JP2019043642A - 包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器 - Google Patents

包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】一度開封した後の再封が可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断できる包装体が得られる包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器を提供すること。
【解決手段】包装用多層フィルム1は、基材層(A)11、粘着樹脂層(B)12、剥離樹脂層(C)13及びシール樹脂層(D)14がこの順に積層された少なくとも4層を含む。粘着樹脂層(B)12は、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする。シール樹脂層(D)14は、高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)の少なくとも2種類を混合した樹脂組成物を含有する。高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が、13℃以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器に関し、例えば、食品や医薬品などの収納物を包装可能な包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器に関する。
従来、食品、化粧品及び医薬品などの収容物を包装する際に、一度に使いきれない場合があることを考慮し、酸化による劣化、吸湿、乾燥を避けるべく、一度開封した後に再封可能な可剥性/再封性の包装用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−213053号公報
しかしながら、特許文献1に記載の包装用フィルムでは、収容物を包装して再封した際に、一度開封したかどうかの判別がしにくい場合がある。このため、特許文献1に記載の包装用フィルムを用いて食品などを包装してスーパーなどの店頭に陳列した際には、一度開封して再封されたものであるか否かが判別しにくく、悪戯及び異物混入などがされたとしても分からない可能性がある。このように、従来の包装用フィルムでは、再封可能である一方、一度開封されたものであるかどうかの判断が困難であり、包装体及び包装容器とした際に、一度開封したものであるか否かを明確に判断できる再封可能な包装用多層フィルムが求められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、一度開封した後の再封が可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断できる包装体が得られる包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、基材層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びシール樹脂層(D)を備え、粘着樹脂層(B)の損失正接のピーク値が所定値以上あって、シール樹脂層(D)が所定の融点差を有する2種類の樹脂を含有する包装用多層フィルムにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明に係る包装用多層フィルムは、基材層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びシール樹脂層(D)がこの順に積層された少なくとも4層を含み、前記粘着樹脂層(B)は、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、前記シール樹脂層(D)は、樹脂(d−1)及び樹脂(d−2)の少なくとも2種類を混合した樹脂組成物を含有し、前記樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と前記樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が、13℃以上であることを特徴とする。
本発明に係る包装用多層フィルムにおいては、前記樹脂組成物は、前記樹脂(d−1)及び前記樹脂(d−2)の含有量がそれぞれ25質量%以上であることが好ましい。
本発明に係る包装用多層フィルムにおいては、前記シール樹脂層(D)は、前記樹脂(d−1)及び前記樹脂(d−2)がそれぞれポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係る包装用多層フィルムにおいては、前記基材層(A)が、エチレン‐酢酸ビニル共重合体ケン化物及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とする層を少なくとも1層含むことが好ましい。
本発明に係る包装用多層フィルムにおいては、前記剥離樹脂層(C)が、ポリアミド系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
本発明に係る包装用多層フィルムにおいては、前記シール樹脂層(D)の厚さが、2μm以上20μm以下であることが好ましい。
本発明に係る包装体は、上記包装用多層フィルムを含むことを特徴とする。
本発明に係る包装体においては、食品用であることが好ましい。
本発明に係る包装体においては、衛生材料用であることが好ましい。
本発明に係る包装用容器は、上記包装体を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、一度開封した後の再封が可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断できる包装体が得られる包装用多層フィルム、包装体及び包装用容器を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る包装用多層フィルム1の断面模式図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルム2をシールした際の剥離機構の説明図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第1剥離機構の説明図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第2剥離機構の説明図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第1剥離機構及び第2剥離機構の組み合わせの説明図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る包装体のシール時の断面模式図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る包装体の剥離時の断面模式図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る包装容器の具体例1を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る包装容器の具体例2を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分として構成される」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の50質量%以上100質量%以下、好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは85質量%以上100質量%以下、特に好ましくは95質量%以上100質量%以下を占めることを意味する。
(包装用多層フィルム)
図1は、本実施の形態に係る包装用多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、包装用多層フィルム1は、基材層(A)11と、基材層(A)11の上に設けられた粘着樹脂層(B)12と、粘着樹脂層(B)12上に設けられた剥離樹脂層(C)13と、剥離樹脂層(C)13上に設けられたシール樹脂層(D)14とを備える。すなわち、包装用多層フィルム1は、基材層(A)11、粘着樹脂層(B)12、剥離樹脂層(C)13、及びシール樹脂層(D)14がこの順に積層された少なくとも4層を含むものである。
粘着樹脂層(B)12は、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする。粘着樹脂層(B)12は、当該粘着樹脂層(B)12を介して基材層(A)11と剥離樹脂層(C)13とを接合している。剥離樹脂層(C)13は、所定条件でヒートシールされた際に、粘着樹脂層(B)12から剥離可能となる。
シール樹脂層(D)14は、高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)の少なくとも2種類を混合した樹脂組成物を含有する。高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)は、高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が、13℃以上であるものが用いられる。この包装用多層フィルム1は、接着相手となる被接着フィルム(相手基材)との間で所定のヒートシール条件によってシール樹脂部(D)14をシールすることにより、粘着樹脂層(B)12又はシール樹脂層(D)14で剥離可能となる。
次に、図2〜図5を参照して、本実施の形態に係る包装用多層フィルム1における第1剥離機構及び第2剥離機構について説明する。図2は、本実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムをシールした際の剥離機構の説明図であり、図3は、本実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第1剥離機構の説明図であり、図4は、本実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第2剥離機構の説明図であり、図5は、本実施の形態に係る包装用多層フィルムと被接着フィルムとの第1剥離機構及び第2剥離機構の組み合わせの説明図である。
図2に示すように、本実施の形態に係る包装用多層フィルム1は、ヒートシールなどにより被接着フィルム2と接着される。被接着フィルム2は、基材層21と、基材層21上に設けられたシール樹脂層22とを備える。包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とは、ヒートシールによって設けられたヒートシール部31を介して融着により接着される。
被接着フィルム2としては、包装用多層フィルム1とヒートシール可能なものであれば、特に制限はない。例えば、被接着フィルム2の基材層21としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの剛性のある樹脂を含むフィルム又はシートなどが使用できる。また、シール樹脂層22としては、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。また、被接着フィルム2は、その他のバリア樹脂層などを有してもよい。
被接着フィルム2の厚さは、包装用多層フィルム1と組み合わせて包装体及び包装容器にすることができれば、特に制限はない。例えば、被接着フィルム2としては、50μm以上500μm以下のフィルムが好適に使用できる。被接着フィルム2は、厚さを50μm以上にすることで包装体及び包装容器の基材として充分な剛性が得られ、500μ以下にすることで熱成形性が良好になり、底材として使用することも可能になる。
本実施の形態では、ヒートシール時の温度条件を変えることにより包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを剥離する際、第1剥離機構及び第2剥離機構いずれかに剥離機構を変えることができる。図3に示すように、第1剥離機構を用いる場合には、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)以上、高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)未満でヒートシール(以下、「ヒートシール条件A」ともいう。)する。この結果、ヒートシールで融着した包装用多層フィルム1のシール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22との層間強度が、包装用多層フィルム1の粘着樹脂層(B)と剥離樹脂層(C)の層間強度よりも小さくなる。これにより、包装用多層フィルム1のシール樹脂層(D)14がイージーピール層として機能するので、ヒートシール部31以外の非融着部1Aを保持して剥離した際に、包装用多層フィルム1のシール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22との界面で剥離が生じる。この第1剥離機構で剥離した場合、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを再封することはできない。
図4に示すように、第2剥離機構を用いる場合には、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)以上でヒートシール(以下、「ヒートシール条件B」ともいう。)する。この結果、ヒートシールで融着した包装用多層フィルム1のシール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22との間の層間強度が粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13の層間強度よりも大きくなる、つまり、包装用多層フィルム1は被接着フィルム2と強固にヒートシールされる。これにより、非融着部1Aを保持して包装用多層フィルム1を被接着フィルム2から剥離しようとすると、包装用多層フィルム1のシール樹脂(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22とが強固に接着されるので、包装用多層フィルム1の粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13との層間で剥離が生じる。この結果、粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13との間で剥離するので、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とが剥離した箇所を手及び指などで加圧圧着することで粘着樹脂層(B)12の露出面12Aと剥離樹脂層(C)13の露出面13Aとの間で接着できる。よって、この第2剥離機構で剥離した場合には、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2との再封が可能となる。
また、図3に示した第1剥離機構と図4に示した第2剥離機構とは、組み合わせて用いてもよい。図5に示すように、この場合には、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とのヒートシール部31に、ヒートシール条件Aでヒートシールする領域と、ヒートシール条件Bでヒートシールする領域とを設ける。これにより、ヒートシール部31に、シール樹脂層(D)14とシール樹脂層22とが界面剥離してイージーピールする領域である第1ヒートシール部31aと、粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13の間で再封可能の領域である第2ヒートシール部31bとを共に設けることができる。このように、上記実施の形態によれば、第1剥離機構及び第2剥離機構の2種類の剥離機構を組み合わせることによって、一度開封した後にも再封することが可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断可能な包装用多層フィルム1が得られる。以下、包装用多層フィルム1の各層の構成についてより詳細に説明する。
包装用多層フィルム1は、厚さに特に制限はない。包装用多層フィルム1の厚さとしては、厚さの下限は、フィルムの生産性の観点から、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましく、また厚さの上限は、非接着フィルム2とのヒートシール性の観点から、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、70μm以下であることが更に好ましい。
(基材層(A)11)
基材層(A)11は、熱可塑性樹脂を主成分とする。熱可塑性樹脂は、粘着樹脂層(B)12、及び剥離樹脂層(C)13の主成分として用いられる樹脂の種類を考慮して適宜選択することが好ましい。熱可塑性樹脂は、溶融押出温度が概ね180℃以上300℃以下の範囲であることから、この範囲内で溶融押出可能な熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などのオレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(以下、「EVOH」ともいう。)、エステル系樹脂、スチレン系樹脂及びカーボネート系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して混合樹脂組成物として用いてもよい。また、基材層(A)11は、単層であってもよく、多層であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、成型加工性、製造コスト、透明性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」ともいう。)樹脂などのポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ナイロン(以下、「Ny」ともいう。)系樹脂などが好ましい。これらの中でも、包装用多層フィルム1に剛性を付与する観点からPET系樹脂が好ましく、バリア性を付与する観点から、EVOH系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、その他、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を全グリコール単量体単位中に15モル%以上50モル%以下含有する低結晶性又は非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン/ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂及びポリ乳酸系樹脂に代表される脂肪族ポリエステル樹脂類なども挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂に、ハードセグメントとして高融点高結晶性の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして非晶性ポリエステルや非晶性ポリエーテルなどを有する熱可塑性ポリエステル系エラストマーも適宜混合しても構わない。これらのエラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して併用してもよい。
EVOH系樹脂としては、エチレン含有率が29モル%以上であるものが好ましく、32モル%以上であるものがより好ましく、また47モル%以下であるものが好ましく、44モル%以下であるものがより好ましい。また、EVOH系樹脂としては、ケン化度が90%以上であるものが好ましく、95%以上であるものがより好ましい。エチレン含有率及びケン化度が上記範囲のグレードを選択することにより、包装用多層フィルム1のガスバリア性及び力学強度などを良好なものとすることができる。これらのEVOH系樹脂は、混合して用いてもよい。
Ny系樹脂としては、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などの脂肪族ポリアミド重合体が挙げられる。脂肪族ポリアミド重合体としては、例えば、6ナイロン(6Ny)と称されるε―カプロラクタムの単独重合体、66ナイロン(66Ny)と称されるポリヘキサメチレンアジパミド、及びこれらの共重合体である6−66ナイロン(6−66Ny)などが挙げられる。また、芳香族ポリアミド重合体としては、キシリレンジアミンと炭素数が6以上12以下のα、ω脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有している樹脂などが使用できる。このような樹脂としては、例えば、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド及びポリパラキシリレンデカナミドなどの単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミドの共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミドの共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミドの共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミドの共重合体などの共重合体が挙げられる。このような共重合体としては、例えば、芳香族ナイロン(MXD−Ny)、半芳香族ナイロンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して併用してもよい。
包装用多層フィルム1に機能を付与する場合、基材層(A)11としては、ガスバリア性を付与するためにはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を主成分とする層を1層以上含むことが好ましい。また、包装用多層フィルム1に耐ピンホール性を付与するためには、基材層(A)11としては、ポリアミド系樹脂を主成分とする層を1層以上含むことが好ましい。ただし、基材層(A)11を多層構成とした場合には、多層を構成する各樹脂層間の層間剥離強度は、粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13との間の層間剥離強度よりも大きくなるような接着性樹脂を適宜選択して使用する。
基材層(A)11には、本発明の主旨を損なわない範囲でその他の成分を適宜添加しても構わない。その他の成分としては、例えば、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤などの成分が挙げられる。基材層(A)11が多層構成である場合には、特定の層にのみその他の成分を添加してもよく、全ての層にその他の成分を添加してもよい。
基材層(A)11は、厚さに特に制限はない。基材層(A)11の厚さとしては、成型加工性及び製造コストなどの観点から、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましく、また90μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
(粘着樹脂層(B)12)
粘着樹脂層(B)12は、再封可能な特性にするための層である。粘着樹脂層(B)12は、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマー(b)を主成分として構成される層である。粘着樹脂層(B)12は、損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が−35℃以上にあれば、剥離時に露出した粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13を手及び指による加圧圧着のみで実用性のある再封性が発現する。ここで、再封性には、常温での粘弾性特性、特に、損失正接(tanδ)の値も影響しているものと推察される。また、粘着樹脂層(B)12としては、常温での損失正接(tanδ)の値が0.1以上(上限値は、通常0.6程度)であることがより好ましい。また、スチレン系熱可塑性エラストマーの損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度の上限値は、エラストマーとしての特性から、通常、10℃以下である。さらに、包装用多層フィルム1を用いた包装体は、冷蔵庫に代表される冷蔵設備などの低温での環境下でも使用されることがある。このため、損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度範囲は、−35℃以上であり、−25℃以上であることが好ましく、また5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン及びα−メチルスチレンなどのスチレン同族体と共役ジエンとの共重合体、並びに、その水素添加誘導体であることが好ましい。ここで、共役ジエン部分を構成する共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン及び1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエン部分としては、共重合体中に単独又は2種以上が混合された状態で含まれていてもよい。ただし、この共役ジエン部分のビニル結合を主とした二重結合が残った場合の熱安定性や耐候性は極めて悪いので、これを改良するため、二重結合の80%以上、好ましくは95%以上に水素を添加したものを用いることが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度は、主に、スチレン含有量と共役ジエン部分のビニル結合量(例えば、ブタジエンの場合は1,2結合、イソプレンの場合は1,2結合と3,4結合の結合量)に依存する。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン含有量が1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、また25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。また、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン部分のビニル結合量が40モル%以上であるものが好ましく、50モル%以上であるものがより好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂としては、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレンブチレンブレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体などのスチレン系ブロック共重合体などのスチレン系ランダム共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着樹脂層(B)12には、本発明の主旨を損なわない範囲で、その他の樹脂及び成分を適宜添加しても構わない。その他の樹脂及び成分としては、例えば、低結晶性又は非晶性のオレフィン系樹脂、軟化剤、オイル(鉱物油)、安定剤(酸化防止剤等)及び流動パラフィンなどが挙げられる。
粘着樹脂層(B)12の厚さは、一度開封した後の再封性及び製造コストなどの観点から、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが更に好ましく、10μm以上であることが特に好ましく、また50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。
(剥離樹脂層(C)13)
剥離樹脂層(C)13は、上述した高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)以上で被接着フィルム2とヒートシール(ヒートシール条件B)した場合に、シール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22との間の層間強度よりも、粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13の間の層間強度が小さくなるような層構成であれば特に制限されるものではない。剥離樹脂層(C)13は、所望により単層構成の樹脂層であってもよく、多層構成の樹脂層であってもよい。
剥離樹脂層(C)13は、ポリアミド系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とする層である。ポリアミド系樹脂としては、非晶性ナイロン樹脂が好ましい。非晶性ナイロン樹脂としては、例えば、商品名「グリボリー(登録商標)」(エムスケミージャパン社製)などが挙げられる。非晶性ナイロン樹脂及び環状ポリオレフィンを使用することで、粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13との間の密着性が向上し、良好な再剥離強度が得られる。
剥離樹脂層(C)13の厚さは、良好なリシール性が得られる観点から、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることが更に好ましく、また剥離後の膜残りを予防する観点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることが更に好ましい。
(シール樹脂層(D)14)
シール樹脂層(D)14は、高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の少なくとも2種類を含む樹脂組成物を含有する。
シール樹脂層(D)14は、低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)以上、高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)未満で被接着フィルム2とヒートシール(ヒートシール条件A)した場合は、シール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22とが界面剥離してイージーピール層として作用する。またシール樹脂層(D)14は、融点(Tmd1)以上で被接着フィルム2とヒートシール(ヒートシール条件B)した場合は、強固なヒートシール層として作用する。
シール樹脂層(D)14としては、高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が13℃以上あれば特に制限されるものでない。融点差(Tmd1−Tmd2)は、シール樹脂層(D)14をイージーピール層として安定して作用させる観点から、14℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。
シール樹脂層(D)14は、所望により単層構成の樹脂層であってもよく、多層構成の樹脂層であってもよい。シール樹脂層(D)の高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)は、例えば、ポリオレフィン(PO)系樹脂及びポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂などが用いられる。また、高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、変性PO系樹脂などのポリオレフィン(PO)系樹脂が特に好ましい。
エチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのエチレン系樹脂、EVA、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体などのエチレン系共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属中和物などが挙げられる。これらのエチレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して併用してもよい。
PP系樹脂としては、プロピレン単独共重合体(ホモPP)、プロピレンと例えば、エチレン、ブテンなどの他のα―オレフィンとの共重合体が挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体(ランダムPP)であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。また、立体規則性については、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造、アタクチック構造、ステレオブロック構造などいずれであってもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して併用してもよい。
シール樹脂層(D)14としては、上述した高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)を含有し、融点差(Tmd1−Tmd2)が13℃以上である少なくとも2種の成分を含んでいれば、その他の樹脂や成分を適宜添加しても構わない。
高融点樹脂(d−1)は、含有量が25質量%以上であることが好ましく、30%質量以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、高融点樹脂(d−1)は、含有量が75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることが更に好ましい。高融点樹脂(d−1)の配合比率が25質量%以上であることで、被接着フィルム2と融点(Tmd2)以上、融点(Tmd1)未満でヒートシール(ヒートシール条件A)した場合、シール樹脂層(D)14は、イージーピール層として機能する。また、60%質量以下であることで、融点(Tmd1)以上で被接着フィルム2とヒートシール(ヒートシール条件B)した場合は、被接着フィルム2と強固にヒートシールされる。
高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)は、フィルムとして巻き取った際、フィルムの内外面同士がブロッキングすることを防ぐ観点から、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。また、高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)は、ヒートシール性の観点から200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、170℃以下であることが更に好ましい。
低融点樹脂(d−2)は、配合量に特に制限はない。低融点樹脂(d−2)は、配合量が25質量%以上60質量%以下であることが好ましい。低融点樹脂(d−2)の含有量が25質量%以上であることで、被接着フィルム2と融点(Tmd2)以上、融点(Tmd1)未満でヒートシール(ヒートシール条件A)した場合は、シール樹脂層(D)14はイージーピール層として機能する。また、低融点樹脂(d−2)の含有量が60質量%以下であることで、被接着フィルム2と(Tmd1)以上でヒートシール(ヒートシール条件B)した場合、被接着フィルム2と強固にヒートシールされる。
低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)は、フィルムとして巻き取った際、フィルムの内外面同士がブロッキングすることを防ぐ観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。また、低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)は、ヒートシール性の観点から160℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることが更に好ましい。
また、シール樹脂層(D)14は、イージーピール性の観点から、高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)との混合比(d−1):(d−2)が90:10〜20:80であることが好ましく、80:20〜30:70であることがより好ましく、75:25〜50:50であることが更に好ましい。
シール樹脂層(D)14が、イージーピール層として機能する場合、イージーピール強度は、50〜2000gf/15mm幅であることが好ましい。また、イージーピール強度は、100gf/15mm幅以上がより好ましく、1500gf/15mm幅以下が更に好ましい。50gf/15mm幅以上にすることで必要十分な接着が可能となり、2000gf/15mm幅以下にすることで良好なイージーピール性(手剥離感)が得られる。
また、シール樹脂層(D)14の厚さは、良好なシール性が得られる観点から、2μm以上であることが好ましく、2.25μm以上であることがより好ましく、2.5μm以上であることが更に好ましく、またイージーピール層として作用する場合の膜残りを予防することができる観点から、20μmであることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
(その他の樹脂層)
基材層(A)11、粘着樹脂層(B)12、剥離樹脂層(C)13、シール樹脂層(D)14以外にも層を配することも可能である。その他の樹脂層としては、例えば、接着樹脂層、バリア樹脂層及び耐衝撃性機能層などを設けてもよい。
上記接着樹脂層とは多層フィルムにおける層間強度を強化したものである。上記バリア樹脂層とはガスバリア性を付与したというもので、使用される樹脂はEVOH系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。また、上記耐衝撃性機能層とは外部からの力やピンホール性に強く、使用される樹脂はNy系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
(包装体)
図6、本実施の形態に係る包装体のシール時の断面模式図であり、図7は、本実施の形態に係る包装体の剥離時の断面模式図である。図6に示すように、本実施の形態に係る包装体3は、包装用多層フィルム1及び被接着フィルム2の端部に設けられた第2ヒートシール部31bと、第2ヒートシール部31bの外側に設けられた第1ヒートシール部31aとを有する。第2ヒートシール部31bは、包装用多層フィルム1及び被接着フィルム2をヒートシール条件Bで融着することにより設けられる。第1ヒートシール部31aは、包装用多層フィルム1及び被接着フィルム2をヒートシール条件Aで融着することにより設けられる。この包装体3は、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2との間に包装物を収容する収容部23が設けられている。
この包装体3においては、図7に示すように、包装体3のヒートシール部31の外側に設けられた非融着部1Aをつまんで包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを剥離できる。これにより、ヒートシール条件Aで融着した領域である第1ヒートシール部31aでは、包装用多層フィルム1のシール樹脂層(D)14と被接着フィルム2のシール樹脂層22との間で剥離し、剥離面22aが露出して一度封止された包装体3が開封されたことが確認できる。また、ヒートシール条件Bで融着した領域である第2ヒートシール部31bでは、包装用多層フィルム1の粘着樹脂層(B)12と剥離樹脂層(C)13との界面で剥離し、粘着樹脂層(B)12の露出面12A及び剥離樹脂層(C)13の露出面13Aとを再接着することが可能となる。したがって、包装体3によれば、再封可能な包装用多層フィルム1を使用して、被接着フィルム2と組み合わせることで、ヒートシール温度によって一度開封した後にも再封することが可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断可能とすることができる。よって、包装体3は、食品用及び衛生材料用として特に好適に用いることができる。
(包装容器)
図8、本実施の形態に係る包装容器の具体例1を示す図であり、図9は、本実施の形態に係る包装容器の具体例2を示す図である。図8に示す包装容器4は、略矩形形状の包装用多層フィルム1と被接着フィルム2との外周部に設けられた第1ヒートシール部31aと、第1ヒートシール部31bの内側に設けられた第2ヒートシール部31bとを有する。また、包装容器4の外周部の角部には、非融着部1Aが設けられている。図9に示す包装容器4は、略矩形形状の包装用多層フィルム1と被接着フィルム2の外周部の三辺及び他の一辺の内側に設けられた第2ヒートシール部31bと、外周部の他の一辺の第2ヒートシール部31bの外側に設けられた第1ヒートシール部31aとを有する。第1ヒートシール部31aの外側には非融着部1Aが設けられている。これらの包装容器4の第1ヒートシール部31a及び第2ヒートシール部31bは、上述した包装体3と同様に、ヒートシール条件A及びヒートシール条件Bによってそれぞれ設けられる。これらの包装容器4の内部には、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2との間に収容部23が設けられている。この包装容器4においては、上述した包装体3と同様に、再封可能な包装用多層フィルム1を使用して、被接着フィルム2と組み合わせることで、ヒートシール温度によって一度開封した後にも再封することが可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断可能とすることができる。なお、包装容器4においては、包装用多層フィルム1は、包装容器4の蓋材として用いてもよく、底材として用いてもよい。
以上説明したように上記実施の形態によれば、粘着樹脂層の損失正接(tanδ)のピーク値が−35℃以上であると共に、シール樹脂層(D)14の高融点樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と低融点樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が、13℃以上であるので、ヒートシール条件Aでは開封したことが確認可能なイージーピール機能が得られると共に、ヒートシール条件Bでは、包装用多層フィルム1と被接着フィルム2とを再封することが可能となる。したがって、一度開封した後にも再封することが可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断可能とすることができる包装用多層フィルム1、包装体3及び包装容器4を実現することが可能となる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
以下に、本実施例に係る各種物性の測定方法及び評価方法について示す。
(1)損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度の測定
下記の実施例及び比較例で得られた包装用多層フィルムを縦4mm、横60mmに切り出して試料とした。得られた試料について、粘弾性スペクトロメーター(型番:「DVA−200」、アイティ計測社製)を用いて、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmの条件で、横方向について−100℃から測定を開始し、得られたデータから損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度を求めた。
(2)融点測定
示差走査熱量計(型番:「Pyris 1 DSC」、パーキン・エルマー社製)を用いて、JIS K7121に準拠して、得られた試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温したときに測定されたサーモグラムから融点(Tm)(℃)を求めた。
(3)剥離強度測定及び評価
下記の実施例及び比較例で作製した包装用多層フィルム(X1)と被接着フィルム(Y1)又は被接着フィルム(Y2)とを、図2に示したように積層し、融点(Tmd2)以上、融点(Tmd1)未満でヒートシールしたヒートシール条件Aと、融点(Tmd1)以上でヒートシールしたヒートシール条件Bとでそれぞれヒートシールした。ヒートシール部を15mm幅になるように短冊状に切り出し試験片とした。ヒートシール時間は2秒とし、シール圧は3.1kg/cmとした。
得られた試験片について、万能試験機(インテスコ社製)を用いて、図2に示す非融着部を試験機にセットし、引張速度200mm/min、引張角度90度の条件で包装用多層フィルム(X1)と被接着フィルム(Y1)又は被接着フィルム(Y2)と用いて剥離強度を測定した。評価基準を下記に示す。
○:剥離強度が100gf/15mm幅以上、1500gf/15mm幅以下
×:剥離強度が100gf/15mm幅未満、1500gf/15mm幅を超える
(4)イージーピール性及びリシール性評価
剥離強度評価で〇の実施例及び比較例について、剥離強度評価を行った包装用多層フィルム(X1)及び被接着フィルム(Y1)又は被接着フィルム(Y2)について、剥離箇所を常温(23℃雰囲気下)でシールし、リシール可能であるかどうか確認して評価した。シール時間は2秒とし、シール圧は3.1kg/cmとした。
試験片の作製は、剥離強度試験と同様に実施した。リシール後の剥離強度は、剥離強度試験と同様に、万能試験機(インテスコ社製)を用い、引張速度200mm/min、引張角度90度の条件で剥離強度を測定し、再剥離強度とした。ヒートシール条件Aでは、イージーピール性を評価し、ヒートシール条件Bでは、リシール性を評価した。評価基準を下記に示す。
i)ヒートシール条件A(イージーピール性)
○:リシール不可、且つ、再剥離強度が50gf/15mm幅未満
×:リシール可、且つ、再剥離強度が50gf/15mm幅以上
ii)ヒートシール条件B(リシール性)
○:リシール可、且つ、再剥離強度が50gf/15mm幅以上
×:リシール不可、又は、再剥離強度が50gf/15mm幅未満
(5)総合評価
剥離強度、イージーピール性及びリシール性の評価結果より総合評価を行い、下記基準で評価した。
○:ヒートシール条件A、Bにおける剥離強度、ヒートシール条件Aにおけるイージーピール性、及びヒートシール条件Bにおけるリシール性の評価が、いずれも〇の場合
×:ヒートシール条件A、Bにおける剥離強度、ヒートシール条件Aにおけるイージーピール性、及びヒートシール条件Bにおけるリシール性の評価で、いずれか一つでも×がある場合
(実施例1)
共押出Tダイ法により、押出設定温度190℃以上230℃以下の条件で共押出して、基材層(A)(40.5μm)/粘着樹脂層(B)(15.0μm)/剥離樹脂層(C)(2.0μm)/シール樹脂層(D)(2.5μm)の層構成を有する包装用多層フィルム(X1)を作製した。フィルム厚さは、60μmとした。各層(A)〜(D)の層構成及び用いた樹脂材料を以下に示す。
[基材層(A)の層構成(4層)]
第1層:EVOH(日本合成化学工業社製、商品名「ソアノール(登録商標)」)
第2層:6−66Ny(東レ社製、商品名「アミラン(登録商標)」)
第3層:6Ny(東レ社製、商品名「アミラン(登録商標)」)
第4層:変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」)
[粘着樹脂層(B)の層構成(1層)]
スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ社製、商品名「ハイブラー7311(登録商標)」、スチレン含量:12質量%、損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度:−18.6℃でのtanδ値:0.19)
[剥離樹脂層(C)の層構成(1層)]
環状ポリオレフィン系樹脂(COC)(ポリプラスチックス社製、商品名「TOPAS(登録商標)」)
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)との混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):LLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「ユメリット(登録商標)」、Tm=117℃)
低融点樹脂(d−2):EVA(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=89℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
次に、共押出法により、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を全グリコール単量体単位中に32モル%含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート(SKケミカル社製、商品名「SKYGREEN」)(220μm)/LDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック」、相手基材とする)(20μm)を積層して評価に使用する被接着フィルム(Y1)を作製した。被接着フィルム(Y1)の厚さは、240μmであった。
次に、得られた包装用多層フィルム(X1)の損失正接(tanδ)のピーク値の温度、融点、包装用多層フィルム(X1)と被接着フィルム(Y1)との剥離強度、リシール性及び細剥離強度を測定して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
(実施例2)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):HDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=131℃)
低融点樹脂(d−2):EVA(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=94℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例3)
剥離樹脂層(C)及びシール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[剥離樹脂層(C)の層構成]
アモルファスNy(DSM社製、商品名「ノバミッド(登録商標)」、剥離層Dとする)
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=120℃)
低融点樹脂(d−2):EVA(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=94℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例4)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[剥離樹脂層(C)の層構成]
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):HDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=131℃)
低融点樹脂(d−2):LDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=111℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=55:45
(実施例5)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三菱化学社製、商品名「モディック(登録商標)」、Tm=133℃)
低融点樹脂(d−2):LDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック(登録商標)」、Tm=111℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=55:45
(実施例6)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三菱化学社製、商品名「モディック(登録商標)」、Tm=133℃)
低融点樹脂(d−2):LLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製、商品名「ユメリット(登録商標)」、Tm=117℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例7)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三菱化学社製、商品名「モディック(登録商標)」、Tm=133℃)
低融点樹脂(d−2):変性PO(三菱化学社製、商品名「モディック(登録商標)」、Tm=110℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例8)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと、及び被接着フィルム(Y1)のLDPE(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック」)に代えて、ホモPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」)とした被接着フィルム(Y2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):ランダムPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」、Tm=146℃)
低融点樹脂(d−2):LLDPE(三菱化学社製、商品名「モディック(登録商標)」、Tm=118℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=70:30
(実施例9)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例8と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):ホモPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」、Tm=161℃)
低融点樹脂(d−2):ランダムPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」、Tm=146℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例10)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと、及び被接着フィルム(Y1)に代えて被接着フィルム(Y2)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=165℃)
低融点樹脂(d−2):ランダムPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」、Tm=146℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(実施例11)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと、及び被接着フィルム(Y1)に代えて被接着フィルム(Y2)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=165℃)
低融点樹脂(d−2):変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=135℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=55:45
(比較例1)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層)]
変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=120℃)
(比較例2)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)及び低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):エラストマー(三井化学社製、商品名「タフマー(登録商標)」、以下「ER」と省略する、Tm=125℃)
低融点樹脂(d−2):LLDPE(東ソー社製、商品名「ニポロン(登録商標)」、Tm=121℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=60:40
(比較例3)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと、及び被接着フィルム(Y1)に代えて被接着フィルム(Y2)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層)]
変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=135℃)
(比較例4)
シール樹脂層(D)の層構成を以下のようにしたこと、及び被接着フィルム(Y1)に代えて被接着フィルム(Y2)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして包装用多層フィルム(X1)を作製して評価した。評価結果を下記表1〜表3に示す。
[シール樹脂層(D)の層構成(1層:高融点樹脂(d−1)と低融点樹脂(d−2)の混合樹脂)]
高融点樹脂(d−1):ランダムPP(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ(登録商標)」、Tm=146℃)
低融点樹脂(d−2):変性PO(三井化学社製、商品名「アドマー(登録商標)」、Tm=135℃)
高融点樹脂(d−1):低融点樹脂(d−2)の混合比=55:45
Figure 2019043642
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表1〜表3から分かるように、上記実施の形態に係る包装用多層フィルムによれば、被接着フィルムとヒートシールすることで形成された包装体のヒートシール条件A及びヒートシール条件Bの評価が共に○であり、総合評価は○であった(実施例1〜実施例11)。この結果から、実施例1〜11では、ヒートシール条件Aではイージーピールとして機能し、ヒートシール条件Bでは再封が可能となるので、包装用多層フィルムは、一度は開封したことが明確に判断することが可能である。したがって、上記実施の形態に係る包装用多層フィルムによれば、一度開封した後の相手基材との再封が可能であり、かつ、一度開封したことが明確に判断できる再封可能な包装用多層フィルム及び包装体を実現できることが分かる。
これに対して、比較例1〜4は総合評価が×だった。包装用多層フィルムのシール樹脂層が単一樹脂である場合には、ヒートシール条件Aにおいて剥離強度評価が×となり、シールが不可能だった(比較例1、比較例3)。この結果は、シール樹脂層が融点差の異なる少なくとも2種類以上の樹脂を含有しておらず、ヒートシール条件Aではシール温度が低かったためと考えられる。また、シール樹脂層が融点差の異なる少なくとも2種類以上の樹脂を含有しても融点差が13℃未満である場合には、ヒートシール条件Aにおいては、部分的に再封が可能であり、一度は開封したことが明確に確認できなかった(比較例2、比較例4)。この結果は、融点差が小さかったために、ヒートシール条件Aにおいても部分的に再封が可能となってしまったためと考えられる。
1 包装用多層フィルム
1A 非融着部
2 被接着フィルム
3 包装体
4 包装容器
11 基材層
12 粘着樹脂層
12A 露出面
13 剥離樹脂層
13A 露出面
14 シール樹脂層
21 基材層
22 シール樹脂層
22a 剥離面
23 収容部
31 ヒートシール部
31a 第1ヒートシール部
31b 第2ヒートシール部

Claims (10)

  1. 基材層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びシール樹脂層(D)がこの順に積層された少なくとも4層を含み、
    前記粘着樹脂層(B)は、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、
    前記シール樹脂層(D)は、樹脂(d−1)及び樹脂(d−2)の少なくとも2種類を混合した樹脂組成物を含有し、
    前記樹脂(d−1)の融点(Tmd1)と前記樹脂(d−2)の融点(Tmd2)との融点差(Tmd1−Tmd2)が、13℃以上であることを特徴とする、包装用多層フィルム。
  2. 前記樹脂組成物は、前記樹脂(d−1)及び前記樹脂(d−2)の含有量がそれぞれ25質量%以上である、請求項1に記載の包装用多層フィルム。
  3. 前記シール樹脂層(D)は、前記樹脂(d−1)及び前記樹脂(d−2)がそれぞれポリオレフィン系樹脂を含有する、請求項1又は請求項2に記載の包装用多層フィルム。
  4. 前記基材層(A)が、エチレン‐酢酸ビニル共重合体ケン化物及びポリアミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とする層を少なくとも1層含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装用多層フィルム。
  5. 前記剥離樹脂層(C)が、ポリアミド系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を主成分とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装用多層フィルム。
  6. 前記シール樹脂層(D)の厚さが、2μm以上20μm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の包装用多層フィルム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の包装用多層フィルムを含むことを特徴とする、包装体。
  8. 食品用である請求項7に記載の包装体。
  9. 衛生材料用である、請求項7に記載の包装体。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の包装体を用いたことを特徴とする、包装用容器。
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