、さらに、肝機能指標酵素の活性を正常化して、肝臓組織内の脂肪蓄積を改善して、脂肪肝発生の予防、進行抑制及び疾病状態を好転させる効果もある。
本発明の一実施例では、本発明のPDXの脂肪生成遺伝子として知られているSFEBP1、FAS及びSCD1抑制活性が優れていることを確認した。SREBPは活性化すると、小胞体に存在していたものがプロセシング過程を経て核に移動する、塩基性ヘリックスループヘリックスロイシンジッパースーパーファミリーに属する転写因子として、脂肪酸及び中性脂肪の合成と関連した遺伝子の発現を調節すると知られており、肝臓では、主にSREBP-1の発現が優勢である。SREBP-1が調節する代表的な遺伝子は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)、脂肪酸合成酵素(FAS)、ステアロイル-CoAデサトラーゼ1(SCD1)、グリセロール-3-ホスフェートアシルトランスファラーゼ(GPAT)などがあり、これらは全てアセチル-CoAが脂肪酸を経て中性脂肪に合成される過程で重要な酵素である。
本発明の他の一実施例では、PDX投与により、肝細胞で中性脂肪(TG)蓄積が有意に抑制されたことを確認し、PDXがORP150発現を誘導することにより、ERストレスを抑制することを確認した。
本発明の他の一実施例では、PDX投与時にHFD食餌で減少した血清のアディポネクチン数値が再び増加したことを確認した。
本発明のさらに他の一実施例で、HFD食餌マウスにPDXを一緒に投与する場合、マウスの体重、肝臓重量及び副睾丸重量が有意に減少したことを確認した。
本発明のさらに他の一実施例では、本発明の実験動物群を対象に肝臓組織を採取して、ヘマトキシレン-エオシン染色(H&E)とOil-red O染色を通じて分析した結果、本発明のPDXを投与した群において、対照群より体内蓄積脂肪比率が減少し、肝臓線維化も殆ど発生しないことが分かった。
前記本発明の実施例から、PDX高脂血症及び脂肪肝疾患の予防又は治療に効果的に利用できることが分かった。
併せて、本発明の化学式1で表示されるプロテクチンDX又は、これの塩を有効成分として含有する高脂血症又は脂肪肝臓疾患の予防又は改善用食品組成物の形態で提供することができる。
本発明の食品組成物は、機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤などの全ての形態を含む。
前記類型の食品組成物は、当業界に公知された通常的な方法により多様な形態で製造できる。
例えば、健康食品には、本発明の新規の化合物自体を、お茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用に供するか、又は顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取できる。さらに、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防及び改善効果があると知られた公知の物質又は活性成分とともに混合して組成物の形態で製造できる。
さらに機能性食品には、飲料(アルコール性飲料含む)、果物及びその加工食品(例:果物缶詰、瓶詰、ジャム、マーマレード等)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージ、コーンビーフ等)、パン類及び麺類(例:うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニ等)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズ等)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソース等)等に本発明の新規化合物、これの誘導体又はこれの薬学的に許容可能な塩を添加して製造する。
本発明の食品組成物のうち、前記新規な化合物の好ましい含有量では、これに限定はされないが、例えば、最終的に製造された食品の内0.001〜30重量%でもある。好ましくは最終的に製造された食品の内0.01〜20重量%でもある。
さらに、本発明の新規化合物を食品添加剤の形態で使用するためには、粉末又は濃縮液形態で製造して使用できる。
さらに、本発明の化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する肝臓保護薬学的組成物を提供する。
本発明のプロテクチンDXの肝臓保護効果は、プロテクチンDX処理により、肝臓細胞及び/又は組織の中性脂肪蓄積を抑制し、ERストレス及び脂肪生成と関連した遺伝子の発現を抑制して、肝臓組織の線維化を抑制する結果などによるものと解釈される。
従って、本発明の「肝臓保護用」とは、肝細胞又は組織を保護する等により健康な肝臓又は損傷した肝臓を保護する全ての用途を制限なく含むことである。前記肝臓保護用組成物は、肝臓損傷を抑制、肝臓損傷を防止又は肝臓機能を改善することを意味し、肝臓疾患の予防又は治療を含む。
本発明によるプロテクチンDXは、それ自体又は薬学的に許容可能な塩の形態で使用できる。これに対する説明は本明細書に上述した通りである。
さらには、本発明の薬学的組成物は、肝臓保護効果を有する公知の化合物と併用して投与できる。
また、本発明は、化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む肝臓保護用食品組成物を提供する。
本発明の食品組成物は、機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤などの全ての形態を含む。これに対する説明は本明細書に上述した通りである。
従って、本発明は、化学式1で表示されるプロテクチンDXの新規な用途として、プロテクチンDXを有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防及び治療用組成物を提供する。本発明のプロテクチンDXを含む組成物は、ORP150発現を増加させ、ERストレスを減少させて肝臓細胞内中性脂肪蓄積減少及び肝臓重量を減少させた効果があるだけでなく、HFD食餌マウス血清のアディポネクチン水準又は減少させた特徴があって、前記疾患の予防及び治療のために効果的に使用することができる。
図1は、PDXがパルミチン酸誘導TG蓄積及び脂肪生成遺伝子発現を弱化させることを裏付けることを確認する実験結果を示す。 図1Aは、HepG2細胞において、24時間Oil-red O染色及びイソプロピルアルコールで抽出してTG蓄積を定量した結果である。図1Bは、HepG2細胞においてSREBP1、FAS及びSCD1発現水準を測定した結果である。図1Cは、ERストレスマーカーであるIRE-1、eIF2α及びCHOPのリン酸化及び発現水準を測定した結果である。(対照群(Control)と比べて、「★★★」はP<0.001、「★★」はP<0.01;パルミチン酸(Palmitate)処理群と比べて、「!!!」はP<0.001、「!!」はP<0.01、「!」はP<0.05を示す。) 図2は、HepG2細胞において、パルミチン酸誘導ERストレス及びTG蓄積に対するPDXの影響を示す結果である。 図2Aは、ERストレスマーカーのリン酸化及び発現に対するウエスタンブロット分析結果である。図2Bは、HepG2細胞に対して、Oil-red O染色及びイソプロピルアルコール抽出でTG蓄積を定量化した結果である。図2Cは、siORP150で形質転換されたHepG2細胞において、脂肪生成関連遺伝子のSREBP1,FAS及びSCD1発現に対するウエスタンブロット分析結果である。(対照群又はスクランブル(Scramble)対照群と比べて、「★★★」はP<0.001、「★★」はP<0.01、「★」はP<0.05;パルミチン酸又はPDX処理群と比べて、「!!!」P<0.001、「!!」はP<0.01;パルミチン酸+PDX処理群と比べて、「###」はP<0.001、「##」はP<0.01、「#」はP<0.05を示す。) 図3は、PDXがFOXO1脱アセチル化を通じて0RP150発現を増加させることを示す図である。 図3Aは、24時間2μMのPDXの存在下で、スクランブルsiRNA又はsiFOXO1で形質転換されたHepG2細胞において、0RP150に対するウエスタンブロット分析を行った結果である。図3Bは、24時間0-2μMのPDXの存在下でスクランブルsiRNA又はsiAMPKで形質転換されたHepG2細胞において、FOXO1のアセチル化に対するウエスタンブロット分析を行った結果である。(スクランブル対照群と比べて、「★★★」はP<0.001、「★★」はP<0.01;PDX処理群と比べて、「!!!」はP<0.001、「!」はP<0.05を示す。) 図4は、肝臓細胞において、0RP150の過発現によるパルミチン酸誘導TG蓄積に対する抑制効果を示した結果である。 図4Aは、24時間200μMパルミチン酸で及び/又は0RP150を0-4μgで処理したHepG2細胞において、SREBP1発現に対するウエスタンブロット分析を行った結果である。図4Bは、24時間パルミチン酸で処理されたHepG2細胞に対して、Oil-red O染色及びイソプロピルアルコールでTG抽出して定量化した結果である。(vehicle(対照群)水準と比べて、「★★★」はP<0.001;パルミチン酸処理群と比べて、「!!!」はP<0.001、「!!」はP<0.01、「!」はP<0.05を示す。) 図5は、全身PDX投与が、肝臓脂肪症及びORP150発現を改善することを示す図である。 図5Aは、左側図面は、正常食餌(ND)、高脂肪食餌(HFD)、HFA+PDX投与マウスの肝臓からH&E及びOil-red O染色した結果であり、右側図面は、TG分析キットで肝臓TG蓄積を測定した結果である。図5Bは、実験マウスの肝臓において、SREBP1(処理)、FAS及びSCD1発現をウエスタンブロット分析した結果である。図5Cは、ERストレスマーカーに該当するIRE-1、eIF2α、及びCHOPのリン酸化及び発現をウエスタンブロット分析した結果である。図5Dは、ORP150発現をウエスタンブロット分析した結果である。図5Eは、実験マウスの血清からアディポネクチン発現水準を測定した結果である(ND投与群と比べて、「★★★」はP<0.001、「★★」はP<0.01;HFD群と比べて、「!!!」はP<0.001、「!!」はP<0.01、「!」はP<0.05を示す。) 図6、は正常食餌(ND)、高脂肪食餌(HFD)、HFA+PDX投与マウスの体重、毎日のエネルギー摂取量、肝臓の重量及び副睾丸脂肪量を測定した結果である。(ND群と比べて、「★★★」はP<0.001、「★★」はP<0.01;HF群と比べて、「!!」はP<0.01、「!」はP<0.05を示す。)
[発明を実施するための具体的な内容]
以下、本発明を詳細に説明する。
ただし、下記実施例は本発明を例示するのみであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
<実験準備>
細胞培養、試薬及び抗体
ヒトの肝臓癌細胞HepG2細胞(ATCC、Manassas、VA、USA)は、10%牛胎児血清(FBS、fetal bovine serum、Invitrogen)に100units/mLペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Invitrogen)を含む、高グルコースダルベッコ変形イーグル培地(DMEM、Dulbecco’s modified Eagle medium、Invitrogen、Carisbad、CA、USA)で培養した。細胞は37℃、5%CO2条件で培養した。
マイコプラズマはHepG2細胞から検出されなかった。PDX(Cayman Chemical、Ann Arbor、MI、USA)はエタノールに溶解させた。パルミチン酸ナトリウム(Sigma、St Louis、MO、USA)を、DMEMに溶解した2%BSA(脂肪酸遊離等級;Sigma)に混合した。エタノールの最終濃度は細胞生存に影響しなかった。全ての実験で、細胞をパルミチン酸塩-BSA及びPDXで24時間処理して、2%BSAエタノールを対照群に使用した。
抗-phospho IRE-1(1:1000)、抗-IRE-1(1:2500)、抗-phospho eIF2α(1:1000)、抗-eIF2α(1:1000)、抗-CHOP(1:1000)、抗-ORP150(1:2500)及び抗-P62(1:2500)はCell Signaling(Beverly、MA、USA)で購入した。抗-LC3(1:1000)はNovus Biologicals(Littleton、CO、USA)で購入した。抗-SREBP1(1:2500)、抗-FAS(1:2500)、抗-SCD1(1:2500)、抗-GPR78(1:2500)、抗-HSP47(1:2500)、抗-カルネキシン(1:2500)、抗-HSP70及び抗-アクチン(1:5000)はSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA、USA)で購入した。
実験動物管理
この研究は機関動物検討委員会(高麗大学校機関動物保護及び利用委員会、ソウル、大韓民国)の承認を得た。動物実験は実験室動物の管理と使用のためのガイド(NIH publication、8th edition、2011)により行われた。対照群と8週の雄C57BL/6J(B6)マウスに対する2グループに正常食餌(ND、Brogaarden、Gentofte、Denmark)とHFD(高脂肪食餌、High Fat Diet、Research Diets、New Brunswick、NJ、USA)を8週間それぞれ投与した。HFD(High Fat Diet)食餌群に対してPDXを8週間腹腔内に投与した(1μg/mice/day)。エタノール注入群を対照群に用いた。
ウエスタンブロット分析
HepG2を収得して、タンパク質を4℃で60分間溶解緩衝液(PRO-PREP;Intron Biotechnology、Seoul Korea)で抽出した。タンパク質試料(35μg)を12%SDS-PAGEに適用してニトロセルロース膜(Amersham Bioscience、Westborough、MA、USA)に移して1次抗体で検出した後、2次抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼ(Santa Cruz Biotechnology)を接合させた2次抗体で調査した。サンプルはECLキットで検出した。
免疫沈殿
HepG2細胞の総タンパク質を、免疫沈殿緩衝液(IPバッファー:50mM Tris-HCL、pH7.8、150mM NaCl、1% IGEPAL CA630)で抽出し、1mg/mLの濃度で稀釈した。FOXO1(Santa Cruz Biotechnology)に対するポリクロナール抗体を1:150の稀釈率で混合物に添加して、サンプルを4℃で一晩培養した。培養後、Protein A/G-Sepharoseビーズ懸濁液(Santa Cruz Biotechnology)50μLを各試料に添加して、4℃で1時間柔らかに混合した。試料を12,000rpmで30秒間遠心分離して;ビーズをIP緩衝液で3回洗浄した。分離したビーズを1×SDS-PAGEローディング緩衝液に再懸濁して、95℃で5分間加熱し、ボルテックスミキサーで撹拌してフラッシュ遠心分離した。上澄液を電気泳動分離及びウエスタンブロット分析のため、12%SDSポリアクリルアミドゲル上にローディングした。
遺伝子サイレンシング又は過発現のための一過的なトランスフェクション
70%コンフルエントで、ORP150に対する0-20nmol/L低干渉(si)RNAオリゴヌクレオチドをSanta Cruz Biotechnologyから購入して、トランスフェクションして遺伝子発現を抑制した。スクランブルsiRNAを対照群に使用した。2又は4μgのpCMV3-0RP150(Sino Biological、Beijing、China)を一過的にトランスフェクションさせてORP150発現を過発現させた。pCMV3空ベクターを対照群に使用した。製造社の支持に従い、Lipofectamine2000(Invitrogen)を使用してトランスフェクションを行った。
組織学的分析
HepG2細胞及びマウス肝臓の切片をオイルレッドO(Oil-red O)法により染色して、細胞中性脂肪濃度(TG)蓄積を測定した。40分間10%ホルマリンで固定後、肝細胞をOil-red O溶液で、37℃で1時間染色した。Oil-red O染色されたTG含量を、各サンプルにイソプロパノールを添加して定量化した。混合物を8分間25℃で柔らかに撹拌した。最後に、100μlのイソプロパノール抽出サンプルを510nmで、分光光度計で分析した。
TG測定
総脂質をクロロホルム:メタノール(2:1、v/v)混合物を使用して抽出した。有機層を乾燥させた後、即時60%エタノールに溶解させた。抽出したTGは製造社の指針(Biovision、Milpitas、CA、USA)により比色分析キットを用いて測定した。
統計分析
全ての分析はSPSS/PC統計プログラム(Windowsバージョン12.0;SPSS、Chicago、IL、USA)を用いて行った。結果は最も高い値の倍数で表示した(means±全てのin vitro実験は少なくとも3回行った。統計分析にはStudent'st test又はtwo-way ANOVAを用いた。
<実験結果>
肝細胞におけるPDXに起因するERストレスに対するパルミチン酸誘導TG蓄積抑制効果
200μMパルミチン酸とPDX(0-2μm)の存在下で、HepG2細胞を24時間Oil-red O染色し、TG蓄積はイソプロピルアルコールで抽出して定量した。
その結果、図1A及び1Bに示した通り、HepG2細胞(肝臓細胞)において、PDXによりパルミチン酸誘導TG蓄積とSREBP1、FAS及びSCD1を含む脂肪生成関連遺伝子の発現が、HepG2細胞において抑制されることを発見した。これはパルミチン酸がERストレスを増加させることにより、SREBP1媒介経路を通じた脂質蓄積を引き起こすので、PDXがパルミチン酸によるERストレスに及ぼす影響を評価した結果である。
さらに、図1Cに示した通り、HepG2細胞をPDXで処理すると、パルミチン酸誘導ストレス及び関連遺伝子発現が、PDXの投与用量依存的に有意に減少した。具体的には、ERストレスマーカーであるIRE-1、eIF2α及びCHOPリン酸化及び発現を確認し、PDX用量依存的に前記マーカー濃度が有意に減少した。
PDXのORP150発現誘導を通じた肝細胞におけるERストレス及びTG測定抑制効果
本発明者らは、ORP150が、ERストレス及びTG蓄積に対するPDXの抑制効果に関与するか否かを調査した。
図2A〜2Cで確認した通り、siRNA媒介ORP150のサイレンシングはHepG2細胞において、ERストレスの減少を抑制して、パルミチン酸で誘導された蓄積に及ぼすPDXの効果は有意に減少した。
具体的には、図2Aに示した通り、ERストレスマーカーであるIRE-1、eIF2α及びCHOPの発現をスクランブル対照群/スクランブル+パルミチン酸誘導群/スクランブル+パルミチン酸誘導+PDX投与群/スクランブル+パルミチン酸誘導+PDX投与+siOPR150でOPR150をサイレンシングさせた群に対してそれぞれ測定した。その結果、PDXはERストレスマーカーの発現を減少させ、siORP150投与時に再びマーカーの発現が増加することを確認して、ORP150がERストレス発現を抑制することを確認した。
図2Bに示した通り、PDX投与又はORP150をサイレンシングさせた群に対してTG蓄積を測定した結果である。その結果、パルミチン酸誘導TG蓄積は、PDXを投与することにより抑制されて、ORP150遺伝子をサイレンシングさせた結果、PDXのTG蓄積抑制効果が減少することを確認した。
図2Cに示した通り、SREBP1、FAS及びSCD1を含む脂肪生成関連遺伝子の発現がPDXを投与することにより抑制されたものの、OPR150遺伝子をサイレンシングさせた結果、PDXの脂肪生成関連遺伝子発現抑制効果が有意に減少したことを確認した。
前記結果から、PDXがORP150発現を誘導してERストレスを抑制してパルミチン酸誘導TG蓄積を減少させることを確認した。
PDXのFOXO1脱アセチル化を介したORP150発現増加効果
本発明者らは、24時間2μmのPDXの存在下でスクランブルsiRNA又はsiFOXO1で形質転換されたHepG2細胞でORP150に対するウエスタンブロット分析を行った。
その結果、図3Aに示した通り、PDXを投与した肝細胞でORP150発現水準は増加したが、FOXO1のsiRNAで形質転換された肝細胞は、PDXのORP150発現促進効果が抑制されることを確認した。
さらに、本発明者らは、24時間0-2μMPDXの存在下でスクランブルsiRNA又はsiAMPKで形質転換されたHepG2細胞から、FOXO1のアセチルに対するウエスタンブロット分析を行った。
その結果、図3Bに示した通り、PDXを投与した肝細胞からPDX濃度依存的にFOXO1のアセチル化が減少し(脱アセチル化の増加)、AMPKのsiRNAでトランスフェクションされた肝臓細胞は、PDXのアセチル化の減少効果が抑制された。
前記実験結果により、本発明のPDXは、FOXO1の脱アセチル化を通じてORP150発現を増加させ、ORP150発現が増加するとERストレスが抑制されて中性脂肪蓄積も抑制されたことを理解できる。
ORP150の過発現を通じたパルミチン酸誘動TG蓄積に対する抑制効果
本発明者らは、24時間200μMパルミチン酸で処理及び/又はORP150 0-4μgを処理したHepG2細胞において、SREBP1発現に対するウエスタンブロット分析を行った。
その結果、図4Aに示した通り、ORP150の処理濃度依存的にパルミチン酸が誘導するSREBP1発現が抑制された。
さらに、本発明者らは、24時間パルミチン酸で処理されたHepG2細胞に対してOil-red O染色を行った。TG蓄積はイソプロピルアルコールで抽出して定量化した。
図4Bに示した通り、TG蓄積はORP150の処理濃度依存的に有意に減少したことを確認した。
前記実験結果によりORP150が肝臓細胞で中性脂肪蓄積を抑制することが分かり、これはPDXがORP150発現を増加させ、肝臓細胞から中性脂肪蓄積を抑制可能であることを裏付ける結果である。
PDXのHFD食餌マウスに対する肝臓脂肪症治療効果
本発明者らは、マウスから脂肪蓄積に対するPDXの影響を評価した。このため、マウス肝臓疾患に対してH&E染色及びOil-red 0染色により組織学的分析及びウエスタンブロット分析を行い、TG蓄積はTG分析キットを用いて測定した。
その結果、図5A及び図5Bに示した通り、HFD食餌は肝臓のTG蓄積及び肝臓における脂肪肝形成関連遺伝子のSREBP1、FAS及びSCD1の発現を増加させた。しかしながら、PDX投与は、このような変化を顕著に逆転させた結果を示した。つまり、PDXを投与することにより、肝臓で中性脂肪蓄積が顕著に減少し、脂肪形成関連遺伝子の発現も有意に減少した結果を示した。さらに、図5Aの左側の肝臓切片染色結果を通じて、HFD食餌群にPDXを投与したマウス群の体内蓄積脂肪率が、HFD食餌群と比べて減少して、肝臓線維化も殆ど発生しないことが分かった。
図5Cに示した通り、肝臓ERストレスマーカーであるIRE-1、elF2α及びCHOPも、PDX投与により抑制された。さらに、図5Dに示した通り、HFDによる肝臓におけるORP150発現抑制は、PDX処理により顕著に回復した。
図5Eは、脂肪組織が特異的に分泌して通常血中に高濃度で存在するが、内臓脂肪蓄積によりその濃度が減少すると知られたアディポネクチン数値を血清で評価したものである。PDX投与は、HFD食餌でアディポネクチンの水準を増加させた。
PDXのマウスの体重及び肝臓重量減少効果
本発明者らは、8週間の前記実験方法により、PDXを投与したマウスの体重、日々のエネルギー摂取量、肝臓重量及び副睾丸脂肪量を各グループ当たり5匹ずつ測定した。
図6Aに示した通り、HFD食餌マウスと比べて、HFD食餌マウスにPDXを投与したマウスの体重が有意に減少したことを確認することができ、図6C、6Dに示した通り、PDX投与マウスの肝臓重量及び副睾丸脂肪量もHFD食餌マウスと比べて有意に減少したことを確認することができた。
前記本発明の実施例等から、PDXの投与が肝臓脂肪蓄積減少に効果的であることを確認ししたところ、脂肪肝疾患のための新たな治療剤で使用できることが分かった。
本発明者らは、プロテクチンDXが0RP150発現誘導を介して脂質誘導されたERストレスを抑制することにより脂肪肝及び脂質代謝を改善することを立証し、プロテクチンDXは高脂血症又は脂肪肝疾患を予防又は治して肝臓を保護する薬学的組成物又は食品組成物で有用に使用することができ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (6)

  1. 下記化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
  2. 前記プロテクチンDXは肝臓組織の中性脂肪含量を減少させる効果を有することを特徴とする、請求項1記載の組成物。
  3. 化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、高脂血症又は脂肪肝疾患の予防又は改善用食品組成物。
  4. 前記脂肪肝臓疾患は、肝炎、肝硬変、肝細胞癌、アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝、栄養性脂肪肝、飢餓性脂肪肝及び脂肪肝からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1又は請求項3記載の組成物。
  5. 化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、肝臓保護用薬学的組成物。
  6. 化学式1で表示されるプロテクチンDX又はこれの塩を有効成分として含む、肝臓保護用食品組成物。

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