JP2019035465A - ハブユニット軸受 - Google Patents

ハブユニット軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2019035465A
JP2019035465A JP2017157092A JP2017157092A JP2019035465A JP 2019035465 A JP2019035465 A JP 2019035465A JP 2017157092 A JP2017157092 A JP 2017157092A JP 2017157092 A JP2017157092 A JP 2017157092A JP 2019035465 A JP2019035465 A JP 2019035465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer ring
diameter
raceway surface
small
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017157092A
Other languages
English (en)
Inventor
幸久 高山
Yukihisa Takayama
幸久 高山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2017157092A priority Critical patent/JP2019035465A/ja
Publication of JP2019035465A publication Critical patent/JP2019035465A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリの外輪部材からの脱落を抑制しつつ、保持器及び転動体をより適切に保護可能なハブユニット軸受を提供する。
【解決手段】外輪2は、外輪軌道面21の大径側の端部21bから外輪軌道面21の溝底径よりも径方向内側に突出することなく軸方向に延びる外輪小肩部231と、外輪小肩部231に形成され、外輪小肩部231より径方向外側に窪む溝部24とを有する。保持器5は、環状の小径部51と、環状の大径部52と、小径部51と大径部52との間を周方向に沿って互いに間隔を空けながら延びる複数の柱部53と、隣り合う柱部53同士の間に形成されてボール4を収容するポケット54とを有し、大径部52は、外周面から径方向外側に突出し、外輪2の溝部24内に少なくとも先端55aが収容される弾性変形可能な爪部55を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハブユニット軸受に関する。
従来、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを、外輪軌道面を有する外輪部材に組み込んだ後、内輪軌道面を有する内輪部材にさらに組み込むことで組み立てられるハブユニット軸受に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、外輪部材(外方部材)の内周面に、外輪軌道面の大径側の端部よりも軸方向外側で、各転動体の最外径部を結んだ仮想円よりも内径側へと突出する小肩部(カウンタ部)を形成し、小肩部に転動体を当接させることにより、サブアセンブリが外輪部材から脱落することを抑制する技術が開示されている。
特開2010−127323号公報
上記特許文献1に記載の構造では、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪部材に組み込む、組み込み作業が行われる。組み込み作業では、保持器に保持された状態の転動体が小肩部を乗り越えるように、保持器を内径側に弾性変形させながら、サブアセンブリを外輪部材の内側に挿入する。しかしながら、サブアセンブリの外輪部材への挿入に際して、保持器の変形に伴って保持器に損傷が生じたり、転動体が小肩部を乗り越える際に転動体に疵が生じたりする可能性がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリの外輪部材からの脱落を抑制しつつ、保持器及び転動体をより適切に保護可能なハブユニット軸受を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、内周面に外輪軌道面を有する外輪部材と、外周面に内輪軌道面を有する内輪部材と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、前記複数の転動体を転動自在に保持する保持器と、を備え、前記外輪部材は、前記外輪軌道面の大径側の端部から軸方向外側の端面に向けて、前記外輪軌道面溝底径よりも径方向内側に突出することなく軸方向に延びる円筒面と、前記円筒面より径方向外側に窪む環状の溝部と、を有し、前記保持器は、環状の小径部と、環状の大径部と、前記小径部と前記大径部との間を周方向に沿って互いに間隔を空けながら延びる複数の柱部と、隣り合う前記柱部同士の間に形成されて前記転動体を収容するポケットとを有し、前記大径部は、外周面から前記径方向外側に突出し、前記外輪部材の前記溝部内に少なくとも先端が収容される弾性変形可能な爪部を有することを特徴とする。
本発明にかかるハブユニット軸受は、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪部材に挿入する際に、保持器の爪部を外輪部材の円筒面によって弾性変形させ、爪部以外の保持器の変形を抑制しつつ、転動体が外輪部材の円筒面に接触することを抑制できる。また、サブアセンブリが外輪部材に組み込まれた状態においては、保持器の爪部の少なくとも先端が外輪部材の溝部内に収容されるため、爪部と溝部との干渉によりサブアセンブリの軸方向移動が規制される。その結果、サブアセンブリの外輪部材からの脱落を抑制できる。従って、本発明にかかるハブユニット軸受によれば、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリの外輪部材からの脱落が抑制され、保持器及び転動体がより適切に保護される。
また、前記爪部は、前記小径部側に向けて凸形に湾曲した形状であることが好ましい。
この構成によれば、爪部を容易に弾性変形させながら、サブアセンブリを外輪部材にスムースに挿入することができる。また、サブアセンブリを外輪部材に組み込んだ後には、爪部が溝部から外れることを抑制できるため、サブアセンブリの外輪部材からの脱落を、より良好に抑制できる。
また、前記溝部は、前記外輪軌道面と前記円筒面とを研削加工する際の逃げ溝であることが好ましい。
この構成によれば、溝部を研削加工時の逃げ溝と兼用することで、溝部を別途形成するための工程が必要なく、作業工数の増加を抑制できる。
また、前記転動体は、ボールであり、前記円筒面は、前記外輪軌道面の前記大径側の端部から延び、前記外輪軌道面溝底径と同径の外輪小肩部と、前記外輪小肩部から前記溝部を介して前記軸方向に前記端面まで延び、前記外輪小肩部より大径の外輪シール嵌合面とを有し、前記外輪小肩部は、前記溝部側の端部に面取り部を有し、前記外輪部材の前記端面から前記爪部の前記先端までの距離は、前記外輪軌道面の前記大径側の前記端部から前記面取り部までの距離よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、サブアセンブリを外輪部材に挿入する際、ボールが外輪小肩部に接触する前に、保持器の爪部の先端を外輪シール嵌合面に接触させることができる。従って、ボールと外輪との接触によりボールに疵が発生してしまうことを、より良好に抑制できる。
また、前記転動体は、ボールであり、前記ポケットの内径側開口部のうち、前記小径部から延びる軸方向延長部が、少なくとも前記ポケットの前記軸方向における中心と重なる位置まで形成されることが好ましい。
この構成によれば、ポケットの小径部から延びる内径側の開口部を軸方向において十分に長く確保することができるため、ボールがポケット内において内径側に移動することを抑制できる。その結果、サブアセンブリを外輪部材に組み込んだ後、内輪部材を組み込む際に、ボールがポケット内で内径側に移動することで内輪部材と干渉し、ボールに疵が発生してしまうことを、より良好に抑制できる。
本発明にかかるハブユニット軸受は、予め複数の転動体を保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリの外輪部材からの脱落が抑制され、保持器及び転動体がより適切に保護されるという効果を奏する。
図1は、第一実施形態にかかるハブユニット軸受を示す断面図である。 図2は、第一実施形態にかかるハブユニット軸受の要部を示す拡大断面図である。 図3は、第一実施形態において、予め複数のボールを保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪に組み込む様子を示す説明図である。 図4は、サブアセンブリを外輪に組み込む際の要部を示す説明図である。 図5は、サブアセンブリを外輪に組み込む際の比較例を模式的に示す説明図である。 図6は、サブアセンブリを外輪に組み込む際の比較例を模式的に示す説明図である。 図7は、第一実施形態において、サブアセンブリが組み込まれた外輪に、さらに、内輪を組み込む際の様子を示す説明図である。 図8は、第二実施形態にかかるハブユニット軸受を示す断面図である。 図9は、第二実施形態にかかるハブユニット軸受の要部を示す拡大断面図である。 図10は、第二実施形態において、予め複数の円錐ころを保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪に組み込む様子を示す説明図である。 図11は、第二実施形態において、サブアセンブリが組み込まれた外輪に、さらに、内輪を組み込む際の様子を示す説明図である。
以下に、本発明にかかるハブユニット軸受の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態にかかるハブユニット軸受を示す断面図であり、図2は、第一実施形態にかかるハブユニット軸受の要部を示す拡大断面図である。ハブユニット軸受1は、図示しない車両の車輪を回転可能に支持する装置である。ハブユニット軸受1は、図示しない車両の車輪と車両に備えられた懸架装置とに接続される。
ハブユニット軸受1は、図1に示すように、外輪(外輪部材)2と、2つの内輪(内輪部材)3と、複数のボール(転動体)4と、2つの保持器5と、2つのシール部材6と、を備える。また、本実施形態では、各ボール4を保持器5に収容したユニット化した状態をサブアセンブリ7という。第一実施形態において、ハブユニット軸受1は、共通な2つの内輪3の端面3a同士を突き合わせた状態でセットされ、予圧が付与され、1つの外輪2が2つの内輪3に対して共通となる背面組み合わせタイプ(DBタイプともいう)の複列式のアンギュラ玉軸受が形成されている。ハブユニット軸受1は、後述の外輪軌道面21とボール4と後述の内輪軌道面31とに接触角を持たせることにより、路面反力に起因するモーメント荷重への剛性を高めている。また、ボール4は、接触角を持って外輪軌道面21及び内輪軌道面31と接触することで、外径側の接触角方向の部分が外輪軌道面21と接し、内径側の接触角方向の部分が内輪軌道面31と接する。
以下の説明においては、ハブユニット軸受1の軸方向、すなわち一体に組み込まれた外輪2、内輪3、保持器5の軸方向(図1及び図2における左右方向)を「軸方向」と称する。また、ハブユニット軸受1の径方向、すなわち一体に組み込まれた外輪2、内輪3、保持器5の径方向(図1及び図2における上下方向)を「径方向」と称する。また、本実施形態において、ハブユニット軸受1は、軸方向における中央部を基準に対称の構造であるため、以下の説明においては、一方側の列における構造について説明する。
外輪2は、車輪または懸架装置のいずれか一方に接続される。外輪2は、車輪に接続される場合は、車輪と一体で回転し、懸架装置に接続される場合は回転しない。外輪2は、図2に示すように、内周面に、外輪軌道面21と、外輪肩部22と、外輪小肩部231と、外輪シール嵌合面232と、溝部24と、を有する。
外輪軌道面21は、ハブユニット軸受1の軸方向内側(軸方向の中央部側。図2における左側)の端部21aが、ハブユニット軸受1の軸方向外側(軸方向の中央部とは反対側。図2における右側)の端部21bよりも小径となる断面円弧の環形状である。外輪軌道面21は、断面円弧形状の曲率半径が、ボール4の直径BDの半分(半径)よりも若干大きな曲率半径となる。
外輪肩部22は、外輪軌道面21の端部21aよりも軸方向内側に形成され、端部21aと他方側の列の外輪軌道面21の端部21aとを接続する。
外輪小肩部231は、外輪軌道面21の端部21bから軸方向外側に延びる直径D1の円筒面である。外輪小肩部231は、端部21b側の端部が、断面円弧状の外輪軌道面21の端部21bの接線となる角度で繋がっている。つまり、外輪小肩部231は、外輪軌道面21の端部21bの径である外輪軌道面21の溝底径と同径となる。
外輪シール嵌合面232は、外輪小肩部231の軸方向外側に設けられている。外輪シール嵌合面232は、外輪小肩部231より大径である直径D2の円筒面である。外輪シール嵌合面232は、シール部材6が嵌合される。本実施形態において、外輪小肩部231及び外輪シール嵌合面232は、外輪軌道面21の溝底径よりも径方向内側に突出することはない。
溝部24は、外輪小肩部231と外輪シール嵌合面232との間に設けられている。溝部24は、底部径が直径D4であり、外輪シール嵌合面232より大径の環状溝である。本実施形態において、外輪軌道面21、外輪小肩部231及び外輪シール嵌合面232は、ダイヤモンドホイールで成形された総形砥石により一体研削することができる。外輪2は、前記研削時の逃げ溝として利用可能である。すなわち、溝部24を利用して砥石を被研削面からオーバーハングさせ、被研削面の端部に小端高と呼ばれる凸部が形成されることを防止できる。
また、外輪小肩部231は、軸方向外側の端部、つまり溝部24側の端部に面取り部231aが形成されている。面取り部231aを設けることで、保持器5に複数のボール4を保持させたサブアセンブリ7を外輪2に組み付ける際に玉疵が生じることを防止できる。面取り部231aの径方向寸法は、(D2−D1)/2以下を満たすように設定される。ここで、サブアセンブリ7の組み込み状態において、後述する保持器5に形成された爪部55の軸方向内側の端面と、外輪2の軸方向外側の端面までの長さをL2とし、外輪軌道面21の大径側の端部21bから面取り部231aまでの長さをL3とした場合、また、面取り部231aの軸方向寸法は、少なくとも、図2に示す長さL2が長さL3よりも大きいことを満たす範囲で設定される。
内輪3は、車輪または懸架装置のいずれか他方、つまり外輪2と接続されていない側の部材と接続される。内輪3は、車両に接続される場合は、車輪と一体に回転し、懸架装置と接続される場合は回転しない。内輪3は、外周面に、内輪軌道面31と、内輪小肩部32と、内輪肩部33と、環状溝321と、を有する。
内輪軌道面31は、軸方向内側の端部31aが軸方向外側の端部31bよりも小径となる断面円弧の環形状である。内輪軌道面31は、断面円弧形状の曲率半径が、ボール4の直径BDの半分(半径)よりも若干大きな曲率半径となる。内輪軌道面31は、ボール4を介して外輪軌道面21と対向する。
内輪小肩部32は、内輪軌道面31の端部31aから軸方向内側に延びる。内輪小肩部32の端面3a側の端部には、面取り部32aが設けられている。面取り部32aの径方向寸法は、ボール4の内接円径より小さい。また、環状溝321は、内輪小肩部32に形成され、ハブユニット軸受1の径方向内側に向けて窪んでいる。環状溝321は、軸方向外側の部分に傾斜部321aが形成されている。また、傾斜部321aの径方向外側の部分にも面取り部321bが形成されている。端面3aの面取り部32aと傾斜部321aの面取り部321bは、サブアセンブリ7が組み込まれた外輪2の内側に、内輪3を組み込む際に、玉疵が発生することを防止する。内輪肩部33は、内輪軌道面31の大径側の端部31bから軸方向外側に延び、シール部材6が嵌合される円筒面である。外輪2の外輪シール嵌合面232と内輪3の内輪肩部33の間には、図2に示すように、シール部材6が嵌合される。
複数のボール4は、図1及び図2に示すように、保持器5に収容された状態で外輪軌道面21と内輪軌道面31との間に転動自在に設けられる。複数のボール4は、外輪軌道面21と内輪軌道面31とに転動自在に当接する。
保持器5は、複数のボール4を転動自在に保持する。保持器5は、本実施形態において、樹脂製であり、アキシアルドロー方式の成形型を用いて射出成型される。保持器5は、各ボール4によって案内されて回転する、いわゆる転動体持たせ構造(転動体案内構造)の保持器である。保持器5は、図2に示すように、小径部51と、大径部52と、複数の柱部53と、複数のポケット54と、を有する。なお、図2においては、ポケット54の形状を示すために、ポケット54を実際よりも大きく記載している。
小径部51は、環状に形成される。小径部51は、図2に示すように、内周面から径方向内側に突出する凸部511を有する。凸部511は、小径部51の周方向に沿って、互いに間隔を空けて複数形成されている。凸部511は、サブアセンブリ7がハブユニット軸受1に組み込まれた状態で、内輪3の内輪小肩部32に形成された環状溝321内に、少なくとも先端が収容される。なお、凸部511は、小径部51の全周にわたって環状に形成されてもよい。
大径部52は、小径部51から軸方向に離れた位置に、環状に形成される。これにより、柱部53の小径部51とは反対側の端部が互いに連結されていない、いわゆる冠型の保持器に比べて、保持器5が変形しにくくなり、ボール4をポケット54内に保持する能力を向上させることができる。大径部52の内径は、小径部51の外径よりも大きく、これにより、保持器5のアキシアルドロー成形が可能となる。本実施形態において、大径部52は、図2に示すように、サブアセンブリ7がハブユニット軸受1に組み込まれた状態で、外輪2に形成された溝部24の近傍に位置する。
大径部52は、図2に示すように、外周面から径方向外側に突出する爪部55を有する。本実施形態において、爪部55は、大径部52の周方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて複数個形成されている。爪部55は、大径部52の外周面の柱部53と同位相に、柱部53と同じ数、または柱部53の約数個、形成することが好ましい。本実施形態において、爪部55は、大径部52の径方向外側に設けられている。これにより、保持器5をアキシアルドロー成形する場合に、爪部55が成形に悪影響を与えることを防ぐことができ、保持器5を容易に形成することができる。
爪部55は、図2に示すように、軸方向内側に凸となる弧状で、弾性変形可能に形成される。爪部55は、サブアセンブリ7がハブユニット軸受1に組み込まれた状態で、外輪2の溝部24内に、少なくとも先端55aが収容される位置、大きさに形成される。爪部55は、図2に示すように、サブアセンブリ7がハブユニット軸受1に組み込まれた状態で、各爪部55の先端55aの外接円径D3が、外輪2の外輪シール嵌合面232の直径D2よりも大きく、かつ、溝部24の直径D4よりも小さく形成される。サブアセンブリ7を外輪2へ組み込む際には、爪部55が、弦が縮まる方向に弾性変形して、外輪シール嵌合面232の内周面を通過し、爪部55の先端55aが溝部24内に収容されると、元の形状に戻り、ラチェットと同様の効果で、外輪2と保持器5との軸方向の相対移動が規制される。
複数の柱部53は、周方向に沿って互いに等間隔に配置された状態で、小径部51と大径部52との間に延びる。各柱部53は、ボール4を保持した保持器5がハブユニット軸受1に組み込まれた状態で、外輪2の内周面及び内輪3の外周面と干渉しないように、小径部51から大径部52まで延びる。
ポケット54は、隣り合う柱部53同士の間に形成されてボール4を転動自在に収容する。ポケット54は、小径部51、大径部52及び隣り合う柱部53により画成された窓部である。ポケット54は、少なくとも一部がボール4の半径に対して若干大きな曲率半径の球面形状に形成されている。
ポケット54は、保持器5の外径側及び内径側の双方で開口している。以下、ポケット54の外径側の開口を外径側開口部541とし、内径側の開口を内径側開口部542とする。ポケット54の外径側開口部541の直径は、ボール4の直径BDよりも若干小さくなっている。また、ポケット54は、外径側開口部541を弾性変形させることで、ポケット54の内部にボール4を挿入可能にしている。これにより、ポケット54は、ボール4を外径側開口部541から挿入可能にし、かつ、挿入したボール4が外径側開口部541から脱落しないようにしている。つまり、ボール4は、ポケット54にいわゆるパチン嵌めで嵌め込むことができる。
内径側開口部542は、サブアセンブリ7を外輪軌道面21に組み付けた後、ハブユニット軸受1を、中心軸を鉛直に置いたときのボール4の径方向の移動を抑制し、ボール4の内接円形をできる限り大きくするため、その寸法を小さくしている。具体的には、ポケット54の内径側開口部542のうち、小径部51から延びる軸方向延長部543を、図2に示す長さL1だけ設けている。長さL1は、小径部51から、ポケット54の軸方向における中心54aと重なる位置か、中心54aよりも、若干、軸方向外側で射出成型型が無理抜き可能な位置までの長さである。軸方向延長部543の小径部51とは反対側の端部における内径側開口部542の開口寸法は、ボール4の直径BDの50%から60%となる。軸方向延長部543によりボール4を覆うことで、ハブユニット軸受1を、中心軸を鉛直方向に沿って置いたときに、ボール4が内径側に移動することを抑制して、ボール4の内接円径ができる限り大きくなる状態を維持している。
次に、図3から図7を参照しながら、第一実施形態にかかるハブユニット軸受1の組み込み作業の手順について説明する。図3は、第一実施形態において、予め複数のボールを保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪に組み込む様子を示す説明図であり、図4は、サブアセンブリを外輪に組み込む際の要部を示す説明図であり、図5及び図6は、サブアセンブリを外輪に組み込む際の比較例を模式的に示す説明図であり、図7は、第一実施形態において、サブアセンブリが組み込まれた外輪に、さらに、内輪を組み込む際の様子を示す説明図である。
ハブユニット軸受1の組み込みに際して、まず、各ボール4が保持器5のポケット54内に収容されてユニット化されたサブアセンブリ7が構成される。より詳細には、ポケット54の外径側開口部541を介して、保持器5の外径側からボール4がポケット54内へと押圧されて挿入される。上述したように、外径側開口部541の直径は、ボール4の直径BDよりも若干小さくなっており、外径側開口部541を弾性変形させることで、ポケット54へのボール4の進入を可能にしつつ、挿入したボール4が外径側開口部541から脱落しないようにしている。
次に、図3に白抜矢印で示すように、外輪2の軸心2oが鉛直方向に沿った状態、かつ、サブアセンブリ7の軸心7o(保持器5の軸心)と外輪2の軸心2oとが一致した状態で、サブアセンブリ7が小径部51側から外輪2の内側へと挿入される。このとき、図4に示すように、ボール4の最外径部が外輪小肩部231の面取り部231aに到達する前に、保持器5の爪部55が外輪2の端面に接触する。これは、サブアセンブリ7の組み込み時における外輪2の端面から爪部55の先端55aまでの長さL2が、外輪軌道面21の端部21bから面取り部231aまでの長さL3よりも大きいためである。一方、比較例としての図5に示すように、長さL2が長さL3と同一である場合、ボール4の最外径部が外輪小肩部231に到達するタイミングと、爪部55の先端55aが外輪2の端面に接触するタイミングは、同一となる。さらに、比較例としての図6に示すように、長さL3が長さL2より大きい場合、ボール4の最外径部が外輪小肩部231に到達するタイミングが、爪部55の先端55aが外輪2の端面に接触するタイミングよりも早くなる。
外輪2は、外輪小肩部231及び外輪シール嵌合面232が外輪軌道面21よりも径方向内側に突出しない。また、爪部55が円周上に略均等配分に設けられている。さらに、ボール4が外輪小肩部231に接触を始める前に、爪部55が外輪シール嵌合面232に接触を始める。これにより、サブアセンブリ7は、外輪シール嵌合面232(及び外輪小肩部231)と同芯が保たれ、サブアセンブリ7の外輪2への挿入に際して、保持器5に保持されたボール4と、外輪2の外輪シール嵌合面232との接触や、外輪小肩部軸方向外側との衝突による、ボール疵の発生が抑制される。
上述したように、保持器5の複数の爪部55の先端55aを相互に結んだ外接円径D3は、外輪2の外輪シール嵌合面232の直径D2よりも大きい。そのため、サブアセンブリ7が外輪2の内側に挿入される際には、外輪2の外輪シール嵌合面232により爪部55の先端55aが押圧され、爪部55が弾性変形する。爪部55は、小径部51側、すなわちサブアセンブリ7の外輪2への挿入方向側に向けて凸形に湾曲した形状である。また、爪部55は、先端55aが外輪2の軸方向外側を向いている。爪部55は、外輪2への挿入方向側に向けて凸形に湾曲していることで、サブアセンブリ7を外輪2に挿入する際に、爪部55が容易に弾性変形し、サブアセンブリ7を外輪2にスムースに挿入することができる。爪部55が容易に弾性変形可能に形成されていることにより、サブアセンブリ7の外輪2への挿入に際して、爪部55以外の保持器5の変形が抑制される。
ボール4が外輪軌道面21に当接するまでサブアセンブリ7が外輪2内に挿入されると、図7に示すように、爪部55の少なくとも先端55aが外輪2の溝部24内に収容される。その結果、爪部55により、外輪2とサブアセンブリ7との軸方向の相対移動が規制され、サブアセンブリ7の外輪2からの脱落が抑制される。爪部55は、先端55aが外輪2の軸方向外側を向いていることで、溝部24に挿入された爪部55の先端55aが溝部24に確実に係止され、サブアセンブリ7の外輪2からの脱落を良好に抑制できる。特に、本実施形態では、シール部材6(図2参照)が嵌合される外輪シール嵌合面232は、研削加工により精度良く内径寸法が定められている。また、ポケット54内におけるボール4の内径側への移動が抑制されているため、ボール4により保持器5の大径部52が内径側に撓みにくい。そのため、爪部55の先端55aが溝部24内に収容される長さが比較的に短くとも、爪部55を溝部24に確実に係止させることができる。つまり、爪部55は、外輪シール嵌合面232よりもわずかに径方向外側に突出していればよい。それにより、サブアセンブリ7が外輪2内に挿入される際に、外輪2の外輪シール嵌合面232により爪部55が押圧されて保持器5に大きな力がかかり、変形量が大きくなることが抑制される。
次に、図7に白抜矢印で示すように、サブアセンブリ7が組み込まれた外輪2の内側に、さらに内輪3が一つずつ挿入される。外輪2の内側に内輪3を挿入する際、外輪2の軸心2o及び内輪3の軸心3oが鉛直方向に沿った状態、かつ、内輪3の軸心3oと外輪2の軸心2oとが一致した状態となる。より詳細には、保持器5の小径部51に形成された凸部511が内輪3の内輪小肩部32により押圧されることにより、保持器5の弾性変形を伴いながら、内輪軌道面31とボール4とが当接するまで、内輪3が外輪2の内側に挿入される。このように、内輪3を外輪2の内側に挿入することで、図1に示すように、外輪軌道面21と内輪軌道面31との間に各ボール4が転動自在に配置される。また、ハブユニット軸受1は、保持器5の凸部511が内輪3の環状溝321内に収容されることにより、外輪2、内輪3及びサブアセンブリ7が非分離に一体化される。なお、内輪3の環状溝321及び保持器5の凸部511は、ハブユニット軸受1から省略されてもよい。また、シール部材6は、外輪2にサブアセンブリ7を組み込んだ後に外輪2の外輪シール嵌合面232に嵌合されてもよいし、内輪3を組み込んだ後に外輪2の外輪シール嵌合面232と内輪3の内輪肩部33との間に嵌合されてもよい。
以上説明したように、本実施形態にかかるハブユニット軸受1は、予め複数のボール4を保持器5に保持させてユニット化したサブアセンブリ7を外輪2に挿入する際に、保持器5の爪部55を外輪2の外輪シール嵌合面232によって弾性変形させ、爪部55以外の保持器5の変形を抑制しつつ、ボール4が外輪2の外輪小肩部231に接触することを抑制できる。また、サブアセンブリ7が外輪2に組み込まれた状態においては、保持器5の爪部55の少なくとも先端55aが外輪2の溝部24内に収容されるため、爪部55と溝部24との干渉によりサブアセンブリ7の軸方向移動が規制される。その結果、サブアセンブリ7の外輪2からの脱落を抑制できる。従って、本実施形態にかかるハブユニット軸受1によれば、予め複数のボール4を保持器5に保持させてユニット化したサブアセンブリ7の外輪2からの脱落が抑制され、保持器5及びボール4がより適切に保護される。
また、爪部55は、小径部51側に向けて凸形に湾曲した形状である。これにより、上述したように、爪部55を容易に弾性変形させながら、サブアセンブリ7を外輪2にスムースに挿入することができる。また、サブアセンブリ7を外輪2に組み込んだ後には、爪部55が溝部24から外れることを抑制できるため、サブアセンブリ7の外輪2からの脱落を、より良好に抑制できる。
また、溝部24は、外輪軌道面21と外輪小肩部231及び外輪シール嵌合面232とを研削加工する際の逃げ溝である。これにより、溝部24を研削加工時の逃げ溝と兼用することで、溝部24を別途形成するための工程が必要なく、作業工数の増加を抑制できる。なお、溝部24は、逃げ溝とは別に形成されるものであってもよい。溝部24は、図2に示すように、シール部材6が嵌合される位置から十分に離れ、かつ、上記長さL2が上記長さL3よりも大きいことを保つことができれば、外輪シール嵌合面232の軸方向内側に隣接して形成されるものでなくてもよい。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態にかかるハブユニット軸受1Bについて、説明する。図8は、第二実施形態にかかるハブユニット軸受を示す断面図であり、図9は、第二実施形態にかかるハブユニット軸受の要部を示す拡大断面図である。図8に示すハブユニット軸受1Bは、図示しない車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するハブユニット軸受である。
ハブユニット軸受1Bは、図8に示すように、外輪(外輪部材)2Bと、2つの内輪(内輪部材)3Bと、複数の円錐ころ(転動体)4Bと、2つの保持器5Bと、2つのシール部材6Bとを備える。また、本実施形態でも、各円錐ころ4Bを保持器5Bに収容したユニット化した状態をサブアセンブリ7Bという。第二実施形態において、ハブユニット軸受1Bは、共通な2つの内輪3Bの端面3a同士を突き合わせた状態でセットされ、予圧が付与され、背面組み合わせタイプの複列式の円錐ころ軸受が形成されている。ハブユニット軸受1Bは、後述の外輪軌道面21Bと円錐ころ4Bと内輪軌道面31Bとに接触角を持たせることにより、路面反力に起因するモーメント荷重への剛性を高めている。
以下の説明においては、ハブユニット軸受1Bの軸方向、すなわち一体に組み込まれた外輪2B、内輪3B、保持器5Bの軸方向(図8及び図9における左右方向)を「軸方向」と称する。また、ハブユニット軸受1Bの径方向、すなわち一体に組み込まれた外輪2B、内輪3B、保持器5Bの径方向(図8及び図9における上下方向)を「径方向」と称する。また、本実施形態において、ハブユニット軸受1Bは、軸方向における中央部を基準に対称の構造であるため、以下の説明においては、一方側の列における構造について説明する。
外輪2Bは、車輪または懸架装置のいずれか一方に接続される。外輪2Bは、車輪に接続される場合は、車輪と一体に回転し、懸架装置に接続される場合は回転しない。外輪2Bは、図9に示すように、内周面に、外輪軌道面21Bと、外輪肩部22Bと、外輪シール嵌合面232Bと、溝部24Bと、を有する。
外輪軌道面21Bは、ハブユニット軸受1Bの軸方向内側(軸方向の中央部側。図9における左側)の端部21aが、ハブユニット軸受1Bの軸方向外側(軸方向の中央部とは反対側。図9における右側)の端部21bよりも小径となる向きで傾斜したテーパである。外輪軌道面21Bは、円錐ころ4Bの外周面に沿った形状でテーパ状に形成されている。
外輪肩部22Bは、外輪軌道面21Bの端部21aよりも軸方向内側に形成され、端部21aと他方側の列の外輪軌道面21Bの端部21aとを接続する。
外輪シール嵌合面232Bは、外輪軌道面21Bの端部21bの軸方向外側に設けられている。外輪シール嵌合面232Bは、図9に示すように、外輪軌道面21Bの端部21bの内径、すなわち外輪軌道面21と円錐ころ4Bとの最外径の接触点を相互に結んだ仮想円の直径D5よりも大きな内径D6で形成される。つまり、本実施形態において、外輪シール嵌合面232Bは、外輪軌道面21Bよりも径方向内側に突出することなく、外輪軌道面21の端部21bから軸方向外側に向けて延びる。外輪シール嵌合面232Bは、シール部材6Bが嵌合されるシール嵌合部である。
溝部24Bは、外輪シール嵌合面232Bのシール部材6Bが嵌合される位置よりも外輪軌道面21B側に形成される。溝部24Bは、底部径が直径D8であり、外輪シール嵌合面232Bよりも大径の環状溝である、本実施形態において、外輪軌道面21B及びシール嵌合面232Bは、ダイヤモンドホイールで成形された総型砥石からオーバーハングさせ、被研削面の端部に小端高と呼ばれる凸部が形成されることを防止できる。
内輪3Bは、車輪または懸架装置のいずれか他方、つまり外輪2Bと接続されていない側の部材と接続される。内輪3Bは、車輪に接続される場合は、車輪と一体に回転し、懸架装置に接続される場合は回転しない。内輪3Bは、外周面に、内輪軌道面31Bと、内輪小肩部32Bと、内輪肩部33Bと、を有する。
内輪軌道面31Bは、軸方向内側の端部31aが軸方向外側の端部31bよりも小径となる向きに傾斜したテーパである。内輪軌道面31Bは、円錐ころ4Bの外周面に沿った形状でテーパ状に形成されている。内輪軌道面31Bは、外輪軌道面21Bと対向する。
内輪小肩部32Bは、内輪軌道面31Bから軸方向内側に延びる。内輪小肩部32Bは、本実施形態において、内輪軌道面31Bよりも径方向外側に突出することなく形成される。つまり、内輪3Bは、予め複数の円錐ころ4Bを保持器5Bに保持させたサブアセンブリ7Bを内輪3Bに組み込んでユニット化する際に必要となる、円錐ころ4Bを内径側で支持するための小鍔部を有さない。
内輪肩部33Bは、内輪軌道面31Bよりも大径に形成され、内輪軌道面31Bの軸方向外側に設けられている。内輪3Bの内輪肩部33Bは、シール部材6Bが嵌合されるシール嵌合部である。外輪2Bの外輪シール嵌合面232B及び内輪肩部33Bの間には、図9に示すように、シール部材6Bが嵌合される。また、内輪肩部33Bと内輪軌道面31Bとの間には、円錐ころ4Bの大径側の端面と摺接する大鍔部34Bが形成されている。
複数の円錐ころ4Bは、図8及び図9に示すように、保持器5Bに収容された状態で外輪軌道面21Bと内輪軌道面31Bとの間に転動自在に設けられる。複数の円錐ころ4Bは、外輪軌道面21Bと内輪軌道面31Bとに接触しながら転動する。また、複数の円錐ころ4Bは、図9に示すように、大径側の端面が内輪3Bの大鍔部34Bに摺接する。
保持器5Bは、複数の円錐ころ4Bを転動自在に保持する。保持器5Bは、本実施形態において、樹脂製であり、アキシアルドロー型を用いて射出成型される。保持器5Bは、各円錐ころ4Bによって案内されて回転する、いわゆる転動体持たせ構造(転動体案内構造)の保持器である。保持器5Bは、図9に示すように、小径部51Bと、大径部52Bと、複数の柱部53Bと、複数のポケット54Bと、を有する。なお、図9においては、ポケット54Bの形状を示すために、ポケット54Bを実際よりも大きく記載している。
小径部51Bは、環状に形成される。大径部52Bは、小径部51Bから軸方向に離れた位置に、環状に形成される。これにより、柱部53Bの小径部51Bとは反対側の端部が互いに連結されていない、いわゆる冠形の保持器に比べて、保持器5Bの強度を向上させることができる。大径部52Bは、小径部51Bよりも、内径及び外径が大きく形成される。本実施形態において、大径部52Bは、図9に示すように、円錐ころ4Bを保持した保持器5Bがハブユニット軸受1Bに組み込まれた状態で、外輪2Bに形成された溝部24Bの近傍に位置する。
大径部52Bは、図9に示すように、外周面から径方向外側に突出する爪部55Bを有する。本実施形態において、爪部55Bは、大径部52Bの周方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて複数形成されている。爪部55Bは、大径部52Bの外周面に、複数個形成されている。爪部55Bは、大径部52Bの外周面の柱部53Bと同位相に、柱部53Bと同じ数、または柱部53Bの約数個、形成することが好ましい。本実施形態において、爪部55Bは、大径部52Bの径方向外側に設けられている。これにより、保持器5Bをアキシアルドロー成形する場合に、爪部55Bが成形に悪影響を与えることを防ぐことができ、保持器5Bを容易に形成することができる。
爪部55Bは、軸方向内側に凸となる弧状で、弾性変形可能に形成される。爪部55Bは、サブアセンブリ7Bがハブユニット軸受1Bに組み込まれた状態で、外輪2Bの溝部24B内に、少なくとも先端55aが収容される位置、大きさに形成される。爪部55Bは、図9に示すように、サブアセンブリ7Bがハブユニット軸受1Bに組み込まれた状態で、各爪部55Bの先端55aを相互に結んだ仮想円の直径D7が、外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bの内径D6よりも大きく、かつ、溝部24Bの内径D8よりも小さく形成される。それにより、サブアセンブリ7Bを外輪2Bへ組み込む際には、爪部55Bが、弦が縮まる方向に弾性変形して、外輪シール嵌合面232Bの内周面を通過し、爪部55Bの先端55aが溝部24B内に収容されると、元の形状に戻り、ラチェットと同様の効果で、外輪2Bと保持器5Bとの軸方向の相対移動が規制される。
複数の柱部53Bは、周方向に沿って互いに等間隔に配置された状態で、小径部51Bと大径部52Bとの間に延びる。各柱部53Bは、円錐ころ4Bを保持した保持器5Bがハブユニット軸受1Bに組み込まれた状態で、外輪2Bの内周面及び内輪3Bの外周面と干渉しないように、小径部51Bから大径部52Bまで延びる。
ポケット54Bは、隣り合う柱部53B同士の間に形成されて円錐ころ4Bを転動自在に収容する。ポケット54Bは、小径部51B、大径部52B及び隣り合う柱部53Bにより画成された窓部である。ポケット54Bは、図9に示すように、小径部51Bから大径部52Bまで、円錐ころ4Bの軸心4oに沿って延びる。ポケット54Bは、少なくとも一部が円錐ころ4Bの外周面よりわずかに大きな円錐形状に形成されている。ポケット54Bは、保持器5Bの外径側及び内径側の双方で開口している。保持器5Bは、開口の一方からポケット54Bの内部に円錐ころ4Bが挿入され、挿入された円錐ころ4Bは、開口の端面で回転自在の状態で保持される。保持器5Bは、ポケット54B内に円錐ころ4Bを収容することで、保持器5Bの外径側及び内径側に脱落することを抑制する。
次に、図10及び図11を参照しながら、第二実施形態にかかるハブユニット軸受1Bの組み込み作業の手順について説明する。図10は、第二実施形態において、予め複数の円錐ころを保持器に保持させてユニット化したサブアセンブリを外輪に組み込む様子を示す説明図であり、図11は、第二実施形態において、サブアセンブリが組み込まれた外輪に、さらに、内輪を組み込む際の様子を示す説明図である。
ハブユニット軸受1Bの組み込みに際して、まず、各円錐ころ4Bが保持器5Bのポケット54B内に収容されてユニット化されたサブアセンブリ7Bが構成される。より詳細には、ポケット54Bの外径側開口部を介して、保持器5Bの外径側から円錐ころ4Bがポケット54B内へと押圧されて挿入される。
次に、図10に白抜矢印で示すように、サブアセンブリ7Bの軸心7o(保持器5Bの軸心)と外輪2の軸心2oとが一致した状態で、サブアセンブリ7Bが小径部51B側から外輪2Bの内側へと挿入される。上述したように(図9参照)、保持器5Bの複数の爪部55Bの先端55aを相互に結んだ仮想円の直径D7は、外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bの内径D6よりも大きい。そのため、サブアセンブリ7Bは、円錐ころ4Bが外輪2Bと接触する前に、爪部55Bが外輪2Bと接触することになる。また、爪部55Bは、円周方向に複数設けられていることで、複数の爪部55Bと外輪2Bの軸方向外側の端面を接触させることで、外輪2Bに対するサブアセンブリ7Bの芯出しが行われ、円錐ころ4Bと外輪シール嵌合面232Bとを非接触の状態とすることができる。
また、サブアセンブリ7Bが外輪2Bの内側に挿入される際には、外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bにより爪部55Bの先端55aを押圧させ、爪部55Bを弾性変形させる。爪部55Bは、小径部51B側、すなわちサブアセンブリ7Bの外輪2Bへの挿入方向側に向けて凸形に湾曲した形状である。それにより、爪部55Bが容易に弾性変形し、サブアセンブリ7Bが外輪2Bへとスムースに挿入される。爪部55Bが弾性変形可能に形成されていることにより、サブアセンブリ7Bの外輪2Bへの挿入に際して、爪部55B以外の保持器5Bの変形が抑制される。また、外輪2Bは、外輪シール嵌合面232Bが外輪軌道面21Bよりも径方向内側に突出しない。また、爪部55Bと外輪シール嵌合面232Bとが接触した状態で、外輪2Bに対してサブアセンブリ7Bが挿入することで、外輪2Bとサブアセンブリ7Bとの中心が一致した状態で挿入することができる。また、サブアセンブリ7Bは、第一実施形態のサブアセンブリ7に比べて重量が嵩むが、爪部55Bと外輪シール嵌合面の接触により、ブレーキのかかった状態で挿入できる。そのため、サブアセンブリ7Bの外輪2Bへの挿入に際して、保持器5Bに保持された円錐ころ4Bの、外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bとの接触や、外輪軌道面端部21との衝突による、ころ疵の発生が抑制される。
円錐ころ4Bが外輪軌道面21Bに当接するまでサブアセンブリ7Bが外輪2B内に挿入されると、図11に示すように、爪部55Bの少なくとも先端55aが外輪2Bの溝部24B内に収容される。その結果、爪部55Bにより、外輪2Bとサブアセンブリ7Bとの軸方向の相対移動が規制され、サブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落が抑制される。爪部55Bは、小径部51B側に向けて凸形に湾曲しているため、先端55aが外輪2Bの軸方向外側を向くことになる。その結果、爪部55Bの先端55aが溝部24Bに確実に係止され、サブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落が良好に抑制される。特に、本実施形態では、シール部材6B(図8、図9参照)が嵌合される外輪シール嵌合面232Bは、研削加工により精度良く内径寸法が定められている。また、ポケット54B内における円錐ころ4Bの内径側への移動が抑制されているため、円錐ころ4Bにより保持器5Bの大径部52Bが内径側に撓みにくい。そのため、爪部55Bの先端55aが溝部24B内に収容される長さが比較的に短くとも、爪部55Bを溝部24Bに確実に係止させることができる。つまり、爪部55Bは、外輪シール嵌合面232Bよりもわずかに径方向外側に突出していればよい。それにより、サブアセンブリ7Bが外輪2B内に挿入される際に、外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bにより爪部55Bが押圧されて保持器5Bに大きな力がかかり、変形量が大きくなることが抑制される。
次に、図11の白抜矢印に示すように、内輪3Bの軸心3oと外輪2Bの軸心2oとが一致した状態で、サブアセンブリ7Bが組み込まれた外輪2Bの内側に、さらに内輪3Bが挿入される。それにより、図8に示すように、外輪軌道面21Bと内輪軌道面31Bとの間に各円錐ころ4Bが転動自在に配置される。なお、シール部材6Bは、外輪2Bにサブアセンブリ7Bを組み込んだ後に外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bに嵌合されてもよいし、内輪3Bを組み込んだ後に外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bと内輪3Bの内輪肩部33Bとの間に嵌合されてもよい。
以上説明したように、第二実施形態にかかるハブユニット軸受1Bは、予め複数の円錐ころ4Bを保持器5Bに保持させてユニット化したサブアセンブリ7Bを外輪2Bに挿入する際に、保持器5Bの爪部55Bを外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bによって弾性変形させ、爪部55B以外の保持器5Bの変形を抑制しつつ、円錐ころ4Bが外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bに接触することを抑制できる。また、サブアセンブリ7Bが外輪2Bに組み込まれた状態においては、保持器5Bの爪部55Bの少なくとも先端55aが外輪2Bの外輪シール嵌合面232Bに形成された溝部24B内に収容されるため、爪部55Bと溝部24Bとの干渉によりサブアセンブリ7Bの軸方向移動が規制される。その結果、サブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落を抑制できる。従って、本実施形態にかかるハブユニット軸受1Bによれば、予め複数の円錐ころ4Bを保持器5Bに保持させてユニット化したサブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落が抑制され、保持器5B及び円錐ころ4Bがより適切に保護される。
また、サブアセンブリ7Bを外輪2に挿入する際に、爪部55Bが外輪シール嵌合面232Bと接触することで円錐ころ4Bと外輪2Bとの接触を抑制しつつ、挿入することができる。これにより、挿入途中で外輪軌道面21Bと円錐ころ4Bとが接触し、外輪軌道面21Bに圧痕が生じることを抑制できる。
本実施形態において、保持器5Bは、環状の大径部52Bを有しており、保持器5Bが弾性変形しづらく、かつ、ポケット54B内における円錐ころ4Bの動きが制限されやすい構造においても、本実施形態にかかるハブユニット軸受1Bによれば、保持器5B及び円錐ころ4Bがより適切に保護される。
また、爪部55Bは、小径部51側に向けて凸形に湾曲した形状である。これにより、サブアセンブリ7Bを外輪2にスムースに挿入することができ、爪部55Bが溝部24Bから外れることを抑制できるため、サブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落を、より良好に抑制できる。なお、爪部55Bは、小径部51B側に向けて凸形に湾曲した形状に限られず、弾性変形可能であり、溝部24B内に少なくとも先端55aが収容されてサブアセンブリ7Bの外輪2Bからの脱落を抑制できれば、いかなる形状であってもよい。
また、溝部24Bは、外輪軌道面21B及び外輪シール嵌合面232Bを研削加工する際の逃げ溝であり、外輪シール嵌合面232Bの全周にわたって環状に形成される。この構成によれば、溝部24Bを別途形成するための工程が必要なく、作業工数の増加を抑制できる。また、溝部24Bが外輪シール嵌合面232Bの全周にわたって形成されるため、保持器5B側の爪部55Bが周方向のいかなる位置に形成されていても、爪部55Bを溝部24B内に容易に収容させることができる。なお、溝部24Bは、逃げ溝とは別に形成されるものであってもよい。溝部24Bは、シール部材6Bが嵌合される位置から十分に離れていれば、外輪シール嵌合面232Bの端部に形成されるものでなくてもよい。
第一実施形態及び第二実施形態では、車輪取付け用のフランジ及び懸架装置取付け用のフランジが外輪2及び内輪3と一体化されていないハブユニット軸受1、1Bについて説明した。第一実施形態及び第二実施形態の構成は、車輪取付け用のフランジ及び懸架装置取付け用のフランジのいずれか一方を外輪と一体化した外輪部材を備えるハブユニット軸受に適用されてもよい。また、第一実施形態及び第二実施形態の構成は、車輪取付け用のフランジ及び懸架装置取付け用のフランジのいずれか一方を外輪と一体化した外輪部材、及び、車輪取付け用のフランジ及び懸架装置取付け用のフランジのいずれか他方を内輪と一体化した内輪部材を備えるハブユニット軸受に適用されてもよい。また、第一実施形態及び第二実施形態の構成は、前輪及び後輪のいずれの車輪を支持するハブユニット軸受にも適用可能であり、駆動輪及び従動輪のいずれの車輪を支持するハブユニット軸受にも適用可能である。
1,1B ハブユニット軸受
2,2B 外輪
2o,3o,4o,7o 軸心
3,3B 内輪
3a 端面
4 ボール(転動体)
4B 円錐ころ(転動体)
5,5B 保持器
6,6B シール部材
7,7B サブアセンブリ
21,21B 外輪軌道面
21a,21b 端部
22,22B 外輪肩部
231 外輪小肩部
232,232B 外輪シール嵌合面
24,24B 溝部
31a,31b 端部
31,31B 内輪軌道面
32,32B 内輪小肩部
32a 面取り部
33,33B 内輪肩部
34B 大鍔部
51,51B 小径部
52,52B 大径部
53,53B 柱部
54,54B ポケット
55,55B 爪部
55a 先端
321 環状溝
511 凸部
541 外径側開口部
542 内径側開口部
543 軸方向延長部
BD 直径
D1,D2,D4,D5,D7 直径
D6,D8 内径
D3 外接円径
L1、L2,L3 長さ

Claims (5)

  1. 内周面に外輪軌道面を有する外輪部材と、
    外周面に内輪軌道面を有する内輪部材と、
    前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、
    前記複数の転動体を転動自在に保持する保持器と、
    を備え、
    前記外輪部材は、前記外輪軌道面の大径側の端部から軸方向外側の端面に向けて、前記外輪軌道面溝底径よりも径方向内側に突出することなく軸方向に延びる円筒面と、前記円筒面より径方向外側に窪む環状の溝部とを有し、
    前記保持器は、環状の小径部と、環状の大径部と、前記小径部と前記大径部との間を周方向に沿って互いに間隔を空けながら延びる複数の柱部と、隣り合う前記柱部同士の間に形成されて前記転動体を収容するポケットと、を有し、
    前記大径部は、外周面から前記径方向外側に突出し、前記外輪部材の前記溝部内に少なくとも先端が収容される弾性変形可能な爪部を有することを特徴とするハブユニット軸受。
  2. 前記爪部は、前記小径部側に向けて凸形に湾曲した形状であることを特徴とする請求項1に記載のハブユニット軸受。
  3. 前記溝部は、前記外輪軌道面と前記円筒面とを研削加工する際の逃げ溝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハブユニット軸受。
  4. 前記転動体は、ボールであり、
    前記円筒面は、前記外輪軌道面の前記大径側の端部から延び、前記外輪軌道面と同径の外輪小肩部と、前記外輪小肩部から前記溝部を介して前記軸方向に前記端面まで延び、前記外輪小肩部より大径の外輪シール嵌合面とを有し、
    前記外輪小肩部は、前記溝部側の端部に面取り部を有し、
    前記外輪部材の前記端面から前記爪部の前記先端までの距離は、前記外輪軌道面の前記大径側の前記端部から前記面取り部までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハブユニット軸受。
  5. 前記転動体は、ボールであり、
    前記ポケットの内径側開口部のうち、前記小径部から延びる軸方向延長部が、少なくとも前記ポケットの前記軸方向における中心と重なる位置まで形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハブユニット軸受。
JP2017157092A 2017-08-16 2017-08-16 ハブユニット軸受 Pending JP2019035465A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017157092A JP2019035465A (ja) 2017-08-16 2017-08-16 ハブユニット軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017157092A JP2019035465A (ja) 2017-08-16 2017-08-16 ハブユニット軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019035465A true JP2019035465A (ja) 2019-03-07

Family

ID=65637275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017157092A Pending JP2019035465A (ja) 2017-08-16 2017-08-16 ハブユニット軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019035465A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020153391A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 Ntn株式会社 内輪分離型アンギュラ玉軸受
CN112145549A (zh) * 2019-06-27 2020-12-29 纳博特斯克有限公司 旋转机构、减速器以及旋转机构的制造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020153391A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 Ntn株式会社 内輪分離型アンギュラ玉軸受
WO2020189439A1 (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 Ntn株式会社 内輪分離型アンギュラ玉軸受
JP7250577B2 (ja) 2019-03-18 2023-04-03 Ntn株式会社 内輪分離型アンギュラ玉軸受
CN112145549A (zh) * 2019-06-27 2020-12-29 纳博特斯克有限公司 旋转机构、减速器以及旋转机构的制造方法
JP2021004659A (ja) * 2019-06-27 2021-01-14 ナブテスコ株式会社 回転機構、減速機および回転機構の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1079125B1 (en) Bearing device
US10151346B2 (en) Ball bearing
US10458478B2 (en) Hub unit bearing and method of assembling hub unit bearing
US10001167B2 (en) Ball bearing
JP2016180417A (ja) 円すいころ軸受
JP2010112473A (ja) ころ軸受用保持器とこの保持器を備えたころ軸受、およびころ軸受の製造方法
JP4513295B2 (ja) 転がり軸受装置の組立方法
JP5227144B2 (ja) 車輪用軸受
JP2019035465A (ja) ハブユニット軸受
JP4893282B2 (ja) 軸受ユニット
JP2003056570A (ja) 複列円すいころ軸受ユニットとその組立方法
JP4304771B2 (ja) 車輪支持用ハブユニット及びその組立方法
JP4605099B2 (ja) 深溝玉軸受
JP2000065049A (ja) 自動車用ハブユニット及びその組立方法
JP4244955B2 (ja) 自動車用ハブユニットの組立方法
US10690188B2 (en) Flexible cage for rolling bearing
JP6153761B2 (ja) 円すいころ軸受
JP2020060275A (ja) 円すいころ軸受
CN211778525U (zh) 倾斜型保持器及角接触球轴承
JP2008095766A (ja) 車輪用軸受
JP5600926B2 (ja) タンデム型複列アンギュラ玉軸受
JP2000094902A (ja) 自動車用ハブユニット及びその組立方法
JP2007263211A (ja) 玉軸受用の樹脂製冠形保持器
JP2009210091A (ja) 自動調心ころ軸受
JP2016205412A (ja) 深溝玉軸受