JP2019035019A - (メタ)アクリル系樹脂組成物、(メタ)アクリル系光学フィルム及び偏光板 - Google Patents

(メタ)アクリル系樹脂組成物、(メタ)アクリル系光学フィルム及び偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐吸水性及び耐熱性に優れた(メタ)アクリル系光学フィルムに好適な樹脂組成物を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位及びイオン性官能基を有するビニル系単量体の単位を含む(メタ)アクリル系共重合体であり、前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、1質量%以上5質量%未満であり、ポリカーボネート系樹脂(B)の質量平均分子量が8000〜30000の範囲にある。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂組成物、(メタ)アクリル系光学フィルム及び偏光板に関する。
偏光板は、一般的に偏光子に、保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム(以下「TACフィルム」)を、ポリビニルアルコール系水溶液からなる水系接着剤を用いて積層させた構造を有する。しかしながら、偏光子として用いられたポリビニルアルコールフィルム及び偏光子用保護フィルムとして用いられたTACフィルムは、耐吸水性が十分ではない。従って、上記フィルムからなる偏光板を高湿の雰囲気下で長時間使用すると、偏光度が低下し、画像品質が低下する問題がある。
TACフィルムの吸水性を解決するために、アクリル系フィルムを偏光板保護フィルムに用いることが検討されている。
特許文献1では、アクリル系樹脂に少量の低分子量のポリカーボネート系樹脂を添加することで、優れた透明性および耐候性を有し、且つ位相差の小さい光学フィルムが提案されている。
特開2014−051649号公報
しかしながら、上記の関連技術の構成では、耐熱性に乏しく、高温の雰囲気下で長時間使用すると偏光度が低下し、画像品質が低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、透明性、耐吸水性及び耐熱性に優れた(メタ)アクリル系光学フィルム、及びこれに好適な樹脂組成物を提供することにある。
本発明の一態様によれば、(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物あって、
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位及びイオン性官能基を有するビニル系単量体の単位を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂であり、
前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、1質量%以上5質量%未満であり、
ポリカーボネート系樹脂(B)は質量平均分子量が8000から30000の範囲にある、(メタ)アクリル系樹脂組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる光学フィルムが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の(メタ)アクリル系光学フィルムを保護層として含む偏光板が提供される。
本発明によれば、透明性、耐吸水性及び耐熱性に優れたアクリル系光学フィルム、及びこれに好適な樹脂組成物を得ることができる。
本発明の実施形態による(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を含む。この(メタ)アクリル系樹脂組成物で形成された(メタ)アクリル系光学フィルムは、透明性、耐吸水性及び耐熱性に優れる。この(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)を含む混合物を溶融混練して得ることができる。得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物をフィルム形状に成形して(メタ)アクリル系光学フィルムを得ることができる。
この(メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位及びイオン性官能基を有するビニル系単量体の単位を含む(メタ)アクリル系共重合体である。
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、90〜99質量%の範囲にあることが好ましい。
前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、1質量%以上5質量%未満であることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(B)は、質量平均分子量が8000〜30000の範囲にあることが好ましい。
本発明の実施形態による(メタ)アクリル系樹脂組成物およびその成形物である(メタ)アクリル系光学フィルムにおいて、(メタ)アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)の質量比(A/B)が90/10〜99/1であることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位として、メチルメタクリレートの単位を含むことが好ましい。このメチルメタクリレート単位の含有量は、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位中、90質量%以上が好ましい。
また、(メタ)アクリル系樹脂(A)は、前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位として、メタクリル酸の単位を含むことが好ましい。
また、本発明の実施形態による(メタ)アクリル系光学フィルムは、その厚さ方向の位相差が−5〜5nmの範囲にあることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明の実施形態による(メタ)アクリル系光学フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いて形成された成形物である。
この(メタ)アクリル系樹脂組成物のガラス転移温度は115〜120℃の範囲にあることが好ましく、得られる光学フィルムの寸法安定性(耐熱性)の点から115℃以上が好ましく、また、透明性等の点から120℃以下が好ましい。このガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位及びイオン性基を有するビニル系単量体の単位を含む共重合体である。
アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート系単量体及びアルキルメタクリレート系単量体の少なくとも一方を意味する。したがって、(メタ)アクリル系樹脂(A)((メタ)アクリル系共重合体)は、アルキルアクリレート系共重合体及びアルキルメタクリレート系共重合体の少なくとも一方を意味する。
このアルキル(メタ)アクリレート系単量体のアルキル基は、その炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。このようなアルキル(メタ)アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、メチルメタクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系単量体は単独で又は2種以上を用いることができる。これらの中でもメチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートを単独で使用するか、あるいは、他のアルキル(メタ)アクリレート系単量体と併用する場合はメチルメタクリレートを主成分として用いることが好ましい。アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、これらに限定されるものではない。
(メタ)アクリル系樹脂(A)において、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位の含有量は90〜99質量%の範囲にあることが好ましく、得られる光学フィルムの透明性の点から、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、96質量%以上がさらに好ましく、また耐熱性の点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましい。また、特に透明性の点から、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位中、メチルメタクリレートの単位の含有量が90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)において、前記ビニル系単量体が有するイオン性官能基は、塩基(例えば、アンモニウム塩基など)、酸基(カルボキシル基、スルホン酸基など)が挙げられるが、酸基が好ましい。
酸基を有するビニル系単量体として、カルボキシル基を有するビニル系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、スルホン酸基を有するビニル系単量体は、スルホン酸基を有するアクリルアミド(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸)、スチレンスルホン酸などが挙げられる。これらの中でも、共重合性の観点から、メタクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)において、前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が1質量%以上5質量%未満が好ましい。得られる光学フィルムの耐熱性の点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、また、(メタ)アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)の相溶性の点から、5質量%未満が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、50000〜150000の範囲にあることが好ましく、耐熱性の点から、50000以上が好ましく、60000以上がより好ましく、また、樹脂流動性の点から150000以下が好ましく、130000以下がより好ましい。この質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求めることができる(標準ポリスチレンを用いた構成曲線に基づく)。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の製造方法としては、公知の懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等が挙げられる。(メタ)アクリル系樹脂(A)の回収が容易な点から、懸濁重合法または乳化重合法が好ましい。
また、本発明の実施形態において、ポリカーボネート系樹脂(B)は、二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法やエステル交換による重合法等により反応させて得られるものを用いることができる。二価フェノールとしては、ビスフェノールAが好ましい。カルボニル化剤としては、ホスゲン等のカルボニルハライド、ジフェニルカーボネート等のカーボネートエステルが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂(B)はビスフェノールA由来の構造を含む芳香族ポリカーボネートが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(B)の質量平均分子量は8000〜30000の範囲にあることが好ましく、得られる光学フィルムの耐熱性の点から、8000以上が好ましく、9000以上がより好ましく、また(メタ)アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)の相溶性の点から、30000以下が好ましく、25000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。この質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求めることができる(標準ポリスチレンを用いた構成曲線に基づく)。
また、本発明の実施形態において、前記(メタ)アクリル系樹脂(A)と前記ポリカーボネート系樹脂(B)の質量比(A/B)が(A+B=100としたとき)、90/10〜99/1が好ましく、透明性の点で90/10以上((メタ)アクリル系樹脂樹脂(A)が多いほど)が好ましく、92/8以上がより好ましく、また、耐熱性、耐吸水性および位相差の点で99/1以下(ポリカーボネート系樹脂(B)が多いほど)が好ましく、98/2以下がより好ましい。
また、本発明の実施形態によるアクリル系光学フィルムは、偏光度を制御し、画像品質低下を抑制する点で、40μm厚み換算値での面外位相差(厚さ方向の位相差)が−5〜5nmであることが好ましく、−3〜3nmであることがより好ましい。
厚さ方向の位相差値(Rth)は下記の数式1によって求めることができる。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (1)
上記の数式1において、nxは、フィルムの面方向において、最も屈折率が大きい方向の屈折率であり、nyは、フィルムの面方向において、nx方向の垂直方向の屈折率であり、nzは、厚さ方向の屈折率であり、dは、フィルムの厚さである。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の(メタ)アクリル系光学フィルムに係わる樹脂組成物の製造方法としては、(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練法として例えば、二軸押出成形機を用いて、混練時の樹脂温度が180〜300℃で、せん断速度が10〜3000sec-1の条件下で混練する方法が挙げられる。混練時の樹脂温度としては、180℃以上300℃以下が好ましく、200℃以上290℃以下がより好ましく、220℃以上280℃以下が更に好ましい。混練時の樹脂温度が180℃以上であれば樹脂が十分に溶融して混練性に優れ、混練時の樹脂温度が300℃以下であれば混練時の樹脂分解を抑制することができる。混練時のせん断速度は10sec-1以上3000sec-1以下が好ましく、20sec-1以上1000sec-1がより好ましい。混練時のせん断速度が10sec-1以上であれば樹脂混練性に優れ、3000sec-1以下であれば樹脂分解を抑制することができる。
(光学フィルムの成形方法)
本発明の光学フィルムを成形する方法として、前記溶融混練法によって得られた、(メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)からなる樹脂組成物を押出成形機に供給し、加熱溶融した後に、ダイから押出す押出成形法によって製造することができる。ダイから押出す方法としては、例えばフィードブロック法、マルチマニホールド法などの通常の方法が採用される。押出成形法によって製造された光学フィルム延伸機によって延伸される。延伸機としては、自由一軸延伸機、逐次ニ軸延伸機、同時ニ軸延伸機などが挙げられる。延伸時の樹脂温度としては、DSCによって求められるガラス転移温度をTg(℃)としたとき、(Tg+5)℃以上(Tg+20)℃以下で延伸を行うことができる。延伸時の樹脂温度が、(Tg+5)℃以上であれば延伸時にフィルム破断を防ぐことができ、(Tg+20)℃以下であればフィルム延伸性に優れる。
本発明の実施形態による樹脂組成物および光学フィルムは、本発明による所望の効果を阻害しない範囲内で、一般に用いられる添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤が挙げられる。
(偏光板)
本発明の実施形態による偏光板は、保護フィルム、接着層及び偏光子フィルムがこの順に連続して積層した構造を有することができる。本偏光板の構成は使用される用途に応じて適宜選択できるが、具体的な構成例としては、保護フィルム、接着層、偏光子フィルム、接着層及び保護フィルムがこの順に連続して積層された構成、並びに保護フィルム、接着層、偏光子フィルム、同じ又は他の接着層及び他の保護フィルムがこの順に連続して積層された構成が挙げられる。
前記偏光子フィルムの材質としてはPVA(ポリビニルアルコール)が好ましい。PVA製の偏光子フィルムは、例えば、PVAフィルムにヨウ素を含浸させた後、一軸延伸することによってPVAとヨウ素との錯体を形成させて製造することができる。偏光子フィルムには水分を含んでいてもよい。偏光子フィルムの厚みは、5μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
保護フィルムとしては、上記の光学フィルムを用いることができる。偏光子フィルムの両面に上記の光学フィルムを積層してもよいし、偏光子フィルムの一方の面には上記の光学フィルムを積層し、他方の面には他の保護フィルムを積層してもよい。他の保護フィルムとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィン系樹脂、非結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びポリカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。保護フィルムの厚みは、用途に応じて選択できるが、20μm〜200μmの範囲であることが好ましい。
これら保護フィルム及び偏光子フィルムは、接着する前に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理及びプライマー処理等の表面改質処理を行ってもよい。
プライマー処理には、保護フィルム及び偏光子フィルムの種類に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂を含むプライマーを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系等のポリオールを、イソシアネート系架橋剤で熱硬化させるウレタン樹脂が挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂肪族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;キシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;及びこれらのビューレット体又はアロハネート体や、それらの3量体等のポリイソシアネート類が用いられる。
プライマー処理では、プライマーを公知の手段により塗装し、乾燥又は乾燥及び硬化させることでプライマー層を形成することができる。プライマー層の厚みは0.1〜5μmが好ましい。
保護フィルムと偏光子フィルムとを接着する方法としては、例えば、保護フィルム上に接着剤を塗布し、その上に偏光子フィルムを重ね合わせた後、活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる方法、保護フィルム上に接着剤を塗布し、その上に偏光子フィルムを重ね合わせ、その上に接着剤を塗布し、その上に保護フィルムを重ね合わせた後に、活性エネルギー線を照射して2つの接着剤の層を同時に硬化させる方法等が挙げられる。
接着層の厚みは、本偏光板の用途に応じて選択できるが、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。この厚みは厚いほど接着力が高くなる傾向があり、薄いほど光学性能が良好になる傾向がある。
接着剤を基材に塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、カーテンフローコーター法及びダイコーター法等のスリットコーター法、並びにナイフコーター法、ロールコーター法、グラビアコーター法、スプレー法が挙げられる。
接着剤は、活性エネルギー線の照射によって硬化させることで、接着力を発現するもの(活性エネルギー線硬化性接着剤)を用いることができる。活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等のことであり、汎用性の観点から紫外線が好ましい。
紫外線の発生源としては、実用性及び経済性の面から、一般的に用いられている紫外線ランプが好ましい。紫外線ランプとしては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ及び無電極UVランプが挙げられる。また、LED光源を用いてもよい。
接着剤の硬化を促進するために、活性エネルギー線の照射後に加熱してもよい。このときの加熱温度は、40〜100℃が好ましい。
本発明の実施形態による偏光板は、携帯電話等の移動通信端末や液晶テレビ、パソコン、携帯ゲーム機等に用いられる液晶ディスプレイ等の部材に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(製造例1)分散剤(1)の合成
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1200mLの反応容器内に、17質量%水酸化カリウム水溶液61.6質量部、メタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))19.1質量部および脱イオン水19.3質量部を仕込んだ。次いで、反応容器内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応容器内の反応液を室温まで冷却して、メタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次に、撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1050mLの反応容器内に、脱イオン水900質量部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウムの42質量%水溶液(三菱ケミカル(株)製アクリエステルSEM−Na(商品名)60質量部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10質量部およびアクリエステルM(商品名)12質量部を入れて撹拌し、反応容器内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、V−50(商品名))0.08質量部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、メタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))を0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(1)を得た。
(製造例2)(メタ)アクリル系樹脂(A)の合成例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器中に、脱イオン水200質量部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.5質量部および製造例1で製造した分散剤(1)0.26質量部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。
次に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体としてメタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))を96質量部及びアクリル酸メチル(東京化成工業(株))を1質量部と、イオン性官能基を有するビニル系単量体としてメタクリル酸(東京化成工業(株)製)を3質量部と、連鎖移動剤として1−オクタンチオール(東京化成工業(株)製)を0.07質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(アゾビス(イソブチロニトリル))(和光純薬工業(株)製、略称:AIBN)を0.2質量部加え、水性分散液とした。
次いで、反応容器内を十分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温し、反応容器の外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、この水性分散液が80℃になった時点で、反応容器の外温を95℃に昇温し、1時間保持して重合を完結させ、水性懸濁液を得た。
この水性懸濁液を40℃に冷却した後に、この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、60℃で16時間乾燥して、メタクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂(A))を得た。得られたメタクリル系樹脂の耐熱性(ガラス転移温度Tg)は120℃であり、Mw78000であった。
(製造例3)(メタ)アクリル系樹脂(A)の合成例2
アルキル(メタ)アクリレート系単量体としてメタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))を97質量部及びアクリル酸メチル(東京化成工業(株))を1質量部と、イオン性官能基を有するビニル系単量体としてメタクリル酸(東京化成工業(株)製)を2質量部と、連鎖移動剤として1−オクタンチオール(東京化成工業(株)製)を0.07質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(アゾビス(イソブチロニトリル))(二塩酸塩和光純薬工業(株)製、V−50(商品名)、略称:AIBN)を0.2質量部用いた以外は、製造例2と同様にして、メタクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂(A))を得た。得られたメタクリル系樹脂の耐熱性(Tg)は117℃であり、Mw87000であった。
(製造例4)(メタ)アクリル系樹脂(A)の合成例3
アルキル(メタ)アクリレート系単量体としてメタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))を94質量部及びアクリル酸メチル(東京化成工業(株))を1質量部と、イオン性官能基を有するビニル系単量体としてメタクリル酸(東京化成工業(株)製)を5質量部と、及び連鎖移動剤として1−オクタンチオール(東京化成工業(株)製)を0.07質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(アゾビス(イソブチロニトリル))(二塩酸塩和光純薬工業(株)製、V−50(商品名)、略称:AIBN)を0.2質量部用いた以外は、製造例2と同様にして、メタクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂(A))を得た。得られたメタクリル系樹脂の耐熱性(Tg)は120℃であり、Mw85000であった。
(製造例5)(メタ)アクリル系樹脂(A)の合成例4
アルキル(メタ)アクリレート系単量体としてメタクリル酸メチル(三菱ケミカル(株)製 アクリエステルM(商品名))を99質量部及びアクリル酸メチル(東京化成工業(株))を1質量部と、連鎖移動剤として1−オクタンチオール(東京化成工業(株)製)を0.07質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(アゾビス(イソブチロニトリル))(二塩酸塩和光純薬工業(株)製、−50(商品名)、略称:AIBN)を0.2質量部用いた以外は、製造例2と同様の方法にして、メタクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂(A))を得た。得られたメタクリル系樹脂の耐熱性(Tg)は116℃であり、Mw90000であった。
(質量平均分子量(Mw)の測定)
実施例及び比較例で用いたポリカーボネートをGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー社製、製品名:高速GPC装置、型式:HLC−8320GPC)を用いて測定を行い、質量平均分子量を得た(溶離液としてTHFを用い、標準ポリスチレンを用いて作成した較正曲線に基づいて算出)。
(HAZE値の測定方法)
実施例及び比較例で得られたアクリル系光学フィルムを、日本電飾社製ヘーズメーター(製品名:NDH2000)を用い、JIS K7361−1に規格に準拠してHAZE値(ヘイズ値)を測定した。
(耐熱性測定)
製造例、実施例及び比較例で得られた樹脂又は樹脂組成物(樹脂混合物)を、示差走査熱量計(SII社製DSC6220)を用い、10℃/minの昇温速度で加熱し、2回目の昇温結果よりガラス転移温度(Tg)を求めた。
(吸水率評価)
実施例及び比較例で得られたアクリル系光学フィルムを、□10mmにカットし、蒸気乾燥機にて80℃で一晩乾燥させた。次いで、電子天秤を用いてアクリル系光学フィルムの質量を測定した。次に、ディスポカップに純水をいれ、乾燥したアクリル系光学フィルムを200時間浸漬させた。次いで、取り出したアクリル系光学フィルムを、ウェスで水を拭きとった後、再び電子天秤を用いて質量を測定し、質量変化から吸水率を算出した。
(厚さ方向の位相差測定)
実施例及び比較例で得られたアクリル系光学フィルムを、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子社製、製品名:RETS−100)を用いて波長590nmにおける厚さ方向の位相差を40μm厚み換算で算出した。
(粘弾性の測定)
実施例及び比較例で得られたアクリル系光学フィルムを、動的粘弾性測定装置(SII社製、製品名:DMS6100)を用いて引張モードで動的粘弾性を測定し、周波数5Hzの時のtanδを求めた。
(実施例1)
製造例2で得られたメタクリル系樹脂(A)とポリカーボネート(B)(三菱エンジニアリングプラスティック社製、商品名:ユーピロンAL071、MFR100g以上/10min)をメタクリル系樹脂とポリカーボネートの質量比が95:5となるように50g計量し、混練・押出成形評価試験装置(東洋精機製作所社製、製品名:ラボプラストミル4C150)を用いて温度230度で3分間予熱させた後、回転数30rpm、混練時間5分で溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物(樹脂混合物)を得た。表1に、得られた熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を示す。
実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を、圧縮成形機(東洋精機製作所社製、ミニテストプレス10型)を用いて、ヒーター温度220℃、プレス圧2MPa、保持時間2分で成形した後、冷却することでアクリル系光学フィルムを得た。
表1に、得られたアクリル系光学フィルムのHAZE値および吸水率の測定結果を示す。
実施例1で得られたアクリル系光学フィルムを、粘弾性測定で得られたtanδ値から−20℃の温度に設定された恒温槽内にセットして、その光学フィルムを加温した後、材料試験機(A&D社製、製品名:テンシロン万能試験機)を用いて、延伸速度50%/min、延伸倍率1.5で自由一軸延伸を行い、延伸されたアクリル系光学フィルムを得た。得られたアクリル系光学フィルムの厚さ方向の位相差の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
製造例2で得られたメタクリル系樹脂に代えて、製造例3で得られたメタクリル系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びアクリル系光学フィルムを得た。表1に測定結果を示す。
(比較例1)
製造例2で得られたメタクリル系樹脂を用い、ポリカーボネートを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂及び(メタ)アクリル系光学フィルムを得た。表1に測定結果を示す。
(比較例2)
製造例2で得られたメタクリル系樹脂に代えて、製造例4で得られたメタクリル系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及び(メタ)アクリル系光学フィルムを得た。表1に測定結果を示す。なお、得られたフィルムのHAZE値が大きいため、位相差測定はできなかった。
(比較例3)
製造例2で得られたメタクリル系樹脂に代えて、製造例5で得られたメタクリル系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及び(メタ)アクリル系光学フィルムを得た。表1に測定結果を示す。
Figure 2019035019
表中の略号は以下の化合物を示す。
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
MA:アクリル酸メチル
表1に示すように、本発明による(メタ)アクリル系光学フィルムは、透明性、耐熱性、耐吸水性及び位相差に優れていることがわかる。
比較例1は、ポリカーボネート系樹脂(B)を含まないため、実施例に対して位相差と耐吸水性が劣っていることが分かる。
比較例2は、MAA(イオン性官能基を有するビニル系単量体)の量が多いため、HAZE値が大きく(透明性に劣る)、また耐吸水性も劣っていることが分かる。
比較例3は、MAA(イオン性官能基を有するビニル系単量体)を含んでいないため、Tgが低い(耐熱性に劣る)ことが分かる。
本発明の実施形態によるアクリル光学フィルムは、透明性、耐吸水性、耐熱性及び低位相差の点で優れるため、偏光子を保護するために用いられる保護フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル系樹脂(A)及びポリカーボネート系樹脂(B)を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、
    (メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位及びイオン性官能基を有するビニル系単量体の単位を含む(メタ)アクリル系共重合体であり、
    前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、1質量%以上5質量%未満であり、
    ポリカーボネート系樹脂(B)の質量平均分子量が8000〜30000の範囲にある、(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル系樹脂(A)とポリカーボネート系樹脂(B)の質量比(A/B)が90/10〜99/1の範囲にある、請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  3. 前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位の含有量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)中、90〜99質量%の範囲にある、請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  4. (メタ)アクリル系樹脂(A)が、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位として、メチルメタクリレートの単位を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  5. 前記メチルメタクリレート単位の含有量が、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単位中、90質量%以上である、請求項4に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  6. (メタ)アクリル系樹脂(A)が、前記イオン性官能基を有するビニル系単量体の単位として、メタクリル酸の単位を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、(メタ)アクリル系光学フィルム。
  8. 厚さ方向の位相差が−5〜5nmである、請求項7記載の(メタ)アクリル系光学フィルム。
  9. 請求項7又は8に記載の(メタ)アクリル系光学フィルムを保護層として含む偏光板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021153696A1 (ja) * 2020-01-29 2021-08-05 富士フイルム株式会社 偏光板及び表示装置

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