JP2019038781A - 油中水型化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線防止能を有し、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制された油中水型化粧料を提供すること。【解決手段】シリコーン油を含む油剤、親水性−親油性バランス値6未満の変性シリコーン界面活性剤、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤、油中水型化粧料の全量に対して0質量%を超え5質量%以下の吸水性ポリマー、並びに、水を含有する、油中水型化粧料。【選択図】なし

Description

本開示は、油中水型化粧料に関する。
油性成分を連続相とする油中水型化粧料は広く知られており、紫外線防御能、肌の外観補正効果、使用感、等を謳う種々の油中水型化粧料が提案されている。
例えば、特許文献1には、(a)フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、(b)皮膜形成性シリコーン樹脂、(c)屈折率1.4〜1.8の粉体を配合することを特徴とする凹凸補正化粧料が開示されている。特許文献1に記載の凹凸補正化粧料は、凹凸補正効果及びその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く、化粧膜が柔らかい化粧料であるとされている。
また、吸水性ポリマーは、衛生用品、園芸用品、工業製品等の各種用途において用いられている。化粧品用途においても、吸水性ポリマーはゲル化剤としての使用の他、製剤の固定化剤としても使用されている。
例えば、特許文献2には、所定の構成を有する容器に収容される化粧品として、ポリアクリル酸ナトリウム等の超吸水性ポリマーと混合した化粧品処方品を有する化粧品が開示されている。特許文献2に開示の容器は、収容される化粧品との接触部を構成する貯留槽にキャンパス地が備えられ、容器が使用される際には、化粧品の流動性部のみがキャンパス地を通過し、超吸水性ポリマーは貯留槽内に保持される。即ち、特許文献2に開示される超吸水性ポリマーは、容器が備える貯留槽内に化粧品を保持するための固定化剤として使用されている。
特開2013−103885号公報 特開2017−60738号公報
ところで、従来の油中水型化粧料では、肌に塗布する際の伸びの良さを向上させるための一方策として、油剤を増量して油相の粘度を低減させることが行なわれてきた。しかし、油中水型化粧料における油剤の増量は、化粧料の使用感を低下させる。具体的には、化粧料を塗布した肌に手指が触れた際の油っぽさ、及び、化粧料が塗布された肌のテカリの双方が顕在化してしまう。
また、油中水型化粧料は、紫外線防止剤を含む化粧料に好適に適用されるが、従来の油中水型化粧料では、使用感を低下させずに所望とする紫外線防止能を得ることは困難であった。即ち、紫外線防止剤として紫外線吸収剤を適用する場合、紫外線吸収剤の多くは親油性の化合物であり油剤に溶解させて用いられることから、紫外線防止能を所望とするレベルまで向上させるように紫外線吸収剤及び油剤を用いると、油っぽさを高めてしまうことがある。また、紫外線防止剤として紫外線散乱剤を適用した場合には、紫外線散乱剤は粉体であることから、紫外線防止能を所望とするレベルまで紫外線散乱剤を用いると、化粧料を肌に塗布する際の伸びを低下させ、さらには、塗り広げる際に無機粉体同士が擦れ合うことでキシミ感が生じるなど使用感が損なわれることがある。
したがって、本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、紫外線防止能を有し、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制された油中水型化粧料を提供することである。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> シリコーン油を含む油剤、親水性−親油性バランス値6未満の変性シリコーン界面活性剤、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤、油中水型化粧料の全量に対して0質量%を超え5質量%以下の吸水性ポリマー、及び、水を含有する、油中水型化粧料。
<2> さらに、着色顔料、白色顔料、パール顔料及び体質顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料を含有する、請求項1に記載の油中水型化粧料。
<3> 紫外線防止剤の含有率が、油中水型化粧料の全量に対して、3質量%以上である、<1>又は<2>に記載の油中水型化粧料。
<4> 吸水性ポリマーが、架橋ポリアクリル酸ナトリウム及び一部架橋されたカルボマー又はその塩から選択される少なくとも1種のポリマーである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
<5> 紫外線防止剤が、酸化チタンと紫外線吸収剤との複合粉体である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
<6> シリコーン油を含む油剤が、シリコーン油を油剤の全量に対して60質量%以上含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
本発明の一実施形態によれば、紫外線防止能を有し、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制された油中水型化粧料を提供することができる。
以下、本開示の油中水型化粧料の一実施形態について説明する。但し、本開示の油中水型化粧料は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示が目的とする範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において油中水型化粧料中の各成分の量は、各成分に該当する物質が油中水型化粧料中に複数種存在する場合には、特に断らない限り、油中水型化粧料中に存在する複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において「油相」とは、油中水型化粧料の連続相を意味し、連続相の液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分と、を含む。
本開示において「水相」とは、油中水型化粧料の分散相を意味し、分散相の液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分と、を含む。
本開示において、無機粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡の画像を解析して求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡写真から、粒子の長軸と短軸の相加平均として求めることができる。
無機粒子として市販品を用いる場合には、カタログなどに記載された値をそのまま適用することができる。ここで、無機粒子は、紫外線散乱剤としての無機粒子及び無機顔料の双方を包含する。
なお、油中水型化粧料中に存在する無機粒子の形態は、特に限定されるものでなく、一次粒子の状態であってもよいし、一次粒子が凝集して二次集合体を形成していてもよい。 無機粒子が二次集合体を形成している場合、一次粒径は、ガス吸着法などの比表面積測定、透過型電子顕微鏡などにより確認すればよい。
また、無機粒子の形状も特に限定されるものではない。無機粒子の形状としては、例えば、球状、楕円形状、板状、破砕状等が挙げられるが、その他の形状であってもよい。
<油中水型化粧料>
本開示の油中水型化粧料は、シリコーン油を含む油剤、親水性−親油性バランス値6未満の変性シリコーン界面活性剤、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤、油中水型化粧料の全量に対して0質量%を超え5質量%以下の吸水性ポリマー、並びに、水を含有する。
なお、本開示においては、上記のシリコーン油を含む油剤、親水性−親油性バランス値6未満の変性シリコーン界面活性剤、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫外線防止剤、及び吸水性ポリマーについては、適宜、「油剤A」、「変性シリコーン界面活性剤B」、「紫外線防止剤C」及び「吸水性ポリマーD」と、それぞれ称することがある。
また、変性シリコーン界面活性剤Bの親水性−親油性バランス値は、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値として略記することがある。
本開示において「油ぽっさ」とは、油中水型化粧料の塗布部位を触れた手指が感じる所望とされない油性感を意味する。
本開示において「テカリ」とは、油中水型化粧料の塗布部位において確認される所望とされない油状の光沢感を意味する。
なお、テカリについては、目視評価だけでなく、光学系の測定機器を用いて解析することができる。テカリは、例えば、ゴニオフォトメーターのように入射光と反射光との角度を変え、サンプルに当てた反射光を測定することで解析できる。測定機器としては、具体的にはゴニオフォトメーター自動測定装置(ニッカ電測株式会社)等があげられる。
本開示の油中水型化粧料は、上記の構成を採ることにより、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制される。
このように、本開示の油中水型化粧料において、肌に塗布する際の伸びに優れる理由、更に、塗布部位において、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が抑制される理由は、以下のように推測されるが、これに限定されるものではない。
本開示の油中水型化粧料は、油剤Aと、変性シリコーン界面活性剤Bと、紫外線防止剤Cと、吸水性ポリマーDと、水とを含有する。
吸水性ポリマーDは、通常は、粒状の形態を有し、水との接触により膨潤し、水を保持しする機能がある一方で、外力や乾燥過程により水を放出する機能を有し、吸水前の状態に変化するポリマーである。
本開示の油中水型化粧料は、吸水性ポリマーDを、油中水型化粧料の全量に対して0質量%を超え5質量%以下の含有率で含むことにより、肌に塗布する際の伸びに優れる。これは、吸水性ポリマーDが、感触良化剤として作用しているためであると考えられる。一方、5質量%を超える吸水性ポリマーDを含有する油中水型化粧料は、化粧料を塗布する際(即ち、塗り広げる際)にカス状物が発生してしまい、使用性又は嗜好性を満たさない。
そして、本開示の油中水型化粧料を塗布した後(即ち、塗り広げた後)の肌においては、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制される。これは、塗布動作により吸水性ポリマーDから水放出され、さらに経時により蒸散して、肌表面に存在する吸水性ポリマーDが粒状形態となることで、肌に触れた手指が感じる油状感が低減し、かつ、粒状形態の吸水性ポリマーDにより光散乱効果が得られるためと考えられる。
本開示の油中水型化粧料の使用者は、油っぽさ及びテカリが抑制され、さらには、ふっくらと柔らかい感触の肌が得られることを実感することができる。
一方、既述の特許文献1(特開2017−60738号公報)には、吸水性ポリマーについての着目はない。
また、特許文献2(特開2017−60738号公報)には、所定の構成を有する容器に収容される化粧品として、ポリアクリル酸ナトリウム等の超吸水性ポリマー(本開示における吸水性ポリマーDに相当する。)と混合した化粧品処方品を有するものが開示されている。しかし、特許文献2に開示される超吸水性ポリマーは、容器が備える貯留槽内に化粧品を保持するための固定化剤として使用されており、この超吸水性ポリマーは、使用感の向上が意図される成分ではない。
以下、本開示の油中水型化粧料が含有し得る成分について、詳細に説明する。
[シリコーン油を含む油剤]
油中水型化粧料は、シリコーン油を含む油剤〔油剤A〕を含む。
油剤Aは、油中水型化粧料の油相を形成する組成物において、溶媒又は分散媒となる成分である。ここで、油剤とは、常温(25℃)にて液状を呈する油剤を意図している。
油剤Aは、油中水型化粧料の乳化安定性、化粧料に含まれる粉体(例えば、無機顔料、紫外線散乱剤、等)の分散性の観点から、シリコーン油を含む。油剤A中、シリコーン油は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
油剤Aは、シリコーン油のみを含んでいてもよいし、シリコーン油と他の油剤とを含んでいてもよい。
油剤Aは、乳化安定性、粉体の分散性、吸油性粉体の皮脂吸収性等の観点から、油剤Aの全量に対してシリコーン油を60質量%以上含むことが好ましく、65質量%以上がより好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより更に好ましい。勿論、油剤Aの全てがシリコーン油(つまり、油剤A中のシリコーン油の含有率が100質量%)であってもよい。
シリコーン油としては、トリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等の直鎖状又は分岐状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、カプリリルメチコン等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)又はデカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
シリコーン油の市販品としては、KF−96L−0.65cs、KF−96L−1cs、KF−96L−1.5cs、KF−96L−2cs、KF−96L−5cs、KF−96A−6cs、KF−96−10cs、KF−96−20cs、KF−995、KF−56A(以上、信越化学工業(株))、SH200 C Fluid 1CS、SH200 Fluid 1.5CS、SH200 C 2CS、SH200 C Fluid 5CS、SH200 C Fluid 6CS、SH200 C Fluid 10CS、SH200 C Fluid 20CS、2−1184 Fluid、SH245 Fluid、DC246 Fluid、DC345 Fluid、SS−3408(以上、東レ・ダウコーニング(株))、TSF404、TSF405、TSF4045(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)等が挙げられる。
シリコーン油と共に油剤Aに含まれる他の油剤としては、エステル油、炭化水素油等が挙げられる。
油剤A中のシリコーン油以外の油剤は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
後述する紫外線防止剤Cが紫外線吸収剤を含む場合には、紫外線吸収剤の溶解性の点から、エステル油を含むことが好ましい。
エステル油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル等が挙げられる。
炭化水素油は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。炭化水素油としては、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭素数8〜16のイソアルカン(イソパラフィン)、ミネラルオイル、スクワラン等が挙げられる。
油剤Aの常温(25℃)における粘度としては、1mPa・s〜300mPa・sであることが好ましく、油中水型化粧料の肌への塗布時の伸び、塗布時のべたつき等の点から、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましく、1mPa・s〜30mPa・sが更に好ましい。
本開示では、油剤Aの常温(25℃)における粘度は、公知の測定方法で測定できる。具体的には、油剤Aの粘度は、後述する油中水型化粧料の25℃における粘度と同じ測定原理で測定した値を用いることができる。測定に用いる、ローター、回転速度、回転時間等は、粘度に応じて、適宜、適正に変更できる。
油中水型化粧料における油剤Aの含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、例えば、1質量%〜60質量%とすることができ、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましく、12質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
なお、油剤Aの含有率は、油中水型化粧料が、後述するようなシリコーンゲルのうち、シリコーン油を含むシリコーンゲルを更に含有する場合においては、シリコーンゲルと共に含まれるシリコーン油を含む含有率である。
[HLB値6未満の変性シリコーン界面活性剤]
油中水型化粧料は、HLB値6未満の変性シリコーン界面活性剤〔変性シリコーン界面活性剤B〕を含む。
変性シリコーン界面活性剤とは、主鎖骨格をなすシリコーン鎖同士が架橋しておらず、かつ、親水性の有機基により変性されたシリコーン界面活性剤を指す。
変性に用いられる有機基の構造により、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、ポリグリセリン変性シリコーン界面活性剤、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン界面活性剤、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン界面活性剤といった種類がある。なお、変性シリコーン界面活性剤Bには、架橋型オルガノポリシロキサン重合物に該当するものを含まない。
また、変性シリコーン界面活性剤Bとしては、主鎖骨格をなすシリコーン鎖が、直鎖であるものと、分岐したものがある。
変性シリコーン界面活性剤Bとしては、HLB値6未満であれば、これらを制限なく用いることができる。
変性シリコーン界面活性剤Bの中でも、乳化性の点から、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、及びポリエーテル・アルキル共変性シリコーン界面活性剤が好ましい。
また、変性シリコーン界面活性剤Bの中でも、乳化安定性の点から、主鎖骨格をなすシリコーン鎖が分岐したもの、即ち、分岐したシリコーン鎖を構造中に有することが好ましく、分岐したシリコーン鎖を構造中に有するポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。
変性シリコーン界面活性剤BのHLB値は、油中水型化粧料の乳化安定性の観点から、1以上6未満であることが好ましく、2以上6未満であることがより好ましく、2以上5以下であることが更に好ましい。
本開示において、変性シリコーン界面活性剤BのHLB値は、分子量及びエチレンオキサイド基等の親水性の有機基の個数から求めた値である。なお、市販品を用いる場合には、カタログ等に記載されたHLB値をそのまま適用することができる。
変性シリコーン界面活性剤Bとして、具体的には、PEG−3ジメチコン、PEG−9メチルエーテルジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられる。
変性シリコーン界面活性剤Bの市販品としては、例えば、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6017P、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6048(以上、信越化学工業(株))等が挙げられる。
変性シリコーン界面活性剤Bの中でも、乳化性、乳化安定性の観点から、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
変性シリコーン界面活性剤Bの含有率は、乳化性、乳化安定性の観点から、油中水型化粧料の全量に対して、0.03質量%以上10質量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.05質量%以上6質量%以下であり、最も好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
変性シリコーン界面活性剤Bは、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
[紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤]
油中水型化粧料は、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤〔紫外線防止剤C〕を含有する。
紫外線防止剤Cは、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
(紫外線吸収剤)
紫外線防止剤Cとして紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤は、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
紫外線防止剤Cの一態様である紫外線吸収剤としては、油中水型化粧料に通常用いられる紫外線吸収剤であれば特に制限されない。
本開示の油中水型化粧料において、紫外線吸収剤Cは、油相中に溶解して含有されていてもよいし、紫外線吸収剤と基材となる無機粉体との複合粉体として含有されていてもよい。
紫外線吸収剤としては、メトキシケイ皮酸誘導体、パラアミノ安息香酸(PABA)誘導体、ベンゾトリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、イミダゾリン誘導体、フェニルベンズイミダゾール誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられ、具体的には、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オクチルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、オクトクリレン、ポリシリコーン−15、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキシイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、サリチル酸オクチル、ホモサレート、オキシベンゾン等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、オクチルトリアゾン、及びポリシリコーン−15)から選択される少なくとも1種が好適である。
紫外線防止剤Cは、酸化チタン又は酸化亜鉛と紫外線吸収剤との複合粉体(以下、特定複合粉体ともいう。)であってもよく、汎用性の観点からは、二酸化チタンと紫外線吸収剤との複合粉体がより好ましい。特定複合粉体は、紫外線散乱能を有していてもよい。
複合粉体の形態としては、二酸化チタン又は酸化亜鉛を基材として含み、かつ、紫外線吸収剤を表面に有する表面処理粉体であることが好ましい。紫外線防止剤Cとして適用しうる複合粉体としては、例えば、二酸化チタンを基材として含み、かつt−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンとも称される。)を表面に有する表面処理粉体が好ましい(以下、紫外線吸収剤被覆二酸化チタンともいう。)。
紫外線防止剤Cとして適用しうる複合粉体としては、例えば、国際公開第2014−185316号の段落0012〜段落0017に記載の表面処理粉体が挙げられる。
上記の複合粉体の市販品としては、例えば、HXMT−100ZA(テイカ(株))等が挙げられる。ここで、HXMT−100ZAは、表面処理された二酸化チタンが、更にt−ブチルメトキシジベンゾイルメタンで表面処理された複合粉体である。
紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上である。また、紫外線吸収剤の含有率は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。紫外線吸収剤の含有率の具体的な範囲としては、油中水型化粧料の全量に対して、好ましくは3質量%〜15質量%であり、さらに好ましくは4質量%〜10質量%である。
また、紫外線吸収剤として特定複合粉体を含有する場合には、特定複合粉体に担時されて油中水型化粧料に含有される紫外線吸収剤の含有率が、上記の範囲であることが好ましい。
紫外線吸収剤の含有率が上記の範囲内であると、紫外線防止効果がより向上する。
(紫外線散乱剤)
紫外線防止剤Cの一態様である紫外線散乱剤としては、化粧料に通常用いられる紫外線散乱剤であれば制限されず、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉体が挙げられる。なお、ここにいう紫外線散乱剤には、上記の特定複合粉体は含まない。
<酸化亜鉛>
紫外線散乱剤として適用される酸化亜鉛としては、特に制限されることなく、化粧料に紫外線散乱剤として通常用いられる酸化亜鉛を挙げることができる。
紫外線散乱剤として適用される酸化亜鉛としては、平均一次粒径が40nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下の酸化亜鉛である。平均一次粒径が40nmを大きく超える酸化亜鉛の含有は、白浮き又は白残りの原因となる傾向がある。また、酸化亜鉛の平均一次粒径の下限値は特に限定されるものでないが、粒径が小さくなればなるほど高価になるため、経済性を考慮すれば5nm以上であればよく、好ましくは10nm以上の酸化亜鉛である。
酸化亜鉛として好ましくは、より分散性に優れたものであり、例えば、必要に応じて公知の方法で表面処理した酸化亜鉛を用いることができる。
酸化亜鉛の表面処理の方法としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン等のシリコーン処理;パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルコール等によるフッ素処理;N−アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理;その他、レシチン処理;金属石鹸処理;脂肪酸処理;アルキルリン酸エステル処理等が挙げられる。なかでも、シリコーン表面処理を施した酸化亜鉛が好ましい。
酸化亜鉛の表面処理に用いられるシリコーンは、特に制限されないが、例えばメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン/メチルステアロキシシロキサン共重合体等の各種シリコーン油を挙げることができる。酸化亜鉛の表面処理に用いられるシリコーンは、好ましくはメチルハイドロジェンポリシロキサンである。
シリコーン処理酸化亜鉛は、撥水性、紫外線遮蔽性、透明性、密着性、及び分散性に富み、本開示の油中水型化粧料を、例えば日焼け止め化粧料に適用する際に有用である。
酸化亜鉛の表面処理に用いられるシリコーンの量は、シリコーン処理酸化亜鉛100質量%あたり、通常1質量%〜20質量%の範囲で用いられ、好ましくは2〜14質量%、より好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
酸化亜鉛のシリコーン処理方法は、特に制限されず、従来公知の方法を適宜選択して行うことができる。
紫外線散乱剤として適用される酸化亜鉛の市販品の例としては、MZ−300(表面処理剤なし、粒径30〜40nm、テイカ(株))、MZ−303S(メチコン処理、粒径30〜40nm、テイカ(株))、MZ−303M(ジメチコン処理、粒径30〜40nm、テイカ(株))、MZ−500(表面処理剤なし、粒径20〜30nm、テイカ(株))、MZ−505S(メチコン処理、粒径20〜30nm、テイカ(株)製)、MZ−505M(ジメチコン処理、粒径20〜30nm、テイカ(株))、MZ−700(表面処理剤なし、粒径10〜20nm、テイカ(株))、MZ−707S(メチコン処理、粒径10〜20nm、テイカ(株))、FINEX−25(表面処理剤なし、粒径60nm、堺化学(株)製)、FINEX−25LP(ジメチコン処理、粒径60nm、堺化学(株))、FINEX−50(表面処理剤なし、粒径20nm、堺化学(株))、FINEX−50LP(ジメチコン処理、粒径20nm、堺化学(株))、FINEX−75(表面処理剤なし、粒径10nm、堺化学(株)製)などが挙げられる。
シリコーン処理酸化亜鉛のより好ましい態様は、平均一次粒径が5nm〜40nmのジメチルハイドロジェンポリシロキサン処理酸化亜鉛(1質量%〜5質量%の表面処理)である。
<二酸化チタン>
紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンとしては、特に制限されることなく、化粧料に紫外線散乱剤として通常用いられる二酸化チタンを挙げることができる。
紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンは、平均一次粒径が、数nm以上100nm以下の二酸化チタンであり、好ましくは平均一次粒径が30nm以下、より好ましくは20nm以下のものを挙げることができる。
平均一次粒径が30nm以下であると、白浮き又は白残りがより生じ難い傾向にある。平均一次粒径の下限値は、特に限定されるものでないが、粒径が小さくなればなるほど高価になるので、経済性を考慮すれば5nm以上であればよく、好ましくは10nm以上である。
紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンとしては、紫外線散乱効果を高めるために、表面処理が施されたものが好ましい。二酸化チタンの表面処理法としては、通常化粧料で用いられている処理であれば特段の限定を受けずに用いることができる。表面処理法としては、例えば、二酸化チタン表面に油脂を吸着させる方法;水酸基等の官能基を利用しエステル化又はエーテル化を起こさせた二酸化チタンを脂肪酸で処理する脂肪酸処理法;脂肪酸処理法において、脂肪酸に代えてステアリン酸アルミニウム又はステアリン酸亜鉛のような脂肪酸のアルミニウム塩又は亜鉛塩を用いる金属石鹸処理法;脂肪酸処理法において、脂肪酸に代えてメチルポリシロキサンまたはメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いるシリコーン処理法;脂肪酸処理法において、さらに脂肪酸に代えてパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物で処理する方法等が挙げられる。
紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンとして好ましくは、ステアリン酸アルミニウムで処理されたステアリン酸アルミニウム処理二酸化チタンである。ステアリン酸アルミニウム処理二酸化チタンに含まれるステアリン酸アルミニウムの含有率は、特に制限されないが、1質量%〜20質量%が挙げられる。また、ステアリン酸アルミニウム処理二酸化チタンに含まれる二酸化チタンの含有率としては、80質量%〜99質量%が好ましい。
紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンの具体例として、タイペークCR−50(酸化アルミニウム処理、粒径25nm、石原産業(株)製)、バイエルチタンR−KB−1(酸化亜鉛処理、酸化アルミニウム処理、二酸化ケイ素処理、粒径30nm〜40nm、バイエル社製)、タイペークTTO−M−1(酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム処理、粒径10nm〜25nm、石原産業(株)製)、タイペークTTO−D−1(酸化ジルコニウム処理、酸化アルミニウム処理、粒径20nm〜30nm、石原産業(株)製)、ソラベールCT−100、ソラベールCT−200、ソラベールCT−300、ソラベールCT−434クローダージャパン(株)製)、STR−100シリーズ、STR−40(堺化学(株)製)が挙げられる。但し、これら例示に限定されるものでない。
紫外線防止剤Cとして紫外線散乱剤を含む場合、紫外線散乱剤の含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、紫外線防止効果の観点からは、0.5質量%以上あることが好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは3質量%以上である。また、紫外線散乱剤の含有率は、配合量の増大に見合う効果及び製剤化の観点からは、50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
紫外線散乱剤の含有率の具体的な範囲としては、油中水型化粧料の全量に対して、酸化亜鉛を含有する場合であれば、5質量%〜40質量%の範囲が好ましく、二酸化チタンを含有する場合であれば、0.5質量%〜15質量%の範囲が好ましい。
紫外線防止剤Cの合計含有率としては、塗布後のベタツキ、キシミ、及び白浮き抑制の観点からは、油中水型化粧料の全量に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、紫外線防御能の観点から3質量%以上が好ましく、より好ましくは4質量%以上が好ましい。
〔吸水性ポリマー〕
油中水型化粧料は、油中水型化粧料の全量に対して、0質量%を超え5質量%以下の吸水性ポリマー〔吸水性ポリマーD〕を含有する。
油中水型化粧料において、吸水性ポリマーDは、水相を構成する水相組成物に含有されることが好ましい。
本開示における吸水性ポリマーDは、自身の重量の10倍〜2000倍、好ましくは15倍〜1500倍、更に好ましくは20〜1000倍の水吸収能を有している。即ち、吸水性ポリマーDは、ポリマー1グラム当たり10g〜2000gの水を吸収するポリマーである。
吸水性ポリマーDが有する吸水特性は、蒸留水での常温(25℃)及び常圧(760mmHg、すなわち100,000Pa)の条件で定義される。
吸水性ポリマーDは、粒子の形態で油中水型化粧料中に含まれる。
粒子の形態としては、球状、略球状等の一次粒子の形態であってもよいし、又は、一次粒子が凝集した二次粒子(即ち、塊状の粒子)の形態であってもよい。
吸水性ポリマーDの平均中位粒径は、塗布後の使用感又は吸水性の観点から、1μm〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜400μmで、さらに好ましくは15〜300μmである。
吸水性ポリマーDの平均中位粒径は、以下の方法で測定される。
吸水性ポリマーDの粒径は中位粒子径として規定し、次のようにして測定する。
吸水性ポリマーD50gに、滑剤として、0.25gの非晶質シリカ(デグサジャパン(株)、Sipernat200)を混合する。
吸水性ポリマーDを、JIS標準篩の目開250μmの篩を用いて通過させ、その通過量が50質量%以上の場合には(A)の篩の組み合わせを、その通過量が50質量%未満の場合には(B)の篩の組み合わせを用いて中位粒子径を測定する。
(A)JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩及び受け皿の順に組み合わせる。
(B)JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩及び受け皿の順に組み合わせる。
組み合わせた最上の篩に、吸水性ポリマーDを入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級する。
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性ポリマーDの質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットする。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とする
吸水性ポリマーDの一例としては、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。ポリアクリル酸ナトリウムは、開始剤の存在下で水酸化ナトリウムと混合したアクリル酸を重合しポリアクリル酸とし、更に、ポリアクリル酸のナトリウム塩を形成することで製造される。本開示における好適な吸水性ポリマーDは、後述するとおり、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)又はその塩であり、本例に挙げるポリアクリル酸ナトリウムについても、架橋ポリアクリル酸ポリマー又はその塩の一態様であることが好ましい。
吸水性ポリマーDの他の例としては、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、デンプンポリアクリロニトリルグラフト共重合体等が挙げられる。
吸水性ポリマーDの他の例としては、アクリル系ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)でグラフトしたデンプン(例えば、ポリアクリル酸ナトリウムでグラフトしたデンプン)、アクリル系ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)でグラフトした加水分解デンプン、アクリロアクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体、デンプン系ポリマー、ゴム及びセルロース誘導体でグラフトした加水分解デンプン等も挙げられる。
吸水性ポリマーDは、架橋ポリマー又はその塩から選択されることが好ましい。
本発明で使用される吸水性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸ポリマー又はその塩であることが好ましい。架橋ポリアクリル酸ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。塩としては、ナトリウム塩であることが好ましい。架橋ポリアクリル酸ポリマーは、中和され、塊状または粒子の形態であることが好ましい。
吸水性ポリマーDとしては、架橋ポリアクリル酸ホモポリマー又はその塩であることが好ましく、架橋ポリアクリル酸ナトリウム及び一部架橋されたカルボマー又はその塩から選択される少なくとも1種のポリマーであることがより好ましい。
これらの架橋ポリアクリル酸ホモポリマー又はその塩には、アクリレーツクロスポリマー−2−Na、カルボマーNa等の化粧品表示名称により表示される成分が含まれる。これらの市販品としては、例えば、AQUA KEEP 10SH−NFC、アクペックMG等が該当する。なお、「AQUA KEEP」及び「アクペック」は、住友精化(株)の登録商標である。
吸水性ポリマーDの市販品としては、以下の商品が具体的に例示できるが、これら特に限定されない。
架橋ポリアクリル酸ポリマー及びその塩としては、例えば、住友精化(株)のAQUA KEEP SA60S、AQUA KEEP SA60NSX II、AQUA KEEP SA60N TYPE II、AQUA KEEP CA300N、AQUA KEEP 10SH、AQUA KEEP 10SH PF、AQUA KEEP CA180N、AQUA KEEP 10SH−NF、AQUA KEEP 10SH−NFC、アクペックMG、San−Dia Polymers社のSanwet770H、Dow Chemical社のDOW S100R、Evonik社のCREALBLOC SIS、 CABLOC、 FIRESORB eSTOCKOSORB、Song Wong社のHI SWELL、Innospec Performance Chemicals社のActivsoft MS100、The Dow Chemical Company社のACUSOL 445、ACUSOL 445N、ACUSOL 445ND、BASF Personal Care and Nutrition社のCosmedia SP、Sensient Cosmetic Technologies社のCovacryl Ac、 Covacryl J22、 Covacryl MV60、 Covacryl RH、Ashland社のRapiThix A−100、東亞合成社のRheogic250H、 Rheogic270、 Rheogic260H、Rheolabs社のRheosol APが挙げられる。
上記の他、大東化成工業(株)のMakimousse SV12、Makimousse SV25、Lysac社製のLysorb220などのアクリル系ポリマーでグラフトしたデンプン又は加水分解デンプンなども挙げられる。
吸水性ポリマーDの含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、0質量%を超え5.0質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以上2質量%以下の範囲である。
吸水性ポリマーDは、油中水型化粧料に含有させる前に、水と水和させること(即ち、乾燥状態の吸水性ポリマーに水を吸収させること)が好ましい。吸水性ポリマーは、飽和状態まで吸水させてもよく、水を一部吸収した状態であってもよい。
吸水性ポリマーDは、油中水型化粧料の製造に際し、水相組成物に混合してもよく、水相組成物及び油相組成物により予め調製した乳化物に混合してもよい。
本開示の油中水型化粧料は、吸水性ポリマーDを含有することにより、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、手指が感じる油っぽさ及び肌のテカリの双方が塗布部位において抑制される。また、吸水性ポリマーDが粒子の形態であることによるソフトフォーカス効果も期待できる。
ソフトフォーカス効果とは、対象物に光を当てたときに、拡散光を増やし、影を少なくし、ぼかす効果をいう。ソフトフォーカス効果の確認は、具体的には、対象物と観測点との間にソフトフォーカス基剤として本開示の油中水型化粧料を塗布した透過性膜を設置し、塗布物と対象物との鮮明さで判断できる。
対象物としては、文字、線等が印刷されたものでもよく、分解能テストチャート、線形テストチャートなども好適に使用される。
〔水〕
油中水型化粧料は、水を含有する。
水は、油中水型化粧料の水相を形成する組成物において、溶媒又は分散媒となる成分である。
水としては、化粧料に適用し得る水であれば特に制限されない。
水の含有率としては、化粧料を油中水型の乳化形態にできる量であれば特に限定されない。水の含有率は、油中水型化粧料の全量にして、例えば、80質量%以下とすることができ、20質量%〜75質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。
〔着色顔料、白色顔料、パール顔料及び体質顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料〕
本開示の油中水型化粧料は、着色顔料、白色顔料、パール顔料及び体質顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料(以下、「無機顔料E」とも称する。)を含有することが好ましい。
本開示において「着色顔料」とは、色相を調整しうる有色の顔料であり、かつ、白色顔料及びパール顔料以外の顔料を意味する。
本開示において「白色顔料」とは、白色の色相を呈する顔料を意味する。
本開示において「体質顔料」とは、色相の調整に実質的に寄与しない顔料を意味する。
本発明において「パール顔料」とは、色相又は光沢感の調整に寄与しうる顔料であり、輝度又は真珠様光沢を有する顔料を意味する。
無機粒子Eは、油中水型化粧料の用途、油剤Aとの相性等に応じて、適宜、選択されればよい。
また、無機粒子Eは、油中水型化粧料中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
また、無機粒子Eは、表面を疎水化処理したものであってもよい。
着色顔料の例として具体的には、酸化鉄、酸化クロム等が挙げられる。
白色顔料の例として具体的には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられる。
パール顔料の例として具体的には、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。
体質顔料の例として具体的には、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、シリカ、無水ケイ酸、硫酸バリウム、チッ化ホウ素、合成金雲母等が挙げられる
無機顔料Eは、粒径が既述の紫外線散乱剤よりも大きく、紫外線散乱剤とは明確に区別される。具体的には、無機顔料Eは0.15μm以上の粒径を有する。例えば、白色顔料の一態様である二酸化チタンの場合であれば、平均一次粒径は、数百nm以上である。一方、紫外線散乱剤として適用される二酸化チタンの平均一次粒径は、既述のとおり、数nm以上100nm以下である。
無機粒子Eとしては、市販品を用いることもできる。以下に市販品の例を挙げるが、これらに限定されない。
着色顔料の市販品の例としては、OTS−2 RED R−516L(赤色酸化鉄)、OTS−2 BLACK BL−100(黒色酸化鉄)、OTS−2 YELLOW LLXLO(黄色酸化鉄)(以上、大東化成工業(株))等が挙げられる。
白色顔料の例としては、OTS−2 TiO CR−50、SI06 TiO TTO−55、SI06 TiO CR−50(以上、大東化成工業(株))等が挙げられる。
パール顔料の市販品の例としては、ロナフレアバランスゴールド、ロナフレアバランスレッド(MERCK社)等が挙げられる。
体質顔料の市販品の例としては、SERICITE FSE(三信鉱工(株))、合成金雲母PDMシリーズ(トピー工業(株))等のマイカが挙げられ得る。
油中水型化粧料は、油相に、無機顔料Eを含有することが好ましい。
ここで、無機粒子Eが油相に含有されるとは、連続相である油相中に無機粒子Eが存在していることを指す。無機粒子Eは、無機粒子E自体が有する機能を発現し易くするため、油相中に分散していることが好ましい。
油相に、無機顔料Eを含有させるには、油中水型化粧料の製造するに際して、油相組成物を構成する他の成分と共に無機粒子Eを混合すればよい。
なお、本開示における、無機粒子Eが油相中に存在することを確認する方法は、以下の通りである。
即ち、測定試料(油中水型化粧料)を遠心分離にかけ、遠心分離により分離又は抽出して得られた層を元素分析し、更にその結果を元に、測定試料の処方に用いられた成分(化粧品の成分表示を用いてもよい)と照らし合わせて解析することで、油相中の無機粒子Eの存在が確認できる。この測定の際には、有機溶剤又は水で測定試料を希釈してもよいし、無機粒子E以外のものを取り除く工程又は処理など、適宜、分析及び解析に必要な手段を用いてもよい。
無機顔料Eの含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、0.5質量%以上30質量%以下が好ましい。無機顔料Eの含有率は、乳化安定性の観点からは、30質量%以下であることが好ましい。また、無機顔料Eに期待される機能(例えば、シミ等の隠蔽)の発現の観点からは、3質量%以上であることがより好ましい。無機顔料Eの含有率のより好適な範囲は、5質量%以上25質量%以下である。
[シリコーンゲル]
本開示の油中水型化粧料は、乳化安定性等の観点から、シリコーンゲルを含有してもよい。
本開示においてシリコーンゲルとは、主鎖骨格をなすシリコーン鎖同士がポリエーテル鎖、ポリグリセリン鎖、シリコーン鎖等で架橋しているシリコーン架橋物を指す。
架橋に用いた鎖の構造により、ポリエーテル変性シリコーンゲル、ポリグリセリン変性シリコーンゲル、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーンゲル、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンゲルといった種類がある。本開示の油中水型化粧料は、これらを制限なく用いることができる。
シリコーンゲルとして、具体的には、(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ポリグリセリル−3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーなどが挙げられる、
シリコーンゲルの市販品としては、KSG−210、KSG−240、KSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−340、KSG−320Z、KSG−350Z、KSG−360Z、KSG−380Z、KSG−710、KSG−810、KSG−820、KSG−830、KSG−840、KSG−820Z、KSG−850Z、KSG−15、KSG−1510、KSG−16、KSG−1610、KSG−18A、KSG−19、KSG−016F、KSG−41A、KSG−42A、KSG−43A、KSG−44A、KSG−042Z、KSG−045Z、KSG−048Z(以上、信越化学工業(株))等が挙げられる。
シリコーンゲルの中でも、入手容易性、シリコーン油等の油剤Aへの膨潤性、及び乳化安定性の点から、(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマー、及び(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、(ジメチコン/(PEG−10/15)クロスポリマーと(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとを併用することがより好ましい。
油中水型化粧料中におけるシリコーンゲルの含有率は、油中水型化粧料の全量に対して、例えば、0.1質量%〜8質量%であることが好ましく、0.25質量%〜4.5質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
本実施形態の油中水型化粧料中のシリコーンゲルは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
〔他の成分〕
油中水型化粧料は、効果を損なわない範囲において、前述した成分以外の、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、化粧品に配合しうる成分であればよく、保湿剤、感触向上剤、変性シリコーン界面活性剤B以外の界面活性剤、水溶性有機溶剤、防腐剤(フェノキシエタノール、メチルパラベン等)、pH調整剤、酸化防止剤、美白剤、香料などが挙げられる。
保湿剤及び感触向上剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類及びその重合体;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類;(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10エステルズ等が挙げられる。
〔油中水型化粧料の粘度〕
本開示の油中水型化粧料は、充填容器に対応した粘度を適宜決定すればよい。油中水型化粧料をチューブ状容器に収容する場合、液だれ懸念等から、25℃における粘度が、3000mPa・s以上であることが好ましく、4000mPa・s以上がより好ましく、粘度安定性の観点から、15000mPa・s以上が更に好ましく、20000mPa・s以上が特に好ましい。また、油中水型化粧料をポンプ容器に収容する場合は、25℃における粘度が、4000mPa・s以下であることが、容器壁残り抑制の観点から好ましい。油中水型化粧料をエアレスポンプに収容する場合には、吐出できれば特に粘度は限定されない。また、本開示の油中水型化粧料の25℃における粘度は、伸びの良さの点から、60000mPa・s以下が好ましい。
なお、本開示にて、油中水型化粧料の25℃における粘度は、公知の粘度の測定法であれば限定されない。例えば、粘度の測定は、BL型粘度計(M4ローター)を用いて、ローター回転数6回転/分で60秒間撹拌して測定される値を用いることができる。BL型粘度計としては、例えば、東機産業(株)のVISCOMETER TVB−10を好適に用いることができる。但し、BL型粘度計は、これに限定されない。
〔油中水型化粧料の水相比率〕
油中水型化粧料において、分散相である、水相比率は、乳化安定性、水性成分の析出抑制、等の点から、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。
水相比率の上限としては、乳化性及び乳化安定性の点から、85質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。
ここでいう水相比率とは、全成分の合計量(油中水型化粧料の全量)に対する水相を構成する成分の合計量(即ち、水相組成物の含有量)の割合を表したものである。
<油中水型化粧料の用途>
油中水型化粧料の用途としては、メイクアップ化粧料が挙げられ、特に、化粧下地、BB(Blemish Balm)クリーム等のベースメイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
<油中水型化粧料の製造方法>
本開示の油中水型化粧料の製造方法は、特に制限されず、公知の油中水型化粧料の製造方法に従って製造することができる。
例えば、油剤Aと、変性シリコーン界面活性剤Bと、紫外線防止剤Cと、を含有する油相組成物を調製し、得られた油相組成物に、吸水性ポリマーDと、水とを含有する水相組成物を混合し、乳化することで、油中水型化粧料を製造することができる。
油剤Aと、変性シリコーン界面活性剤Bと、紫外線防止剤Cと、無機顔料Eと、シリコーンゲルと、を含有する油相組成物と、吸水性ポリマーDと、水とを含有する水相組成物と、をそれぞれ調整し、得られた油相組成物に水相組成物を混合し、乳化して油中水型化粧料を製造することが、より好ましい。
油相組成物と水相組成物とを混合して油中水型の乳化物としての油中水型化粧料を得る際の乳化方法としては、特に制限はなく、常法に従って行うことができる。
また、乳化の際の条件は、油中水型化粧料に求められる粘度、乳化粒子(水相)の大きさ等に応じて、せん断速度、処理時間等を調整し、決定されればよい。
以下、本開示の油中水型化粧料を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
表1に記載の各成分を用いて油相組成物を得た。
具体的には、紫外線吸収剤被覆二酸化チタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジメチコンの一部、PEG−9ポリジメチルシロキシジエチルジメチコンの一部でスラリーを作製し、得られたスラリーに、残りのシリコン系ポリマー、シリコン系界面活性剤、シリコン油剤、及びポリシリコーン15を混合しディスパーで処理することによって、油相組成物を得た。
表1に記載の各成分を用いて水相組成物を得た。
具体的には、精製水の一部と吸水性ポリマーとを馴染ませ吸水させた後、残りの水性成分を混合し、溶解させ、水相組成物を得た。
次いで、油性組成物に水性組成物を加えて分離しなようにアンカー撹拌にて乳化させ、水性組成物を混合後、水を馴染ませた吸水性ポリマーを添加することにより、油中水型の乳化物を得た。なお、必要に応じて、吸水性ポリマーを乳化前の油性組成物に添加してもよいし、アンカー撹拌をホモミキサー処理に変更してもかまわない。
実施例1〜4及び比較例1〜4にて用いた各成分及びその含有率(質量%)は、表1の組成の欄に示す。なお、組成の欄における「−」はその成分を含有しないことを示す。
表1における「油剤中のシリコーン油の含有率」は、油剤Aに包含される油剤中のシリコーン油の含有率(質量%)を示す。
本開示において、実施例及び比較例に用いた各成分の詳細は以下の通りである。
・ジメチコン:KF−96A−5cs(信越化学工業(株))
・シクロペンタシロキサン:KF−995(信越化学工業(株))
・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:ココナード(花王(株))
・2−エチルヘキサン酸セチル:NIKKOL(登録商標) CIO(日光ケミカルズ(株))
・(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー:KSG−210(ジメチコンによる膨潤物、クロスポリマー30質量%含有、信越化学工業(株))
・(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:KSG−15(シクロペンタシロキサンの膨潤物、クロスポリマー5質量%含有、信越化学工業(株))
・ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン:KF−56A、信越化学工業(株)
・PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:KF−6028(HLB値4.5、信越化学工業(株))
・セスキオレイン酸ソルビタン:レオドールAO−15V、花王(株)
・紫外線吸収剤被覆二酸化チタン:HXMT−100ZA(水酸化アルミニウム及びステアリン酸で表面処理された酸化チタンが、更に4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンで表面処理されたもの、テイカ(株))
・ポリシリコーン−15:パルソールSLX(DSMニュートリッション社)
・アクリレーツクロスポリマー−2−Na:アクアキープ 10SH−NFC(架橋ポリアクリル酸ナトリウム、住友精化(株))
・カルボマーNa:アクペックMG NR40(一部架橋カルボマー:住友精化(株))
・カルボマー:カーボポール980(非架橋カルボマー、Lubrizol)
・ポリメチルシルセスシオキサン:KMP−591(感触向上剤、信越化学工業(株))
・無機顔料の混合物:下記酸化鉄の混合物
・・赤色酸化鉄赤(OTS−2 RED R−516L、大東化成工業(株))
・・黒色酸化鉄黒(OTS−2 BLACK BL−100、大東化成工業(株))
・・黄色酸化鉄黄(OTS−2 YELLOW LLXLO、大東化成工業(株))
・BG:1,3−ブチレングリコール
[評価]
実施例1〜4の乳化物及び比較例1〜3で得た油中水型の乳化物(即ち、油中水型化粧料)について、以下の各評価を行った。なお、「カバー力」の評価は、無機顔料の混合物(無機顔料Eに包含される。)を含有する実施例4に対してのみ行なった。
比較例4の乳化物は、塗布し、塗り広げる際に、肌の上でカス状に寄り集まってしまったため、均一に塗布することができなかった。このため、比較例4については、以下の各評価は行っておらず、評価結果の欄は「評価できず」と表記した。したがって、比較例4の乳化物は、化粧料として適用しえない状態の乳化物であると判断される。
(伸びの良さ)
4名の専門パネラーに、100μLの実施例及び比較例の油中水型化粧料を、前腕の内側に指で塗り広げてもらい、その際に乳化物が指の動きに追随し、伸びやすいかを評価した。評価基準は以下の通りである。
評価レベル3、4及び5が実用上許容されるレベルである。評価レベルの数値が大きい程より好ましいと判断する。結果を表1に示す。
−評価基準−
5:非常に伸びが良い。
4:伸びが良い。
3:化粧料として許容できる程度には、適度に伸びる。
2:伸びが悪く、塗り広げる際の感触が重い。
1:伸びが非常に悪く、塗り広げ難い。
(油っぽさ)
4名の専門パネラーに、100μLの実施例及び比較例の油中水型化粧料を、前腕の内側に指で塗り伸ばしてもらい、塗布した後の肌を指で触った際に、指に感じる油性感を、油っぽさとして評価した。評価レベル3、4及び5が実用上許容されるレベルである。評価レベルの数値が大きい程より好ましいと判断する。結果を表1に示す。
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
5:さらさらして、油っぽさを全く感じない。
4:ペタペタせず、油っぽさをほとんど感じない。
3:ペタペタし、油っぽさはあるが気にならない。
2:ペタペタして、油っぽさが気になる。
(テカリ)
4名の専門パネラーに、100μLの実施例及び比較例の油中水型化粧料を、前腕の内側に塗り伸ばしてもらい、塗布した後の腕を光にかざし、塗布部に光が反射する様子を目視し、テカリとして評価した。評価基準は以下の通りである。評価レベル3、4及び5が実用上許容されるレベルである。評価レベルの数値が大きい程より好ましいと判断する。結果を表1に示す。
−評価基準−
5:テカリがなく、マットな感じがする。
4:テカリを感じない。
3:テカリがあるが、気にならない。
2:テカリが、あり気になる。
(カバー力)
シミを模擬した染色部のあるバイオスキンシート((株)ビューラックス)に、実施例4の油中水型化粧料を、0.6mg/cmとなるように塗布し、放置した後、色彩色差計CR−700d(コニカミノルタ(株))にて、染色部と非染色部とを測定し、それぞれのC光源での明度L*、a*、b*、および彩度C*を得た。結果を表1に示す。
染色部で得られた値と非染色部で得られた値との色差ΔEを、下記式により算出した。
色差(ΔE) = {(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
3:色差(ΔE)が2以下であった。
2:色差(ΔE)が2を超え4以下であった。
1:色差(ΔE)が4より大きい。
(紫外線防御能)
実施例及び比較例の各油中水型化粧料について、下記の測定方法によりSPF値を測定したところ、いずれもSPF20以上であり、実用上許容されるレベルの紫外線防御能を有することが確認された。
実施例及び比較例の各油中水型化粧を、PMMAプレートに32mg/枚になるように秤量し、塗布して、サンプルを作製した。サンプルを乾燥させ、SPFアナライザーを用いてSPF値を算出する。

表1に示されるように、各実施例の油中水型化粧料は、優れた紫外線防止能を有し、肌に塗布する際の伸びに優れ、かつ、油っぽさ及びテカリの双方が抑制されていることが分かる。また、実施例4の油中水型化粧料は、さらにカバー力にも優れることが分かる。
一方、比較例1では、吸水性ポリマーDを含まないことから、各実施例との対比において化粧料を塗布する際の伸びに劣り、油っぽさ及びテカリは実用上許容できないレベルであった。
比較例2は、吸水性ポリマーDを含まず、非架橋のカルボマーを含んでおり、化粧料を塗布する際の伸びは得られているが、油っぽさ及びテカリは化粧料として許容されないレベルであった。
比較例3は、吸水性ポリマーDを含まず、ポリメチルシルセスシオキサン(感触向上剤)を含んでおり、油っぽさ及びテカリは抑制されているが、化粧料を肌に塗布する際の伸びは実用上許容できないレベルであった。
比較例4は、既述のとおり、化粧料として適用し得ない状態の乳化物であった。
[実施例5:リキッドファンデーション]
下記組成を有するリキッドファンデーション(W/O乳化物)を、常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・アクリレーツクロスポリマー−2−Na 0.5
・グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
・複合粉体顔料*1 0.5
・体質顔料*2 7.0
・色材顔料*3 12.0
・パール顔料*4 1.0
・シクロペンタシロキサン 20.0
・ジメチコン 10.0
・ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.0
・PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.2
・スクワラン 0.1
・セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.0
・ジステアルジモニウムヘクトライト 0.8
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 2.5
・ヘマトコッカスプルビアリス油 0.1
・トコフェロール 0.1
・ダマスクバラ花油 微量
・香料 適量
・フェノキシエタノール 0.3
・グリセリン 10.0
・ジプロピレングリコール 4.0
・1,3−ブチレングリコール 3.0
・水溶性コラーゲン 0.1
・ローヤルゼリーエキス 0.1
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
・塩化Ca 1.0
・クエン酸 1.0
・クエン酸ナトリウム 適量
・精製水 残量
上記の組成中、*1〜*4にて示す各顔料としては、下記の顔料を使用した。(以降の実施例も同様である。)
*1:HNB RED7(大東化成(株)製)
*2:OTS−2 SERICITE PSE及びOTS−2 TALK JA−46R(いずれも大東化成(株)製)を7:3の割合で混合したもの
*3 OTS−2 TiO2 CR−50とOTS−2 YELLOW LLXLOとOTS−2 RED R−516L及びOTS−2 BLACK BL−100(いずれも大東化成(株)製)を78:19:1:2の割合で混合したもの
*4 ロナフレアバランスゴールド及びロナフレアバランスレッド(いずれもMERCK社製)を1:1の割合で混合したもの
[実施例6:サンスクリーン剤]
下記組成を有するサンスクリーン剤を常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・アクリレーツクロスポリマー−2−Na 0.75
・シクロペンタシロキサン 20.0
・ジメチコン 10.0
・ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.0
・PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.0
・KSG−15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーのシクロペンタシロキサン膨潤物、クロスポリマー5質量%含有、信越化学工業(株)) 2.0
・HXMT−100ZA(テイカ社、平均一次粒径15nm) 12.0
・セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
・グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
・リン酸−L−アスコルビルマグネシウム 0.1
・オキアミ抽出物 0.5
・水溶性コラーゲン 1.0
・クエン酸 0.7
・クエン酸ナトリウム 適量
・トコフェロール 0.5
・色材顔料*3 5.0
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
・香料 微量
・パラオキシ安息香酸メチル 0.15
・精製水 残量
[実施例7:化粧下地]
下記組成を有する化粧下地を常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・アクリレーツクロスポリマー−2−Na 0.75
・ジメチコン 4.0
・シクロペンタシロキサン 8.0
・KSG−210(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマーのジメチコン膨潤物、クロスポリマー30質量%含有、信越化学工業(株)) 2.0
・KSG−15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーのシクロペンタシロキサン膨潤物、クロスポリマー5質量%含有、信越化学工業(株)) 2.0
・PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.3
・ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.5
・疎水化表面処理酸化チタン(HXMT−100ZA、テイカ(株))4.5
・複合粉体顔料*1 0.01
・体質顔料*2 2.0
・色材顔料*3 5.0
・塩化ナトリウム 1.0
・エタノール 1.0
・グリセリン 3.0
・フェノキシエタノール 0.5
・PEG−6 1.0
・PEG−32 1.0
・シロキクラゲ多糖体 0.02
・微粒子酸化チタン分散物(GT−10W2、微粒子酸化チタンを50質量%含有、堺化学工業(株)) 0.5
・アスタキサンチン含有乳化組成物 0.1
・セラミド分散組成物 0.1
・水 残余
実施例7に用いたアスタキサンチン乳化組成物及びセラミド分散組成物の詳細を、以下に記載する。
<アスタキサンチン含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物Aを得た。
・ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ、リョートーシュガーエステル S−1670) : 3.3g
・モノオレイン酸デカグリセリル(日光ケミカルズ、NIKKOL(登録商標) Decaglyn1−OV) : 6.7g
・グリセリン(アルコール) : 45.0g
・純水 : 30.0g
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物Aを得た。
・ヘマトコッカス藻抽出物(富士フイルム、ASTOTS−S、アスタキサンチン含有率:20質量%) : 3.76g
・ミックストコフェロール(理研ビタミン、理研Eオイル800) : 0.96g
・ココナッツ油(花王、ココナードMT) : 5.69g
・レシチン(理研ビタミン、レシオンP) : 1.0g
・パルミチン酸レチノール含有油(理研ビタミン、理研Aパルミテート1000(E)、パルミチン酸レチノール含有率:55%) : 3.6g
上記で得られた水相組成物Aを70℃に保ったままホモジナイザー(機種名:HP93、(株)エスエムテー社)で攪拌し(10000rpm)、水相組成物Aへ油相組成物Aを添加して予備乳化物を得た。
続いて、得られた予備乳化物を約40℃まで冷却し、スターバーストミニHJP−25001((株)スギノマシン)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化を行った。高圧乳化後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン含有乳化組成物を調製した。
得られたアスタキサンチン含有乳化組成物をミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、48.9nmであった。
なお、ミリQ水とは、メルク(株)の超純水製造装置であるミリQ水製造装置による得られる超純水である。
<セラミド分散組成物の調製>
下記の成分を室温にて1時間攪拌し、油相組成物Bを調製した
・セラミド3〔セラミド化合物〕 : 0.1g
・セラミド6〔セラミド化合物〕 : 0.1g
・フィトスフィンゴシン : 0.07g
・エタノール〔水溶性有機溶媒〕 : 150g
・1mol/L塩酸(分散直後のpHが7以下になるように調整)
得られた油相組成物Bと水とを、1:7の比率(質量比)で、衝突型であるKM型マイクロミキサー100/100を用いてミクロ混合して、セラミド分散組成物を得た。
なお、マイクロミキサーの使用条件は、下記の通りである。
−マイクロチャンネル−
油相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/70μm/100μm/10mm
水相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/490μm/100μm/10mm−流量− 外環に水を21.0ml/min.の流量で導入し、内環に油相組成物Bを3.0ml/min.の流量で導入してミクロ混合し、プレ乳化物を得た。
得られたプレ乳化物を、大川原製作所 エバポール(CEP−lab)を使用し、エタノール濃度が0.1%以下になるまで、脱溶媒し、乳化物濃度が2.0%になるように濃縮、調整し、セラミド分散組成物を得た。ここで言う乳化物濃度とは、油相に添加された固形分の総計を基準とした濃度である。

Claims (6)

  1. シリコーン油を含む油剤、親水性−親油性バランス値6未満の変性シリコーン界面活性剤、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線防止剤、油中水型化粧料の全量に対して0質量%を超え5質量%以下の吸水性ポリマー、並びに、水を含有する、油中水型化粧料。
  2. さらに、着色顔料、白色顔料、パール顔料及び体質顔料からなる群から選択される少なくとも1種の無機顔料を含有する、請求項1に記載の油中水型化粧料。
  3. 紫外線防止剤の含有率が、油中水型化粧料の全量に対して、3質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の油中水型化粧料。
  4. 吸水性ポリマーが、架橋ポリアクリル酸ナトリウム及び一部架橋されたカルボマー又はその塩から選択される少なくとも1種のポリマーである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
  5. 紫外線防止剤が、酸化チタンと紫外線吸収剤との複合粉体である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
  6. シリコーン油を含む油剤が、シリコーン油を油剤の全量に対して60質量%以上含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
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