以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る障害物検知システムのシステム構成の一例である。障害物検知システム100は、例えば、踏切内を撮像範囲とする監視カメラ2と、踏切に設置された遮断機又は踏切警報機の動作状態を検出するクランプセンサ3と、監視カメラ2の撮像画像と遮断機又は踏切警報機の動作状態とに基づいて、踏切内の障害物を検知する端末1と、を含む。障害物検知システム100の検知対象である障害物は、第1実施形態では、人間、自動車、二輪車等である。端末1は、「障害物検知装置」の一例である。監視カメラ2は、「撮像装置」の一例である。
監視カメラ2は、例えば、いわゆる定点カメラであり、動作中に画角が変更されることはないカメラである。監視カメラ2は、例えば、いわゆるIP(Internet Protocol)カ
メラ、ネットワークカメラ、ウェブカメラと称されるネットワークに接続可能な通信機能を備えるカメラである。ただし、これに限定されない。監視カメラ2は、例えば、地上から2〜5m上方に設置される。例えば、監視カメラ2の画角は、道路と線路とが交差する場所を撮像範囲に含むように、設定される。また、踏切に遮断機が設置されている場合には、例えば、監視カメラ2の画角は、撮像範囲に遮断機が含まれないように設置される。
監視カメラ2は、端末1と接続されており、監視カメラ2の撮像画像は端末1に出力される。監視カメラ2は、例えば、10fpsの撮像レートで撮像を行う。ただし、監視カメラ2の撮像レートは10fpsに限定されず、監視カメラ2の性能の範囲内で任意の値
に設定可能である。監視カメラ2の撮像範囲は、障害物の検知を行う対象の障害物検知エリアとなる。なお、監視カメラ2は固定の位置に設置されるものや、定点カメラに限定されず、例えば、障害検知エリアが撮像範囲となるように画角を安定させることが可能であれば、ドローンのような飛行体に搭載されてもよい。監視カメラ2がドローンに搭載される場合には、当該ドローンは、例えば、監視カメラ2で撮像された撮像画像を端末1に送信する通信機能を有し、障害物検知エリアの上空を飛行する。
クランプセンサ3は、ケーブルを挟み込み、当該ケーブルを流れる電流によって発生する磁界を検知することで、ケーブルを切断することなく、ケーブルを流れる電流を検知するセンサである。第1実施形態では、クランプセンサ3は、踏切警報機を動作させるための電流が流れるケーブルを挟み込むように設置される。
クランプセンサ3は、端末1に接続されており、第1実施形態では、電流が流れているか否かの検知結果を端末1に出力する。第1実施形態では、端末1は、クランプセンサ3から電流が流れていることが通知されると、踏切警報機が動作中であり、車両が接近していることを検知する。
なお、クランプセンサ3は、遮断機のバーを動作させるための電流が流れるケーブルを挟み込むように設置されてもよい。この場合には、端末1は、クランプセンサ3から電流が流れていることが通知されると、遮断機が動作中であり、列車が接近していることを検知する。
端末1は、監視カメラ2から入力される撮像画像に基づいて、障害物検知エリア内の障害物を検知する。
より具体的には、端末1は、監視カメラ2から入力される入力画像と、当該入力画像の所定フレーム数前の画像との間で、各画素について画素値の差分を求め、画素値の差分の値が所定の閾値以上であるか否かに応じて、各画素の画素値を二値化する。端末1は、縦方向及び横方向のそれぞれの画素の列について、二値化された画素値の積算値を算出し、算出した積算値に基づいて、撮像範囲内の障害物の存在を検知する。画素値は、例えば、輝度値、RGB値等である。第1実施形態では、画素値として輝度値が用いられる。
例えば、雪、チリ等は第1実施形態において検知対象ではなく、これらは横方向及び縦方向において、第1実施形態の検知対象である歩行者等よりもサイズが小さい。しかしながら、撮像される角度等によっては、横方向又は縦方向のいずれか一方向において、第1実施形態の検知対象である歩行者等と同等のサイズを有する可能性がある。そのため、横方向及び縦方向のそれぞれの画素の列について、二値化された画素値を積算した積算値を用いることによって、障害物検知エリア内の障害物をより精度良く検知することができる。
また、第1実施形態では、端末1は、監視カメラ2から入力される入力画像と、所定フレーム数前の画像との間の差分を取得し、取得した差分に基づいて、撮像範囲内の障害物を検知する。端末1は、入力画像と所定フレーム数前の画像とから撮像範囲内の障害物を検知すると、当該入力画像又は当該所定フレーム数前の画像のいずれかを基準画像として保持する。以降、端末1は、基準画像と、入力画像との間で、差分を取得し、取得した差分に基づいて、撮像範囲内の障害物を検知する。
例えば、歩行者又は自動車等が踏切内に停滞した場合には、連続するフレーム間で画像の差分はごく小さく、入力画像と所定フレーム数前の画像との間の差分に基づいては踏切内で停滞している歩行者又は自動車等が障害物として検知されない可能性がある。しかし
ながら、例えば、歩行者又は自動車等が踏切内に進入した時点での画像と当該歩行者又は自動車等が踏切内で停滞した時点の画像とでは、差分が大きくなる可能性が高い。そのため、入力画像と所定フレーム数前の画像との間の差分に基づいて障害物が検出された場合の当該入力画像又は当該所定フレーム数前の画像のいずれかと、新たに入力された入力画像と、の間の差分に基づいて障害物の検知を行うことにより、踏切内で停滞している歩行者又は自動車等が障害物として検知される可能性が高くなり、障害物の検知の精度を向上させることができる。
<装置構成>
図2は、端末1のハードウェア構成の一例を示す図である。端末1は、例えば、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であ
る。図2では、端末1がPCである場合のハードウェア構成が示されている。
端末1は、例えば、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit
)101、主記憶装置102、入力装置103、出力装置104、補助記憶装置105、ネットワークインタフェース107、外部機器接続インタフェース108A、108Bを備え、これらがバス109により互いに接続されている情報処理装置である。
入力装置103は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス等である。また、入力装置103には、カメラやスキャナのような画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声入力装置を含むことができる。入力装置103から入力されたデータは、CPU 101に出力される。
ネットワークインタフェース107は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフェースである。ネットワークインタフェース107は、有線のネットワーク、及び/又は、無線のネットワークと接続する。ネットワークインタフェース107は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード、携帯電話網に接続するための無線回路等である。
主記憶装置102は、CPU 101に、補助記憶装置105に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。主記憶装置102は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリである。
補助記憶装置105は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。補助記憶装置105は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Drive Disc)である。補助記憶装置105は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、障害物検知プログラム105P、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。障害物検知プログラム105Pは障害物検知エリアの撮像画像から障害物検知エリア内に存在する障害物を検知するためのプログラムである。
CPU 101は、補助記憶装置105に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムを主記憶装置102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
出力装置104は、CPU 101の処理の結果を出力する。出力装置104は、ディスプレイやプリンタである。また、出力装置104は、スピーカのような音声出力装置を含むことができる。
外部機器接続インタフェース108Aは、監視カメラ2を接続するインタフェースである。外部機器接続インタフェース108Aは、例えば、NIC、USB(Universal Serial Bus)ポート等である。外部機器接続インタフェース108Bは、クランプセンサ3を接続するインタフェースである。外部機器接続インタフェース108Bは、例えば、DIN端子、USBポート等である。
なお、図2に示される端末1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、端末1は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、USBメモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、Blu−rayディスクのようなディスク記録媒体、フラッシュメモリカードのような記録媒体である。
図3は、端末1の機能構成の一例を示す図である。端末1は、機能構成要素として、画像受付部11、障害物検知部12、基準画像保持部13、踏切状態判定部14、及び、通知部15を備える。これらの機能構成要素は、例えば、端末1のCPU 101が補助記憶装置105に格納されている障害物検知プログラム105Pを実行することによって達成される。
画像受付部11は、監視カメラ2からの撮像画像の入力を受け付ける。監視カメラ2からは所定のレートで撮像画像が入力される。監視カメラ2からの撮像画像の入力レートは、監視カメラ2の撮像レートと同じであり、例えば、10fpsである。ただし、監視カメラ2の撮像レートは、10fpsに限定されない。画像受付部11は、入力された撮像画像を障害物検知部12に出力する。画像受付部11は、「受付部」の一例である。
踏切状態判定部14は、クランプセンサ3からの電流検知結果の入力を受ける。例えば、クランプセンサ3はケーブルに流れる電流を検知すると、検知した電流を電圧に変換して出力する。踏切状態判定部14は、クランプセンサ3から出力される電圧値を監視し、遮断機又は踏切警報機の動作状態を監視する。踏切状態判定部14は、例えば、クランプセンサ3からの電圧値が下限閾値未満の場合には、遮断機又は踏切警報機が動作していないことを検出する。踏切状態判定部14は、例えば、クランプセンサ3からの電圧値が上限閾値以上の場合には、遮断機又は踏切警報機が動作していることを検出する。踏切状態判定部14は、例えば、所定の周期で、遮断機又は踏切警報機の動作状態を障害物検知部12に出力する。踏切状態判定部14の遮断機又は踏切警報機の動作状態の障害物検知部12への通知周期は、例えば、10ミリ秒単位の任意の値が設定される。踏切状態判定部14は、「取得部」の一例である。
障害物検知部12は、画像受付部11からの入力画像と比較対象の画像との差分を求め、入力画像と比較対象の画像との差分に基づいて、障害物検知エリア内に存在する障害物を検知する。例えば、障害物検知部12は、障害物検知エリア内に存在する障害物を検知し、且つ、遮断機又は踏切警報機の動作状態が動作中である場合には、通知部15に障害物検知の通知を出力する。障害物検知部12の処理の詳細は、後述される。障害物検知部12は、「算出部」及び「検知部」の一例である。また、障害物検知部12は、「差分取得部」及び「検知部」の一例である。
基準画像保持部13は、障害物検知部12による処理に用いられる基準画像を保持する。基準画像は、ある時点における監視カメラ2の撮像画像である。基準画像の詳細については後述される。基準画像保持部13は、例えば、主記憶装置102の記憶領域に作成される。
通知部15は、障害物検知部12から、障害物検知の通知の入力を受けると、所定の外部の装置に、障害物検知の通知を送信する。障害物検知の通知の送信先となる装置は、例えば、サーバ、列車に対する警報機、列車に搭載されている通信機等、である。通知部15は、「通知部」の一例である。
図4A及び図4Bは、第1実施形態に係る障害物検知部12の障害物検知処理の一例を示す図である。障害物検知処理は、入力画像と比較対象の画像との差分に基づいて、撮像画像内の対象領域内の障害物を検知する処理である。なお、図4A及び図4Bでは、撮像画像の全領域を障害物検知の対象領域とする場合を前提として示されている。
障害物検知部12は、障害物検知処理として、まず、撮像画像内の対象領域について、入力画像と比較対象の画像との差分を求める。図4Aの上方には、監視カメラ2の比較対象の画像と入力画像との一例が示されている。比較対象の画像は、入力画像よりも所定フレーム数前の画像である。第1実施形態では、比較対象の画像は、入力画像の1フレーム前の画像又は基準画像保持部13に保持された基準画像のいずれかである。比較対象の画像は、「第1の画像」の一例である。また、入力画像の1フレーム前の画像又は基準画像保持部13に保持された基準画像は、それぞれ、「第1の画像」の一例である。
入力画像の1フレーム前の画像、基準画像保持部13に保持された基準画像のいずれが比較対象の画像となるかは、障害物検知部12のステータスに応じて決定される。障害物検知部12のステータスには、例えば、物体進入判定ステータスと、障害物存在判定ステータスとがある。物体進入判定ステータスと、障害物存在判定ステータスとの詳細については、後述される。
障害物検知部12は、入力画像と比較対象の画像との差分として、入力画像と比較対象の画像との間で、対象領域内の各画素について、画素値の差分を算出する。画素値として、第1実施形態では、輝度値が用いられる。第1実施形態では、監視カメラ2の画角は変更されないので、入力画像と比較対象の画像との間で変化のない箇所は画素値の差分がない。入力画像と比較対象の画像と間で変化のない箇所とは、例えば、撮像範囲内に存在する固定された物、すなわち、背景である。入力画像と比較対象の画像と間で変化がある箇所とは、例えば、撮像範囲内の動体が存在している箇所である。したがって、入力画像と比較対象の画像との間で各画素について画素値の差分を求めることによって、比較対象の画像から入力画像へ画素値に変化のあった画素が抽出され、撮像画像内の対象領域内に存在する動体が抽出される。
図4Aの下方には、上方に示される比較対象の画像と入力画像との間の各画素についての画素値の差分を輝度値として表した差分抽出画像が示されている。画素値が輝度値である場合には、比較対象の画像から入力画像へと変化のあった画素は、輝度値の差分が大きくなるので、差分抽出画像ではより明るく表示されている。
図4Bは、第1実施形態に係る障害物検知部12の障害物検知処理の一例(続き)を示す図である。障害物検知部12は、例えば、画素値の差分が二値化閾値以上であるか否かに応じて、各画素の画素値を二値化する。二値化閾値は、差分抽出画像の二値化に用いられる閾値であり、入力画像と比較対象の画像との間の各画素の画素値の差分値に対する閾値である。
より具体的には、例えば、画素値として輝度値が用いられる場合には、障害物検知部12は、比較対象の画像と入力画像との間の画素値の差分が二値化閾値以上である画素の画素値(輝度値)を当該画素が最も明るくなる値に変更する。また、例えば、障害物検知部12は、画素値の差分が二値化閾値未満である画素の画素値(輝度値)を当該画素が最も
暗くなる値に変更する。例えば、輝度値が0〜255の値を取る場合には、画素が最も明るくなる値として255が設定され、最も暗くなる値として0が設定される。図4Bでは、上方に、差分抽出画像と、差分抽出画像内の各画素の画素値を二値化した二値化画像との一例が示されている。
障害物検知部12は、横方向、縦方向の画素の各列について、各画素の二値化された画素値の積算値を求め、横方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値と縦方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値とが、それぞれの方向についての検知閾値以上である場合に、撮像画像内の対象領域内の障害物の存在を検知する。検知閾値は、障害物の検知に用いられる閾値であって、横方向又は縦方向の各列における各画素の画素値の積算値に対する閾値である。
撮像画像において、第1実施形態における検知対象である人間及び自動車等の障害物は、例えば、横方向、縦方向の2方向それぞれにおいて所定の幅を有している。一方、雪やチリ等の飛来物、及び、その他の第1実施形態における検知対象外の物は、検知対象である人間及び自動車等に比べると、例えば、横方向、縦方向それぞれにおける幅は小さい。また、雪やチリ等の飛来物、及び、その他の第1実施形態における検知対象外の物体は、例えば、撮像される角度等によって、横方向又は縦方向のうちの1方向に所定の幅を有することがあるが、横方向又は縦方向の両方向それぞれについて所定の幅を有することは少ない。また、例えば、1方向に伸びる光線等も、横方向又は縦方向の両方向それぞれについて所定の幅を有することは少ない。したがって、例えば、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値を求めることで、第1実施形態における検知対象外の物体の誤検出を抑制することができ、より精度良く障害物を検知することができる。
図4Bの下方には、二値化画像の横方向、縦方向の各列についての、各画素の画素値の積算値のグラフが示されている。画像の横方向は、図4Bのグラフでは、X方向である。画像の縦方向は、図4Bのグラフでは、Y方向である。図4Bのグラフでは、横方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値は黒丸印で、縦方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値は黒三角印で示されている。
二値化画像における各列の各画素の画素値の積算値の最大値に対する横方向の検知閾値(X)と、縦方向の検知閾値(Y)とは、それぞれ、例えば、撮像画像の対象領域から、人間を検知可能で、且つ、人間よりもサイズの小さい物体は検知されないような、所定の範囲内の値に設定される。
検知閾値(X)及び検知閾値(Y)それぞれの設定可能な値の範囲の上限値は、例えば、横方向及び縦方向のそれぞれについて、撮像画像の対象領域のサイズに対する撮像画像の対象領域内の人間のサイズの比率がとり得る値の範囲のうちの下限値の値に基づいて設定される。また、検知閾値(X)及び検知閾値(Y)それぞれの設定可能な値の範囲の下限値は、例えば、雪のような人間よりもサイズの小さい検知対象外の動体による誤検知を抑制するために、横方向及び縦方向のそれぞれについて、撮像画像の対象領域のサイズに対して、例えば、1〜10%の値に基づいて設定される。
例えば、撮像画像の横方向について、撮像画像の対象領域のサイズに対する対象領域の内の人間のサイズの比率が7〜10%である場合には、検知閾値(X)は、撮像画像の対象領域の横方向のサイズの6%〜7%に画素値の最大値を乗じた値の間の値に設定される。
また、入力画像と比較対象の画像との間の各画素の画素値の差分は、天候、時間帯、周
辺の建物等に依って変化するため、二値化閾値、検知閾値(X)、検知閾値(Y)は、それぞれ、例えば、天候、時間帯、周辺の建物等の情報に基づいて、調整されてもよい。天候の情報は、例えば、端末1は、ネットワークを通じて所定の気象サーバから取得可能である。
図4Bの下方に示されるグラフでは、二値化画像の横方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値(図中、黒丸印)と、二値化画像における縦方向の各列における各画素の画素値の積算値のうちの最大値(図中、黒三角印)とが、各方向の検知閾値以上の領域に存在している場合に、撮像画像内の対象領域から障害物が検知される。ただし、これに限定されず、例えば、横方向及び縦方向のそれぞれについて、二値化された画素値の積算値が所定列数分連続して検知閾値(X)又は検知閾値(Y)以上となる場合に、撮像画像内の対象領域から障害物が検知されるようにしてもよい。
なお、図4Bでは、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値を求め、当該積算値に基づいて障害物の検知が行われるが、障害物の検知方法はこれに限定されない。例えば、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素の二値化された画素値(輝度値)のうち、画素が最も明るくなる値の画素数を求め、当該画素数に基づいて障害物の検知が行われてもよい。または、例えば、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素のうち、画素値の差分が二値化閾値以上である画素数を求め、当該画素数に基づいて障害物の検知が行われてもよい。横方向、縦方向の2方向についての、各列における各画素の二値化された画素値の積算値、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素の二値化された画素値(輝度値)のうち、画素が最も明るくなる値の画素数は、それぞれ、「第1の方向及び第2の方向の各列について、前記画素値の差分が所定の閾値以上である画素の総数を示す値」の一例である。
また、図4Bでは、横方向、縦方向の2方向について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値を求めるが、二値化された画素値の積算値を求める方向は、横方向、縦方向の直交する2方向に限定されない。例えば、撮像画像内の直交しない2方向について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値が求められ、これに基づいて、障害物の検知が行われてもよい。
図5は、第1実施形態に係る物体進入判定処理の一例を示す図である。物体進入判定処理は、障害物検知部12が物体進入判定ステータスである場合に実行される処理である。障害物検知部12のステータスの初期値は、物体進入判定ステータスである。
物体進入判定処理は、障害物検知エリア、すなわち、撮像範囲内への障害物の進入を検知する処理である。図5では、物体進入判定処理における撮像画像内の障害物検知の対象領域の一例が示されている。
第1実施形態では、物体進入判定処理における撮像画像内の障害物検知の対象領域として、撮像画像内の周縁部分の領域が設定される。より具体的には、例えば、図5に示されるように、撮像画像が矩形である場合には、撮像画像の4辺それぞれについて、当該辺を一辺として有する4つの矩形51、52、53、54がそれぞれ障害物検知の対象領域である。
矩形51、52、53、54の短辺の長さは、例えば、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。矩形51、52、53、54の短辺の長さは、例えば、撮像画像の短辺の長さの1%〜10%程度に設定される。以降、物体進入判定処理における撮像画像内の障害物検知の対象領域を、進入検知領域、と称する。図5に示される例では、矩形51、52、53、54それぞれが進入検知領域である。進入検知領域は、「第1の
領域」の一例である。
障害物検知部12は、物体進入判定処理において、入力画像の1フレーム前の画像を比較対象の画像として、進入検知領域について、障害物検知処理(図4A、図4B)を行う。具体的には、図5に示される例では、障害物検知部12は、矩形51、52、53、54のそれぞれの領域について、入力画像と、入力画像の1フレーム前の画像との各画素の画素値の差分を求め、画素値の差分に基づいて二値化を行い、二値化された画素値の積算値を横方向(X方向)と縦方向(Y方向)それぞれの各列について求める。
例えば、図5に示される矩形51、52、53、54には、それぞれ、横方向(X方向)、縦方向(Y方向)について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値に対する検知閾値(X)及び検知閾値(Y)が設定されている。障害物検知部12は、矩形51、52、53、54のいずれかにおいて、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値のうちの最大値が、それぞれ、検知閾値(X)及び検知閾値(Y)以上である場合に、障害物検知エリアへの障害物の進入を検知する。
障害物検知エリアへの障害物の進入を検知すると、障害物検知部12のステータスが障害物存在判定ステータスへと遷移する。
なお、図5に示される矩形51、52、53、54の領域において、障害物の検知は、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)のうち長辺方向の1方向について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値を求め、積算値のうちの最大値が検知閾値以上か否かを判定することで行われてもよい。また、物体進入判定処理では、入力画像の1フレーム前の画像を比較対象の画像とするが、これに限られず、物体進入判定処理における比較対象の画像は、例えば、監視カメラ2の撮像レート等に応じて設定されてもよい。例えば、監視カメラ2の撮像レートが60fpsである場合には、比較対象の画像は入力画像の6フレーム前までの画像のいずれかであれば、撮像レートが10fpsである場合の入力画像の1フレーム前の画像と入力画像との比較と同等の差分を取得することができる。
なお、物体進入判定処理における進入検知領域は、図5に示される矩形51〜54の領域に限定されない。進入検知領域は、撮像画像の領域内で、実施の形態に応じて適宜変更可能である。例えば、進入検知領域は、撮像画像の領域をN×N(Nは正の整数)に分割した領域のうちの一部又は全部であってもよい。
図6は、障害物検知部12の障害物存在判定処理の一例を示す図である。障害物存在判定処理は、障害物検知部12のステータスが障害物存在判定ステータスである場合に行われる処理である。障害物存在判定処理は、障害物検知エリア内に存在する障害物を検知する処理である。障害物検知エリア内に存在する障害物とは、例えば、障害物検知エリア内を移動、または、停滞している歩行者、自動車、二輪車及び運転者等を含む。
障害物検知部12は、障害物存在判定処理では、例えば、撮像画像内の進入検知領域以外の領域であって、撮像画像の中心部分の領域を障害物検知の対象領域として障害物検知処理を行う。障害物存在判定処理における撮像画像内の障害物検知の対象領域を、以降、追従検知領域、と称する。追従検知領域は、「第2の領域」の一例である。
また、障害物検知部12は、障害物存在判定処理では、比較対象の画像として、基準画像保持部13に保持されている基準画像を用いる。基準画像は、物体進入判定処理において、障害物検知エリアへの障害物の進入の検知に用いられた入力画像である。すなわち、障害物検知部12は、物体進入判定処理において、障害物検知エリアへの障害物の進入を
検知すると、その時点での入力画像を基準画像として基準画像保持部13に格納する。なお、基準画像として、物体進入判定処理において、障害物検知エリアへの障害物の進入の検知に用いられた入力画像に代えて、障害物検知エリアへの障害物の進入の検知に用いられた入力画像の1フレーム前の画像が用いられてもよい。
図6の上方には、基準画像となる障害物検知エリアへの障害物の進入の検知時の入力画像と、当該基準画像中の追従検知領域に相当する部分画像と、の一例が示されている。図6の下方には、基準画像から所定時間経過後の入力画像と、基準画像と当該入力画像との差分抽出画像と、の一例が示されている。
障害物検知部12は、障害物存在判定処理では、基準画像と、基準画像から所定時間経過後の入力画像との間で、追従検知領域内の各画素について、画素値の差分を求め、画素値の差分に基づいて二値化を行い、縦方向及び横方向の各列における各画素の二値化された画素値の積算値を求める。追従検知領域には、横方向(X方向)、縦方向(Y方向)について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値に対する閾値が設定されている。障害物検知部12は、追従検知領域において、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)について、各列における各画素の二値化された画素値の積算値のうちの最大値が、それぞれの閾値以上である場合に、障害物検知エリア内の障害物の存在を検知する。
例えば、撮像画像内の追従検知領域に相当する障害物検知エリア内の位置において、歩行者が停滞している場合には、入力画像と、入力画像の1フレーム前の画像との間では、当該歩行者の動きがないため、差分が小さく、当該歩行者を動体として抽出することができない。これに対して、当該歩行者が障害物検知エリアへ進入した時点の画像と、所定時間経過後の画像との間では、当該歩行者が動いている可能性が高く、当該歩行者の動きにより差分が大きくなり、当該歩行者を動体として抽出できる可能性が高い。
したがって、物体進入判定処理において、例えば、障害物検知エリアへの障害物の進入が検知された時点の入力画像を基準画像として保持し、障害物存在処理において、基準画像と所定時間経過後の入力画像とを比較することで、障害物検知エリア内で停滞している障害物を検知することができる。
<処理の流れ>
図7A及び図7Bは、第1実施形態に係る障害物検知部12の処理のフローチャートの一例である。図7A及び図7Bに示される処理は、例えば、端末1において、管理者による障害物検知プログラム105Pの起動によって開始され、管理者による障害物検知プログラム105Pの停止まで繰り返し実行される。図7A及び図7Bに示される処理の実行主体は、障害物検知プログラム105Pを実行するCPU 101であるが、便宜上、機能構成要素である障害物検知部12を主体として説明する。
OP1では、障害物検知部12は、画像受付部11から監視カメラ2の撮像画像の入力を受ける。OP2では、障害物検知部12は、現在のステータスを判定する。ステータスの初期値は、物体進入判定ステータスである。ステータスが物体進入判定ステータスである場合には、処理がOP3に進む。ステータスが障害物存在判定ステータスである場合には、処理が図7BのOP11に進む。
OP3からOP7は、ステータスが物体進入判定ステータスである場合の処理である。OP3では、障害物検知部12は、比較対象の画像を1フレーム前の画像、障害物検知の対象領域を進入検知領域として、障害物検知処理を行う。障害物検知処理の詳細は後述される。OP3における処理によって、進入検知領域内の障害物の存在の有無が判定される。
OP4では、障害物検知部12は、OP3における障害物検知処理によって、進入検知領域内において障害物が検知されたか否かを判定する。OP3における障害物検知処理によって、進入検知領域内において障害物が検知された場合には(OP4:YES)、処理がOP5に進む。OP3における障害物検知処理によって、進入検知領域内において障害物が検知されない場合には(OP4:NO)、処理がOP1に進む。
OP5では、障害物検知部12は、例えば、OP1において入力された画像を基準画像として、基準画像保持部13に格納する。OP6では、障害物検知部12は、障害物検知エリアへの物体の進入を検知する。OP7では、障害物検知部12は、ステータスを物体進入判定ステータスから障害物存在判定ステータスへと遷移させる。
図7BのOP11からOP25の処理は、ステータスが障害物存在判定ステータスである場合の処理である。OP11では、障害物検知部12は、変数n1に1を加算して更新する。変数n1は、障害物存在判定ステータスに遷移してから入力された画像のフレーム数を計数するための変数である。変数n1の初期値は0である。
OP12では、障害物検知部12は、変数n1が定数N1以上であるか否かを判定する。これによって、障害物存在判定ステータスに遷移してからの経過時間を画像のフレームに置換して測定することができる。なお、OP11、OP12の処理は、障害物存在判定ステータスへの遷移からの経過時間が所定の閾値時間以上であるか否かを判定する処理に置き換えられてもよい。
変数n1が定数N1以上である場合には(OP12:YES)、処理がOP13に進む。変数n1が定数N1未満である場合には(OP12:NO)、処理が図7AのOP1に進む。これによって、障害物存在判定ステータスに遷移してからN1フレームの画像が入力されるまでの間は、障害物検知処理が実行されないことが示される。
OP13では、障害物検知部12は、比較対象の画像を基準画像保持部13に保持されている基準画像、障害物検知の対象領域を追従検知領域として、障害物検知処理を行う。障害物検知処理の詳細は後述される。OP13における処理によって、追従検知領域内の障害物の存在の有無が判定される。
OP14では、障害物検知部12は、OP13における処理によって、追従検知領域内において障害物が検知されたか否かを判定する。OP13における処理によって、追従検知領域内において障害物が検知された場合には(OP14:YES)、処理がOP20に進む。OP13における処理によって、追従検知領域内において障害物が検知されない場合には(OP14:NO)、処理がOP15に進む。
OP15では、障害物検知部12は、変数n2を0に設定する。変数n2は、追従検知領域において障害物の存在が連続して検知される回数を計数するための変数である。変数n2の初期値は0である。すなわち、OP15では、追従検知領域において障害物が検知されなかったため、変数n2がリセットされる。
OP16では、障害物検知部12は、変数n3に1を加算して更新する。変数n3は、追従検知領域において障害物の存在が連続して検知されない回数を計数するための変数である。変数n3の初期値は0である。
OP17では、障害物検知部12は、変数n3が定数N3以上であるか否かを判定する。変数n3が定数N3以上である場合には(OP17:NO)、処理が図7AのOP1に
進む。変数n3が定数N3未満である場合には(OP17:YES)、処理がOP18に進む。OP18では、障害物検知部12は、ステータスを障害物存在判定ステータスから物体進入判定ステータスに遷移させる。これによって、追従検知領域において障害物が連続してN3回以上検知されない場合には、ステータスが物体進入判定ステータスに遷移することが示される。
OP19では、障害物検知部12は、変数n1、n2を0に設定する。その後、処理が図7AのOP1に進む。
OP20では、障害物検知部12は、変数n3を0に設定する。すなわち、OP20では、追従検知領域において障害物が検知されたため、変数n3がリセットされる。
OP21では、障害物検知部12は、変数n2に1を加算して更新する。これは、OP14において、追従検知領域において障害物が検知されたことが判定されたためである。
OP22では、障害物検知部12は、変数n2が定数N2以上であるか否かを判定する。変数n2が定数N2未満である場合には(OP22:NO)、処理が図7AのOP1に進む。変数n2が定数N2以上である場合には(OP22:YES)、処理がOP23に進む。OP23では、障害物検知部12は、障害物検知エリア内の障害物の存在を検知する。これによって、追従検知領域において障害物が連続してN2回以上検知された場合に、障害物検知エリア内の障害物の存在が検知されることが示される。
OP24では、障害物検知部12は、遮断機又は踏切警報機が動作中であるか否かを判定する。OP24の判定は、踏切状態判定部14からの遮断機又は踏切警報機の動作状態の通知に基づいて行われる。
遮断機又は踏切警報機が動作中である場合には(OP24:YES)、処理がOP25に進む。遮断機又は踏切警報機が動作中でない場合には(OP24:NO)、処理が図7AのOP1に進む。
OP25では、障害物検知部12は、通知部15に障害物検知の通知を出力する。通知部15は、障害物検知部12から、障害物検知の通知の入力を受けて、所定の外部の装置に、踏切内進入又は停滞の通知を送信する。その後、処理が図7AのOP1に進む。
図8は、第1実施形態に係る障害物検知部12の障害物検知処理のフローチャートの一例である。図8に示される障害物検知処理は、図7AのOP3、図7BのOP13において実行される処理である。
OP31では、障害物検知部12は、撮像画像内の障害物検知の対象領域内の各画素について、入力画像と比較対象の画像との間で、画素値の差分を算出する。図7AのOP3における障害物検知処理では、対象領域は進入検知領域であり、比較対象の画像は入力画像の1フレーム前の画像である。図7BのOP13における障害物検知処理では、対象領域は追従検知領域であり、比較対象の画像は基準画像保持部13に保持されている基準画像である。
OP32では、障害物検知部12は、OP31で算出した対象領域内の各画素の画素値を、画素値の差分が二値化閾値以上であるか否かに応じて、二値化する。
OP33では、障害物検知部12は、対象領域の横方向(X方向)の各列について、各画素の二値化された画素値の積算値(X)を算出する。OP34では、障害物検知部12
は、対象領域の縦方向(Y方向)の各列について、各画素の二値化された画素値の積算値(Y)を算出する。
OP35では、障害物検知部12は、積算値(X)の最大値が検知閾値(X)以上であるか否かを判定する。積算値(X)の最大値が検知閾値(X)以上である場合には(OP35:YES)、処理がOP36に進む。積算値(X)の最大値が検知閾値(X)未満である場合には(OP35:NO)、図8に示される処理が終了し、図7AのOP4又は図7BのOP14に処理が進む。
OP36では、障害物検知部12は、積算値(Y)の最大値が検知閾値(Y)以上であるか否かを判定する。積算値(Y)の最大値が検知閾値(Y)以上である場合には(OP36:YES)、処理がOP37に進む。積算値(Y)の最大値が検知閾値(Y)未満である場合には(OP36:NO)、図8に示される処理が終了し、図7AのOP4又は図7BのOP14に処理が進む。
OP37では、障害物検知部12は、対象領域内の障害物の検知を判定する。その後、図7AのOP4又は図7BのOP14に処理が進む。
なお、図7AのOP3において、進入検知領域が、例えば、図5に示されるような複数の部分領域である場合には、各部分領域について、図8の処理が実行される。
なお、図7A、図7B、及び、図8に示される処理は、一例であって、処理の実行順等は実施の形態に応じて適宜変更、省略、置換が可能である。例えば、図7AのOP5の基準画像の保持の処理は、OP6又はOP7の処理の後に実行されてもよい。例えば、図7BのOP22の遮断機又は踏切警報機の動作状態の判定の処理は、図7AのOP1の処理の前に実行され、遮断機又は踏切警報機が動作中でない場合には、図7A、図7Bの処理は、実行されないようにしてもよい。また、OP24における遮断機又は踏切警報機の動作状態の判定処理を省略して、遮断機又は踏切警報機の動作状態に関係なく、障害物検知エリア内の障害物の存在が検知されると、端末1は障害物検知の通知を行うようにしてもよい。
また、例えば、図8の障害物検知処理において、物体進入判定ステータスである場合には、OP33及びOP35の処理、又は、OP34及びOP36の処理の、いずれかが省略されてもよい。
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、監視カメラ2の撮像画像内の対象領域内の各画素について、入力画像と比較対象の画像との間で、画素値の差分を算出し、横方向及び縦方向の2方向について、各列における画素値の差分が二値化閾値以上の画素の総和を示す値を算出し、当該値に基づいて、撮像画像内の対象領域内の障害物の存在を検知する。これによって、監視カメラ2の撮像範囲内(障害物検知エリア内)の歩行者や自動車等を精度良く検知することができる。
また、第1実施形態では、横方向及び縦方向の2方向それぞれについて、各列における画素値の差分が二値化閾値以上の画素の総和を示す値に対する検知閾値(X)、検知閾値(Y)が設定される。横方向及び縦方向の、各列における画素値の差分が二値化閾値以上の画素の総和を示す値の最大値が、それぞれ、検知閾値(X)、検知閾値(Y)以上である場合に、撮像画像内の対象領域内の障害物の存在を検知する。検知閾値(X)、検知閾値(Y)は、例えば、撮像画像内の対象領域のサイズと、撮像画像内の対象領域内の人間のサイズとに基づいて、撮像画像から検知対象の一つである人間が検知可能であり、且つ
、人間よりもサイズの小さい検知対象外の物体を検知しないような値に設定される。これによって、例えば、雪等の人間よりもサイズの小さい移動体によって、対象領域内から障害物が誤検知されることを抑制できる。
また、第1実施形態では、端末1は、二値化閾値、検知閾値(X)、検知閾値(Y)を、時刻、天候、周辺の建物等の環境に基づいて、調整する。これによって、時間、天候等が変化した場合でも、精度良く、障害物を検知することができる。
また、第1実施形態では、端末1は、物体進入判定ステータスにおいては、入力画像と1フレーム前の画像とを用いて障害物検知処理を行う。物体進入判定ステータスにおいて障害物が検知されると、端末1は、障害物判定ステータスに遷移する。端末1は、障害判定ステータスにおいては、物体進入判定ステータスにおいて障害物の検知に用いられた入力画像である基準画像と、基準画像から所定時間経過後の入力画像とを用いて障害物検知処理を行う。これによって、監視カメラ2の撮像範囲内への障害物の進入を検知することに加えて、当該障害物が撮像範囲内に停滞していることを検知することができる。
また、第1実施形態では、端末1は、物体進入判定ステータスにおいては、撮像画像内の周縁部分である進入検知領域について障害物検知処理を行い、障害物判定ステータスにおいては、撮像画像内の中心部分である追従検知領域について障害物検知処理を行う。これによって、障害物検知処理の対象領域が限定され、端末1の処理負荷が軽減される。
また、第1実施形態における、端末1、監視カメラ2、クランプセンサ3は、いずれも既製品を採用することができ、また、設置も簡易である。したがって、第1実施形態に係る障害物検知システム100の導入に係るコストを低く抑えることができる。
また、端末1に警報機を接続し、遮断機又は踏切警報機の動作状態に関わりなく端末1が障害物の存在を検知した場合に当該警報機から警報を発するようにして、例えば、遮断機も踏切警報機も設定されていない第4種踏切等に、障害物検知システム100を適用することで、第4種踏切等において、踏切内の取り残された歩行者や自動車等を検出することができる。
<障害物検知システムの活用例>
図9は、踏切事故防止支援システム500の一例を示す図である。踏切事故防止支援システム500は、例えば、障害物検知システム100、サーバ200、列車搭載クライアント端末300、自動車搭載クライアント端末400を含む。列車搭載クライアント端末300及び自動車搭載クライアント端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、車載器等である。
障害物検知システム100内の端末1、列車搭載クライアント端末300、自動車搭載クライアント端末400は、それぞれ、例えば、携帯電話網、無線LAN等の無線アクセスネットワーク等に接続しており、インターネットを通じて、サーバ200と通信可能である。サーバ200は、列車搭載クライアント端末300、自動車搭載クライアント端末400から、それぞれの位置情報を所定の周期で受信している。
踏切事故防止支援システム500における処理の流れは以下の通りである。(1)障害物検知システム100において端末1が、例えば、遮断機動作中に、障害物検知エリア内の自動車搭載クライアント端末400を搭載する自動車の進入又は停滞を検知すると、端末1は、サーバ200に、障害物検知エリア内の障害物の進入又は停滞の検知を通知する。
(2)サーバ200は、端末1の位置情報から端末1の設置されている踏切に接近している列車を特定し、当該列車の列車搭載クライアント端末300に、踏切内の障害物の進入又は停滞を通知する。
(3)列車搭載クライアント端末300では、サーバ200からの通知に基づいて、支援情報を表示する。支援情報には、例えば、当該踏切に到達するまでの時間、注意喚起のメッセージ、警報音、監視カメラ2の撮像画像等が含まれている。
(4)列車搭載クライアント端末300は、列車の当該踏切に対する接近情報をサーバ200に通知する。当該踏切に対する接近情報には、列車の速度、位置情報等が含まれている。
(3)と(4)の処理は、例えば、当該踏切に到達するまでの時間変化に応じて、複数回繰り返される。
例えば、サーバ200は、列車搭載クライアント端末300からの接近情報に基づいて、列車が当該踏切に到達するまでの時間を取得する。当該踏切に到達するまでの時間が5分以上である場合には、サーバ200は、列車搭載クライアント端末300に、踏切内の障害物の進入又は停滞が発生していることを示すメッセージ、踏切に到達するまでの時間が5分以上であること、を通知する。
例えば、当該踏切に到達するまでの時間が5分未満になった場合には、サーバ200は、列車搭載クライアント端末300に、踏切内の障害物の進入又は停滞が発生していることを示すメッセージ、踏切に到達するまでの時間が5分未満であること、を通知する。
例えば、当該踏切に到達するまでの時間が1分未満になった場合には、サーバ200は、列車搭載クライアント端末300に、踏切内の障害物の進入又は停滞が発生していることを示すメッセージ、踏切に到達するまでの時間が1分未満であること、警報音出力の命令等を通知する。また、例えば、当該踏切に到達するまでの時間が1分未満になった場合には、サーバ200は、列車搭載クライアント端末300を搭載する列車を停止させるように制御してもよい。
(5)サーバ200は、列車搭載クライアント端末300からの接近情報に基づいて、自動車搭載クライアント端末400に列車の接近情報を通知する。列車の接近情報には、例えば、列車が到達するまでの時間、警告メッセージ、アラーム音の出力命令等が含まれている。
(6)自動車搭載クライアント端末400は、サーバ200からの列車の接近の通知に基づいて、支援情報を表示する。(5)と(6)の処理も、例えば、列車が当該踏切に到達するまでの時間変化に応じて、複数回繰り返される。
なお、図9で示される例において、自動車に搭載されるクライアント端末400の代わりに、歩行者が携帯するクライアント端末が採用されてもよい。
踏切事故防止支援システム500によれば、遮断機又は踏切警報機の動作中に、踏切内で自動車、歩行者等が進入又は停滞した場合に、踏切内の障害物の進入又は停滞の情報を、当該踏切に接近している列車に通知し、列車の運転士に対して情報提供等の支援を行うことができる。これによって、踏切における人身事故の発生を抑制することができる。
また、踏切事故防止支援システム500によれば、踏切内に進入又は停滞している自動
車内の搭乗者や歩行者に対して、接近してくる列車の情報を提供することで、踏切からの脱出の支援を行うことができる。これによって、踏切における人身事故の発生を抑制することができる。
<障害物検知エリアの他の設定例>
第1実施形態では、障害物検知エリアとして踏切内の範囲を設定し、踏切内の障害物が検知された。障害物検知エリアは、踏切内に限定されず、例えば、線路内に設定することも可能である。
図10は、障害物検知エリアの設定の一例を示す図である。図10に示される例では、監視カメラ2の撮像範囲、すなわち、障害物検知エリアは、踏切の片側にある線路を含む範囲である。踏切の両脇に線路が有るので、図10に示される例では、2台の監視カメラ2が設置されている。また、監視カメラ2それぞれの設置場所の近傍に警報を発する警報機4も設置されている。
踏切の両側にある線路を含む範囲を障害物検知エリアとし、当該障害物検知エリアの撮像画像に対して、端末1が第1実施形態と同様の処理を行うことによって、例えば、歩行者や自動車の踏切から線路方向への進入を検知することができる。ただし、図10に示される例では、端末1は、障害物存在判定ステータスにおいて追従検知領域内の障害物の存在を検出した場合に、遮断機又は踏切警報機の動作状態に関係なく、警報機4にアラームの出力を指示するようにしてもよい。
また、図10に示される例では、物体進入判定ステータスにおける進入検知領域は、図5に示されるような撮像画像の周縁部分ではなく、撮像画像の踏切側の辺を含む部分領域であってもよい。例えば、図5に示される撮像画像の領域において、矩形52側が線路側である場合には、矩形52が進入検知領域に設定され、矩形52以外の領域が追従検知領域に設定されてもよい。
障害物検知エリアが設定される範囲によって、第1実施形態で説明された障害物検知システム100を踏切内の障害物の検出以外に適用することができる。図10に示されるように、障害物検知エリアを踏切の脇の線路を含む範囲に設定することによって、踏切から線路への進入を検出することができる。例えば、線路に進入した自動車が線路に引っかかって抜け出せなくなった場合に、当該自動車をより早く検出し、救出することができる。
<その他>
第1実施形態では、障害物検知処理において、撮像画像の横方向、縦方向の2方向について、各列における画素値の差分が閾値以上である画素の総数を示す値が算出され、当該値に基づいて障害物の検知が行われる。各列における画素値の差分が閾値以上である画素の総数を示す値が算出されるのは、撮像画像の横方向、縦方向の2方向に限定されない。例えば、監視カメラ2が3次元画像を撮像可能である場合には、端末1は、障害物検知処理において、撮像画像の横方向、縦方向の2方向に加えて、奥行き方向についても各列における画素値の差分が閾値以上である画素の総数を示す値を算出し、3方向についての算出された値に基づいて、障害物を検知してもよい。
また、第1実施形態では、物体進入判定ステータスと障害物存在判定ステータスとでは、撮像画像内の障害物検知処理の対象領域が異なるが、これに限定されず、物体進入判定ステータスと障害物存在判定ステータスとの両方において、例えば、障害物検知処理の対象領域を撮像画像全体としてもよい。
また、第1実施形態では、障害物検知処理において、端末1は、監視カメラ2の撮像画
像内の対象領域内の各画素について、入力画像と比較対象の画像との間で、画素値の差分を算出し、横方向及び縦方向の2方向について、各列における画素値の差分が二値化閾値以上の画素の総和を示す値を算出し、当該値に基づいて、撮像画像内の対象領域内の障害物の存在を検知する。ただし、撮像画像から障害物を検知する方法は、これに限定されない。例えば、撮像画像から障害物を検知する方法として、入力画像と比較対象の画像とでパターンマッチングを行って、動体を検知してもよい。
また、第1実施形態では、端末1は、物体進入判定ステータスと障害物存在判定ステータスとの間で状態遷移するが、これに限定されず、端末1は状態遷移せず、例えば、撮像画像の全領域に対して、入力画像と1フレーム前の画像とを用いて第1実施形態の障害物検知処理を行って、撮像範囲内の障害物を検知してもよい。また、第1実施形態では、端末1は、物体進入判定処理と障害物存在判定処理との両方を実行するが、これに限定されず、端末1は、物体進入判定処理と障害物存在判定処理とのいずれか一方のみを実行してもよい。例えば、端末1が物体進入判定処理のみを実行して、進入検知領域について物体の進入を検出するようにしてもよい。例えば、端末1が障害物存在判定処理のみを実行して、追従検知領域について物体の滞留を検出するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、障害物検知処理において、入力画像と比較対象の画像とを用いるが、入力画像に限定されず、入力画像よりも所定フレーム数前の画像を用いてもよい。障害物検知処理において用いられる2つの画像は、一方が他の一方よりも所定フレーム数前(1フレーム前も含む)の画像であればよい。
また、第1実施形態では、障害物検知システム100を踏切に設置し、踏切内又は踏切の脇の線路を含む範囲を障害検知エリアとすることについて説明されたが、これに限定されない。障害物検知システム100は、例えば、高速道路の料金所、高速道路の路側帯の近傍等に設置し、高速道路の料金所の通路、高速道路の路側帯の前方の道路等を障害物検知エリアに設定することによって、障害物の滞留によって事故が発生する可能性の高い場所において、事故の発生を抑制することができる。また、人や自動車の進入の制限が望まれる場所に、障害物検知システム100を設置し、人や自動車の出入り口となる範囲を障害物検知エリアとすることによって、進入制限の場所への進入を検知することができ、セキュリティ対策にも応用することができる。
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コ
ンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。