JP2019042728A - 塩基性の部位を備える物質を選択的に吸着する吸着材 - Google Patents
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Abstract
Description
ペクチン0.05gを蒸留水160mL中に分散した。0.080mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.048mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液25mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間撹拌し、ペクチンの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。
0.010mol/Lの酢酸カルシウム水溶液100mL中にBSA50mgを加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.006mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液100mLをさらに滴下して撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで3時間撹拌し、BSAの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。
0.004mol/Lの酢酸カルシウム水溶液180mL中に、アセトン5mLに溶解したポリ乳酸40mgを加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで10分間撹拌した。0.024mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに滴下して撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、ポリ乳酸の表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を濾過して水を除去した後、固形物を凍結乾燥させて、粒径が10〜100nmのコアシェル型粒子を得た。このコアシェル型粒子の透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。この写真から、このコアシェル型粒子は、均一な面間隔の結晶層をシェルとするコアシェル型粒子であることがわかった。また、その面間隔の値(0.34nm)から、表面の95%以上の結晶面がc面であることがわかった。
実施例1と同様の方法で、ヒドロキシアパタイト結晶体(太平化学産業株式会社、HAP−100、粒径200nm)のタンパク質吸着評価を行った。なお、このヒドロキシアパタイト結晶体の表面には、結晶a面と結晶c面が存在し、結晶c面の割合は約20%である。このヒドロキシアパタイト結晶体1mg当たりの各種タンパク質の吸着量は、酸性タンパク質であるBSAが6μg、中性タンパク質であるミオグロビンが14μgであったのに対して、塩基性タンパク質であるリゾチームが6μgであった。比較例のヒドロキシアパタイト結晶体では、酸性タンパク質の吸着量に対する塩基性タンパク質の吸着量が1倍、中性タンパク質の吸着量に対する塩基性タンパク質の吸着量が0.4倍であった。
ヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬製、089−10343)0.1gを蒸留水200mL中に分散した。2.00mol/Lの酢酸カルシウム水溶液2mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。1.20mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液2mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間撹拌し、ヒアルロン酸の表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を遠心分離で固液分離した後、固形物を凍結乾燥させて、直径が約20nmのコアシェル型粒子を得た。
カルボキシメチルセルロース(和光純薬製、039−01335)0.1gを蒸留水200mL中に分散した。0.80mol/Lの酢酸カルシウム水溶液2mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.48mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液2mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間撹拌し、カルボキシメチルセルロースの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を遠心分離で固液分離した後、固形物を凍結乾燥させて、繊維状コアシェル型粒子を得た。
カルボキシメチルセルロース(和光純薬製、039−01335)0.1gを蒸留水200mL中に分散した。2.00mol/Lの酢酸カルシウム水溶液2mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。1.20mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液2mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間撹拌し、カルボキシメチルセルロースの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を遠心分離で固液分離した後、固形物を凍結乾燥させて、繊維状コアシェル型粒子を得た。
ペクチン(和光純薬製、164−00552)0.1gを蒸留水160mL中に分散した。0.040mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.024mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、ペクチンの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。透析膜を用いてこの水分散液を脱塩した後、凍結乾燥させて、シート状コアシェル型粒子を得た。
0.020mol/Lの酢酸カルシウム水溶液および0.012mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液を用いた点、ならびにマグネティックスターラーを用いた撹拌を72時間から24時間に変更した点を除いて、実施例7と同様にしてシート状コアシェル型粒子を得た。このコアシェル型粒子の透過型電子顕微鏡写真から、このコアシェル型粒子は、ペクチンをコアとし、その周囲を厚み約2nmのヒドロキシアパタイト結晶シェルが覆った繊維状複合体が、短手方向に連なったシート構造を備えていることがわかった。さらに、このコアシェル型粒子表面の90%以上の結晶面がc面であることがわかった。
0.080mol/Lの酢酸カルシウム水溶液および0.048mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液を用いた点、ならびにマグネティックスターラーを用いた撹拌を72時間から48時間に変更した点を除いて、実施例7と同様にしてシート状コアシェル型粒子を得た。このコアシェル型粒子の透過型電子顕微鏡写真から、このコアシェル型粒子は、ペクチンをコアとし、その周囲を厚み約5nmのヒドロキシアパタイト結晶シェルが覆った繊維状複合体が、短手方向に連なったシート構造を備えていることがわかった。さらに、このコアシェル型粒子表面の98%以上の結晶面がc面であることがわかった。
0.24mol/Lの酢酸カルシウム水溶液および0.14mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLを用いた点、ならびにコアシェル型粒子の水分散液を遠心分離で固液分離した点を除いて、実施例8と同様にしてシート状コアシェル型粒子を得た。このコアシェル型粒子の透過型電子顕微鏡写真から、このコアシェル型粒子は、ペクチンをコアとし、その周囲を厚み約8nmのヒドロキシアパタイト結晶シェルが覆った繊維状複合体が、短手方向に連なったシート構造を備えていることがわかった。さらに、このコアシェル型粒子表面の95%以上の結晶面がc面であることがわかった。
カルボキシメチルセルロース(和光純薬製、039−01335)0.05gを蒸留水160mL中に分散した。0.020mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.012mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、カルボキシメチルセルロースの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。透析膜を用いてこの水分散液を脱塩した後、凍結乾燥させて、シート状コアシェル型粒子を得た。
カルボキシメチルセルロース(和光純薬製、039−01335)0.05gを蒸留水160mL中に分散した。0.20mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.12mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、カルボキシメチルセルロースの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を遠心分離で固液分離した後、固形物を凍結乾燥させて、シート状コアシェル型粒子を得た。
カルボキシメチルセルロース(和光純薬製、039−01335)0.5gを蒸留水180mL中に分散した。0.020mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.012mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに加えて撹拌した。マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌した後、室温から35℃まで昇温してシート状コアシェル型粒子を得た。このコアシェル型粒子の透過型電子顕微鏡写真から、このコアシェル型粒子は、カルボキシルメチルセルロース繊維をコアとし、その周囲を厚み約10nmのヒドロキシアパタイト結晶シェルが覆った繊維状複合体が、短手方向に連なったシート構造を備えていることがわかった。さらに、このコアシェル型粒子表面の95%以上の結晶面がc面であることがわかった。
ペクチン(和光純薬製、164−00552)0.1gを蒸留水160mL中に分散した。0.20mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.12mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに加えて撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、ペクチンの表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。透析膜を用いてこの水分散液を脱塩した後、凍結乾燥させて、シート状コアシェル型粒子を得た。
アセトン5mLに溶解したポリ乳酸20mgを蒸留水160mL中に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで10分間撹拌した。0.020mol/Lの酢酸カルシウム水溶液20mLをこの分散液に加え、マグネティックスターラーを用いて300rpmで5分間撹拌した。0.024mol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液20mLをさらに滴下して撹拌した。その後、マグネティックスターラーを用いて300rpmで72時間撹拌し、ポリ乳酸の表面にヒドロキシアパタイト結晶が形成されたコアシェル型粒子の水分散液を得た。この水分散液を濾過して水を除去した後、固形物を凍結乾燥させて、粒径が10〜100nmのコアシェル型粒子を得た。
Claims (17)
- ヒドロキシアパタイト結晶層を表層に有し、塩基性の部位を備える物質を選択的に吸着する吸着材であって、
前記表層の表面の結晶面が主にc面である吸着材。 - 請求項1において、
前記ヒドロキシアパタイト結晶層をシェルとするコアシェル型粒子である吸着材。 - 請求項2において、
親水性官能基を備える物質をコアとするコアシェル型粒子である吸着材。 - 請求項3において、
前記親水性官能基を備える物質がタンパク質である吸着材。 - 請求項4において、
前記タンパク質がBSAである吸着材。 - 請求項3において、
前記親水性官能基を備える物質が多糖類である吸着材。 - 請求項6において、
前記多糖類がヒアルロン酸である吸着材。 - 請求項6において、
前記多糖類がセルロース誘導体である吸着材。 - 請求項8において、
前記セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロースである吸着材。 - 請求項6から9のいずれかにおいて、
前記シェルの厚みが10nm以下である吸着材。 - 請求項3において、
親水性官能基を備える物質がペクチンである吸着材。 - 請求項2において、
疎水性官能基を備える物質をコアとするコアシェル型粒子である吸着材。 - 請求項12において、
前記疎水性官能基を備える物質がポリ乳酸である吸着材。 - 請求項1から13のいずれかにおいて、
前記結晶面のc面の割合が90%以上である吸着材。 - 請求項1から14のいずれかにおいて、
前記塩基性の部位を備える物質が塩基性タンパク質である吸着材。 - 請求項1から14のいずれかにおいて、
前記塩基性の部位を備える物質が抗体である吸着材。 - 請求項1から14のいずれかにおいて、
前記塩基性の部位を備える物質がペプチドである吸着材。
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