JP2007123621A - 導電パターン及びその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、精度の高い導電パターン及びその形成方法並びに該導電パターンを有する電子素子、電子素子アレイ及び表示素子を提供することを目的とする。
【解決手段】導電パターン4は、擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2及び無機粒子を含有する多孔質表面層3が順次積層されている基板1上に形成されている。導電パターン4の形成方法は、基板1上に擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2を形成する工程と、多孔質受容層2上に無機粒子を含有する多孔質表面層3を形成する工程と、多孔質表面層3上に導電性材料を含有する液体を設ける工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】導電パターン4は、擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2及び無機粒子を含有する多孔質表面層3が順次積層されている基板1上に形成されている。導電パターン4の形成方法は、基板1上に擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2を形成する工程と、多孔質受容層2上に無機粒子を含有する多孔質表面層3を形成する工程と、多孔質表面層3上に導電性材料を含有する液体を設ける工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電パターン、導電パターンの形成方法、電子素子、電子素子アレイ及び表示装置に関する。
液晶表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機EL(Electro−luminescence)ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイは、電極、MIM(Metal−Insulator−Metal)素子、TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)等の能動素子、発光素子等の薄膜層をパターニングすることにより構成される部位を具備している。
特に、近年、一部又は全部に有機材料を用いた素子が、低コスト化、大面積化容易性等の製造上のメリットや無機材料にない機能発現の可能性から注目されている。例えば、特許文献1には、光、熱等の物理的外部刺激により、キャリアの移動度が変化する有機半導体材料を用いた電界効果型トランジスタが開示されている。
薄膜層をパターニングする方法としては、フォトリソグラフィー法が一般に使用される。その工程は、以下の通りである。
(1)薄膜層を有する基板上にフォトレジスト層を塗布する(レジスト塗布)。
(2)加熱により溶剤を除去する(プリベーク)。
(3)パターンデータに従って、レーザー又は電子線を用いて描画されたハードマスクを通して紫外光を照射する(露光)。
(4)アルカリ溶液で露光部のレジストを除去する(現像)。
(5)加熱により、未露光部(パターン部)のレジストを硬化する(ポストベーク)。
(6)エッチング液に浸漬又はエッチングガスに暴露することにより、レジストのない部分の薄膜層を除去する(エッチング)。
(7)アルカリ溶液又は酸素ラジカルにより、レジストを除去する(レジスト剥離)。
各薄膜層を形成した後、上記の工程を繰り返すことによって能動素子を作製することができるが、高価な設備と工程の長さがコストを上昇させる原因となっている。
(1)薄膜層を有する基板上にフォトレジスト層を塗布する(レジスト塗布)。
(2)加熱により溶剤を除去する(プリベーク)。
(3)パターンデータに従って、レーザー又は電子線を用いて描画されたハードマスクを通して紫外光を照射する(露光)。
(4)アルカリ溶液で露光部のレジストを除去する(現像)。
(5)加熱により、未露光部(パターン部)のレジストを硬化する(ポストベーク)。
(6)エッチング液に浸漬又はエッチングガスに暴露することにより、レジストのない部分の薄膜層を除去する(エッチング)。
(7)アルカリ溶液又は酸素ラジカルにより、レジストを除去する(レジスト剥離)。
各薄膜層を形成した後、上記の工程を繰り返すことによって能動素子を作製することができるが、高価な設備と工程の長さがコストを上昇させる原因となっている。
そこで、製造コストを低減するために印刷法によるパターン形成が試みられている。特許文献2には、TFTを構成する薄膜層のパターニング工程の一部を、フォトリソグラフィー法の代わりに、例えば、凹版オフセット印刷法で行う方法が開示されている。具体的には、凹部にレジストが入った印刷版の上を転写体が回転することによって、レジストが転写体に転写される。次に、これを被転写層(薄膜層)が形成された基板上に印刷することによって、被転写層(薄膜層)上にレジストパターンが形成される。しかしながら、凹版オフセット印刷法では、高精度なものを用いてもパターン寸法精度及び位置合わせ精度を合わせたパターン誤差は、±10μmであり、汎用的なものでは、±50μmにも及ぶため、線幅やパターン位置が正確なパターンを形成することはできない。
非特許文献1には、ナノパーティクルインクを用いたインクジェット法により、幅50μm、ピッチ400μm程度の金属配線を形成する方法が開示されている。しかしながら、プリンタに使用される通常のインクジェットヘッドを用いた場合、解像度が30μm、位置合わせ精度が±15μm程度であるため、線幅やパターン位置が正確なパターンを形成することは困難である。
特許文献3には、基板の上方に微小空隙型の受容層を設けることにより、導電性微粒子を含有する液体を用いて導電パターンを形成する際に、導電パターンを効率よく厚膜化することができることが開示されている。しかしながら、この方法では、導電性微粒子を効率よく厚膜化することは可能であるが、導電性微粒子を含有する液体は、受容層上で横方向にも広がりやすくなるため、形成される導電パターンの線幅の精度は、低下するという問題がある。
特開平7−86600号公報
特開2002−268585号公報
特開2004−6578号公報
SOCIETY FOR INFORMATION DISPLAY 2002 INTERNATIONAL SYMPOSIUM DIGEST OF TECHNICAL PAPER,Volume XXXIII,p.753〜755
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、精度の高い導電パターン及びその形成方法並びに該導電パターンを有する電子素子、電子素子アレイ及び表示素子を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、導電性材料を含有する導電パターンにおいて、擬ベーマイトを含有する多孔質受容層及び無機粒子を含有する多孔質表面層が順次積層されている基板上に形成されていることを特徴とする。これにより、精度の高い導電パターンを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導電パターンにおいて、前記多孔質受容層の空孔の半径は、1nm以上15nm以下であることを特徴とする。これにより、さらに精度の高い導電パターンを得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の導電パターンにおいて、前記多孔質受容層の単位重量当たりの空孔の容積は、0.3cm3/g以上1.0cm3/g以下であることを特徴とする。これにより、多孔質受容層に対する接着強度が強い導電パターンを得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電パターンにおいて、前記無機粒子の平均粒子径は、10nm以上100nm以下であることを特徴とする。これにより、さらに精度の高い導電パターンを得ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電パターンにおいて、前記多孔質受容層は、有機バインダーをさらに含有することを特徴とする。これにより、多孔質受容層の強度を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の導電パターンにおいて、前記導電性材料は、導電性高分子であり、前記多孔質受容層は、ドーパントをさらに含有することを特徴とする。これにより、導電率の良い有機導電性材料による導電パターンを得ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の導電パターンにおいて、前記導電性高分子は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、前記ドーパントは、ポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする。これにより、導電率の良い有機導電性材料による導電パターンを得ることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の導電パターンにおいて、前記導電性高分子は、ポリアニリンであり、前記ドーパントは、有機スルホン酸であることを特徴とする。これにより、導電率の良い有機導電性材料による導電パターンを得ることができる。
請求項9に記載の発明は、導電パターンの形成方法において、基板上に擬ベーマイトを含有する多孔質受容層を形成する工程と、該多孔質受容層上に無機粒子を含有する多孔質表面層を形成する工程と、該多孔質表面層上に導電性材料を含有する液体を設ける工程とを有することを特徴とする。これにより、精度の高い導電パターンを形成することが可能な導電パターンの形成方法を提供することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の導電パターンの形成方法において、インクジェット法を用いて、前記多孔質表面層上に導電性材料を含有する液体を設けることを特徴とする。これにより、精細な導電パターンを簡便に形成することができる。
請求項11に記載の発明は、導電パターンにおいて、請求項9又は10に記載の導電パターンの形成方法を用いて形成されていることを特徴とする。これにより、精度の高い導電パターンを提供することができる。
請求項12に記載の発明は、電子素子において、請求項1乃至8及び11のいずれか一項に記載の導電パターンを有することを特徴とする。これにより、良好な特性の電子素子を提供することができる。
請求項13に記載の発明は、電子素子アレイにおいて、請求項12に記載の電子素子を複数有することを特徴とする。これにより、良好な特性の電子素子アレイを提供することができる。
請求項14に記載の発明は、表示装置において、請求項13に記載の電子素子アレイを有することを特徴とする。これにより、良好な特性の表示素子を提供することができる。
本発明によれば、精度の高い導電パターン及びその形成方法並びに該導電パターンを有する電子素子、電子素子アレイ及び表示素子を提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
図1に、本発明の導電パターンの一例を示す。基板1上に擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2及び無機粒子を含有する多孔質表面層3が形成されており、さらに、その上に導電性材料を含有する導電パターン4が形成されている。なお、導電パターン4は、導電性材料を含有する液体(以下、導電性インクという)をインクジェット、ディスペンサー等の手段によって多孔質表面層3上に付与することにより、形成することができる。
基板1は、シリコン、ガラス、フィルム等の材料から、目的に応じて適宜選択することができる。
多孔質受容層2の擬ベーマイトは、ベーマイト結晶(Al2O3・nH2O、n=1〜1.5)の凝集体である。擬ベーマイトとしては、アルミナゾルを純水で希釈した液体を、親水化したコロジオン膜上に滴下して乾燥することより得られる、一定方向に配向した毛状束のベーマイト結晶の凝集体を用いることが好ましい。このような擬ベーマイトの分散液を、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター等の公知の方法によって、基板1上に塗布、乾燥することにより、多孔質受容層2を形成することができる。ベーマイト結晶は、基板1の表面に対して、b軸が垂直に配向していることが好ましい。
擬ベーマイトに有機バインダーを混合し、成膜することにより、強度が良好な多孔質受容層2を形成することが可能となる。有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)及びその変性物、SBRラテックス、NBRラテックス、デンプン及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。
多孔質受容層2の単位重量当たりの細孔の容積は、0.3cm3/g以上1.0cm3/g以下であることが好ましい。これにより、導電パターン4の多孔質受容層2に対する接着強度を向上させることができる。
多孔質受容層2の細孔の半径は、1nm以上15nm以下であることが好ましい。これにより、導電性インクを、多孔質受容層2内で、ほぼ膜厚方向にのみ浸透させることができる。
多孔質表面層3に含まれる無機粒子は、平均粒子径が10nm以上100nm以下であることが好ましい。これにより、多孔質表面層3に付与された導電性インクを速やかに浸透させることができる。
このように、擬ベーマイトを含有する多孔質受容層2上に無機粒子を含有する多孔質表面層3を設けることにより、多孔質表面層3に付与された導電性インクを速やかに膜厚方向に浸透させることができる。このため、導電性インクの横方向への広がりを極めて小さくすることができ、形成された導電パターンの線幅の精度を向上させることができる。
これらの条件により、多孔質表面層3上に導電性インクを付与した際に、形成される導電パターン4の形状精度や位置精度を高めることが可能となる。さらに、導電パターン4の密着性が向上するため、導電パターン4の剥がれ、浮き等の発生を抑制することができる。
導電性インクに用いられる導電性材料としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル等の金属や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTという)、ポリアニリン(以下、PANIという)等の導電性高分子等が挙げられる。また、金属の分散性を向上させるため、表面に有機物等をコーティングすることもできる。有機物としては、例えば、キシレン、トルエン等の有機溶剤、クエン酸等が挙げられる。導電性材料の粒子径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。粒子径が100nmよりも大きいと、インクジェットヘッド、ディスペンサー等のインク付与手段が目詰まりを起こすことがある。また、粒子径が1nmよりも小さいと、金属に対する有機物の体積比が大きくなり、導電パターン4中の有機物の割合が過多となるため、好ましくない。
導電性インクに用いられる分散媒は、室温(25℃)での蒸気圧が0.001mmHg以上200mmHg以下(0.133Pa以上26600Pa以下)であることが好ましい。室温での蒸気圧が200mmHgより大きいと、吐出後に分散媒が急激に蒸発して、良好な導電パターン4を形成することが困難となることがある。また、分散媒の室温での蒸気圧は、0.001mmHg以上50mmHg以下(0.133Pa以上6650Pa以下)であることがさらに好ましい。室温での蒸気圧が50mmHgより高いと、液滴吐出法で液滴を吐出する際に、乾燥によるノズル詰まりが発生しやすくなり、安定な吐出が困難になることがある。一方、室温での蒸気圧が0.001mmHgより小さい分散媒の場合には、乾燥が遅くなって導電パターン4中に分散媒が残留しやすくなり、導電率が低下することがある。
分散媒としては、特に限定されないが、具体的には、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン等の極性化合物が挙げられる。これらのうち、導電性材料の分散性及び導電性インクの安定性に優れ、インクジェット法へ適用しやすいことから、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、水、炭化水素系化合物がさらに好ましい。なお、分散媒は、単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
導電性インクにおける導電性材料の含有量は、導電パターン4の膜厚に応じて適宜調整することができるが、1重量%以上80重量%以下であることが好ましい。導電性材料の含有量が80重量%を超えると、導電性材料が凝集しやすくなり、均一な導電パターン4を形成することが困難になることがある。
導電性インクの表面張力は、0.02N/m以上0.07N/m以下であることが好ましい。インクジェット法で吐出する際に、表面張力が0.02N/m未満であると、導電性インクのノズル面に対する濡れ性が増大するため、飛行曲がりが生じることがある。また、表面張力が0.07N/mを超えると、ノズルの先端におけるメニスカスの形状が安定しないため、吐出量及び吐出タイミングの制御が困難になることがある。また、ディスペンサーで付与する場合であっても、表面張力が0.07N/mを超えると、導電性インクのノズルへの供給が困難になることがあり、表面張力が0.02N/m未満であると、ノズルからの液ダレが発生することがある。
導電性インクには、表面張力を調整するため、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等の界面活性剤を微量添加することができる。ノニオン系界面活性剤は、導電性インクの基板への濡れ性を良好にすると共に、レベリング性を改良し、ぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を抑制することができる。
導電性インクは、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含有することができる。
導電性インクの粘度は、1mPa・秒以上50mPa・秒以下であることが好ましい。インクジェット法で吐出する際に、粘度が1mPa・秒より小さい場合には、ノズルの周辺部に導電性インクが流出しやすくなることがあり、粘度が50mPa・秒より大きい場合には、ノズル孔での目詰まりの頻度が高くなり、円滑な吐出が困難になることがある。ディスペンサーで付与する場合であっても、粘度が50mPa・秒より大きい場合には、導電性インクのノズルへの供給が困難になることがあり、粘度が1mPa・秒より小さい場合には、ノズルからの液ダレが発生することがある。
導電性材料が導電性高分子である場合、ドーパントを添加することにより、導電性を付与することができる。例えば、導電性高分子がPEDOTの場合、ドーパントとして、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSという)を用いることにより、良好な導電率を得ることができる。また、導電性高分子がPANIの場合、ドーパントとして、有機スルホン酸を用いることにより、良好な導電率を得ることができる。導電性高分子がポリ(1,4−フェニレンスルフィド)の場合、ドーパントとして、AsF5を用いることにより、良好な導電率を得ることができる。導電性高分子材料がポリピロールの場合、ドーパントとして、有機スルホン酸を用いることにより、良好な導電率を得ることができる。
また、導電性高分子を含有する導電性インクにはドーパントを添加せず、多孔質受容層2に、有機バインダーと共にドーパントを添加することにより、導電パターン4を形成することが可能である。この場合、ドーパントの濃度、種類等を変えることにより、同じ導電性インクを用いて、導電パターン4の導電率を変えることが可能となる。また、ドーパントの濃度や種類に分布を与えることで、同じ導電性インクを用いて、基板1上に導電率の異なる導電パターン4を形成することも可能である。
図2に、本発明の電子素子の一例を示す。本電子素子は、本発明の導電パターンを有する。図1と同様に、基板1上に多孔質受容層2及び多孔質表面層3が形成されており、さらに、多孔質表面層3上に導電性インクを用いて導電パターン4が形成されている。この上に、後述するエネルギーを付与することによって臨界表面張力が変化する材料からなる濡れ性変化層5が形成されている。濡れ性変化層5の表面に紫外線等のエネルギーを付与することにより、表面エネルギーが高い領域(以下、濡れ性パターンという)が形成され、導電性インクを付与することにより、濡れ性パターン上に電極層6及び7が形成されている。これにより、フォトリソグラフィーと同等のパターニング精度で電極層6及び7を形成することができる。さらに、電極層6及び7上に有機半導体層8が形成されている。なお、電極層6及び7を形成する際に用いられる導電性インクは、導電パターン4を形成する際に用いられる導電性インクと同じものを用いることができるが、電極層6及び7と有機半導体層8との間の電気的接続が良好となるため、有機半導体層8と接触する部分には、導電性高分子を含有する導電性インクを用いて電極層6及び7を形成することが好ましい。
有機半導体層8には、ペンタセン、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン等の有機低分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフラン及びその誘導体等の複素環系導電性高分子、ポリアニリン及びその誘導体等のイオン性導電性高分子等の有機半導体材料を用いることができる。
図2の電子素子は、導電パターン4がゲート電極となり、電極層6及び7がソース電極及びドレイン電極となる電界効果トランジスタとして機能する。
ここで、濡れ性変化層5は、単一の材料からなっていてもよいし、2種類以上の材料からなっていてもよい。2種類の材料からなる場合には、具体的には、絶縁性に優れる材料と濡れ性変化が大きい材料を混合することにより、絶縁性に優れると共に、濡れ性変化が大きい濡れ性変化層5を形成することが可能となる。
また、濡れ性変化が大きいが、成膜性が低い材料を用いることが可能となるため、選択できる材料が多くなる。具体的には、濡れ性変化が大きいが、凝集力が強いため、成膜することが困難な材料を用いる場合に、この材料を成膜性が高い材料と混合することにより、濡れ性変化層5を形成することが可能となる。
図3に、濡れ性変化層の一例を示す。本濡れ性変化層は、第二の材料5bより絶縁性に優れる第一の材料5aと、第一の材料5aより濡れ性変化が大きい第二の材料5bが相分離した構造となっている。
このような構造は、第一の材料5aからなる層を形成した後に第二の材料5bからなる層を形成することにより、作製することが可能である。作製方法としては、真空蒸着等の真空プロセス、溶剤を用いた塗布プロセスを用いることができる。
また、第二の材料5bの極性が相対的に小さい場合、相対的に分子量の小さい場合等には、第一の材料5aと第二の材料5bを混合した溶液を塗布、乾燥することにより、作製することも可能である。これは、乾燥時に溶媒が蒸発するまでの間に第二の材料5bが表面側に移行するためである。
相対的に濡れ性変化の大きい第二の材料5bに対する相対的に絶縁性に優れる第一の材料5aの重量比は、通常、50/50〜99/1であり、60/40〜95/5が好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。重量比が50/50より小さくなると、濡れ性変化層の絶縁性が低下することがあり、99/1より大きくなると、濡れ性の変化が小さくなるため、パターニング性が低下することがある。
なお、図4に示すように、第一の材料5a及び第二の材料5bは、相分離していなくてもよいし、図4及び図5に示すように、膜厚方向に対して所定の濃度分布で第一の材料5a及び第二の材料5bが混在していてもよい。
また、濡れ性変化層5は、2種類以上の材料から構成されていてもよい。この場合は、2層以上の積層構造からなっていてもよいし、膜厚方向に対して所定の濃度分布で材料が混在していてもよい。
多孔質表面層3と接していない側の濡れ性変化層5の表面は、図6に示すように、第二の材料5bが均一に分散した表面からなっていることが好ましい。しかしながら、パターニングが可能であるならば、図7に示すように、第二の材料5bの中に第一の材料5aが分散している状態になっていてもよいし、図8に示すように、相分離を起こし、いわゆる海島構造になっていてもよい。
濡れ性変化層5は、熱、紫外線、電子線、プラズマ等のエネルギーを付与することによって、臨界表面張力が変化する材料からなる層であり、エネルギーを付与する前後で臨界表面張力の変化量が大きいことが好ましい。このような材料の場合、濡れ性変化層5の一部分にエネルギーを付与することにより、導電性インクが付着しやすい濡れ性パターンを形成することができる。さらに、濡れ性パターンに選択的に付着した導電性インクを固化することにより、電極層6及び7を形成することができる。
次に、固体表面に対する液体の濡れ性(付着性)について説明する。図9は、固体101の表面上で液滴102が接触角θで平衡状態にある状態を示す図であり、ヤングの式
γS=γSL+γLcosθ
が成立する。ここで、γSは、固体101の表面張力、γSLは、固体101と液滴102の界面張力、γLは、液滴102の表面張力である。
γS=γSL+γLcosθ
が成立する。ここで、γSは、固体101の表面張力、γSLは、固体101と液滴102の界面張力、γLは、液滴102の表面張力である。
表面張力は、表面エネルギーと実質的に同義であり、同じ値となる。cosθ=1の時、θ=0°となり、液滴102は、固体101に完全に濡れる。この時、γLは、γS−γSLとなり、これを固体101の臨界表面張力γCと呼ぶ。γCは、表面張力が既知である何種類かの液体を用いて、液滴102の表面張力と接触角の関係をプロットし、θ=0°(cosθ=1)となる表面張力を求めることにより、得られる(Zismanプロット)。γCの大きい固体101の表面には、液滴102が濡れやすく(親液性)、γCの小さい固体101の表面には液滴102が濡れにくい(疎液性)。
接触角θは、液滴法を用いて、測定することができる。液滴法には、顕微鏡を液滴102に向け、顕微鏡内のカーソル線を液滴102の接点に合わせて角度を読み取る接線法、十字のカーソルを液滴102の頂点に合わせ、一端を液滴102と固体101の接する点に合わせた時のカーソル線の角度を2倍することにより求めるθ/2法、モニター画面に液滴102を映し出し、円周上の1点(好ましくは、頂点)と、液滴102と固体101試料の接点(2点)をクリックしてコンピュータで処理する3点クリック法がある。このとき、接線法、θ/2法、3点クリック法の順に測定精度が高くなる。
図10は、PIX−X491−E01(チッソ社製)からなる濡れ性変化層を用いて、紫外線未照射部と紫外線照射部のZismanプロットを行ったものである。図10から、紫外線未照射部の臨界表面張力γCは、約24mN/m、紫外線照射部の臨界表面張力γC′は、約45mN/mであり、その差ΔγCは、約21mN/mであることがわかる。
導電性インクが親液性である濡れ性パターンに確実に付着するためには、表面エネルギー差が大きいこと、言い換えれば、臨界表面張力の差ΔγCが大きいことが必要である。
表1に、ガラス基板上に種々の材料からなる濡れ性変化層を形成し、エネルギー付与部とエネルギー未付与部の臨界表面張力の差ΔγC及びポリアニリン水溶液の選択付着性を評価した結果を示す。
表1から、ΔγCは、10mN/m以上であることが好ましく、15mN/m以上がさらに好ましいことがわかる。
なお、臨界表面張力が20mN/mより小さいと、殆どの溶媒を弾いてしまうため、有機半導体層8を塗布によって形成する場合には、臨界表面張力は20mN/m以上であることが好ましい。
濡れ性変化層5は、側鎖に疎水性基を有する高分子材料を含有することが好ましい。具体的には、ポリイミドやポリ(メタ)アクリル酸エステル等の骨格を有する主鎖に直接又は結合基を介して、疎水性基を有する側鎖が結合しているものが挙げられる。
疎水性基としては、末端構造が−CF2CH3、−CF2CF3、−CF(CF3)2、−C(CF3)3、−CF2H、−CFH2等であるアルキル基が挙げられる。分子鎖同士を配向しやすくするためには、疎水性基は、炭素数が4以上であることが好ましい。また、疎水性基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたポリフルオロアルキル基(以下、Rf基という)であることが好ましく、炭素数が4〜20のRf基がさらに好ましく、炭素数6〜12のRf基が特に好ましい。Rf基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造が好ましい。さらに、疎水性基は、アルキル基の水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であることが好ましい。パーフルオロアルキル基は、CnF2n+1−(ただし、nは4〜16の整数)で表わされる官能基であることが好ましく、nが6〜12の整数であることがさらに好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造が好ましい。
上記材料については、特開平3−178478号公報等に記載されており、加熱状態で液体又は固体と接触させたときに親液性となり、空気中で加熱すると疎液性となる性質を有する。即ち、(接触媒体の選択と)熱エネルギーの付与によって臨界表面張力を変化させることができる。
さらに、疎水性基としては、フッ素原子を含まない−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3等の末端構造を有するアルキル基が挙げられる。この場合にも、分子鎖同士を配向しやすくするためには、疎水性基は、炭素数が4以上であることが好ましい。疎水性基は、直鎖構造及び分岐構造のいずれであってもよいが、直鎖構造が好ましい。アルキル基は、ハロゲン基、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基又は炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基やアルコキシ基で置換されたフェニル基で置換されていてもよい。なお、アルキル基の結合部位が多い程、表面エネルギーが低く(臨界表面張力が小さく)、疎液性となると考えられる。このような高分子材料は、紫外線照射等によって、結合の一部が切断される又は配向状態が変化するために臨界表面張力が増加し、親液性になるものと推察される。
濡れ性変化層5上に有機半導体層8を形成することを考慮すると、側鎖に疎水性基を有する高分子材料は、ポリイミドであることが好ましい。ポリイミドは、耐溶剤性及び耐熱性に優れているため、濡れ性変化層5上に有機半導体層8を形成する際に、溶媒や焼成による温度変化によって、膨潤したりクラックが入ったりすることを抑制することができる。
また、濡れ性変化層5を2種類以上の材料から構成する場合においては、耐熱性、耐溶剤性、親和性を考慮すると、2種類以上の材料は、ポリイミドからなることが好ましい。
ポリイミドが側鎖に有する疎水性基としては、以下の5種類の一般式で示される官能基が挙げられる。
これらの材料についての詳細は、特開2002−162630号公報、特開2003−96034号公報、特開2003−267982号公報等に記載されている。また、側鎖に疎水性基を有するポリイミドの主鎖骨格を構成するテトラカルボン酸二無水物については、脂肪族系、脂環式、芳香族系等の材料を用いることが可能である。具体的には、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。この他、特開平11−193345号公報、特開平11−193346号公報、特開平11−193347号公報等に記載されている材料についても用いることが可能である。
側鎖に疎水性基を有するポリイミドは、単独で用いてもよいし、他の材料と混合して用いてもよい。ただし、混合して用いる場合は、耐熱性、耐溶剤性、親和性を考慮すると、混合する材料もポリイミドであることが好ましい。また、上述した5種類の一般式で示される官能基以外の疎水性基を有するポリイミドを用いることもできる。
ポリイミドが側鎖に疎水性基を有することにより、有機半導体層との界面特性を良好なものとすることができる。界面特性が良好であるとは、有機半導体が非晶質(高分子)である場合には、界面準位密度が減少し、電界効果移動度が増大することを意味し、有機半導体が高分子であり、長鎖アルキル基等の側鎖を有する場合には、その配向が規制されることにより、π共役主鎖の分子軸を概ね一方向に配列させることができ、電界効果移動度が増大する等の現象が出現することを意味する。
濡れ性変化層5の膜厚は、30nm〜3μmであることが好ましく、50nm〜1μmがさらに好ましい。膜厚が30nmより薄い場合には、絶縁性、ガスバリア性、防湿性等の特性が損なわれることがあり、3μmより厚い場合には、表面形状が悪化することがある。
濡れ性変化層5にエネルギーを付与する方法としては、紫外線照射を用いることが好ましい。これにより、大気中で操作でき、高い解像度が得られ、濡れ性変化層5のダメージを少なくすることができる。
導電性インクを濡れ性変化層5の表面に付与する方法として、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法等の各種塗布法を用いることができるが、濡れ性変化層5の表面エネルギーの影響を受けやすくするためには、より小さな液滴を供給することができるインクジェット法が特に好ましい。プリンタに使用されるレベルの通常のヘッドを用いた場合、インクジェット法の解像度は、30μm、位置合わせ精度は±15μm程度であるが、濡れ性変化層5における表面エネルギーの差を利用することにより、それよりも微細なパターンを形成することが可能となる。
図11に、本発明の電子素子アレイの一例を示す。ここで、(a)は、断面図であり、(b)は、電極等の配置関係を示す平面図である。本電子素子アレイでは、本発明の電子素子がアレイ状に配置されている。基板1上に多孔質受容層2及び多孔質表面層3が形成され、ゲート電極となる導電パターン4がインクジェット又はディスペンサーで形成されている。その上に濡れ性変化層5、ソース電極となる電極層6、ドレイン電極となる電極層7、ソース電極に接続する配線層8及びドレイン電極に接続する配線層9が、図2に示した場合と同様の方法で、それぞれ2次元アレイ状にパターンニングして複数個形成されている。
なお、各TFT(電子素子11)毎のゲート電極は、走査信号用のドライバーICにより駆動させるため、バスラインに接続され、同様に、各TFT(電子素子11)毎のソース電極も配線層9を介してデータ信号用のドライバーにより駆動させるため、バスラインに接続されている。
次に、有機半導体層8を、例えば、マイクロコンタクトプリンティング法でチャネル領域を含む島状に形成することにより、電子素子アレイを作製することができる。なお、マイクロコンタクトプリンティング法は、フォトリソグラフィーでパターン形成したマスターを用いてPDMS(ポリジメチルシロキサン)のスタンプを作製し、その凸部に有機半導体材料を含有する液体を付着させ、転写する方法である。有機半導体層8がチャネル領域を含む島状に形成されているので、隣接する素子部分への電流リークの発生を抑制することができる。
なお、図11では、ドレイン電極に接続する配線層10を設けた構成を示しているが、図3のように、ドレイン電極からの配線の引き出しが短い場合には、配線抵抗の影響が小さいので、配線層10を導電性高分子で形成してもよい。
図12に、本発明の表示装置の一例を示す。本表示装置は、図11の電子素子アレイを有する。電子素子アレイを構成する基板1と透明導電膜12を有する基板13との間に表示素子14が設けられ、TFT(電子素子11)によって画素電極を兼ねる配線層10上の表示素子14がスイッチングされる。基板13としては、ガラスやポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等のプラスチックを用いることができる。表示素子14としては、液晶、電気泳動、有機EL等の方式を用いることができる。
表示素子14として液晶を用いた液晶表示素子は、電界駆動であることから消費電力が小さく、また、駆動電圧が低いことから、TFTの駆動周波数を高くすることができ、大容量表示に適している。液晶表示素子の表示方式として、TN、STN、ゲスト・ホスト型、高分子分散液晶(Polymer−dispersed Liquid Crystal=PDLC)等が挙げられるが、反射型で明るい白色表示が得られることから、PDLCが好ましい。
電気泳動表示素子は、第1の色(例えば、白色)を呈する粒子を第2の色を呈する着色分散媒中に分散した分散液からなるもので、第1の色を呈する粒子は、着色分散媒中で帯電することにより、電界の作用で分散媒中における存在位置を変えることができ、それによって呈する色が変化する。この表示方式によれば、明るく、視野角の広い表示が可能となり、また、表示メモリー性があるため、特に消費電力の観点から好ましく使用される。
上記分散液を高分子膜で包んだマイクロカプセルとすることにより、表示動作が安定化すると共に、表示装置の製造が容易になる。マイクロカプセルは、コアセルベーション法、In−Situ重合法、界面重合法等の公知の方法で作製することができる。白色粒子としては、酸化チタンが特に好適に用いられ、必要に応じて、表面処理、他の材料との複合化等が施される。分散媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフテン系炭化水素等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、臭化エチル等のハロゲン化炭(化水)素類、含フッ素エーテル化合物、含フッ素エステル化合物、シリコーンオイル等の抵抗率の高い有機溶媒を使用するのが好ましい。分散媒を着色するためには、所望の吸収特性を有するアントラキノン類、アゾ化合物類等の油溶性染料が用いられる。分散液中には、分散安定化のために界面活性剤等を添加してもよい。
有機EL素子は、自発光型であるため、鮮やかなフルカラー表示を行うことができる。また、EL層は、非常に薄い有機薄膜であるので、柔軟性に富み、特にフレキシブルな基板上に形成するのに適している。
(実施例1)
アルミニウムアルコキシドを加水分解し、それを解膠することでアルミナゾルを調製した。アルミナゾルにポリビニルアルコール(ケン化度98.5%、重合度2400)を添加し、水を加えて固形分が15重量%の擬ベーマイト塗工液を調製した。このとき、ポリビニルアルコール/アルミナゾルの固形分比は、重量比で0.11とした。ダイコータを用いて、擬ベーマイト塗工液をガラス基板上に塗布、乾燥することにより、厚さ30μmの多孔質受容層を形成した。窒素吸着法で空孔率及び空孔径を測定したところ、空孔率は、0.5cm3/g、平均空孔径は、10nmであった。
アルミニウムアルコキシドを加水分解し、それを解膠することでアルミナゾルを調製した。アルミナゾルにポリビニルアルコール(ケン化度98.5%、重合度2400)を添加し、水を加えて固形分が15重量%の擬ベーマイト塗工液を調製した。このとき、ポリビニルアルコール/アルミナゾルの固形分比は、重量比で0.11とした。ダイコータを用いて、擬ベーマイト塗工液をガラス基板上に塗布、乾燥することにより、厚さ30μmの多孔質受容層を形成した。窒素吸着法で空孔率及び空孔径を測定したところ、空孔率は、0.5cm3/g、平均空孔径は、10nmであった。
次に、一次粒子径が10〜20nmのコロイダルシリカをシラノール変性ポリビニルアルコール共重合体と混合し、水を加えて固形分5重量%の多孔質表面層塗工液を調製した。このとき、ポリビニルアルコール共重合体/シリカの重量比は、0.1とした。多孔質表面層塗工液を多孔質受容層上に塗布、乾燥することにより、厚さ1μmの多孔質表面層を形成した。
さらに、インクジェット装置を用いて、Agナノメタルインク(住友電工社製)を多孔質表面層上に塗布し、200℃で焼成することにより、導電パターンを形成した。導電パターンは、設計線幅50μmに対して、50μm±1μmの範囲となっており、良好な精度の導電パターンが得られた。
(実施例2)
ダイコータを用いて、実施例1の擬ベーマイト塗工液にPSSを10重量%添加したものをガラス基板上に塗布、乾燥することにより、膜厚30μmの多孔質受容層を形成した。
(実施例2)
ダイコータを用いて、実施例1の擬ベーマイト塗工液にPSSを10重量%添加したものをガラス基板上に塗布、乾燥することにより、膜厚30μmの多孔質受容層を形成した。
次に、実施例1の多孔質表面層塗工液にPSSを10重量%添加したものを多孔質受容層上に塗布、乾燥することにより、厚さ1μmの多孔質表面層を形成した。
さらに、インクジェット装置を用いて、PEDOTの水溶液を多孔質表面層上に塗布することにより、導電パターンを形成した。導電パターンの寸法精度は、実施例1と同様であり、導電率は、1Ω・cmであり、良好な導電パターンが得られた。
(実施例3)
ダイコータを用いて、実施例1の擬ベーマイト塗工液に化学構造式
(実施例3)
ダイコータを用いて、実施例1の擬ベーマイト塗工液に化学構造式
次に、実施例1の多孔質表面層塗工液にジノニルナフタレンジスルホン酸を10重量%添加したものを多孔質受容層上に塗布、乾燥することにより、厚さ1μmの多孔質表面層を形成した。
さらに、インクジェット装置を用いて、PANIの水溶液を多孔質表面層上に塗布することにより、導電パターンを形成した。導電パターンの寸法精度は、実施例1と同様であり、導電率は、5Ω・cmであり、良好な導電パターンが得られた。
(実施例4)
実施例1と同様にして、図1に示す導電パターン4(ゲート電極)を形成した。
(実施例4)
実施例1と同様にして、図1に示す導電パターン4(ゲート電極)を形成した。
次に、スピンコート法を用いて、一般式
で示されるポリイミドの前駆体を溶解した溶液PIA−X491−E01(チッソ社製)を塗布し、210℃で焼成し、濡れ性変化層5を形成した。
さらに、開口幅が40μm、開口部間のスペースが5μmのパターンを施したマスクを濡れ性変化層5に圧着し、9J/cm2の紫外線を照射した。次に、インクジェット法を用いて、実施例1のAgナノメタルインクを濡れ性変化層5上に供給し、乾燥させて配線層(図示せず)を形成した。さらに、インクジェット装置を用いて、PEDOT/PSSの水溶液を濡れ性変化層5上に供給し、乾燥させて電極層6(ソース電極)及び7(ドレイン電極)を形成した。
最後に、スピンコート法を用いて、スキーム
以上の方法により、ゲート電極を簡便に形成しながら、移動度が8.5×10−4cm2/V・秒であり、ソース電極及びドレイン電極間に流れる電流のオン/オフ比が550である電子素子(TFT)が得られた。
(実施例5)
実施例4と同様の方法によって図11に示す電子素子(TFT)アレイを作製した。
(実施例5)
実施例4と同様の方法によって図11に示す電子素子(TFT)アレイを作製した。
次に、図13に示す表示装置を以下の方法で作製した。すなわち、酸化チタン粒子15及びオイルブルーで着色したアイソパー16を内包するマイクロカプセル17を、PVA水溶液と混合することにより得られる塗布液を、ITOからなる透明電極12を形成したポリカーボネートからなる基板13上に塗布、乾燥した。マイクロカプセル17とPVA18からなる層が形成された基板と、電子素子(TFT)アレイとを接着した。
導電パターン4(ゲート電極)に繋がるバスラインに走査信号用のドライバーICを、電極層6(ソース電極)に繋がる配線層9(バスライン)にデータ信号用のドライバーICを接続した。0.5秒毎に画面の切り替えを行ったところ、良好な静止画を表示することができた。
1 基板
2 多孔質受容層
3 多孔質表面層
4 導電パターン
5 濡れ性変化層
5a 第一の材料
5b 第二の材料
6、7 電極層
8 有機半導体層
9、10 配線層
11 電子素子
12 透明導電膜
13 基板
14 表示素子
101 固体
102 液滴
2 多孔質受容層
3 多孔質表面層
4 導電パターン
5 濡れ性変化層
5a 第一の材料
5b 第二の材料
6、7 電極層
8 有機半導体層
9、10 配線層
11 電子素子
12 透明導電膜
13 基板
14 表示素子
101 固体
102 液滴
Claims (14)
- 導電性材料を含有する導電パターンにおいて、
擬ベーマイトを含有する多孔質受容層及び無機粒子を含有する多孔質表面層が順次積層されている基板上に形成されていることを特徴とする導電パターン。 - 前記多孔質受容層の空孔の半径は、1nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電パターン。
- 前記多孔質受容層の単位重量当たりの空孔の容積は、0.3cm3/g以上1.0cm3/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電パターン。
- 前記無機粒子の平均粒子径は、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電パターン。
- 前記多孔質受容層は、有機バインダーをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電パターン。
- 前記導電性材料は、導電性高分子であり、
前記多孔質受容層は、ドーパントをさらに含有することを特徴とする請求項5に記載の導電パターン。 - 前記導電性高分子は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、
前記ドーパントは、ポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項6に記載の導電パターン。 - 前記導電性高分子は、ポリアニリンであり、
前記ドーパントは、有機スルホン酸であることを特徴とする請求項6に記載の導電パターン。 - 基板上に擬ベーマイトを含有する多孔質受容層を形成する工程と、該多孔質受容層上に無機粒子を含有する多孔質表面層を形成する工程と、該多孔質表面層上に導電性材料を含有する液体を設ける工程とを有することを特徴とする導電パターンの形成方法。
- インクジェット法を用いて、前記多孔質表面層上に導電性材料を含有する液体を設けることを特徴とする請求項9に記載の導電パターンの形成方法。
- 請求項9又は10に記載の導電パターンの形成方法を用いて形成されていることを特徴とする導電パターン。
- 請求項1乃至8及び11のいずれか一項に記載の導電パターンを有することを特徴とする電子素子。
- 請求項12に記載の電子素子を複数有することを特徴とする電子素子アレイ。
- 請求項13に記載の電子素子アレイを有することを特徴とする表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005315058A JP2007123621A (ja) | 2005-10-28 | 2005-10-28 | 導電パターン及びその形成方法 |
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ID=38147121
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009277710A (ja) * | 2008-05-12 | 2009-11-26 | Ricoh Co Ltd | 有機トランジスタ、有機トランジスタの製造方法、有機トランジスタアレイ及び表示装置 |
JP2012171092A (ja) * | 2011-02-21 | 2012-09-10 | Sony Dadc Austria Ag | マイクロ流体デバイス及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-10-28 JP JP2005315058A patent/JP2007123621A/ja active Pending
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