以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態のスロットマシン1は、収納箱BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1〜第3リールR3からなるリールユニット430(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット430の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット440(図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1〜第3リールR3は、リール駆動手段としてのステッピングモータ(図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1〜第3リールR3を回転駆動し、制御基板から駆動パルスの供給が断たれると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1〜第3リールR3が停止する。
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が、いずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1〜第3リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット440からメダルの払い出し等が行われる。
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス作動状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1〜ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示機から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示される。また、主制御表示装置500では、報知表示の表示後、第1リールR1〜第3リールR3が停止した際に、報知表示を終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯することで、内部抽選で当選した役がどの役であるか遊技者が推測できるような報知表示が実行される。
また、前面上扉UDには、演出を行うための演出表示装置410が設けられている。演出表示装置410は、例えば液晶ディスプレイから構成され、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像や画像が表示される。また、本実施形態のスロットマシン1では、前面上扉UDや前面下扉DDに対して、演出を行うためのスピーカ(図示省略)が複数設けられている。スピーカからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1〜ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
本実施形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、規定投入数と同じ回数シングルベットボタンBTを押下するシングルベット操作又はマックスベットボタンMBを押下するマックスベット操作を行うことで、規定投入数のメダルが投入状態に設定され、第1リールR1〜第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行すると、制御基板において第1リールR1〜第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下操作が許可、すなわちストップボタンB1〜ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下(以下、「押下タイミング」と記載)していくと、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のそれぞれに内蔵されている停止信号出力手段としてのストップスイッチ240がON動作を行い、制御基板へ出力するリール停止信号をOFF状態からON状態へ変化させる。ここで、ストップスイッチは、例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサ等から構成される。
また、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1〜ストップボタンB3それぞれに対応するストップスイッチがOFF動作を行い、制御基板へ出力するリール停止信号をON状態からOFF状態に変化させる。そして、制御基板は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のOFF状態からON状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット440からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、それぞれ独立した制御基板である主制御部100と副制御部300とによって制御される。主制御部100は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット430、ホッパーユニット440、主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。また、スロットマシン1においては、主制御部100と副制御部300とについて、主制御部100から副制御部300への単方向通信のみを可能に構成され、主制御部100から副制御部300へ各種信号を送信可能であるものの、副制御部300から主制御部100へ各種信号を送信することができないように通信接続されている。
主制御部100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。主制御部100は、設定変更手段105、投入受付手段110、乱数生成手段115、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、コマンド送信手段180、指示機能状態制御手段185、主記憶手段190、バックアップ制御手段200及びフリーズ制御手段205を含む。主制御部100を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、主記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
設定変更手段105は、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態のスロットマシン1では、収納箱BX内に収められた電源装置に設けられている設定変更スイッチ250を構成するキーシリンダに、設定キーが挿入されて時計回り(又は反時計回り)に設定キーが回されて設定変更スイッチ250がONとなった状態で、電源装置のスイッチが作動し電源装置に電力が供給されたことを設定の変更を許可する条件(設定変更許可条件)としている。設定変更手段105は、設定変更許可条件が成立している場合に、スロットマシン1を設定の変更を許可する状態(設定変更許可状態)に制御する。
設定変更許可状態において、設定変更手段105は、電源装置に設けられているリセットスイッチ260からの入力信号を受け付けるごとに、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を設定1→設定2・・・設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させる。また、スロットマシン1では、設定変更許可状態におけるスタートスイッチ230の作動が設定を確定させる条件とされており、スタートレバーSLの操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値記憶手段191に記憶されている設定値を確定させて設定変更許可状態を終了する。本実施形態のスロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、詳細は後述する内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。
投入受付手段110は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間において、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段110が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段110は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
乱数生成手段115は、抽選用の乱数を発生させる手段である。乱数は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0〜65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応付けられている。
図3、図4は、遊技状態が非リプレイタイム状態〜リプレイタイム3状態(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)、ボーナス成立状態、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのビッグボーナス(以下、ビッグボーナスを「BB」とも記載)が作動した状態であるボーナス作動状態である場合に選択される内部抽選テーブルである内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルFを示す図である。図3、図4に示すように、遊技状態が非RT状態〜RT3状態及びボーナス成立状態である場合に選択される内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEは、小役を含む当選エリアの当選確率が同一に設定されており、小役を含む当選エリアとして、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」と、当選エリア「共通ベル役」と、当選エリア「レア役」と、当選エリア「取りこぼし役」と、にそれぞれ乱数が対応付けられている。また、遊技状態が非RT状態〜RT3状態である場合に選択される内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルDでは、本実施形態において用意されているボーナスとして、ボーナスに当選する当選エリアである当選エリア「ボーナス」が抽選対象として設定されている。
図5(A)は、非RT状態〜RT3状態及びボーナス成立状態において当選可能な小役を含む当選エリア(当選態様)と、各当選エリアの当選時に実行されるストップボタンB1〜ストップボタンB3の操作態様によって入賞可能となる小役と、を示す図である。図5(A)に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベル、特殊小役1〜特殊小役6、レア役及び取りこぼし役が用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選エリア(当選態様)として、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」が設定されている。
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味し、打順1〜打順6の6通りの打順から構成されている。本実施形態のスロットマシン1では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。このため、本実施形態のスロットマシン1では、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下順序が変化すると、第1リールR1〜第3リールR3の停止順序が変化する。
打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって第1リールR1〜第3リールR3の回転が開始され、遊技者が最初に有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第1停止操作とも記載し、第1リールR1〜第3リールR3のうち、第1停止操作で押下操作されたストップボタンに対応した1つのリールの回転が停止した状態で遊技者が有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第2停止操作とも記載し、第1リールR1〜第3リールR3のうち第1停止操作で押下操作されたストップボタンに対応したリールと第2停止操作で押下操作されたストップボタンに対応したリールとの2つのリールの回転が停止した状態で遊技者が有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第3停止操作とも記載する。
当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」は、ベルと、特殊小役1〜特殊小役6のうちいずれか1種類と、が重複して当選する当選エリアである。ここで、ベルは、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時に適切な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、各ストップボタンの押下タイミングによらず入賞する入賞役であり、例えば当選エリア「打順ベル1」の当選時である場合には、打順1でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に入賞する。また、特殊小役1〜特殊小役6は、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞可能な打順以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ各ストップボタンの押下タイミングが適切であった場合に入賞可能な入賞役であり、例えば当選エリア「打順ベル1」の当選時である場合には、打順2〜打順6のいずれかの打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ各ストップボタンの押下タイミングが適切であった場合に入賞する。
なお、本実施形態のスロットマシン1において、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができない打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ特殊小役1〜特殊小役6を入賞させることができない押下タイミングで各ストップボタンが押下操作された場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)が発生する。また、以下の記載において、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができる打順を、正解打順とも記載する。また、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができない打順を、不正解打順とも記載する。
当選エリア「共通ベル役」は、ベルに当選し、打順及び押下タイミングによらずベルが入賞可能に構成されている。当選エリア「レア役」は、レア役に当選し、打順及び押下タイミングによらずレア役が入賞可能に構成されており、他の小役を含む当選エリアよりも当選する確率が低くなるように構成されている。当選エリア「取りこぼし役」は、取りこぼし役に当選し、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合に取りこぼし役を入賞可能に構成されており、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが取りこぼし役を入賞させることができない押下タイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
図5(B)は、ボーナス作動状態において当選可能な小役の当選エリアを示す図である。図5(B)に示すように、JACは、ベル、特殊小役1〜特殊小役6、レア役及び取りこぼし役の、非RT状態〜RT3状態及びボーナス成立状態において当選可能な小役の全てに重複して当選する当選エリアである。
本実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「JAC」に当選した場合、詳細は後述するリール制御手段130によるリール停止制御において、入賞時の払出数が最も多いベルが他の役に優先して入賞するように第1リールR1〜第3リールR3を制御する。これにより、当選エリア「JAC」に当選した場合には、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順及び押下タイミングによらずベルが入賞する。
次に、リプレイを含む当選エリアについて説明する。図3、図4に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイのみを含む当選エリアとして、当選エリア「通常リプレイ」と、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ12」と、当選エリア「レアリプレイ」と、が設定されている。
図6は、非RT状態〜RT3状態及びボーナス成立状態において当選可能なリプレイを含む当選エリア(当選態様)と、各当選エリアの当選時に実行されるストップボタンB1〜ストップボタンB3の操作態様によって入賞可能となるリプレイと、を示す図である。図3、図4、図6に示すように、当選エリア「通常リプレイ」は、内部抽選テーブルA及び内部抽選テーブルEのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、通常リプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらず通常リプレイを入賞可能に構成されている。当選エリア「レアリプレイ」は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルEのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、レアリプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらずレアリプレイを入賞可能に構成されている。また、当選エリア「レアリプレイ」は、各内部抽選テーブルにおいて当選可能なリプレイを含む当選エリアのいずれの当選エリアよりも当選確率が低くなるように設定されている。
当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」は、遊技状態がRT1状態である場合に選択される内部抽選テーブルBにおいて設定されている当選エリアであり、通常リプレイと、RT2移行リプレイと、に重複して当選し、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」のそれぞれに設定された打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にはRT2移行リプレイが入賞し、それ以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に通常リプレイが入賞する。
当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」は、遊技状態がRT2状態、RT3状態である場合に選択される内部抽選テーブルC、内部抽選テーブルDにおいて設定されている当選エリアであり、RT1移行リプレイと、RT3移行リプレイと、に重複して当選し、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のそれぞれに設定された打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にはRT3移行リプレイが入賞し、それ以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にRT1移行リプレイが入賞する。
また、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ12」は、それぞれ入賞形態を示す図柄組合せ(以下、「入賞図柄組合せ」とも記載)が他のリプレイとは異なる特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5といったリプレイと図6に示す組合せで重複当選することで、重複当選する当選態様がそれぞれ異なるように構成されている。なお、後述するリール制御手段130は、内部抽選手段120による内部抽選で特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5を含む当選エリアに当選した場合に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3がいずれの打順及び押下タイミングで押下操作された場合にも、特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5の入賞図柄組合せが表示されないようにリール停止制御を実行するように構成されている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段115が生成し乱数格納領域(不図示)に格納した乱数を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に格納される。
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応付けられる役としては、BBがあり、小役及びリプレイは、後者の持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でBBを含む当選エリアに当選すると、当選したBBの抽選フラグの成立状態を、BBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、BBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、BBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230から、スタート信号が出力されたことに基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1〜第3リールR3の回転駆動を開始する。また、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作の検出に基づきストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、リールユニット430のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させるリール停止制御を行う。このとき、リール制御手段130は、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3を抽選フラグの設定状態、すなわち内部抽選の結果に応じた態様で停止させる。つまり、リール制御手段130は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の各ボタンが押下されるごとに、第1リールR1〜第3リールR3のうち押下されたストップボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1〜第3リールR3について、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。リール制御手段130は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ラインL1上の表示位置に対して0コマ〜4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄を有効ラインL1上の表示位置に表示するように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
このため、スロットマシン1では、上述したベルや各リプレイのようなストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングによらず入賞可能な役の入賞図柄組合せを構成する図柄が、第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれにおいて、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに表示可能な範囲内に配列されている。
ここで、リール制御手段130は、リール回転処理の実行によりリールの回転を開始した時点から、主記憶手段190の有する時間に関する情報を記憶するタイマであるウェイトタイマ(不図示)を用いた計時を開始し、予め定められた待機時間(例えば4.1秒)が経過するまで次回の遊技においてリールの回転の開始を待機する待機処理を実行する。この構成により、リール制御手段130は、1回の遊技の開始から次の遊技の開始までに最小でも上記待機時間を経過してから遊技を開始させることができる。
リール制御手段130は、ロジック演算により回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、主記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理とを行っている。
まず、ロジック演算処理では、役ごとに定められた優先順位データに従ってストップスイッチ240の作動時点、つまりストップボタンの押下操作を検出した時点におけるリールの位置である押下検出位置から0コマ〜4コマの範囲内に存在する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。ここで、リール制御手段130は、リールユニット430に設けられたフォトセンサが各リールに設けられたリール位置検出部を検出した場合に出力されるリールが1回転したことを示す情報であるリールインデックスと、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度(ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数から算出)を用いて、ストップスイッチ240からリール停止信号を受信した時点におけるリールの回転状態を取得する。そして、各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。ただし、ロジック演算処理では、内部抽選の結果や押下検出位置等に応じて複数の停止位置の候補に対して同一の優先度が求まる場合がある。最も優先度の高い停止位置の候補が複数となった場合には、テーブル参照処理によって実際の停止位置を決定する。
ロジック演算処理では、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補を、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。本実施形態のスロットマシン1では、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法とが存在する。有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上に表示可能な入賞図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先度が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。また、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置、すなわち配当が多い小役を入賞させることができる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
また、ロジック演算処理では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。ここで、引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補を求める処理である。一方、蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補を求める処理である。このように、リール制御手段130は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算処理を行っている。
入賞判定手段140は、第1リールR1〜第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、小役、リプレイ、ボーナスの入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には小役の配当に基づき決定した枚数のメダルを払出制御手段150に払い出させる処理を行わせ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に入賞したボーナスを作動させる処理を行わせる。
払出制御手段150は、メダルの払い出しに関する制御である払出制御を実行し、遊技結果に応じたメダルの払い出しを行う処理である払出処理を実行する。具体的には、払出制御手段150は、入賞判定手段140による入賞判定処理の結果に基づき、払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット440に払い出させる払出制御を行う。
本実施形態における小役の配当について、ベルの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い9枚に設定され、レア役の配当は、規定投入数と同数の3枚に設定され、特殊小役1〜特殊小役6及び取りこぼし役の配当は、規定投入数よりも少ない1枚に設定されている。
ホッパーユニット440は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット440には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ441が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ441からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット440から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット440によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
遊技状態移行制御手段170は、非RT状態〜RT3状態の間で移行させるRT状態移行制御処理と、BBが当選した場合に現在の遊技状態からボーナス成立状態に移行させるボーナス成立状態移行制御処理と、BBが入賞した場合に現在の遊技状態からボーナス作動状態に移行させるボーナス状態移行制御処理と、の遊技に係る状態の移行に係る制御と、BBが入賞した場合に、入賞したBBを作動させ、作動させたBBの終了条件が成立した場合に作動させていたBBを終了させるボーナスの作動に係る制御と、を行う。なお、本実施形態において、ボーナス作動状態が遊技者にとって有利な状態である有利状態を構成し、ボーナス成立状態が有利状態へ移行可能な権利が発生している状態を構成する。
図7(A)は、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技に係る状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。なお、以下の記載において、非RT状態〜RT3状態をまとめて「非ボーナス状態」とも記載する。
まず、RT状態移行制御処理の詳細について説明する。図7(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、非RT状態からはRT1状態への移行が可能となっている。具体的には、遊技状態移行制御手段170は、非RT状態において当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT1状態へ移行させる。また、非RT状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定された内部抽選テーブルAを参照した内部抽選が行われる。
RT1状態は、非RT状態と、RT2状態と、RT3状態と、から移行可能な通常の状態に相当する遊技状態で、RT1状態からはRT2状態への移行が可能となっている。具体的には、遊技状態移行制御手段170は、RT1状態において、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」のいずれかに当選し、かつRT2移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT2移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT2状態へ移行させる。RT1状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルBを参照した内部抽選が行われる。
RT2状態は、RT1状態においてリール制御手段130によるリール停止制御によりRT2移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RT2状態からは、RT1状態と、RT3状態と、への移行が可能となっている。具体的には、遊技状態移行制御手段170は、RT2状態において、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のいずれかに当選し、かつRT1移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT1移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、に、RT1状態へ移行させる。
また、遊技状態移行制御手段170は、RT2状態において、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のいずれかに当選し、かつRT3移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT3移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT3状態へ移行させる。RT2状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルCを参照した内部抽選が行われる。
RT3状態は、RT2状態においてリール制御手段130によるリール停止制御によりRT3移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RT3状態からは、RT1状態への移行が可能となっている。具体的には、遊技状態移行制御手段170は、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のいずれかに当選し、かつRT1移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT1移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、に、RT1状態へ移行させる。RT3状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/1.4に設定されることで、小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選する確率が極めて高く設定されている内部抽選テーブルDを参照した内部抽選が行われる。
本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170が、非RT状態〜RT3状態の間で遊技に係る状態を遷移させることで、各遊技状態で異なる遊技性を実現している。具体的には、本実施形態のスロットマシン1においては、通常の遊技が実行されるRT1状態と、リプレイの当選確率が高いRT3状態へ移行する頻度を抑制し過度にメダルの支払いが行われることを防止するRT2状態と、高確率でリプレイに当選することで毎回の遊技において小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに極めて高い確率で当選可能なRT3状態と、でそれぞれ異なる遊技性を実現している。
次に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技に係る状態の移行に係る制御のうちボーナス成立状態移行制御処理について説明する。遊技状態移行制御手段170は、内部抽選でBBを含む当選エリアに当選した場合に、遊技に係る状態を現在の遊技状態からボーナス成立状態へ移行させるボーナス成立状態移行制御処理を実行する。具体的には、遊技状態移行制御手段170は、例えば非RT状態での内部抽選においてボーナスであるBBを含む当選エリア「BB」に当選した場合に、遊技に係る状態を非RT状態からボーナス成立状態に移行させる。
また、スロットマシン1では、BBを含む当選エリアに当選し、かつ当選したBBが入賞しなかった場合、上述したように、当選したBBの抽選フラグが成立状態で維持される。スロットマシン1は、BBが入賞するまでの以降の遊技において、BBの抽選フラグが成立状態で持ち越されているボーナス成立状態での遊技が実行される。ボーナス成立状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルEを参照した内部抽選が行われる。
本実施形態のスロットマシン1では、ボーナス成立状態において、内部抽選で小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選する確率が極めて高く設定されているRT3状態よりもリプレイの当選確率が低い内部抽選テーブルを用いて内部抽選が実行されるように構成されている。本実施形態のスロットマシン1では、ボーナス成立状態における内部抽選で小役又はリプレイに当選した場合に、BBの抽選フラグが成立状態で持ち越されていることから、小役とボーナス又はリプレイとボーナスが重複して当選した状態となる。また、上述した通り、スロットマシン1では、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。また、スロットマシン1では、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが適切である場合に入賞する特殊小役1〜特殊小役3、取りこぼし役の当選時において、当選した特殊小役1〜特殊小役3又は取りこぼし役を入賞できない押下タイミングでストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となるように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナス成立状態のリプレイの当選確率をRT3状態におけるリプレイの当選確率よりも低くなるように設定し、内部抽選でハズレ(不当選)となり得るように構成することで、BBに単独で当選した状態が発生し得るように構成されている。これにより、スロットマシン1では、ボーナス成立状態において、内部抽選でハズレ(不当選)となった際に、抽選フラグが成立状態にセットされ続けているBBを入賞させることができるようになる。
次に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技に係る状態の移行に係る制御のうちボーナス状態移行制御処理と、遊技状態移行制御手段170が実行するBBの作動に係る制御と、について説明する。遊技状態移行制御手段170は、リール制御手段130によるリール停止制御によりBBの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、BBを作動させるとともに遊技に係る状態をボーナス成立状態からボーナス作動状態へ移行させる。
ボーナス作動状態へ移行した場合、遊技状態移行制御手段170は、主記憶手段190の有するカウンタであるボーナス終了判定カウンタ(不図示)へ値を加算する処理を開始する。ボーナス作動状態からは、非RT状態への移行が可能となっている。具体的には、ボーナス作動状態において、216枚を超えるメダルの払い出しが実行され、ボーナス終了判定カウンタに記憶されている値が予め定められた所定の払出数に対応する値(本実施形態では値「217」)に到達した場合に、作動しているBBを終了するとともに、遊技状態を非RT状態に移行する。ボーナス作動状態では、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルFのうち、小役の当選エリアとして当選エリア「JAC」が設定され、極めて高い確率で当選エリア「JAC」に当選するように設定された内部抽選テーブルFを参照した内部抽選が行われる。
コマンド送信手段180は、主制御部100を構成する各手段が実行する制御処理の内容等から他の制御部や出力手段へ送信するコマンドを作成する制御処理であるコマンド作成処理と、コマンド作成処理で作成したコマンドを後述する副制御部300を含む他の制御部や出力手段に送信する制御処理であるコマンド送信処理と、を、予め定められた周期(例えば、1.49msごと)で実行する処理である割り込み処理を2回実行するごとに実行する。本実施形態のコマンド送信手段180は、例えば、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアの情報(当選情報)を他の制御部や出力手段へ送信する場合、主記憶手段190のコマンド記憶手段196に記憶されている当選コマンドテーブルを参照してコマンド作成処理を実行することで、当選情報に基づく制御信号である当選コマンドを作成し、コマンド送信処理を実行することで作成した当選コマンドを他の制御部や出力手段へ送信する。ここで、当選コマンドテーブルは、内部抽選で当選した当選エリアと、副制御部300を含む他の制御部や出力手段へ送信されるコマンドである当選コマンドと、が対応付けられたデータテーブルである。また、当選コマンドには、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに係る情報の他に、主制御表示装置500が実行する報知表示における表示態様に係る情報も含まれている。
また、コマンド送信手段180は、電源装置への電力供給が遮断(電断)され、その後電力供給が再開された場合に電断後復帰コマンドを副制御部300に送信する。副制御部300は、コマンド送信手段180から送信される電断後復帰コマンドを受信することにより電源装置への電力供給が遮断され、その後電力供給が再開されたことを判定することができる。また、本実施形態のコマンド送信手段180は、コマンド作成処理で当選コマンドを作成した場合に、コマンド送信処理において、作成した当選コマンドに応じて主制御表示装置500に当選コマンドを送信可能に構成されている。主制御表示装置500は、コマンド送信手段180から送信された当選コマンドを受信することで、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500を構成する各セグメントが点灯又は消灯し、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選情報を報知する報知表示を実行することができる。
指示機能状態制御手段185は、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を含む指示機能に係る制御がそれぞれ異なる状態である複数の指示機能状態の間での指示機能状態の移行に係る制御と、各指示機能状態における指示機能に係る制御と、を行う。指示機能状態制御手段185は、主記憶手段190の指示機能状態制御データ記憶手段197に記憶されている各データやON状態又はOFF状態にセットされる各種フラグ、カウンタを用いて、指示機能状態に応じた各制御処理を実行する。また、指示機能状態制御手段185が実行する指示機能に係る制御には、後述するアシストタイム状態(以下、アシストタイムを「AT」とも記載)に指示機能状態を移行させるか否かを決定するAT抽選等が含まれる。
図7(B)は、指示機能状態制御手段185によって制御される指示機能状態を示す状態遷移図である。本実施形態のスロットマシン1は、指示機能状態制御手段185によって制御される状態として、通常非アシストタイム状態(通常非AT状態)と、チャンスゾーン状態(CZ状態)と、を含み、指示機能状態制御手段185によって入賞補助制御が実行されない状態である非アシストタイム状態(非AT状態)と、指示機能状態制御手段185によって入賞補助制御が実行されるアシストタイム状態(AT状態)と、を有している。
まず、入賞補助制御が実行されない非AT状態について説明する。通常非AT状態は、入賞補助制御が実行されない非AT状態であり、かつCZ状態でない場合に実行される状態であり、他の状態が開始されるまで継続する状態である。通常非AT状態において、指示機能状態制御手段185は、予め定められた所定の当選役に当選した場合や予め定められた所定の遊技回数の遊技が実行された場合等の、予め定められた抽選条件が成立した場合に、通常非AT状態からCZ状態への移行を決定するか否かを抽選により決定するCZ抽選を実行する。本実施形態の指示機能状態制御手段185においては、予め定められた抽選条件として、内部抽選で当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合にCZ抽選を実行する。
また、指示機能状態制御手段185は、予め定められた抽選条件として、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合に、非AT状態からAT状態への移行を決定するか否かを抽選により決定するAT抽選を実行する。なお、本実施形態において、指示機能状態制御手段185は、例えば、指示機能状態を非AT状態からAT状態に移行させることなく所定の遊技回数(例えば、1000ゲーム)の遊技が実行された場合に非AT状態からAT状態に移行させるように構成されていてもよい。
CZ状態は、通常非AT状態においてCZ抽選に当選した場合に実行される状態であり、通常非AT状態よりもAT状態へ移行する確率が高く、遊技者にとって有利な状態である。CZ状態の開始時において、指示機能状態制御手段185は、主記憶手段190のCZ終了判定カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、10ゲームの遊技が実行されるまでの間、毎ゲームにAT状態の実行を決定するか否かを抽選するAT抽選を実行するように構成されており、当選確率が低い当選エリア「レア役」に当選した場合にのみAT抽選が実行される通常非AT状態よりもAT状態に移行しやすい状態となっている。指示機能状態制御手段185は、CZ終了判定カウンタの記憶する値が値「0」になるまでにAT抽選によってAT状態の実行が決定された場合に、CZ状態を終了してAT状態を開始し、CZ終了判定カウンタの記憶する値が値「0」になった時点でAT抽選によってAT状態の実行が決定されなかった場合に、CZ状態を終了して通常非AT状態を開始する。
次に、入賞補助制御が実行されるAT状態について説明する。本実施形態において、指示機能状態制御手段185は、AT状態において、打順によって入賞する役が異なる当選エリアに内部抽選で当選した場合に、特定役が入賞する確率を上げるための制御として、内部抽選手段120に当選した当選エリアに応じてそれぞれ異なる当選コマンドを作成させる制御である入賞補助制御を実行する。入賞補助制御が指示機能状態制御手段185に実行されることで、スロットマシン1では、内部抽選手段120に作成させた当選コマンドが主制御表示装置500に送信され、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知する報知表示が主制御表示装置500に実行される。ここで、入賞補助制御の対象になる当選エリアは、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」と、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ12」と、が含まれる。また、入賞補助制御によって入賞する確率が上がる特定役は、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時のベル、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」の当選時のRT2移行リプレイ、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」の当選時のRT3移行リプレイである。
このため、AT状態は、遊技者がメダルを獲得することが容易になるとともに、リプレイの当選確率が高い遊技状態に移行する確率も上がることで、遊技者にとってメダルの払い出しに関して有利な状態となっている。
上述した通り、RT3状態においては、小役、リプレイ又はボーナスに必ず当選し、非RT状態〜RT2状態よりもリプレイの当選確率が高く設定されている。つまり、本実施形態のスロットマシン1においては、AT状態が開始され当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」の当選時において、RT2移行リプレイを入賞させることができる打順が報知されることで、遊技状態がRT1状態からRT2状態に移行し、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」の当選時において、RT3移行リプレイを入賞させることができる打順が報知されることで、遊技状態がRT2状態からRT3状態に移行した場合に、以降の遊技における当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時において、正解打順が報知されることで、RT3状態が維持されるため、AT状態における遊技が他の遊技状態よりもリプレイに高確率で当選する状態で実行される、いわゆるアシストリプレイタイム遊技(ART遊技)となっている。
また、指示機能状態制御手段185によってAT状態に制御されている場合、演出制御手段320は、内部抽選手段120から送信される当選コマンドに基づき、特定役の入賞を補助する演出である入賞補助演出を実行する。例えば、演出制御手段320は、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」に当選したことを示す当選コマンドが内部抽選手段120から送信された場合、ベルを入賞させることができる正解打順を演出装置400によって報知する入賞補助演出を実行する。
AT状態は、非AT状態において上述したAT状態への移行が決定された場合に開始される状態である。AT状態の開始時において、指示機能状態制御手段185は、指示機能状態制御データ記憶手段197に含まれ、AT状態における遊技が実行される期間を管理するカウンタであるATゲーム数カウンタ(不図示)に、予め定められた遊技回数に対応する値(例えば、30ゲーム)をセットする。AT状態において遊技が実行された場合に、指示機能状態制御手段185は、遊技の実行の都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を、1回の遊技に相当する値である値「1」ずつ減算する。ATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合、指示機能状態制御手段185は、AT状態の終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了して指示機能状態を通常非AT状態へ移行させる。なお、AT状態が終了する際、演出制御手段320は、演出装置400を構成する各構成に、遊技者にメダルの払出数の合計等を報知するAT結果報知演出を実行させる。
バックアップ制御手段200は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、生成したバックアップデータを主記憶手段190のバックアップ記憶手段198に保存するバックアップ処理と、電源が投入された際、バックアップデータに基づいて遊技に係る状態等を復元する初期化処理と、を実行する。
ここで、遊技機においては、遊技者が遊技を行っている間に、設置されている遊技場(ホール)の停電等により電源装置への電力供給が意図せずに遮断されてしまう場合があるが、このような場合であっても遊技者がメダルの払い出しに関して不利な扱いを受けないように設計される必要がある。本実施形態のスロットマシン1では、バックアップ制御手段200がバックアップ処理と初期化処理とを実行することにより、不意に電源装置への電力供給が遮断された場合であっても、遊技に係る状態を電力供給の遮断前の状態に復元することができ、電断によって遊技者がメダルの払い出しに関して不利な扱いを受けてしまうことを防いでいる。
また、バックアップ制御手段200によって初期化処理が実行された場合、コマンド送信手段180は、電断状態から復帰したことを示すコマンドである電断後復帰コマンドを作成する。コマンド送信手段180によって電断後復帰コマンドが主制御部100から送信されることで、スロットマシン1では、副制御部300等の主制御部100以外の構成に電断から復帰したことが伝達される。
フリーズ制御手段205は、通常の遊技の進行を一時的に遅延させるフリーズを発生させることで遊技の進行に変化を与えると共に、遊技者にとって有利な有利状態へ移行可能な権利が発生している可能性が高いことを示唆して演出を盛上げ、遊技者の遊技の進行に対する興趣を向上させる演出であるフリーズ演出を実行する。本実施形態のフリーズ制御手段205は、予め定められた条件が成立した場合に、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、リール制御手段130にストップスイッチ240による停止操作の検出が有効化されるまでの期間内に、第1リールR1〜第3リールR3を特定態様で動作させるフリーズ演出を実行する。また、本実施形態のフリーズ制御手段205は、第1リールR1〜第3リールR3を用いたフリーズ演出として、それぞれ実行する時間が異なる第1フリーズ演出及び第2フリーズ演出を実行可能に構成されている。
なお、フリーズ制御手段205が実行するフリーズは、第1リールR1〜第3リールR3を用いたフリーズ演出によって通常の遊技の進行を一時的に中断させて遊技の進行を遅延させるものに限定されない。フリーズは、通常の遊技の進行を一時的に中断させて遊技の進行を遅延させることができればよく、例えば有効なストップボタンに対する操作を一時的に無効化するものであってもよく、また、シングルベットボタンBT及びマックスベットボタンMB等に対する操作を一時的に無効化するものであってもよい。
副制御部300は、主制御部100から送信される各種信号に基づき、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出表示装置410及び音響装置420を含む演出装置400等の出力手段の動作を制御する。副制御部300の機能は、主制御部100と略同様に、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。副制御部300は、コマンド受信手段310、演出制御手段320及び副記憶手段330を含む。副制御部300を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、副記憶手段330に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
コマンド受信手段310は、主制御部100のコマンド送信手段180から送信される信号(コマンド)を予め定められた周期(例えば512μs)ごとに受信する制御処理であるコマンド受信処理を実行する。副制御部300においては、コマンド受信手段310が受信したコマンドに基づき、演出制御手段320による演出に係る制御処理が実行される。
演出制御手段320は、主制御部100から送信された各種コマンドと、副記憶手段330の演出データ記憶手段331に記憶されている演出データと、に基づいて、例えば、演出表示装置410を用いて行う表示演出やスピーカを有する音響装置420を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、演出表示装置410の表示内容の変化、スピーカからの音の出力等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、特定の役を入賞させることができる打順や押下タイミングを報知することで特定の役の入賞を補助する演出である入賞補助演出等の遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
また、本実施形態の演出制御手段320は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段115が生成した乱数を取得し、演出抽選テーブル記憶手段332に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行し、抽選処理の結果に応じた演出を演出装置400に実行させるように構成されている。
本実施形態の演出制御手段320は、フリーズ制御手段205によって実行されるフリーズ演出に連動可能なフリーズ連動演出や、ボーナス成立状態であることを遊技者に報知する報知演出を含む遊技に係る各状態に基づく演出を演出装置400を構成する各構成に実行させる。本実施形態において、フリーズ連動演出は、フリーズ制御手段205による第1フリーズ演出や第2フリーズ演出が実行される期間において、遊技者に現在の状態が有利な状態であることを示唆する演出を演出装置400を構成する各構成に実行させることで、第1リールR1〜第3リールR3を用いたフリーズ演出と連動して遊技者の遊技に対する興趣を向上させる演出である。また、報知演出は、例えば、演出表示装置410にボーナス成立状態であることが分かる画像(「ボーナス当選」の文字画像等)を表示することや、音響装置420によりボーナス成立状態であることを遊技者に知らせる音声を出力する等の、既にボーナスに当選しており内部抽選手段120による内部抽選の結果によってはボーナスを入賞可能であることを報知する演出である。演出制御手段320は、遊技状態がボーナス成立状態に移行してから所定の遊技回数の遊技(例えば3ゲーム)の遊技が実行された場合に、報知演出を演出装置400に実行させる。
また、本実施形態の副制御部300は、コマンド受信手段310が受信したコマンドに基づく演出を演出制御手段320が演出装置400に実行させるか否かを判断する演出判断手段325を有している。演出判断手段325は、コマンド受信手段310が受信したコマンドに基づく演出を演出制御手段320が演出装置400に実行させないと判断した場合、演出制御手段320は、演出装置400に実行させる演出内容を変更又は演出装置400に実行させる演出を中止する。演出判断手段325の詳細については、後述する。
なお、演出制御手段320は、フリーズ連動演出として、BBの入賞図柄組合せを演出表示装置410に表示する等のBBの入賞を補助する演出を実行可能に構成されていてもよい。このように構成された場合、演出制御手段320は、電断後状態において、報知演出と並行して実行するように構成されていてもよい。
2.フリーズ演出、フリーズ連動演出及び報知演出に係る制御処理
次に、本実施形態のスロットマシン1において、フリーズ制御手段205が実行するフリーズ演出と、演出制御手段320が演出装置400に実行させるフリーズ連動演出及び報知演出と、について説明する。
上述したように、本実施形態のフリーズ制御手段205は、それぞれ遊技の進行を遅延する時間が異なる第1フリーズ演出と、第2フリーズ演出と、を実行可能に構成されている。フリーズ制御手段205は、予め定められた条件が成立した場合に、成立した条件に対応するフリーズ演出を実行する。具体的には、フリーズ制御手段205は、内部抽選手段120による内部抽選の実行時において、第1フリーズ演出を実行するか否かを決定する第1フリーズ抽選において、「第1フリーズ演出の実行」に当選した場合に、第1フリーズ演出を実行する条件が成立したと判定し第1フリーズ演出を実行する。また、フリーズ制御手段205は、BBの当選フラグがON状態、つまり遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ内部抽選手段120による内部抽選で「ハズレ(不当選)」となり、BBを入賞可能となった場合に、第1フリーズ演出と第2フリーズ演出とを実行する条件が成立したと判定し、第1フリーズ演出と第2フリーズ演出とを実行する。
つまり、本実施形態のスロットマシン1においては、遊技者にとって有利な状態であるボーナス作動状態へ移行可能な権利が発生している場合に、フリーズ制御手段205によって第2フリーズ演出が実行されるように構成されている。
また、本実施形態において、コマンド送信手段180は、フリーズ制御手段205がフリーズ演出を実行する場合に、各フリーズ演出の開始に伴い各フリーズ演出に係るコマンドを副制御部300に送信する。具体的には、コマンド送信手段180は、フリーズ制御手段205が第1フリーズ演出を開始する際に、第1フリーズ演出が開始されることを示すコマンドである第1フリーズコマンドを副制御部300に送信し、フリーズ制御手段205が第2フリーズ演出を開始する際に、第2フリーズ演出が開始されることを示すコマンドである第2フリーズコマンドを副制御部300に送信する。
また、本実施形態において、コマンド送信手段180は、遊技状態がボーナス成立状態であり、内部抽選手段120による内部抽選で「ハズレ(不当選)」と決定された場合に、BBを入賞可能な状態であることを示すコマンドであるBB入賞可能コマンドを作成し、副制御部300に送信する。BB入賞可能コマンドを副制御部300が受信することにより、スロットマシン1では、演出制御手段320による報知演出が実行可能となる。
副制御部300においては、コマンド送信手段180から送信される各フリーズ演出に係るコマンドをコマンド受信手段310が受信し、演出判断手段325によって各フリーズ演出に係るコマンドに基づく演出を実行可能と判断された場合に、演出制御手段320によって受信したフリーズ演出に係るコマンドに対応するフリーズ連動演出が実行される。具体的には、副制御部300では、コマンド受信手段310が第1フリーズコマンドを受信した場合、演出制御手段320によって第1フリーズ連動演出が実行され、コマンド受信手段310が第2フリーズコマンドを受信した場合、演出制御手段320によって第2フリーズ連動演出が実行される。
また、本実施形態の副制御部300においては、コマンド受信手段310が受信したコマンドに基づく演出を演出制御手段320が演出装置400に実行させないと演出判断手段325が判断した場合に、コマンド受信手段310が受信したコマンドに基づく演出の内容が変更又はコマンド受信手段310が受信したコマンドに基づく演出が中止される。本実施形態の演出判断手段325は、コマンド受信手段310が電断後復帰コマンドを受信した後に第2フリーズコマンドを受信した場合に、第2フリーズコマンドに基づく演出である第2フリーズ連動演出を演出制御手段320に実行させないと判断する。
<フリーズ演出中に電力供給の遮断が発生していない場合の制御処理>
図8は、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ内部抽選手段120による内部抽選で「ハズレ(不当選)」と決定されたことに基づき、フリーズ制御手段205が第1フリーズ演出及び第2フリーズ演出の実行を決定した場合における主制御部100及び副制御部300の処理を説明するタイムチャートである。
図8に示すように、主制御部100では、時点t1において、内部抽選手段120による内部抽選で「ハズレ(不当選)」と決定される。次に、主制御部100では、今回の遊技における内部抽選の結果がハズレ(不当選)であり、抽選フラグのうちBBの抽選フラグのみがON状態にセットされておりBBを入賞可能になっていることに基づき、内部抽選が終了した後に実行される2度の割り込み処理の実行時において、コマンド送信手段180がBB入賞可能コマンドを作成し、コマンド送信手段180が副制御部300にBB入賞可能コマンドを送信する。副制御部300は、時点t2’において、時点t2で送信されたBB入賞可能コマンドをコマンド受信手段310が受信する。副制御部300は、受信したBB入賞可能コマンドについて、副記憶手段330のコマンド記憶領域(不図示)に格納する。
次に、主制御部100では、時点t3において、今回の遊技で第1フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始されることから、2度の割り込み処理の実行時において、コマンド送信手段180が第1フリーズコマンドを作成し、コマンド送信手段180が副制御部300に第1フリーズコマンドを送信する。副制御部300は、時点t3’において、時点t3で送信された第1フリーズコマンドをコマンド受信手段310が受信する。
次に、主制御部100では、時点t4において、今回の遊技における第1フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始され、時点t4から時間T1が経過する時点t5において、第1フリーズ演出が終了される。副制御部300では、時点t4と略同時点となる時点t4’において、時点t3’で受信した第1フリーズコマンドに基づく第1フリーズ連動演出を実行可能であると演出判断手段325が判断し、演出制御手段320が演出装置400に実行開始させ、時点t4’から時間T1と略同時間となる時間T1’が経過する時点t5’において、第1フリーズ連動演出が終了される。
次に、主制御部100では、時点t6において、今回の遊技で第2フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始されることから、2度の割り込み処理の実行時において、コマンド送信手段180が第2フリーズコマンドを作成し、コマンド送信手段180が副制御部300に第2フリーズコマンドを送信する。副制御部300は、時点t6’において、時点t6で送信された第2フリーズコマンドをコマンド受信手段310が受信する。
次に、主制御部100では、時点t7において、今回の遊技における第2フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始され、時点t7から時間T2が経過する時点t8において、第2フリーズ演出が終了される。副制御部300では、時点t7と略同時点となる時点t7’において、時点t6’で受信した第2フリーズコマンドに基づく第2フリーズ連動演出を実行可能であると演出判断手段325が判断し、演出制御手段320が演出装置400に実行開始させ、時点t7’から時間T2と略同時間となる時間T2’が経過する時点t8’において、第2フリーズ連動演出が終了される。そして、副制御部300では、時点t9’において、時点t2’で受信したBB入賞可能コマンドに基づく報知演出を演出制御手段320が演出装置400に実行させる。
このようにして、本実施形態のスロットマシン1では、主制御部100のフリーズ制御手段205による第1フリーズ演出及び第2フリーズ演出と、副制御部300の演出制御手段320による第1フリーズ連動演出と第2フリーズ連動演出と、が協働して実行され、遊技者の演出に対する興趣を第1リールR1〜第3リールR3と演出装置400とを用いて向上させることができる。また、スロットマシン1では、主制御部100のフリーズ制御手段205による第1フリーズ演出及び第2フリーズ演出と、副制御部300の演出制御手段320による第1フリーズ連動演出と第2フリーズ連動演出と、の終了後に副制御部300が報知演出を演出装置400に実行させるため、向上した遊技者の演出に対する興趣をBBの入賞に向かわせることができ、遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
<フリーズ演出中に電断が発生する場合の制御処理>
図9は、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ内部抽選手段120による内部抽選で「ハズレ(不当選)」と決定されたことに基づき、フリーズ制御手段205が第1フリーズ演出及び第2フリーズ演出の実行を決定し、フリーズ制御手段205によってフリーズ演出が実行されている間に電断が発生した場合における主制御部100及び副制御部300の処理を説明するタイムチャートである。
図9に示すように、主制御部100では、時点t1〜時点t4において、上述した図8に示す時点t1〜時点t4と略同様の処理が実行される。また、副制御部300では、時点t2’〜時点t4’において、上述した図8に示す時点t2’〜時点t4’と略同様の処理が実行される。
次に、スロットマシン1では、時点t4から時間T1よりも短い時間である時間T11が経過した時点t10で、電源装置への電力供給の遮断が発生し、主制御部100及び副制御部300への電力供給が停止される。このとき、主制御部100では、バックアップ制御手段200によって時点t10におけるバックアップデータが作成され、バックアップ記憶手段198に記憶される。次に、スロットマシン1では、時点t11において、電源装置への電力供給が再開され、主制御部100及び副制御部300への電力供給が再開される。
次に、主制御部100では、時点t12において、バックアップ制御手段200によって作成された時点t10におけるバックアップデータをバックアップ記憶手段198から呼び出し、呼び出したバックアップデータに基づいて遊技に係る状態等を復元する初期化処理を含む電断後復帰に係る制御処理が実行される。また、時点t12において、副制御部300では、電断から復帰したことに基づき電断後復帰に係る制御処理が実行される。なお、副制御部300では、電断の発生及び復帰によって、時点t2’において受信したBB入賞可能コマンドが副記憶手段330から消去されてしまっている。
次に、コマンド送信手段180は、時点t12で実行された電断後復帰に係る制御処理が終了した後に主制御部100によって2度の割り込み処理が実行される時点t13において、電断から復帰しバックアップ制御手段200によって初期化処理が実行されたことから電断後復帰コマンドを作成し、作成した電断後復帰コマンドを副制御部300に送信する。副制御部300では、時点t13’において、時点t13で送信された電断後復帰コマンドをコマンド受信手段310が受信する。
次に、主制御部100では、電断の発生によって時点t2で送信したBB入賞可能コマンドが副制御部300から消去されていることから、時点t14において、コマンド送信手段180がBB入賞可能コマンドを作成し、コマンド送信手段180が副制御部300にBB入賞可能コマンドを送信する。副制御部300では、時点t14’において、コマンド受信手段310がBB入賞可能コマンドを受信する。このとき、演出制御手段320は、時点t13’において電断後復帰コマンドを受信したことと、時点t14’においてBB入賞可能コマンドを受信していることと、に基づき、遊技者にとって有利な状態であるボーナス作動状態へ移行可能な権利が発生しているボーナス成立状態で電力供給が遮断された後に電力供給が再開された状態(以下、「電断後状態」とも記載)であると判定し、報知演出の実行を決定する。
このように、演出制御手段320が電断後状態において演出装置400により速やかに報知演出を実行することで、例えば、遊技場が開店した時点で既にボーナスに当選した状態にしておく、いわゆるモーニングと呼ばれる遊技の公平性に影響を与えるサービスを防止することができる。
次に、主制御部100では、時点t15において、第1フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって再開される。フリーズ制御手段205は、第1フリーズ演出を実行する時間T1から電断前までに実行した時間T11分の時間を引いた時間T12が経過する時点t16まで第1フリーズ演出を実行し、時点t16において第1フリーズ演出を終了する。そして、主制御部100では、時点t17において、今回の遊技で第2フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始されることから、2度の割り込み処理の実行時において、コマンド送信手段180が第2フリーズコマンドを作成し、コマンド送信手段180が副制御部300に第2フリーズコマンドを送信し、時点t18において、今回の遊技における第2フリーズ演出がフリーズ制御手段205によって開始され、時点t18から時間T2が経過する時点t19において、第2フリーズ演出が終了される。
一方、副制御部300では、時点t15’において、報知演出が開始される。そして、副制御部300では、時点t17’において、時点t17で送信された第2フリーズコマンドをコマンド受信手段310が受信する。時点t17’において、副制御部300では、電断後状態において報知演出を開始しており、受信した第2フリーズコマンドに基づく第2フリーズ連動演出を実行することはできないと演出判断手段325が判断することで、演出制御手段320による報知演出が継続され、第2フリーズコマンドを受信したことに基づく第2フリーズ連動演出の実行が中止される。
<本実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態のスロットマシン1は、少なくとも電断後状態において、フリーズ制御手段205がフリーズ演出を実行する場合に、演出装置400によるフリーズ連動演出を中止又は変更する判断が可能な演出判断手段325を備えていることで、電断後状態においてフリーズ連動演出を実行する際に、演出判断手段325によってフリーズ連動演出の中止又は変更が判断されて、報知演出を適切なタイミングで実行することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1は、演出判断手段325が、電断後状態において報知演出が実行される場合に、演出装置400によるフリーズ連動演出の少なくとも一部を中止することを決定するので、報知演出を適切なタイミングで実行することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1は、フリーズ制御手段205が第1フリーズ演出の実行を決定してから第2フリーズ演出の実行前までに電断後状態となった場合に、演出装置400による第2フリーズ連動演出を中止することを決定するので、報知演出が実行されて既に有利状態へ移行する権利が発生していることが報知されているにも関わらず、更に有利状態へ移行する権利が発生している可能性を示唆する第2フリーズ連動演出が実行されることによって遊技者に違和感を与えてしまうことを防ぐことができる。
3.変形例
なお、本実施形態において、スロットマシン1は、副制御部300に演出判断手段325を有するように構成されているが、これに限らず、例えば、主制御部100に演出判断手段325を有するように構成されていてもよい。このように構成されて場合、スロットマシン1は、演出判断手段325によってフリーズ連動演出を中止又は変更すると判断された場合に、フリーズ演出の実行に伴い副制御部300に送信するフリーズコマンドについて、フリーズコマンドに含まれる情報としてフリーズ連動演出の中止又は変更に係る情報を含めるように構成されていてもよく、また、フリーズコマンドの送信を中止するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、電断後状態で報知演出の実行が決定されている場合に、演出判断手段325によって受信したコマンドに基づく演出の実行が中止されるように構成されているが、これに限らず、例えば、受信したコマンドに基づく演出の内容について、音声のみ、演出表示装置410に表示される範囲を縮小する等の変更をすることで、受信したコマンドに基づく演出と、報知演出と、を同時に実行するように構成されていてもよい。また、スロットマシン1は、受信したコマンドに基づく演出の内容を変更し、受信したコマンドに基づく演出が実行される時間を短くし、1ゲーム内において、受信したコマンドに基づく演出と、報知演出と、の双方を実行するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、有利状態としてボーナス成立状態を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、有利状態として、例えば指示機能状態制御手段185によって制御される指示機能状態であるAT状態を有していてもよく、遊技者にとって有利な状態であれば、本実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、指示機能状態制御手段185によっていずれの期間においても指示機能状態に係る制御を自在に実行可能に構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、特定役の入賞を補助する入賞補助制御が実行可能な期間である有利期間(有利区間)と、入賞補助制御が実行されない期間である非有利期間(非有利区間)と、の間での移行に係る制御を行う有利期間制御手段を有し、有利期間制御手段によって有利期間が開始されていない非有利期間においては、AT状態を開始可能になる確率について、設定差によらず一定に保たれるように構成されていてもよい。このように構成された場合、有利期間制御手段は、有利期間を開始した状態で所定の期間(例えば1500ゲーム)が経過した場合と、有利期間を終了すると決定した状態で、かつ当該有利期間中にBBが作動した場合又は入賞補助制御の実行により最大払出数を得られる当選エリア(例えば当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」)の当選時における入賞補助制御が1回実行された場合と、に、指示機能状態制御手段によって制御される指示機能状態によらず有利期間を終了するように構成されていてもよい。また、指示機能状態制御手段185は、有利期間が開始されている状態においては、例えば非有利期間中よりもAT状態に移行しやすいCZ状態等の指示機能状態を有するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、第1フリーズ演出の実行中に電力供給の遮断が発生して電断後状態となった場合に第2フリーズ連動演出の実行を中止するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、副制御部300がBB入賞可能コマンドを受信した状態で、かつフリーズ制御手段205が第1フリーズ演出の実行を決定してから、演出制御手段320が第1フリーズ連動演出を実行するまでの間に電断が発生した場合には、演出判断手段325によって第1フリーズ連動演出及び第2フリーズ連動演出の双方の中止が判断されるように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、電力供給の遮断が発生しない場合において、第1フリーズ演出の開始時点と第1フリーズ連動演出の開始時点及び第1フリーズ演出の終了時点と第1フリーズ演出の終了時点が、共に略同時となるように、第1フリーズ演出及び第1フリーズ連動演出が実行されることとしたが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、第1フリーズ演出が開始される時点と、第1フリーズ連動演出が開始される時点と、について異なる時点となるように構成されていてもよい。このように構成された場合、スロットマシン1では、フリーズ演出が開始されてからフリーズ連動演出が開始されるまでに時間の開きがあることで、該時間の開きの中で電断が発生した際に、演出判断手段325によってフリーズ連動演出の実行の中止又は変更が判断されることで、速やかに報知演出がされるため、報知演出が実行される場合におけるフリーズ連動演出によって遊技者に違和感を与えることを防ぐことができる。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、バックアップ制御手段200が、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、生成したバックアップデータを主記憶手段190のバックアップ記憶手段198に保存することとしたが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、バックアップ制御手段200が電力供給の遮断時における電圧降下を検知し、電圧が所定値以下となるまでにバックアップデータをバックアップ記憶手段198に保存するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、フリーズ演出が実行されている間に電断が発生した場合、電断後状態において第2フリーズ連動演出の実行を中止することとしたが、これに限定されない。スロットマシン1は、適切なタイミングでの報知演出の実行、即ち電断後状態における速やかな報知演出の実行が可能であるように構成されていればよく、例えば、フリーズ演出を実行している間に電断が発生した場合、電断後状態においてまず報知演出としての画像を演出表示装置410に表示させると共に、演出表示装置410にフリーズ連動演出としての画像の一部を表示させるように構成されていてもよい。また、スロットマシン1は、例えば、フリーズ演出が実行されている間に電断が発生した場合、電断後状態において演出表示装置410によりまず報知演出を実行すると共に、演出表示装置410により実行するフリーズ連動演出を中止するものの、音響装置420により実行するフリーズ連動演出については中止しないように構成されていてもよい。また、スロットマシン1は、例えば、フリーズ演出が実行されている間に電断が発生した場合、電断後状態において短時間フリーズ連動演出の一部を実行して、その後速やかに報知演出を実行するように構成されていてもよい。
また、本実施形態において、演出制御手段320は、電断後状態において演出装置400に実行させる報知演出と、電断が発生しない場合において演出装置400に実行させる報知演出と、が同一であるように構成されているが、これに限定されない。演出制御手段320は、電断後状態において演出装置400に実行させる報知演出について、特別な遊技状態であることを示唆できる演出を実行させればよく、例えば、ART遊技の開始を準備している際に演出表示装置410に表示させる「準備中」といった表示をする演出や、電断が発生しない場合において実行する報知演出の一部を省略又は変更した演出等、直接的にボーナス成立状態であることを報知せずに、ボーナス成立状態であることを示唆できる演出であればよく、本実施形態に限定されるものではない。