JP2019035650A - 試料作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料における、評価対象の供試材のうちの観察対象の箇所の位置及び薄膜化させる位置を高い精度で制御することができるようにする。【解決手段】供試材に対するビッカース硬さの測定が行われて相互に平行な二列状の点線a,b上に並ぶ複数の測定圧痕が供試材の表面に形成され、これら複数の測定圧痕のうち観察対象箇所に対応して二列のそれぞれから選択される測定圧痕が参照されて一対の目印圧痕が供試材の表面に形成され、当該一対の目印圧痕を含む試料が供試材から採取され、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点Cを中心として球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、試料作製方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料の作製に用いて好適な技術に関する。
火力発電分野においては、超々臨界圧プラント用高クロム鋼製配管のクリープ余寿命評価法の開発が最重要課題の一つとして挙げられる。高クロム鋼実機廃却材に関するこれまでの系統的な試験・分析結果から、高クロム鋼のクリープ特性は発電所や配管ごとに大きく異なることが明らかとなっている。このクリープ特性の差異は材料の微視組織に起因しており、高クロム鋼の場合は主に、M236(MはFe,Cr),MX(MはV,Nb;XはC,N),Laves相,Z相などの微細析出物の量に依存すると考えられる。
微細析出物の評価には、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope の略)(特許文献1)や、分析感度を向上させた収差補正TEM(特許文献2)が用いられ得る。
特開平9−134694号公報 特開2009−245841号公報
しかしながら、透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料内において、評価対象の供試材(即ち、試料が採取されるもとの部材や部品など)のうち観察対象として選定・指定された箇所が的確に薄膜化されていないと、適当な観察を行うことができないという問題がある。
このため、試料内における観察対象の箇所の位置及び薄膜化させる位置を適確に制御し得るような、透過型電子顕微鏡による観察に適した試料の作製の手法を確立することが望まれる。
そこで、本発明は、透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料における、評価対象の供試材のうちの観察対象の箇所の位置及び薄膜化させる位置を高い精度で制御することができる試料作製方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の試料作製方法は、供試材に対するビッカース硬さの測定が行われて相互に平行な二列状に並ぶ複数の測定圧痕が供試材の表面に形成され、これら複数の測定圧痕のうち観察対象箇所に対応して二列のそれぞれから選択される測定圧痕が参照されて一対の目印圧痕が供試材の表面に形成され、当該一対の目印圧痕を含む試料が供試材から採取され、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点を中心として球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うようにしている。
したがって、この試料作製方法によると、ビッカース硬さの測定の際に形成される圧痕を試料加工時の位置合わせの目印に利用するようにしているので、例えばビッカース硬さの測定結果も踏まえた上で選定される供試材における(延いては試料における)観察対象箇所の位置が正確に特定され把握される。
この試料作製方法によると、また、球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うようにしているので、凹み部分が優先的に研磨されることになり、観察対象箇所の位置が優先的に薄膜化される。
また、本発明の試料作製方法は、周縁部の一部が欠けた形状で試料が供試材から採取されるようにしても良い。この場合には、一部欠けた部分の位置を基準として、採取された試料がもとの供試材においてどのような向きで含まれていたかが特定され把握される。
また、本発明の試料作製方法は、供試材が高クロム鋼であるようにしても良い。この場合には、高クロム鋼が分析・評価対象である場合の透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料の作製において上述の作用が奏される。
本発明の試料作製方法によれば、供試材/試料における観察対象箇所の位置を正確に特定し把握することができるので、観察対象として狙った箇所を高い精度で試料として切り出して採取したり薄膜化させたりすることが可能になり、延いては試料作製手法としての有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
本発明の試料作製方法によれば、また、観察対象箇所の位置を優先的に薄膜化させることができるので、観察対象として狙った箇所を確実に薄膜化させることが可能になり、延いては試料作製手法としての有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
本発明の試料作製方法は、試料の周縁部の一部が欠けているようにした場合には、採取された試料がもとの供試材においてどのような向きで含まれていたかを特定し把握することができるので、もとの供試材と試料との配置関係が明確になって分析・評価に際して試料の属性について詳細で正確な情報を提供することが可能になり、延いては試料作製手法としての有用性を一層向上させることが可能になる。
本発明の試料作製方法は、供試材が高クロム鋼であるようにした場合には、高クロム鋼が分析・評価対象である場合の透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料の作製において上述の作用効果を奏することが可能になる。
本発明に係る試料作製方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。 供試材としての実機使用された9Cr鋼溶接鋼直管(9Cr鋼溶接継手)を示す図である。 ビッカース硬さの測定点と座標管理のための基準点とを説明する模式図である。 供試材としての実機使用された9Cr鋼溶接鋼直管(9Cr鋼溶接継手)のビッカース硬さの分布を示す図である。 ビッカース硬さの測定における測定圧痕の列(相互に平行な二列)とそれらの外側に形成された目印圧痕を示す図である。 試料の打ち抜きの態様(言い換えると、試料として打ち抜く範囲に纏わる条件)を説明する図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図6に、本発明に係る試料作製方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態の試料作製方法は、供試材に対するビッカース硬さの測定が行われて相互に平行な二列状の点線a,b上に並ぶ複数の測定圧痕が供試材の表面に形成され、これら複数の測定圧痕のうち観察対象箇所に対応して二列のそれぞれから選択される測定圧痕が参照されて一対の目印圧痕が供試材の表面に形成され、当該一対の目印圧痕を含む試料が供試材から採取され、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点Cを中心として球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うようにしている。
本発明が適用されて作製される試料の材質としては、金属が対象になり、具体的には例えば高クロム鋼が対象になり得る。なお、高クロム鋼は、9〜12%程度のクロムを含んだ鉄−クロム合金にモリブデン,ニオブ,バナジウムなどを添加することによってクリープ強度を向上させたマルテンサイト耐熱鋼である。
本発明に係る試料作製方法の手順としては、まず、供試材の加工が行われる(S1)。
具体的には、分析・評価の対象物としての例えば建物等の建築構造物,プラント等の機械構造物,車両等の製品,或いは配管等の構成部材や部品などから、供試材が、部材や部品の全体として取り外されたり、部材や部品のうちの一部として切り出されたりする。なお、取り外されたり切り出されたりした供試材から、透過型電子顕微鏡による観察に実際に用いられる試料が採取される。すなわち、供試材は、観察に実際に用いられる試料が採取されるもとの部材や部品或いはそれらの一部である。
そして、取り外されたり切り出されたりした供試材が、必要に応じ、例えば以降の作業がし易いように適当な大きさ(具体的には例えば、縦,横,及び厚さがそれぞれ10 mm から数10 mm 程度)に切断されたり、表面が研磨されたりする。
研磨の手法や手順は、特定の種類や順序に限定されるものではないものの、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、以下の内容で行われることが考えられる。
1)SiC製耐水研磨紙が用いられて、スタート時の番手として600番が目安とされて2400番まで順次大きくされながら研磨される。若い番手の選択は加工スピードとそのとき導入されるひずみをその後除去する作業量とのトレードオフから決定される。
2)直径3 μm のダイヤモンドスプレー、続いて直径1 μm のダイヤモンドスプレーが使われて研磨される。
3)シリカ(直径0.04 μm)が用いられて鏡面研磨が行われる。
本実施形態では、実機使用された9Cr鋼溶接鋼直管(別言すると、9Cr鋼溶接継手)から供試材が切り出されて採取される。なお、9Cr鋼は、Crを9 wt% 含む高クロム鋼である。
9Cr鋼溶接鋼直管は、具体的には、蒸気温度602℃,内圧5.3 MPa,累積運転時間11万7千時間に亙って実機において経年使用されたものであり、管の肉厚が43 mm 且つ外径が863.6 mm であるとともに、長手溶接を有する。
本実施形態における、9Cr鋼溶接鋼直管から切り出されて採取された供試材の溶接部断面(尚、縦45 mm,横20 mm,及び厚さ10 mm である)を図2に示す。図2において、符号BMは母材を、符号HAZは溶接熱影響部を、符号WMは溶接金属をそれぞれ表す。図2から、溶接熱影響部HAZの幅は約3 mm であることが確認される。
なお、9Cr鋼溶接鋼直管から採取された供試材について上述の1)乃至3)と同様の研磨が行われた後に研磨面をナイタールでエッチングして光学顕微鏡で観察すると、溶接継手の各部位が視認できるようになる。
次に、ビッカース硬さの測定が行われる(S2)。
ビッカース硬さの測定は、具体的には例えば、あくまで一例としては、荷重300 g,保持時間10秒,測定間隔0.2 mm を測定条件とし、溶接継手部(特に、溶接熱影響部HAZ)を横断するようにして直線的に行われる。
ここで、観察用の試料の加工においては、圧痕部の組織は塑性変形によって変化しているため、圧痕部(言い換えると、塑性変形によって組織が変化している箇所)を避けて薄膜化する必要がある。
薄膜候補地点(箇所)とビッカース硬さの測定点群との関係を図3を用いて説明する。図3において「中心」が付されて示される箇所が薄膜候補地点であるとする。図3では、母材BMの領域から溶接金属WMの領域へと移り変わる方向(言い換えると、母材BMの領域と溶接金属WMの領域との境界と交差する方向)をX軸方向とし、当該X軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
ビッカース硬さの測定は、薄膜候補地点(即ち、「中心」が付されて示される箇所)を挟むようにして当該薄膜候補地点からY軸方向の正(+)の向きに1 mm ずらした位置及びY軸方向の負の向きに1 mm ずらした位置のそれぞれで、X軸方向に沿って行われる。つまり、ビッカース硬さの測定は、薄膜候補地点を中央に挟む、相互の間隔が2 mm の二本の平行な直線上に於いて行われる(図3中の点線a,b)。
ビッカース硬さの測定によって形成される圧痕のことを「測定圧痕」と呼ぶ。測定圧痕は、図3中の二本の点線a,bのように、相互に平行な二列状に並んで複数個形成される。
次に、目印圧痕の形成が行われる(S3)。
具体的には、まず、ビッカース硬さの測定結果も踏まえ、供試材のうち透過型電子顕微鏡によって観察する箇所(「観察対象箇所」と呼ぶ)が選定される。
本実施形態では、観察対象箇所として供試材のうち溶接継手部に於ける(別言すると、肉厚中央部の)最軟化点が選定されるものとする。
図3中の二本の点線a,bのそれぞれに沿って測定された溶接継手部の硬さ分布を図4に示す。図の凡例について、「1 mm 下」は薄膜候補地点からY軸方向の負の向きに1 mm ずらした位置のことであって図3中の点線b上で計測されたデータであることを表し、「1 mm 上」は薄膜候補地点からY軸方向の正(+)の向きに1 mm ずらした位置のことであって図3中の点線a上で計測されたデータであることを表す。
図4から、母材BMの硬さは約190 Hv であり、溶接金属WMの硬さは200 Hv 前後であることが確認されるとともに、溶接熱影響部HAZの最軟化部では168 Hv である(図4中の矢印の位置)ことが確認される。
ビッカース硬さの測定により、相互に平行な二列状に並んだ、図3中の点線a上の各測定圧痕位置に於ける硬さと点線b上の各測定圧痕位置に於ける硬さとが把握されるので、これら点線a上に於ける硬さと点線b上に於ける硬さとの組み合わせに基づいて点線aと点線bとの間の各位置に於ける硬さが把握され得る。
具体的には例えば、点線a上の各測定圧痕位置に於ける硬さと点線b上の各測定圧痕位置に於ける硬さとの平均値を各測定圧痕同士の中間位置に於ける硬さとすることが考えられる。なお、点線aと点線bとの間の硬さを把握する際に、Y軸方向において相互に正面で対向する(即ち、X軸に関する座標が同じである)点線a上の測定圧痕と点線b上の測定圧痕とが組み合わされるようにしても良く、或いは、Y軸方向において相互の正面からずれた位置の(即ち、X軸に関する座標が異なる)点線a上の測定圧痕と点線b上の測定圧痕とが組み合わされるようにしても良い。
点線a上の測定圧痕と点線b上の測定圧痕との組み合わせを工夫することにより、硬さの程度が異なる試料が作製され、硬さの程度と微視組織/微細析出物の態様との間の関係を把握し分析することが可能になる。
そして、図3に示す二本の点線aと点線bとの間の領域を薄膜化することにより、ビッカース硬さの測定点(即ち、測定圧痕)毎の硬さの値に対応した観察用の試料が得られることになる。
なお、点線a上の各測定圧痕位置に於ける硬さのデータと点線b上の各測定圧痕位置に於ける硬さのデータとの全てを一群のデータとして捉え、全てのデータのうちで硬さが最も低い測定点に着目したり硬さが最も高い測定点に着目したりするようにしても良い。
本実施形態では、ビッカース硬さの測定結果に基づく観察対象箇所としての溶接継手部に於ける(別言すると、肉厚中央部の)最軟化点として、硬さが最も低くなった点線b上の測定点(即ち、図4中の矢印の位置の測定点(測定圧痕))が特定され、当該測定圧痕と、当該測定圧痕とY軸方向において向かい合う測定圧痕とのそれぞれの外側に目印としての圧痕(「目印圧痕」と呼ぶ)が形成される。
測定圧痕の「外側」とは、図3に示す例で説明すると、二本の点線aと点線bとの間の領域ではない、点線a,bのそれぞれにとっての相手側の点線b,aと向かい合う反対側の領域のことである。
具体的には、図5に示す例において、点線a上及び点線b上のそれぞれの測定圧痕のうちの左から14点目の測定圧痕それぞれの外側に一対の目印圧痕が形成される(図5の下図中に矢印で示す位置)。
次に、試料の打ち抜きが行われる(S4)。
具体的には、必要に応じて供試材がさらに切断されたり研磨されたりした上で、当該供試材から薄板状の試料が採取される。
まず、供試材が、例えばワイヤカットにより、板状に切断される。
板状に切断されたのちの供試材の厚さは、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば以降の処理では透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料の最終的な厚さへと研磨によって加工することが考慮されるなどした上で、適当な寸法に適宜調節される。供試材は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、厚さが0.5 mm になるように切断される。
ここで、ビッカース硬さの測定によって形成された測定圧痕のそれぞれは、供試材の特定部位(図3に示す例では、原点並びに丸1乃至丸3)を基準として位置座標が管理される。
これにより、供試材が板状に切断された状態でも、板状の供試材のそれぞれにおいて各測定圧痕や一対の目印圧痕の位置が特定され得る。なお、図3に示す例では、供試材は、X軸及びY軸を含む平面(別言すると、X−Y平面)と平行な面に沿って板状に切断される。
図3に示す例のように、薄膜候補地点である「中心」が付されて示される箇所の座標を精度良く把握するため、図中の丸4乃至丸7(具体的には例えば、点線a上において適当に離間した二つの測定圧痕(丸4及び丸5)と点線b上において適当に離間した二つの測定圧痕(丸6及び丸7))それぞれの位置座標が管理されて利用されるようにしても良い。これにより、例えば、測定圧痕の二列(即ち、点線aと点線b)の相互の位置関係・配置関係や、原点と丸3とを結ぶ方向に対する点線aと点線bとのそれぞれの角度(別言すると、傾き)のような供試材における二列の配置状況などを確認することができるようになる。
なお、切断された板状の供試材のそれぞれに対してビッカース硬さの測定が行われるようにしても良い。
切断された板状の供試材は、機械研磨によって加工ひずみの除去と薄板化とが行われ、厚さが例えば0.15 mm 以下の薄板へと加工される。
そして、薄板へと加工された供試材から、例えば打ち抜き機により、薄板状の試料が打ち抜かれる。
薄板状の試料が打ち抜かれる際に、打ち抜かれる範囲の(即ち、打ち抜かれる試料の)中央(若しくは、概ね中央)に一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点C(図5中の×印)が位置するように打ち抜く範囲の位置が調整される。
また、供試材から打ち抜かれる試料は、平面視(言い換えると、平板の板面視)において、円形を基本としつつ当該円形の一部が欠けた形状に形成される。
試料の平面視形状は、具体的には例えば、図6において「試料として打ち抜く範囲」として示される形状のように、円形の周縁部のうちの一部が切り取られた形状に形成され得る。なお、図6に示す例では、「試料として打ち抜く範囲」は直径3 mm の円形を基本としている。
試料の平面視形状は、打ち抜かれた試料のX軸方向やY軸方向(即ち、試料が打ち抜かれるもとの供試材についてのX軸方向やY軸方向)が特定できるものであれば、図6に示す例に限定されるものではなく、円形の周縁部に例えば楔形の切り欠きが形成されるようにしても良い。
試料のX軸方向及びY軸方向を特定するための、切り取られた円形の周縁部の一部や円形の周縁部に形成された切り欠きのことを「方向特定部」と呼ぶ。なお、方向特定部は、円形の周縁部に、一つのみ形成され設けられるようにしても良く、或いは、複数個形成され設けられるようにしても良い。
試料表面に付けられた測定圧痕及び目印圧痕と試料の周縁の一部に形成され設けられた方向特定部とにより、打ち抜かれた試料の表裏が区別され把握されるとともにX軸方向・Y軸方向が特定され把握される。
次に、球面状の凹みの形成が行われる(S5)。
この処理は、観察対象箇所が正確・確実に薄膜化されるように、次のS6の処理における電解研磨の前処理として行われる。
具体的には、例えばディンプルグラインダにより、試料の片面(即ち、表面と裏面とのうちのどちらか一方)の観察対象箇所の部分が厚み方向に例えば30 μm 程度研削され、球面状の凹みが形成される。
観察対象箇所の部分は、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点位置を中心とする一定の範囲のことである。例えば、図5や図6に示す例では、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点Cの位置(図中の×印)を中心とする直径2 mm 程度の円のことである。
ここで、S4の処理において試料とする部分が打ち抜かれる際に実際に打ち抜かれた範囲(即ち、実際に打ち抜かれた試料)の中央位置から観察対象箇所に相当する位置(即ち、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点Cの位置)が仮にずれていたとしても、例えばディンプルグラインダによる研削の際に研削位置が調節され、一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点Cの位置に基づいて観察対象箇所に相当する位置が研削されて前記観察対象箇所に相当する位置に頂点の位置が一致するように球面状の凹みが形成される。
なお、試料の表面に球面状の凹みを形成する手段や手法は、試料の表面に球面状の凹みを形成し得るものであれば、特定の装置や仕組みに限定されるものではなく、例えば試料の材質が考慮されるなどした上で適当な装置や仕組みが適宜選択される。具体的には例えば、上述したようにディンプルグラインダが用いられ得る。
次に、電解研磨が行われる(S6)。
この処理は、観察対象箇所を薄膜化するために行われる。
具体的には、例えばツインジェット電解研磨装置により、試料の両面(即ち、表面と裏面との両方)からどちらもそれぞれ厚み方向に例えば60 μm 程度研磨され、薄膜化される。
電解研磨では、上述のS5の処理において形成された球面状の凹み部分が優先的に研磨されて薄膜化される。
電解研磨は、例えば、電解液として主に過塩素酸と酢酸との混合溶液(例えば、過塩素酸15%,酢酸85%)が用いられ、電圧は20〜25 V,液温は5〜10 ℃ に調整された条件で行われ得る。
なお、測定圧痕や目印圧痕は、電解研磨時に試料をセットするホルダーの孔の外側になるようにすることにより、言い換えると、これら圧痕の形成部分が覆われるホルダーを用いることにより、少なくとも優先的には研磨されないようすることができる。
また、試料を電解研磨する手段や手法は、試料の表面に形成されている球面状の凹み部分を研磨し得るものであれば、特定の装置や仕組みに限定されるものではなく、例えば試料の材質が考慮されるなどした上で適当な装置や仕組みが適宜選択される。具体的には例えば、上述したようにツインジェット電解研磨装置が用いられ得る。
S6までの処理により、試料の観察対象箇所に直径が例えば50 μm 程度の孔が形成されると共に当該孔の周囲が0.10 μm 程度の厚さの薄膜になるように加工される。そして、薄膜化された部分が、透過型電子顕微鏡による観察おいて観察される。
なお、観察対象箇所に孔が形成されてしまうことを避けるため、S5の処理において、真の観察対象箇所の中心位置から例えば数10 μm 程度ずらした位置に球面状の凹みを形成するようにしても良い。
以上の処理により、本実施形態において観察・分析の対象とした供試材における最軟化部が薄膜化された、透過型電子顕微鏡による観察に用いられる試料が作製される。
以上のように構成された試料作製方法によれば、ビッカース硬さの測定の際に形成される圧痕を試料加工時の位置合わせの目印に利用するようにしているので、例えばビッカース硬さの測定結果も踏まえた上で選定される供試材における(延いては試料における)観察対象箇所の位置を正確に特定し把握することができる。このため、観察対象として狙った箇所を高い精度で試料として切り出して採取したり薄膜化させたりすることが可能になり、延いては試料作製手法としての有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
以上のように構成された試料作製方法によれば、また、球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うようにしているので、凹み部分が優先的に研磨されることになり、観察対象箇所の位置を優先的に薄膜化させることができる。このため、観察対象として狙った箇所を確実に薄膜化させることが可能になり、延いては試料作製手法としての有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では実機使用された9Cr鋼溶接鋼直管から供試材が採取されるようにしているが、本発明の適用対象は、9Cr鋼に限定されるものではなく、12Cr鋼などの他の高クロム鋼でも良く、さらに言えば、高クロム鋼に限定されるものではなく、透過型電子顕微鏡による観察の対象とされる種々の金属が対象になり得る。
また、上述の実施形態では供試材における最軟化部が観察対象箇所として薄膜化されるようにしているが、本発明が適用されて薄膜化される箇所は、供試材における最軟化部に限定されるものではなく、供試材のうちの透過型電子顕微鏡による観察・分析の対象として選定される種々の箇所・位置が対象になり得る。
また、上述の実施形態では周縁部の一部が欠けた形状で試料が供試材から採取されるようにしているが、本発明において試料の周縁部の一部が欠けていることは必須の要件では無く、試料の周縁部の一部が欠けていなくても良い。この場合でも、測定圧痕や目印圧痕によって試料の表裏を区別したり観察対象箇所の位置を特定したりすることはできる。
BM 母材
HAZ 溶接熱影響部
WM 溶接金属

Claims (3)

  1. 供試材に対するビッカース硬さの測定が行われて相互に平行な二列状に並ぶ複数の測定圧痕が前記供試材の表面に形成され、これら複数の測定圧痕のうち観察対象箇所に対応して前記二列のそれぞれから選択される前記測定圧痕が参照されて一対の目印圧痕が前記供試材の表面に形成され、当該一対の目印圧痕を含む試料が前記供試材から採取され、前記一対の目印圧痕同士を結ぶ線分の中点を中心として球面状の凹みを形成してから電解研磨を行うことを特徴とする試料作製方法。
  2. 周縁部の一部が欠けた形状で前記試料が前記供試材から採取されることを特徴とする請求項1記載の試料作製方法。
  3. 前記供試材が高クロム鋼であることを特徴とする請求項1または2記載の試料作製方法。
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