JP2019041057A - 熱光変換素子および熱光起電力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構造で、熱を得て特定の波長の光を放出する熱光変換素子および熱光起電力装置を提供する。【解決手段】第1の導電型である第1層14と、第1層14の上に設けられ、第1の導電型とは異なる第2の導電型である第2層18と、第1層14と第2層18との間に設けられ、第1層14および第2層18からキャリアが注入されることで発光する活性層16と、を具備し、活性層16の伝導帯の下端のエネルギーは第1層14の伝導帯の下端のエネルギーより低く、活性層16の価電子帯の下端のエネルギーは第2層18の価電子帯の下端のエネルギーより高く、活性層16のバンドギャップは、第1層14および第2層18のバンドギャップよりも大きい熱光変換素子。【選択図】図1
Description
本発明は熱光変換素子および熱光起電力装置に関するものである。
熱を光に変換する素子と、光を電気に変換する素子とを組み合わせた熱光起電力装置が開発されている(例えば特許文献1および2)。
熱から電気への変換効率(熱電変換効率)を高めるため、光電変換素子の光電変換効率が高くなる波長の光を、光電変換素子に照射することが好ましい。例えばフォトニック結晶を用いて、熱光変換素子の光から特定の波長の光を選択的に透過させることができるが、フォトニック結晶を設けるためのコストが高くなってしまう。したがって、熱光変換素子が特定の波長を有する光を放出することが好ましい。
そこで、簡便な構造で、熱を得て特定の波長の光を放出することが可能な熱光変換素子および熱光起電力装置を提供することを目的とする。
本発明に係る熱光変換素子は、第1の導電型である第1層と、前記第1層の上に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型である第2層と、前記第1層と前記第2層との間に設けられ、前記第1層および前記第2層からキャリアが注入されることで発光する活性層と、を具備し、前記活性層の伝導帯の下端のエネルギーは前記第1層の伝導帯の下端のエネルギーより低く、前記活性層の価電子帯の下端のエネルギーは前記第2層の価電子帯の下端のエネルギーより高く、前記活性層のバンドギャップは、前記第1層および前記第2層のバンドギャップよりも大きいものである。
上記発明によれば、簡便な構造で、熱を得て特定の波長の光を放出する熱光変換素子および熱光起電力装置の実現が可能である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の一形態は、(1)第1の導電型である第1層と、前記第1層の上に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型である第2層と、前記第1層と前記第2層との間に設けられ、前記第1層および前記第2層からキャリアが注入されることで発光する活性層と、を具備し、前記活性層の伝導帯の下端のエネルギーは前記第1層の伝導帯の下端のエネルギーより低く、前記活性層の価電子帯の下端のエネルギーは前記第2層の価電子帯の下端のエネルギーより高く、前記活性層のバンドギャップは、前記第1層および前記第2層のバンドギャップよりも大きい熱光変換素子である。第1層および第2層から活性層に注入されたキャリアが再結合することで、活性層のバンドギャップに対応した波長を有する光が放出される。この結果、熱光変換素子は特定の波長の光を放出することができる。
(2)前記第1の導電型はp型であり、前記第2の導電型はn型でもよい。p型の第1層から活性層へと電子が注入され、n型の第2層から活性層へと正孔が注入される。活性層において電子と正孔とが再結合することで、光が放出される。
(3)前記第1層は、ガリウムアンチモン層、インジウム砒素層およびインジウムアンチモン層を積層したp型超格子層でもよい。第1層から活性層へと電子が注入される。
(4)前記第2層は、インジウム砒素層およびインジウム砒素アンチモン層を積層したn型超格子層でもよい。第2層から活性層へと正孔が注入される。
(5)前記活性層はガリウムインジウム砒素アンチモンで形成されてもよい。活性層のバンドギャップが第1層および第2層よりも大きくなる。また活性層の伝導帯の下端のエネルギーが第1層より低く、価電子帯の下端のエネルギーが第2層より高くなる。
(6)p型ガリウムアンチモンで形成された半導体基板を具備し、前記第1層は前記半導体基板の上に設けられてもよい。第2層の光の吸収率は第1層および半導体基板より小さいため、第2層の側から放出される光の減衰が抑制される。
(7)前記第1層のバンドギャップは、前記第2層のバンドギャップとは異なってもよい。これにより広い温度範囲においてキャリアの熱励起が発生する。
(8)前記第2層の上に設けられた反射防止膜を具備してもよい。これにより光の減衰を抑制することができる。
(9)パッケージと、前記パッケージに収納された、上記の熱光変換素子と、前記パッケージに設けられ、前記熱光変換素子を加熱するヒートシンクと、前記パッケージに収納され、前記熱光変換素子が発する光を受光して電気に変換する光電変換素子と、を具備する熱光起電力装置である。熱光変換素子は熱を効率的に特定の波長の光に変換し、光電変換素子はその光を効率的に電気に変換する。これにより、熱電変換効率が高くなる。
(2)前記第1の導電型はp型であり、前記第2の導電型はn型でもよい。p型の第1層から活性層へと電子が注入され、n型の第2層から活性層へと正孔が注入される。活性層において電子と正孔とが再結合することで、光が放出される。
(3)前記第1層は、ガリウムアンチモン層、インジウム砒素層およびインジウムアンチモン層を積層したp型超格子層でもよい。第1層から活性層へと電子が注入される。
(4)前記第2層は、インジウム砒素層およびインジウム砒素アンチモン層を積層したn型超格子層でもよい。第2層から活性層へと正孔が注入される。
(5)前記活性層はガリウムインジウム砒素アンチモンで形成されてもよい。活性層のバンドギャップが第1層および第2層よりも大きくなる。また活性層の伝導帯の下端のエネルギーが第1層より低く、価電子帯の下端のエネルギーが第2層より高くなる。
(6)p型ガリウムアンチモンで形成された半導体基板を具備し、前記第1層は前記半導体基板の上に設けられてもよい。第2層の光の吸収率は第1層および半導体基板より小さいため、第2層の側から放出される光の減衰が抑制される。
(7)前記第1層のバンドギャップは、前記第2層のバンドギャップとは異なってもよい。これにより広い温度範囲においてキャリアの熱励起が発生する。
(8)前記第2層の上に設けられた反射防止膜を具備してもよい。これにより光の減衰を抑制することができる。
(9)パッケージと、前記パッケージに収納された、上記の熱光変換素子と、前記パッケージに設けられ、前記熱光変換素子を加熱するヒートシンクと、前記パッケージに収納され、前記熱光変換素子が発する光を受光して電気に変換する光電変換素子と、を具備する熱光起電力装置である。熱光変換素子は熱を効率的に特定の波長の光に変換し、光電変換素子はその光を効率的に電気に変換する。これにより、熱電変換効率が高くなる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る熱光変換素子および熱光起電力装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態に係る熱光変換素子および熱光起電力装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(実施形態)
図1(a)は実施形態に係る熱光変換素子100を例示する断面図である。図1(a)に示すように、熱光変換素子100は半導体基板10と半導体層11とを備える。半導体層11は、半導体基板10に近い方から順に、バッファ層12、p型超格子層14(第1層)、活性層16(第3層)、およびn型超格子層18(第2層)を積層したものである。活性層16はp型超格子層14の上面に接触し、n型超格子層18は活性層16の上面に接触する。n型超格子層18の上面には反射防止膜19が設けられている。熱光変換素子100は例えば一辺が1cmの矩形の半導体装置である。
図1(a)は実施形態に係る熱光変換素子100を例示する断面図である。図1(a)に示すように、熱光変換素子100は半導体基板10と半導体層11とを備える。半導体層11は、半導体基板10に近い方から順に、バッファ層12、p型超格子層14(第1層)、活性層16(第3層)、およびn型超格子層18(第2層)を積層したものである。活性層16はp型超格子層14の上面に接触し、n型超格子層18は活性層16の上面に接触する。n型超格子層18の上面には反射防止膜19が設けられている。熱光変換素子100は例えば一辺が1cmの矩形の半導体装置である。
半導体基板10は、例えば厚さ数百μmのp型ガリウムアンチモン(GaSb)により形成されている。バッファ層12は例えば厚さ500nmで、半導体基板10と同じ材料のp型GaSbで形成されている。半導体基板10およびバッファ層12にはベリリウム(Be)がドープされている。
p型超格子層14は、例えば厚さ3.66nmのGaSb層、厚さ2.12nmのインジウム砒素(InAs)層、および厚さ0.23nmのインジウムアンチモン(InSb)層を積層し、この積層体をさらに700組積層したものである。GaSb層、InAs層、およびInSb層にはいずれもBeがドープされている。p型超格子層14全体の厚さは例えば4207nmである。活性層16は、例えば厚さ200nmのガリウムインジウム砒素アンチモン(GaxIn1−xAsySb1−y、x=0.6、y=0.36)で形成されている。
n型超格子層18は、例えば厚さ10.6nmのInAs層、および厚さ3.74nmのインジウム砒素アンチモン(InAsxSb1−x、x=0.59)層を積層し、この積層体をさらに110組積層したものである。InAs層およびInAsSb層にはいずれもシリコン(Si)がドープされている。n型超格子層18全体の厚さは例えば1577.4nmである。反射防止膜19は例えば酸窒化シリコン(SiON)などの絶縁体で形成されている。
図1(b)は熱光変換素子100のエネルギー準位を示す模式図であり、p型超格子層14、活性層16およびn型超格子層18のエネルギー準位を示している。図中の黒丸は電子20、白丸は正孔22を示す。
図1(b)に示すように、活性層16の伝導帯のエネルギー準位Ec3の下端のエネルギーは、p型超格子層14の伝導帯のエネルギー準位Ec1の下端のエネルギーより低く、n型超格子層18の伝導帯のエネルギー準位Ec2の下端のエネルギーより高い。つまりEc1の下端のエネルギーはEc3の下端より真空準位(不図示)に近く、Ec3の下端のエネルギーはEc2の下端よりも真空準位に近い。活性層16の価電子帯のエネルギー準位Ev3の下端のエネルギーは、p型超格子層14の価電子帯のエネルギー準位Ev1の下端のエネルギーより低く、n型超格子層18の価電子帯のエネルギー準位Ev2の下端のエネルギーより高い。つまりEv1の下端のエネルギーはEv3の下端より真空準位に近く、Ev3の下端のエネルギーはEv2の下端よりも真空準位に近い。活性層16のバンドギャップEg3は、p型超格子層14のバンドギャップEg1およびn型超格子層18のバンドギャップEg2よりも大きい。バンドギャップEg1はバンドギャップEg2よりも大きい。
熱光変換素子100が例えば100〜400℃以上に加熱されると、p型超格子層14およびn型超格子層18で電子20が熱励起され、伝導帯において電子20が多くなり、価電子帯に正孔22が多くなる。p型超格子層14からn型超格子層18にかけてポテンシャルの勾配が生じる。Ec1の下端のエネルギーはEc3の下端のエネルギーより高いため、電子20はp型超格子層14の伝導帯から活性層16の伝導帯へと流入する。Ev3の下端のエネルギーはEv2の下端のエネルギーより高いため、正孔22はn型超格子層18の価電子帯から活性層16の価電子帯へと流入する。電子20と正孔22とが活性層16において再結合することで、バンドギャップEg3に対応した波長の光が発生する。バンドギャップEg3はバンドギャップEg1およびEg2よりも大きいため、再結合により生じる光の波長は短くなる。Eg3は例えば530meVであり、光の波長は例えば2.3μmである。
熱輻射の波長分布はウィーンの法則により定まり、例えば100〜400℃では波長およそ5μmにおいて光の強度がピークになり、かつ数十μm程度まで光が分布する。一方、再結合による光の波長は、温度ではなく活性層16のバンドギャップEg3により定まる。このため、熱光変換素子100の放出光のうち、波長が2.3μm程度の光の強度が大きく、他の波長の光の強度は小さい。すなわち熱光変換素子100は熱を特定の波長の光に効率的に変換する。
(光電変換素子)
図2は光電変換素子30を例示する斜視図である。図2に示すように、光電変換素子30は、半導体基板31、バッファ層32、p型光吸収層34、n型コンタクト層36および反射防止膜38を有するフォトダイオードである。バッファ層32、p型光吸収層34、およびn型コンタクト層36は、順に半導体基板31上に積層されている。コンタクト層36の上面には、櫛型電極33および反射防止膜38が接触している。半導体基板31の下面には電極35が接触している。光電変換素子30は例えば一辺が1cmの矩形の半導体装置である。
図2は光電変換素子30を例示する斜視図である。図2に示すように、光電変換素子30は、半導体基板31、バッファ層32、p型光吸収層34、n型コンタクト層36および反射防止膜38を有するフォトダイオードである。バッファ層32、p型光吸収層34、およびn型コンタクト層36は、順に半導体基板31上に積層されている。コンタクト層36の上面には、櫛型電極33および反射防止膜38が接触している。半導体基板31の下面には電極35が接触している。光電変換素子30は例えば一辺が1cmの矩形の半導体装置である。
半導体基板31は例えばBeが添加されたp型GaSbで形成されている。バッファ層32は例えば半導体基板31と同じ材料のp型GaSbで形成され、厚さは500nmである。p型光吸収層34は、例えばBeがドープされた厚さ3000nmのp型GaxIn1−xAsySb1−y(x=0.53、y=0.43)で形成されている。p型光吸収層34のバンドギャップは例えば519meVであり、図1(b)に示した活性層16のバンドギャップEg3以下である。コンタクト層36は、例えばSiがドープされた厚さ400nmのn型GaxIn1−xAsySb1−y(x=0.53、y=0.43)で形成されている。櫛型電極33および電極35は例えばチタン、白金および金の積層体(Ti/PT/Au)などの金属で形成されている。反射防止膜38は例えばSiONなどの絶縁体で形成されている。
(熱光起電力装置)
図3は熱光起電力装置110を例示する断面図である。図3に示すように、熱光起電力装置110は、熱光変換素子100、光電変換素子30、パッケージ40、およびヒートシンク42を備える。パッケージ40は内部が空洞の容器であり、熱光変換素子100および光電変換素子30を収納する。パッケージ40の一部にはヒートシンク42が設けられている。パッケージ40は例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁体で形成され、熱伝導率は低い。ヒートシンク42は例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)などパッケージ40よりも熱伝導率が高く、かつ絶縁性の材質で形成されている。
図3は熱光起電力装置110を例示する断面図である。図3に示すように、熱光起電力装置110は、熱光変換素子100、光電変換素子30、パッケージ40、およびヒートシンク42を備える。パッケージ40は内部が空洞の容器であり、熱光変換素子100および光電変換素子30を収納する。パッケージ40の一部にはヒートシンク42が設けられている。パッケージ40は例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁体で形成され、熱伝導率は低い。ヒートシンク42は例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)などパッケージ40よりも熱伝導率が高く、かつ絶縁性の材質で形成されている。
ヒートシンク42には、例えば銀(Ag)ペーストなどを用いて熱光変換素子100が固定されている。光電変換素子30はパッケージ40の内壁に固定され、熱光変換素子100と対向し、ヒートシンク42には接触しない。具体的には、熱光変換素子100の半導体基板10がヒートシンク42に固定され、光電変換素子30の半導体基板31がパッケージ40の内壁に固定される。熱光変換素子100の反射防止膜19と、光電変換素子30の反射防止膜38とが対向する。熱光変換素子100と光電変換素子30とは離間しており、距離dは例えば2mmである。パッケージ40の内側は真空引きされており、気圧は例えば1Pa程度である。すなわち熱光変換素子100および光電変換素子30は真空状態で密封される。
パッケージ40の外部にある熱源44にヒートシンク42を接触させる。熱源44は室温より高温であり、例えば工場の炉および煙突の外壁などである。熱源44からヒートシンク42を通じて、熱光変換素子100へと熱が伝導され、熱光変換素子100の温度は熱源44と同程度まで上昇する。例えば300℃まで加熱された熱光変換素子100は、図1(b)において説明したキャリアの熱励起および再結合により、波長2.3μmの光を集中的に放射する。光は反射防止膜19および38を透過して、光電変換素子30のp型光吸収層34に入射する。p型光吸収層34のバンドギャップはEg3以下であるため、光によりフォトキャリアが生成される。このように、光電変換素子30は、光を電気に変換することができる。例えば熱光起電力装置110の短絡電流は1.2A/cm2、出力電力は0.22W/cm2である。光電変換素子30に配線を接続することで生じた電力を外部に出力することができる。
(製造方法)
図4(a)から図4(c)は熱光変換素子100の製造方法を例示する斜視図である。図4(a)に示すように、ウェハ状態の半導体基板10の表面に、例えば分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)により、半導体層11をエピタキシャル成長する。図4(b)に示すように、例えばプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)により、反射防止膜19を形成する。図4(c)に示すように、ウェハをダイシングし、熱光変換素子100を形成する。
図4(a)から図4(c)は熱光変換素子100の製造方法を例示する斜視図である。図4(a)に示すように、ウェハ状態の半導体基板10の表面に、例えば分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)により、半導体層11をエピタキシャル成長する。図4(b)に示すように、例えばプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)により、反射防止膜19を形成する。図4(c)に示すように、ウェハをダイシングし、熱光変換素子100を形成する。
光電変換素子30も、ウェハ状態の半導体基板31の上にp型光吸収層34などをエピタキシャル成長し、ダイシングすることで形成される。熱光変換素子100と光電変換素子30とをパッケージ40に収納することで、図3に示した熱光起電力装置110が形成される。
以上のように、本実施形態によれば、図1(a)に示すように、活性層16がp型超格子層14とn型超格子層18との間に設けられている。図1(b)に示すように、熱励起により電子20および正孔22が生成される。活性層16の伝導帯の下端のエネルギーはp型超格子層14の伝導帯の下端のエネルギーよりも低く、活性層16の価電子帯の下端のエネルギーはn型超格子層18の価電子帯の下端のエネルギーよりも高い。このため、電子20はp型超格子層14から活性層16へと移動し、正孔22はn型超格子層18から活性層16へと移動する。電子20と正孔22とが再結合することにより、熱光変換素子100は活性層16のバンドギャップEg3に対応した特定の波長の光を放出することができる。
活性層16のバンドギャップEg3はEg1およびEg2より大きいため、再結合により発生する光はEg3に対応する高いエネルギーを有し、波長は短くなる。すなわち熱光変換素子100が放出する光は、黒体放射に比べて短波長の光が支配的になる。Eg3は例えば530meVであり、光の波長は赤外領域に属する。Eg3の大きさに応じて赤外領域以外の波長の光を放出することもできる。
互いに異なる導電型のp型超格子層14とn型超格子層18とで活性層16を挟むことで、図1(b)のエネルギー準位が形成される。キャリアが活性層16に流入し、再結合する。これによりバンドギャップEg3に対応した波長の光が放出される。p型超格子層14とn型超格子層18とで導電型を入れ替えてもよいが、図1(b)のエネルギー準位を実現するためにp型超格子層14、活性層16およびn型超格子層18の順に積層することが好ましい。
n型超格子層18のドーパントによる光の吸収率は、p型超格子層14および半導体基板10よりも低い。このため、n型超格子層18側から放出される光の減衰が抑制される。また、反射防止膜19をn型超格子層18の上に設けることが好ましい。光が素子の表面で反射されると活性層16に戻り、減衰してしまう。反射防止膜19を設けることで、熱光変換素子100から放出される光の減衰が抑制される。
p型超格子層14はGaSb層、InAs層およびInSb層を積層したものである。n型超格子層18はInAs層およびInAsSb層を積層したものである。活性層16はGaInAsSbで形成されている。これにより、図1(b)に示したような、Ec3の下端のエネルギーがEc1の下端のエネルギーより低く、Ev3の下端のエネルギーがEv2の下端のエネルギーより高く、Eg3がEg1およびEg2より大きくなる。この結果、多数のキャリアが活性層16へ流入し、再結合の発生確率が高くなる。したがって効率的に光を放出することができる。なお、半導体基板10、バッファ層12、p型超格子層14、活性層16およびn型超格子層18は他のIII−V族化合物半導体層などの半導体で形成されてもよい。
p型超格子層14のバンドギャップEg1はn型超格子層18のバンドギャップEg2とは異なる。これにより、広い温度範囲において熱励起が起き、光が放出される。例えば図1(b)に示すようにEg2<Eg1である場合、低温ではn型超格子層18の熱励起の発生確率はp型超格子層14よりも高くなり、正孔22が多く発生する。温度が高くなるとp型超格子層14における熱励起の発生確率も上昇し、多数の電子20が発生する。したがって広い温度範囲においてキャリアの再結合が起きやすく、効率的に光を発生させることができる。バンドギャップEg1とEg2とが等しい場合、バンドギャップに対応する温度では両方の層で熱励起が多く発生するが、当該温度未満では両方の層における熱励起の発生確率が低い。したがってEg1とEg2とが異なることが好ましい。
n型超格子層18の価電子帯の下端のエネルギーおよび伝導帯の下端のエネルギーは、活性層16の価電子帯の下端のエネルギーより低くてもよい。Ec2とEc3との差が大きくなり、活性層16とn型超格子層18との接合面にスパイク(図1(b)では不図示)が形成される。スパイクは、伝導帯の電子20が活性層16からn型超格子層18に流出することを抑制する。これにより活性層16における電子20の数が多くなり、再結合が起きやすくなり、発光効率が増大する。
図3に示すように、熱光変換素子100と光電変換素子30とをパッケージ40に収納することで、熱光起電力装置110を形成する。熱光変換素子100が熱源44により加熱され、キャリアの熱励起および再結合が起こり、特定の波長の光が放出される。光電変換素子30は、その光に対して高い光電変換効率を有する。すなわち、熱光変換素子100は熱を効率的に特定の波長の光に変換し、光電変換素子30はその光を効率的に電気に変換する。これにより、熱電変換効率が高くなる。
熱光変換素子100に代えて金属の放射体などを用いると、放射体は熱輻射を発生させる。黒体輻射の波長分布はウィーンの法則により定まり、例えば300℃では波長およそ5.06μmが強度のピークであり、かつ数十μm程度まで光が分布する。放射密度は0.61W/cm2である。光電変換素子30が効率的に電気に変換できる光の波長は、p型光吸収層34のバンドギャップにより定まる。すなわち光電変換素子30が、熱輻射の長波長側の数十μmの広い範囲の光を電気に変換することは難しい。このため熱電変換効率を高めることは困難である。
一方、本実施形態の熱光変換素子100は、活性層16のバンドギャップEg3に対応したエネルギーの光を強く放出する。例えば熱光変換素子100を300℃まで加熱すると、波長2.3μmの光を放出し、放射密度は1.3W/cm2である。光電変換素子30のp型光吸収層34のバンドギャップはEg3以下であり、波長2.3μmの光に対して光電変換効率が高い。したがって熱電変換効率が高くなる。例えば熱光起電力装置110の短絡電流は1.2A/cm2、出力電力は0.22W/cm2である。
熱光変換素子100と光電変換素子30とは例えば2mm程度の距離dをあけて離間している。またヒートシンク42も光電変換素子30から離間している。このため、熱光変換素子100およびヒートシンク42から光電変換素子30への熱伝導は抑制される。光電変換素子30の温度は例えば室温程度に維持されるため、熱による光電変換効率の低下および破損が抑制される。
距離dが小さいほど熱光変換素子100から光電変換素子30に入射する光は強くなり、距離dが大きくなるにつれて入射する光は減衰する。本実施形態によれば、前述のように、熱光変換素子100は特定の波長の光を特に強く出力する。したがって、光電変換素子30の断熱のために距離dを大きくしても、当該波長の光の強度は大きい。また距離dを大きくすることで、光電変換素子30が断熱される。すなわち、光電変換素子30の温度上昇の抑制と、高い熱電変換効率との両立とが可能である。
10、31 半導体基板
11 半導体層
12、32 バッファ層
14 p型超格子層
16 活性層
18 n型超格子層
19、38 反射防止膜
20 電子
22 正孔
30 光電変換素子
33 櫛型電極
34 p型光吸収層
35 電極
36 コンタクト層
40 パッケージ
42 ヒートシンク
44 熱源
100 熱光変換素子
110 熱光起電力装置
11 半導体層
12、32 バッファ層
14 p型超格子層
16 活性層
18 n型超格子層
19、38 反射防止膜
20 電子
22 正孔
30 光電変換素子
33 櫛型電極
34 p型光吸収層
35 電極
36 コンタクト層
40 パッケージ
42 ヒートシンク
44 熱源
100 熱光変換素子
110 熱光起電力装置
Claims (9)
- 第1の導電型である第1層と、
前記第1層の上に設けられ、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型である第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられ、前記第1層および前記第2層からキャリアが注入されることで発光する活性層と、を具備し、
前記活性層の伝導帯の下端のエネルギーは前記第1層の伝導帯の下端のエネルギーより低く、
前記活性層の価電子帯の下端のエネルギーは前記第2層の価電子帯の下端のエネルギーより高く、
前記活性層のバンドギャップは、前記第1層および前記第2層のバンドギャップよりも大きい熱光変換素子。 - 前記第1の導電型はp型であり、
前記第2の導電型はn型である請求項1に記載の熱光変換素子。 - 前記第1層は、ガリウムアンチモン層、インジウム砒素層およびインジウムアンチモン層を積層したp型超格子層である請求項1または2に記載の熱光変換素子。
- 前記第2層は、インジウム砒素層およびインジウム砒素アンチモン層を積層したn型超格子層である請求項1から3のいずれか一項に記載の熱光変換素子。
- 前記活性層はガリウムインジウム砒素アンチモンで形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の熱光変換素子。
- p型ガリウムアンチモンで形成された半導体基板を具備し、
前記第1層は前記半導体基板の上に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の熱光変換素子。 - 前記第1層のバンドギャップは、前記第2層のバンドギャップとは異なる請求項1から6のいずれか一項に記載の熱光変換素子。
- 前記第2層の上に設けられた反射防止膜を具備する請求項1から7のいずれか一項に記載の熱光変換素子。
- パッケージと、
前記パッケージに収納された、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱光変換素子と、
前記パッケージに設けられ、前記熱光変換素子を加熱するヒートシンクと、
前記パッケージに収納され、前記熱光変換素子が発する光を受光して電気に変換する光電変換素子と、を具備する熱光起電力装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017163639A JP2019041057A (ja) | 2017-08-28 | 2017-08-28 | 熱光変換素子および熱光起電力装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2019041057A true JP2019041057A (ja) | 2019-03-14 |
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ID=65726777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017163639A Pending JP2019041057A (ja) | 2017-08-28 | 2017-08-28 | 熱光変換素子および熱光起電力装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019041057A (ja) |
-
2017
- 2017-08-28 JP JP2017163639A patent/JP2019041057A/ja active Pending
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