JP2019041076A - 放熱装置用フィン及び放熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で且つ高い放熱性能を有する放熱装置用フィン及び放熱装置を提供すること。【解決手段】放熱装置用フィン11は発熱性素子18などの発熱体の熱を放散するものである。フィン11はアルミニウム−炭素粒子複合板で形成されている。フィン11の面方向hの熱伝導率はフィン11の厚さ方向tの熱伝導率よりも高い。【選択図】図1

Description

本発明は、発熱性素子(例:電子素子)などの発熱体の熱を放散する放熱装置用フィン及び放熱装置に関する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特に文中に示した場合を除いて、「アルミニウム」の語は純アルミニウム及びアルミニウム合金の双方を含む意味で用いられる。
また、本発明に係る放熱装置の上下方向は限定されるものではないが、本明細書では、放熱装置の構成を理解し易くするため、発熱体が搭載される放熱装置の搭載面側を放熱装置の上側、及び、その反対側を放熱装置の下側とそれぞれ定義する。
発熱体として例えば電子素子の熱を放散する放熱装置用のフィンは、特開2007−128935号公報(特許文献1)、特開2007−141932号公報(特許文献2)、国際公開番号W2007/105580号(特許文献3)等に開示されているように、銅やアルミニウムからなる。
特開2007−128935号公報 特開2007−141932号公報 国際公開番号W2007/105580号
しかるに、フィンが銅からなる場合、銅の密度が8.93g/cmであることから、放熱装置の軽量化を図ることが困難であった。
また近年、電子素子からの発熱密度は高くなってきている。そのような電子素子の熱を放散する放熱装置には高い放熱性能が要求される。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、軽量化を図ることができ且つ高い放熱性能を有する放熱装置用フィン及び放熱装置を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 発熱体の熱を放散する放熱装置用フィンであって、
アルミニウム−炭素粒子複合板で形成されており、
フィンの面方向の熱伝導率がフィンの厚さ方向の熱伝導率よりも高い、放熱装置用フィン。
[2] 前記複合板は、アルミニウムマトリックスと前記アルミニウムマトリックス中に分散した多数の炭素粒子とを含むものであり、
前記炭素粒子の配向方向がフィンの面方向に設定されている前項1記載の放熱装置用フィン。
[3] 前項1又は2記載のフィンを備えた放熱装置。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、フィンがアルミニウム−炭素粒子複合板で形成されていることにより、フィンの軽量化を図り得る。
さらに、フィンの面方向の熱伝導率がフィンの厚さ方向の熱伝導率よりも高いことにより、フィンの放熱性能を高めることができる。
前項2では、炭素粒子の配向方向が複合材の面方向に設定されていることにより、フィンの放熱性能を確実に高めることができる。
前項3では、放熱装置の軽量化を図ることができるし放熱装置の放熱性能を高めることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱装置の概略断面図である。 図2は、図1中のA部分の拡大断面図である。 図3は、放熱装置のフィンをロールフィン加工装置により製作する場合の概略側面図である。 図4は、図3中のB部分の拡大断面図である。 図5は、同フィンの斜視図である。 図6aは、フィン素板をプレスフィン加工装置の一対のプレス型間に配置した状態を示す概略側面図である。 図6bは、同フィン素板を両プレス型間で挟圧する途中の状態を示す概略側面図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る放熱装置用フィンの斜視図である。 図8は、本発明の第3実施形態に係る放熱装置用フィンの斜視図である。 図9は、実施例で製造した放熱装置の概略断面図である。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜5は、本発明の第1実施形態に係る放熱装置10を説明するための図である。なお、図1及び2では、放熱装置10の構成を理解し易くするため、放熱装置10の構成部材(フィン11を含む)の断面には斜線等のハッチングは描かれていない。
図1に示すように、放熱装置10は、発熱体として例えば発熱性素子(二点鎖線で示す)18の熱を放散して発熱性素子18を冷却するためのものであり、放熱装置10を構成する複数の部材として、配線層17、絶縁層16、緩衝層15及び放熱器13を具備している。そして、これら(17、16、15及び13)が上から下へこの記載順に積層状に配置されるとともにろう付け等の接合手段により積層状に接合一体化され、これにより放熱装置10が形成されている。
発熱性素子18としては、パワーモジュール用素子等の電子素子が挙げられる。
配線層17は、その表面(詳述すると上表面)からなる搭載面17aに発熱性素子18がはんだ層(二点鎖線で示す)19を介して接合されるものであり、電気伝導性を有しており、金属(例:アルミニウム、銅)、金属−炭素粒子複合材などからなる。
絶縁層16は、電気絶縁性を有するものであり、通常、窒化アルミ(AlN)等のセラミックからなる。
緩衝層15は、放熱装置10に作用する熱応力等の応力を緩和するための層であり、金属(例:アルミニウム、銅)、金属−炭素粒子複合材などからなる。
放熱器13は、発熱性素子18から下方向に配線層17、絶縁層16、緩衝層15及び放熱器13を順次伝導してきた熱を放散する空冷式又は液冷式のものであり、中空状のケース12と本発明の第1実施形態に係る放熱フィン11とを備えている。
ケース12はアルミニウム等の金属製であり、フィン11とは別体に形成されたものである。
フィン11はコルゲート状に形成されたものであり、いわゆるコルゲートフィンである。そして、フィン11がケース12内に配置されており、これによりケース12の内部がフィン11によって複数の冷却流体用流路13aに仕切られている。さらに、フィン11がケース12の内面に所定の固着手段(例えばろう付け)により固着(接合)されている。符号「14」は、フィン11をケース12の内面に固着(接合)したろう材のフィレットである。流路13aを流れる冷却流体は例えば冷却液(冷却水など)である。
フィン11は次のようにして製作されたものである。
図3及び4に示すように、フィン11はアルミニウム−炭素粒子複合板3で形成されたものであり、詳述すると、フィン11はアルミニウム−炭素粒子複合板3の曲げ加工品からなるものであり、更に詳述すると、フィン11はアルミニウム−炭素粒子複合板3が所定の曲げ加工装置として例えばロールフィン加工装置20によりコルゲート状に屈曲されて製作(形成)されたものである。
すなわち、ロールフィン加工装置20に備えられた互いに噛合する一対の歯車状ロール21、21間にアルミニウム−炭素粒子複合板3からなる長尺な平板状のフィン素板11Aをその長さ方向に通すことにより、当該フィン素板11Aをコルゲート状に屈曲する。次いで、当該フィン素板11Aを所定の長さに切断することにより、図5に示したフィン11が得られる。
図4に示すように、フィン素板11A(フィン11)を形成する複合板3は、アルミニウムマトリックス2とアルミニウムマトリックス2中に分散した多数の炭素粒子1とを含むものであり、アルミニウム基炭素粒子複合板とも呼ばれているものである。そして、複合板3の面方向h及び厚さ方向tがそれぞれフィン11の面方向h及び厚さ方向tになるようにフィン11が複合板3で形成されている。
アルミニウムマトリックス2中の炭素粒子1は、フィン11の厚さ方向t(即ち複合板3の厚さ方向t)ではなくフィン11の面方向h(即ち複合板3の面方向h)に配向している。これにより、フィン11の面方向hの熱伝導率λは、フィン11の厚さ方向tの熱伝導率λよりも高くなっている(即ち、λ>λ)。特にλはλの2倍超である(即ち、λ/λ>2)ことが望ましく、更にλはλの3倍超である(即ち、λ/λ>3)ことが非常に望ましい。
ここで、炭素粒子1の配向方向がフィン11の面方向hに設定されているとは、フィン11のその面方向hに垂直な断面を観察した場合に、炭素粒子1の最長軸とフィン11の面方向hとのなす角度が25°以下である炭素粒子1が、観察された炭素粒子1の総数に対して85%以上存在していることを意味する。なお、フィン11の断面の観察は、通常、光学顕微鏡によって倍率100倍で行われる。
炭素粒子1の種類は限定されるものではないが、炭素繊維、天然黒鉛、グラフェン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される一種又は二種以上のものを用いることが望ましい。その理由は、このような炭素粒子1は熱伝導率が高く且つアルミニウムマトリックス2との複合化をし易いからである。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などが好適に用いられる。
天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛粒子(特に、高熱伝導性鱗片状黒鉛粒子)などが好適に用いられる。
グラフェンとしては、単層グラフェン、多層グラフェンなどが好適に用いられる。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなどが好適に用いられる。なお、カーボンナノチューブは気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標))を含む。
炭素粒子1の大きさは限定されるものではなく、通常、炭素粒子1の最長軸方向の平均長さは1μm〜1mmである。
マトリックス2として用いられるアルミニウムの種類は限定されるものではなく、通常、アルミニウムとして純度99%以上の純アルミニウム、3000系合金(例えばA3003合金)又は6000系合金(例えばA6063合金)が用いられる。
複合板3の製造方法については限定されるものではないが、特開2015−25158号公報などに記載のように、アルミニウム箔上に炭素粒子層が塗工された塗工箔が複数積層された状態の積層体を塗工箔の積層方向に加圧しながら板状に加熱焼結することにより複合板を製造する方法か、あるいは、アルミニウム粉末と炭素粒子としての炭素粉末との混合物を一方向に加圧しながら板状に加熱焼結することにより複合板を製造する方法であることが望ましい。その理由は、アルミニウムマトリックス2中の炭素粒子1が複合板3の面方向h(即ちフィン11の面方向h)に配向した複合板3を確実に製造できるからである。
本第1実施形態の放熱装置10では、図1に示すように、発熱性素子18の熱は、発熱性素子18から下方向に配線層17、絶縁層16、緩衝層15及び放熱器13に順次伝導する。図1及び2中の矢印「F」は、放熱装置10における、発熱性素子18の熱の流れを示している。
ここで、上述したように、フィン11の面方向hの熱伝導率λがフィン11の厚さ方向tの熱伝導率λよりも高いことから、放熱器13に伝導してきた熱は図2に示すようにフィン11をその面方向hに良好に流れるとともに、その際に熱が流路13aを流れる冷却流体(例えば冷却液)に放散される。したがって、フィン11の放熱性能は高く、すなわち放熱装置10は高い放熱性能を有している。
フィン11の厚さは限定されるものではないが、フィン11の放熱性能を確実に高めるためにフィン11はなるべく薄いことが望ましく、特に2mm以下であることが望ましい。一方、フィン11が薄くなり過ぎることによるフィン11の機械的強度の低下を確実に抑制するため、フィン11の厚さは0.1mm以上であることが望ましい。
もとより、本第1実施形態の放熱装置10では、フィン11はアルミニウム−炭素粒子複合板3で形成されているので、放熱装置10の軽量化を図ることができる。
本第1実施形態では、フィン11は、図3に示したようにロールフィン加工装置20により製作されたものであることに限定されるものではなく、その他に例えば図6a及び6bに示すようにプレスフィン加工装置30により製作されたものであっても良い。この場合のフィン11の製作方法を以下に説明する。
図6a及び6bは、アルミニウム−炭素粒子複合板からなる平板状のフィン素板11Aをプレスフィン加工装置30によりコルゲート状に屈曲することによりフィン11を製作する場合を示すものである。
プレスフィン加工装置30は、互いに対向状に配置された一対のプレス型31、31を備えている。両プレス型31、31の両押圧面31a、31aは、両プレス型31、31間でフィン素板11Aを挟圧することによりフィン素板11Aがコルゲート状に屈曲しうるように互いに噛合する略波状に形成されている。
この場合では、図6aに示すようにフィン素板11Aを両プレス型31、31間に配置し、次いで図6bに示すようにフィン素板11Aを両プレス型31、31間で挟圧することによりコルゲート状に屈曲する。これにより、図5に示したフィン11が得られる。
本発明に係る放熱装置用フィンは、上記第1実施形態に示したものであることに限定されるものではない。その他の幾つかの実施形態を以下に示す。
図7に示した本発明の第2実施形態に係る放熱装置は、互いに平行に且つ離間して配置された複数のプレート型フィン(平板状フィン)111を備えた空冷式又は液冷式の放熱器113を具備するものである。
各フィン111はアルミニウム−炭素粒子複合板からなるものであって、フィン111の面方向h(即ち複合板の面方向)の熱伝導率λはフィン111の厚さ方向t(即ち複合板の厚さ方向)の熱伝導率λよりも高くなっている。そして、各フィン111が連結棒121にかしめ固定されており、これにより、複数のフィン111が互いに平行に且つ離間した状態に連結棒121を介して連結されている。連結棒121はアルミニウム等の金属製である。なお、各フィン111の縁部にはフィン111を連結棒121にかしめ固定するための略円弧状の切欠き部111aが形成されている。
各フィン111は、各フィン111とは別体に形成された中空状のケース(12、図1参照)内に配置されてケースの内面に所定の固着手段(例えばろう付け)により固着(接合)されるか、又は、各フィン111とは別体に形成されたベース板(図示せず)にベース板に対して突出状に固着(接合)される。
図8に示した本発明の第3実施形態に係る放熱装置では、放熱器213の各フィン211は略三角波状に折曲したものであり、いわゆる波プレート型フィンである。その他の構成は上記第2実施形態と同じである。なお、同図中の符号「221」は連結棒であり、符号「211a」はフィン211を連結棒221にかしめ固定するための略円弧状の切欠き部である。
以上で本発明の幾つかの実施形態について示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、上記第1実施形態では、フィン11は、フィン11とは別体に形成されたケース12内に配置されてケース12の内面に固着(接合)されるものであるが、本発明ではその他に例えば、フィン11とは別体に形成されたベース板(図示せず)にベース板に対して突出状に固着(接合)されるものであっても良い。
次に、本発明の具体的な実施例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、図9に示した放熱装置310を製造した。この放熱装置310は、上記第1実施形態の放熱装置10の放熱器13においてケース12内に複数のプレート型フィン311が互いに平行に且つ離間して配置されることでケース12の内部が複数のフィン311によって複数の冷却流体用流路13aに仕切られているものである。符号「313」は実施例の放熱装置310の放熱器である。その他の構成は上記第1実施形態の放熱装置10と同じである。
なお、同図では、放熱装置310の構成を理解し易くするため、放熱装置310の構成部材(フィン311を含む)の断面には斜線等のハッチングは描かれていない。
<実施例1>
本実施例1で製造した放熱装置310では、プレート型フィン311をアルミニウム−炭素粒子複合板で形成した。複合板に含まれる炭素粒子は鱗片状黒鉛粒子であり、複合板に対する鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は25体積%であった。また、フィン311の面方向hの熱伝導率λは390W/(m・K)、フィン311の厚さ方向tの熱伝導率λは70W/(m・K)、及びフィン311の厚さは0.3mmであった。
なお、熱伝導率の測定はレーザーフラッシュ測定法により常温で行った。
この放熱装置310の放熱性能を調べたところ、この放熱装置310は、プレート型フィン311をアルミニウム板で形成した放熱装置よりも高い放熱性能を有していた。
<実施例2>
本実施例2で製造した放熱装置310では、プレート型フィン311をアルミニウム−炭素粒子複合板で形成した。複合板に含まれる炭素粒子は鱗片状黒鉛粒子であり、複合板に対する鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は40体積%であった。また、フィン311の面方向hの熱伝導率λは500W/(m・K)、フィン311の厚さ方向tの熱伝導率λは40w/(m・K)、及びフィン311の厚さは0.3mmであった。
この放熱装置310の放熱性能を調べたところ、この放熱装置310は、プレート型フィン311を銅板(その熱伝導率:397W/(m・K))で形成した放熱装置よりも高い放熱性能を有していた。
本発明は、発熱性素子などの発熱体の熱を放散する放熱装置用フィン及び放熱装置に利用可能である。
1:炭素粒子
2:アルミニウムマトリックス
3:アルミニウム−炭素粒子複合板
10:放熱装置
11、111、211、311:フィン
13、113、213、313:放熱器
18:発熱性素子(発熱体)

Claims (3)

  1. 発熱体の熱を放散する放熱装置用フィンであって、
    アルミニウム−炭素粒子複合板で形成されており、
    フィンの面方向の熱伝導率がフィンの厚さ方向の熱伝導率よりも高い、放熱装置用フィン。
  2. 前記複合板は、アルミニウムマトリックスと前記アルミニウムマトリックス中に分散した多数の炭素粒子とを含むものであり、
    前記炭素粒子の配向方向がフィンの面方向に設定されている請求項1記載の放熱装置用フィン。
  3. 請求項1又は2記載のフィンを備えた放熱装置。
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