JP2019043088A - 印刷方法および印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精細な印刷パターンを形成するための印刷方法および印刷装置を提供する。【解決手段】印刷方法は、印刷版の版面に予め定められた画像部にインクジェット法で印刷インクを付与するインク付与工程と、インク付与工程により画像部に付与された印刷インクを平坦化するレベリング工程と、レベリング工程により平坦化された画像部に付与された印刷インクを基板に転写する転写工程とを有する。レベリング工程は、印刷版の画像部の印刷インクとのインク密着性よりも印刷インクとのインク密着性が低い基材を印刷インクに圧着する工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷版の版面へのインクの付与にインクジェット法を用いた印刷方法および印刷装置に関し、特に、高精細な印刷パターンを形成するための印刷方法および印刷装置に関する。
現在、印刷は、文字および写真のみならず、配線基板等の形成にも利用されている。機能性材料をインク化して用い、印刷技術によって電子デバイスを製造する試みは、メタル配線形成のみならず受動素子およびアクティブ電子素子の新しい形成法として期待されている。印刷エレクトロニクス技術と呼ばれる技術分野は、常圧かつ比較的低温のプロセスであるため、低エネルギー、かつ簡便に電子デバイスの製造が可能であるとされており、注目が集まっている。
特許文献1には、凹版印刷における凹版へのインク充填方法が記載されている。特許文献1では、表面に画線部が形成され、かつシリコーンがコーティングされた凹版に対して、画線部および非画線部を含む凹版全面にインクを供給した後、撥インキ性可撓性シートを押しつけることにより非画線部のインクを排除し、画線部にインクを充填する。特許文献1では撥インキ性可撓性シートを剥がして印刷する。
特許文献2の印刷方法は、印刷版の版面に予め定められたパターン形成領域にプレコート液を付与するプレコート工程と、プレコート液が付与されたパターン形成領域にインクを付与するインク付与工程と、パターン形成領域に付与されたインクを基板に転写する転写工程とを有する。プレコート液は、プレコート液を付与する前のパターン形成領域のインクに対する接触角に比してプレコート液を付与した後の接触角を小さくするものである。
特開平4−10936号公報 特開2017−61056号公報
上述の特許文献1では、非画線部にインクが残る可能性が高く、高精細な印刷パターンの形成等が困難である。
また、印刷法を用いてより精細な配線等を形成することが要求されており、特許文献2で形成される配線よりも更なる平滑性が要求されている。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、高精細な印刷パターンを形成するための印刷方法および印刷装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、印刷版の版面に予め定められた画像部にインクジェット法で印刷インクを付与するインク付与工程と、インク付与工程により画像部に付与された印刷インクを平坦化するレベリング工程と、レベリング工程により平坦化された画像部に付与された印刷インクを基板に転写する転写工程とを有し、レベリング工程は、印刷版の画像部の印刷インクとのインク密着性よりも印刷インクとのインク密着性が低い基材を印刷インクに圧着する工程を含む印刷方法を提供するものである。
レベリング工程に用いる基材は、シリコーンゴムを含む層を有することが好ましい。
レベリング工程に用いる基材は、シリコーンゴムを含む層の表面にフッ素化合物を含む層が設けられていることが好ましい。
印刷版は、画像部と非画像部とを有し、画像部が凹部で構成されることが好ましい。
印刷版は、画像部と非画像部とを有する凹版であり、画像部が凹部かつ印刷インクに対して親液性であり、非画像部が印刷インクに対して撥液性であることが好ましい。
印刷版は、画像部と非画像部とを有し、画像部が凹部であり、かつシリコーンゴムを含む層で構成され、非画像部が凸部であり、かつシリコーンゴムを含む層の表面に設けられたフッ素化合物を含む層で構成されており、画像部の表面と非画像部の表面との高低差が0.1μm超10μm以下であることが好ましい。
印刷インクに対して、画像部の前進接触角よりも、非画像部の後退接触角の方が大きいことが好ましい。
印刷インクは溶媒を含み、画像部の溶媒の吸収速度は、非画像部の溶媒の吸収速度よりも速いことが好ましい。
印刷インクの粘度が1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。
インク付与工程は、画像部に対する印刷インクの付与量を変えることが好ましい。
電子デバイスの製造に用いられることが好ましい。
配線パターンまたは電極の形成に用いられることが好ましい。
本発明は、印刷版の版面に予め定められた画像部にインクジェット法で印刷インクを付与するインク付与部と、インク付与部により画像部に付与された印刷インクを平坦化するレベリング部と、レベリング部により平坦化された画像部に付与された印刷インクを基板に転写する転写部とを有し、レベリング部は、印刷版の画像部の印刷インクとのインク密着性よりも印刷インクとのインク密着性が低い基材を有し、基材を印刷インクに圧着させる印刷装置を提供するものである。
基材は、シリコーンゴムを含む層を有することが好ましい。
基材は、シリコーンゴムを含む層の表面にフッ素化合物を含む層が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、高精細な印刷パターンを形成することができる。
本発明の実施形態の印刷版装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の印刷装置の画像記録部を示す模式図である。 インクジェットヘッドのノズルの配置を示す平面図である。 インクジェットヘッドのノズルの配置の他の例を示す平面図である。 印刷版とレベリング部と転写される基板を示す模式図である。 レベリング部の基材の他の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の印刷版を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷版の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷版の他の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷版の印刷パターンの一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷版を用いて形成される薄膜トランジスタの一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の印刷方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的断面図である。 従来の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 従来の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図である。 従来の印刷方法の第2の例を示す模式的平面図である。 従来の印刷方法の第2の例を示す模式的平面図である。 従来の印刷方法の第3の例を示す模式的平面図である。 サンプル1〜5の飛行時間型二次イオン質量分析法による測定結果を示すグラフである。 サンプル1〜5の飛行時間型二次イオン質量分析法による測定結果を示すグラフである。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の印刷方法および印刷装置を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α1〜数値β1とは、ε1の範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε1≦β1である。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」、および「垂直」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」、および「全面」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
<印刷装置>
まず、印刷装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態の印刷版装置の一例を示す模式図である。
図1に示すように印刷装置10は、後述の印刷方法に用いられるものであり、印刷装置本体12と、記憶部14と、判定処理部16と、制御部18とを有する。
印刷装置本体12は、印刷版25を用いて、印刷版25の版面25cに予め定められた画像部にインクを付与し、この画像部により表されるパターンを基板31に形成するものである。印刷装置本体12については後に詳細に説明する。
記憶部14は、印刷装置10で利用される各種の情報が記憶されるものである。記憶部14には、特定のパターンに対して印刷インクが付与された印刷版25の版面25cの基準となる基準形状の情報が記憶される。
基準形状の情報とは、例えば、印刷版25の画像部25aで構成される画像部に対して、印刷インクを付与した際の理想的な状態を示す画像データである。また、印刷版25の画像部に対して、複数回にわたり、印刷インクを付与する場合には、各回毎の理想的な状態を示す画像データである。画像部に対してインクジェット法で印刷インクを吐出し、ドットを形成して画像部に印刷インクを付与した場合には、各回毎の印刷インクの吐出により形成されるドットの理想的な配置を示す画像データを上述の基準形状の情報という。
また、転写後の印刷版25の版面25cの理想的な状態を示す画像データも基準形状の情報に含まれる。
また、記憶部14には、印刷しようとするパターンのパターンデータが記憶されるが、このパターンデータは、外部から適宜入力される。記憶部14への基準形状の情報およびパターンデータの入力方法は、特に限定されるものではなく、各種のインターフェースを記憶部14に設け、記憶媒体、ならびに有線および無線を問わないネットワークを介して入力することができる。
また、記憶部14には、後に詳細に説明するが、インクジェットヘッド40から吐出する印刷インクの吐出パターンデータおよび吐出タイミングデータ、ならびに印刷インクの吐出パターンデータを印刷版25の取り付け状態に応じて補正した補正パターンデータも記憶される。
印刷インクの吐出パターンデータとは、インクジェットヘッド40を用いて印刷インクを印刷版25のパターン領域に付与する際の吐出パターンを示すデータのことである。
吐出タイミングデータとは、インクジェットヘッド40を用いて印刷版25のパターン領域に印刷インクを付与する際に、印刷版25のパターン領域に、どのタイミングで印刷インクを吐出するのかを示すデータのことである。
判定処理部16は、版胴24に設けられた印刷版25の取り付け情報の取得に利用されるものである。判定処理部16では、後述するアライメントカメラ42で得られたアライメントマークの位置情報を用いて、アライメントマークA、アライメントマークB、アライメントマークCおよびアライメントマークDの位置を特定するものである。これにより、版胴24に設けられた印刷版25の取り付け情報を取得することができる。
判定処理部16は、印刷版25の取り付け位置情報に基づき、印刷版25の傾き角度を許容範囲と比較し、許容範囲にあるかを判定するものである。判定結果に応じた判定情報を制御部18に出力するものである。印刷版25の傾き角度については後に説明する。
判定処理部16は、後述する印刷装置本体12の版面観察部26で得られた、特定のパターンに対して印刷インクが付与された印刷版25の版面25cの情報と、記憶部14で記憶された特定のパターンに対して印刷インクが付与された印刷版25の版面25cの基準となる基準形状の情報とを比較し、基準形状に対して予め定められた範囲にあるかを判定するものである。判定結果に応じた判定情報を制御部18に出力するものである。
また、判定処理部16では、予め定められた範囲から外れる場合、外れた箇所等の特定もするものである。例えば、画像部に対してはみ出して印刷インクが付与された場合には、印刷インクのはみ出した部分を特定する。また、判定処理部16では、インクジェット法でパターン領域に対して印刷インクを付与する際、印刷インクにより形成されるドットの位置のずれ、ドットが抜けた領域等を特定することができる。これにより、後述するように制御部18で特定された箇所に応じて印刷インクの吐出量等を調整する。
アライメントカメラ42で得られた印刷版25の取り付け情報に基づき、印刷版25が理想的な配置の印刷版に対し、傾き角度β、傾いて配置された場合、判定処理部16は、印刷インクの吐出パターンデータを傾き角度βに応じて、cosβ倍し、補正パターンデータを作成する。この補正パターンデータは記憶部14に記憶される。
例えば、判定処理部16による補正パターンデータの作成は、印刷版25の取り付け情報に基づき、印刷版25の傾き角度βを許容範囲と比較し、許容範囲外と判定されたときになされる。
また、判定処理部16は、上述の版面観察部26で得られた、印刷版25の取り付け位置情報に基づいて、インクジェットヘッド40を回動させる回動量を算出し、記憶部14に記憶させる。制御部18にて、回動量に基づき、インクジェットヘッド40を回動させて印刷インクを吐出させる。
制御部18は、印刷装置本体12、記憶部14および判定処理部16に接続されており、印刷装置本体12、記憶部14および判定処理部16の各要素を制御するものである。さらに、制御部18は、判定処理部16での判定結果に応じて各部を制御する。
また、制御部18は、例えば、判定処理部16で吐出パターンデータの補正パターンデータが作成された場合、その補正パターンデータに基づいて印刷インクをインクジェットヘッド40から吐出させる。
<印刷装置本体>
次に、印刷装置本体12について説明する。
印刷装置本体12は、印刷を清浄な雰囲気でするためにケーシング20の内部20aに各部が設けられている。ケーシング20の内部20aを予め定められた清浄度となるように、フィルタ(図示せず)および空調設備(図示せず)が設けられている。
印刷装置本体12は、画像記録部22と、版胴24と、版面観察部26と、ステージ30と、乾燥部32と、イオナイザー33と、クリーニング部34と、メンテナンス部36と、レベリング部50とを有する。
版胴24の表面24aの周囲を囲むようにして、画像記録部22、版面観察部26、レベリング部50、乾燥部32、イオナイザー33およびクリーニング部34が設けられている。クリーニング部34は版胴24の表面24aに接して設けられている。レベリング部50は、版胴24に保持された印刷版25の版面25cに接して設けられている。
ステージ30上に基板31が配置されており、ステージ30が版胴24の下方の印刷位置Ppに配置された状態で版胴24が回転すると印刷版25の版面25cと、基板31の表面31aとが接するように配置されている。これにより、印刷版25の版面25cに予め定められたパターン状に付与された印刷インクが基板31の表面31aに転写される。版胴24とステージ30で転写部39が構成される。
なお、印刷された基板31では、印刷インクの特性に応じて、例えば、熱、光等により印刷インクが焼成される。熱、光を用いた印刷インクの焼成で利用される公知のものが適宜利用可能である。基板31に対する印刷インクの焼成は、ケーシング20の内部20aでなされても、外部でなされてもよい。
印刷装置10では、版胴24に設けた印刷版25の画像部に印刷インクを付与するが、この印刷インクの付与は1回で完了させてもよく、また、印刷版25に複数回にわたって印刷インクを付与してもよい。複数回にわたって印刷インクを付与する場合、印刷インクを付与する回数分、版胴24を回転させる。例えば、2回に分けて印刷版25に印刷インクを付与する場合、版胴24を2回回転させ、2回に分けて印刷版25に印刷インクを付与する場合、版胴24を4回回転させる。印刷インクを付与することをインキングという。また、複数回のうち、印刷版25に印刷インクを1回行うことを走査するともいう。
なお、レベリング部50による、後に説明するレベリング処理は、複数回にわたり印刷インクを付与する場合では、最終的に印刷インクの付与が終了した時点で実施する。
以下、印刷装置本体12の各部について説明する。
画像記録部22は、印刷版25の版面25cの予め定められた画像部に印刷インクを付与するものであり、画像記録部22により、版面25cに予め定められたパターンで印刷インクが付与される。画像記録部22の画像記録方式にはインクジェット法が用いられる。
版胴24は、回転軸24bを中心にして、一方向、例えば、Y方向に回転可能なものである。Y方向が回転方向である。Y方向のことを送り方向ともいう。また、版胴24は、印刷版25を保持した状態で回転させて、予め定められたパターン状に付与された印刷版25の版面25cの印刷インクを基板31の表面31aに転写するためのものである。
回転軸24bには、例えば、版胴24を回転させるためのモータ(図示せず)がギア(図示せず)等を介して設けられている。また、ギアを介さないダイレクトドライブモータを設けることもできる。モータは制御部18にて制御される。また、回転軸24bには回転と回転量を検出するローターリーエンコーダ(図示せず)が設けられている。ローターリーエンコーダは制御部18に接続されており、制御部18で版胴24の回転量が検出される。
転写される基板31は、特に限定されるものではないが、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)およびPC(ポリカーボネート)等のフイルム基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、ならびにガラス基板を用いることができる。これ以外にも、電子デバイスに利用される基板の材質のものを適宜利用可能である。転写方法としては、ガラス基板等のリジッド基板では、上述のようにステージ30上に基板31を固定して版胴24に密着させることで転写できる。
なお、印刷版25にフイルムを使った場合には圧胴を用いて、フイルムを圧胴に固定して版胴24に密着させて転写する構成としてもよい。
版面観察部26は、画像記録部22よりも版胴24のY方向の下流側に配置されている。版面観察部26は、印刷インクが付与された印刷版25の版面25cの情報を取得するものである。また、版面観察部26は、基板31に印刷インクが転写された後の印刷版25の版面25cの情報も取得するものである。
版面観察部26は、印刷インク転写前後の印刷版25の版面25cの情報を取得することができれば、その構成は特に限定されるものではない。印刷版25は矩形状のものが多いため、ラインセンサとライン状の照明を用いることが好ましい。この場合、版面25cの情報として、版面撮像データが得られる。この版面撮像データが、判定処理部16にて上述のように基準形状の情報と比較されて判定される。
ラインセンサは、例えば、モノクロCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ、CCD(電荷結合素子)センサを用いることができる。なお、ラインセンサは、吐出された印刷インク液滴の陰影を観察するためカラーセンサーでなくてもよい。また、ラインセンサの前にレンズ、および各種のフィルタ等を設けてもよい。ライン状の照明としては、例えば、LED(発光ダイオード)を一直線状に並べたものを用いることができる。
版面観察部26は、制御部18に接続されており、版面観察部26での印刷版25の版面25cの情報の取得のタイミングは制御部18で制御され、取得された印刷版25の版面25cの情報は記憶部14に記憶される。
印刷インクに絶縁体等の透明インクを用いた場合、肉眼による識別が困難であるが、光源、ラインセンサ前に偏光フィルタを設けること、2箇所以上から照明を行う等により、ラインセンサによる印刷インクの識別性を改善することができる。
また、印刷版25の版面25cの情報の取得は、走査毎に行うことで、着弾位置ずれ、サテライトおよび吐出滴量変化による膜厚むらを検出することが可能となる。例えば、膜厚と光学特性のとの関係を予め測定しておき、記憶部14に記憶しておくことにより、上述の関係と検出された光学特性とを比較することで膜厚を推定することができる。
また、印刷インクに銀ナノインクを用いた場合、銀ナノインクでは、乾燥とともに銀光沢が発現して、色または反射率が変化する。膜厚が薄いと乾燥が早く、厚いと乾燥が遅いため、検出までの予め定められた時間における膜厚と色、膜厚と反射率との関係を、予め計測しておくことで、膜厚を推定できる。
絶縁体等の透明インクの場合には、干渉縞で膜厚を判断することが可能である。膜厚と干渉縞との関係を予め測定しておくことで膜厚を推定できる。半導体等結晶性のある印刷インクの場合には、偏光フィルタを設けて、色で膜厚を推定することもできる。この場合も、予め膜厚と色との関係を測定しておくことで、膜厚を推定することができる。
ステージ30は、基板31を載置し、搬送方向Vに移動して、基板31を予め定められた位置に搬送するものである。ステージ30には搬送機構(図示せず)が設けられている。この搬送機構は、制御部18に接続されており、制御部18にて搬送機構が制御されてステージ30が搬送方向Vに移動されて、ステージ30の位置が変えられる。
ステージ30は、まず、ケーシング20の外部から搬送された基板31が載置される開始位置Psに待機する。次に、ステージ30は、版胴24の下方の印刷位置Ppに移動される。次に、印刷後、ステージ30は印刷済みの基板31を載せた状態で終了位置Peに移動され、その後、基板31はケーシング20の外部に取り出される。ステージ30は、終了位置Peから開始位置Psに移動されて、基板31が搬入されるまでの間、待機する。
乾燥部32は、印刷版25の版面25cの印刷インクを乾燥させるものである。印刷インクを乾燥させることができれば、乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ファンによる温風、冷風の吹き付け、赤外線ヒーターによる加熱、高周波の照射、およびマイクロ波照射等が挙げられる。
なお、自然乾燥にて印刷版25の版面25cの印刷インクを乾燥できる場合、乾燥部32を必ずしも設ける必要がない。なお、印刷インクの乾燥の程度は、特に限定されるものではなく、完全に乾燥する前の状態である半乾燥状態でもよい。
半乾燥状態とは、塗布前の印刷インクの溶媒の一部が外部に消散した状態のことである。
なお、印刷を行う上で好ましい半乾燥状態とは、下記の1〜3の要件を満たす状態のことである。
1、印刷時(印刷版25から基板31へ印刷インクを転写する時)に版面25cの印刷インクが受ける応力によって、印刷インクが水平方向に変形しない、すなわち印刷によってパターン形状の劣化がおこらない程度の弾性を有するまで乾燥が進んでいて、かつ、
2、印刷時に印刷インクの泣き別れ(転写後に、印刷版25の版面25cと基板31の両方に印刷インクが残ってしまう状態)が発生しない程度に印刷インクの凝集力が上昇するまで乾燥が進んでいて、かつ、
3、印刷時に印刷インクの転写不良(転写後に、印刷版25の版面25cから基板31に印刷インクが移行しないこと)が発生しない程度であること、すなわち印刷版25の版面25cと印刷インクの付着力が、基板31と印刷インクの付着力よりも大きくなってしまうまで過度に乾燥が進んでいない状態のことである。
イオナイザー33は、印刷版25の版面25cの静電気を除電するものである。イオナイザー33により、印刷版25の版面25cの静電気が除去され、印刷版25の版面25cにゴミおよび埃等の異物の付着が抑制される。また、印刷版25の版面25cが帯電している場合、吐出された印刷インクが曲がることがあるが、吐出された印刷インクの曲がりを防止することができ、インクジェット吐出精度が向上する。
なお、イオナイザー33には、静電気除電器を用いることができ、例えば、コロナ放電方式、およびイオン生成方式のものを用いることができる。また、イオナイザー33は、乾燥部32のY方向における下流側に設けたが、画像記録部22により記録される前に、印刷版25の版面25cの静電気を除電することができれば、イオナイザー33を設ける位置は特に限定されるものではない。
クリーニング部34は、版胴24および印刷版25に付着した印刷インクを除去するものである。クリーニング部34は、版胴24および印刷版25に付着した印刷インクを除去することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。例えば、ローラを版胴24に押し付け、ローラに印刷インクを転写させて、転写された印刷インクを拭き取る構成である。
メンテナンス部36は、画像記録部22の吐出特性等が予め定められた性能を発揮するかを調べるものである。メンテナンス部36は、予め定められた性能を発揮するようノズルのワイプ等をするところである。メンテナンス部36は、版胴24から離れた位置に設けられている。画像記録部22は、例えば、ガイドレール(図示せず)を介してメンテナンス部36に移送される。メンテナンス部36については後に詳細に説明する。
レベリング部50は、インク付与部であるインクジェットヘッド40により印刷版25の版面25cの画像部に付与された印刷インクを平坦化するためのものである。印刷版25の版面25c画像部に付与された印刷インクを平坦化することをレベリング処理という。
上述の転写部39はレベリング部50により平坦化された画像部に付与された印刷インクを基板31に転写する。
レベリング部50は、回転軸50bを中心にして、一方向、例えば、Yr方向に回転可能な円筒状の部材51と、部材51の表面に設けられた基材52とを有する。Yr方向がレベリング部50の回転方向である。
基材52は、印刷版25の画像部の印刷インクとのインク密着性よりも印刷インクとのインク密着性が低いものである。基材52は、印刷版25の画像部25a(図7参照)よりも低いインク密着性を有していることから、基材52に印刷インクの付着が抑制される。
基材52は、例えば、シリコーンゴムを含む層で構成されている。また、レベリング部50は、円筒状の部材51および基材52がシリコーンゴムを含む層で構成されてもよい。なお、印刷版25の画像部25a(図7参照)よりも低いインク密着性については後に説明する。基材52は、シリコーンゴムを含む層を有する構成でもよい。
レベリング部50では、版胴24に保持された状態の印刷版25の版面25cに基材52を押し付け、基材52を印刷インクに圧着させて、例えば、円筒状の部材51をYr方向に回転させて、印刷版25の版面25cの印刷インクを平坦化する。
回転軸50bには、例えば、レベリング部50を回転させるためのモータ(図示せず)がギア(図示せず)等を介して設けられている。また、ギアを介さないダイレクトドライブモータを設けることもできる。モータは制御部18にて制御される。また、回転軸50bには回転と回転量を検出するローターリーエンコーダ(図示せず)が設けられている。ローターリーエンコーダは制御部18に接続されており、制御部18でレベリング部50の回転量が検出される。
レベリング部50は、印刷インクを平坦化する際に、印刷版25の版面25cに基材52を押し付けて回転することができればよく、基材52が印刷版25の版面25cに常時、押し付けられている必要はない。このため、レベリング部50は、印刷版25の版面25cに対して基材52が接触することと、離間することができる構成でもよい。このため、レベリング部50では、印刷版25の版面25cに対して基材52が接触または離間するように、円筒状の部材51を移動する機構を備えていてもよい。
なお、レベリング部50は、上述のレベリング処理ができれば、基材52の印刷インクへの圧着方法は特に限定されるものではなく、上述の円筒状の部材51を用いることに限定されない。
以下、画像記録部22について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態の印刷装置の画像記録部を示す模式図である。
上述のように画像記録部22は、インクジェット法を用いたものである。図2に示すように、画像記録部22は、インクジェットヘッド40と、アライメントカメラ42と、レーザ変位計44と、インクタンク45と、回動部49とを有し、これらはキャリッジ46に設けられている。このキャリッジ46はリニアモータ48により、版胴24の回転軸24bと平行な方向、すなわち、X方向に移動可能であり、インクジェットヘッド40はキャリッジ46によりX方向へ移動可能である。キャリッジ46の位置はリニアモータ48に設けられたリニアスケール(図示せず)の読み取り値から算出することができる。
インクタンク45は、印刷インクを貯留するものであり、インクジェットヘッド40に印刷インクを供給するものである。
インクジェットヘッド40はインク付与部であり、インクジェットヘッド40にはインクの吐出を制御するための吐出制御部43が設けられている。吐出制御部43で印刷インクの吐出波形が調整される。吐出制御部43は制御部18に接続されている。吐出制御部43では、例えば、ユーザーインターフェースを通して、ユーザーが吐出電圧または吐出波形を調整することが可能である。なお、後述するように印刷インクの温度が調整された状態で吐出される。
アライメントカメラ42、レーザ変位計44も制御部18に接続されている。キャリッジ46にはZ方向に移動させるための駆動部(図示せず)が設けられており、この駆動部は制御部18に接続されており、制御部18によりキャリッジ46のZ方向の移動が制御される。ここで、Z方向とは、版胴24の表面24aに垂直な方向である。
アライメントカメラ42は、印刷インクの吐出位置、印刷インクの吐出タイミング、パターンデータの補正をするためのアライメントマークの位置情報を得るためのものである。
アライメントカメラ42は、アライメントマークA〜アライメントマークDを検出することができれば、その構成は特に限定されるものではない。
アライメントカメラ42により、アライメントマークA〜アライメントマークDが撮像されて、その撮像データが記憶部14に記憶され、判定処理部16でアライメントマークA〜アライメントマークDの位置が特定される。アライメントカメラ42と判定処理部16は、版胴24に設けられた印刷版25の取り付け情報を取得する取付位置情報取得部として機能する。
アライメントマークA、Bの位置情報により、Y方向における印刷インクの吐出開始位置、X方向の印刷版の拡縮および印刷版の傾き角度θの情報を得ることができる。アライメントマークA、Cの位置情報により、X方向における印刷インクの吐出開始位置およびY方向の印刷版の拡縮の情報を得ることができる。アライメントマークA〜アライメントマークDの位置情報により、例えば、印刷版の台形歪みの情報、すなわち、台形変形の情報を得ることができる。印刷インクの吐出開始位置のことをインキング開始位置という。
印刷版25は、アライメントマークAとアライメントマークCを通る線La(図7参照)が上述のY方向に平行であることが理想的である。しかし、印刷版25を版胴24に取り付ける際に、印刷版25が版胴24に対して、わずかであるが傾いてしまう。アライメントマークA〜アライメントマークDの位置情報により、版胴24上での印刷版25の取り付け情報、例えば、版胴24のY方向に対する印刷版25の傾き等の情報を得ることができる。
上述の得られた各種の情報により、印刷インクの吐出開始位置、インクジェットヘッド40の位置および印刷インクの吐出タイミングを補正する。なお、これらの補正には、いずれもインクジェットによる印刷インクの打滴の公知の補正方法を用いることができる。
また、パターンデータについてのX方向の拡大縮小、Y方向の拡大縮小、傾き、および台形補正は、公知の補正方法を用いることができる。
なお、アライメントマークは、少なくとも3つあればよく、X方向の印刷版の拡縮、印刷版の傾き角度θおよびY方向の印刷版の拡縮の情報を得ることができる。アライメントマークが4つあれば、印刷版25の台形歪みの情報も得ることができるため、4つあることが好ましい。さらには、4つのアライメントマークA〜アライメントマークDの内側にも複数のアライメントマークを設けることにより、非線形の補正を行うことができる。この場合、アライメントマークを用いた補正も公知の補正方法を用いることができる。
レーザ変位計44は、インクジェットヘッド40と印刷版25の版面25cとの距離を測定するものである。印刷インクによる版膨潤または温度等による版胴径+版厚の変化により、アライメントマークAとアライメントマークCとのY方向における距離、すなわち、AC長が変化する。ここで、インクジェットヘッド40の印刷インクは、ローターリーエンコーダのタイミングで吐出するため版胴径の変化を受けず版の長さの変化に対応するが、基板31に転写したとき長さが変化してしまう。
上述のAC長の変化があっても基板31上の印刷パターンの長さを一定にする目的で、このレーザ変位計44により、版胴径+版厚の変化を測定する。測定した結果に基づいて補正を行う。
補正の具体例としては、版胴24の回転軸24bから印刷版25の版面25cまでの距離変動を精密に測定して、その結果に基づいて、転写時の版胴24および基板31の移動相対速度を変化させることが挙げられる。
上述の補正の具体例以外に、例えば、版胴24または環境の温度を測定して、予め作成した版胴24の回転軸24bと印刷版25の版面25cまでの距離と温度との関係のテーブルに基づいて、転写時の版胴24および基板31の移動相対速度を変化させることが挙げられる。
上述の補正の具体例により、版膨潤または版胴径の変化があっても精度よく印刷が可能となる。なお、転写するときに、版側と基板側の送り速度に差を設けると転写パターンの送り方向の寸法が変化することが知られている。
レーザ変位計44については、インクジェットヘッド40と印刷版25の版面25cとの距離を測定することができれば、その構成は特に限定されるものではない。
また、レーザ変位計44は、印刷版25の版面25c迄の距離を測定することで、版胴径+版厚の変化を測定することができる。これをY方向の拡大縮小に利用することができる。例えば、版胴24の直径または印刷版25の膜厚が、温度変化により変化するとアライメントマークAとアライメントマークCの間の長さが変化する。この長さの変化をパターンデータの補正に利用することができる。
上述のようにアライメントカメラ42、レーザ変位計44を用いることで、アライメント精度を高くすることができる。印刷装置10では、後述するように薄膜トランジスタの形成に利用される。薄膜トランジスタでは、10μm程度のずれでも、設計した特性とは異なる特性になってしまう。複数の薄膜トランジスタを形成する場合、10μm程度のずれがあっても特性がばらつくことになり、例えば、電子ペーパーに用いた場合、高い性能が得られないことになるが、このような特性のバラつきを抑制することができる。
回動部49は、インクジェットヘッド40を版胴24の表面24aに垂直な線を中心として回動させるものである。回動部49により、印刷版25の傾きにインクジェットヘッド40の向きを合わせることができる。
インクジェットヘッド40の印刷インクを吐出させる方式は、特に限定されるものではなく、圧電素子のたわみ変形、ずり変形および縦振動等を利用して液体を吐出させる圧電方式、ヒーターによって液室内の液体を加熱して、膜沸騰現象を利用して液体を吐出させるサーマル方式、ならびに静電気力を利用する静電方式等、各種方式を用いることができる。
インクジェットヘッド40の具体的な構成としては、図3に示すように、印刷版25の全幅に対応する長さにわたって、複数のノズル41が、X方向に沿ってY方向の位置を交互に変えて配置されている。
X方向に沿ってY方向の位置を交互に変えて配置することで、ノズル41を高密度に配置させることができる。なお、ノズル41を配置する列数は、特に限定されるものではなく、一列でも二列でも、それ以上でもよい。また、ノズル41は、マトリクス状に配置してもよい。
インクジェットヘッド40の構成は、特に限定されるものではなく、例えば、図4に示す構成でもよい。図4に示すインクジェットヘッド40は、X方向に、複数のヘッドモジュール40aが接続されている。この場合、複数のヘッドモジュール40a一列につなぎ合わせた構成に限定されるものではなく、複数のヘッドモジュール40aのノズル41がX方向に沿ってY方向の位置を交互に変わる配置となるように複数のヘッドモジュール40aをつなぎ合わせた構成でもよい。
図4に示すインクジェットヘッド40では、吐出制御部43によりヘッドモジュール40a毎に吐出波形を調整することが可能である。また、ヘッドモジュール40a毎に吐出制御部43を設ければ、吐出制御部43毎に吐出波形を調整することが可能である。
画像記録部22においては、印刷版25へのインキングを非接触のインクジェット法とすることにより、印刷版25の耐久性が向上する。また、インク膜厚を制御する必要がある場合にはインクジェット法が好適である。インクジェット法では、印刷インクは粘度が1mPa・s以上20mPa・s以下の範囲であることが好ましい。
次に、メンテナンス部36について詳細に説明する。
メンテナンス部36は、インクジェットヘッド40に付着したインクおよびゴミ等をウェブ(図示せず)またはゴムブレード(図示せず)を用いて除去するワイプ部を有する。
ウェブは、例えば、回転ローラの周面に巻きかけられて、回転ローラを回転させてウェブをインクジェットヘッド40に接触させて、インクおよびゴミ等拭き取る。ウェブは、インクジェットヘッド40のインクおよびゴミ等を除去することができれば、回転ローラの周面に巻きかけられることに特に限定されるものではない。ウェブには、一般的にワイピングクロスと呼ばれるものを適宜用いることができる。
例えば、洗浄液をインクジェットヘッド40に直接付与して、または洗浄液を付けたウェブを用いて、インクジェットヘッド40のインクおよびゴミ等を取り除いてもよい。
洗浄液には、例えば、インク溶解性のある溶剤またはインク成分のうち固形分が含まれない溶液が用いられ、炭化水素系の溶剤を利用することができる。炭化水素系の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、テトラデカン、またはシクロドデセンを用いることができる。
ゴムブレードを用いたワイプ部では、インクジェットヘッド40はキャリッジ46によりX方向に移動可能であることを利用し、ゴムブレードを固定してインクジェットヘッド40をX方向に移動させて、長手方向にインクを拭取る。インクジェットヘッド40を固定して、ゴムブレードをX方向に移動させて、拭取ってもよい。ゴムブレードを用いる場合も、上述の洗浄液を用いることができる。なお、メンテナンス部36では、ノズル41の乾燥防止のため、キャップ(図示せず)を有してもよい。
メンテナンス部36では、インクジェットヘッド40について、パージ、スピットおよびドリップ等の動作を行わせることもできる。
パージとは、インクジェットヘッド40をインク受け(図示せず)上に配置し、ノズル41からインクを押し出すことである。
スピットとは、吐出動作のことである。これにより、ノズル詰まり、吐出曲がりを改善することができる。なお、スピットはパージと同様の場所で実施するが、スピット用のステーションを設けてもよい。
ドリップとは、上述のパージ程、インクを強く押し出す回復動作ではなく、ゆっくりとインクが垂れることで回復させる動作である。これにより、ノズルの詰まり、インクの吐出曲がりを改善することができる。
また、メンテナンス部36は、インクジェットヘッド40から吐出されたインク液滴(図示せず)を観察する吐出観察部(図示せず)と、インクジェットヘッド40のノズル41(図4参照)を、ノズル41が形成された面側から観察するノズル観察部(図示せず)とを有する構成でもよい。
吐出観察部およびノズル観察部は、いずれも制御部18に接続されており、これらの動作は制御部18で制御され、得られた撮像データは制御部18により、記憶部14に記憶される。制御部18でインクジェットヘッド40でのインクの吐出状態が、例えば、インクジェットヘッド40の吐出特性の設計値と比較されて、その比較結果が、記憶部14に記憶される。
次に、印刷版25と、レベリング部50と、転写される基板31との関係について説明する。印刷版25は、画像部25aと非画像部25bとを有し、画像部25aが凹部27である。印刷版25については後に詳細に説明する。
図5は印刷版とレベリング部と転写される基板を示す模式図であり、図6はレベリング部の基材の他の例を示す模式図である。
図5に示すように、印刷版25の版面25cに、基材52の表面52aが対向させて配置され、レベリング処理の際には基材52の表面52aが印刷版25の版面25cに接する。レベリング処理後、印刷版25の版面25cと基板31の表面31aとが接して基板31の表面31aに印刷インクが転写される。
上述のように、基材52は、印刷版25の画像部25aよりも印刷インクとのインク密着性が低い。印刷版25の画像部25aよりもインク密着性は、印刷インクの接触角で規定され、接触角が大きい方が、印刷インクとのインク密着性が低いことを示す。
印刷インクとのインク密着力について、印刷版25の画像部25aのインク密着力をF1、印刷版25の非画像部25bのインク密着力をF2、基材52のインク密着力をF3、基板31のインク密着力をF4とするとき、F2≒F3<F1<F4である。
印刷インクの接触角においては、印刷版25の画像部25aの印刷インクの接触角をAr1、印刷版25の非画像部25bの印刷インクの接触角をAr2、基材52の印刷インクの接触角をAr3とするとき、Ar1<Ar2≒Ar3である。
なお、上述の印刷インクの接触角Ar1〜Ar3は、θ/2法と呼ばれる方法を用いて測定される。印刷版25の画像部25aは面積が小さいため、印刷インクの接触角の測定の際には、印刷版25の画像部25aを模した平板を用いて測定する。
基材52は、上述のようにシリコーンゴムを含む層を有する。基材52を構成するシリコーンゴムを含む層は、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成される。なお、以下、ポリジメチルシロキサンのことを、単にPDMSともいう。PDMS(ポリジメチルシロキサン)は転写性が高いため、基材52に印刷インクが残ることが抑制され、基材52の洗浄なしでも連続印刷が可能となる。これにより、印刷効率を向上させることができる。
基材52を構成するシリコーンゴム層は、例えば、紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)、または熱硬化性のPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成される。紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)は、製造方法に応じて、紫外光が照射された領域が硬化するタイプ、および紫外光が照射された領域が軟化するタイプのいずれも用いることができる。
基材52を構成するシリコーンゴム層は、より具体的には、例えば、信越シリコーン社製 紫外線硬化型液状シリコーンゴム(品名、X−34−4184−A/B)が用いられる。
レベリング部50の構成としては、図1および図5に示すものに限定されるものではなく、基材52の構成を図6に示すように2層構成としてもよい。図6に示す基材52は、シリコーンゴムを含む層であるシリコーンゴム層53の表面53aに、フッ素化合物を含む層であるフッ素化合物層54が積層して設けられている。フッ素化合物層54の表面54aが、基材52の表面52aとなる。シリコーンゴム層53は、上述の図1および図5に示す基材52を構成するシリコーンゴムを含む層と同じ構成である。
フッ素化合物層54は、印刷インクをはじき、印刷インクに対して撥液性を示す。また、フッ素化合物層54は、印刷インクに対して撥液性を発現することに加えて、シリコーンゴム層53の表面53aと高い密着性を示すことが好ましい。このため、フッ素化合物層54は、フルオロアルキル基を主成分とする高分子であることが好ましい。フッ素化合物層54は、より具体的には、例えば、株式会社ハーベス製durasurf(登録商標)(DS−5210TH(品名))またはダイキン工業株式会社製オプツール(登録商標)DSX(品名)で構成することができる。
なお、図6に示す2層構成の基材52の場合、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムまたはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上にフッ素化合物層54が形成された構成でもよい。
<印刷版>
次に、印刷版25について説明する。
図7は本発明の実施形態の印刷版を示す模式的平面図であり、図8は本発明の実施形態の印刷版の一例を示す模式的断面図であり、図9は本発明の実施形態の印刷版の他の例を示す模式的断面図である。図10は本発明の実施形態の印刷版の印刷パターンの一例を示す模式的平面図である。
図7に示すように、例えば、印刷版25には、アライメントマークA〜アライメントマークDが、それぞれ四隅に設けられており、吐出確認エリアT、印刷エリアG11、G12、スピットエリアG、印刷エリアG21、G22、スピットエリアG、および印刷エリアG31、G32が形成されている。
吐出確認エリアTは、インクジェットヘッド40により、テストパターン状に印刷インクが吐出される領域である。吐出確認エリアTの印刷インクは、評価後、クリーニング部34で取り除くか、または基板31に転写して取り除く。
スピットエリアGは、インクジェットヘッド40により、通常の吐出動作で、印刷インクを吐出し、吐出確認に利用される領域である。
印刷エリアG11、G12、G21、G22、G31、G32の前に、吐出確認のための領域、吐出確認エリアTおよびスピットエリアGを設けることで、印刷エリアG11、G12、G21、G22、G31、G32への印刷インクの吐出を確実にすることができる。
印刷エリアG11、G12、G21、G22、G31、G32に、後述のパターン形成領域と非パターン形成領域が設けられる。
図8に示す印刷版25は、上述の画像部を構成する画像部25aと、画像部25a以外の非画像部25bを有する。画像部25aで構成される画像部は、パターン形成領域ともよばれるものであり、特定の線、もしくは特定の形状、または線と形状の組合せ等により、特定のパターンが構成される。
パターン形成領域は、例えば、ゲート電極および配線等を形成するための領域である。印刷版25では、画像部25aから基板31へ印刷インクが転写され、非画像部25bからは基板31へ印刷インクが転写されない。
印刷版25では、画像部25aが凹部27であり、パターン形成領域である。画像部25a、すなわち、凹部27は後述するようにシリコーンゴムを含む層で構成される。非画像部25bが凸部であり、非パターン形成領域である。非画像部25b、すなわち、凸部は後述するようにフッ素化合物を含む層で構成される。
印刷版25は、支持材90上にシリコーンゴム層92が設けられている。このシリコーンゴム層92上に画像部25aを除いて、凹部27の隔壁となるシリコーンゴム層93が設けられている。凹部27は、シリコーンゴムを含む層であるシリコーンゴム層92とシリコーンゴム層93で構成されている。凹部27では、底面がシリコーンゴム層92の表面92aであり、凹部27の側面27bは、シリコーンゴムを含む層であるシリコーンゴム層93で構成されている。シリコーンゴム層93の厚みを変えることで、凹部27の深さを変えることできる。すなわち、印刷版25の版深を変えることができる。
なお、一般的に、版深とは印刷版25の画像部25aと非画像部25bの相対的な高さの差のことである。
また、シリコーンゴム層93で印刷版25の凸部が構成され、シリコーンゴム層93の表面93aに、フッ素化合物を含む層であるフッ素化合物層94が設けられている。フッ素化合物層94の表面94aが非画像部25bの表面となる。フッ素化合物層94は、印刷インクをはじき、印刷インクに対して撥液性を示す。
印刷版25は一般的に凹版と呼ばれるものである。印刷版25では画像部25aの表面と非画像部25bの表面との高低差δが0.1μm超10μm以下である。印刷版25の高低差δは、シリコーンゴム層92の表面92aからフッ素化合物層94の表面94aまでの距離のことである。
高低差δについては、走査電子顕微鏡を用いて印刷版25の断面画像を取得し、断面画像から高低差δを求めることができる。
フッ素化合物層94は膜厚が1nm以上100nm以下であればよく、例えば、10nm程度であることが好ましい。フッ素化合物層94は膜厚が1nm以上であれば、溶媒の吸収を防止することができる。
印刷インクの溶媒をシリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層93に吸収させることで、シリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層93での印刷インクはじきを防止してシリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層93への印刷インク塗布を可能にする。また、フッ素化合物への印刷インクの溶媒の吸収を低減することで、フッ素化合物層94上の印刷インクのピニングを防止して、このフッ素化合物上に印刷インクが残らないようにすることができる。
印刷版25では、画像部25aが印刷インクに対して親液性で、親インク部である。非画像部25bが印刷インクに対して撥液性であり、撥インク部である。
図8に示す印刷版25では、シリコーンゴム層92とシリコーンゴム層93を設ける構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、シリコーンゴム層92に凹部27を設ける構成でもよい。この場合、凹部27は側面27bを含めシリコーンゴム層92だけで構成される。シリコーンゴム層92の凸部92bの最表面92cにフッ素化合物層94が設けられる。
印刷版25では、図8および図9に示すいずれの構成でも、例えば、図10に示すように画像部25aと非画像部25bが特定のパターンで形成される。画像部25aのパターンは、例えば、ゲート電極および配線等のパターンであり、ゲート電極および配線等が形成される。
印刷版25は、例えば、電子ペーパー等に用いられる薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の各種の電極の形成に用いることができる。また、印刷版25は、電子回路およびプリント配線基板の配線パターンの形成に用いることもできる。
図11は本発明の実施形態の印刷版を用いて形成される薄膜トランジスタの一例を示す模式図である。
図11に示す薄膜トランジスタ80(以下、TFT80という)は、ゲート電極82と、ゲート絶縁層(図示せず)と、ソース電極86aと、ドレイン電極86bと、半導体層(図示せず)と、保護層(図示せず)とを有する。
TFT80においては、ゲート電極82を覆うように、ゲート絶縁層(図示せず)が形成されている。このゲート絶縁層上にチャネル領域84として予め設定された隙間をあけて、ソース電極86aとドレイン電極86bとが形成されている。チャネル領域84上に活性層として機能する半導体層(図示せず)が形成されている。半導体層、ソース電極86aおよびドレイン電極86bを覆う保護層(図示せず)が形成されている。なお、チャネル領域84のチャネル長は数μm〜数十μmオーダである。薄膜トランジスタのドレイン電流は、チャネル長の影響を受け、チャネル長のばらつきは、薄膜トンランジスタの特性のばらつきに結びつく。
なお、印刷版25は上述の図11に示すTFT80以外に、電極膜、配線膜、および絶縁膜等の各種のパターン膜の形成に用いることができる。このような各種の膜を順次積層して形成することにより、TFT80以外に、電界発光トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池等の電子デバイスも製造することができる。印刷版25は電子デバイスの製造に用いることもできる。
印刷版25の支持材90は、シリコーンゴム層92を支持するものであり、例えば、樹脂、金属、ガラス等で構成される。また、支持材90は1種類の材料のみで構成することに限定されるものではなく、複数の材料を組み合わせてもよい。この場合、例えば、支持材90は、アルミニウム板とポリエチレンテレフタレート材の複合材とすることもできる。印刷版25は、支持材90がない構成でもよい。
印刷版25を版胴24に巻きつける場合には、支持材90は可撓性が必要になる。このため、例えば、支持材90がポリエチレンテレフタレート(PET)材である場合、厚みは50〜200μm程度であることが望ましい。また、支持材90がアルミニウム板である場合、アルミニウム板の厚みは0.1〜1mmであることが好ましく、望ましくは0.15〜0.4mmである。
印刷版25のシリコーンゴム層92は、画像部25aを構成するものである。ここで、シリコーンゴムとは、有機シロキサンを主鎖とする、ネットワーク構造を有したゴム状の物質をいう。シリコーン樹脂には、ゴム弾性を示さないものも含まれ、例えば、オルガノシロキサンポリマーである。また、シリコーン樹脂には、上述のようにシリコーンゴムも含まれる。
印刷版25のシリコーンゴム層92は、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成される。PDMS(ポリジメチルシロキサン)は転写性が高いため、転写後、印刷版25に印刷インクが残ることが抑制され、印刷版25の洗浄なしでも連続印刷が可能となる。これにより、印刷効率を向上させることができる。
シリコーンゴム層92は、例えば、紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)、または熱硬化性のPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成される。紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)は、製造方法に応じて、紫外光が照射された領域が硬化するタイプ、および紫外光が照射された領域が軟化するタイプのいずれも用いることができる。
シリコーンゴム層92は、より具体的には、例えば、信越シリコーン社製 紫外線硬化型液状シリコーンゴム(品名、X−34−4184−A/B)が用いられる。
シリコーンゴム層92の厚みは、シリコーンゴム層93よりも厚く、例えば、500μm程度である。
シリコーンゴム層93は、凹部27の側面27bを構成しており、上述のようにシリコーンゴム層93の厚みで、上述の高低差δを調整することができる。シリコーンゴム層93の厚みは、例えば、数μm〜10μm程度であるが、印刷版25の上述の高低差δに応じて適宜設定される。
また、シリコーンゴム層93はシリコーンゴム層92の表面92aに設けられており、シリコーンゴム層92と同じくPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成されてもよい。シリコーンゴム層93は、シリコーンゴム層92と別体であり、上述のように凹部27の側面27bを構成する。このため、シリコーンゴム層93はパターン形成が可能なものであることが好ましい。シリコーンゴム層93は、例えば、紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)、または熱硬化性のPDMS(ポリジメチルシロキサン)で構成される。紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)は、製造方法に応じて、紫外光が照射された領域が硬化するタイプ、および紫外光が照射された領域が軟化するタイプのいずれも用いることができる。
紫外線硬化型のPDMS(ポリジメチルシロキサン)には、例えば、信越シリコーン社製 紫外線硬化型液状シリコーンゴム(品名、X−34−4184−A/B)が用いられる。これ以外に、例えば、信越シリコーン社製 2液混合型常温硬化タイプKE106(品名)、X−32−3279(試作品番号)、およびX−32−3094−2(試作品番号)を用いることができる。
シリコーンゴム層92の厚みは、10μm以上1mm以下が好ましい。シリコーンゴム層92の厚みが10μm未満と薄すぎると印刷インクの溶媒の吸収速度が低下してしまい好ましくない。一方、シリコーンゴム層92の厚みが1mmを超えるような、厚すぎると印刷時に受ける応力によってシリコーンゴム層92の変形が大きくなり、結果的に寸法再現性およびアライメント精度が悪化するため好ましくない。なお、後述の印刷インクの溶媒の吸収速度vについては、使用する印刷インクの溶媒によって大きく変化するため、それに伴い好ましいシリコーンゴム層92の厚みの下限値も変化する。
印刷版25のフッ素化合物層94は、非画像部25bを構成するものである。
フッ素化合物層94は、後述の印刷インクに対して撥液性を発現することに加えて、シリコーンゴム層93の表面93aと高い密着性を示すことが好ましい。また印刷時における、例えば、10kPaから1MPa程度の印圧によって負荷がかかるため、その際にクラックが発生しないように脆弱性が低いことが好ましい。そのため、フッ素化合物層94は、フルオロアルキル基を主成分とする高分子であることが好ましい。シリコーンゴム層93の表面93aとフッ素化合物層94の密着が悪い場合は、中間層として接着層を導入することもできる。
フッ素化合物層94は、より具体的には、例えば、株式会社ハーベス製durasurf(登録商標)(DS−5210TH(品名))またはダイキン工業株式会社製オプツール(登録商標)DSX(品名)で構成することができる。フッ素化合物層94は、上述のように1nm以上100nm以下であることが好ましい。
なお、印刷インクに対して撥液性、印刷インクに対して親液性とは、以下に示すようにして評価することができる。
撥液性が予想される領域と親液性が予想される領域とに液滴を着滴させて、その液滴の挙動で評価を行う。着滴時の液滴量に対して液滴量が減少した領域が撥液性を有する撥インク部、液滴量が増加した領域が親液性を有する親インク部である。
なお、版作成の工程で撥液性と親液性が付与される。この場合、撥液性と親液性の評価は、撥液性の撥インク部、親液性の親インク部の境界に液滴を着滴させて、その液滴の挙動で評価を行う。着滴時の液滴量に対して液滴量が減少した領域が撥液性、液滴量が増加した領域が親液性である。
画像部25aの印刷インクの前進接触角をθA,sとし、非画像部25bの印刷インクの後退接触角をθR,fとするとき、印刷インクに対して、画像部25aの前進接触角θA,sよりも、非画像部25bの後退接触角θR,fの方が大きいことが好ましい。後退接触角θR,fと前進接触角θA,sの差が10°以上あることがより好ましい。上述の差が10°以上であれば、画像部25aと非画像部25bの、印刷インクに対する親液性と撥液性の差が明確になり、高精細なパターン形成ができる。
画像部25aの前進接触角θA,sよりも、非画像部25bの後退接触角θR,fの方が大きい場合、その境界に存在する印刷インクは撥液性の撥インク部(非画像部25b)から親液性の親インク部(画像部25a)に移動する。
理論的には、画像部25aと非画像部25bの境界にまたがった印刷インクには、非画像部25bから画像部25aの方向に、下記式に示す大きさの力Fが働く。ここで、下記式においてγは印刷インクの表面張力であり、rは液滴の接触面半径である。
F=-γπr(cosθR,f-cosθA,s
後退接触角θR,fおよび前進接触角θA,sが180°未満の場合(全ての液滴はこの条件を満たす)、θR,f>θA,sであれば、Fは正となり、液滴は画像部25a側に移動する。このほかに、印刷インクと版表面に摩擦が働くため、実際には、後退接触角θR,fと前進接触角θA,sの差が10°以上あることがより好ましい。
前進接触角と後退接触角は「傾斜法(滑落法ともいう)」、「ウィルヘルミー法」または「拡張収縮法」のいずれかで測定することができる。本発明では、「傾斜法(滑落法ともいう)」で測定した。
印刷インクが溶媒を含み、同じ溶媒に対して、画像部25aの溶媒の吸収速度は、非画像部25bの溶媒の吸収速度よりも速いことが好ましい。すなわち、画像部25aの溶媒の吸収速度をvとし、非画像部25bの溶媒の吸収速度をvとするとき、v<vであることが好ましい。これにより、印刷インク転写時に画像部25a上の印刷インクの広がりが抑制され、高精細なパターン形成が可能となる。
画像部25aの印刷インクの溶媒の吸収速度vは0.1μm/s以上であることが好ましく、より好ましくは1.0μm/s以上である。非画像部25bの印刷インクの溶媒の吸収速度vは0.1μm/s未満であることが好ましく、より好ましくは0.01μm/s未満である。
なお、上述の前進接触角と後退接触角は、印刷インクの溶媒に界面活性剤を添加することによって調整することができる。
印刷インクの溶媒の吸収速度vについて説明する。印刷インクの溶媒の吸収速度vは、まず、インクジェット法により印刷インクを画像部、非画像部に着滴させ、着滴した印刷インクの形状を真横からカメラにより撮像する。次に、着滴からの経過時間毎に撮像したインク形状の画像処理をすることで画像部、非画像部の上に残っているインク量を算出して、インク量を時間で微分することで、印刷インクの溶媒の吸収速度と蒸発速度を得る。
印刷インクの溶媒の溶媒蒸発の影響を考慮するため、Siウエハに非画像部と同等の撥液層を形成した基板を用意して、上述の画像部および非画像部と同様の実験を行い、印刷インクの溶媒の蒸発速度を算出する。なお、Siウエハであるので、溶媒吸収は無視でき、印刷インクの溶媒の蒸発のみとなる。
吸収速度と蒸発速度の合計から、Siウエハを用いて得た蒸発速度を引くことで、印刷インクの溶媒の吸収速度を得ることができる。
ここで、非画像部25bに付与するフッ素化合物の望ましい量は、上述の印刷版25のフッ素化合物層94の厚み、上述の後退接触角θR,fおよび前進接触角θA,s、ならびに上述の印刷インクの溶媒の吸収速度vを合わせて総合的に判断されるものである。しかしながら、非画像部25bに付与するフッ素化合物の望ましい量は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Mass Spectrometry)より求められるフッ素化合物の量とPDMS由来の成分量の比率、すなわち、後述するように後退接触角θR,fおよび撥液性と正の相関が認められるF/Si比にて推定することができる。後に詳細に説明するようにF/Si比が1689.75以上であれば、大きな後退接触角θR,fが得られ、良好な撥液性が得られる。このため、F/Si比は1689.75以上であることが好ましい。
下記式において、[COF]は質量電荷比m/z=184.98のカウント数である。[SiH]は質量電荷比m/z=196.90のカウント数である。[Si15]は質量電荷比m/z=223.03のカウント数である。
F/Si比=[COF]/([SiH]+[Si15])
<印刷版の製造方法>
次に、図8に示す印刷版25の製造方法について説明する。
まず、シリコーンゴムを含む第1の層としてシリコーンゴム層92が設けられた支持材90を用意する。シリコーンゴム層92は、上述の紫外線硬化型のPDMSまたは熱硬化型のPDMSで構成される。
次に、シリコーンゴム層92上に感光性PDMSを塗布して、第2のシリコーンゴム層(図示せず)を形成する。感光性PDMSは、例えば、上述の紫外線硬化型のPDMSが用いられる。第2のシリコーンゴム層は紫外光が照射された領域が硬化する。
紫外光は、半導体製造装置に用いられる一般的な紫外線露光装置により得られ、フッ素化合物等の化学結合を解離するために波長300nm以下の光を用いることが好ましい。
次に、第2のシリコーンゴム層上に、マスク(図示せず)を配置する。マスクは、紫外光を透過する領域が非画像部25bのパターン状に形成されている。
そして、マスク上から第2のシリコーンゴム層に向けて紫外光を照射する。紫外光が照射されると、第2のシリコーンゴム層の照射領域が硬化し、照射されない未照射領域は硬化しない。未照射領域が画像部25aとなる領域である。
次に、マスクを第2のシリコーンゴム層上から外し、紫外光の照射後の第2のシリコーンゴム層に対して、例えば、室温の雰囲気で、予め定められた時間保持して、ポストベークを行い、第2のシリコーンゴム層の硬化を促進する。
次に、ポストベーク後、例えば、トルエンを用いて第2のシリコーンゴム層に現像処理を施し、未照射領域を溶解して除去し、シリコーンゴム層92の表面92aの一部を露出させて、シリコーンゴム層92の表面92a上の非画像部25bとなる領域にシリコーンゴム層93を形成する。
印刷版25の製造方法において、シリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層93のような、画像部25aが凹部の凹版形状のシリコーンゴムを含む層を形成するには、上述の紫外線硬化型のPDMSを用いた方法に限定されるものではなく、熱硬化型のPDMSを鋳型に流し込み成型する方法でもよい。用いる鋳型の材質としては、ガラス、金属、Siおよびレジスト等が挙げられる。レジストとは、ガラス基板上等でレジスト層がパターニングされたもののことである。
また、多段階の凹凸構造を有する鋳型を用いることによって、印刷版25の面内で、シリコーンゴム層93の厚み、すなわち、凹部27の深さを多段階にすることができる。この方法を用いれば、後述の印刷インクの付与量の範囲をさらに広げることができる。
次に、上述のマスクをシリコーンゴム層93上に、紫外光を透過する領域とシリコーンゴム層93の表面93aの位置を合わせて配置し、シリコーンゴム層93の表面93aに向けて紫外光を照射する。紫外光が照射されたシリコーンゴム層93の表面93aに水酸基が形成され、表面93aが活性化された状態となる。次に、マスクをシリコーンゴム層93上から外す。
次に、例えば、支持材90ごとシリコーンゴム層93をシランカップリング剤(図示せず)に浸漬させて、シリコーンゴム層93の活性化された状態の表面93aにシランカップリング処理を施す。その後、未反応のシランカップリング剤をスピンコータによって回転させて除去し、例えば、予め定められた温度および時間にて、飽和水蒸気圧環境下でシランカップリング剤を活性化された状態の表面93aに定着させる。
シランカップリング剤としては、例えば、durasurf専用プライマー剤(DS−PC−3B(型番))が用いられる。
次に、シリコーンゴム層93の表面93aに、フッ素化合物(図示せず)を塗布し、予め定められた温度および時間にて定着処理を行う。その後、フッ素化合物の未定着分を、例えば、フッ素系溶媒(株式会社ハーベス製durasurf(DS−TH(品名)))をスピンコートすることによって洗浄除去する。これにより、図7に示す凹版の印刷版25を得ることができる。フッ素化合物は、例えば、株式会社ハーベス製durasurf(DS−5210TH(品名))またはダイキン工業株式会社製オプツール(登録商標)DSX(品名)が用いられる。
シランカップリング処理は、露光直後、具体的には、露光後30秒以内にシランカップリング剤に浸漬させる処理を開始することが望ましい。これは、露光処理によって照射領域の表面に形成された表面ラジカルが短時間で失活することと、シリコーンゴム層92内部の未架橋成分がブリードすることによって、照射領域表面が徐々に疎水性表面に戻ってしまうことによるためである。
活性化された状態の表面93aを形成する際、マスクを利用したマスク露光法を用いたがこれに限定されるものではなく、開口部を有するマスクを用いたプラズマ処理、またはレーザもしくは集光光束を直接走査する直接描画法を用いることもできる。
また、活性化された状態の表面93aにシランカップリング処理を施す際に、シランカップリング剤に浸漬させた液相法を用いたが、これに限定されるものではなく、シランカップリング剤を気体にして、シランカップリング剤の気体を用いて、活性化された状態の表面93aにシランカップリング処理を施してもよい。
画像部25aの活性化の程度が不足している場合には、化学的または物理的処理を行ってシリコーンゴム層92の表面92a、シリコーンゴム層93の側面93bの活性化の程度を向上させることができる。
上述の印刷版25の製造方法では、シランカップリング処理した後にフッ素化合物を塗布したが、これに限定されるものではない。例えば、シランカップリング処理の際に、フッ素系シランカップリング剤を気相法または液相法により、上述の水酸基に結合させる。これにより、フッ素化合物層94(図8参照)を形成するようにしてもよい。
次に、図9に示す印刷版25の製造方法について説明する。
シリコーンゴム層92上にシリコーンゴム層93が形成された状態で、シリコーンゴム層93の表面93aを含め、シリコーンゴム層92に対して、紫外光を照射し、シリコーンゴム層93の表面93a全面に水酸基を形成して、シリコーンゴム層93の表面93aを活性化された状態とする。この場合、シリコーンゴム層92の表面92aも活性化された状態となり、シリコーンゴム層93の側面93bに紫外光が照射されれば、側面93bも活性化された状態となる。
印刷版25の製造方法において、シリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層93のような、画像部25aが凹部の凹版形状のシリコーンゴムを含む層を形成するには、上述の紫外線硬化型のPDMSを用いた方法に限定されるものではなく、図9に示すシリコーンゴム層92およびシリコーンゴム層92の凸部92bの形成のように、熱硬化型のPDMSを鋳型に流し込み成型する方法でもよい。用いる鋳型の材質は上述のとおりである。
次に、例えば、シランカップリング剤を含む基体をシリコーンゴム層93の表面93aにだけ押し付けて接触させて、表面93aに対してシランカップリング処理を施す。その後、シランカップリング処理された状態の表面93aに、フッ素化合物層94(図8参照)を形成する。フッ素化合物層94の形成方法は、上述のとおりである。なお、シランカップリング剤を含む基体は、基体の母材を、シランカップリング剤が溶解した溶液に一定時間浸漬させることによって形成することができる。基体の母材に使用する材料は、シランカップリング剤およびその溶媒を吸収するものであればよく、例えば、PDMSで構成される。また、シランカップリング剤が溶解した溶液に母材を浸漬する時間は、シランカップリング剤濃度および母材の溶媒吸収速度から適宜決めればよい。
また、上述の方法に限定されるものではなく、例えば、フッ素系のシランカップリング剤を含む基体をシリコーンゴム層93の表面93aにだけ押し付けて接触させて、表面93aに対してフッ素化合物層94を形成する方法もある。なお、基体の母材は、例えば、PDMS、信越化学工業社製SHIN-ETSU SIFEL(登録商標)、ダイキン工業社製ダイエル(登録商標)等のうちのいずれかで構成される。
また、上述の方法に限定されるものではなく、例えば、シランカップリング剤に浸漬させてシリコーンゴム層92の表面92aおよびシリコーンゴム層93の表面93aに対してシランカップリング処理を施す。なお、シランカップリング処理方法は上述のとおりである。その後、例えば、フッ素化合物を含む基体をシランカップリング処理された状態の表面93aにだけ押し付けて接触させて、フッ素化合物層94(図9参照)を形成する。これにより、図9に示す凹版の印刷版25を得ることができる。なお、基体の母材の構成は、上述のとおりである。
<印刷方法>
次に、本実施形態の印刷方法について印刷装置10を用いて説明する。
印刷装置10では、印刷しようとするパターンのパターンデータに基づいて、特定のパターンが基板31に印刷される。
アライメントカメラ42でアライメントマークA〜アライメントマークDの位置情報を取得し、印刷版25の取り付け位置情報を取得し、印刷版25の傾きを求める。印刷版25の傾きが許容範囲内である場合、傾き補正をすることなく、予め定められた吐出波形でインクジェットヘッド40からの印刷インクを印刷版25に吐出し、インキングを行う。
一方、印刷版25の傾きが許容範囲から外れる場合、傾き補正をしてパターンを印刷する。このように印刷版25の傾き補正をすることで、印刷版25の取り付け精度が低い場合であっても印刷精度を向上させることができる。
印刷インクの打滴毎に、版面観察部26にて印刷版25の版面25cの情報を取得し、判定処理部16にて判定し、その判定結果に基づいて、制御部18で印刷インクの吐出量、吐出密度が調整されて、次の印刷インクの打滴を実施する。この場合、印刷版25の凹部での不足がある場合には不足部分の周辺の印刷インクの打滴量を多くし、形成されるドットを大きくする。これ以外にも、予め定められた印刷インクの打滴数よりも多くして、打滴密度を高くする。
逆に、印刷版25の凹部で、先の印刷インクの打滴の際に大きなドットとなってしまった場合、印刷インクの打滴量を少なくし、形成されるドットを小さくする。これ以外にも、予め定められた印刷インクの打滴数よりも少なくして、打滴密度を下げる。
また、インクジェットヘッド40が冗長ノズルを有する場合には、冗長ノズルを用いることもできる。
例えば、2400dpi(dot per inch)のパターンデータの場合、X方向、Y方向ともに1200dpiのパターンの4回走査、X方向600dpi、Y方向2400dpiのパターンの4回走査で、画像部、すなわち、パターン形成領域への印刷インクの付与、すなわち、インキングを完了することができる。
また、例えば、X方向、Y方向ともに1200dpiの場合、1ノズルの隣接画素間距離(最小値)も21.2μmで吐出周波数の要求は低いものの、ノズル数がX方向で600dpiと比べて2倍必要となる。X方向の隣接画素間距離、すなわち、最小値は21.2μmとなりX方向着弾干渉の影響が懸念される。
一方、X方向600dpi、Y方向2400dpiの場合、ノズル数は上述のX方向1200dpiと比較して1/2となり、X方向の隣接画素間距離、すなわち、最小値は42.3μmとなりX方向着弾干渉の影響は減るものの、Y方向の隣接画素間距離、すなわち、最小値が10.6μmとなり、X方向、Y方向ともに1200dpiの場合と比較して2倍の高周波吐出が必要となる。
次に、本実施形態の印刷装置10の印刷方法についてより具体的に説明する。
図12は、本発明の実施形態の印刷方法を示すフローチャートである。図13〜図16は、それぞれ本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的平面図であり、図17〜図20は、それぞれ本発明の実施形態の印刷方法の第1の例を示す模式的断面図である。
最初に、印刷インクをインクタンク45(図2参照)に供給する(ステップS10)。ステップS10では、インクタンク(図2参照)からインクジェットヘッド40に印刷インクを供給し、インクジェットヘッド40が印刷インクを吐出可能な状態とする。
次に、アライメントを実施する(ステップS12)。
この場合、インクジェットヘッド40の位置と版位置とのアライメントを行う。まず、アライメントマークA〜アライメントマークCをアライメントカメラ42で読み取り、その位置を検出する。
次に、X方向の絶対距離を求める。この場合、例えば、アライメントマークA、Bがアライメントカメラ42の視野のX方向で同じ位置になったときのキャリッジ46位置(リニアスケール読み取り値)から算出する。
次に、Y方向の絶対距離を求める。この場合、アライメントマークA、およびアライメントマークCのアライメントマークがアライメントカメラ42の視野のY方向で同じ位置になったときのローターリーエンコーダから出力される版胴24の回転位置情報から算出する。なお、Y方向は距離ではなく角度でのアライメント調整になる。
次に、インクジェットヘッド40と印刷版25との相対的な傾きを求める。この場合、傾き角度θを求める。アライメントマークA,BのX方向位置だけでなく、Y方向についてもずれを計測する。アライメントカメラ42の視野のY方向も同じになったときのローターリーエンコーダから出力される版胴24の回転位置情報からY方向のずれを算出して、X方向の距離とY方向のずれから傾き角度θを算出する。または、カメラの視野内でのY方向のずれから傾き角度θを算出することもできる。
また、アライメントマークA〜アライメントマークCの位置情報から、印刷版25の版胴24に対する取り付け位置情報を得る。すなわち、どのように印刷版25が版胴24に取り付けられているかの情報を得る。そして、印刷版25の傾き角度βを求める。例えば、傾き角度βは、X方向の距離とY方向のずれから算出することができる。
上述のように得られたX方向の距離、Y方向の角度、傾き角度θは記憶部14に記憶される。制御部18では、X方向の距離、Y方向の角度、傾き角度θと、記憶部14に記憶された印刷するパターンデータに対してX方向およびY方向の拡大縮小処理、傾き角度θに基づくパターンデータの回転処理を行い、パターンデータ補正する。補正されたパターンデータに必要に応じて印刷版25の傾き補正を行う。
補正パターンデータを得る。さらには、インクジェットヘッド40からの印刷インクの吐出のタイミングの調整も制御部18にて行う。
次に、インクジェットヘッド40の吐出確認を行う(ステップS14)。
この場合、テストパターンの印刷物の評価、または吐出観察にて行う。
テストパターンの印刷の印刷物の評価は、印刷した基板の目視またはスキャナでの評価で行う。また、印刷版25に吐出のみを行い、転写を行わず、印刷版25上の印刷インクをアライメントカメラ42で観察することで実施することもできる。
印刷版25には上述のように吐出確認エリアTを設けており、そこに印刷インクを打滴する。版胴24に吐出確認エリアTを設けて、そこに印刷インクを打滴してもよい。
吐出確認エリアTの印刷インクは、評価後、クリーニング部34で取り除くか、または基板31に転写して取り除く。
なお、吐出確認の結果が予め定められた範囲から外れていた場合、メンテナンス部36にて回復動作を行うか、または、吐出制御部43での吐出波形の最適化を行う。
吐出確認と合わせて、印刷版25へ打滴した印刷インクの着弾位置の情報を、アライメントカメラ42を用いて取得する。判定処理部16において、着弾位置のずれを判定し、X方向、Y方向、傾き角度θについて予め定められた範囲から外れている場合には、補正パターンデータの拡大縮小、回転等を再度調整する。
次に、ステップS14の吐出確認の後、印刷版へのインキングを行う(ステップS16)。なお、印刷版へのインキングを行うステップS16がインク付与工程に相当する。
パターンデータまたは補正パターンデータを吐出制御部43に送り、版胴24を回転させて、その時にローターリーエンコーダから出力される版胴24の回転位置情報に基づき、タイミングに合わせて、予め定められた吐出波形で、インクジェットヘッド40から印刷インクを印刷版25に吐出し、インキングを行う。
この場合、図13および図17に示すように、印刷版25の画像部25aには、印刷インクの打滴位置61が互いに重ならないように設定されている。
上述のステップS16では、図14および図18に示すように、画像部25aの打滴位置61(図13および図17参照)に印刷インク62が打滴される。
なお、例えば、版胴24を4回回転させて、すなわち、4回走査して画像部25aに印刷インクを付与する場合、走査1回毎にスピットを行う。スピットは、印刷版25のスピットエリアGまたは版胴24上に設けたスピットのためのスピットエリア(図示せず)で行う。
スピットのタイミングは、画像部25aに印刷インクを付与した後であっても、印刷版1枚毎あってもよい。また、印刷版100枚毎のようにある印刷枚数毎に、パージ、ワイプおよびスピットをメンテナンス部36で実施し、さらに吐出確認を行うようにしてもよい。
インキング工程において、非接触なインクジェット法を用いることにより、印刷版25の耐久性を向上させることができる。
次に、インキング工程により印刷インクが付与された印刷版25の版面25cに、レベリング部50の基材52の表面52aを押し付け、基材52を印刷インクに圧着させて、円筒状の部材51をYr方向に回転させて、印刷版25の版面25cの印刷インクを平坦化する(ステップS18)。ステップS18が、レベリング処理を行うレベリング工程である。この場合、図15および図19に示すように、基材52を印刷版25に押し付けて、基材52を印刷インクに圧着させて、印刷インク62の表面62aを平坦化する。図15および図19は、レベリング部50(図1参照)の基材52だけを示しており、図15は基材52の模式的平面図である。
基材52を印刷版25から外した後でも、図16および図20に示すように、印刷版25の印刷インク62は、表面62aが平坦化された状態である。
次に、レベリング処理後の印刷版25を乾燥部32で乾燥させ(ステップS20)、印刷インク62を乾燥させる。ステップS20が乾燥工程に相当する。ステップS20では、印刷インクは半乾燥状態が望ましい。
次に、レベリング工程により平坦化された印刷版25の印刷インク62を基板31に転写する(ステップS22)。ステップS22が、転写工程である。
まず、ステップS22の転写工程では、ステージ30上に基板31を載置しておき、開始位置Psにて待機する。そして、印刷版25のパターンの位置合わせのために基板31のアライメントを行う。
次に、ステージ30を搬送方向Vに移動させて基板31を版胴24の下方の印刷位置Ppに配置する。そして、版胴24を回転させ、印刷版25の版面25cと基板31の表面31aとを接触させて、印刷版25の印刷インク62(図16および図20参照)を基板31に転写する。そして、転写後、ステージ30を搬送方向Vに移動させて、版胴24の下方の印刷位置Ppから基板31を終了位置Peに移動させる。その後、パターンが形成された印刷版25をステージ30から移動させ、ケーシング20の外部に取り出す。この場合、印刷版25の画像部25aには印刷インク62が残らず、印刷インク62が基板31の表面31aに転写されて、パターン部(図示せず)が形成される。なお、レベリング処理を実施されているので平坦なパターン部となる。また、レベリング処理を実施することにより、画像部25aの通りにパターン部が形成され、高精細な印刷パターンを形成することができる。
上述の印刷方法の第1の例では、印刷インクを1回打滴したが、これに限定されるものではなく、上述のように複数回でもよく、例えば、2回でもよい。この場合について説明する。
図21および図22は、それぞれ本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的平面図であり、図23および図24は、それぞれ本発明の実施形態の印刷方法の第2の例を示す模式的断面図である。
なお、図21〜図24において図13〜図16および図17〜図20に示される印刷版と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図21および図23に示すように、印刷版25の画像部25aに、印刷インクの1回目の打滴位置61aと、2回目の打滴位置61bが設定される。打滴位置61aは互いに重ならないように設定されている。打滴位置61bも互いに重ならないように設定されている。打滴位置61aと打滴位置61bとは互いに重なるように設定されている。
そして、インクジェット法により、1回目の打滴位置61aと、2回目の打滴位置61bとに、印刷インク62を打滴する。これにより、図22および図23に示すように、画像部25aの打滴位置61a、および打滴位置61b(図21および図23参照)に印刷インク62が打滴される。印刷インク62の表面62aは平坦ではなく、凸凹状になる。
次に、上述の印刷方法の第1の例と同じく、図15および図19に示すように、レベリング部50の基材52を印刷版25に押し付け、基材52を印刷インク62に圧着させて、印刷インク62の表面62aを平坦化する。これにより、基材52を印刷版25から外した後でも、図16および図20に示すように、印刷版25の印刷インク62は、表面62aが平坦化された状態となる。
次に、レベリング処理後の印刷版25を乾燥部32で乾燥させ、印刷インク62を乾燥させる(ステップS20)。ステップS20では、印刷インク62は半乾燥状態が望ましい。
次に、印刷版25の印刷インク62を基板31に転写する(ステップS22)。これにより、印刷インク62が基板31の表面31aに転写されて、平坦なパターン部(図示せず)が形成される。この場合でも、レベリング処理を実施することにより、画像部25aの通りにパターン部が形成され、高精細な印刷パターンを形成することができる。
なお、印刷方法の第1の例において、レベリング処理を実施しない場合、図25に示すように、互いに重ならないように粗に設定された打滴位置61に印刷インク62を打滴した場合、図26に示すように印刷インク62が孤立して存在し、線状にならない。この場合、レベリング処理を実施しなければ、例えば、配線として利用することができない。
また、図27に示すように、互いに重なるように密に設定された打滴位置61に印刷インクを打滴した場合、図28に示すように印刷インク62が画像部25aから溢れ、非画像部25bにも印刷インク62がある状態になる。この場合でも、レベリング処理を実施しなければ、基板31に転写した場合、直線状のパターンとはならず、配線として利用することができない。
上述の印刷方法の第2の例では、印刷インクを2回打滴してインクキングを行うと、図29に示すように印刷版25の画像部25aでは印刷インク62の表面62aは平坦ではなく、凸凹状になる。レベリング処理を実施することなく、この状態で、基板31に転写した場合、転写して形成されるパターン部は平坦とはならない。
印刷版25では、画像部25a、すなわち、凹部27の側面27bがシリコーンゴム層で構成され、非画像部25b、すなわち、凸部の表面がフッ素化合物層94で構成されているため、凹部27からの印刷インク溢れが少なく、また、凹部27の側面27bでの印刷インク離形性がよい。これにより、高精細な印刷パターンを形成することができる。また、印刷インク離形性がよいため、パターン幅のバラつきを小さくでき、配線等の場合、特性を均一に形成することができる。しかも、パターン部98の厚みは、上述の高低差δに応じたものとなり、膜厚が厚いパターンも形成することができる。
さらには、上述のように印刷版25に印刷インクが残らないので、インク除去工程が不要となり、インク使用効率が向上する。
また、画像部25a、すなわち、凹部27への印刷インク62の量を変えることで、パターン部の厚みを変えることができる。
また、印刷版25に画像部25aである凹部27が複数ある場合、インクジェット法により印刷インク62の吐出量を変えて、各凹部27への印刷インク62の付与量を変える。そして、レベリング処理を実施した後に、印刷版25と基板31の表面31aとを接触させて、印刷版25の印刷インクを基板31に転写する。これにより、基板31の表面31aに厚みが異なるパターン部を1度の転写工程で形成することができる。これにより、厚みが異なる配線を同時に形成することができる。この場合も、各パターン部のパターン幅のバラつきを小さくでき、配線等の場合、特性を均一に形成することができる。
印刷版25はシート状のものであり、かつ枚葉式でもよく、ロール状であってもよい。この場合、パターンはロールツーシート方式、シートツーロール方式、またはロールツーロール方式で形成することができる。
<印刷インク>
印刷インクは特に限定されるものではないが、例えば、画像部25aで撥液されないことが好ましく、例えば、シリコーンゴムの臨界表面自由エネルギー以下の表面張力を有することが望ましい。
なお、基板と印刷インクの組み合わせによって限定される特徴、すなわち、前進接触角と後退接触角、吸収速度がある。前進接触角と後退接触角、および吸収速度の条件が満たされていれば、印刷インクは、シリコーンゴムの臨界表面自由エネルギー以下の表面張力でなくてもよい。
また、印刷インクはニュートン流体であることが好ましい。印刷インクは、粘度が1mPa・s以上20mPa・s以下の範囲であることが好ましい。ただし、画像部25aの印刷インクの溶媒の吸収速度vが大きい場合は、塗布直後に印刷インクの乾燥が進行し、撥液核の生成が抑制されるため、上述の粘度を必ずしも満たす必要はない。
以下、電子回路の配線、薄膜トランジスタ等の電子素子の構成部、または電子回路の配線、薄膜トランジスタ等の電子素子の構成部のプレカーサの形成に用いられる印刷インクの材料について具体的に説明する。
導電性材料としては、導電性微粒子を含み、この導電性微粒子の粒径が1nm以上、100nm以下であることが好ましい。導電性微粒子の粒径が100nmより大きいと、ノズルの目詰まりが起こりやすく、インクジェット法による吐出が困難になることによる。また、導電性微粒子の粒径が1nm未満であると、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多になることによる。
分散質濃度は、分散質濃度の凝集性の観点から、1質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。
導電性微粒子の分散液の表面張力は、20mN/m以上、70mN/m以下の範囲に入ることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が20mN/m未満であると、印刷インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じ易くなり、70mN/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量、吐出タイミングの制御が困難になるためである。
導電性材料としては、例えば、銀の微粒子が含まれるものである。銀以外の他の金属微粒子としては、例えば、金、白金、銅、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、およびインジウムのうち、いずれか1つが利用されてもよいし、または、いずれか2つ以上が組合せられた合金が利用されてもよい。さらには、ハロゲン化銀を用いてもよい。ただし、銀ナノ粒子が好ましい。金属微粒子の他、導電性ポリマーまたは超電導体の微粒子等を用いてもよい。
導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えば、キシレン、トルエン等の有機溶剤またはクエン酸等が挙げられる。
使用する分散媒としては、上述の基板と印刷インクの組み合わせによって限定される特徴、すなわち、前進接触角と後退接触角、および溶媒吸収速度を満たすこと、ならびに上述の導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されないが、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、およびシクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またはエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、更にプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびシクロヘキサノン等の極性化合物を挙げることができる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また、インクジェット法への適用のし易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、およびエーテル系化合物が好ましく、更に好ましい分散媒としては水、および炭化水素系化合物を挙げることができる。これらの分散媒は、単独でも2種以上の混合物としても使用できる。
また、バインダー、すなわち、添加剤としては、アルキッド樹脂、変性アルキッド樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン化油、ウレタン樹脂、ロジン樹脂、ロジン化油、マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、ポリブテン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルオリゴマー、鉱物油、植物油、ウレタンオリゴマー、および(メタ)アリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体等を1種、または2種以上の組み合わせで使用することができる。無水マレイン酸との共重合体は、他のモノマー、例えば、スチレン等を共重合成分として加えてもよい。
また、金属ペーストには、添加剤として、分散剤、湿潤剤、増粘剤、レベリング剤、地汚れ防止剤、ゲル化剤、シリコンオイル、シリコーン樹脂、消泡剤、または可塑剤等を適宜選択して添加してもよい。
また、溶媒としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン、およびアルキルベンゼン類を用いることもできる。
また、導電性材料としては、導電性有機材料を用いることもでき、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、およびポリフェニレンビニレン等の高分子系の可溶性材料を含んでいてもよい。
金属の微粒子に代えて、有機金属化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機金属化合物は、加熱による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機金属化合物には、クロロトリエチルホスフィン金、クロロトリメチルホスフィン金、クロロトリフェニルフォスフィン金、銀2,4−ペンタンヂオナト錯体、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀錯体、および銅ヘキサフルオロペンタンジオナトシクロオクタジエン錯体等がある。
導電性微粒子の他の例としては、レジスト、線状絶縁材料としてのアクリル樹脂、加熱してシリコンになるシラン化合物、および金属錯体等が挙げられる。これらは液体中に微粒子として分散されていても良く、溶解されて存在してもよい。加熱してシリコンになるシラン化合物としては、例えば、トリシラン、ペンタシラン、シクロトリシラン、および1,1’−ビスシクロブタシラン等がある。
さらには、導電性有機材料を含有する液体として、導電性高分子であるPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)とPPS(ポリスチレンスルホン酸)の水溶液、ドープドPANI(ポリアニリン)、およびPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)にPSS(ポリスチレンスルホン酸)をドープした導電性高分子の水溶液等を用いることができる。
半導体層を構成するための材料として、CdSe、CdTe、GaAs、InP、Si、Ge、カーボンナノチューブ、Si、およびZnO等の無機半導体、ペンタセン、アントラセン、テトラセン、およびフタロシアニン等の有機低分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフランおよびその誘導体等の複素環系導電性高分子、ならびにポリアニリンおよびその誘導体等のイオン性導電性高分子等の有機半導体を用いることができる。
なお、層間絶縁膜を構成する電気絶縁性の大きな材料、すなわち、絶縁性材料としては、以下のもの用いることができる。具体的には、有機材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、シルセスキオキサン、ポリビニルフェノール、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、およびポリビニルブチラール等が挙げられ、ポリビニルフェノールまたはポリビニルアルコールは適当な架橋剤によって、架橋して用いてもよい。ポリフッ化キシレン、フッ素化ポリイミド、フッ素化ポリアリルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(α、α、α’、α’―テトラフルオロ―パラキシレン)、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン、プロピレン共重合体の様なフッ素化高分子、ポリオレフィン系高分子、その他、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(α―ビニルナフタレン)、ポリビニルトルエン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(4―メチル―1―ペンテン)、ポリ(2―メチル―1、3―ブタジエン)、ポリパラキシレン、ポリ[1、1―(2―メチルプロパン)ビス(4―フェニル)カルボネート]、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリクロロスチレン、ポリ(2、6―ジメチル―1、4―フェニレンエーテル)、ポリビニルシクロヘキサン、ポリアリレンエーテル、ポリフェニレン、ポリスチレン―コ―α―メチルスチレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、およびポリ2、4―ジメチルスチレン等が有機材料として挙げられる。
多孔質の絶縁膜としては、二酸化珪素にリンを添加したリンシリケートガラス、二酸化珪素にリンおよびボロンを添加したホウ素リンリシケートガラス、ポリイミド、ならびにポリアクリル等の多孔質の絶縁膜が挙げられる。また、多孔質メチルシルセスキオキサン、多孔質ハイドロシルセスキオキサン、および多孔質メチルハイドロシルセスキオキサン等のシロキサン結合を有する多孔質の絶縁膜を形成することができる。
なお、印刷インクに含まれる材料としては上述のものに限定されず、用途に応じて、最適な材料が選択される。例えば、カラーフィルタを製造するために使用される着色剤を含む印刷インク等も適用できる。着色剤としては、公知の染料および顔料が挙げられる。また、このような印刷インクには、上述した分散媒およびバインダーが含まれていてもよい。
以下、撥液性について、下記に示す作製方法で作製したサンプル1〜サンプル5の5種類のサンプルを用いて説明する。
サンプル1〜サンプル5については、具体的には、加熱硬化させたシリコーンゴム層に対し、エキシマランプを具備したオーク製作所製VUS−3150を光源とし、酸素濃度1%未満の窒素雰囲気下において、10秒間光照射して、紫外光処理を行い、活性化処理を施した。
その後、シランカップリング剤として、durasurf専用プライマー剤(DS−PC−3B(型番))を用いて、シランカップリング処理を完了した。その後、未反応のシランカップリング剤をスピンコータによって回転させて除去した。その後、加熱温度および加熱条件を変化させて、シランカップリング剤の定着状態が異なる5種類の水準を試験した。次に、スピンコータを用いて、フッ素化合物である株式会社ハーベス製durasurf(DS−5210TH(品名))を、シランカップリング処理後のシリコーンゴム層に塗布し、温度120℃のホットプレートで20分間、フッ素化合物の定着処理を行った。最後に、フッ素化合物の未定着分をフッ素系溶媒(株式会社ハーベス製durasurf(DS−TH(品名)))をスピンコートすることによって除去して、撥液性の異なる撥インク部からなるサンプル1〜サンプル5の5種類のサンプルを作製した。
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Mass Spectrometry)を用いて、作製したサンプル1〜5の表面の構造解析を実施した。フッ素化合物の量とPDMS成分量の比率で、フッ素化合物のPDMS被覆率を評価した。
測定にはION−TOF社製TOF.SIMS300を用いた。1次イオン源としてBiを利用して、高質量分解能モードで測定した。ビーム径:2〜5μm、照射量:1.3×1010ions/cm、測定範囲:500μm、測定範囲内のステップ数:128×128の条件で、負の2次イオンを計測した。サンプル1〜5の飛行時間型二次イオン質量分析法による測定結果の定性スペクトルを図30および図31に示す。
上述の飛行時間型二次イオン質量分析より求められるフッ素化合物の量とPDMS由来の成分量の比率は、上述のように下記式からフッ素化合物のPDMS被覆率を推定した。サンプル1〜5のF/Si比の結果を下記表1に示す。
F/Si比=[COF]/([SiH]+[Si15])
なお、上記式の[COF]、[SiH]および[Si15]は、上述のとおりであるため説明を省略する。
サンプル1〜5に対して、「傾斜法(滑落法ともいう)」により、後退接触角θR,fを測定した。後退接触角θR,fの結果を下記表1に示す。その結果、サンプル1では、F/Si比が0.38で、後退接触角θR,fは0°であった。一方、サンプル5では、F/Si比が1946.75で、後退接触角θR,fは43°であった。
また、サンプル1〜5に対して、印刷版の表面全体にブレードコート法を用いて、インキングを行った。撥インク部に印刷インクが残らず、親インク部に印刷インクが流動したものを撥液性が良好、撥インク部に印刷インクが残ったものを撥液性が不良とした。
サンプル1とサンプル5の中間の処理を行った、サンプル2〜4についてもF/Si比、後退接触角θR,fおよび撥液性に対して正の相関が認められた。F/Si比が1689.75以上あれば、大きな後退接触角θR,fが得られ、十分であることが明らかになった。
なお、インキングには、銀ナノ粒子が分散した顔料インク(ULVAC株式会社製ナノ銀インク)を用いた。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の印刷方法および印刷装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
10 印刷装置
12 印刷装置本体
14 記憶部
16 判定処理部
18 制御部
20 ケーシング
20a 内部
22 画像記録部
24 版胴
24a、31a、52a、53a、54a、62a 表面
24b,50b 回転軸
25 印刷版
25a 画像部
25b 非画像部
25c 版面
26 版面観察部
27 凹部
27b 側面
30 ステージ
31 基板
32 乾燥部
33 イオナイザー
34 クリーニング部
36 メンテナンス部
39 転写部
40 インクジェットヘッド
40a ヘッドモジュール
41 ノズル
42 アライメントカメラ
43 吐出制御部
44 レーザ変位計
45 インクタンク
46 キャリッジ
48 リニアモータ
49 回動部
50 レベリング部
51 部材
52 基材
53 シリコーンゴム層
54 フッ素化合物層
61,61a,61b 打滴位置
62 印刷インク
80 薄膜トランジスタ
82 ゲート電極
84 チャネル領域
86a ソース電極
86b ドレイン電極
90 支持材
92 シリコーンゴム層
92a、93a、94a 表面
92b 凸部
92c 最表面
93 シリコーンゴム層
93b 側面
94 フッ素化合物層
98 パターン部
A、B、C、D アライメントマーク
G スピットエリア
11、G12、G21、G22、G31、G32 印刷エリア
Pe 終了位置
Pp 印刷位置
Ps 開始位置
S10、S12、S14、S16、S18、S20、S22 ステップ
T 吐出確認エリア
V 搬送方向
Y、Yr 方向
β 傾き角度
δ 高低差
θ 傾き角度

Claims (15)

  1. 印刷版の版面に予め定められた画像部にインクジェット法で印刷インクを付与するインク付与工程と、
    前記インク付与工程により前記画像部に付与された前記印刷インクを平坦化するレベリング工程と、
    前記レベリング工程により平坦化された前記画像部に付与された前記印刷インクを基板に転写する転写工程とを有し、
    前記レベリング工程は、前記印刷版の前記画像部の前記印刷インクとのインク密着性よりも前記印刷インクとのインク密着性が低い基材を前記印刷インクに圧着する工程を含む印刷方法。
  2. 前記レベリング工程に用いる基材は、シリコーンゴムを含む層を有する請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記レベリング工程に用いる基材は、前記シリコーンゴムを含む層の表面にフッ素化合物を含む層が設けられている請求項2に記載の印刷方法。
  4. 前記印刷版は、前記画像部と非画像部とを有し、
    前記画像部が凹部で構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
  5. 前記印刷版は、前記画像部と非画像部とを有する凹版であり、
    前記画像部が凹部かつ前記印刷インクに対して親液性であり、前記非画像部が前記印刷インクに対して撥液性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
  6. 前記印刷版は、前記画像部と非画像部とを有し、
    前記画像部が凹部であり、かつシリコーンゴムを含む層で構成され、
    前記非画像部が凸部であり、かつシリコーンゴムを含む層の表面に設けられたフッ素化合物を含む層で構成されており、
    前記画像部の表面と前記非画像部の表面との高低差が0.1μm超10μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
  7. 前記印刷インクに対して、前記画像部の前進接触角よりも、前記非画像部の後退接触角の方が大きい請求項4〜6のいずれか1項に記載の印刷方法。
  8. 前記印刷インクは溶媒を含み、前記画像部の前記溶媒の吸収速度は、前記非画像部の前記溶媒の吸収速度よりも速い請求項4〜7のいずれか1項に記載の印刷方法。
  9. 前記印刷インクの粘度が1mPa・s以上30mPa・s以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷方法。
  10. 前記インク付与工程は、前記画像部に対する前記印刷インクの付与量を変える請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷方法。
  11. 電子デバイスの製造に用いられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷方法。
  12. 配線パターンまたは電極の形成に用いられる請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷方法。
  13. 印刷版の版面に予め定められた画像部にインクジェット法で印刷インクを付与するインク付与部と、
    前記インク付与部により前記画像部に付与された前記印刷インクを平坦化するレベリング部と、
    前記レベリング部により平坦化された前記画像部に付与された前記印刷インクを基板に転写する転写部とを有し、
    前記レベリング部は、前記印刷版の前記画像部の前記印刷インクとのインク密着性よりも前記印刷インクとのインク密着性が低い基材を有し、前記基材を前記印刷インクに圧着させる印刷装置。
  14. 前記基材は、シリコーンゴムを含む層を有する請求項13に記載の印刷装置。
  15. 前記基材は、前記シリコーンゴムを含む層の表面にフッ素化合物を含む層が設けられている請求項14に記載の印刷装置。
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