JP6678718B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を表面に含む吸収性物品に関する。また、本発明は、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を表面に有する不織布に関する。
生理用ナプキン、パンティーライナー、おむつ等の吸収性物品では、長年積み重ねられてきた技術開発により吸収性能等の基本的性能が向上し、以前と比較して、経血や尿などの排泄物を吸収した後に、漏れ等が生じることが少なくなってきており、現在は、更なる高機能化、例えば、肌着に近い着用感を有すること、柔軟性及びクッション性に優れることなどが求められている。
例えば、特許文献1には、トップシートの外表面の少なくとも一部に、20℃で半固体又は固体であり部分的に着用者の肌へ移動可能である有効量のローションコーティングを含む吸収性物品が開示されている。さらに、特許文献1によれば、前記ローションコーティングは、(i)10〜95%が、20℃で可塑性又は流動性コンシステンシーを有し、石油ベースのエモリエント剤、脂肪酸エステルエモリエント剤、アルキルエトキシレートエモリエント剤、及びこれらの混合物から選択された1つを含む、実質的に水分を含まないエモリエント剤であり、(ii)5〜90%が、エモリエント剤をトップシートの外表面上に固定することを可能とする固定化物質であって、少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃の融点を有し、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、C14−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、C12−C22脂肪アルコールエトキシレート、及びそれらの混合物から選ばれる前記固定化物質であるとされている。
また、特許文献2には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を備えた吸収性物品であって、前記表面シートは、相互に密度が異なる高密度部と低密度部とを有する不織布製シートからなり、前記高密度部及び前記低密度部が前記表面シートの平面方向に分布しており、前記低密度部に、前記高密度部より多い量のスキンケア剤が適用された吸収性物品が開示されている。さらに、特許文献2の段落[0069]には、有効成分のジアミド誘導体と、ステアリルアルコールとを5:5の質量比で含むスキンケア剤が開示されている。
特許文献1の吸収性物品は、35℃以上の融点を有する固定化物質が、ローションコーティング内において室温(25℃)で結晶化し、前記ローションコーティングの粘度を増大させることにより、前記ローションコーティングを不動化させる作用を有するものである。また、特許文献2の吸収性物品は、添加されるステアリルアルコールが58℃の融点を有するため、特許文献1の吸収性物品と同様に、スキンケア剤を不動化させる作用を有すると推察される。
このようにローションコーティング又はスキンケア剤を高粘度化すると、有効成分がその内部に閉じ込められてしまい、該有効成分の放出が必要以上に抑制されてしまうため、有効成分の徐放性という点で満足のいくものが得られなくなる。また、高粘度のローションコーティング又はスキンケア剤は、吸収性物品の表面シートに適用される材料(すなわち、肌に直接接触する材料)としては、柔軟性や伸びが不十分であるため、着用感にも劣る虞がある。
一方、特許文献3には、ゲルの硬さや伸びなどに関して遅延弾性を示すゲル状組成物が開示されている。この組成物は、数平均分子量が13万以上の高分子量のトリブロック型スチレン系熱可塑性エラストマーと、数平均分子量が10万以下の低分子量のトリブロック型スチレン系熱可塑性エラストマーと、軟化剤とからなるゲルエラストマーであり、高分子量のトリブロック型スチレン系エラストマーが多量の軟化剤を吸収保持することにより組成物の柔軟性が確保されつつ、低分子量のトリブロック型スチレン系エラストマーを含有することにより遅延弾性が付与されているものであるが、このような組成物においても、ゲル表面のタック性や除放性に関しては、未だ不十分なものであった。
特表平10−509896号公報 特開2011−131044号公報 特開2001−151980号公報
そこで、本発明は、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を表面に含む吸収性物品を提供することを目的とする。また、本発明は、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を表面に有する不織布を提供することも目的とする。
本発明は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に位置する吸収体と、を有する吸収性物品に関し、前記トップシートは、その肌面側の表面にゲル状組成物を含み、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有するものである。
本発明によれば、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を表面に含む吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の実施形態の1つに従う吸収性物品を示す平面図である。 図2は、本発明の別の実施形態に従う吸収性物品を示す平面図である。
本発明の吸収性物品について、以下に詳細に説明する。
本発明の吸収性物品は、少なくとも、着用者の肌面側に位置する液透過性のトップシートと、衣服側(すなわち、着用者の肌面側とは反対側)に位置する液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に位置する吸収体とを有する積層構造体を含み、さらに、前記トップシートは、その肌面側の表面にゲル状組成物を含む。
[ゲル状組成物]
本発明において、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有するものである。
前記ゲル状組成物に用いるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)は、ポリスチレン系ハードセグメントとソフトセグメントとを含むトリブロック以上のブロック共重合体であり、好ましくはスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を分子鎖中に2つ以上有するブロック共重合体であり、更に好ましくは分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分であるブロック共重合体である。前記ポリスチレン系ハードセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(o−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−メチルスチレン)などのポリスチレン系ポリマーが挙げられる。また、前記ソフトセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリオレフィン系ポリマーが挙げられる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)として用いる共重合体は、トリブロック以上のスチレン系ブロック共重合体であれば、特に制限されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)、及びこれら2種以上の組み合せなどが挙げられる。これらの中でも、トップシートに適用した後のゲルの硬さや伸び等の点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)及びスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が好ましい。前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)としてジブロック共重合体を用いた場合は、スチレン系ハードセグメントの相互作用(π−πスタッキング)が弱くなるため、前記ゲルの硬さや伸びが十分に得られない虞がある。なお、前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、前記スチレン系ハードセグメントの相互作用により形成される複数の凝集ドメインと、該複数の凝集ドメインを連結するオレフィン系ソフトセグメントとによって網目状のネットワーク構造が形成されるため、弾性体としての機能を発現するものと考えられる。また、このような網目状のネットワーク構造は、後述する油剤(すなわち、炭化水素油(B)及びシリコーンオイル(C))等を、適度に徐放させつつ保持する機能を有するものと考えられる。
前記ブロック共重合体は、好ましくは10〜50質量%のスチレン系ブロック成分と約50〜90質量%のオレフィン系ブロック成分、更に好ましくは15〜40質量%のスチレン系ブロック成分と60〜85質量%のオレフィン系ブロック成分、特に好ましくは18〜35質量%のスチレン系ブロック成分と65〜82質量%のオレフィン系ブロック成分を含む。スチレン系ブロック成分の量が10質量%を下回ると、前記凝集ドメインを形成するスチレン系ブロック成分の量が少なくなるので、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが上述の網目状のネットワーク構造を形成し難くなる。一方、スチレン系ブロック成分の量が50質量%を超えると、前記油剤等を保持するオレフィン系ブロック成分の量が少なくなるので、保持できる油剤等の量が少なくなり、また、前記スチレン系ハードセグメントにより形成される凝集ドメインの量が多くなるので、トップシートに適用した後のゲルが硬くなり、着用感が劣る虞がある。
本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)は、重量平均分子量の異なる2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の混合物からなる。
前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)のうちの一方のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)(以下、「低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)」と記すことがある。)は、重量平均分子量が10万以上18万未満の範囲内であり、好ましくは10万〜15万の範囲内である。この重量平均分子量が10万未満であると、トップシートに適用した後のゲルの硬さ及び伸びが低くなる。また、他方のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)(以下、「高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)」と記すことがある。)は、重量平均分子量が18万以上30万以下の範囲内であり、好ましくは22万〜28万の範囲内である。この重量平均分子量が30万を超えると、前記ゲルの表面にタック性が生じ易くなる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)は、分散度(すなわち、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))が1.25〜1.60の範囲内であり、好ましくは1.35〜1.55の範囲内である。分散度が1.25未満であると、ゲル状組成物の物性が単一のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いた場合と変わらないため、トップシートに適用した後のゲルの伸びが不十分となる。一方、分散度が1.60を超えると、前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の冷却固化時間の差によって、トップシートに適用した後のゲルが不均質になるため、ゲルの伸びや脆さなどの物性が低下する。
前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の重量平均分子量(Mw)と、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の分散度(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相として、以下の条件でGPC測定を行い、ポリスチレン換算により求めることができる。
[GPC測定条件]
装置 :GPC−8220 (東ソー(株)製)
カラム :SHODEX KF−804 (昭和電工(株)製)
温度 :40℃
溶媒 :THF
流量 :1.0mL/分
試料濃度:0.05〜0.6質量%
注入量 :0.1mL
検出 :RI(示差屈折計)
上述したように、本発明において、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量の異なる2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の混合物を含有するが、その配合量は、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)の質量比で、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の範囲内であり、好ましくは90/10〜60/40、更に好ましくは80/20〜70/30である。前記質量比において、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)の配合比率が95を超えると、トップシートに適用した後のゲルの硬さと伸びが不十分となり、該配合比率が50未満であると、前記ゲルの表面にタック性が生じ易くなる。
本発明において、前記ゲル状組成物は、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を更に含む。前記炭化水素油(B)は、炭素と水素からなる化合物であれば特に制限されず、直鎖、分岐又は環状の構造を有していても、飽和又は不飽和結合を有していてもよい。前記炭化水素油(B)としては、例えば、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含むアルケン)、パラフィン系炭化水素(二重結合も三重結合も含まないアルカン)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含むアルキン)、二重結合及び/又は三重結合を2つ以上含む炭化水素、並びに芳香族炭化水素、脂環式炭化水素等の環状炭化水素などが挙げられる。更に具体的には、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン等が挙げられ、特に、水添ポリイソブテンは、トップシートに適用した後のゲルにタック性が生じず、徐放された油剤によるベタツキも生じないため、好ましく用いることができる。
前記炭化水素油(B)は、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sの範囲内であり、好ましくは10〜30mm2/sの範囲内、更に好ましくは10〜20mm2/sの範囲内である。この動粘度が5mm2/s未満であると、炭化水素油(B)がゲル状組成物の製造時に揮発し易くなるため、トップシートに適用した後のゲルの物性にバラツキが生じる虞がある。一方、この動粘度が50mm2/sを超えると、トップシートに適用した後のゲルが硬くなり、タック性も生じ易くなる。なお、炭化水素油(B)の動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、37.8℃の試験温度で測定することにより得ることができる。
前記炭化水素油(B)の配合量は、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、500〜4800質量部の範囲内であり、好ましくは800〜3000質量部の範囲内、更に好ましくは1000〜1500質量部の範囲内である。この配合量が500質量部未満であると、トップシートに適用した後のゲルが硬くなり、伸びも低下する。一方、この配合量が4800質量部を超えると、前記ゲルが柔らかくなり過ぎて、前記ゲルの形状を維持することが難しくなる。
本発明において、前記ゲル状組成物は、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を更に含む。前記シリコーンオイル(C)は、シリコーンオイルであれば特に制限されず、任意の公知のシリコーンオイルを用いることができる。前記シリコーンオイル(C)としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のジオルガノポリシロキサン、シクロペンタシロキサン等の環状シロキサンなどが挙げられる。特に、ジメチルポリシロキサンは、ゲル状組成物に油剤等の適度な徐放性を付与することができるため、好ましく用いることができる。
前記シリコーンオイル(C)は、25℃における動粘度が50〜200mm2/sの範囲内であり、好ましくは70〜150mm2/sの範囲内、更に好ましくは80〜120mm2/sの範囲内である。この動粘度が50mm2/s未満であると、シリコーンオイル(C)がゲル状組成物の製造時に揮発し易くなるため、トップシートに適用した後のゲルの物性にバラツキが生じる虞がある。一方、この動粘度が200mm2/sを超えると、油剤等の徐放量が少なくなり、タック性も生じ易くなる。なお、シリコーンオイル(C)の動粘度についても、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、25℃の試験温度で測定することにより得ることができる。
前記シリコーンオイル(C)の配合量は、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、20〜60質量部の範囲内であり、好ましくは30〜50質量部の範囲内である。この配合量が20質量部未満であると、油剤等の徐放量が少なくなる。一方、この配合量が60質量部を超えると、油剤等の徐放量が多くなり過ぎて、ゲルの表面が油っぽくなる。
本発明において、ゲル状組成物は、安定剤、酸化防止剤(例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等)、光安定剤、着色剤、顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、香料、無機粉体(例えば、アルミナ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー等)、有機粉体(例えば、PE、PP、シリコーン樹脂のパウダー等)などの任意の添加剤又は他の成分を少なくとも1種、本発明の目的を損なわない範囲で含むことができる。
前記他の成分としては、例えば、スキンケア作用を有するオイル類(例えば、ホホバオイル、ツバキオイル等)、ビタミン類、各種アミノ酸、ペプチド、ゼオライト、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗炎症成分、pH調整剤、保湿剤などが挙げられる。
前記ゲル状組成物は、上述した各種配合成分を、任意の公知の混合手段を用いて混合することにより製造することができる。例えば、前記ゲル状組成物は、上述の各種配合成分を、同時に或いは任意の順に混合装置内へ供給し、該混合装置内で溶融混合することにより製造することができる。この溶融混合の手段についても特に制限はなく、任意の公知の手段を採用することができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー、配合釜などの混合装置を用いた手段が挙げられる。
前記ゲル状組成物は、適度な硬さと伸びを有することに加え、徐放性も有するため、各種塗工装置又は成形装置への付着を抑制しつつ塗工ないし成形することができる。さらに、前記ゲル状組成物は、高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーよりも、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーを多く配合しているため、100℃前後の温度条件においても適度な流動性を呈することから、不織布や紙、布、オレフィン系樹脂、PET樹脂などの各種基材に対して、塗布等による積層や一体化成形などを容易に行うことができる。
図1は、本発明の実施形態の1つに従う吸収性物品(生理用ナプキン)を示す平面図である。図1に示す生理用ナプキン1は、着用者の肌面側に位置する液透過性のトップシート2と、衣服側(すなわち、前記肌面側とは反対側)に位置する液不透過性のバックシート(図示せず)と、トップシート2及びバックシートの間に位置する吸収体3とを備える。さらに、図1に示す生理用ナプキン1においては、サイドシート4と、エンボス部5とを備える。
トップシート2は、その肌面側の表面に、前記生理用ナプキン1の長手方向に沿って、互いに平行に塗工された複数の畝状のゲル状組成物6を含む。なお、本発明の吸収性物品においては、ゲル状組成物の塗工パターンはこれに限定されない。
図2は、本発明の別の実施形態に従う吸収性物品(生理用ナプキン)を示す平面図である。図2に示す生理用ナプキン1においては、前記トップシート2の肌面側の表面に千鳥状に塗工された複数のドット状のゲル状組成物6を含む。
前記ゲル状組成物は、トップシートと吸収体とが平面視にて重複する領域において、該領域の1〜50%の面積率で塗工されていることが好ましく、該領域の3〜40%の面積率で塗工されていることが更に好ましく、該領域の5〜30%の面積率で塗工されていることが特に好ましい。前記ゲル状組成物が、前記領域の1%未満の面積率で塗工されていると、トップシート上におけるゲル状組成物の量が少ないため、当該ゲル状組成物によって奏される効果が十分に発揮できない。一方、前記ゲル状組成物が、前記領域の50%を超える面積率で塗工されていると、当該ゲル状組成物が塗工されているトップシート上の領域は排泄物を吸収しないため、トップシートにおいて排泄物を吸収することのできる領域が少なくなり、吸収性物品の吸収性能が低下する虞がある。
また、前記ゲル状組成物が塗工されたトップシートは、前記ゲル状組成物を好ましくは1〜30g/m2、更に好ましくは2〜20g/m2、特に好ましくは3〜10g/m2の含有量で含む。なお、本明細書において、前記ゲル状組成物の含有量は次のようにして求める。
(1)ゲル状組成物が塗工されたトップシートの測定対象となる所定範囲を、例えば、カッターの替え刃等の鋭利な刃物を用いて、その厚さを変化させないように切り出し、含有量測定用のサンプルを得る。
(2)切り出したサンプルの面積:SA(m2)及び質量:SM0(g)を測定する。
(3)測定後のサンプルを、芳香族系溶媒(例えば、キシレン等)などのゲル状組成物が可溶な溶媒中に浸し、少なくとも3分間攪拌して、前記ゲル状組成物を溶媒中に溶出させる。
(4)予め質量を測定したろ紙を用いて前記溶媒中のサンプルをろ過した後、そのままろ紙上において、サンプルを溶媒で十分に洗浄する。洗浄後のサンプルをろ紙ごと100℃のオーブン内で十分に乾燥させる。
(5)乾燥後のろ紙及びサンプルの質量を測定し、その値から予め測定したろ紙の質量を差し引くことにより、乾燥後のサンプルの質量:SM1(g)を算出する。
(6)ゲル状組成物の含有量GBS(g/m2)を、次式(1)により算出する。
Figure 0006678718
なお、前記ゲル状組成物の含有量は、測定誤差を少なくするために、サンプルの総面積が100cm2を超えるように複数の吸収性物品から複数のサンプルを切り出して、それぞれのサンプルについて上記(2)〜(6)の測定作業を行い、それぞれの測定作業から得られた含有量GBSの平均値を採用する。
本発明において、前記ゲル状組成物の塗工方法は、特に限定されず、任意の公知の塗工方法を採用することができる。例えば、前記ゲル状組成物は、吐出ノズルを備えた押出装置;スパイラルコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ディップコーター等の非接触式のコーター;接触式のコーターなどの塗布装置を用いて、トップシート上に塗布することができる。
また、前記ゲル状組成物は、不織布などのトップシートの素材を製造する際に塗工しても、或いは吸収性物品の製造ラインにおいて前記トップシート上に塗工してもよい。前記ゲル状組成物は、設備投資を抑制する観点から、吸収性物品の製造ラインにおいて前記トップシート上に塗工することが好ましく、特に、油剤等の脱落による汚染を抑制するという点から、前記製造ラインの下流工程(例えば、製品を個別に梱包する工程の直前など)において前記トップシート上に塗工することが好ましい。
本発明の吸収性物品において、液透過性のトップシートは、例えば、不織布、織布などのシート状の繊維構造体を用いることができる。前記トップシートとして不織布又は織布を用いる場合、該不織布又は織布を構成する繊維としては、天然繊維、化学繊維等が挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン等のセルロース繊維;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース;熱可塑性疎水性化学繊維;親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。さらに、前記熱可塑性疎水性化学繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる単繊維、PE及びPPのグラフト重合体からなる繊維などが挙げられる。
前記不織布の例としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
また、前記不織布又は織布は、親水化処理されていることが好ましい。この親水化処理の方法としては、特に制限されないが、不織布又は織布の表面に親水化剤をコーティングする方法、不織布又は織布を構成する繊維の表面に親水化剤をコーティングする方法、不織布又は織布を構成する繊維の原料である合成樹脂に親水化剤を含有させる方法などが挙げられる。
一方、液不透過性のバックシートとしては、PE、PP等を含むフィルム、通気性を有する樹脂フィルム、スパンボンド又はスパンレース等の不織布に通気性を有する樹脂フィルムを貼り合わせた積層体、SMS等の複層不織布などが挙げられる。吸収性物品の柔軟性等を考慮すると、例えば、坪量が約15〜約30g/m2の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムが好ましい。
本発明の一実施形態においては、吸収性物品が、液透過性のトップシートと吸収体との間に、セカンドシートを含むことができる。該セカンドシートとしては、液透過性のトップシートと同様のものを用いることができる。
本発明の吸収性物品において、吸収体は、特に制限されず、当分野において公知の任意の吸収体を用いることができる。前記吸収体の一例としては、吸収コアをコアラップで覆ったものが挙げられる。前記吸収コアの構成要素としては、例えば、親水性繊維が挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン等のセルロース;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース;粒子状ポリマー;繊維状ポリマー;熱可塑性疎水性化学繊維;親水化処理された熱可塑性疎水性化学繊維;及びこれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。また、前記吸収コアの構成要素として、例えば、アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマーからなる粒状物を用いてもよい。
前記コアラップとしては、人体から排出される体液等の液体が透過できる程度の液透過性を有し、且つ内包する吸収コアの構成要素が透過しない程度のバリアー性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、織布、不織布などのシート状の繊維構造体が挙げられる。さらに、前記織布及び不織布としては、天然繊維、化学繊維、ティッシュなどが挙げられる。
前記吸収体の他の例としては、吸収シート又はポリマーシートから形成された略シート状の構造体などが挙げられ、その厚さは、0.3〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。前記吸収シート又はポリマーシートとしては、生理用ナプキン等の一般的な吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。
本発明の吸収性物品における好ましい実施形態としては、人体から排出される排泄物等を吸収するための物品であれば特に限定されないが、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー、おむつ、尿取りパッド等が挙げられる。
また、本発明は、不織布に関する。本発明の不織布は、使用者の肌と接する領域の少なくとも一部に、上述のゲル状組成物を有する。本発明の不織布に用いられるゲル状組成物の組成等は、上述のとおりである。
本発明の不織布は、使用者の肌と接する領域の少なくとも一部に、適度な硬さ、伸び及び有効成分の徐放性を有しつつ、タック性の少ないゲル状組成物を有するため、優れた着用感や取扱い易さを有しつつ、有効成分を着用者の肌に継続的に放出することができる。
本発明の不織布においても、上記ゲル状組成物は、使用者の肌と接する領域の少なくとも一部に、例えば、畝状又はドット状に配置される。前記不織布を含む製品としては、マスク、ウェットティッシュ等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例の吸収性物品におけるゲル状組成物を製造するにあたっては、各種配合成分として、それぞれ以下の市販品を用いた。
1)スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)
a)低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)
・クレイトンG1652(Mwが8万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・セプトン4033(Mwが10万のスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン8004(Mwが11万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クラレ(株)製)
b)高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)
・クレイトンG1654(Mwが20万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・セプトン4055(Mwが25万のスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン2005(Mwが26万のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン2006(Mwが28万のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、クラレ(株)製)
2)油剤
a)炭化水素油(B)
・パールリームEX(37.8℃における動粘度が10mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
・パールリーム6(37.8℃における動粘度が20mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
・スーパースクワラン(37.8℃における動粘度が18mm2/sのスクワラン、スクアテック(株)製)
・モレスコホワイトP−200(37.8℃における動粘度が44mm2/sの流動パラフィン、(株)MORESCO製)
・流動パラフィン(37.8℃における動粘度が75mm2/sの流動パラフィン、キシダ化学(株)製)
b)シリコーンオイル(C)
・SH200−100cs(25℃における動粘度が100mm2/sのジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング(株)製)
・SH200−500cs(25℃における動粘度が500mm2/sのジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング(株)製)
1.ゲル状組成物の製造
上記した各種配合成分を、下記の表1に示す各組成でセパラブルフラスコに仕込み、内容物を撹拌しながら140℃で5時間溶融混合した後、冷却して、ゲル状組成物No.1−1〜1−6及び2−1〜2−8を得た。得られた各ゲル状組成物の特性を、以下の各種試験方法(1)〜(4)により評価した。各種試験及び評価の結果を表1に示す。
2.ゲル状組成物の評価
(1)硬さ
上記のようにして得られたゲル状組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。この試験片を、直径120mmのステンレス製圧縮治具が取り付けられた小型卓上試験機EzTest(島津製作所製)にセットし、前記試験片を速度5mm/分で4mm圧縮したときの試験力(N)を測定した。測定した値を次の基準により評価した。
2点: 6N以上、41N未満
1点: 41N以上、101N未満
0点: 6N未満又は101N以上
(2)脆さ
上記の硬さ評価を行った後の試験片を目視にて観察し、当該試験片の状態を次の基準により評価した。
2点: 割れていない
1点: やや割れている
0点: 割れている
(3)伸び
上記のようにして得られたゲル状組成物を、120℃、圧力10kg/cm2の条件で熱プレスして、60mm×60mm×1mm厚のゲルシートを作製した後、該ゲルシートをカットして、20mm×60mmの短冊状の試験片を作製した。この試験片の長手方向における両端部を、両手を使ってそれぞれ親指と人差し指で摘み、該両端部を相反する方向(すなわち、両端部が互いに離れる方向)に引っ張り、前記試験片を引っ張る前の元の長さから5cm、7cm及び10cm引き伸ばしたときの破断の有無を観察した。なお、試験片が手元で破断した場合は、再度やり直した。上記のようにして観察した結果を次の基準により評価した。
2点: +10cm引き伸ばしたときに切れた
1点: +7cm引き伸ばしたときに切れた
0点: +5cm引き伸ばしたときに切れた
(4)徐放性
上記のようにして得られたゲル状組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。この試験片の上面に、予め質量を測定しておいた市販のティッシュペーパー(2枚1組)を載せて、該ティッシュペーパーの上から100gの荷重をかけて室温(23℃)で24時間放置した後、前記ティッシュペーパーを取り外して、その質量を測定した。そして、予め測定しておいた質量(W1)と、24時間放置した後に測定した質量(W2)とから、下式(2)に基づいてティッシュペーパーの質量増加率を算出し、該質量増加率を徐放量として、以下の基準により評価した。
Figure 0006678718
2点: 質量増加率(徐放量)が1.5%以上、9.1%未満
1点: 質量増加率(徐放量)が9.1%以上
0点: 質量増加率(徐放量)が1.5%未満
Figure 0006678718
3.吸収性物品の製造
上記のようにして得られたゲル状組成物No.1−1〜1−6及び2−1〜2−8を、市販の生理用ナプキンのトップシート上に畝状に塗工して、実施例1〜6及び比較例1〜8の吸収性物品(生理用ナプキン)を得た。
4.吸収性物品の評価
上記のようにして得られた実施例1〜6及び比較例1〜8の吸収性物品を用いて、各トップシート上に塗工されたゲル状組成物の表面を指で左右に10往復させたときの触感を、「柔らかさ」と「濡れ性及びタック性」の観点から評価した。この官能評価においては、10人の被験者に、前記トップシート上に塗工して23℃で一晩放置した後のゲル状組成物を触ってもらい、以下の評価基準によるアンケートを実施した。なお、アンケートの結果は、10人の平均点とした。
[柔らかさ]
2点: 弾力があり且つ柔らかい
1点: 弾力はないが柔らかい、又は弾力はあるが硬い
0点: 弾力がなく且つ硬い
[濡れ性及びタック性]
3点: 指が濡れ、タック性がない
2点: 指が濡れ、タック性をやや有する
1点: 指が濡れ、タック性がない
0点: タック性の有無に関わらず、指が濡れない
<総合評価>
上記したゲル状組成物の(1)〜(4)の物性評価と、上記吸収性物品の官能評価の合計点に基づいて、実施例1〜6及び比較例1〜8の吸収性物品を以下の基準により総合的に評価した。吸収性物品の官能評価及び総合評価の結果を下記の表2に示す。
○: 合計点が11.0点以上であって、官能評価で0点をつけた人がいない
△: 合計点が11.0点以上であって、官能評価で0点をつけた人がいる
×: 合計点が11.0点未満である
Figure 0006678718
表2に示すように実施例1〜6の吸収性物品は、総合評価において良好な結果を示した。特に、実施例1〜4の吸収性物品については、用いたゲル状組成物No.1−1〜1−4が、硬さ、伸び及び徐放性のすべてにおいて優れており、吸収性物品の官能評価においても高い評価結果が得られた。
一方、比較例1の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−1がスチレン系熱可塑性エラストマーとして低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)のみを含んでいたため、ゲルが硬くなり、脆さも見られた。
比較例2の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−2が、スチレン系熱可塑性エラストマーとして高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)のみを含んでいたため、ゲルの伸びは優れていたものの、徐放量が大きくなり、吸収性物品の官能評価においてはタック性が確認された。
比較例3の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−3における炭化水素油(B)の配合量が500質量部よりも少なかったため、ゲルが硬くなり、徐放量も小さく、また、吸収性物品の官能評価においては濡れ性が悪かった。
比較例4の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−4の炭化水素油(B)の37.8℃における動粘度が50mm2/sよりも大きかったため、徐放量が小さくなり、吸収性物品の官能評価においてはタック性が確認された。
比較例5の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−5における低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)との質量比が(A1)/(A2)=95/5〜50/50の範囲外であったため、徐放量が大きくなり、吸収性物品の官能評価においてはタック性が確認された。
比較例6の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−6におけるスチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の分散度が1.60よりも大きかったため、ゲルの伸びが悪くなり、脆さも見られた。
比較例7の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−7のシリコーンオイル(C)の25℃における動粘度が200mm2/sよりも大きかったため、徐放量が小さくなり、吸収性物品の官能評価においてはタック性が確認された。
比較例8の吸収性物品は、用いたゲル状組成物No.2−8がシリコーンオイル(C)を含んでいなかったため、徐放量が極めて小さくなり、吸収性物品の官能評価においては濡れ性が悪かった。
以下に、想定される本発明の態様について例示する。
本発明の一態様(態様1)は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に位置する吸収体と、を有する吸収性物品であって、前記トップシートは、その肌面側の表面にゲル状組成物を含み、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有する、吸収性物品である。
本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の吸収性物品において、前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する。
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様2の吸収性物品において、前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である。
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1〜3のいずれか一つの吸収性物品において、前記ブロック共重合体が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレンスチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1〜4のいずれか一つの吸収性物品において、前記炭化水素油(B)が、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン及びスクワレンからなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様1〜5のいずれか一つの吸収性物品において、前記シリコーンオイル(C)が、ジオルガノポリシロキサン又は環状シロキサンである。
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様1〜6のいずれか一つの吸収性物品において、前記シリコーンオイル(C)が、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様1〜7のいずれか一つの吸収性物品において、前記ゲル状組成物は、前記トップシートの肌面側の表面に、平面視にて畝状又はドット状に塗工されたものである。
本発明の更に別の態様(態様9)では、上記態様1〜8のいずれか一つの吸収性物品において、前記吸収性物品が、生理用ナプキン、パンティーライナー、おむつ又は尿取りパッドである。
本発明の更に別の態様(態様10)は、表面にゲル状組成物を有する不織布であって、前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有する、不織布である。
1 吸収性物品
2 トップシート
3 吸収体
4 サイドシート
5 エンボス部
6 ゲル状組成物

Claims (16)

  1. 表面にゲル状組成物を有する不織布が、使用者の肌と接する領域の少なくとも一部に前記ゲル状組成物が配置されるような位置及び向きで配置されたマスクであって、
    前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、
    37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有する、前記マスク。
  2. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する、請求項1に記載のマスク。
  3. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である、請求項2に記載のマスク。
  4. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレンスチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスク。
  5. 前記炭化水素油(B)が、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン及びスクワレンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマスク。
  6. 前記シリコーンオイル(C)が、ジオルガノポリシロキサン又は環状シロキサンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマスク。
  7. 前記シリコーンオイル(C)が、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマスク。
  8. 前記ゲル状組成物は、前記不織布の少なくとも一部の領域に、平面視にて畝状又はドット状に配置されたものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマスク。
  9. 表面にゲル状組成物を有する不織布が、使用者の肌と接する領域の少なくとも一部に前記ゲル状組成物が配置されるような位置及び向きで配置されたウェットティッシュであって、
    前記ゲル状組成物は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、且つ分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、
    37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を20〜60質量部とを含有する、前記ウェットティッシュ。
  10. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する、請求項9に記載のウェットティッシュ。
  11. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である、請求項10に記載のウェットティッシュ。
  12. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)を構成する前記ブロック共重合体及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A2)を構成する前記ブロック共重合体のうちの少なくとも一方の前記ブロック共重合体が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレンスチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9〜11のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  13. 前記炭化水素油(B)が、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン及びスクワレンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9〜12のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  14. 前記シリコーンオイル(C)が、ジオルガノポリシロキサン又は環状シロキサンである、請求項9〜13のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  15. 前記シリコーンオイル(C)が、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9〜14のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  16. 前記ゲル状組成物は、前記不織布の少なくとも一部の領域に、平面視にて畝状又はドット状に配置されたものである、請求項9〜15のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
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