JP6364979B2 - ゲルエラストマー組成物、及びそれを用いた化粧用ゲルシート - Google Patents

ゲルエラストマー組成物、及びそれを用いた化粧用ゲルシート Download PDF

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Description

本発明は、適度な硬さ、伸び及び徐放性を有しつつ、タックの少ないゲルエラストマー組成物、及びそれを用いた化粧用ゲルシートであって、肘や膝、踵などの凹凸を有する部位の保湿、乾燥肌対策に用いられる化粧用ゲルシートに関する。
従来より、スチレン系熱可塑性エラストマーに油剤を配合したゲルエラストマーは、弾力性を必要とする各種製品に用いられている。例えば、靴の中敷や外反母趾用パッド等のフットケア用衝撃吸収材、膝当てや肘当て等のスポーツ用衝撃吸収材、さらには、油剤の徐放性を利用したパック材や湿布、芳香剤などの様々な分野で利用されている。その中でも、化粧用品として用いられるパック材は、有効成分を含浸させたゲルエラストマーを肌に付着させることで、油剤や有効成分が皮膚に浸透し、肌の保湿や乾燥肌の改善などに効果を発揮する。
例えば、特許文献1には、ゲル状パック材として、スチレン系熱可塑性エラストマーと炭化水素油とを配合した組成物が開示されている。この組成物は、美容液を多く含浸させることが可能であり、皮膚への刺激も少なく、有効成分の徐放性にも優れているものの、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーやジブロック共重合体を含有するものであるため、前記組成物の硬さや伸びが不十分であり、膝や肘などの凹凸を有する部位に用いられるシートには適していない。
一方、特許文献2には、ゲルの硬さや伸びなどに関して遅延弾性を示すゲルエラストマー組成物が開示されている。この組成物は、数平均分子量が13万以上の高分子トリブロック型スチレン系熱可塑性エラストマーと、数平均分子量が10万以下の低分子トリブロック型スチレン系熱可塑性エラストマーと、軟化剤とからなるゲルエラストマーであり、高分子量のトリブロック型スチレン系エラストマーが多量の軟化剤を吸収保持することにより組成物の柔軟性が確保されつつ、低分子量のトリブロック型スチレン系エラストマーを含有することにより遅延弾性が付与されているものであるが、このような組成物においても、ゲル表面のタックや除放性に関しては、未だ不十分なものであった。
特開2012−012374号公報 特開2001−151980号公報
本発明は、適度な硬さ、伸び、及び油剤等の徐放性を有しつつ、タックの少ないゲルエラストマー組成物、並びに該ゲルエラストマー組成物を用いた化粧用ゲルシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定範囲の分子量を有する低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー及び特定範囲の分子量を有する高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーの2種類のスチレン系熱可塑性エラストマーを配合し、且つ特定範囲の粘度を有する炭化水素油と、特定範囲の粘度を有するシリコーンオイルとを配合することで、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)20〜60質量部とを含有する、ゲルエラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明のゲルエラストマー組成物を用いた化粧用ゲルシートが提供される。
本発明のゲルエラストマー組成物は、適度な硬さ、伸び、及び油剤等の徐放性を有しつつ、タックの少ないゲルエラストマー組成物である。また、当該ゲルエラストマーを用いた本発明の化粧用ゲルシートは、肘や膝、踵などの凹凸を有する部位の保湿や乾燥肌対策に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)は、ポリスチレン系ハードセグメントとソフトセグメントとを含むトリブロック以上のブロック共重合体であり、好ましくはスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を分子鎖中に2つ以上有するブロック共重合体であり、更に好ましくは分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分であるブロック共重合体である。前記ポリスチレン系ハードセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(o−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−メチルスチレン)などのポリスチレン系ポリマーが挙げられる。また、前記ソフトセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリオレフィン系ポリマーが挙げられる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)として用いる共重合体は、トリブロック以上のスチレン系ブロック共重合体であれば、特に制限されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)、及びこれら2種以上の組み合せなどが挙げられる。これらの中でも、シートなどに成形した後のゲルの硬さや伸び等の点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)及びスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が好ましい。前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)としてジブロック共重合体を用いた場合は、スチレン系ハードセグメントの相互作用(π−πスタッキング)が弱くなるため、前記ゲルの硬さや伸びが十分に得られない虞がある。なお、前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、前記スチレン系ハードセグメントの相互作用により形成される複数の凝集ドメインと、該複数の凝集ドメインを連結するオレフィン系ソフトセグメントとによって網目状のネットワーク構造が形成されるため、弾性体としての機能を発現するものと考えられる。また、このような網目状のネットワーク構造は、後述する油剤(すなわち、炭化水素油(B)及びシリコーンオイル(C))等を、適度に徐放させつつ保持する機能を有するものと考えられる。
前記ブロック共重合体は、好ましくは10〜50質量%のスチレン系ブロック成分と約50〜90質量%のオレフィン系ブロック成分、更に好ましくは15〜40質量%のスチレン系ブロック成分と60〜85質量%のオレフィン系ブロック成分、特に好ましくは18〜35質量%のスチレン系ブロック成分と65〜82質量%のオレフィン系ブロック成分を含む。スチレン系ブロック成分の量が10質量%を下回ると、前記凝集ドメインを形成するスチレン系ブロック成分の量が少なくなるので、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが上述の網目状のネットワーク構造を形成し難くなる。一方、スチレン系ブロック成分の量が50質量%を超えると、前記油剤等を保持するオレフィン系ブロック成分の量が少なくなるので、保持できる油剤等の量が少なくなり、また、前記スチレン系ハードセグメントにより形成される凝集ドメインの量が多くなるので、成形後のゲルが硬くなる虞がある。
本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)は、重量平均分子量の異なる2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の混合物からなる。
前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)のうちの一方のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)(以下、「低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)」と記すことがある。)は、重量平均分子量が10万以上18万未満の範囲内であり、好ましくは10万〜15万の範囲内である。この重量平均分子量が10万未満であると、前記ゲルの硬さ及び伸びが低くなる。また、他方のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)(以下、「高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)」と記すことがある。)は、重量平均分子量が18万以上30万以下の範囲内であり、好ましくは22万〜28万の範囲内である。この重量平均分子量が30万を超えると、前記ゲルの表面にタックが生じ易くなる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)は、分散度(すなわち、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))が1.25〜1.60の範囲内であり、好ましくは1.35〜1.55の範囲内である。分散度が1.25未満であると、ゲルエラストマー組成物の物性が、単一のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いた場合と変わらないため、前記ゲルの伸びが不十分となる。一方、分散度が1.60を超えると、前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の冷却固化時間の差によって成形後のゲルが不均質になるため、ゲルの伸びや脆さなどの物性が低下する。
前記2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)及び前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の重量平均分子量(Mw)と、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の分散度(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相として、以下の条件でGPC測定を行い、ポリスチレン換算により求めることができる。
[GPC測定条件]
装置 :GPC−8220(東ソー(株)製)
カラム:Shodex LF−804(昭和電工(株)製)
温度 :40℃
溶媒 :THF
流速 :1.0ml/min
試料濃度:0.05〜0.6質量%
注入量 :0.1ml
上述したように、本発明では、重量平均分子量の異なる2種類のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)の混合物を用いるが、その配合量は、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)の質量比で、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の範囲内であり、好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは80/20〜70/30である。前記質量比において、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)の配合比率が95を超えると、前記ゲルの硬さと伸びが不十分となり、該配合比率が50未満であると、前記ゲルの表面にタックが生じ易くなる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)を更に含む。本発明に用いる炭化水素油(B)は、炭素と水素からなる化合物であれば特に制限されず、直鎖、分岐又は環状の構造を有していても、飽和又は不飽和結合を有していてもよい。前記炭化水素油(B)としては、例えば、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含むアルケン)、パラフィン系炭化水素(二重結合も三重結合も含まないアルカン)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含むアルキン)、二重結合及び/又は三重結合を2つ以上含む炭化水素、並びに芳香族炭化水素、脂環式炭化水素等の環状炭化水素などが挙げられる。更に具体的には、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン等が挙げられ、特に、水添ポリイソブテンは、成形後のゲルにタックが生じず、徐放された油剤によるベタツキも生じないため、好ましく用いることができる。
前記炭化水素油(B)は、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sの範囲内であり、好ましくは10〜30mm2/sの範囲内、更に好ましくは10〜20mm2/sの範囲内である。この動粘度が5mm2/s未満であると、炭化水素油(B)が、ゲルエラストマー組成物の製造時に揮発し易くなるため、ゲルエラストマー組成物の物性にバラツキが生じる虞がある。一方、この動粘度が50mm2/sを超えると、成形後のゲルが硬くなり、タックも生じ易くなる。なお、炭化水素油(B)の動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、37.8℃の試験温度で測定することにより得ることができる。
前記炭化水素油(B)の配合量は、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、500〜4800質量部の範囲内であり、好ましくは800〜3000質量部の範囲内、更に好ましくは1000〜1500質量部の範囲内である。この配合量が500質量部未満であると、成形後のゲルが硬くなり、伸びも低下する。一方、この配合量が4800質量部を超えると、前記ゲルが柔らかくなり過ぎて、成形後の形状を維持することが難しくなる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)を更に含む。本発明に用いるシリコーンオイル(C)は、シリコーンオイルであれば特に制限されず、任意の公知のシリコーンオイルを用いることができる。前記シリコーンオイル(C)としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のジオルガノポリシロキサン、シクロペンタシロキサン等の環状シロキサンなどが挙げられる。特に、ジメチルポリシロキサンは、ゲルエラストマー組成物に油剤(すなわち、前記炭化水素油(B)及び前記シリコーンオイル(C)等)の適度な徐放性を付与することができるため、好ましく用いることができる。
前記シリコーンオイル(C)は、25℃における動粘度が50〜200mm2/sの範囲内であり、好ましくは70〜150mm2/sの範囲内、更に好ましくは80〜120mm2/sの範囲内である。この動粘度が50mm2/s未満であると、シリコーンオイル(C)が、ゲルエラストマー組成物の製造時に揮発し易くなるため、ゲルエラストマー組成物の物性にバラツキが生じる虞がある。一方、この動粘度が200mm2/sを超えると、油剤の徐放量の減少やタックが生じ易くなる。なお、シリコーンオイル(C)の動粘度についても、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、25℃の試験温度で測定することにより得ることができる。
前記シリコーンオイル(C)の配合量は、前記スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、20〜60質量部の範囲内であり、好ましくは30〜50質量部の範囲内である。この配合量が20質量部未満であると、有効成分の徐放量が少なくなり、一方、60質量部を超えると、前記徐放量が多くなり過ぎて、ゲルの表面が油っぽくなる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲において、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、香料、無機粉体(例えば、アルミナ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー等)、有機粉体(例えば、PE、PP、シリコーン樹脂のパウダー等)などの任意の添加剤を含むことができる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、上述した各種配合成分を、任意の公知の混合手段を用いて混合することにより製造することができる。例えば、本発明のゲルエラストマー組成物は、上述の各種配合成分を、同時に或いは任意の順に混合装置内へ供給し、該混合装置内で溶融混合することにより製造することができる。この溶融混合の手段についても特に制限はなく、任意の公知の手段を採用することができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー、配合釜などの混合装置を用いた手段が挙げられる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、適度な硬さと伸びを有することに加え、徐放性も有するため、成形装置への付着を抑制しつつ、押出成形、射出成形、ディッピング成形等の任意の成形方法によって成形することができる。さらに、本発明のゲルエラストマー組成物は、高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーよりも、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマーを多く配合しているため、100℃前後の温度条件においても適度な流動性を呈することから、紙、布、オレフィン系樹脂、PET樹脂などの各種基材に対して、塗布等による積層や一体化成形などを容易に行うことができる。
本発明のゲルエラストマー組成物は、適度な硬さ、伸び及び徐放性を有するため、これらの性質を利用したパック等の化粧用ゲルシート、湿布又は芳香剤などの用途に用いることができる。また、この他にも、エステ練習用人形の顔部(皮膚等)、ヘルスケア関連製品、靴の中敷き、外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収材、マッサージ用具などのヘッド部品、玩具用部品、雑貨用品、義足と皮膚との間の擦れを防ぐための医療用衝撃吸収材、床等の生活用品の埃やゴミを吸着しながら油剤を塗布する掃除用品などの各種用途に用いることができる。
本発明のゲルエラストマー組成物を用いた化粧用ゲルシートは、化粧品用途に幅広く用いることができるが、肘や膝、踵などの乾燥し易く、凹凸を有する部位の皮膚に対しても良好に貼付することができるため、このような部位の保湿や乾燥肌の改善に、特に有用である。本発明の化粧用ゲルシートの使用方法は、特に制限されないが、例えば、肘や膝、踵などの被貼付部位に予め保湿クリームを塗布し、その上に前記化粧用ゲルシートを貼付することで、保湿成分の浸透性をより高めることができる。また、本発明のゲルエラストマー組成物に美容液等の美容成分を内包させることにより、該美容成分と油剤とが徐放されて、優れたスキンケアを行うこともできる。
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のゲルエラストマー組成物を製造するにあたっては、各種配合成分として、それぞれ以下の市販品を用いた。
1)スチレン系熱可塑性エラストマー(A1,A2)
a)低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)
・クレイトンG1652(Mwが8万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・セプトン4033(Mwが10万のスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン8004(Mwが11万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クラレ(株)製)
b)高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)
・クレイトンG1654(Mwが20万のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、クレイトンポリマー社製)
・セプトン4055(Mwが25万のスチレン−エチレン/エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン2005(Mwが26万のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、クラレ(株)製)
・セプトン2006(Mwが28万のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、クラレ(株)製)
2)油剤
a)炭化水素油(B)
・パールリームEX(37.8℃における動粘度が10mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
・パールリーム6(37.8℃における動粘度が20mm2/sの水添ポリイソブテン、日油(株)製)
・スーパースクワラン(37.8℃における動粘度が18mm2/sのスクワラン、スクアテック(株)製)
・モレスコホワイトP−200(37.8℃における動粘度が44mm2/sの流動パラフィン、(株)MORESCO製)
・流動パラフィン(37.8℃における動粘度が75mm2/sの流動パラフィン、キシダ化学(株)製)
b)シリコーンオイル(C)
・SH200−100cs(25℃における動粘度が100mm2/sのジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング(株)製)
・SH200−500cs(25℃における動粘度が500mm2/sのジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング(株)製)
[実施例1〜6、比較例1〜8]
1.ゲルエラストマー組成物の製造
上記した各種配合成分を、下記の表1に示す配合量でセパラブルフラスコに仕込み、内容物を撹拌しながら140℃で5時間溶融混合した後、冷却して、ゲルエラストマー組成物を得た。得られた各ゲルエラストマー組成物の特性を、以下の各種試験方法により評価した。各種試験及び評価の結果を表1に示す。
2.ゲルエラストマー組成物の評価
(1)硬さ
上記のようにして得られたゲルエラストマー組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。この試験片を、直径120mmのステンレス製圧縮治具が取り付けられた小型卓上試験機EzTest(島津製作所製)にセットし、前記試験片を速度5mm/分で4mm圧縮したときの試験力(N)を測定した。測定した値を次の基準により評価した。
2点: 6N以上、41N未満
1点: 41N以上、101N未満
0点: 6N未満又は101N以上
(2)脆さ
上記の硬さ評価を行った後の試験片を目視にて観察し、当該試験片の状態を次の基準により評価した。
2点: 割れていない
1点: やや割れている
0点: 割れている
(3)伸び
上記のようにして得られたゲルエラストマー組成物を、120℃、圧力10kg/cm2の条件で熱プレスして、60mm×60mm×1mm厚のゲルシートを作製した後、該ゲルシートをカットして、20mm×60mmの短冊状の試験片を作製した。この試験片の長手方向の両端部を、両手を使ってそれぞれ親指と人差し指で摘み、該両端部を相反する方向(すなわち、両端部が互いに離れる方向)に引っ張り、前記試験片を引っ張る前の元の長さから5cm、7cm及び10cm引き伸ばしたときの破断の有無を観察した。なお、試験片が手元で破断した場合は、再度やり直した。上記のようにして観察した結果を次の基準により評価した。
2点: +10cm引き伸ばしたときに切れた
1点: +7cm引き伸ばしたときに切れた
0点: +5cm引き伸ばしたときに切れた
(4)徐放性
得られたゲルエラストマー組成物を用いて、直径40mm、厚さ8mmの円柱状ゲルからなる試験片を作製した。この試験片の上に、予め質量を測定しておいた市販のティッシュペーパー(2枚1組)を載せて、該ティッシュペーパーの上から100gの荷重をかけて室温(23℃)で24時間放置した後、前記ティッシュペーパーを取り外して、その質量を測定した。そして、予め測定しておいた質量(W1)と、24時間放置した後に測定した質量(W2)から、下式(1)に基づいてティッシュペーパーの質量増加率を算出し、該質量増加率を徐放量として、以下の基準により評価した。
Figure 0006364979
2点: 質量増加率(徐放量)が1.5%以上、9.1%未満
1点: 質量増加率(徐放量)が9.1%以上
0点: 質量増加率(徐放量)が1.5%未満
(5)官能評価
上記のようにして得られたゲルエラストマー組成物を、120℃、圧力10kg/cm2の条件で熱プレスして、60mm×60mm×1mm厚のゲルシートを作製した後、該ゲルシートを、PE製不織布と張り合わせて、官能評価用の積層ゲルシートを作製した。このようにして得られた積層ゲルシートを23℃で一晩放置した後、前記積層ゲルシートの表面を指で左右に10往復させたときの触感について、「柔らかさ」及び「濡れ性とタック」を評価した。この評価では、10人の被験者に前記積層ゲルシートを触ってもらい、以下の評価基準によるアンケートを実施した。なお、アンケートの結果は、10人の平均点とした。
[柔らかさ]
2点: 弾力があり且つ柔らかい
1点: 弾力はないが柔らかい、又は弾力はあるが硬い
0点: 弾力がなく且つ硬い
[濡れ性とタック]
3点: 指が濡れ、タックが見られない
2点: 指が濡れ、タックがやや見られる
1点: 指が濡れ、タックが見られる
0点: タックの有無に関わらず、指が濡れない
<総合評価>
上記(1)〜(4)の物性評価と上記(5)の官能評価の合計点を、以下の基準により総合的に評価した。
○: 合計点が11.0点以上であり、官能評価で0点をつけた人がいない
△: 合計点が11.0点以上であり、官能評価で0点をつけた人がいる
×: 合計点が11.0点未満である
Figure 0006364979
表1に示すとおり、実施例1〜6のゲルエラストマー組成物は、総合評価において良好な結果を示した。特に、実施例1〜4のゲルエラストマー組成物は、硬さ、伸び及び徐放性のすべてに優れており、官能評価でも高い評価結果が得られた。
一方、比較例1のゲルエラストマー組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマーとして低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)のみを含んでいたため、ゲルが硬くなり、脆さも見られた。
比較例2のゲルエラストマー組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマーとして高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)のみを含んでいたため、ゲルの伸びは優れていたものの、徐放量が大きくなり、官能評価においてはタックが見られるなど、満足する評価が得られなかった。
比較例3のゲルエラストマー組成物は、炭化水素油(B)の配合量が500質量部よりも少なかったため、ゲルが硬くなり、徐放量も小さく、また、官能評価においては濡れ性が悪かった。
比較例4のゲルエラストマー組成物は、炭化水素油(B)の37.8℃における動粘度が50mm2/sよりも大きかったため、徐放量が小さくなり、官能評価においてはタックが見られた。
比較例5のゲルエラストマー組成物は、低分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と高分子量のスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)との質量比が(A1)/(A2)=95/5〜50/50の範囲外であったため、徐放量が大きくなり、官能評価においてはタックが見られた。
比較例6のゲルエラストマー組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)の分散度が1.60よりも大きかったため、ゲルの伸びが悪くなり、脆さも見られた。
比較例7のゲルエラストマー組成物は、シリコーンオイル(C)の25℃における動粘度が200mm2/sよりも大きかったため、徐放量が小さくなり、官能評価においてはタックが見られた。
比較例8のゲルエラストマー組成物は、シリコーンオイル(C)を含んでいなかったため、徐放量が極めて小さくなり、官能評価においては濡れ性が悪かった。
以下に、想定される本発明の態様について例示する。
本発明の一態様(態様1)は、重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)500〜4800質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)20〜60質量部とを含有する、ゲルエラストマー組成物である。
本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1のゲルエラストマー組成物において、前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する。
本発明の別の態様(態様3)では、上記態様2のゲルエラストマー組成物において、前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である。
本発明の別の態様(態様4)では、上記態様1〜3のいずれか一つのゲルエラストマー組成物を用いた化粧用ゲルシートである。

Claims (4)

  1. 重量平均分子量が10万以上18万未満であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A1)と、重量平均分子量が18万以上30万以下であり、且つトリブロック以上のブロック共重合体からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A2)とを、(A1)/(A2)=95/5〜50/50の質量比で含み、分子量の分散度(Mw/Mn)が1.25〜1.60である、スチレン系熱可塑性エラストマー混合物(A)100質量部に対し、
    37.8℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素油(B)00〜3000質量部と、25℃における動粘度が50〜200mm2/sであるシリコーンオイル(C)20〜60質量部とを含有する、ゲルエラストマー組成物。
  2. 前記ブロック共重合体が、分子鎖中にスチレン系ハードセグメントからなるブロック成分を2つ以上有する、請求項1に記載のゲルエラストマー組成物。
  3. 前記ブロック共重合体の分子鎖における少なくとも両末端のブロック成分が、前記スチレン系ハードセグメントからなるブロック成分である、請求項2に記載のゲルエラストマー組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲルエラストマー組成物を用いた化粧用ゲルシート。
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