JP2019042520A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、「幅方向W」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「長手方向L」は、「平面視における縦長の対象物の長さの長い方向」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの幅方向W、長手方向L及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。さらに、本明細書では、「縦長の対象物(例えば、吸収性物品、不織布等)の幅方向Wにおいて、長手方向Lに延びる幅方向中央軸線に対して相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「前記縦長の対象物の幅方向Wにおいて、前記幅方向中央軸線に対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。
また、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌面側」という。
また、生理用ナプキン1は、厚さ方向において、肌面側に位置する液透過性の表面シート2と、非肌面側に位置する液不透過性の裏面シート(図示せず)と、これら各シートの間に位置する吸収体3と、を備えていて、さらに、前記表面シート2は、その肌面側の表面において、長手方向Lに沿って延びる複数本の畝状のゲル状組成物6を含んでいる。
本発明において、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである脂肪族炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、20℃で液体である炭素数8〜22の脂肪酸トリグリセリド(C)を60〜1000質量部とを含有するものである。このような特定の組成で構成されたゲル状組成物は、適度な硬さを有するとともに、軽い負荷でも油剤が容易に放出されることにより、べたつきを生じることなく優れたエモリエント効果を発揮することができるため、このようなゲル状組成物が、吸収性物品の着用者の肌面と当接する表面に含まれていると、吸収性物品として優れた着用感及びエモリエント効果を得ることができる。
装置 :GPC−8220 (東ソー(株)製)
カラム :Shodex LF−804 (昭和電工(株)製)
温度 :40℃
溶媒 :THF
流量 :1.0mL/分
試料濃度:0.05〜0.6質量%
注入量 :0.1mL
検出 :RI(示差屈折計)
さらに、本発明に用い得る脂肪酸トリグリセリドとしては、オレイン酸のトリグリセリド等の炭素数14〜22の不飽和脂肪酸トリグリセリド(c2)が挙げられる。具体的な市販品の例としては、例えば、オリーブ油、大豆油、椿油、ヒマワリ油、菜種油、ゴマ油、コーン油、綿実油、紅花油、ホホバ油、ヒマワリ油などが挙げられる。これらの中でも、オレイン酸トリグリセリドを70質量%以上の割合で含有している、オリーブ油、椿油及びヒマワリ油が特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る生理用ナプキン1では、前記ゲル状組成物6は、表面シート2の肌面側の表面に配置されている。このように前記ゲル状組成物が着用者の肌面に最も接触しやすい表面シートの肌面側の表面に配置されていると、上述のゲル状組成物による効果を、より確実に発揮することができる。
[表面シートに含まれるゲル状組成物の含有量の測定方法]
(1)ゲル状組成物が配置された表面シートの測定対象となる所定範囲を、例えば、カッターの替え刃等の鋭利な刃物を用いて、その厚さを変化させないように切り出し、含有量測定用のサンプルを得る。
(2)切り出したサンプルの面積:SA(m2)及び質量:SM0(g)を測定する。
(3)測定後のサンプルを、芳香族系溶媒(例えば、キシレン等)などのゲル状組成物が可溶な溶媒中に浸し、少なくとも3分間攪拌して、前記ゲル状組成物を溶媒中に溶出させる。
(4)予め質量を測定したろ紙を用いて前記溶媒中のサンプルをろ過した後、そのままろ紙上において、サンプルを溶媒で十分に洗浄する。洗浄後のサンプルをろ紙ごと100℃のオーブン内で十分に乾燥させる。
(5)乾燥後のろ紙及びサンプルの質量を測定し、その値から予め測定したろ紙の質量を差し引くことにより、乾燥後のサンプルの質量:SM1(g)を算出する。
(6)ゲル状組成物の含有量GBS(g/m2)を、次式(1)により算出する。
本発明の吸収性物品において、液透過性の表面シートは、例えば、不織布、織布などのシート状の繊維構造体を用いることができる。前記表面シートとして不織布又は織布を用いる場合、該不織布又は織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、化学繊維等が挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン等のセルロース繊維;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース;熱可塑性疎水性化学繊維;親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。さらに、前記熱可塑性疎水性化学繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる繊維、PE及びPPのグラフト重合体からなる繊維などが挙げられる。
本発明の吸収性物品において、液不透過性の裏面シートは、PE、PP等を含むフィルム、通気性を有する樹脂フィルム、スパンボンド又はスパンレース等の不織布に通気性を有する樹脂フィルムを貼り合わせた積層体、SMS等の複層不織布などを用いることができる。吸収性物品の柔軟性等を考慮すると、例えば、坪量が約15〜約30g/m2の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムなどが好ましい。
本発明の吸収性物品において、吸収体は、特に制限されず、当分野において公知の任意の吸収体を用いることができる。本発明の吸収性物品に用い得る吸収体の例としては、吸収性材料によって構成される吸収コアを、親水性を有するコアラップシートで覆ったものなどが挙げられる。前記吸収コアを構成する吸収性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン等のセルロース;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース;親水化処理された熱可塑性疎水性化学繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマーからなる粒状物、及びこれら2種以上の任意の組み合わせなどが挙げられる。
上記特定の組成で構成されたゲル状組成物は、適度な硬さを有するとともに、軽い負荷でも油剤が容易に放出されることにより、べたつきを生じることなく優れたエモリエント効果を発揮することができるものであるため、このようなゲル状組成物を表面に有する本発明の不織布は、当該不織布又は当該不織布を用いた製品に、快適な使用感や着用感、エモリエント効果を提供することができる。
a)低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)
・セプトン8004(Mwが11万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クラレ(株)製)
b)低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1’)
・クレイトンG1652(Mwが8万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・クレイトンG1654(Mwが20万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・セプトン2005(Mwが26万のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、クラレ(株)製)
a)脂肪族炭化水素油(B)
・パールリームEX(37.8℃における動粘度が10mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
・パールリーム6(37.8℃における動粘度が20mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
b)脂肪族炭化水素油(B’)
・流動パラフィン(37.8℃における動粘度が75mm2/sの流動パラフィン、(株)MORESCO製)
・パナセート810S(カプリン酸、カプリル酸の脂肪酸トリグリセリド、日油(株)製)
・オリーブ油リファインド(オリーブ油、DSP五協&フードケミカル(株)製)
・菜種白鮫油(菜種油、昭和産業(株)製)
・サラスコ816T(2−エチルヘキサン酸セチル、日清オイリオグループ(株)製)
・SH200−100cs(25℃における動粘度が100mm2/sのジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング(株)製)
上記の各種配合成分を、下記の表1に示す各配合量でセパラブルフラスコに仕込み、内容物を撹拌しながら130℃で5時間溶融混合した後、冷却して、ゲル状組成物No.1−1〜1−9及び2−1〜2−6を得た。得られた各ゲル状組成物の特性を、以下の各種試験方法により評価した。なお、各ゲル状組成物の組成及び物性(重量平均分子量及び分散度)については表1に示し、各種試験方法による評価結果については表2に示す。
[物性試験]
(1)硬さ
上記のようにして得られたゲル状組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。この試験片を、直径120mmのステンレス製圧縮治具が取り付けられた小型卓上試験機EzTest((株)島津製作所製)にセットし、前記試験片を速度5mm/分で4mm圧縮したときの試験力(N)を測定した。測定した値を次の基準により評価した。なお、測定結果及び評価結果は、以下の表2に示す。
○: 10N以上、40N以下
×: 10N未満又は40Nを超える
得られたゲル状組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。作製した試験片の上面に、予め質量(W1)を測定しておいた市販のティッシュペーパー(2枚1組)を載せ、該ティッシュペーパーの上から10gの荷重をかけて室温(23℃)で24時間放置した後、前記ティッシュペーパーを取り外して、その質量(W2)を測定した。そして、予め測定しておいたティッシュペーパーの質量(W1)と、24時間放置した後に測定したティッシュペーパーの質量(W2)とから、下式(2)に基づいて、ティッシュペーパーの質量増加率(%)を算出し、さらに、該質量増加率(%)を放出量として、以下の基準により評価した。なお、測定結果及び評価結果は、以下の表2に示す。
×: 質量増加率(放出量)が2%未満又は10%を超える
上記のようにして得られたゲル状組成物No.1−1〜1−9及び2−1〜2−6を、市販の生理用ナプキンの表面シートの肌面側の表面に、長手方向に延びる複数本の畝状に塗工することにより、実施例1〜9及び比較例1〜6の吸収性物品(生理用ナプキン)を得た。
[官能試験]
上記のようにして得られた実施例1〜9及び比較例1〜6の吸収性物品を23℃で一晩放置した後、前記吸収性物品における表面シートの肌面側の表面を指で左右に10往復させたときの触感について、「柔らかさ」及び「べたつき」の観点から評価した。また、前記表面シートの肌面側の表面(すなわち、ゲル状組成物が塗工された表面)を手の甲に付着させて15分間放置した後、肌の状態を確認し、「エモリエント効果」を評価した。これらの評価は、10人の被験者に実施してもらい、以下の各評価基準に従ってアンケートを行った。このアンケートの結果は、10人の合計点により評価した。
なお、上述のエモリエント効果の評価にあたっては、被験者に対して、エモリエント効果が、「油性の膜の働きで肌からの水分の蒸散が抑えられることにより、皮膚を柔らかくする作用」を意味することを事前に説明した。
3点: 弾力があり、柔らかい
2点: 弾力があるが、硬い
1点: 弾力がなく硬い、又は弾力がなく柔らかい
3点: 油剤で指がべたつかない
2点: 油剤で指がべたつく
1点: 指が濡れない
3点: エモリエント効果が感じられる
2点: エモリエント効果があまり感じられない
1点: エモリエント効果がまったく感じられない
<合計点の評価>
◎: 合計点が26点以上
○: 合計点が21点以上、26点未満
△: 合計点が15点以上、21点未満
×: 合計点が15点未満
また、比較例2の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−2において、脂肪族炭化水素油(B)の粘度が5〜50mm2/sの範囲外であり、脂肪酸トリグリセリド(C)を含有していなかったため、ゲルの硬さが硬くなり、油剤の放出量も少なくなり過ぎる結果となり、吸収性物品の官能評価においても、ゲルの硬さが硬く、エモリエント効果も感じられなかった。
比較例3の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−3において、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)との質量比が(A1)/(A2)=95/5〜50/50の範囲外であったため、ゲルの硬さが柔らか過ぎる結果となり、吸収性物品の官能評価においても、柔らかさ、べたつき及びエモリエント効果のすべてについて不十分な評価結果が得られた。
比較例4の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−4における低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A1’)の重量平均分子量が10万以上18万未満の範囲外であったため、ゲルの硬さが柔らかくなり過ぎ、また、油剤の放出量も多くなり過ぎる結果となり、吸収性物品の官能評価においても、べたつきが感じられた。
比較例5の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−5が脂肪酸トリグリセリド(C)の代わりにエステル油を含有していたため、油剤の放出性が悪く、吸収性物品の官能評価においても、エモリエント効果が感じられなかった。
さらに、比較例6の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−6が脂肪酸トリグリセリド(C)を含んでいなかったため(すなわち、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)及び脂肪族炭化水素油(B)以外の成分は含有していなかったため)、油剤の放出性が見られず、吸収性物品の官能評価においても、エモリエント効果が感じられなかった。
2 表面シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 エンボス部
6 ゲル状組成物
Claims (9)
- 着用者の肌面と当接する表面にゲル状組成物を含む吸収性物品であって、
前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含む、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、
37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである脂肪族炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、20℃で液体である炭素数8〜22の脂肪酸トリグリセリド(C)を60〜1000質量部とを含有する、前記吸収性物品。 - 前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である、請求項2に記載の吸収性物品。
- 前記脂肪族炭化水素油(B)が、水添ポリイソブテンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記脂肪酸トリグリセリド(C)が、炭素数8〜12の飽和脂肪酸トリグリセリド(c1)と、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸トリグリセリド(c2)とを、(c1)/(c2)=95/5〜50/50の質量比で含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シート及び前記裏面シートの間に位置する吸収体と、を備え、
前記着用者の肌面と当接する表面が、前記表面シートの肌面側の表面である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記ゲル状組成物が、前記表面シートの肌面側の表面に、平面視にて畝状又はドット状に配置されている、請求項6に記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティーライナー、おむつ又は尿取りパッドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 表面にゲル状組成物を有する不織布であって、
前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含む、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、
37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである脂肪族炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、20℃で液体である炭素数8〜22の脂肪酸トリグリセリド(C)を60〜1000質量部とを含有する、前記不織布。
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