JP2019039836A - 軸受の油穴周囲の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークの材質または熱処理条件などのパラメータによる測定結果のばらつきの発生を抑制することが可能な、軸受の油穴周囲の検査方法を提供する。【解決手段】まず油穴12が形成された軸受用の外輪3が検査装置にセットされる。油穴12内に、コイル22が巻回された探傷プローブ122が挿入される。コイル22を油穴12内で回転させながら、コイル22に生じる交流磁界の変化がコイル22のインピーダンスの変化として検出される。インピーダンスの変化を検査装置に記憶された基準値と比較することにより、外輪3の油穴12の周囲の状態の良否判定が行なわれる。【選択図】図12
Description
本発明は軸受の油穴周囲の検査方法に関し、特に、複列自動調心ころ軸受の外輪の油穴部周辺のキズの状態を検査する方法に関するものである。
ワークに形成されたキズなどの欠陥の有無を判定する方法として、たとえば特開平7−229838号公報(特許文献1)に開示される、ワークの被検査面に浸透液および現像液を自動的に噴霧する自動カラーチェック装置を用いた判定方法が提案されている。また他の判定方法として、たとえば特開2001−21539号公報(特許文献2)に開示される、強磁性材料を磁化し、割れなどの欠陥の部分に生じる磁気の乱れを検知することにより材料の欠陥を検出する磁粉探傷法を用いた判定方法が提案されている。しかし上記の各手法は、作業者がワークのキズの有無を目視で確認することにより判定するため、作業工数を要する可能性がある。このため上記手法は、たとえばロット毎の抜き取り検査など少数ワークの検査に用いられることが多い。
一方、作業工数の負荷を低減する方法として、たとえば特開平08−15231号公報(特許文献3)に開示される、キズの有無に対して数値化が可能な渦流探傷法を適用した自動化設備により作業工数の削減および全数検査の対応が可能となる。
特開平08−15231号公報の渦流探傷法においては、導線を巻いたコイルを含むプローブを検査する箇所に近づけ、検査対象物の表面を通過する交流磁界を発生させることにより、対象物の表面に渦電流を発生させる。ここで検査対象物にキズがある場合、表面に流れる渦電流が変化することで、コイルに流れる電流が変化し、コイルのインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化を電圧値に変換した信号として取り出し、数値データよりキズの有無を判定すなわち良否判定がなされる。
上記の方法を用いてたとえば複列自動調心ころ軸受の外輪の油穴の周囲に形成されたキズを検査する場合、油穴にキズなどの割れのない状態における信号を基準として検査結果をその基準と比較検証し、キズの有無を良否判定する方法が考えられる。しかし基準値の検出に用いられたワークと実際の検査対象物のワークとの材質など材料ロットの違い、または熱処理時の組織および粒度などの違いにより、インピーダンスの測定結果がばらつく可能性がある。このようなばらつきが生じれば、測定結果がたとえ割れが存在することを示すものであったとしても、それが割れに起因するものであるか否かが判断できないため、良否判定ができなくなる。
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークの材質または熱処理条件などのパラメータによる測定結果のばらつきの発生を抑制することが可能な、軸受の油穴周囲の検査方法を提供することである。
本発明に係る軸受の油穴周囲の検査方法においては、まず油穴が形成された軸受用の外輪が検査装置にセットされる。油穴内に、コイルが巻回された探傷プローブが挿入される。コイルを油穴内で回転させながら、コイルに生じる交流磁界の変化がコイルのインピーダンスの変化として検出される。インピーダンスの変化を検査装置に記憶された基準値と比較することにより、外輪の油穴周囲の状態の良否判定が行なわれる。
本発明によれば、プローブが対象物の油穴に挿入され回転されることにより、ワークの材質または熱処理条件などのパラメータによる測定結果のばらつきの発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は本実施の形態に係る軸受を示す部分断面図である。図1を参照して、本実施の形態に係る軸受10は、たとえば複列自動調心ころ軸受である。当該軸受10は、転動体である複数のたる形のころ2と、そのころ2と接触する内輪4および外輪3とを備えている。ころ2は内輪4と外輪3との間で保持器5によって保持され、また案内輪6によってその端面が案内されている。案内輪6は、温度上昇を低く抑えるため、回転中のころの傾きを小さく安定にすること(姿勢制御)を目的に使用される。姿勢制御を安定にできれば、案内輪は用いなくてもよい。すなわち、ころを案内するためのつばが内輪と一体になった構造、軌道輪と別体のころ案内輪が内輪側および/または外輪側に付いた構造、案内輪をとくに配置しない構造などであってもよい。
図1は本実施の形態に係る軸受を示す部分断面図である。図1を参照して、本実施の形態に係る軸受10は、たとえば複列自動調心ころ軸受である。当該軸受10は、転動体である複数のたる形のころ2と、そのころ2と接触する内輪4および外輪3とを備えている。ころ2は内輪4と外輪3との間で保持器5によって保持され、また案内輪6によってその端面が案内されている。案内輪6は、温度上昇を低く抑えるため、回転中のころの傾きを小さく安定にすること(姿勢制御)を目的に使用される。姿勢制御を安定にできれば、案内輪は用いなくてもよい。すなわち、ころを案内するためのつばが内輪と一体になった構造、軌道輪と別体のころ案内輪が内輪側および/または外輪側に付いた構造、案内輪をとくに配置しない構造などであってもよい。
図2は本実施の形態に係る軸受の油穴周囲の検査方法における各工程を示すフローチャートである。以下においては図2を用いつつ、各工程の詳細について説明する。
基本的に、軸受の製造工程においては、母材が製造ラインに搬入され、洗浄された後、焼入れ前に鍛造、切削がなされる。その後焼入れがなされ、最終形状に加工される。その後、軸受の形状に加工された製品が検査され、検査で良品と判定されたものが製造ラインから搬出される。本実施の形態は、基本的に上記の検査工程の詳細についての説明がなされる。
本実施の形態に係る軸受の油穴周囲の検査方法においては、渦流探傷法が用いられる。具体的には、油穴に探傷用のプローブが挿入されプローブのコイルに検出信号を生じさせることにより、油穴の周囲のキズの有無が判定される。図2を参照して、そのような検査方法においては、まずワークが検査装置へセットされる(S01)。図3を参照して、ワークはたとえば上記図1の複列自動調心ころ軸受の外輪3である。外輪3の平面視における円環状の部分には、径方向に一定の厚みを有する外周面を有している。上記外周面の一部、特に図3の上下方向に関する中央部には、当該外周面を一周するように円周溝11が形成されている。円周溝11は、図3の上下方向に一定の幅を有している。円環状側面11の幅方向の中央部分に、円環状側面11を厚み方向に貫通するように、たとえば円形の小さな油穴12が形成されている。油穴12は直径が2mm以上10mm以下であることが好ましい。油穴12は円環状側面11の円環部分を、周方向に互いにたとえば位相90°ずつ隔てるように4つ形成されている。具体的にはこれらの4つの油穴12は、それぞれ油穴12A,12B,12C,12Dである。工程(S01)は、油穴12が形成された軸受用の外輪3を、検査装置にセットする工程である。
図4は、本実施の形態の外輪3の検査工程に用いられる検査装置100の概略平面図(A)および、図4(A)中のIIIB−IIIB線に沿う部分の概略断面図(B)である。なお、説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。図4においてX方向は左右方向に延びる方向である。Y方向は平面視においてX方向に直交する方向であって、Z方向はX方向およびY方向の双方に直交、すなわち平面視におけるXY平面に直交する方向である。
図4を参照して、本実施の形態における検査装置100は、たとえばセット台101と、回転装置102と、穴位相確認用カメラ103(以下カメラ103)と、三軸動作機構111と、ダミープローブ121と、探傷プローブ122と、プローブセット部123と、渦流探傷器131と、良否判定器132とを主に有している。渦流探傷器131および良否判定器132は、データ処理器130に搭載されている。ただし検査装置100の構成はこれに限られない。工程(S01)は、検査対象物である外輪3を、検査装置100のセット台101上に載置し固定する工程である。
特に図4(B)に示すように、セット台101はたとえば円板状の部材であり、その上面上に外輪3を載置可能な構成となっている。セット台101は回転装置102の上に設置されており、回転装置102はデータ処理器130の上に設置されている。データ処理器130は図に示すようにケース状に形成されており、当該ケースの内部には、図示されないが真空チャックなどの、セット台101とその上に載置された外輪3などのワークとを固定するための装置が搭載されている。当該吸着固定するための装置により、外輪3はセット台101に固定される。
再度図2を参照して、次にワークを回転させカメラで油穴の位相が確認される(S02)。これは工程(S01)のように外輪3をセットする工程の後、実際に油穴12に探傷プローブ122を挿入する工程の前に、外輪3に形成された油穴12の位相が、カメラ103で撮像されることにより算出される工程である。
再度図4を参照して、データ処理器130上におけるセット台101のX方向右側には三軸動作機構111が設置されている。三軸動作機構111はX軸動作機構111X、Y軸動作機構111YおよびZ軸動作機構111Zを含んでいる。X軸動作機構111Xは三軸動作機構111およびこれに取り付けられた各部材を図中の矢印MXが示すX方向に沿って移動可能とする機構である。以下同様に、Y軸動作機構111Yは三軸動作機構111およびこれに取り付けられた各部材を図中の矢印MYが示すY方向に沿って移動可能とする機構である。またZ軸動作機構111Zは三軸動作機構111およびこれに取り付けられた各部材を図中の矢印MZが示すZ方向に沿って移動可能とする機構である。三軸動作機構111にはカメラ103、ダミープローブ121、探傷プローブ122およびプローブセット部123などの各部材が取り付けられている。
図5は工程(S02)における検査装置100の動き、すなわち工程(S02)において検査装置100を構成する各部材がどのような態様となるかを示す概略平面図である。図5を参照して、工程(S02)においては、回転装置102(図4(B)参照)であるたとえばサーボモータの駆動によりその上に設置されたセット台101が、図中の矢印に示す方向すなわちその円板形状の周方向に、比較的低速で回転する。これによりセット台101と同様に、外輪3が図中の矢印に示す円板形状の周方向に回転する。このとき、三軸動作機構111のX軸動作機構111X、Y軸動作機構111YおよびZ軸動作機構111Zが適宜図4のMX、MYおよびMZ方向に動作することにより、カメラ103がたとえば外輪3の円形状の中心を向きかつX方向に沿う方向側を撮像可能となる位置に移動し配置される。三軸動作機構111によるカメラ103の位置移動は、たとえば電動アクチュエータにより駆動することが好ましいがこれに限られない。サーボモータおよび伝導アクチュエータを駆動させるためのプログラムは、たとえば図示されないがPLCに記憶されていることが好ましい。
この状態でカメラ103は回転する外輪3の円環状側面11を撮像しながら、カメラ103の視野内に油穴12が入った際のサーボモータの位相の情報を得る。この位相の上方が、油穴12の位置すなわち位相の情報として得られる。油穴12の位相の情報は、たとえば外輪3の中心からX方向に延びる方向に対する油穴12の位相θで表される。これにより油穴12の位置が特定される。
たとえば油穴12として、上記のように円環状側面11の周方向に位相90°ずつ隔てた4つの油穴12A,12B,12C,12Dが形成されている場合、図5においてはそのうちの1つである油穴12AがX方向に対する位相θの位置に存在する状態となっている。
再度図2を参照して、次にワークを回転させ油穴の位相が微調整される(S03)。これは工程(S02)の工程の後、探傷プローブ122などを油穴12内に挿入可能とする観点から、油穴12の位相θを微調整する工程である。
図6は工程(S03)における検査装置100の動き、すなわち工程(S03)において検査装置100を構成する各部材がどのような態様となるかを示す概略平面図である。図6を参照して、工程(S03)においては、工程(S02)と同様にセット台101が回転し外輪3も回転する。ここではたとえば油穴12Aの中心がちょうどX方向に延び、図5の位相θが0となるように、工程(S02)よりもさらに低速でセット台101を回転させることで、その位相θが微調整される。油穴12Aの位相θが0になることにより、油穴12A内にX方向右側から探傷プローブ122を挿入可能となるためである。なお工程(S03)のようなセット台101の回転による微調整が必要となる理由は、工程(S02)、(S03)ともに、カメラ103で円環状側面11が撮像されながらその位相θが調整されるため、工程(S02)で調整がされてもなお位相θにずれが生じるためである。
再度図2を参照して、次に決定した油穴位相に対する油穴の中心位置がカメラで算出される(S04)。工程(S03)で油穴12AのX方向に対する位相θが0となるよう微調整されたところでセット台101の回転が止められその位相に固定される。その状態で、当該油穴12Aの中心位置、つまり挿入される探傷プローブ122の中心とすべき位置が、カメラ103により算出される。このようにして工程(S04)においては、工程(S01)のように外輪3をセットする工程の後、実際に油穴12に探傷プローブ122を挿入する工程の前に、外輪3に形成された油穴12の中心の位置が、カメラ103で撮像されることにより算出される工程である。
再度図2を参照して、次に探傷プローブの挿入されるべき位置が算出される(S05)。これは工程(S04)でカメラ103により算出された油穴12Aの中心位置の情報を基に、探傷プローブ122の挿入されるべき位置が、カメラ103により算出される工程である。なお工程(S04)および工程(S05)における算出を行なうプログラムは検査装置100に記憶されている。その記憶されている部材は任意であるが、たとえばカメラ103であってもよく、渦流探傷器131であってもよい。あるいは図示されないが、たとえばデータ処理器130内に搭載されるPLCにそのようなプログラムが記憶されてもよい。
次に油穴に対する部材が、カメラからダミープローブに切り替えられる(S06)。つまり、図5および図6の工程においては油穴12Aの位相を検出するために、カメラ103が油穴12Aに対してX方向に関して直接対向しかつ撮像などの作用をしている部材である。これに対し、工程(S06)においては、その油穴12Aに対してX方向に関して直接対向し作用している部材が、カメラ103からダミープローブ121に切り替えられる。
図7は工程(S06)における検査装置100の動き、すなわち工程(S06)において検査装置100を構成する各部材がどのような態様となるかを示す概略平面図である。図7を参照して、工程(S06)においては、カメラ103が油穴12AのX方向右側に対向する位置から、たとえばX方向右側およびY方向上側に後退する。代わって工程(S06)においては、ダミープローブ121が、油穴12AのX方向右側に対向し、油穴12Aにプローブを仮に挿入するという作用を行なう部材となる。ダミープローブ121は、上記のように油穴12Aの位置および探傷プローブ122の挿入されるべき位置が算出される工程の後、実際の検査用の探傷プローブ122を挿入する工程の前に、ダミープローブ121と油穴12Aとの干渉状態を確認するために、探傷プローブ122とは異なるプローブとして油穴12A内に挿入される部材である。
ダミープローブ121は、図5および図6においてカメラ103が設置されていた位置に設置される。そのために、プローブセット部123がX,Y,Z方向に移動される。具体的には、三軸動作機構111のX軸動作機構111X、Y軸動作機構111YおよびZ軸動作機構111Zが電動アクチュエータなどにより適宜図4のMX、MYおよびMZ方向に動作することにより、プローブセット部123がたとえば外輪3の円形状の中心を向きかつX方向に沿う方向側を向く位置に移動し配置される。すなわちここではダミープローブ121のX座標位置が、ダミープローブ121が油穴12Aの中心に挿入可能な位置まで移動させる。
再度図2を参照して、次に油穴内にダミープローブが挿入される(S07)。具体的には、図7の状態に対して、ダミープローブ121がX方向左側にさらに移動することにより、その先端部が油穴12A内に挿入される工程である。
次にダミープローブと油穴との干渉状態が確認される(S08)。これはダミープローブ121が油穴12A内に挿入され、油穴12Aとダミープローブ121とが互いに接触により干渉しないかどうかを確認する工程である。
ダミープローブ121の延在方向に交差する断面は、探傷プローブ122の延在方向に交差する断面と同じ円形状およびほぼ同じ径を有しており、たとえば直径が1.2mmである。これに対して外輪3の油穴12Aの直径は2mm以上10mm以下であるため、両者の位置関係を精密制御できれば、油穴12Aとの干渉によりダミープローブ121および探傷プローブ122が破損する可能性を低減することができる。特に油穴12Aの中心にダミープローブ121および探傷プローブ122の先端部の中心が来るように、ダミープローブ121の位置が調整されることが好ましい。
油穴12Aに対するダミープローブ121の干渉状態を確認するためには、以下の方法がなされる。すなわち、ダミープローブ121の延在する側面部分が、X方向に延びる油穴12AのY方向に配置される内壁面に対してどのような負荷率としての抵抗値を有するかが、たとえば電動アクチュエータにより測定される。その測定値が、予め検査装置100(たとえば渦流探傷器131)に記憶された当該数値の閾値と比較される。測定値が閾値以上であるか閾値以下であるかに応じて、油穴12Aの内壁面に対するダミープローブ121の干渉の有無が確認される。このようにして、干渉状態を確認する工程(S08)においては、抵抗値の確認が行なわれる。
以上の工程(S06),(S07),(S08)のように、油穴12Aの中心位置および探傷プローブ122の挿入されるべき位置が算出された後、実際の検査用の探傷プローブ122を挿入する工程の前に、探傷プローブ122とは異なるダミープローブ121が油穴12A内に挿入され、ダミープローブ121と油穴12Aとの干渉状態が確認される。
次にダミープローブを油穴から後退させる(S09)。すなわち、ダミープローブ121がX方向右側へ移動することにより油穴12Aから抜き取られ、さらにX方向右側へ移動することにより油穴12Aから後退される。
次に油穴に対する部材が、ダミープローブから探傷プローブに切り替えられる(S10)。つまり、図7の工程においては油穴12Aに対する干渉状態を確認するために、ダミープローブ121が油穴12Aに対してX方向に関して直接対向し干渉状態の確認などの作用をしている部材である。これに対し、工程(S10)においては、その油穴12Aに対してX方向に関して直接対向し作用している部材が、ダミープローブ121から探傷プローブ122に切り替えられる。
図8は工程(S10)における検査装置100の動き、すなわち工程(S10)において検査装置100を構成する各部材がどのような態様となるかを示す概略平面図である。図8を参照して、工程(S10)においては、ダミープローブ121が油穴12AのX方向右側に対向する位置から、たとえばX方向右側およびY方向上側に後退する。代わって工程(S10)においては、実際のキズの有無の検査用の探傷プローブ122が、油穴12AのX方向右側に対向し、油穴12Aにプローブを仮に挿入するという作用を行なう部材となる。
探傷プローブ122は、図7においてダミープローブ121が設置されていた位置に設置される。そのために、上記と同様、三軸動作機構111の作用により、プローブセット部123がX,Y,Z方向に移動される。すなわちここでは探傷プローブ122のX座標位置が、探傷プローブ122が油穴12Aの中心に挿入可能な位置まで移動させる。なお探傷プローブ122の設置される位置は、先の工程にてダミープローブ121と油穴12Aとの干渉状態が確認された結果に応じて補正される。
再度図2を参照して、次に油穴内に探傷プローブが挿入される(S11)。具体的には、図8の状態に対して、探傷プローブ122がX方向左側にさらに移動することにより、その先端部が油穴12A内に挿入される工程である。
図9は探傷プローブ122全体の概略図である。図10は探傷プローブ122の特に先端部にあたるセンサーの部分の概略拡大図であり、図9中の点線で囲まれた領域IXの概略拡大図である。図9および図10を参照して、探傷プローブ122は、その延在する図9の左右方向に関して、延在方向に交差する断面の円形の径が異なる複数、たとえば4つの領域を有しているが、このような構成に限られない。探傷プローブ122は、図9の左側にあたる先端部が最も断面の径が小さく、この部分がセンサー21として機能している。なお探傷プローブ122の全長はたとえば70mm以上80mm以下程度であるが、これに限られない。
探傷プローブ122のセンサー21の部分には、コイル22が巻かれている。コイル22は、たとえば銅の細線が複数回、センサー21の部分を巻回することにより形成されている。
図11は図2に示す外輪3の油穴12の1つに探傷プローブ122のセンサー21の部分が挿入される態様を示す概略図であり、図12は図11の特にプローブ部分を拡大すべく、図11中の点線で囲まれた領域XIを拡大した概略図である。図11および図12を参照して、渦流探傷法を用いた本実施の形態の検査方法においては、検査しようとする外輪3の円環状側面11に形成された油穴12(たとえば図8の油穴12A)の内部に、コイル22が巻回された探傷プローブ122が挿入される。図12に示すように、油穴12の外縁部に隣接する領域には、キズ13などの欠陥が存在するものとする。
再度図2を参照して、探傷プローブを回転(自転)させ(S12)、油穴の傷がインピーダンスの変化として検出される(S13)。ここでは図12のように、特に探傷プローブ122の先端部のセンサー21(コイル22)の部分が検査しようとする油穴12内に挿入され、これが図12に矢印Rで示す方向に回転される。このように回転させながら、当該コイル22に、キズ13を含む油穴12の表面を通過する交流磁界を発生させることにより、対象物の表面に渦電流を発生させる。ここで検査対象物である油穴12に傷がある場合、その傷の部分で表面に流れる渦電流が変化することで、コイル22に流れる電流が変化し、コイル22のインピーダンスが変化する。このコイル22のインピーダンスの変化が検出される。このように、探傷プローブ122のコイル22を油穴12内で回転(自転)させながら、コイル22に生じる交流磁界の変化がコイル22のインピーダンスの変化として検出される。そのインピーダンスの測定は、たとえば渦流探傷器131(図4(B)参照)によってなされる。
次に、検査装置100における自動での処理により、基準値との比較による油穴周囲の状態の良否判定(S14)がなされる。つまり、工程(S13)において油穴12のキズ13などにより生じたコイル22のインピーダンスの変化を検査装置100に記憶された基準値と比較することにより、外輪3の油穴12の周囲の状態の良否判定がなされる。検査装置100の基準値のデータは検査装置100のたとえば渦流探傷器131に内蔵されていることが好ましい。また良否判定器132において、渦流探傷器131によって測定されたコイル22のインピーダンスの変化量と、元々渦流探傷器131に格納されている当該変化量の閾値とが比較される。これにより、閾値を超えていればキズ13が存在するものと判定され、閾値以下であればキズ13は存在しないものと判定される。なお得られたコイル22のインピーダンスの変化が、データ処理器130(図4(B)参照)などにより電圧値に変換して良否判定がなされてもよい。
次に探傷プローブを油穴から後退させる(S15)。すなわち、探傷プローブ122がX方向右側へ移動することにより油穴12Aから抜き取られ、さらにX方向右側へ移動することにより油穴12Aから後退される。
再度図2を参照して、以上の工程(S02)〜(S15)により、油穴12Aの周囲のキズなどの欠陥有無の検査がなされる。ここで、外輪3に他に未検査の油穴12B,12C,12Dが存在する場合には、当該他の未検査の油穴12B,12C,12Dに対して、以上の油穴12Aに対してなされた工程(S02)〜(S15)の処理がなされる。図13は図6と同様の工程(S03)における検査装置100の動き、すなわち油穴12Bの検査時における工程(S03)において検査装置100を構成する各部材がどのような態様となるかを示す概略平面図である。図13を参照して、たとえば油穴12Aの検査後に油穴12Bを検査する場合には、図6における油穴12Aの位置に油穴12Bが来るようにセット台101が回転され、その後はたとえば油穴12Bの中心がちょうどX方向に延び、図5の位相θが0となるように、工程(S02)よりもさらに低速でセット台101を回転させることで、その位相θが微調整される。
再度図2を参照して、全ての油穴12A,12B,12C,12Dの検査が終了すれば、外輪3が検査装置から搬出される(S16)。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の検査方法においては、検査対象物である軸受用の外輪3の油穴12に少なくともその先端部が挿入可能な形状および大きさを有する探傷プローブ122を用いて、油穴12の周囲のキズなどの状態の良否判定がなされる。油穴12に挿入される探傷プローブ122の先端部にはコイル22が巻回され、検査時には油穴12に挿入された探傷プローブ122のコイル22が油穴12内で回転(自転)されながら、コイル22に生じる交流磁界の変化がコイル22のインピーダンスの変化として検出される。すなわち上記コイル22の交流磁界により、油穴12の内壁面およびこれに隣接する領域には渦電流が流れる。しかしたとえば油穴12の周囲にキズ13(図12参照)がある場合、キズ13の部分の表面に流れる渦電流が変化する。このキズ13の部分の渦電流の変化により、コイル22に流れる電流が変化し、コイル22のインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化が検出され、良否判定がなされる。
本実施の形態の検査方法においては、検査対象物である軸受用の外輪3の油穴12に少なくともその先端部が挿入可能な形状および大きさを有する探傷プローブ122を用いて、油穴12の周囲のキズなどの状態の良否判定がなされる。油穴12に挿入される探傷プローブ122の先端部にはコイル22が巻回され、検査時には油穴12に挿入された探傷プローブ122のコイル22が油穴12内で回転(自転)されながら、コイル22に生じる交流磁界の変化がコイル22のインピーダンスの変化として検出される。すなわち上記コイル22の交流磁界により、油穴12の内壁面およびこれに隣接する領域には渦電流が流れる。しかしたとえば油穴12の周囲にキズ13(図12参照)がある場合、キズ13の部分の表面に流れる渦電流が変化する。このキズ13の部分の渦電流の変化により、コイル22に流れる電流が変化し、コイル22のインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化が検出され、良否判定がなされる。
たとえば本実施の形態とは異なりコイルを含むプローブを検査する箇所に単に近づけることで検査を行なう場合においても、交流磁界による渦電流の変化をコイルのインピーダンスの変化として検出する点は本実施の形態と共通する。しかしそのような場合においては、たとえばキズが存在することによるインピーダンスの変化よりも、基準となるワークと実際に検査が行われたワークとの材質の違い、熱処理時の組織および粒度の違いなどに起因するコイルのインピーダンスの変化が強く表れる。このためそのような場合においては、検査結果からキズの有無を検証することが困難である。
図14は比較例、すなわち上記のように本実施の形態とは異なりコイルを含むプローブを検査する箇所に単に近づけることで検査を行なう場合におけるキズ13(図12参照)のサイズ(長さ)に対する、インピーダンスの変化を電圧値に変換した値をプロットしたグラフである。図14において、横軸は油穴12の周辺のキズ13の長さを示し、図中のキズのあるサンプル群Aについてはグラフの右側へ向かうにつれキズ13の長さが大きくなっており、図中のキズのないサンプル群Bについてはキズ13は存在しない。図14において、縦軸は工程(S13)により得られたコイル22のインピーダンスの変化値を電圧値に変換した値である。図14を参照して、キズのあるサンプル群Aとキズのないサンプル群Bとの間でのピーク電圧の値の大小関係に相関がみられない。このことから比較例の方法によっては良品判定が困難であることがわかる。
一方、本実施の形態のように探傷プローブ122のコイル22を油穴12に挿入してコイル22を回転(自転)させる場合、比較例に比べて、コイルのインピーダンスの変化が、基準となるワークと実際に検査が行われたワークとの材質の違い、熱処理時の組織および粒度の違いなどに影響されにくい。つまり本実施の形態によれば比較例に比べてキズ13の有無に起因するコイルのインピーダンスの変化を高精度に検出することができる。これはコイル22を油穴12内に挿入し、しかもコイル22を回転(自転)することにより、比較例に比べてよりコイル22の広範囲をキズ13に接近させることができるために、キズ13による電気信号の変化を検出しやすくなるためである。したがって本実施の形態によれば、比較例に比べて、良否判定の精度を高めることができる。
図15は本実施の形態におけるキズ13(図12参照)のサイズ(長さ)に対する、インピーダンスの変化を電圧値に変換した値を、図14と同様にプロットしたグラフである。図15を参照して、本実施の形態によれば、キズのあるサンプル群Aは、キズのないサンプル群Bよりもピーク電圧の値が明らかに大きく、しかもキズのサイズが大きくなるにつれ、すなわち図15のキズのあるサンプル群Aのデータの右側へ向かうにつれ、ピーク電圧の値がさらに大きくなっている。このため本実施の形態の方法によれば、キズの有無およびそのサイズを高精度に検証可能であることがわかる。
その他、本実施の形態においては、この良否判定の工程(S14)が検査装置100により自動でなされる。このように良否判定の工程を自動化およびインライン化することにより、ラインに流れる製品ロットから抜き取り検査するのではなく、全数検査をすることも可能となる。自動化により検査工程の作業工数が削減され、検査工程がより高効率となるためである。このため不良品の流出を高効率に抑制する機構を構築することができる。
また本実施の形態においては、油穴12に探傷プローブ122を挿入する工程の前に、油穴12の位相および中心の位置が算出され、探傷プローブ122の挿入されるべき位置が算出される。さらに本実施の形態においては、当該算出する工程の後、探傷プローブ122を挿入する工程の前に、ダミープローブ121を用いた油穴12との干渉状態の確認がなされる。これらの工程により、実際の油穴12への探傷プローブ122の挿入時には、油穴12の中心に探傷プローブ122を高精度に挿入することができる。つまり探傷プローブ122の挿入位置の精度を高めることができる。仮に油穴12と探傷プローブ122との間に位置ずれがあり、挿入時に探傷プローブ122が油穴12と接触により干渉すれば、高価な探傷プローブ122が破損する可能性があり、好ましくないためである。抵抗値の確認により干渉状態の確認が行われることにより、干渉状態の検証結果の精度をより高めることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 ころ(転動体)、3 外輪、4 内輪、5 保持器、6 案内輪、10 軸受、11 円周溝、12,12A,12B,12C,12D 油穴、21 センサー、22 コイル、100 検査装置、101 セット台、102 回転装置、103 カメラ、111 三軸動作機構、121 ダミープローブ、122 探傷プローブ、123 プローブセット部、130 データ処理器、131 渦流探傷器、132 良否判定器。
Claims (5)
- 油穴が形成された軸受用の外輪を検査装置にセットする工程と、
前記油穴内に、コイルが巻回された探傷プローブを挿入する工程と、
前記コイルを前記油穴内で回転させながら、前記コイルに生じる交流磁界の変化を前記コイルのインピーダンスの変化として検出する工程と、
前記インピーダンスの変化を前記検査装置に記憶された基準値と比較することにより、前記外輪の前記油穴周囲の状態の良否判定を行なう工程とを備える、軸受の油穴周囲の検査方法。 - 前記良否判定を行なう工程は自動で行なわれる、請求項1に記載の軸受の油穴周囲の検査方法。
- 前記セットする工程の後、前記探傷プローブを挿入する工程の前に、前記外輪に形成された前記油穴の位相および中心の位置を、カメラで撮像することにより算出する工程と、
前記算出する工程の結果を基に、前記探傷プローブを挿入する工程における前記探傷プローブの挿入されるべき位置を算出する工程とをさらに含み、
前記算出する工程を行なうプログラムが前記検査装置に記憶されている、請求項1または2に記載の軸受の油穴周囲の検査方法。 - 前記算出する工程の後、前記探傷プローブを挿入する工程の前に、前記探傷プローブとは異なるダミープローブを前記油穴内に挿入し、前記ダミープローブと前記油穴との干渉状態を確認する工程をさらに含む、請求項3に記載の軸受の油穴周囲の検査方法。
- 前記干渉状態を確認する工程においては、抵抗値の確認が行なわれる、請求項4に記載の軸受の油穴周囲の検査方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017162638A JP2019039836A (ja) | 2017-08-25 | 2017-08-25 | 軸受の油穴周囲の検査方法 |
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- 2017-08-25 JP JP2017162638A patent/JP2019039836A/ja active Pending
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