JP2019043804A - 熱伝導性フィラー、熱伝導性複合材料、及び熱伝導性フィラーの製造方法 - Google Patents

熱伝導性フィラー、熱伝導性複合材料、及び熱伝導性フィラーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた熱伝導性を有する複合材料を得ることが可能な熱伝導性フィラーを提供すること。【解決手段】窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有する熱伝導性フィラーであって、前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径が1〜100μmであり、前記窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100〜1/0.2の範囲内にあり、前記窒化アルミニウム粒子の全粒子のうちの数基準で50%以上の粒子が、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で、該窒化アルミニウム粒子と該窒化ホウ素粒子との複合粒子を形成している、ことを特徴とする熱伝導性フィラー。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性フィラー及びそれを用いた熱伝導性複合材料、並びに熱伝導性フィラーの製造方法に関する。
窒化ホウ素は熱伝導性の高い高絶縁性の材料として知られており、窒化ホウ素粒子を熱伝導性フィラーとしてマトリックス中に分散させた様々な熱伝導性複合材料が開発されている。また、そのような窒化ホウ素粒子を、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化けい素、酸化亜鉛、黒鉛等の他の熱伝導性材料の粒子と組み合わせて用いた熱伝導性複合材料も開発されている。
例えば、特開2001−158610号公報(特許文献1)では、窒化アルミニウム焼結体の粉砕物からなりかつ平均粒子径が50μm超である窒化アルミニウム粉末と、平均粒子径が3μm以下の、窒化アルミニウム、窒化けい素、窒化ホウ素、炭化けい素、黒鉛、アルミニウム、シリコン、銅、銀及び金から選ばれた1種又は2種以上の良熱伝導性超微粉とを混合してなる混合粉末、並びにその混合粉末を含有している樹脂組成物が開示されている。
また、特開2014−162697号公報(特許文献2)では、成形体の高さ方向に平行方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比、及び上記成形体の高さ方向に垂直方向から測定した面のX線回析の(002)回析線と(100)回析線との強度比から所定の式で求められる配向度が0.6〜1.4であり、カルシウムの含有率が500〜5000ppm、粉末X線回折法による黒鉛化指数が0.8〜4.0である窒化ホウ素成形体(焼結体)に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの群から選ばれた1種又は2種以上のセラミックス粉末を含有する樹脂分散液を含浸してなる窒化ホウ素樹脂成形体が開示されている。
さらに、特開2014−172768号公報(特許文献3)では、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が結合した窒化ホウ素粒子の集合体である窒化ホウ素粉末と、平均粒径0.1〜10μmであり、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれた1種以上のセラミックス粉末とを含有するスラリーをスプレー造粒した後に焼成して得られる複合粉末であって、空隙率が5〜55%、平均粒径が20〜100μm、粉末X線回折法における窒化ホウ素の(002)面と(100)面のピーク強度比I(002)/I(100)が9.0以下である窒化ホウ素複合粉末、並びにその複合粉末を含有している樹脂組成物が開示されている。
また、特開2015−214639号公報(特許文献4)では、平均粒径が10〜100μmである窒化ホウ素板状粒子と、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライト、炭化ケイ素、炭化ホウ素及び炭化チタンからなる群から選択される少なくとも1種の無機粒子とを混合し、高せん断力を与えつつ混合するメカノケミカル処理を施して得られる複合粉末、並びにその複合粉末を含有している樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、このような従来の熱伝導性複合材料であっても、熱伝導性の向上に限界があり、必ずしも十分な熱伝導性を達成できるものではなかった。
特開2001−158610号公報 特開2014−162697号公報 特開2014−172768号公報 特開2015−214639号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、熱伝導性を効率良く向上させることが可能な熱伝導性フィラー及びその製造方法と、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱伝導性材料として窒化ホウ素と窒化アルミニウムとの組み合わせを採用し、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を圧縮焼成体とした後に粉砕することにより、窒化アルミニウム粒子のうちの半数以上の粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている熱伝導性フィラーが得られるようになり、その熱伝導性フィラーを用いれば熱伝導性を効率良く向上させることが可能となり、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本明細書において、「窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態」とは、「窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態」をいい、このような状態で窒化ホウ素粒子と複合粒子を形成している窒化アルミニウム粒子を「窒化ホウ素粒子に内包されている窒化アルミニウム粒子」としてカウントする。
すなわち、本発明の熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有する熱伝導性フィラーであって、
前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径が1〜100μmであり、
前記窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100〜1/0.2の範囲内にあり、
前記窒化アルミニウム粒子の全粒子のうちの数基準で50%以上の粒子が、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で、該窒化アルミニウム粒子と該窒化ホウ素粒子との複合粒子を形成している、
ことを特徴とするものである。
また、本発明の熱伝導性複合材料は、マトリックスと、前記マトリックス中に分散している前記本発明の熱伝導性フィラーとを備えることを特徴とするものである。
このような本発明の熱伝導性フィラー及び熱伝導性複合材料においては、前記窒化アルミニウム粒子の含有率が、前記窒化ホウ素粒子と前記窒化アルミニウム粒子との合計量に対して5〜95体積%であることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性フィラー及び熱伝導性複合材料においては、前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物の圧縮焼成体の粉砕物であることが好ましい。
さらに、本発明の熱伝導性フィラー及び熱伝導性複合材料においては、前記熱伝導性フィラー中に、焼結助剤としてのカルシウム化合物及びイットリウム化合物、並びにそれらの焼結助剤に由来する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤成分が更に含有されていることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法は、
窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体を得る工程と、
前記圧縮焼成体を粉砕することにより、窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有しており、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で形成されている複合粒子を含む熱伝導性フィラーを得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
このような本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記窒化ホウ素粉末と前記窒化アルミニウム粉末との混合物を10〜500MPaの加圧条件下で圧縮しつつ焼成せしめることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記圧縮焼成体を粉砕する工程において、前記圧縮焼成体を予備粉砕した後に、予備粉砕された前記圧縮焼成体を含有する流体を高圧でノズルから噴射させて湿式衝突粉砕することにより前記熱伝導性フィラーを得ることが好ましく、その場合は、前記高圧が30〜250MPaの圧力であり、前記流体を前記ノズルから噴射させる際の流速が200〜800m/sであることがより好ましい。
さらに、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記混合物中に、カルシウム化合物及びイットリウム化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤が更に含有されていることが好ましい。
なお、本発明の熱伝導性フィラーによれば優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料が得られるようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、先ず、熱伝導性フィラーをマトリックス中に分散せしめてなる熱伝導性複合材料の熱伝導性を向上させるためには、フィラー粒子として高い熱伝導性を有する材料からなる粒子を用いることが重要な要素であるが、かかる熱伝導性複合材料における熱伝導はフィラー粒子(熱伝導性粒子)同士が接触した部位を通じて熱が伝達されることにより達成されるため、フィラー粒子間の接触界面における熱抵抗を小さくすることも重要な要素である。ここで、本発明において熱伝導性材料として採用する窒化ホウ素(BN)及び窒化アルミニウム(AlN)を鑑みると、両者ともに優れた熱伝導性を有する材料であるが、AlNはBNよりも更に高い熱伝導率を有している。一方、AlNはBNよりも非常に硬質な材料であるため、AlN粒子はBN粒子に比べて接触界面において変形しにくく、AlN粒子が関与すると基本的に点接触となるため接触面積は小さくなり、接触界面における熱抵抗は大きくなってしまう。そのため従来は、BN粒子にAlN粒子を組み合わせて用いても、高熱伝導率を有するAlN粒子を用いたことによる熱伝導性の向上効果は十分に発揮されず、所期の優れた熱伝導率を有する複合材料を得ることができなかった。
それに対して、本発明においては、熱伝導性フィラーとして特定の平均粒子径を有するBN粒子と、それより小さい特定の平均粒子径を有するAlN粒子とを組み合わせて用いるとともに、AlN粒子のうちの半数以上の粒子がBN粒子に内包された状態、すなわち、AlN粒子の外表面の50%以上がBN粒子の内部に包含されかつBN粒子に当接した状態、となっている。そのため、内包されているAlN粒子とそのAlN粒子を内包しているBN粒子との接触界面は点接触ではなく面接触となっており、熱抵抗は小さくなっている。また、このような熱伝導性フィラーを用いて得られる本発明の熱伝導性複合材料においては、単にAlN粒子とBN粒子とが分散している状態と比較して、粒子同士の接触界面におけるAlN粒子が関与する接触界面の比率が低くなり、BN粒子が関与する接触界面の比率が相対的に高くなっている。BNは、モース硬度が約2の材料で、熱伝導性材料の中では比較的柔らかい材料であり、BN粒子は粒子間接触の際に若干変形して点接触の場合よりも大きな接触面積を確保することが可能となるため、本発明の熱伝導性複合材料においては粒子間の接触界面における熱抵抗も小さくなっている。そのため、本発明の熱伝導性フィラーを用いれば、得られる複合材料中の熱伝導パスにおける全界面熱抵抗は低減され、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料が得られるようになると本発明者らは推察する。
また、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、BN粉末とAlN粉末との混合物を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体とした後に粉砕することによって熱伝導性フィラーを得ている。そのため、本発明の製造方法においては、圧縮焼結体においてAlN粒子とBN粒子とが密着して接合しているため、粉砕される際に、AlNより硬度が小さくて劈開により亀裂を生じやすいBNの相が選択的に破壊(劈開や剥離)され、結果的にAlN粒子がBN粒子に内包された状態となっている複合粒子が効率良く得られる。また、本発明の製造方法においては、原料としてのBN粉末が焼結されて複合材料中のBN粒子となっているため、高せん断力を与えつつ混合するメカノケミカル処理のようにBNにおける高熱伝導性の結晶構造が破壊されることなく、BNにおける高熱伝導性の結晶構造が十分に保持されたままとなっている。そのため、本発明の製造方法によれば、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料を得るために有効な熱伝導性フィラーが得られるようになると本発明者らは推察する。
本発明によれば、熱伝導性を効率良く向上させることが可能な熱伝導性フィラー及びその製造方法と、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料とを提供することが可能となる。
実施例及び比較例で作製した円柱状の熱伝導性複合材料及びそれから切り出した熱伝導率(x軸方向)測定用試料を示す模式図である。 実施例1で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた熱伝導性フィラーの断面のSEM像の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた熱伝導性フィラーの断面のSEM像の他の例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例3で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例4で得られた熱伝導性複合材料の断面のSEM像を示す走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
(熱伝導性フィラー)
先ず、本発明の熱伝導性フィラーについて説明する。本発明の熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有する熱伝導性フィラーであって、
前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径が1〜100μmであり、
前記窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100〜1/0.2の範囲内にあり、
前記窒化アルミニウム粒子の全粒子のうちの数基準で50%以上の粒子が、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で、該窒化アルミニウム粒子と該窒化ホウ素粒子との複合粒子を形成している、
ことを特徴とするものである。
本発明においては、熱伝導性フィラーとして、窒化ホウ素(BN)の粒子と窒化アルミニウム(AlN)の粒子とを組み合わせて用いる。本発明で用いる窒化ホウ素粒子を構成する窒化ホウ素には、六方晶系の常圧相や立方晶系の高圧相等があるが、劈開のしやすさや熱伝導性の観点から六方晶系の板状窒化ホウ素粒子であることが好ましい。また、窒化アルミニウムは、ダイヤモンド、アルミナ等の他の硬質な高熱伝導性材料と比較して、焼結により窒化ホウ素との間に密に接触した界面を形成することができるため、窒化ホウ素と前記複合粒子を形成させることによって優れた熱伝導性が得られるようになる。
本発明の熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子の平均粒子径は1〜100μmであることが必要である。窒化ホウ素粒子の平均粒子径が1μm未満では、熱伝導性の発現に寄与する窒化ホウ素のシート状構造が寸断され、得られる複合材料において粒子間の界面数が増大するため全体の熱抵抗が増大する。他方、窒化ホウ素粒子の平均粒子径が100μmを超えると、得られる複合材料における熱伝導性フィラーの分散均一性及び充填率が低下して十分な熱伝導性が得られない。また、同様の観点から、前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径の下限及び上限はそれぞれ3μm及び50μmであることがより好ましい。なお、かかる窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、熱伝導性フィラーに含まれている全ての窒化ホウ素粒子、すなわち前記複合材料を形成している窒化ホウ素粒子と前記複合材料を形成していない窒化ホウ素粒子との全体、の平均粒子径である。また、窒化ホウ素粒子が部分的に劈開して粒子の内部や端部に劈開面を有するものであっても、一部が連続している粒子を一つの窒化ホウ素粒子とする。
また、本発明の熱伝導性フィラーにおける窒化アルミニウム粒子の平均粒子径は、組み合わせて用いられる窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100〜1/0.2であることが必要である。窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が組み合わせて用いられる窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100未満では、得られる複合材料において窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子との間及び窒化アルミニウム粒子間の粒界数が増大するため全体の熱抵抗が増大する。他方、窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が組み合わせて用いられる窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/0.2を超えると、窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包されにくくなるため前記複合粒子の形成による熱伝導性の向上効果が十分に得られなくなり、また、得られる複合材料において窒化ホウ素粒子が窒化アルミニウム粒子と粒子間接触する際に変形により追随しにくくなるため全体の熱抵抗が増大する。また、同様の観点から、前記窒化アルミニウム粒子の平均粒子径の下限及び上限はそれぞれ、組み合わせて用いられる窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/30及び1/0.5であることがより好ましく、1/20及び1/1であることが更により好ましく、1/10及び1/2であることが特に好ましい。なお、かかる窒化アルミニウム粒子の平均粒子径は、熱伝導性フィラーに含まれている全ての窒化アルミニウム粒子、すなわち前記複合材料を形成している窒化アルミニウム粒子と前記複合材料を形成していない窒化アルミニウム粒子との全体、の平均粒子径である。また、窒化アルミニウム粒子が内部に亀裂(ひび)を有するものであっても、一体の粒子と認められるものは一つの窒化アルミニウム粒子とする。
このような熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子及び窒化アルミニウム粒子の「平均粒子径」は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定することができる。具体的には、例えば、得られる複合材料中の熱伝導性フィラーの含有率が5体積%程度(希薄条件)となるように熱伝導性フィラーをエポキシ樹脂等のマトリックス中に分散させた後に硬化させて複合材料とする。そして、得られた複合材料の断面について、例えば、横60μm以上、縦40μm以上の測定領域を任意に10箇所以上抽出し、それぞれの測定領域のSEM像において窒化ホウ素粒子及び窒化アルミニウム粒子の粒子径をそれぞれ求め、さらに全ての測定領域の平均値を算出することにより、熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子及び窒化アルミニウム粒子の「平均粒子径」がそれぞれ求められる。なお、粒子径とは、断面が円形でない場合には最小外接円の直径をいう。
本発明の熱伝導性フィラーにおいては、熱伝導性粒子として前記窒化ホウ素粒子と前記窒化アルミニウム粒子とが含まれているとともに、前記窒化アルミニウム粒子の全粒子のうちの数基準で50%以上の粒子が、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で、該窒化アルミニウム粒子と該窒化ホウ素粒子との複合粒子を形成している。このように本発明の熱伝導性フィラー中の前記窒化アルミニウム粒子のうちの半数以上の粒子が前記窒化ホウ素粒子に内包された状態となっていることによって、内包されている窒化アルミニウム粒子とその窒化アルミニウム粒子を内包している窒化ホウ素粒子との接触界面は点接触ではなく面接触となっており、熱抵抗は小さくなっている。窒化ホウ素粒子に内包された状態で前記複合粒子を形成している窒化アルミニウム粒子の比率が50%未満では、接触界面における熱抵抗は十分に低減せず、得られる複合材料の熱伝導性は十分に向上しない。また、同様の観点から、窒化ホウ素粒子に内包された状態で前記複合粒子を形成している窒化アルミニウム粒子の比率は、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
このような熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子に内包された状態で前記複合粒子を形成している窒化アルミニウム粒子の比率は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定することができる。具体的には、例えば、得られる複合材料中の熱伝導性フィラーの含有率が5体積%程度(希薄条件)となるように熱伝導性フィラーをエポキシ樹脂等のマトリックス中に分散させた後に硬化させて複合材料とする。そして、得られた複合材料の断面について、例えば、横60μm以上、縦40μm以上の測定領域を任意に10箇所以上抽出し、それぞれの測定領域のSEM像において、外表面の50%以上が窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつその窒化ホウ素粒子に当接した状態となっていると認められる窒化アルミニウム粒子の比率(数基準)を求め、さらに全ての測定領域の平均値を算出することにより、熱伝導性フィラーにおいて窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている窒化アルミニウム粒子の比率が求められる。
なお、窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が窒化ホウ素粒子の内部に包含された状態とは、前記SEM像において、窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が連続的に又は断続的に窒化ホウ素粒子の内部に包み込まれている又は端部に嵌め込まれていると認められる状態をいう。また、窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が窒化ホウ素粒子に当接した状態とは、前記SEM像において、窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が連続的に又は断続的に窒化ホウ素粒子の表面に隙間なく接していると認められる状態をいう。
このような本発明の熱伝導性フィラー及び熱伝導性複合材料においては、前記窒化アルミニウム粒子の含有率が、前記窒化ホウ素粒子と前記窒化アルミニウム粒子との合計量に対して5〜95体積%であることが好ましく、20〜70体積%であることがより好ましい。前記窒化アルミニウム粒子の含有率が前記下限未満では、窒化ホウ素粒子と組み合わせてより高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム粒子を複合化することによる熱伝導性の向上効果が十分に得られず、得られる複合材料の熱伝導性が十分に向上しない傾向にある。他方、前記窒化アルミニウム粒子の含有率が前記上限を超えると、得られる複合材料において窒化アルミニウム粒子が関与する熱抵抗の大きい接触界面が相対的に増えるため、所期の優れた熱伝導率を有する複合材料が得られない傾向にある。
さらに、本発明の熱伝導性フィラーにおいては、焼結助剤としてのカルシウム化合物及びイットリウム化合物、並びにそれらの焼結助剤に由来する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤成分が更に含有されていることが好ましい。本発明で用いる窒化アルミニウムは比較的難焼結性の物質であるため、後述する本発明の熱伝導性フィラーの製造方法において焼結助剤を添加して焼成することにより、窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との接合界面において焼結助剤が介在して焼結するため密着性(接合強度)が高くなり、その後の粉砕により前述の窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている複合粒子がより効率良く得られるようになる。焼結助剤としてのカルシウム化合物としては、特に制限されず、酸化カルシウム、カルシウム−アルミニウム化合物、炭化カルシウム、フッ化カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。また、焼結助剤としてのイットリウム化合物としては、特に制限されず、酸化イットリウム、フッ化イットリウム等が挙げられる。さらに、前記焼結助剤に由来する化合物としては、特に制限されず、前記焼結助剤の焼成による分解生成物等が挙げられる。本発明の熱伝導性フィラーにおいて前記焼結助剤成分が含有される場合、その含有量は前記熱伝導性フィラー中に0.2〜10質量%であることが好ましい。
また、本発明において熱伝導性フィラーとして用いる前記窒化ホウ素粒子及び前記窒化アルミニウム粒子においては、後述するマトリックスへの分散性をより向上させる観点から、それらの表面に水酸基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アミノ基等の官能基が結合していてもよい。
前述の本発明の熱伝導性フィラーは、以下に説明する本発明の熱伝導性フィラーの製造方法によって得られるようになったものであり、したがって、本発明の熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物の圧縮焼成体の粉砕物であることが好ましい。
(熱伝導性フィラーの製造方法)
本発明の熱伝導性フィラーの製造方法は、
窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体を得る工程と、
前記圧縮焼成体を粉砕することにより、窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有しており、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で形成されている複合粒子を含む熱伝導性フィラーを得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
ここで用いる窒化ホウ素粉末は、前述の本発明の熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子となる原料粉末であり、その平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましい。窒化ホウ素粉末の平均粒子径が前記下限未満では、粒子界面数の増大による熱抵抗の増加により熱伝導率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子の均一な分散が困難となる傾向にある。
また、ここで用いる窒化アルミニウム粉末は、前述の本発明の熱伝導性フィラーにおける窒化アルミニウム粒子となる原料粉末であり、その平均粒子径は、組み合わせて用いられる窒化ホウ素粉末の平均粒子径の1/100〜1/0.2であることが好ましく、1/30〜1/0.5であることがより好ましく、1/20〜1/1であることが更により好ましく、1/10〜1/2であることが特に好ましい。窒化アルミニウム粉末の平均粒子径が組み合わせて用いられる窒化ホウ素粉末の平均粒子径の前記下限未満では、粒子界面数の増大による熱抵抗の増加により熱伝導率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子の均一な分散が困難となる傾向にある。
なお、原料粉末として用いる窒化ホウ素粉末及び窒化アルミニウム粉末の「平均粒子径」はそれぞれ、レーザー回折・散乱法(あるいは電子顕微鏡による粒径測定)によって求めた粒度分布における累積50%粒子径(メディアン径:D50)として求めることができる。
本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、先ず、前記窒化ホウ素粉末と前記窒化アルミニウム粉末との混合物(混合粉体)を得る。この混合工程における混合方法としては、特に制限されず、例えば、湿式ボールミル粉砕混合法、乾式ボールミル粉砕混合法、機械混合法、撹拌混合法、乳鉢等による混合法等が採用され、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、分粒等の処理を施して前記混合物が得られる。かかるろ過、洗浄、乾燥、分粒等の処理としてはいずれも特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
この混合工程において前記窒化ホウ素粉末と前記窒化アルミニウム粉末とを混合する比率は、特に制限されないが、目的とする熱伝導性フィラーにおける前記窒化ホウ素粒子と前記窒化アルミニウム粒子との比率等に応じて適宜選択され、前記窒化ホウ素粉末と前記窒化アルミニウム粉末との合計量に対して前記窒化アルミニウム粉末の含有率が5〜95質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。前記窒化アルミニウム粒子の含有率が前記下限未満では、窒化ホウ素粒子と組み合わせてより高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム粒子を複合化することによる熱伝導性の向上効果が十分に得られず、得られる複合材料の熱伝導性が十分に向上しない傾向にある。他方、前記窒化アルミニウム粒子の含有率が前記上限を超えると、得られる複合材料において窒化アルミニウム粒子が関与する熱抵抗の大きい接触界面が相対的に増えるため、所期の優れた熱伝導率を有する複合材料が得られない傾向にある。
さらに、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記混合物に、前述のカルシウム化合物及びイットリウム化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤が更に添加されていることが好ましい。本発明で用いる窒化アルミニウムは比較的難焼結性の物質であるため、焼結助剤を添加して焼成することにより、窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との接合界面において焼結助剤が介在して焼結するため密着性(接合強度)が高くなり、その後の粉砕により前述の窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている複合粒子がより効率良く得られるようになる。このような前記焼結助剤が添加される場合、その添加量は前記混合物中に0.2〜10質量%であることが好ましい。
次に、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記混合物(混合粉体)を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体を得る。この焼成工程においては、前記混合物を型に入れて圧縮した加圧条件下で焼成(ホットプレス)する必要があり、その際の圧力は10〜500MPaであることが好ましく、50〜300MPaであることがより好ましい。前記圧力が前記下限未満では、焼成しても十分に密着した状態とならないため、その後の粉砕により窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との界面も破壊されてしまい、前述の複合粒子が得られにくくなる傾向にある。他方、前記圧力が前記上限を超えると、粒子の過度の割れが生じて熱伝導率が低下する傾向にある。なお、このような圧縮方法としては特に制限されず、一軸圧縮であっても二軸圧縮であってもよい。また、静水圧で等方的に圧縮してもよい。
また、この焼成工程における温度及び時間は、前記混合物が十分に焼結する条件であればよく、特に限定されないが、1000〜2500℃で1〜5時間であることが好ましい。さらに、焼成工程の雰囲気は、特に限定されないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
次いで、本発明の熱伝導性フィラーの製造方法においては、前記圧縮焼成体を粉砕することにより前記熱伝導性フィラーが得られる。すなわち、前述の圧縮焼結体においては窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子とが十分に密着して接合しているため、粉砕される際に、窒化アルミニウムより硬度が小さくて劈開により亀裂を生じやすい窒化ホウ素の相が選択的に破壊(劈開や剥離)され、結果的に窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている複合粒子を含有する熱伝導性フィラーが効率良く得られる。
この粉砕工程における粉砕方法としては、特に制限されず、各種粉砕機(ミル)や乳鉢を用いた粉砕方法や湿式ボールミル粉砕、乾式ボールミル粉砕等でもよいが、前記圧縮焼成体を必要に応じて予備粉砕した後に、予備粉砕された前記圧縮焼成体粒子を含有する流体を高圧でノズルから噴射させて湿式衝突粉砕する方法(湿式粉砕方法)が好適に採用される。このような湿式粉砕方法によれば、窒化アルミニウムの相や窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との界面より窒化ホウ素の相がより選択的に破壊(劈開や剥離)される傾向にあり、さらに、得られる窒化ホウ素粒子の表面が部分的に劈開して部分劈開窒化ホウ素粒子が得られ易くなる傾向にある。そして、このように窒化ホウ素粒子の表面が部分的に劈開していると、粒子間接触の際に劈開した窒化ホウ素の部位が劈開により生じている空隙を減少させる形で変形し易いため、得られる複合材料において粒子間の密着性がより高い状態で接触することが可能となり、粒子間の接触界面の面積が増大して熱抵抗が小さくなり、熱伝導性がより向上する傾向にある。
このような湿式粉砕方法においては、原料粒子としての前記圧縮焼成体粒子を含有する流体を高圧でノズルから噴射させることにより、粒子同士が衝突あるいはせん断流動により微細化することによって結晶構造の破壊や過度の微細化を抑制しつつ湿式粉砕されるとともに、粒子が流体中で高圧でせん断流動圧縮させた状態から急激に圧力を低下させることにより、粒子に対して加わっていた圧力が急激に消失することで粒子内部から外部に向かって膨張する力が働き、それに伴って粒子が外側に引っ張られることによって粒子の内部や端部に部分的な劈開が生じて前述の複合材料及び部分劈開窒化ホウ素粒子が効率良く得られるようになる。
このような湿式粉砕方法に用いる装置としては、特に制限されず、原料粒子を含有する流体を高圧でノズルから噴射させて湿式衝突粉砕させて微細化する原理に基づく市販の湿式粉砕装置(湿式微細化装置)を用いることができる。また、結晶構造の破壊や過度の微細化を抑制しつつ湿式粉砕するという観点から、ストレート型のノズルを備える湿式粉砕装置を用いることが好ましい。
また、原料粒子として用いる予備粉砕された前記圧縮焼成体粒子の平均粒子径は、特に制限されず、目的とする熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子及び窒化アルミニウム粒子の平均粒子径等に応じて、2〜200μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。
さらに、前記圧縮焼成体粒子とともにノズルから噴射させる流体の分散媒も特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロフェノール、フェノール、テトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、N−ジメチルピロリドン、ペンタン、ヘキサン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ジエチルエーテル等の有機溶媒が挙げられる。
さらに、前記圧縮焼成体粒子を含有する流体(分散液)の濃度も特に制限されないが、前記圧縮焼成体粒子の含有率が0.1〜20体積%が好ましく、0.5〜10体積%がより好ましい。
また、前記湿式粉砕方法の際の諸条件としては、特に制限されるものではないが、前述の複合材料及び部分劈開窒化ホウ素粒子が効率良く得られるという観点から、以下の諸条件が好ましい。
噴射前圧力:30〜250MPa(より好ましくは50〜200MPa)
噴射後圧力:常圧
ノズル径:0.1〜0.5mm
流量:0.1〜7.0L/min(より好ましくは0.5〜1.1L/min)
ノズル噴射流速:200〜800m/s(より好ましくは300〜700m/s)。
前記湿式粉砕方法における噴射前圧力や流量やノズル噴射流速が前記下限未満では、前記窒化ホウ素粒子の劈開が進行しにくくなり、前述の複合材料及び部分劈開窒化ホウ素粒子が十分に得られなくなる傾向にある。他方、前記湿式粉砕方法における噴射前圧力や流量やノズル噴射流速が前記上限を超えると、前記窒化ホウ素粒子の劈開に加えて窒化アルミニウム粒子の劈開や窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との界面の劈開が進行し易くなり、前述の複合材料が十分に得られなくなる傾向にある。
さらに、前記圧縮焼成体粒子に前記湿式粉砕方法を施す回数は1回でもよいが、前記湿式粉砕方法を繰り返し施して所望量の前述の複合材料及び部分劈開窒化ホウ素粒子を含む熱伝導性フィラーを得るようにしてもよい。このように前記湿式粉砕方法を繰り返し施す場合、その繰り返す回数(パス数)は2〜20回(より好ましくは2〜10回)程度が好ましい。
前記湿式粉砕方法においては、前記湿式粉砕方法による処理の後に、必要に応じて、ろ過、遠心分離、洗浄、乾燥、分粒等の処理を施して前記熱伝導性フィラーを得るが、かかるろ過、洗浄、乾燥、分粒等の処理としてはいずれも特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
(熱伝導性複合材料)
次に、本発明の熱伝導性複合材料について説明する。本発明の熱伝導性複合材料は、マトリックスと、前記マトリックス中に分散している前記本発明の熱伝導性フィラーとを備えることを特徴とするものである。
このような本発明の熱伝導性複合材料におけるマトリックスとしては、好ましくは絶縁性の樹脂や絶縁性のオイルが用いられ、具体的には特に制限されないが、樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレフィンエラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、オイルとしては例えば、シリコーンオイル、フルオロエーテルオイル、鉱物油、動植物性天然油、パラフィン等が挙げられる。これらの樹脂やオイルは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の熱伝導性複合材料において、前記熱伝導性フィラーの含有率は、特に制限されないが、前記複合材料の全量に対して10〜90体積%であることが好ましく、15〜70体積%であることがより好ましく、20〜60体積%であることが特に好ましい。前記熱伝導性フィラーの含有率が前記下限未満では、複合材料中で前記熱伝導性フィラー間の接触部位を通じて熱が拡散する熱伝導パスのネットワーク構造が十分に形成されず、得られる複合材料の熱伝導性が十分に向上しない傾向にある。他方、前記熱伝導性フィラーの含有率が前記上限を超えると、得られる複合材料が脆くなって自立した複合材料が得られにくくなる傾向にある。
さらに、本発明の熱伝導性複合材料において、その空隙率は、特に制限されないが、30体積%以下であることが好ましく、10体積%以下であることがより好ましい。前記空隙率が前記上限を超えると、得られる複合材料においてマトリックス中で熱伝導性フィラー同士が十分に接触しなくなり、結果として熱伝導性の向上効果が十分に得られにくくなる傾向にあり、また、フィラー間のマトリックスによる結合の効果が十分に得られず脆い材料となる傾向にある。
なお、「空隙率」は、下記式(1):
空隙率[体積%]={1−(ρmeas/ρcalc)}×100 (1)
{式(1)中、ρmeasはアルキメデス法により測定した複合材料の密度の実測値を示し、ρcalcは下記式(2):
ρcalc={ρBN×x+ρAlN×(1−x)}y+ρmatrix×(1−y) (2)
(式(2)中、ρBNはBNの密度(実施例及び比較例においてはρBN=2.27)、ρAlNはAlNの密度(実施例及び比較例においてはρAlN=3.26)、ρmatrixはマトリックスの密度(実施例及び比較例においてはρmatrix=1.16)、xはフィラー中のBNの体積分率、yは複合材料中のフィラーの体積分率を示す。)
によって求められる複合材料の密度の計算値(空隙はないと仮定した複合材料の密度の理論値)を示す。}
によって求められる値を意味する。
(熱伝導性複合材料の製造方法)
前述の本発明の熱伝導性複合材料を製造する方法は、特に制限されず、例えば以下のようにして前記本発明の熱伝導性フィラーを前記マトリックス中に分散させることによって得ることができる。
すなわち、先ず、前記熱伝導性フィラーとマトリックスとを混合する。その際、得られる複合材料中の熱伝導性フィラーの含有率が目的の含有率となるように熱伝導性フィラーとマトリックスとの混合割合を定める。また、熱伝導性フィラーとマトリックスとを混合する方法は特に制限されず、公知の混合方法が適宜用いられる。
このようなマトリックスとして前記樹脂を用いる場合、前記熱伝導性フィラーと前記樹脂とを混合して均一混合物とし、得られた混合物を成形することにより前記熱伝導性複合材料を得ることができる。このように前記熱伝導性フィラーと前記樹脂とを混合して均一混合物とする際に、分散媒を更に加えて均一スラリーとしてもよく、その場合は真空乾燥等の公知の方法で分散媒を除去した後に成形することが好ましい。このような分散媒としては特に制限されず、前記圧縮焼成体粒子とともにノズルから噴射させる流体の分散媒として挙げた有機溶媒と同様の有機溶媒を適宜用いてもよい。
また、このようなマトリックスとして前記オイルを用いる場合は、前記熱伝導性フィラーと前記オイルとを混合して均一スラリーとすることにより前記熱伝導性複合材料を得ることができる。
また、前記混合物を成形する際に加圧して圧縮することが好ましい。このような圧縮方法としては特に制限されず、一軸圧縮であっても二軸圧縮であってもよい。また、静水圧で等方的に圧縮してもよい。また、圧縮時の圧力も特に制限はないが、5〜20MPaが好ましい。圧縮時の圧力が前記下限未満になると、得られる複合材料に空隙が残存しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる複合材料内のフィラーの破壊変形が顕著となり、残留ひずみが発生する傾向にある。
さらに、前記混合物を成形する際に樹脂を固化させる方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えば、樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には放冷等の冷却による方法、各種(熱、光、水)硬化性樹脂を用いた場合にはそれぞれ適切な硬化方法を採用することができる。また、このような固化は、成形時又は成形後のいずれにおいて実施してもよい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<熱伝導性フィラーの調製>
窒化ホウ素粒子としてデンカ株式会社製「デンカボロンナイトライド粉 GP」(平均粒子径:8μm)37.3g、窒化アルミニウム粒子として株式会社トクヤマ製「高純度窒化アルミニウム粉末・顆粒 Eグレード」(平均粒子径:1μm)12.4g、焼結助剤として予め乳鉢で粉砕した炭化カルシウム(平均粒子径:約10μm)0.25gを500mlのプラスチック容器に入れ、そこに予め合成ゼオライト(和光純薬工業株式会社製、「モレキュラシーブス 3A」)で乾燥したエタノール150mlを加えた後に、ジルコニアボール(直径:5mm)を用いて湿式ボールミル粉砕を20時間行ってスラリーを得た。次いで、得られたスラリー中の固形分をふるい(目開き:500μm)でろ過し、エタノールで洗浄した後にエバポレーターで減圧下にてエタノールを留去し、さらに真空乾燥した後、ふるい(目開き:200μm)を通して混合物(混合粉体)を得た。
次に、得られた混合物(混合粉体)38.4gをカーボン製の型(内寸:縦30mm×横40mm)に入れ、窒素雰囲気下で1800℃にて2時間、40MPaの一軸加圧条件下で焼成処理(ホットプレス)を施し、冷却後に取り出して縦30mm×横40mm×厚さ10mmの圧縮焼成体を得た。
次いで、得られた圧縮焼成体をハンマーで直径5〜10mmの小片に切断し、さらにアルミナ乳鉢で粉砕した後、ステンレスふるい(目開き:53μm)を通して予備粉砕した圧縮焼成体(平均粒子径:約40μm)を得た。
続いて、予備粉砕した圧縮焼成体3.3gをエタノール60mlに分散して分散液とし、市販のストレート型ノズルを備えた湿式粉砕装置を用い、噴射前のチャンバー内圧力を100MPaとし、前記分散液をノズル(ノズル径:0.2mm)から流量1.1L/min、流速約600m/sで噴射させ、高圧でせん断流動圧縮された状態から常圧まで急激に圧力を低下させることにより、湿式粉砕処理が施された分散液を得た。そして、得られた分散液から粉砕物をろ過し、エタノールで洗浄した後に真空乾燥して、前記圧縮焼成体が湿式粉砕された粉砕物として熱伝導性フィラーを得た。
<熱伝導性複合材料の調製>
得られた熱伝導性フィラーと、マトリックスとしての一液熱硬化型エポキシ樹脂(セメダイン社製「エポキシ樹脂 EP160」)とを用いて、以下のようにして熱伝導性フィラー含有率が40体積%の熱伝導性複合材料を得た。すなわち、先ず、前記熱伝導性フィラー2.95gと前記エポキシ樹脂2.09gとをジクロロメタン10ml中で混合し、得られたスラリーを撹拌しながらジクロロメタンを揮発させた後に約15分真空乾燥してジクロロメタンを完全に除去して、前記熱伝導性フィラーが前記エポキシ樹脂中に分散した混合物を得た。次いで、得られた混合物を、120℃に予熱した円筒容器(内径:14mmφ)中に充填し、円筒容器の長手方向に7.5MPaの圧力で圧縮した状態で120℃に30分維持してエポキシ樹脂を硬化せしめて円柱状の熱伝導性複合材料を得た。
<熱伝導性複合材料の熱伝導率測定>
図1に示すように、円柱状の複合材料1から熱伝導率測定用試料2(x軸方向長さ:2mm、y軸方向長さ:10mm、z軸方向長さ:10mm)を切り出し、前記試料の厚さ方向(x軸方向)を熱流方向としてキセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製「LFA 447 NanoFlash」)を用いて圧縮方向に垂直な方向(x軸方向)の熱拡散率を測定した。また、同様に、円柱状の複合材料1から熱伝導率測定用試料(z軸方向厚さ:2mm、直径:14mmφ、図示せず)を切り出し、前記試料の厚さ方向(z軸方向)を熱流方向としてキセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製「LFA 447 NanoFlash」)を用いて圧縮方向に平行な方向(z軸方向)の熱拡散率を測定した。
また、前記試料の比熱を熱振動型示差走査熱量測定装置(ティー・エイ・インスツル社製)を用いてDSC法により測定した。さらに、前記試料の密度を水中置換法(アルキメデス法)により求めた。これらの結果から次式:
熱伝導率(W/(m・K))=比熱(J/(kg・K))×密度(kg/m)×熱拡散率(m/秒)
により、圧縮方向に垂直な方向(x軸方向)及び圧縮方向に平行な方向(z軸方向)の熱伝導率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<熱伝導性複合材料の空隙率測定>
前記熱伝導率測定において水中置換法(アルキメデス法)により求めた複合材料の密度の実測値(ρmeas)と、前記式(2)により求めた複合材料の密度の計算値(空隙はないと仮定した複合材料の密度の理論値:ρcalc)とから前記式(1)によって複合材料の空隙率を求めた。得られた結果を表1に示す。
<熱伝導性複合材料の電子顕微鏡観察>
円柱状の複合材料から断面の電子顕微鏡観察用の試料を切り出し、任意の縦60μm、横40μmの領域について、ダイヤモンドペースト及びアルミナペーストを研磨剤として研磨機(ビューラー社製「ミニメットTM1000」)を用いて機械研磨を施した後、120Wで3分酸素プラズマエッチング(ヤマト科学社製「プラズマリアクタPR300」)を行い、オスミウムコーターでオスミウムコーティングを施して走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「NB−5000」)を用いて断面の電子顕微鏡観察を行った。得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図2に示す。なお、図2において、明灰色が窒化アルミニウム相、灰色が窒化ホウ素相、暗灰色がマトリックス樹脂相に相当する(以下のSEM像においても同じ)。
<熱伝導性フィラーの電子顕微鏡観察及び構造解析>
得られる複合材料中の熱伝導性フィラー含有率が5体積%となるようにし、さらにエポキシ樹脂を硬化させる際の圧力を大気圧としたこと以外は前述の<熱伝導性複合材料の調製>と同様にして熱伝導性フィラーの電子顕微鏡観察用の複合材料を得た。
次に、得られた複合材料から断面の電子顕微鏡観察用の試料を切り出し、任意の10箇所の断面測定領域(縦60μm、横40μmの領域)について前述の<熱伝導性複合材料の電子顕微鏡観察>と同様にして断面の電子顕微鏡観察を行った。得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)の一例(拡大したSEM像)を図3A及び図3Bに示す。
次いで、各測定領域のSEM像において、明度と形状に基づいて、
(i)窒化アルミニウム粒子の総数
(ii)外表面の50%以上が窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつその窒化ホウ素粒子に当接した状態となっていると認められる窒化アルミニウム粒子(図3A及び図3Bにおいて矢印で示す)の数
をそれぞれ求め、各測定領域における(ii)/(i)の値を算出して全ての測定領域の平均値を算出することにより、測定対象の熱伝導性フィラーにおいて窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている窒化アルミニウム粒子の比率を求めた。得られた結果を表1に示す。
また、各測定領域のSEM像において、明度と形状に基づいて、
(iii)窒化ホウ素粒子の粒子径
(iv)窒化アルミニウム粒子の粒子径
をそれぞれ求め、全ての測定領域の平均値を算出することにより、測定対象の熱伝導性フィラーにおける窒化ホウ素粒子及び窒化アルミニウム粒子の平均粒子径をそれぞれ求めた。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
湿式粉砕処理における噴射前のチャンバー内圧力を200MPaとしたこと以外は実施例1と同様にして熱伝導性フィラーを得、その熱伝導性フィラーを用いて実施例1と同様にして熱伝導性複合材料を得た。
得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして熱伝導率及び空隙率を測定し、得られた結果を表1に示す。また、得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして電子顕微鏡観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図4に示す。さらに、用いた熱伝導性フィラーについて実施例1と同様にして電子顕微鏡観察及び構造解析を行い、得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
窒化ホウ素粒子としてデンカ株式会社製「デンカボロンナイトライド粉 GP」(平均粒子径:8μm)37.3g、窒化アルミニウム粒子として株式会社トクヤマ製「高純度窒化アルミニウム粉末・顆粒 Eグレード」(平均粒子径:1μm)12.4gを500mlのプラスチック容器に入れ、そこに予め合成ゼオライト(和光純薬工業株式会社製、「モレキュラシーブス 3A」)で乾燥したエタノール150mlを加えた後に、ジルコニアボール(直径:5mm)を用いて湿式ボールミル粉砕を20時間行ってスラリーを得た。次いで、得られたスラリー中の固形分をふるい(目開き:500μm)でろ過し、エタノールで洗浄した後にエバポレーターで減圧下にてエタノールを留去し、さらに真空乾燥した後、ふるい(目開き:200μm)を通して混合物(混合粉体)を得た。
このようにして得られた混合物(混合粉体)を用い、その後の圧縮焼成処理及び湿式粉砕処理を施すことなく熱伝導性フィラーとして用いるようにしたこと以外は実施例1と同様にして熱伝導性複合材料を得た。
得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして熱伝導率及び空隙率を測定し、得られた結果を表1に示す。また、得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして電子顕微鏡観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図5に示す。さらに、用いた熱伝導性フィラーについて実施例1と同様にして電子顕微鏡観察及び構造解析を行い、得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において得られた混合物(混合粉体)、すなわち窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子と炭化カルシウムとを実施例1と同様に混合(湿式ボールミル粉砕)して得られた混合物(混合粉体)47.4gを用い、室温にて5MPaの加圧条件下で予備成形した後、窒素雰囲気下で1800℃にて2時間、大気圧条件下(無加圧)で焼成処理を施し、冷却後に取り出して縦30mm×横40mm×厚さ約15mmの焼成体を得た。次いで、得られた焼成体をミル(アズワン株式会社製「ミニブレンダー MB−2」)で10秒間粉砕して熱伝導性フィラーを得、その熱伝導性フィラーを用いて実施例1と同様にして熱伝導性複合材料を得た。
得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして熱伝導率及び空隙率を測定し、得られた結果を表1に示す。また、得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして電子顕微鏡観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図6に示す。さらに、用いた熱伝導性フィラーについて実施例1と同様にして電子顕微鏡観察及び構造解析を行い、得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2と同様にして得られた焼成体をアルミナ乳鉢で1分間粉砕して熱伝導性フィラーを得、その熱伝導性フィラーを用いて実施例1と同様にして熱伝導性複合材料を得た。
得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして熱伝導率及び空隙率を測定し、得られた結果を表1に示す。また、得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして電子顕微鏡観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図7に示す。さらに、用いた熱伝導性フィラーについて実施例1と同様にして電子顕微鏡観察及び構造解析を行い、得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例2と同様にして得られた焼成体をアルミナ乳鉢で1分間粉砕した後にステンレスふるい(目開き:53μm)を通して熱伝導性フィラーを得、その熱伝導性フィラーを用いて実施例1と同様にして熱伝導性複合材料を得た。
得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして熱伝導率及び空隙率を測定し、得られた結果を表1に示す。また、得られた熱伝導性複合材料について実施例1と同様にして電子顕微鏡観察し、得られた走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を図8に示す。さらに、用いた熱伝導性フィラーについて実施例1と同様にして電子顕微鏡観察及び構造解析を行い、得られた結果を表1に示す。
表1及び図2〜5に示した結果から明らかな通り、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体とした後に粉砕することによって得られた実施例1〜2の熱伝導性フィラーにおいては、窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている複合粒子が高い割合で含まれていることが確認された。そして、そのような本発明の熱伝導性フィラーを用いて得られた実施例1〜2の熱伝導性複合材料においては、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末とを単に混合して得られた熱伝導性フィラーを用いて得られた比較例1の熱伝導性複合材料に比べて、窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との接触界面が点接触ではなく密着した面接触となっている割合が高く、また、粒子同士の接触界面において窒化アルミニウム粒子が関与する接触界面より窒化ホウ素粒子が関与する接触界面の比率が相対的に高くなっており、熱伝導性が向上していることが確認された。
また、実施例1〜2で得られた熱伝導性フィラーにおいては、前記圧縮焼成体が湿式粉砕方法により粉砕されているため、窒化ホウ素粒子の表面が部分的に劈開して部分劈開窒化ホウ素粒子となっている割合が高いことが確認された。そのため、そのような本発明の熱伝導性フィラーを用いて得られた実施例1〜2の熱伝導性複合材料においては、粒子間接触の際に劈開した窒化ホウ素の部位が劈開により生じている空隙を減少させる形で変形し易く、粒子間の接触界面の面積が高くなっていることが確認された。
それに対して、表1及び図6〜8に示した結果から明らかな通り、窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を加圧せずに焼成せしめた焼成体を粉砕することによって得られた比較例2〜4の熱伝導性フィラーにおいては、ミルや乳鉢で短時間粉砕しただけにも拘らず、焼成体における窒化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子との界面が容易に破壊され、窒化アルミニウム粒子が窒化ホウ素粒子に内包された状態となっている複合粒子は殆ど含まれていないことが確認された。そして、そのような熱伝導性フィラーを用いて得られた比較例2〜4の熱伝導性複合材料においては、実施例1〜2の熱伝導性複合材料はもとより、比較例1の熱伝導性複合材料よりも熱伝導性が劣っていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、熱伝導性を効率良く向上させることが可能な熱伝導性フィラー及びその製造方法と、優れた熱伝導性を有する熱伝導性複合材料を提供することが可能となる。したがって、本発明の複合材料は熱伝導性に優れているため、例えば、自動車用、電子機器用、電子素子用、各種電気製品用の放熱材料やヒーター材料等として有用である。
1:複合材料、2:熱伝導率(x軸方向)測定用試料。

Claims (11)

  1. 窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有する熱伝導性フィラーであって、
    前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径が1〜100μmであり、
    前記窒化アルミニウム粒子の平均粒子径が前記窒化ホウ素粒子の平均粒子径の1/100〜1/0.2の範囲内にあり、
    前記窒化アルミニウム粒子の全粒子のうちの数基準で50%以上の粒子が、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で、該窒化アルミニウム粒子と該窒化ホウ素粒子との複合粒子を形成している、
    ことを特徴とする熱伝導性フィラー。
  2. 前記窒化アルミニウム粒子の含有率が、前記窒化ホウ素粒子と前記窒化アルミニウム粒子との合計量に対して5〜95体積%であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性フィラー。
  3. 窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物の圧縮焼成体の粉砕物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性フィラー。
  4. 焼結助剤としてのカルシウム化合物及びイットリウム化合物、並びにそれらの焼結助剤に由来する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤成分を更に含有していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性フィラー。
  5. マトリックスと、前記マトリックス中に分散している請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性フィラーとを備えることを特徴とする熱伝導性複合材料。
  6. 窒化ホウ素粉末と窒化アルミニウム粉末との混合物を加圧して圧縮しつつ焼成せしめることにより圧縮焼成体を得る工程と、
    前記圧縮焼成体を粉砕することにより、窒化ホウ素粒子と窒化アルミニウム粒子とを含有しており、該窒化アルミニウム粒子の外表面の50%以上が前記窒化ホウ素粒子の内部に包含されかつ該窒化ホウ素粒子に当接した状態で形成されている複合粒子を含む熱伝導性フィラーを得る工程と、
    を含むことを特徴とする熱伝導性フィラーの製造方法。
  7. 前記窒化ホウ素粉末と前記窒化アルミニウム粉末との混合物を10〜500MPaの加圧条件下で圧縮しつつ焼成せしめることを特徴とする請求項6に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
  8. 前記圧縮焼成体を粉砕する工程において、前記圧縮焼成体を予備粉砕した後に、予備粉砕された前記圧縮焼成体を含有する流体を高圧でノズルから噴射させて湿式衝突粉砕することにより前記熱伝導性フィラーを得ることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
  9. 前記高圧が30〜250MPaの圧力であり、前記流体を前記ノズルから噴射させる際の流速が200〜800m/sであることを特徴とする請求項8に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
  10. 前記混合物に、カルシウム化合物及びイットリウム化合物からなる群から選択される少なくとも一種の焼結助剤が更に含有されていることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
  11. 前記熱伝導性フィラーが、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性フィラーであることを特徴とする請求項6〜10のうちのいずれか一項に記載の熱伝導性フィラーの製造方法。
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