JP2019038869A - 水性導電性分散体、バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 - Google Patents

水性導電性分散体、バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 Download PDF

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小久保奈津子
natsuko Kokubo
直人 荻原
Naoto Ogiwara
直人 荻原
啓輔 倉内
Keisuke Kurauchi
啓輔 倉内
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Abstract

【課題】 本発明は、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度でかつ長期間安定して測定するために非特異吸着を抑制した電極およびそれを用いたバイオセンサを提供することを目的とする。【解決手段】 導電性材料(A)と、特定の構造を有する水溶性ビニル系重合体(B)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体。水分散性樹脂粒子(C)をさらに含む、水性導電性分散体。【選択図】 図1

Description

本発明は、水性導電性分散体、詳しくは生体適合性に優れ、特にバイオセンサ等に利用される電極の形成に好適な水性導電性分散体、およびそれを用いたバイオセンサに関する。
近年いろいろな分野において、センサによる化学物質の計測や検出が行われている。様々な形式のセンサの中で、分子識別機能を利用したバイオセンサは、物質選択性が非常に優れているため、医療・生化学分野にも広く応用されている。
例えば、糖尿病治療の分野においては、バイオセンサによる血糖値測定が行われてきている。糖尿病は、近年急速に増えた疾患であり、安全かつ簡便に連続的もしくは継続的に血糖値を測定することが重要である。従来用いられているバイオセンサでは、血液をサンプリングして血糖値を測定する方法が採用されている。近年では、血液以外の涙や粘液、汗、唾液等の体液中のグルコース濃度を測定する方法も提案され、フレキシブルあるいはウェラブルなバイオセンサとして報告されている。
グルコース濃度を測定するためのバイオセンサは、酵素の反応特異性を利用して、種々の生理活性物質を特異的に検出する酵素電極を使用している。このような酵素電極は、電気化学的手法あるいは光学的手法により試料の分析を行えるように構成されたものが汎用されている。電気化学的手法により試料の分析を行うための酵素電極は、通常、金電極、白金電極、カーボン電極等の電極表面上に酵素や電子受容体が固定化されている。
この酵素電極には、酸化還元酵素としてフラビンアデニンジヌクレオチド(以下、FADと略す)との複合タンパク質であるグルコースオキシダーゼを用い、電子受容体として例えばフェロセンを用いている。電子受容体をメディエータとして用いる反応系により、微量なグルコース濃度でも測定が可能である。また基板上の電極系を安価なカーボンを用いることにより、安価なバイオセンサを作製することができる。
このバイオセンサを血中等のグルコース濃度の計測に使用する場合、酵素電極表面へのタンパク質や血液細胞等の非特異吸着によりグルコースと酵素の反応が阻害され、感度の低下が生じる。さらにこれを、例えば皮下留置型のように生体内において長期間使用することは不可能である。
そこで、酵素電極の表面あるいは内部に生体適合性のある2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)含有ポリマーを被覆または介在することで、非特異吸着を抑制する方法が開示されている(特許文献1、2)。
また、電子受容体部位が結合したMPCポリマーを用いて電極を作製することで、非特異吸着を抑制する方法が開示されている(特許文献3)。
特開平04−283653号公報 WO2010/090271 特開平10−139832号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されるような方法で酵素電極に生体適合性を付与したとしても、非特異吸着を完全には抑えることができない。感度向上および長期間安定な測定をするために、タンパク質等の非特異吸着をより抑えた生体適合性ポリマーが望まれている。
また、生体適合性のある材料とカーボン電極等の電極とが別々に作製されているため、センサの作製が煩雑である。センサをより効率的に作製できることが望まれている。
本発明は、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度でかつ長期間安定して測定するために非特異吸着を抑制した電極およびそれを用いたバイオセンサを提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討したところ、親水性のカルボベタイン構造および/またはスルホベタイン構造を含む生体適合性ポリマーが、導電性材料を水性液状媒体中に分散安定化させる機能を持つことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、導電性材料(A)と、下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を含むビニル系重合体(B)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体に関する。




(式中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
また、本発明は、導電性材料(A)が炭素材料である前記水性導電性分散体に関する。
また、本発明は、ビニル系重合体(B)が、下記(B1)または(B2)である前記水性導電性分散体に関する。
(B1)下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの単量体(b1)〜(b3)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)との共重合体である。
(B2)下記一般式7〜9で示される少なくともいずれかの単量体(b4)〜(b6)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基および炭素数1〜22のアルキル基を有する単量体(b100)との共重合体と、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(E)との反応生成物である。






(式中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表し、
**はベタイン化剤(E)との反応部位を表す。)
また、本発明は、水分散性樹脂粒子(C)をさらに含む、前記水性導電性分散体に関する。
また、本発明は、ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するため電極とを有するバイオセンサであって、
前記電極が、前期記載の水性導電性分散体より形成されたバイオセンサに関する。
また、本発明は、ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するため電極とを有するバイオセンサの製造方法であって、
ベース基材の所定の位置に、前記水性導電性分散体を塗工し、水性液状媒体(D)を除去し、前記電極を形成する、バイオセンサの製造方法に関する。
本発明によれば、導電性材料の分散性・保存安定性に優れた水性導電性分散体と、それを用いた生体適合性を有する電極を含むバイオセンサ、およびその製造方法を提供できる。
すなわち、親水性であるカルボベタイン構造および/またはスルホベタイン構造を含む生体適合性ポリマーの利用により、分散性・保存安定性に優れる水性導電性分散体を提供でき、前記水性導電性分散体を用いて、より効率的に生体適合性のある電極を作製できるようになった。この電極は、導電材と生体適合性のあるビニル系重合体を含むため、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質の非特異吸着を十分に抑制できる。その結果、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度かつ長期間安定して測定できるバイオセンサを提供することができるようになる。
図1は、本発明のバイオセンサの模式的断面図を表す。 図2は、本発明の別の態様のバイオセンサの模式的断面図を表す。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明の水性導電性分散体、それを用いた電極およびバイオセンサについて説明する。
<導電性材料(A)>
導電性材料(A)は電極での電子伝導性を高めるために含有される。ここでは主に導電性炭素材料、金属材料を挙げるが、これに限るものではない。
本発明に用いる導電性炭素材料としては、特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、グラフェン系炭素材料(グラフェン、グラフェンナノプレートレット)、多孔質炭素、活性炭、ナノポーラスカーボン、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m/g以上、1500m/g以下、好ましくは50m/g以上、1500m/g以下、更に好ましくは100m/g以上、1500m/g以下のものを使用することが望ましい。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(ライオン社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
カーボンブラック以外の炭素材料としては、グラフェン系炭素材料、多孔質炭素、及びナノポーラスカーボンの使用が比表面積等や導電性の面から好ましい。
グラフェン系炭素材料としては、炭素原子が同一平面上に六角形に配置し、グラファイトを構成する単原子層であるグラフェンが、単層若しくは、多層構造を有している炭素材料であれば良い。単層及び多層グラフェンは、グラファイトを機械的、化学的に剥がしたり、炭化水素系ガスからCVD法でなどにより合成されるが、合成コストや取り扱いを考慮すると、単層グラフェンよりも十数〜数十層積層された多層グラフェンが好ましい場合がある。
市販のグラフェン系炭素材料としては、例えば、xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット等が挙げられる。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートが環を巻いたナノスケールのチューブ状の構造を有しており、グラフェンシートの積層数によって、単層、多層に区別される。カーボンナノチューブは、原料や合成方法によって繊維径や長さ、結晶性、集合状態を制御することで、材料の比表面積、導電性等の諸物性を制御することが可能となる。グラフェン系炭素材料と同様、合成コストや取り扱いを考慮すると、単層カーボンナノチューブよりも多層カーボンナノチューブの方が好ましい場合がある。
市販のカーボンナノチューブとしては、VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ、名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ等が挙げられる。
多孔質炭素は、一般的に酢酸マグネシウムなどの鋳型材料と炭素原料を混合して焼成後、鋳型材料を除去することで得られる。鋳型材料の種類、粒径、規則性等を制御することで得られる多孔質炭素の物性を制御することが出来る。
市販の多孔質炭素としては、クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050、クノーベルMJ(4)030グレード、クノーベルMJ(4)010グレード、クノーベルMJ(4)150グレード等の東洋炭素社製の多孔質炭素等が挙げられる。
ナノポーラスカーボンは、表面にメソポーラス構造を有し粒径20〜50nm程度の球状粒子である。メソポーラス構造に由来する高い表面積、細孔容積により優れた吸着能を有している。
市販のナノポーラスカーボンとしては、Easy−N社製ナノポーラスカーボンが挙げられる。
グラファイトとしては、微粉末状の天然黒鉛および人造黒鉛を特に限定されず用いることができる。天然黒鉛としては、天然の鉱床から出土する薄片状の鱗片状黒鉛や塊状(鱗状)黒鉛、低結晶性の土状黒鉛に加え、鱗片状黒鉛を球状に整形した球状黒鉛、鱗片状黒鉛を硫酸等により化学処理した膨張黒鉛、膨張黒鉛を高温で熱処理して膨張化させた後、微細化した膨張化黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛としては、メゾフェーズピッチや粉末コークスを高温で熱処理し黒鉛化したもの、黒鉛電極を粉砕したもの、熱硬化性樹脂ビーズを熱処理し黒鉛化した真球状のもの等が挙げられる。
市販のグラファイトとしては、例えば、J−CPB、CGB−10、SP−10(日本黒鉛社製)などの鱗片状黒鉛、HOP(日本黒鉛社製)、SRP−7(伊藤黒鉛社製)などの鱗状黒鉛、CP2000M、3000M(伊藤黒鉛社製)などの土状黒鉛、9532400A、9950200(伊藤黒鉛社製)などの膨張黒鉛、EC1500、EC1000 、EC500 、EC300 、EC100、EC50(伊藤黒鉛工業社製)等の膨張化黒鉛、SGO−10、SGP−5(SECカーボン社製)等の人造黒鉛が挙げられる。
本発明に用いる金属材料(金属粉末)は特に限定されず、例えば、電気抵抗率が20×10-6Ω・cm以下の金属材料を用いることができる。
上記金属材料としては、具体的には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属粉末のうち、より低い体積抵抗率の電極等を形成することができる理由から、球状の銀粒子および/または銅粒子を用いるのがより好ましい。なお、銅粒子は、耐酸化性を改善する観点から、有機化合物、無機化合物、無機酸化物、銅以外の金属等で表面を改質または被覆した銅粒子を用いるのが好ましい。
本発明においては、上記金属粉末は、不定形、凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状等のものを特に限定なく用いることができるが、印刷性(特に、スクリーン印刷性)が良好となる理由から、平均粒子径が0.5〜10μmの金属粉末を用いるのが好ましい
上記銀粒子の市販品の具体例としては、AG2−1C(球状銀粉、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG4−8F(球状銀粉、平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(球状銀粉、平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AgC−102(フレーク状銀粉、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−103(フレーク状銀粉、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−A(フレーク状銀粉、平均粒子径:6.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−B(フレーク状銀粉、平均粒子径:3.5μm、福田金属箔粉工業社製)、Ag−XF301(フレーク状銀粉、平均粒子径:4.0μm、福田金属箔粉工業社製)、SA−0201(フレーク状銀粉、平均粒子径:2.4μm、METALOR社製)、AA−3462(フレーク状銀粉、平均粒子径:4.3μm、METALOR社製)等が挙げられる。
本発明の水性導電性分散体は、分散体の全質量中に導電性材料(A)を、質量比で0.1質量%以上95質量%以下、より好ましくは1質量%以上90質量%以下を含有させたものであることが好ましい。
<ビニル系重合体(B)、ベタイン樹脂(B)>
ビニル系重合体(B)を、ベタイン樹脂(B)と言うこともある。
ベタイン構造とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合していない構造を指す。また、ビニル系重合体(B)とは、分子構造中にこのベタイン構造を有するビニル系重合体のことを示す。分子内にベタイン構造を有することでより高い生体適合性をもち、かつビニル系重合体(B)が導電性材料(A)に吸着しベタイン構造が電荷反発部位として機能することで、導電性材料(A)の分散性・保存安定性を確保する。
ビニル系重合体(B)は、下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を側鎖に有する。
(式中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
このようなビニル系重合体(B)は、以下の方法で得ることが好ましい。
即ち、
(1)下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの単量体(b1)〜(b3)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)と共重合する。得られる共重合体をビニル系重合体(B1)という。
(2)下記一般式7〜9で示される少なくともいずれかの単量体(b4)〜(b6)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基および炭素数1〜22のアルキル基を有する単量体(b100)との共重合体と、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(E)を反応させる。得られる反応生成物は、ベタイン構造を有する単量体を用いた共重合体と同様にベタイン構造を有し、ビニル系重合体(B2)という。






(式中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表し、
**はベタイン化剤(E)との反応部位を表す。)
<ビニル系重合体(B1)>
ビニル系重合体(B1)は、前述の通り、一般式4〜6で示される群から選択される少なくもといずれかの単量体(b1)〜(b3)を共重合体の構成単位とするものである。単量体(b1)〜(b3)の利用によって、ビニル系重合体(B1)の側鎖にベタイン構造を導入することができる。そこで、単量体(b1)〜(b3)は、ベタイン単量体ということもできる。
<単量体(b1)>
単量体(b1)は、一般式4に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどが挙げられる。本発明において(メタ)アクリルと表記した場合、メタクリルもしくはアクリルであることを示す。
<単量体(b2)>
単量体(b2)も、一般式5に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
<単量体(b3)>
単量体(b3)も、一般式6に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
<ビニル系重合体(B2)>
本発明におけるビニル系重合体(B)は、前述の通り、単量体(b1)〜(b3)そのものを共重合した共重合体である必要はなく、以下のような段階を経て得ることができる。
即ち、単量体(b1)〜(b3)の前駆体ともいうべき一般式7〜9で示される単量体(b4)〜(b6)のうち少なくともいずれかと、これと共重合可能な単量体を共重合し、得られた共重合体中の**で示された窒素の少なくとも一部とベタイン化剤(E)とを反応させ得ることができる。得られる水溶性ビニル系重合体(B2)は、単量体(b4)〜(b6)を用いた共重合体と同様にベタイン構造を側鎖に有する。
このような単量体(b4)としては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアミンなどが挙げられる。
このような単量体(b5)としては、例えば、
1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、
などの1−ビニル−2−アルキル−イミダゾールが挙げられる。
このような単量体(b6)としては、例えば、4−ビニル−ピリジン、2−ビニル−ピリジンなどのビニルピリジンが挙げられる。
<ベタイン化剤(E)>
ベタイン化剤(E)は、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群より選択される。一般式化7〜9で示される単量体(b4)〜(b6)の**で示される窒素を重合後に、スルホベタイン化もしくはカルボベタイン化するために用いられる化合物群である。
このような環状スルホン酸エステル(E1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
このような環状カルボン酸エステル(E3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
<単量体(b100)>
ビニル系重合体(B1)、(B2)を得る際に、単量体(b1)〜(b3)、(b4)〜(b6)の他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)を共重合することができる。単量体(b100)に基づく構成単位の導入により極性等を調整し、導電性材料(A)への吸着と脱着とを制御しやすくし、導電性材料(A)の分散性・保存安定性の向上が期待できる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル( メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレ ート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタ デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ )アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等や、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
単量体(b100)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
ビニル系重合体(B1)、(B2)を得る際に、単量体(b1)〜(b3)、(b4)〜(b6)、(b100)以外のその他の単量体(b200)も使用することができる。
<単量体(b200)>
ベタイン樹脂(B)は、単量体(b200)に基づく構成単位を有することで、導電性材料(A)の分散性・保存安定性を制御するための機能を補助し得る。
この単量体(b200)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基を有する単量体;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボン酸基、もしくはその無水物、もしくはそれらカルボン酸基や酸無水物をアミン等で中和した基を有する単量体;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基、もしくはそれらスルホン酸基をアミン等で中和した基を有する単量体;
(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基を有する単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、およびトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの1〜4級アミン基を有する単量体;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有する単量体;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物などの側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;
(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;
酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリル単量体;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニル単量体;
アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニル単量体;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有する単量体;
等が挙げられる。
本発明において、単量体(b200)の有するエチレン性不飽和結合基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。また、導電性材料(A)の分散性・保存安定性の観点から、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸基を含有する単量体を使用することが好ましい。カルボン酸基含有単量体を使用する場合は、水酸化ナトリウムやアミン類等で中和させて使用することがより好ましい。
また、生体適合性の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(b200)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
<単量体の質量組成比>
ビニル系重合体(B1)の場合は、単量体(b1)〜(b3)、単量体(b100)および必要に応じて用いられる他の単量体(b200)との合計100mol%中、単量体(b1)〜(b3)の合計は1〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは2〜80mol%である。
ビニル系重合体(B2)の場合は、単量体(b4)〜(b6)、単量体(b100)および必要に応じて用いられるその他の単量体(b200)との合計100mol%中、ベタイン化剤(E)と反応している単量体(b4)〜(b6)が1〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは2〜80mol%である。
単量体(b1)〜(b3)や、ベタイン化剤(E)と反応している単量体(b4)〜(b6)が、上記範囲にあることによって、生体適合性と導電性材料の分散性・保存安定性を確保できる。
単量体(b100)は、単量体(b1)〜(b3)もしくは(b4)〜(b6)、単量体(b100)および必要に応じて用いられるその他の単量体(b200)との合計100mol%中、3〜99mol%であることが好ましく、より好ましくは5〜95mol%である。
99mol%以下とすることにより、ビニル系重合体(B)の生体適合性が向上する。3mol%以上とすることにより、ビニル系重合体(B)の極性を調整することが出来、導電性材料(A)への吸着および脱着を制御できるため、分散性・保存安定性を確保できる。
その他の単量体(b200)は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて適宜使用できる。
<質量平均分子量(Mw)>
ビニル系重合体(B)の質量平均分子量は、1000〜10000000であることが好ましい。分子量が1000以上であることにより、導電性材料(A)の分散性・保存安定性を向上できる。また10000000以下であることにより、樹脂の後述する水性液状媒体(D)への溶解性が向上し、また得られる水性導電性分散液が粘度を制御しやすくなることから、塗工適性が向上する。
ビニル系重合体(B)の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用する。測定装置および測定条件としては、下記条件1 によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2 とすることを許容する。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア( 溶離液) およびそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照することとする。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定することとする。
(条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000、
TOSOHTSKgelSuperHZ2000 ををつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本つなげる
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
<ビニル系重合体(B)の製造方法>
ビニル系重合体(B1)は、前記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの単量体(b1)〜(b3)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)、必要に応じてその他の単量体(b200)を使用して、通常のアクリルの溶液重合により得られる。
ビニル系重合体(B2)は、前記一般式7〜9で示される少なくともいずれかの単量体(b4)〜(b6)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基および炭素数1〜22のアルキル基を有する単量体(b100)と、必要に応じてその他の単量体(b200)を使用して通常のアクリル等の溶液重合によって前駆体(共重合体)を合成し、その後得られた前駆体に環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(E)を反応させることで得られる。
ビニル系重合体(B)は、導電性材料(A)100質量部に対して、質量比で0.1質量部以上500質量部以下、より好ましくは1質量部以上400質量部以下であることが好ましい。導電性材料(A)の分散性、保存安定性、および生体適合性の点から、ビニル系重合体(B)は0.1質量部以上であることが好ましい。また、導電性向上の点からビニル系重合体(B)は500質量部以下であることが好ましい。
また本発明は、必要に応じてビニル系重合体(B)と組み合わせて、市販の水溶性樹脂型分散剤を併用してもよい。市販の水溶性樹脂型分散剤としては、例えば、Disperbyk−180、183、184、185、187、190、191、192、193、194、198、199、2010、2012、2015、2090、2091、2095、2096等(ビックケミー社製)、SOLSPERSE20000、27000、40000、41090、44000、46000、47000、64000、65000、66000等(日本ルーブリゾール社製)、フローレンG−700AMP、G−700DMEA、WK−13E、GW−1500、GW−1640等(共栄社化学社製)、Borchi(R)Gen1350、0851、1253、SN95、WNS等(松尾産業社製)、TEGODispers650、651、652、655、660C、715W、740W、750W、752W、755W、760W等(巴工業社製)、ポリビニルピロリドンPVP−K30、K85、K90等(ISPジャパン社製)、エスレックBL−1、BL−2、BL−5、BL−10、BL−1H、BL−2H、BL−S、BM−S、BM−1、BM−2、BM−5、BH−A、BX−1、BX−3、BX−5等(積水化学工業社製)、カルボキシメチルセルロースCMC1105、1110、1130、1140、1170、1190、1205、1210、1240、1250等(ダイセル化学工業社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<水分散性樹脂粒子(C)>
水分散性樹脂粒子(C)は、後述する液状水性分散剤(D)中では粒子状であるが、加熱乾燥することにより水性液状媒体(D)を除去すると、樹脂粒子同士が融着し、膜を形成する。即ち、水分散性樹脂粒子(C)は、膜を形成する際、導電性材料(A)の粒子を結着させるバインダーとしての機能を主に担う。また、加熱乾燥した後の電極膜の耐水性、耐擦過性などを向上させることができるため、水性導電性分散液に水分散性樹脂粒子(C)を含有することが好ましい。
用いる水分散性樹脂粒子(C)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。又、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良く、後述する水性液状媒体(D)に分散し得るものである。これら水分散性樹脂粒子(C)は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
水分散性樹脂粒子(C)が後述する水性液状媒体(D)に分散している状態の分散体は、以下のようにして得ることができる。
例えば、樹脂の原料である単量体を水性液状媒体(D)中で重合したり(乳化重合、懸濁重合等)、
樹脂の原料である単量体を溶解し得る有機溶剤中で重合した後(溶液重合)、有機溶剤を水性液状媒体(D)に置換したり、
樹脂の原料である単量体を溶解し得る有機溶剤と水性液状媒体(D)との混合液中で重合し、樹脂を水性液状媒体(D)に析出させた後、有機溶剤を除去したり、
等、種々の方法で得ることができる。
重合する際や重合後、水分散性樹脂粒子(C)を水性液状媒体(D)中に安定して分散させるために適宜乳化剤を使用することができる。
水分散性樹脂粒子(C)は、導電性材料(A)100質量部に対して、質量比で0.1質量部以上500質量部以下、より好ましくは5質量部以上400質量部以下であることが好ましい。導電性材料(A)を結着し耐水性、耐擦過性に優れる電極を形成するという点から、水分散性樹脂粒子(C)は0.1質量部以上であることが好ましい。また、導電性向上の点から水分散性樹脂粒子(C)は500質量部以下であることが好ましい。
<水性液状媒体(D)>
本発明に使用する水性液状媒体としては水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、ベース基材への塗工性向上のために、水と相溶する少量の液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
<分散機・混合機>
本発明の水性導電性分散体は、導電性材料(A)とビニル重合体(B)と水性液状媒体(D)とを含む。水性液状媒体(D)に導電性材料(A)とビニル重合体(B)とを分散する際には、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
本発明の水性導電性分散体が水分散性樹脂粒子(C)を含む場合、水性液状媒体(D)に導電性材料(A)とビニル重合体(B)とを予め分散した後、水分散性樹脂粒子(C)の水性分散体を加えることもできるし、水性液状媒体(D)に水分散性樹脂粒子(C)が分散している分散体に、導電性材料(A)とビニル重合体(B)とを加え、分散することもできる。
本発明の水性導電性分散体は、さらに酸化還元酵素や電子受容体を含んでいても良い。
<酸化還元酵素>
酸化還元酵素は、検出しようとする成分によって適宜選択される。
例えば、
検出対象成分がアルコールである場合には、酵素としてアルコールオキシダーゼやアルコールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がグルコースである場合には、酵素としてβ−D−グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がコレステロールである場合には、酵素としてコレステロールオキシダーゼやコレステロールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がホスファチジルコリンである場合には、酵素としてホスホリパーゼ及びコリンオキシダーゼを用い、
検出対象成分が尿素である場合には、酵素としてウレアーゼを用い、
検出対象成分が尿酸である場合には、酵素としてウリカーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分が蓚酸である場合には、酵素として蓚酸デカルボキシラーゼを用い、
検出対象成分がピルビン酸である場合には、酵素としてピルビン酸オキシダーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がアスコルビン酸である場合には、酵素としてアスコルビン酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がキサンチンである場合には、酵素としてキサンチンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がフルクトースである場合には、酵素としてフルクトースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がクレアチンである場合には、酵素としてクレアチンホスホキナーゼ、クレアチンキナーゼを用い、
検出対象成分がグリセロールである場合には、酵素としてグリセロールオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアシル-コエンザイムAである場合には、酵素としてアシル-コエンザイムAオキシダーゼを用い、
検出対象成分がチラミンである場合には、酵素としてチラミンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアミノ酸である場合には、酵素としてアミノ酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がグリコレートである場合には、酵素としてグリコレートオキシダーゼを用い、
検出対象成分がビリルビンである場合には、酵素としてビリルビンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がガラクトースである場合には、酵素としてガラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がピリドキサールである場合には、酵素としてピリドキサール−4−オキシダーゼを用い、
検出対象成分がソルボースである場合には、酵素としてソルボースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がグロノラクトースである場合には、酵素としてグロノラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がトリメチルアミンである場合には、酵素としてフラビン含有モノオキシダーゼを用いる。
<電子受容体>
電子受容体は、酵素等の生体触媒の反応に応じて酸化又は還元される低分子の酸化還元物質であり、生体触媒とカーボン基材間の電子移動を媒介する。したがって、電子受容体は、酵素等の生体触媒と電子を授受することができるとともに、カーボン基材とも電子を授受することができる物質である限り何れも使用することができる。
本発明で用いられる電子受容体の具体例としては、一重結合と二重結合が交互に並んだπ共役系化合物であることが好ましい。例えば、特に限定されるものではないが、5-メチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンメトスルファート:PMS)、5-エチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンエトスルファート:PES)等、のフェナジン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェリシアン化カリウム等のフェリシアン化物、フェロセンやジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸等のフェロセン系化合物、ナフトキノン、アントラキノン、ハイロドキノン、ピロロキノリンキノン等のキノン系化合物、シトクロム系化合物、ベンジルビオロゲンやメチルビオロゲン等のビオロゲン系化合物、ジクロロフェノールインドフェノール等のインドフェノール系化合物等が挙げられる。
<バイオセンサ>
本発明のバイオセンサは、ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するため電極とを有し、前記電極が前述の水性導電性分散体から形成されたものである。
図1は本発明のバイオセンサの断面模式図は、本発明の実施形態の一例である。
符号1はポリエステルやPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂で作られた絶縁性のベース基板であり、この上に下地リード電極2が形成されている。リード電極2上には、本発明の水性導電性分散体を用いて形成した電極3、4が設けられ、この一方の電極3は作用極として用いられ、他方の電極4は対極となる。作用極3上には電子受容体、酵素を含む反応層5が設けられている。符号6は、電極3,4間を絶縁する絶縁層である。血液等試料の流路8を形成するためにカバー基板7が設けられている。例えば流路8に血液試料を導入することにより、血液中の被検物質の濃度を電気化学的に分析する。
<電極の作製方法>
電極3、4は、ベース基板1および下地リード電極2上に、本発明の水性導電性分散液を塗工し、水性液状媒体(D)を除去することにより、作製できる。
前記分散液を塗工する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
本発明のバイオセンサは、電極それ自体が生体適合性を発現するため、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも、タンパク質や細胞の吸着抑制、血小板の粘着や活性化を十分に抑制できる。すなわち、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象の濃度の測定を高感度かつ長期間安定して可能にする。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
<各種ベタインモノマーの合成>
ビニル系重合体(B)の合成に用いたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインおよび、N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタインは、特許第5690645号を参考に合成した。同様に、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタインは特許第3878315号を、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩と2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩は特許第3584998号を参考に合成した。
<ビニル系重合体(B)の調製>
[合成例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール107.7部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に加熱し攪拌した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)を0.5部、単量体(b1)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを90.0部、単量体(b100)としてブチルアクリレートを10.0部、メタノール74.8部、メチルエチルケトン1.2部、水1.1部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプでイソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、水を除去し、ビニル系重合体(B1−1)を得た。ビニル系重合体(B1−1)の質量平均分子量は40000であった。
[合成例2〜14]
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法でビニル系重合体(B1−2)〜(B1−14)を合成した。
表中の記号は以下の通り。
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン
DMPS:N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
StMA:ステアリルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
St:スチレン
AA:アクリル酸
MEA:2−メトキシエチルアクリレート
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)
[比較合成例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ブタノール98.0 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ブチルアクリ レート20.0部、スチレン50.0部、アクリル酸30部、および2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)2.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、室温まで冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプで1−ブタノールを除去し、比較用のビニル系重合体が得られ、その質量平均分子量は40000だった。
[合成例15]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル49.4部、エタノール50.0部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に加熱し攪拌した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)を0.2部、メチルエチルケトンを0.4部、単量体(b4)としてメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを30.0部、単量体(b100)としてブチルアクリレートを70.0部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、1,4−ブタンスルトンを42.8部(前記単量体(b4)の1.5倍に当たる量)加え、更に20時間撹拌を続けた。
以下の反応式に示すように、1,4−ブタンスルトンの開環反応により、単量体(b1)の一種であるN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを用いた製造例1等と同様のベタイン構造をビニル系重合体の側鎖に有すことができる。
次いで、冷却して取出し、ダイヤフラムポンプで酢酸エチル、エタノール、メチルエチルケトンを完全に揮発させた。乾燥させた樹脂をメチルエチルケトンでよく洗浄し、副生成物や残存した原料を取り除いた。得られたビニル系重合体(B2−1)は質量平均分子量が41000であった。
[合成例16〜20]
表2に示す配合組成で、合成例15と同様の方法でビニル系重合体(B2−2)〜(B2−6)を合成した。

表中の記号は以下の通り。
DM:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン
VI:1−ビニルイミダゾール
VP:2−ビニルピリジン
<水性導電性分散体の調整>
[実施例1]
下記の組成の混合物をディスパーで分散し、水性導電性分散体(S−1)を得た。
ケッチェンブラック(KB)EC−300J(ライオン社製) 2.5部
黒鉛 SGO−10(SECカーボン社製) 7.5部
純水 85.5部
製造例1のビニル系重合体(B1−1) 3.0部
水分散性樹脂粒子W−168の水性分散体(固形分50%)(トーヨーケム社製)
1.5部
[実施例2〜23]、[比較例1〜4]
導電性材料(A)とビニル系重合体(B)とその他成分の種類を表3に記載したように変更する以外は、水性導電性分散体(S−1)と同様にして、水性導電性分散体(S−2)〜(S−23)と比較用水性導電性分散体(SH−1)〜(SH−4)を得た。
<水性導電性分散体の分散性評価>
実施例1〜23の水性導電性分散液(S−1)〜(S−23)と、比較例1〜4の水性導電性分散液(SH−1)〜(SH−4)を作製した直後の分散液を目視で確認し、下記の基準で判定した。
〇:均一に導電性材料(A)が分散されている
×:導電性材料(A)の分離や沈降が確認される
<水性導電性分散体の保存安定性評価>
実施例1〜23の水性導電性分散液(S−1)〜(S−23)と、比較例1〜4の水性導電性分散液(SH−1)〜(SH−4)を作製し、室温で1日放置した後に分散液を目視で確認し、下記の基準で判定した。
〇:作製直後と変化がない
△:作製直後と流動性に顕著な差がみられるが、導電性材料(A)の分離や沈降等は見られない
×:導電性材料(A)の分離や沈降が確認される
以上の基準に従い、水性導電性分散体の分散性・保存安定性の評価結果を表3に示す。
表中、記号は以下の通り。
DMAE:ジメチルアミノエタノール
CMC:カルボキシメチルセルロース
EC−300J:KB(ライオン社製)
SGO−10:黒鉛(SECカーボン社製)
<バイオセンサ用電極膜の作製>
実施例1〜23の水性導電性分散液(S−1)〜(S−23)と、比較例1〜4の水性導電性分散液(SH−1)〜(SH−4)を、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材上に乾燥後の目付け量が2mg/cmとなるように塗布し、大気雰囲気中80℃、10分間乾燥し、バイオセンサ用電極膜をそれぞれ作製した。
<塗工性評価>
作製したバイオセンサ用電極膜の塗工性評価を、下記に示す方法によって評価した。バイオセンサ用電極膜を、ビデオマイクロスコープVHX−900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ(ムラ:カソード層の濃淡により評価)およびピンホール(カソード層が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。
(ムラ)
○:電極の濃淡が確認されない(良好)。
△:電極の濃淡が1〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題なし)。
×:電極の濃淡が4箇所以上確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが1〜3個あるが極めて微小である(実用上問題なし)。
×:ピンホールが4箇所以上確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
<血小板粘着性評価>
上記バイオセンサ用電極膜を15mmφに打ち抜き、24ウェルプレートにシリコーンリングで固定し、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)を各ウェルにそれぞれ1ml添加して、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、ヒト血小板多血漿を各ウェルにそれぞれ0.7ml加えて37℃で3時間培養する。
培養後、各ウェルから電極膜片を取り出し、PBSで3回リンスし、2.5%グルタルアルデヒド溶液にて1時間固定化を行う。固定化後、電極膜片をエタノール水溶液で脱水して、凍結乾燥後、金蒸着をする。これを走査型顕微鏡で観察し、血小板の粘着性を評価した。ここでは、下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:バイオセンサ用電極膜24枚のすべてに血小板の粘着が全くみられない。
〇:バイオセンサ用電極膜24枚のうち一部に血小板の粘着がみられる。
△:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに血小板の粘着が多くみられるが、フィブリンネットの形成は確認できない。
×:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに血小板の粘着とともにフィブリンネットの形成も確認できる。
<抗血栓性評価>
上記血小板粘着性評価の場合と同様にして、24ウェルプレート内にてバイオセンサ用電極膜にPBSを添加し、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、下記カルシウム再添加血を各ウェルに0.7mlずつ分注し、1時間培養する。
培養後、各ウェルから電極膜片を取り出し、PBSでリンスして、目視にて血栓塊の剥がれやすさを確認することで、全血接触の評価を行った。ここでは、下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:バイオセンサ用電極膜24枚のすべてに血栓塊の付着が全くみられない。
〇:バイオセンサ用電極膜24枚のうち一部に少量の血栓塊の付着がみられる。
×:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに多量の血栓塊の付着がみられる。

カルシウム再添加血:ヒト鮮血クエン酸血10mlに対して、塩化カルシウム水溶液(1mol/l)を178μl実験直前に添加したもの。
<タンパク質吸着性評価>
上記バイオセンサ用電極膜を15mmφに打ち抜き(試験片)、24ウェルプレートにシリコーンリングで固定し、PBS(リン酸緩衝液)で10000倍に希釈したHRP−IgG(Horseradishperoxidase-ImmunoglobulinG)溶液1mlを、上記試験片上の加え、試験片の片面(上面)だけが、前記タンパク質溶液に接するよう試験片を浸漬した。室温で1時間インキュベートした後、上記試験片を別の空ウェルに移し、PBS−T(0.1%Tween20)を用いて4回洗浄した。
洗浄後、上記試料片の入ったウェル内に染色液としてTMBZ(3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine)溶液を各々1ml分注し、室温で10分間インキュベートした。次いで、StopSolution(タカラバイオ製WashandStopSolutionforELISAwithoutSulfuric Acid)1mlを各ウェルに分注後、試験片を取り除き、各ウェル内の溶液の吸光度を測定した。測定機器は、MITHRAS2LD943-M2Mマイクロプレートリーダーを使用し、450nm(副波長650nm)の吸光度を測定した。
別途、対照として、PETフィルムを用いて同様の処理および測定を行い、その吸光度を基準値とし、下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:0.2≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度
○:0.5≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>0.2
△:1≧試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>0.5
×:試験片の場合の吸光度/PETフィルムの場合の吸光度>1
以上の基準に従い、バイオセンサ用電極の塗工性評価、タンパク質吸着性評価の結果を表4に示す。
表4の結果を見て分かる通り、実施例1〜23の水性導電性分散液からなる電極は、電極表面にムラやピンホールがなく、平滑性の高い均一な電極膜が形成され、かつ血小板、血栓、タンパク質吸着性も低いことが示された。これに対し、比較例1〜4の水性導電性分散液からなる電極は、均一な電極膜が形成されないものがあり、タンパク質の吸着量も多かった。
<グルコースセンサとしての出力特性>
[グルコース分析用生体センサの作製1]
ポリエステル樹脂基板1上にスクリーン印刷技術により下地リード電極2を印刷後、加熱乾燥した。リード電極2上に、実施例1の水性導電性分散液(S−1)を純水で10倍に希釈したものを7.0μL滴下し、大気雰囲気中80℃、10分間乾燥することにより作用極3、対極4を作製した。予め作用極3、対極4の位置に直径400μmの開口部をリソグラフィーにより設けておいた絶縁膜6を、基板1上に重ね、加熱圧着した。
ここに、フェロセン2部、イソプロピルアルコール98部からなる混合液0.05μLを作用極3上の開口部内に均一に滴下、乾燥し、この上にグルコースオキシダーゼ(GOD:1500unit/mLinPBS)溶液を滴下し、これを乾燥させて、グルコース分析用生体センサを作製した。
同様の方法で、実施例1の水性導電性分散液(S−1)を実施例2〜23(S−2)〜(S−23)、比較例1〜4(SH−1)〜(SH−4)に変更して作用極3、対極4を作製し、それぞれグルコース分析用生体センサを作製した。
[試料液1の作製]
リン酸緩衝液(PBS)に、グルコースを溶解し、グルコース濃度が50、100、200、250、300mg/dlとなるように溶液を調整した。合わせて、グルコース濃度が0mg/dlの溶液も準備した。
[試料液2(タンパク質含有)の作製]
リン酸緩衝液(PBS)にアルブミン(4.5g/dl)とγ−グロブリン(1.6g/dl)を溶かし、タンパク質溶液を作製した。その溶液20mlに1.25g/dlのグルコース溶液を5ml添加し、グルコース濃度が250mg/dlとなるように調整した。
同様に、グルコース濃度が50、100、200、300mg/dlとなるように溶液を調整した。合わせて、グルコース濃度が0mg/dlの溶液も準備した。
<グルコースセンサとしての応答感度>
[試料液1の酸化電流の測定]
各実施例、各比較例のグルコース分析用センサをそれぞれ複数(試料液1、2のグルコース濃度の種類に応じた数)用意し、各グルコース分析用センサの酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように、各濃度のグルコース溶液を滴下し、対極4を基準にして作用極3に、フェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。
[試料液2の酸化電流の測定]
試料液2についても試料液1の場合と同様に、グルコース濃度が0、50、100、200、250、300mg/dlの場合の酸化電流を測定した。
[評価]
試料液1の酸化電流値を基準に、グルコース濃度が同一の試料液2の酸化電流値を比較し、以下の基準で評価した。
◎:全濃度領域で、試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持している。
○:100mg/dl以上の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の±50%以上を保持しているが、100mg/dl未満の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である。
△:200mg/dl以上の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持しているが、200mg/dl未満の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である。
×:300mg/dlの濃度では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持しているが、250mg/dl以下の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である。
<グルコースセンサとしての安定性>
グルコース濃度が250mg/dlの試料液2を酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように滴下し、直ちに対極4を基準にして作用極3にフェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。これを初期の電流値とした。
次にグルコース濃度が250mg/dlの試料液2を酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように滴下した状態で1日室温で放置した。なお、電極上の試料液が乾燥しないように適宜試料液2を滴下した。1日経過後、対極4を基準にして作用極3にフェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。これを一日経過後の電流値とした。
下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:初期値の90%以上の値を保持している
○:初期値の50%以上の値を保持している
×:初期値の50%未満の値を保持している
以上の基準に従い、グルコースセンサとしての出力特性を評価した結果を表5に示す。

表5の結果を見て分かる通り、実施例1〜23の水性導電性分散液を用いて形成した電極を用いたグルコースセンサでは、タンパク質の影響を受けずに広範囲のグルコース濃度領域にわたって安定してグルコースを検出でき、かつグルコース液を滴下し一日経過後の感度も良好であった。これにより、安定的に高感度測定が可能であることが示された。
これに対し、比較例1〜4の水性導電性分散液を用いて形成した電極を用いたグルコースセンサでは、タンパク質の有無によって応答感度が影響を受け易く、安定してグルコースを検出できず、特にグルコースの低濃度領域ではグルコースの濃度に応じた出力値を確認できなかった。さらに一日経過後の感度も落ちていた。
以上の結果から、本発明の水性導電性分散液を用いて形成した電極を使用したグルコースセンサは、タンパク質の吸着が抑えられたため、安定的に高感度な分析を行うことができた。また、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質の吸着を抑制できるので、より効率的にグルコースセンサを作製できた。
本発明の水性導電性分散液は、導電性材料の分散性・保存安定性に優れ、生体適合性に優れたバイオセンサ用電極に適用できる。このバイオセンサに試料液を添加することにより、基質濃度を測定することができる。そして、タンパク質や赤血球などの固形成分の吸着による応答への影響がなくなり、長期間安定した高感度な分析が可能となる。さらに、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質の吸着を抑制できるので、より効率的にバイオセンサを作製できる。
1:基材
2:下地リード電極
3:作用電極
4:対電極
5:電子受容体、酵素を含む反応層
6:絶縁層
7:カバー基板
8:流路

Claims (6)

  1. 導電性材料(A)と、下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を含むビニル系重合体(B)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体。




    (式中、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子または−NH−、
    Yは−COOまたは−SO
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    *はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
  2. 導電性材料(A)が炭素材料である、請求項1記載の水性導電性分散体。
  3. ビニル系重合体(B)が、下記(B1)または(B2)であることを特徴とする、請求項1または2記載の水性導電性分散体。
    (B1)下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの単量体(b1)〜(b3)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と炭素数1〜22のアルキル基とを有する単量体(b100)との共重合体である。
    (B2)下記一般式7〜9で示される少なくともいずれかの単量体(b4)〜(b6)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基および炭素数1〜22のアルキル基を有する単量体(b100)との共重合体と、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(E)との反応生成物である。






    (式中、
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子または−NH−、
    Yは−COOまたは−SO
    は水素原子またはメチル基、
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    21は水素原子またはメチル基を表し、
    **はベタイン化剤(E)との反応部位を表す。)
  4. 水分散性樹脂粒子(C)をさらに含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の水性導電性分散体。
  5. ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するための電極とを有するバイオセンサであって、
    前記電極が、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性導電性分散体より形成されたバイオセンサ。
  6. ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するため電極とを有するバイオセンサの製造方法であって、
    ベース基材の所定の位置に、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性導電性分散体を塗工し、水性液状媒体(D)を除去し、前記電極を形成する、
    バイオセンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023276772A1 (ja) * 2021-06-29 2023-01-05 Phcホールディングス株式会社 ポリマー、試薬層およびセンサ
JP7443396B2 (ja) 2019-11-28 2024-03-05 京セラ株式会社 共重合体、測定装置および測定用担体
JP7472609B2 (ja) 2020-04-02 2024-04-23 artience株式会社 酵素センサー用電極及び酵素センサー

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