JP2019038694A - 搬送ベルト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】布帛を含む第1芯体と、搬送面を形成し、かつ熱可塑性オレフィン系ポリマーを含む外周カバー層との間に、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含む第1接着層を介在させて搬送ベルトを作製する。前記第1芯体は、熱可塑性非晶質ポリマーをさらに含んでいてもよい。前記第1接着層において、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとの質量割合は、前者/後者=80/20〜20/80程度であってもよい。前記外周カバー層の平均厚みは0.05〜1mmであってもよい。前記第1接着層の平均厚みは0.05〜1mm程度であってもよい。
【選択図】なし
Description
本発明の搬送ベルトは、布帛を含む芯体と、熱可塑性オレフィン系ポリマーを含む外周カバー層との間に、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含む接着層が介在した三層構造を有していればよく、この三層に加えて、さらに他の芯体や内周カバー層などを有していてもよい。
第1接着層は、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含む。本発明では、第1接着層が、このようなポリマーアロイを含むことにより、異種の材質で形成された第1芯体と外周カバー層とを強固に接着できるとともに、カバー層のクラック発生を抑制できる。さらに、クラックの発生を抑制できるため、搬送ベルトの適用範囲(高張力、小プーリ径)が広がる。これに対して、従来の搬送ベルトでは、カバー層に不均一な応力が作用してクラックが発生し易い。本発明の搬送ベルトにおいて、カバー層のクラックが抑制できるメカニズムは、次のように推定できる。すなわち、本発明の搬送ベルトでは、カバー層が略平坦な接着層の上に積層されるため、帆布などの布帛表面の凹凸の影響をあまり受けず、材質的にクラックの発生しやすいポリオレフィン系材料でカバー層を形成しても、クラックの発生が抑制されると推定できる。さらに、前記ポリマーアロイは、柔軟性と機械的強度とを両立できるためか、布帛表面の凹凸形状に追従しつつ、接着層自身のクラック発生も抑制できる。
熱可塑性オレフィン系ポリマーは、オレフィン系樹脂であってもよく、オレフィン系エラストマーであってもよい。
熱可塑性非晶質ポリマーとしては、例えば、熱可塑性スチレン系ポリマー、熱可塑性塩化ビニル系ポリマー、熱可塑性(メタ)アクリル系ポリマー、熱可塑性ウレタン系ポリマーなどが挙げられる。これらの非晶質ポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、熱可塑性塩化ビニル系ポリマー、熱可塑性ウレタン系ポリマーが好ましく、熱可塑性ウレタン系ポリマー(熱可塑性ウレタン系エラストマー)が特に好ましい。
熱可塑性スチレン系ポリマーは、スチレン系樹脂であってもよく、スチレン系エラストマーであってもよい。
熱可塑性塩化ビニル系ポリマーは、塩化ビニル系樹脂であってもよく、塩化ビニル系エラストマーであってもよい。
熱可塑性(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸イソボルニル共重合体などが挙げられる。これらの熱可塑性(メタ)アクリル系ポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルなどが汎用される。
熱可塑性ウレタン系ポリマーは、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させて得られたポリウレタンであってもよい。
第1接着層の熱可塑性オレフィン系ポリマーと第1接着層の熱可塑性非晶質ポリマーとの質量割合は、例えば、前者/後者=80/20〜20/80、好ましくは78/22〜30/70(例えば75/25〜50/50)、さらに好ましくは73/27〜60/40(特に72/28〜65/35)程度である。熱可塑性オレフィン系ポリマーの割合が少なすぎると、芯体との接着性が向上するものの、外周カバー層との接着性が低下する虞があり、逆に多すぎると、外周カバー層との接着性は向上するものの、芯体との接着性が低下する虞がある。特に、熱可塑性オレフィン系ポリマーの割合が多い方が耐クラック性の点から好ましく、熱可塑性オレフィン系ポリマーの割合は50質量%以上であってもよい。
第1芯体は、布帛を含んでいればよい。布帛(又は帆布)としては、搬送ベルトの芯体に慣用的に利用される布帛を利用でき、例えば、織布、編布などが挙げられる。これらの布帛のうち、強度や生産性などにも優れる点から、織布が好ましい。
外周カバー(保護)層は、熱可塑性オレフィン系ポリマーを含んでいればよい。本発明では、搬送ベルトの搬送面を形成する熱可塑性オレフィン系ポリマーを含むため、搬送ベルトの耐汚染性、非付着性(離型性)を向上でき、粘着し易い搬送物を効率よく搬送できる。
第2接着層は、熱可塑性非晶質ポリマーを含んでいればよい。第2接着層の熱可塑性非晶質ポリマーとしては、第1接着層の熱可塑性非晶質ポリマーとして例示された熱可塑性非晶質ポリマーを利用でき、好ましい態様も、第1接着層の熱可塑性非晶質ポリマーと同様である。
第3接着層は、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含んでいればよい。第3接着層の熱可塑性オレフィン系ポリマー及び熱可塑性非晶質ポリマーとしては、第1接着層の熱可塑性オレフィン系ポリマー及び熱可塑性非晶質ポリマーとして例示されたポリマーを利用でき、好ましい態様も同様である。また、第3接着層の特性も、好ましい態様も含め、第1接着層の特性と同様である。第3接着層は、通常、第1接着層と同一である。
本発明の搬送ベルトは、ラミネート法などの慣用の方法で製造でき、三層構造のベルトの場合、例えば、芯体の外周面側に第1接着層及び外周カバー層のシート状前駆体をラミネートする方法で製造してもよい。ラミネート法において、前記シート状前駆体は、溶融状態で芯体に積層して固化により接着してもよい。前記シート状前駆体を溶融させるための加熱温度は、ポリマーの種類に応じて選択できるが、例えば100℃以上であってもよく、好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃程度である。加熱の際には、加圧してもよく、圧力は、例えば0.1MPa以上、好ましくは0.1〜0.6MPa、さらに好ましくは0.2〜0.5MPa程度である。加熱時間は、例えば10秒以上であってもよく、例えば30秒〜10分、好ましくは1〜8分程度であってもよい。搬送ベルトが五層以上の多層構造であっても、芯体の内周面に対して、同様のラミネート法により、各層を形成できる。
(外周カバー層)
LLDPE:密度0.9g/cm3、メルトマスフローレイト(MFR)5.0g/10minの直鎖状低密度ポリエチレンで形成されたシート状前駆体
PP:密度0.9g/cm3のプロピレンホモポリマー
(芯体)
平織布:経糸がポリエステルスパン糸(20番手の原糸2本を撚糸した総繊度590dtexの糸、糸密度:78本/5cm)であり、緯糸がポリエステルモノフィラメント糸(総繊度660dtex、糸密度:68本/5cm)である帆布
樹脂成分:ポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマー、硬度85度(JIS−A)、溶融粘度5000Pa・s
硬化剤:ポリイソシアネート組成物
溶剤:メチルエチルケトンとシクロヘキサンとテトラヒドロフランとの混合溶剤(メチルエチルケトン/シクロヘキサン/テトラヒドロフラン=15/45/40(質量比))
(接着層)
前記LLDPEと前記ポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマーとを所定の割合で混合して形成されたシート状前駆体。
JIS K7210(1999)に従い、温度190℃、荷重21.18N、ダイ形状φ2.095×8mmで測定した。
JIS K7311(1995)に従い、温度180℃、荷重294N、ダイ形状φ1×1mmで測定した。
外周カバー層及び接着層の平均厚みは、走査型電子顕微鏡を用いて、搬送ベルトの断面を観察し、任意の3箇所における厚みの平均値を算出した。
実施例1〜3及び比較例1で得られた搬送ベルトを切断して25mm幅×150mm長さの試験片とし、剥離角度180°、剥離速度50mm/分で23℃雰囲気下における各層間の接着力を測定した。詳しくは、実施例で得られた三層構造の搬送ベルトについては、図7に示すように、外周カバー層と接着層との間の界面A、接着層と芯体との間の界面Bの接着力を測定し、比較例で得られた二層構造の搬送ベルトについては、図8に示すように、芯体と外周カバー層の間との界面Cの接着力を測定した。
実施例1〜3及び比較例1で得られた搬送ベルトの両端部をジグザグ形状(電光形状)に形成した。得られた両端部を互いに突き合わせて、その接合部を覆うようにカバー層を形成するためのシート状前駆体と同一のシート(幅100mm、長さ約50mm)を補強層として被せた後、熱融着により接合して、ベルト本体部と補強層で補強された接合部とで形成され、幅100mm、長さ1500mmの無端状の搬送ベルトを作製した。
樹脂成分及び硬化剤を含む液状組成物(固形分濃度:25質量%)中に平織布を30秒間浸漬して取り出した後、120℃で5分間加熱乾燥して溶媒を除去し、芯体を得た。この芯体帆布の表面には、接着剤が付着していた。次に、芯体の上に、LLDPEとポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマー(TPU)とのポリマーアロイ(LLDPE:TPU=30:70(質量比))のシート状前駆体とLLDPEのシート状前駆体をこの順に積層し、プレス機を用いて、150℃、0.3MPaで5分間加熱プレスし、シート状前駆体を溶融させた後、冷却して固化し、搬送ベルトを得た。外周カバー層の平均厚みは0.15mm、接着層の平均厚みは0.2mmであった。
LLDPEとポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマーとの質量比をLLDPE:TPU=50:50とした以外は実施例1と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEとポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマーとの質量比をLLDPE:TPU=70:30とした以外は実施例1と同様にして搬送ベルトを作製した。
外周カバー層の材質として、LLDPEに替えてPPを用いること以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEのシート状前駆体の厚みを厚くして、外周カバー層の平均厚みを0.5mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEのシート状前駆体の厚みを厚くして、外周カバー層の平均厚みを0.8mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEのシート状前駆体の厚みを厚くして、外周カバー層の平均厚みを1.1mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEとTPUとのポリマーアロイのシート状前駆体の厚みを厚くして、接着層の平均厚みを0.5mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEとTPUとのポリマーアロイのシート状前駆体の厚みを厚くして、接着層の平均厚みを0.8mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEとTPUとのポリマーアロイのシート状前駆体の厚みを厚くして、接着層の平均厚みを1.1mmとした以外は実施例3と同様にして搬送ベルトを作製した。
LLDPEとポリエーテル型ポリウレタン熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイを用いずに、接着剤が付着した芯体帆布の上に、LLDPEのシート状前駆体を積層した以外は実施例1と同様にして搬送ベルトを作製した。外周カバー層の平均厚みは0.15mmであった。
LLDPEのシート状前駆体の厚みを厚くして、外周カバー層の平均厚みを0.35mmとした以外は比較例1と同様にして搬送ベルトを作製した。
2…第1接着層
3…外周カバー層
4…第2接着層
5…第2芯体
6…第3接着層
7…内周カバー層
Claims (8)
- 布帛を含む第1芯体と、この第1芯体の外周面側に積層された第1接着層と、この第1接着層の上に積層され、かつ搬送面を形成する外周カバー層とを含む搬送ベルトであって、前記第1接着層が、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含み、かつ前記外周カバー層が、熱可塑性オレフィン系ポリマーを含む搬送ベルト。
- 第1接着層の熱可塑性非晶質ポリマーが、熱可塑性スチレン系ポリマー、熱可塑性塩化ビニル系ポリマー、熱可塑性(メタ)アクリル系ポリマー及び熱可塑性ウレタン系ポリマーからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1記載の搬送ベルト。
- 外周カバー層及び第1接着層の熱可塑性オレフィン系ポリマーが、ポリエチレン系樹脂を含む請求項1又は2記載の搬送ベルト。
- 第1芯体が、熱可塑性非晶質ポリマーをさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の搬送ベルト。
- 第1接着層において、熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとの質量割合が、前者/後者=80/20〜20/80である請求項1〜4のいずれかに記載の搬送ベルト。
- 外周カバー層の平均厚みが0.05〜1mmであり、かつ第1接着層の平均厚みが0.05〜1mmである請求項1〜5のいずれかに記載の搬送ベルト。
- 第1芯体の内周面側に積層され、かつ熱可塑性非晶質ポリマーを含む第2接着層と、この第2接着層の上に積層され、かつ布帛を含む第2芯体とをさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の搬送ベルト。
- 第1芯体の内周面側に積層され、かつ熱可塑性オレフィン系ポリマーと熱可塑性非晶質ポリマーとのポリマーアロイを含む第3接着層と、この第3接着層の上に積層され、かつ熱可塑性オレフィン系ポリマーを含む内周カバー層とをさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の搬送ベルト。
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CN113635645A (zh) * | 2021-08-02 | 2021-11-12 | 江阴市斯强传动科技有限公司 | 一种超纤弹性带及其制造方法 |
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