JP2019042774A - プレス成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品であって、円筒部の内周面と平板部との境界部分が直角に近付けられているプレス成形品を、機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることなく簡易に製造することができる製造方法を提供する。【解決手段】円形孔15が穿設された平板部11bを有する板体10bに対して、円筒部12を突出させる方向とは反対方向にパンチ23を前進させ、円形孔の周縁部を押し曲げることにより、円形孔の中心軸Cに近づくほど大きく突出するように傾斜した傾斜縁部16を形成してから、形成すべき円筒部の内径と等しい外径を有する円柱部24aと、先端に向かって縮径しているテーパ部24bとを有するパンチ24を、傾斜縁部が突出している方向から板体に対して前進させ、反対側まで押し曲げることにより円筒部を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品の製造方法に関するものである。
平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製の部品は、例えば管継手や軸継手として使用される。このような部品は、パンチによって円形孔の縁を押し立てることによって製造される。
図9を用いて具体的に説明すると、予め円形孔215を穿設しておいた平板210を(図9(a)参照)、ダイ231に載置し、押さえプレート232で押さえつつパンチ221を円形孔215に押し込む(図9(b)参照)。これにより、パンチ221の進行方向に金属材料が流動し、円形孔215の周縁部が押し立てられて、径が押し広げられた円形孔215bに円筒部212が接続された形状の成形品210bが製造される。しかしながら、このような方法で成形すると、金属材料の流動に伴って円筒部212の内周面と平板部211との境界部分に湾曲部Rが形成され、いわゆる「アールが付いた」状態となる。
このような湾曲部Rが形成されると、円筒部212の内周面における直筒部分(図9(c)に示す断面における長さN1の部分に相当)の面積が小さくなるため、或いは、平板部211における平坦部分(図9(c)に示す断面における長さN2の部分に相当)の面積が小さくなるため、相手部材とのシーリングが不十分になる等の問題がある。そのため、このような部品の製造に際しては、通常、その部品の用途等に応じて、円筒部の内周面において確保すべき直筒部分の長さ割合や、平板部において確保すべき平坦部分の長さ割合が定められている。従って、要請される条件を満たすために、湾曲部Rを直角に近付ける必要が生じる場合がある。
そのような場合、従来は、図9(d)に示すように、成形品210bを反転させて円筒部212の端面を上方に向け、この状態で円筒部212の外径を超える径を有するパンチ222で押圧していた。このとき、金属材料を湾曲部Rに向かって流動させることによって、円筒部212の内周面と平板部211との境界部分を、平板部211における平坦部分より少し突出させる。その後、突出させた部分を切削することにより、或いは平坦面を有するパンチで更に押すことにより、円筒部212の内周面と平板部211との境界部分を、直角に近い角部Eとすることができる。しかしながら、このような方法で角部Eを形成する場合、円筒部212の外周面と平板部211との境界部分に剪断力が作用し、窪みDfが生じてしまう。湾曲部Rの形成と同時に円筒部212の外周面と平板部211との境界部分に形成される湾曲部R’の大きさを、種々に変化させて調整すれば、窪みDfを生じさせないことも可能ではあるが、そのような調整には非常に手間がかかるため実用的ではない。そして、このような窪みDfが生じると、成形品の機械的強度を低下させる欠陥となる。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品であって、円筒部の内周面と平板部との境界部分が直角に近付けられているプレス成形品を、機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることなく簡易に製造することができる製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるプレス成形品の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、
「平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品を製造する製造方法であって、
前記円形孔が穿設された前記平板部を有する板体に対して、前記円筒部を突出させる方向とは反対方向に第一パンチを前進させ、前記円形孔の周縁部を前記反対方向に押し曲げることにより、前記円形孔の中心軸に近づくほど大きく突出するように傾斜した傾斜縁部を形成する逆曲げ工程と、
形成すべき前記円筒部の内径と等しい外径を有する円柱部、及び、先端に向かって縮径しているテーパ部を有する第二パンチを、前記傾斜縁部が突出している方向から前記板体に対して前進させ、前記傾斜縁部を前記板体に対する反対側まで押し曲げることにより前記円筒部を形成する円筒部形成工程と、
を具備する」ものである。
本製造方法では、最終的に円筒部となる円形孔の周縁部を、予め円筒部を突出させる方向とは反対方向に突出させ、円形孔の中心軸に近づくほど大きく突出するように傾斜した傾斜縁部としておく。そして、この傾斜縁部が突出している方向から、テーパ部を有するパンチを前進させて、傾斜縁部を押し曲げて円筒部を形成する。これにより、テーパ部によって押し曲げられる位置で、傾斜縁部には、パンチの前進方向に押すように作用する力に加えて、円形孔の径方向における外側に向かって押す力も作用する。
パンチの前進方向に作用する力のみであれば、傾斜縁部が押し曲げられる位置において大きなアールが付いた湾曲部が形成されるところ、径方向における外側に向かって押す力も作用するため、傾斜縁部が押し曲げられる位置に、直角に近い角部を形成することができる。つまり、本製造方法によれば、平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状であり、円筒部の内周面と平板部との境界部分に直角に近い角部を有するプレス成形品を、製造することができる。
また、本製造方法は、円筒部を形成しながら、円筒部の内周面と平板部との境界部分に直角に近い角部を形成する方法であり、従来の製造方法とは異なり、アールが付いた湾曲部が一旦形成されてしまった後に、湾曲部を直角に近付けるために更に押圧したり切削したりする工程を有していない。そのため、機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることなく、円筒部の内周面と平板部との境界部分に直角に近い角部を簡易に形成することができる。
本発明にかかるプレス成形品の製造方法は、上記構成に加え、
「前記逆曲げ工程の前に、
前記板体の前記円筒部を突出させる側の面において、前記円形孔の周縁部を前記平板部に対して相対的に突出させることにより段部を形成する段部形成工程を行い、
前記円筒部形成工程では、前記段部を拘束することにより、前記傾斜縁部を形成していた金属材料が前記円形孔に対する径方向に流動することを抑止する」ものとすることができる。
段部は、板体において円筒部を突出させる側の面に形成するものであり、円形孔の周縁部を平板部に対して突出させることにより形成された部分である。すなわち、傾斜縁部を形成した後では、傾斜縁部に対して外周縁側に段部が存在する。上述したように、パンチの前進に伴って傾斜縁部には、径方向における外側に向かう力も作用している。そのため、仮に段部が拘束されていないとすると、傾斜縁部を形成していた金属材料が径方向に過度に流動してしまい、円筒部を十分に形成することができないおそれがある。これに対し、本製造方法では、段部を拘束しているため、傾斜縁部を形成していた金属材料を径方向に逃がすことなく、円筒部を形成することができる。
本発明にかかるプレス成形品の製造方法は、上記構成に替えて、
「前記円筒部形成工程では、前記逆曲げ工程後の前記板体の外周面を拘束することにより、前記傾斜縁部を形成していた金属材料が前記円形孔に対する径方向に流動することを抑止する」ものとすることができる。
上記構成では、逆曲げ工程に先立って段部を形成しておき、円筒部形成工程で段部を拘束していたのに対し、本構成では段部を形成することなく、円筒部形成工程では板体の外周面を拘束する。このような方法によっても、段部を拘束する場合と同様に、傾斜縁部を形成していた金属材料の径方向への流動を抑止し、円筒部を形成することができる。なお、板体の外周面の拘束は、板体の外形に対応させた孔部を有する拘束体に板体を嵌め込んだ状態で円筒部形成工程を行うことにより、行うことができる。従って、拘束体の孔部の形状を板体の外形に合わせたものとすれば、板体の外形(すなわち、拘束体の孔部の形状)は不問である。
以上のように、本発明によれば、平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品であって、円筒部の内周面と平板部との境界部分が直角に近付けられているプレス成形品を、機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることなく簡易に製造することができる製造方法を、提供することができる。
本発明の第一実施形態である製造方法における工程を説明する図である。 図1に引き続き、第一実施形態の製造方法における工程を説明する図である。 図2に引き続き、第一実施形態の製造方法における工程を説明する図である。 第一実施形態の段部形成工程後の板体の斜視図である。 第一実施形態の製造方法により製造されたプレス成形品の斜視図である。 本発明の第二実施形態である製造方法における工程を説明する図である。 第二実施形態の逆曲げ工程後の板体の斜視図である。 第二実施形態の製造方法により製造されたプレス成形品の斜視図である。 従来の製造方法を説明する図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。まず、第一実施形態であるプレス成形品の製造方法、及び、該製造方法により製造されるプレス成形品1について、図1乃至図5を用いて説明する。
第一実施形態の製造方法は、平板部11bに設けられた円形孔15bの縁に円筒部12が接続された形状を呈するプレス成形品1を製造する製造方法であり、段部形成工程と、逆曲げ工程と、円筒部形成工程と、トリミング工程とを具備している。
より詳細に説明すると、本実施形態の製造方法では、予め円形孔15が穿設された板体10を使用する(図1(a)参照)。板体10は厚さが一定の平板であり、円形孔15を除く全体が平板部11である。説明の便宜上、平板部11において、円筒部12を形成させる側の表面を円筒部形成面S1とし、その反対側の表面を反対面S2とする。ここでは、板体10として、平面視が四角形のものを例示する。また、板体10は金属製であり、例えば高張力鋼製である。
段部形成工程では、円形孔15より大径の円柱状のパンチ21を使用する。ダイ31の上に、パンチ21の外径より僅かに大きな径の円形孔32hを有するダイ32を置く。ダイ32の高さは、板体10の厚さより小さい設定とする。ダイ32の上に板体10を載置する。板体10の向きは、ダイ32に円筒部形成面S1を当接させ、反対面S2をパンチ21に対面させる向きとする。ダイ32の円形孔32h、及びパンチ21それぞれの中心軸と、板体10の円形孔15の中心軸Cとを一致させた状態で、板体10の外周縁部を押さえプレート33で押さえつつ、パンチ21を前進(降下)させる(図1(b)参照)。
これにより、板体10の平板部11のうち円形孔15の周縁部が、ダイ32の高さ分だけ押し下げられ、平板部11に平行な平板部11bを更に有する板体10bが形成される。換言すれば、平板部11bは、円形孔15の周縁部が平板部11に対して突出して段違いとなった部分である。平板部11bと平板部11との境界線を含む平板部11bの外周面が段部13であり、段部形成工程によって円筒部形成面S1に段部13が形成されたことなる(図1(c)及び図4参照)。
平板部11bにおける円形孔15の周縁部の幅W1によって、後の工程で形成する傾斜縁部16の幅W2が制限され、傾斜縁部16の幅W2によって、その後の工程で形成する円筒部12の長さが定まるため、この段階で幅W1を調整しておく。つまり、円形孔15の径の大きさを調整する。この調整は、切断刃を有するパンチ22で円形孔15を打ち抜くことにより行うことができる(図1(d)参照)。
なお、段部形成工程を経て板体10が変形して板体10bとなったように、以下の工程を経て板体10c,10dへと変形していくが、板体10b〜10dそれぞれにおいて、板体10における円形孔15の中心軸Cに相当する軸を、以下では「板体の中心軸C」と総称する。
次に、逆曲げ工程を行う。この工程で使用するパンチ23は、一定の外径を有する円柱部23aと、先端に向かって線形に縮径しているテーパ部23bとからなり、テーパ部23bを前進方向の端部に有している。このパンチ23が、本発明の第一パンチに相当する。ダイ41の上に板体10bを載置する。板体10bの向きは、円筒部形成面S1をパンチ23に対面させ、反対面S2をダイ41に当接させる向きとする。板体10bは段部13を有しているため、ここに押さえプレート42を当接させることにより、板体10bの位置決めをすることができる(図2(e)参照)。板体10bの中心軸Cとパンチ23の中心軸とを一致させた状態で、板体10bの外周縁部を押さえプレート42で押さえつつ、パンチ23を前進させる。
パンチ23を前進させることにより、そのテーパ部23bで円形孔15の周縁部が押し曲げられ、傾斜縁部16を有する板体10cが形成される。すなわち、傾斜縁部16は、後の工程で円筒部12を突出させる方向とは反対方向に向かって突出する。パンチ23の前進に伴い傾斜縁部16は、板体10cの中心軸Cに近づくほど大きく突出するように傾斜する(図2(f)参照)。傾斜縁部16の傾斜角度は、パンチ23を前進させる距離によって調整される。また、傾斜縁部16の幅W2も、パンチ23を前進させる距離により調整されるが、当然ながら平板部11bの幅W1以下である。
次に、円筒部形成工程を行う。この工程で使用するパンチ24は、一定の外径を有する円柱部24aと、先端に向かって線形に縮径しているテーパ部24bとからなり、テーパ部24bを前進方向の端部に有している。円柱部24aの外径は、形成しようとしている円筒部12の内径と等しい。このパンチ24が、本発明の第二パンチに相当する。
板体10cは、逆曲げ工程での状態から反転させて、ダイ51の上に載置する。つまり、板体10cの向きは、円筒部形成面S1をダイ51に当接させ、反対面S2をパンチ24に対面させる向きとする。このような向きにすることにより、板体10cの傾斜縁部16が、パンチ24に向かって突出している状態となる(図2(g)参照)。
ダイ51は、形成しようとしている円筒部12の外径と径が等しい円形孔51hを有している。また、ダイ51に板体10cを載置する際、板体10cの段部13を拘束する拘束体53を、ダイ51の上に載置する。拘束体53は厚さが段部13の高さと等しく、段部13の外径と等しい内径を有する円形孔53hが貫設されている。これにより、拘束体53の円形孔53hに嵌め込むようにして、段部13を拘束することができる。この状態で、ダイ51の円径孔51h、及びパンチ24それぞれの中心軸と、拘束体53に拘束された板体10cの中心軸Cとを一致させた状態で、板体10cの外周縁部を押さえプレート52で押さえつつ、パンチ24を前進させる。
パンチ24の前進により、まずテーパ部24bが板体10cの傾斜縁部16に当接し、パンチ24の更なる前進により傾斜縁部16が押し曲げられるように変形する。ここで、傾斜縁部16はパンチ24に向かって突出しており、しかも、板体10cの中心軸Cに近づくほど大きく突出するように傾斜している。そのため、テーパ部24bによって押し曲げられる位置で、傾斜縁部16には、パンチ24の前進方向に押すように作用する力に加えて、板体10cの中心軸Cを中心とする円の径方向(以下、単に「径方向」と称する)における外側に向かって押す力も作用する。これにより、傾斜縁部16が押し曲げられる位置において、大きなアールが付いた湾曲部が形成されることなく、直角に近い角部Eが形成される。
ここで、平板部11に平行な面に対する傾斜縁部16の角度θ(図2(f)参照)が小さ過ぎると、傾斜縁部16が径方向に押される力が小さくなり、傾斜縁部16が押し曲げられる位置において、図9を用いて説明した従来の製造方法と同様にアールの付いた湾曲部が形成される。一方、傾斜縁部16の角度θが大き過ぎると、傾斜縁部16が押し曲げられる位置において、傾斜縁部16を形成していた金属材料がパンチ24側に残留してコブのように突出してしまう。そのため、最終的な製品であるプレス成形品1に所望される円筒部12の長さや厚さ、金属材料の種類による流動し易さの相違等に応じて、傾斜縁部16の角度θを調整する。
パンチ24の円柱部24aがダイ51の円形孔51hに挿入されるまでパンチ24を前進させると、傾斜縁部16を形成していた金属材料がパンチ24の前進方向へ流動することによって円筒部12が形成される。このとき、円筒部12は、パンチ24の円柱部24aの外周面とダイ51の円形孔51hの内周面との間に流動する金属材料によって形成され、円筒部12の孔部15bは円柱部24aの外径と等しい径となる。
このような円筒部12の形成に当たり、板体10cの段部13は拘束体53によって拘束されている。上記のように、傾斜縁部16にはパンチ24の前進に伴い径方向における外側に向かう力も作用しているため、仮に拘束体53による拘束がないとすると、傾斜縁部16を形成していた金属材料が径方向にも流動してしまい、円筒部12を十分に形成することができないおそれがある。これに対し、本製造方法では、板体10cの段部13を拘束体53によって拘束しているため、金属材料を径方向に逃がすことなく円筒部12を形成することができる。すなわち、本製造方法は、傾斜縁部16の傾斜によって、径方向における外側に向かう力を作用させる一方で、段部13の拘束により金属材料の径方向への流動を妨げることによって、直角に近い角度で傾斜縁部16を押し曲げながら円筒部12を形成する、という方法である。
上記の円筒部形成工程により、平板部11と段違いである平板部11bの円形孔15bの縁に円筒部12が接続された形状の板体10dが形成される(図2(h)参照)。板体10dでは、円筒部12の内周面と平板部11bとの境界部分は、直角に近い角部Eである。
なお、この段階で、円筒部12の内周面及び平板部11bを整えるために、パンチ25による成形を行っても良い(図3(i)参照)。パンチ25は、平板部11の内径と等しい外径を有する大径部25aと、孔部15bの径と等しい外径を有する小径部25bとからなり、小径部25bを前進方向の端部に有していると共に、大径部25aの前進方向の端面は水平な平滑面である。パンチ25を前進させ、小径部25bを孔部15bに進入させると共に、大径部25aの端面で平板部11bを押圧することにより、円筒部12の内周面の表面粗さを低減させると共に、平板部11bの平滑性を高めることができる。なお、パンチ25により成形する際は、ダイ61に板体10dを保持させる。ダイ61は、パンチ25の小径部25bを挿通させる円形孔61hを有しており、円形孔61hの内周面には、板体10dの段部13及び円筒部12の外形に沿う形状の凹凸が形成されている。
最後に、トリミング工程を行う。この工程では、板体10dの中心軸Cを中心とする円であって、円筒部12の外周面より外側で、且つ、段部13より内側の点を通る円に沿って、平板部11bを切断する(図3(j)における二点鎖線を参照)。
これにより、平板部11bの円形孔15bの縁に円筒部12が接続された形状であり、円筒部12の内周面と平板部11bとの境界部分に直角に近い角部Eを有するプレス成形品1を得ることができる(図3(k)及び図5参照)。このようなプレス成形品1は、一般的に、製造に際して、円筒部12の内周面において全高L1に対する直筒部の長さL2を一定値以上とすることが要請されている。円筒部12の内周面と平板部11bとの境界部分を直角に近い角部Eとすることにより、このような要請を満たすプレス成形品1を製造することができる。
以上のように、第一実施形態の製造方法によれば、平板部11bの円形孔15bの縁に円筒部12が接続された形状であり、円筒部12の内周面と平板部11bとの境界部分に直角に近い角部Eを有するプレス成形品1を、製造することができる。従来の製造方法では、円筒部を形成する際に、その内周面と平板部との境界部分に形成されてしまった湾曲部を直角に近付けるために円筒部の端部を押圧していたため、剪断力の作用によって円筒部の外周面と平板部との境界に欠陥が生じていた。本製造方法は、このように湾曲部が一旦形成されてしまった後に、反対側から押圧して金属材料の流動によって湾曲部を直角に近付けていた従来とは異なり、円筒部12を形成する段階で直角に近い角部Eが形成されるものであるため、機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることがない利点を有している。
また、従来の製造方法では、円筒部の内周面と平板部との境界の湾曲部を矯正するために円筒部の端面を押圧する際に、金属材料が流動する量を調整する目的で、円筒部の外周面と平板部との境界部分に形成される湾曲部の大きさを種々に調整する必要があり、大変に手間がかかった。また、従来の製造方法では、金属材料を流動させる押圧によって、一旦形成された湾曲部を敢えて平板部より突出させてから、切削または押圧によって直角に近い角部を形成していたため、工程数も非常に多かった。これに対し、本製造方法では、円形孔の周縁部を反対方向に押し曲げて傾斜縁部を形成する逆曲げ工程を付加し、円筒部形成工程で使用するパンチの形状を工夫することのみにより、機械的強度を低下させる欠陥のない優れたプレス成形品1を、従来の製造方法より少ない工程数で、簡易に製造することができる。
次に、本発明の第二実施形態であるプレス成形品の製造方法、及び、該製造方法により製造されるプレス成形品100について、図6乃至図8を用いて説明する。第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第二実施形態の製造方法は、平板部111に設けられた円形孔115bの縁に円筒部112が接続された形状を呈するプレス成形品100を製造する製造方法であり、逆曲げ工程と、円筒部形成工程と、トリミング工程とを具備している。第一実施形態の製造方法とは、段部形成工程を行わない点で相違している。
より詳細に説明すると、第二実施形態の製造方法では、円形孔115が穿設された板体110を使用する。板体110は厚さが一定の平板で外形が正方形であり、円形孔115を除く全体が平板部111である。第一実施形態と同様に、円形孔115の大きさによって、平板部111における円形孔115の周縁部の幅が、後の工程で形成する傾斜縁部116の幅、及び、傾斜縁部116の幅によって定まる円筒部112の長さに応じて調整されている。
逆曲げ工程では、第一実施形態の逆曲げ工程で使用されるパンチ23と同様のパンチを使用する。板体110を、その円筒部形成面S1をパンチ23に対面させる向きで、ダイ141の上に載置する。その際、板体110の外周面に位置決め部材143を当接させる。板体110の中心軸Cとパンチ23の中心軸とを一致させた状態で、板体110の外周縁部を押さえプレート142で押さえつつ、パンチ23を前進(降下)させる(図6(a)参照)。
パンチ23を前進させることにより、そのテーパ部23bで円形孔115の周縁部が押し曲げられ、傾斜縁部116を有する板体110bが形成される。傾斜縁部116は、後の工程で円筒部112を突出させる方向とは反対方向に向かって突出すると共に、板体110bの中心軸Cに近づくほど大きく突出するように傾斜する(図6(b)参照)。
次に、円筒部形成工程を行う。この工程では、第一実施形態の円筒部形成工程で使用されるパンチ24と同様のパンチを使用する。板体110bは、逆曲げ工程における状態から反転させて(図7参照)、ダイ151の上に載置する。これにより、板体110bの傾斜縁部116が、パンチ24に向かって突出している状態となる(図6(c)参照)。
ダイ151は、形成しようとしている円筒部112の外径と径が等しい円形孔151hを有している。また、ダイ151に板体110bを載置する際に、板体110bの外周面113を拘束する拘束体153を、ダイ151の上に載置する。拘束体153は厚さ(高さ)が板体110bの厚さと等しく、板体110bの外形に形状及び大きさを合わせた正方形の孔部153hが貫設されている。板体110bは孔部153hに嵌め込まれ、板体110bの外周面が孔部153hの内周面に当接して拘束される。この状態で、ダイ151の円径孔151h、及びパンチ24それぞれの中心軸と、拘束体153に拘束された板体110bの中心軸Cとを一致させた状態で、板体110bの外周縁部を押さえプレート152で押さえつつ、パンチ24を前進させる。
パンチ24の前進により、テーパ部24bが板体110bの傾斜縁部116に当接し、パンチ24の更なる前進により傾斜縁部116が押し曲げられるように変形する。ここで、傾斜縁部116はパンチ24に向かって突出していることに加え、板体110bの中心軸Cに近づくほど大きく突出するように傾斜しているため、テーパ部24bによって押し曲げられる位置で、傾斜縁部116には、パンチ24の前進方向に押すように作用する力に加えて、径方向における外側に向かって押す力も作用する。これにより、傾斜縁部116が押し曲げられる位置において、大きなアールが付いた湾曲部が形成されることなく、直角に近い角部Eが形成される。
パンチ24の円柱部24aがダイ151の円形孔151hに挿入されるまでパンチ24を前進させると、傾斜縁部116を形成していた金属材料がパンチ24の前進方向へ流動することによって円筒部112が形成される。このとき、円筒部112は、パンチ24の円柱部24aの外周面とダイ151の円形孔151hの内周面との間に流動する金属材料によって形成され、円筒部112の孔部115bは円柱部24aの外径と等しい径となる。
このような円筒部112の形成に当たり、傾斜縁部116に径方向における外側に向かう力を作用させる一方で、板体110bの外周面113は拘束体153によって拘束されているため、金属材料を径方向に過度に逃がすことなく直角に近い角度で傾斜縁部16を押し曲げながら円筒部112が形成される。すなわち、第一実施形態の製造方法では、段部13の拘束により金属材料の径方向への流動を妨げていたのに対し、第二実施形態の製造方法では、板体110bの外周面113の拘束によって金属材料の径方向への流動を妨げる。
なお、ここでは、板体110bの外形が正方形であり、これに合わせて拘束体153の孔部153hが正方形である場合を例示しているが、孔部153hの大きさ及び形状が板体110bの外形に合わせられており、孔部153hに板体110bを嵌め込むことができれば、板体110bの外形(すなわち、孔部153hの形状)は何ら限定されない。例えば、板体110bの外形が、矩形以外の四角形、四角形の外周辺を湾曲させた形状、四角形以外の多角形、四角形以外の多角形の外周辺を湾曲させた形状、円形、楕円形であっても、その形状に合わせた孔部153hを有する拘束体153によって、板体110bの外周面を拘束することができる。
上記の円筒部形成工程により、平板部111の円形孔115bの縁に円筒部112が接続された形状の板体110cが形成される(図6(d)参照)。板体110cにおいて円筒部112の内周面と平板部111との境界部分は、直角に近い角部Eである。なお、この段階で、円筒部112の内周面の表面粗さを低減させる成形を行うことができる。
最後に、トリミング工程として、板体110cの中心軸Cを中心とする円であって、円筒部112の外周面より外側の点を通る円に沿って、平板部110を切断する工程を行う(図6(d)における二点鎖線を参照)。これにより、平板部111の円形孔115bの縁に円筒部112が接続された形状であり、円筒部112の内周面と平板部111との境界部分に直角に近い角部Eを有するプレス成形品100を得ることができる(図8参照)。このようなプレス成形品100は、円筒部112の内周面において全高に対する直筒部の長さを一定値以上とすることが要請されている場合であっても、円筒部112の内周面と平板部111との境界部分が直角に近い角部Eであることにより、その要請を満たすことができる。
上記のように、第二実施形態の製造方法によっても、第一実施形態の製造方法と同様に、円筒部112の内周面と平板部111との境界部分に直角に近い角部Eが形成されたプレス成形品100を、円筒部112の外周面と平板部111との境界部分に機械的強度を低下させる欠陥を生じさせることなく、簡易に製造することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、円筒部12,112の内周面において全高に対する直筒部の長さを一定値以上とすることが要請されているプレス成形品1,100を製造する場合を例示した。これに限定されず、平板部における平坦部分の面積割合を一定値以上にすることが要請されているプレス成形品についても、円筒部の内周面と平板部との境界部分を直角に近い角部とすることにより、その要請を満たすことができる。
1 プレス成形品
10,10b,10c,10d 板体
11,11b 平板部
12 円筒部
13 段部
15,15b 円形孔
16 傾斜縁部
23 パンチ(第一パンチ)
24 パンチ(第二パンチ)
24b テーパ部
100 プレス成形品
110,110b,110c 板体
112 円筒部
115,115b 円形孔
116 傾斜縁部

Claims (3)

  1. 平板部に設けられた円形孔の縁に円筒部が接続された形状を呈する金属製のプレス成形品を製造する製造方法であって、
    前記円形孔が穿設された前記平板部を有する板体に対して、前記円筒部を突出させる方向とは反対方向に第一パンチを前進させ、前記円形孔の周縁部を前記反対方向に押し曲げることにより、前記円形孔の中心軸に近づくほど大きく突出するように傾斜した傾斜縁部を形成する逆曲げ工程と、
    形成すべき前記円筒部の内径と等しい外径を有する円柱部、及び、先端に向かって縮径しているテーパ部を有する第二パンチを、前記傾斜縁部が突出している方向から前記板体に対して前進させ、前記傾斜縁部を前記板体に対する反対側まで押し曲げることにより前記円筒部を形成する円筒部形成工程と、
    を具備することを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. 前記逆曲げ工程の前に、
    前記板体の前記円筒部を突出させる側の面において、前記円形孔の周縁部を前記平板部に対して相対的に突出させることにより段部を形成する段部形成工程を行い、
    前記円筒部形成工程では、前記段部を拘束することにより、前記傾斜縁部を形成していた金属材料が前記円形孔に対する径方向に流動することを抑止する
    ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記円筒部形成工程では、前記逆曲げ工程後の前記板体の外周面を拘束することにより、前記傾斜縁部を形成していた金属材料が前記円形孔に対する径方向に流動することを抑止する
    ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
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