JP2019032487A - 2重変調方式プロジェクタの制御装置及びそのプログラム、並びに、2重変調方式プロジェクタ - Google Patents

2重変調方式プロジェクタの制御装置及びそのプログラム、並びに、2重変調方式プロジェクタ Download PDF

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勝 金澤
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Abstract

【課題】小型で簡易な構成を実現できる2重変調方式プロジェクタを提供する。
【解決手段】2重変調方式プロジェクタ1は、光源11と、色分解部12と、DMD素子130,140と、反射鏡15,15と、色合成部16と、投射レンズ17と、制御装置20とを備え、制御装置20が、パラメータ設定部21と、処理ブロック毎にDMD素子130を駆動する第1変調制御部23と、画素毎にDMD素子140を駆動する第2変調制御部25とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、2重変調方式プロジェクタの制御装置及びそのプログラム、並びに、2重変調方式プロジェクタに関する。
従来より、HDR(High Dynamic Range)の表示装置としては、有機EL(Electro Luminescence)表示装置や、ローカルディミング法を用いた液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)が知られている。現在、これらの表示装置では、製造技術の制約により、100インチを超える大画面を実現することが困難である。
ここで、大画面表示にはプロジェクタが適しているが、通常のプロジェクタでは、光の漏れがあるため、HDR表示を実現するには問題がある。そこで、光の漏れを大幅に低減したHDR対応のプロジェクタが提案されている(非特許文献1)。このHDR対応プロジェクタは、2回の変調を行う2重変調方式を採用したものである。
以下、図22〜図24を参照し、従来の2重変調方式プロジェクタ90について説明する。
なお、図22では、説明を簡易にするため、2重変調方式プロジェクタ90をモノクロ表示用としたが、カラー表示を行うには、同一構成をRGBの3チャンネル分組み合わせればよい。
図22に示すように、2重変調方式プロジェクタ90は、レーザ光を出射する光源91と、1回目の変調を行う第1変調部92と、リレーレンズ93と、2回目の変調を行う第2変調部94と、第2変調部94からの光を投射する投射レンズ95とを備える。このリレーレンズ93は、第1変調部92からの光を効率よく第2変調部94に出力するという重要な機能を担っており、その光損失が大きくなると2重変調方式プロジェクタ90全体の光出力が低下してしまう。
以下、第1変調部92及び第2変調部94が備えるDMD(Digital Micromirror Device)素子9を詳細に説明する。以下、第1変調部92が備える1段目のDMD素子9をDMD素子9とし、第2変調部94が備える2段目のDMD素子9をDMD素子9とする。
DMD素子9は、微小鏡面素子とも呼ばれ、図23に示すように、画素としての微小鏡面9A及び駆動回路9Bの組を2次元方向で平面状に配列したものである(図23には1つのDMD素子9のみ図示)。このDMD素子9は、微小鏡面9Aの方向を高速に変化させることにより、階調を表現することができる。すなわち、DMD素子9は、微小鏡面9Aをある方向に駆動すると光が反射され(図23(a))、微小鏡面9Aを別の方向に駆動すると光が光吸収板(不図示)でカットされる(図23(b))。以後、図23(a)のように光を反射して出力する状態を「On」と記載し、以後、図23(b)のように光をカットして出力しない状態を「Off」と記載する。
ここで、On−Offの動作を1フレーム期間にNクロック(例えば、数百回)を行う場合を考える。DMD素子9において、ある画素をn回だけOnにする場合、この画素の光出力(輝度)P1は、下記の式(1)となる。このとき、ダイナミックレンジDR1は、最大輝度になる白表示(n=N)と、最小輝度になる黒表示(n=0)との比で表されるので、下記の式(2)となる。なお、Bは、Offの状態で発生する光の漏れ量を表し、Onときの輝度の1/1000程度である。
Figure 2019032487
Figure 2019032487
2重変調方式プロジェクタ90は、2重変調方式を採用しているので、DMD素子9,9で対応する画素を同時にOnにしないと、光を出力できない。すなわち、図24(a)のようにDMD素子9がOnのとき、図24(b)のようにDMD素子9をOnにすると、図24(c)のように2重変調方式プロジェクタ90が光を出力する。このとき、光の漏れ量BがDMD素子9だけでなく、DMD素子9でも低減されるので、2重変調方式における各画素の光出力P2が下記の式(3)となり、ダイナミックレンジDR2が下記の式(4)となる。
なお、図24では、縦軸が光出力(輝度)を表し、横軸が時間(クロック)を表す。
Figure 2019032487
Figure 2019032487
「スーパーハイビジョン用の2重変調方式広ダイナミックレンジプロジェクター」、日下部裕一、NHK技研 R&D/No.137/2013.1、P.49−56
しかし、前記した従来技術では、リレーレンズを必要とするため、2重変調方式プロジェクタが大型化及び複雑化するという問題がある。
そこで、本発明は、小型で簡易な構成を実現できる2重変調方式プロジェクタの制御装置及びそのプログラム、並びに、2重変調方式プロジェクタを提供することを課題とする。
前記した課題に鑑みて、本発明にかかる2重変調方式プロジェクタの制御装置は、光源と、平面状に配列された微小鏡面が光源からの入射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで入射光を変調する第1微小鏡面素子と、平面状に配列された微小鏡面が第1微小鏡面素子からの反射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで反射光をクロック単位で変調する第2微小鏡面素子と、第2微小鏡面素子からの光を投射する投射レンズとを備える2重変調方式プロジェクタの制御装置であって、第1変調制御部と、第2変調制御部と、を備える構成とした。
かかる2重変調方式プロジェクタの制御装置によれば、第1変調制御部は、映像信号が入力され、入力された映像信号に基づいて、複数の微小鏡面で構成される処理ブロック毎に第1微小鏡面素子を駆動する。このように、第1変調制御部は、第1微小鏡面素子を処理ブロック毎に駆動することで、量子力学の不確定性原理により、第1微小鏡面素子からの反射光の拡がりを抑えることができる。
そして、第2変調制御部は、映像信号に基づいて、微小鏡面毎に第2微小鏡面素子を駆動する。
ここで、2重変調方式プロジェクタの制御装置は、処理ブロックの大きさを微小鏡面数で表す処理ブロックサイズと、映像信号の1フレームを表示するクロック数を表す1フレーム期間と、第1微小鏡面素子から第2微小鏡面素子までの間に光が拡大する大きさを微小鏡面数で表す光拡大サイズと、を予め設定するパラメータ設定部、をさらに備え、第1変調制御部は、処理ブロックサイズを光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックに含まれる映像信号の各画素の最大画素値を求め、1フレーム期間のうち、求めた最大画素値に応じたクロック数だけ第1微小鏡面素子に入射光を反射させ、第2変調制御部は、1フレーム期間のうち、映像信号の各画素の画素値に応じたクロック数だけ第2微小鏡面素子に反射光を反射させてもよい。
さらに、2重変調方式プロジェクタの制御装置は、処理ブロックの大きさを微小鏡面数で表す処理ブロックサイズと、映像信号の1フレームを表示するクロック数を表す1フレーム期間と、第1微小鏡面素子から第2微小鏡面素子までの間に光が拡大する大きさを微小鏡面数で表す光拡大サイズと、2重変調方式プロジェクタに要求される要求階調数と、を予め設定するパラメータ設定部と、処理ブロック内の全微小鏡面で光を反射する全体駆動パターンと、全体駆動パターンに対する輝度比が予め設定した値だけ減少するように一部の微小鏡面で光を反射する複数の部分駆動パターンと、複数の部分駆動パターンのうちの最小輝度比単位で映像信号の1階調を表現可能な部分駆動パターンの組み合わせである階調拡張駆動と、を予め設定する駆動パターン設定部と、をさらに備え、第1変調制御部は、処理ブロックサイズを光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックに含まれる映像信号の各画素の最大画素値を求め、1フレーム期間において、求めた最大画素値に応じたクロック数の全体駆動パターンと、階調拡張駆動に含まれる部分駆動パターン数に等しいクロック数の階調拡張駆動とで第1微小鏡面素子を駆動し、第2変調制御部は、要求階調数を1フレーム期間のクロック数で除算した階調比を求め、映像信号の各画素の画素値を階調比で除算した駆動クロック数を求め、第1微小鏡面素子の全体駆動パターンに同期して、駆動クロック数の整数値に応じたクロック数だけ第2微小鏡面素子を駆動し、駆動クロック数の小数値に輝度比の合計が等しくなる1以上の部分駆動パターンを求め、第1微小鏡面素子の階調拡張駆動に同期して、求めた1以上の部分駆動パターンで第2微小鏡面素子を駆動してもよい。
なお、輝度比とは、全体駆動パターンの輝度と各部分駆動パターンの輝度との比のことである。つまり、輝度比は、処理ブロックの全微小鏡面数と、各部分駆動パターンで光を反射して出力する微小鏡面数との比になる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
本発明にかかる2重変調方式プロジェクタの制御装置は、第1微小鏡面素子を処理ブロック毎に駆動することで、第1微小鏡面素子からの反射光の拡がりを抑えられるので、リレーレンズを不要とし、小型で簡易な構成を実現することができる。
各実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタの原理を説明する説明図である。 各実施形態において、2重変調方式プロジェクタにおける輝度制御を説明する説明図である。 各実施形態において、光の広がり幅と、連続でOnになる画素数との関係を示すグラフである。 第1実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタの構成を示すブロック図である。 第1実施形態におけるDMD素子の駆動と光出力との関係を説明する説明図であり、(a)は1段目のDMD素子の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光出力を表し、(c)はプロジェクタ装置全体の光出力を表す。 図4の制御装置の動作を示すフローチャートである。 図2の2重変調方式プロジェクタにおいて、(a)は処理ブロックを全画素Onとした状態の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光分布を表す。 図2の2重変調方式プロジェクタにおいて、(a)は処理ブロックを2画素おきにOnとした状態の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光分布を表す。 図2の2重変調方式プロジェクタにおいて、(a)は処理ブロックを5画素おきにOnとした状態の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光分布を表す。 図2の2重変調方式プロジェクタにおいて、(a)は処理ブロックで中央の30画素の部分を2画素おきにOnとした状態の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光分布を表す。 第2実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタの構成を示すブロック図である。 第2実施形態において、第1部分駆動パターン(駆動B)を説明する説明図である。 第2実施形態において、第2部分駆動パターン(駆動C)を説明する説明図である。 第2実施形態において、第3部分駆動パターン(駆動D)を説明する説明図である。 第2実施形態において、第4部分駆動パターン(駆動E)を説明する説明図である。 第2実施形態におけるDMD素子の駆動を説明する説明図である。 第2実施形態におけるDMD素子の駆動と光出力との関係を説明する説明図であり、(a)は1段目のDMD素子の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光出力を表す。 図11の制御装置の動作を示すフローチャートである。 変形例において、第1部分駆動パターン(駆動B)を説明する説明図である。 変形例において、第2部分駆動パターン(駆動C)を説明する説明図である。 変形例において、第4部分駆動パターン(駆動E)を説明する説明図である。 従来の2重変調方式プロジェクタの構成を示すブロック図である。 従来の微小鏡面素子の説明図であり、(a)は微小鏡面素子が光を反射するOnの状態を表し、(b)は微小鏡面素子が光を反射しないOffの状態を表す。 従来の2重変調方式プロジェクタにおけるDMD素子の駆動と光出力との関係を説明する説明図であり、(a)は1段目のDMD素子の光出力を表し、(b)は2段目のDMD素子の光出力を表し、(c)はプロジェクタ装置全体の光出力を表す。
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
まず、本発明の第1実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタの原理を説明した後、2重変調方式プロジェクタの具体的な構成を説明する。
(第1実施形態)
[2重変調方式プロジェクタの原理]
一般的には、直線状に進んできた光は、鏡面で反射されると、その反射方向に直線状に進む。このとき、鏡面サイズが光の波長の数倍程度にまで小さくなると、量子力学の不確定性原理の影響を受ける。そこで、2重変調方式プロジェクタでは、光の伝搬に関する量子力学の不確定性原理を用いて、小型で簡易な構成を実現している。
図1に示すように、波長λの光が幅dのスリット96を通過した場合を考える。この場合、光が角度φで広がるので、スリット96から距離Dだけ離れた位置では、光の広がり幅がPとなる。これらの関係は、量子力学の不確定性原理により導かれ、下記の式(5)及び式(6)で表される。
Figure 2019032487
Figure 2019032487
DMD素子での反射は、スリット96での拡散と同様に扱われる。以下、DMD素子が備える微小鏡面を単に「画素」と記載する。例えば、DMD素子では、解像度4K(横4096画素×横2160画素)、対角長1.4インチ(16.6mm×31.5mm)の場合、1画素(1微小鏡面)の大きさが7.6μmとなる。このとき、波長0.55μmの光をDMD素子が1画素だけOnの状態で反射すると、幅d=7.6μmのスリット96を通過したときと同様、光の広がる角度φ=4.2°となり、距離D=400mのとき、光の広がり幅P=58.7mmとなる。
すなわち、DMD素子を1画素だけOnにした場合、式(5)の分母dが小さいので、光の拡がり角度φが大きくなり、その反射光が広範囲を照射する。一方、DMD素子でOnにする画素数を多くするほど、式(5)の分母dが大きくなるので、光の広がる角度φが減少する。このように、DMD素子を、多数の画素(微小鏡面)で構成される処理ブロック単位でOnにすることで、反射光の広がりを抑えることができる。
なお、処理ブロックとは、複数の画素が連続して形成される矩形状(正方形状)の領域のことであり、複数設定される。
図2の2重変調方式プロジェクタ90Bのように、従来の2重変調方式プロジェクタ90(図22)においてリレーレンズ93を除いた構成を考える。ここで、DMD素子9,9の間隔は、光学部品などが光路を遮らないといった条件に依存するもので、理想的な状態でも70mm以下にすることは困難であり、ここでは余裕をみて400mmとした。この他、2段のDMD素子9,9が同一構成であり、解像度や対角長の具体的数値は前記したとおりである。
前記したように、1段目のDMD素子9を1画素のみOnにすると、DMD素子9からの光は、2段目のDMD素子9を全範囲以上に広がる。一方、1段目のDMD素子9を1画素ではなく、複数画素が連続した処理ブロックでOnにすると、光がスリット96(図1)を通過したときと同様、光の広がり幅が減少する。
ここで、光の広がり幅と、連続でOnになる画素数(処理ブロックの一辺の画素数)との関係を図3に示す。図3に示すように、連続でOnになる画素数が86画素のとき、光の広がり幅が1.33mmとなる。この光の広がり幅は、2段目のDMD素子9の1/12程度の大きさになる。つまり、100画素程度の処理ブロック単位で1段目のDMD素子9をOn、Offすると、2段目のDMD素子9で1/12程度の画素領域を制御できる。この制御により、液晶表示装置のHDR表示で用いられるローカルディミングと同様の効果が得られ、HDRに対応することができる。
なお、前記した具体的数字が異なる場合でも、同様の結果となる。
[2重変調方式プロジェクタの構成]
図4を参照し、本発明の第1実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタ1の構成について説明する。
図4に示すように、2重変調方式プロジェクタ1は、HDRに対応した2重変調方式のプロジェクタであり、プロジェクタ装置10と、制御装置20とを備える。
<プロジェクタ装置>
プロジェクタ装置10は、光源11と、色分解部12と、第1変調部13と、第2変調部14と、反射鏡15,15と、色合成部16と、投射レンズ17とを備える。
光源11は、例えば、一般的なレーザ光源である。
色分解部12は、光源11からの入射光をRGBの3色に分解するものであり、例えば、ダイクロイックミラーである。
第1変調部13は、後記する第1変調制御部23からの駆動指令に基づいて、色分解部12で分解された各色の光を変調するものであり、1段目のDMD素子(第1微小鏡面素子)130を備える。ここで、DMD素子130が赤色に対応し、DMD素子130が緑色に対応し、DMD素子130が青色に対応する。
第2変調部14は、後記する第2変調制御部25からの駆動指令に基づいて、第1変調部13からの各色の反射光を変調するものであり、2段目のDMD素子(第1微小鏡面素子)140を備える。ここで、DMD素子140が赤色に対応し、DMD素子140が緑色に対応し、DMD素子140が青色に対応する。
なお、DMD素子130,140の構成自体は、従来のDMD素子9(図23)と同様のため、これ以上の説明を省略する。
反射鏡15は、DMD素子140で変調された光を色合成部16に向けて反射するミラーである。
反射鏡15は、DMD素子140で変調された光を色合成部16に向けて反射するミラーである。
色合成部16は、DMD素子140からの光と、反射鏡15で反射された光と、反射鏡15で反射された光とを合成するものであり、例えば、ダイクロイックプリズムである。
投射レンズ17は、色合成部16で合成された光を投射するレンズである。
このように、プロジェクタ装置10は、リレーレンズ93(図22)を備えていない。
<制御装置>
図4に示すように、制御装置20は、プロジェクタ装置10を制御するものであり、パラメータ設定部21と、第1変調制御部23と、第2変調制御部25とを備える。本実施形態では、制御装置20には、映像信号として、4K映像(横3840画素×縦2160画素)が入力されることとする。
パラメータ設定部21は、プロジェクタ装置10の制御に必要な各種パラメータを予め設定するものである。本実施形態では、パラメータ設定部21は、2重変調方式プロジェクタ1の利用者からパラメータの入力を受け付けて、入力されたパラメータを設定することとする。
このパラメータは、第1変調制御部23及び第2変調制御部25によって参照される。例えば、このパラメータとしては、処理ブロックサイズ、1フレーム期間及び光拡大サイズをあげることができる。
処理ブロックサイズは、処理ブロックの大きさを画素数(微小鏡面数)で表すパラメータである。この例では、処理ブロックサイズは、100画素程度の計算し易いサイズとするため、横120画素×縦120画素であることとする。従って、4K映像には、横32個×縦18個の処理ブロックが含まれることになる。
処理ブロックとは、DMD素子130を制御する単位となるブロックのことであり、連続する複数の画素で構成されている。
1フレーム期間は、4K映像を構成する1枚のフレーム画像を表示するクロック数を表すパラメータである。この例では、1フレーム期間が256クロックであることとする(N=256)。
光拡大サイズとは、DMD素子130からDMD素子140までの間に光が拡大する大きさを画素数で表すパラメータである。この例では、光拡大サイズが横30画素×縦30画素であることとする。
第1変調制御部23は、4K映像が入力され、入力された4K映像に基づいて、処理ブロック毎にDMD素子130を駆動するものである。
第2変調制御部25は、4K映像が入力され、入力された4K映像に基づいて、画素毎にDMD素子140を駆動するものである。
<<DMD素子の駆動方法>>
図5を参照し、第1変調制御部23及び第2変調制御部25によるDMD素子130,140の駆動方法について詳細に説明する(適宜図4参照)。
なお、説明を簡易にするため、RGBの各色のうち、何れか1色(例えば、緑色)を説明するが、残り2色(赤色、青色)も同様である。
最初に、第1変調制御部23によるDMD素子130の駆動方法について説明する。
具体的には、第1変調制御部23は、処理ブロックサイズを光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックを求める。また、第1変調制御部23は、各拡大ブロックに含まれる4K映像の各画素の最大画素値を求める。
そして、第1変調制御部23は、1フレーム期間のうち、求めた最大画素値に応じたクロック数だけDMD素子130に入射光を反射させる。本実施形態では、第1変調制御部23は、前記したパラメータを参照し、下記の式(7)で表されるクロック数C1(i,j)を求める。
Figure 2019032487
ここで、(i,j)は、DMD素子130の処理ブロックの位置を表す(例えば、0≦i≦31、0≦j≦17)。
また、C0(n,m)が4K映像の画素位置(n,m)の画素値を表す(例えば、0≦n≦3839、0≦m≦2159)。
また、Maxは、引数のうち最大となるものを返す関数である。
この式(7)の右辺第2項では、「120」が横方向の処理ブロックサイズを表す。また、拡大ブロックは、処理ブロックサイズ「120」を上下左右に光拡大サイズ「30」だけ拡大した横180画素×縦180画素のサイズとなる。従って、式(7)の右辺第2項では、処理ブロックの左端位置「0」から光拡大サイズ「30」を減算した「−30」が、拡大ブロックの左端位置を表す。さらに、処理ブロックの右端位置「120」に光拡大サイズ「30」を加算した「150」が、拡大ブロックの右端位置を表す。
また、式(7)の右辺第3項では、「120」が縦方向の処理ブロックサイズを表す。さらに、式(7)の右辺第3項では、横方向と同様、縦方向において、拡大ブロックの上端位置「−30」と、拡大ブロックの下端位置「150」とを表す。
すなわち、式(7)の右辺では、第2項及び第3項で特定される拡大ブロックにおいて、その拡大ブロックに含まれる4K映像の各画素(n,m)の画素値C0(n,m)のうち、最大画素値Max{C0(n,m)}を求めている。従って、式(7)のC1(i,j)は、図5(a)に示すように、DMD素子130の各処理ブロック(i,j)に含まれる全画素を、最大画素値に等しいクロック数だけOnにすることを意味する。このとき、1フレーム期間からC1クロックを減算したクロック数(N−C1)だけOffの状態となり、光の漏れ量がBとなる。
なお、図5では、縦軸が光出力(輝度)を表し、横軸が時間(クロック)を表す(後記する図16,図17も同様)。
次に、第2変調制御部25によるDMD素子140の駆動方法について説明する。
具体的には、第2変調制御部25は、1フレーム期間のうち、4K映像の各画素の画素値に応じたクロック数だけDMD素子140に反射光を反射させる。
本実施形態では、第2変調制御部25は、下記の式(8)で表されるクロック数C2(n,m)を求める。この式(8)のC2(n,m)は、図5(b)に示すように、DMD素子140の各画素(n,m)を、4K映像の各画素(n,m)の画素値C0(n,m)に等しいクロック数だけOnにすることを意味する。このとき、残りのクロック数(N−C2)だけOffの状態となり、光の漏れ量がBとなる。
Figure 2019032487
ここで、プロジェクタ装置10における各画素(n,m)の光出力Po(n,m)を図5(c)に示す。この出力Po(n,m)は、下記の式(9)で表すことができる。この式(9)では、C1(i,j)=0、C2(n,m)=0のとき、出力Po(n,m)が最小輝度Bとなり、式(4)と同じダイナミックレンジを実現できる。
Figure 2019032487
なお、前記したように、RGBの各色とも同様の処理である。つまり、第1変調制御部23は、4K映像の各画素のRGB値をそれぞれ用いて、DMD素子130,130,130をそれぞれ駆動する。また、第2変調制御部25は、第1変調制御部23と同様、4K映像の各画素のRGB値をそれぞれ用いて、DMD素子140,140,140をそれぞれ駆動する。
なお、図5(a)では、Onとなるクロックを1フレーム期間の先頭側に連続して図示したが、Onとなるクロック数がC1回となるように、1フレーム期間内で何れのクロックをOnとしてもよい。
また、図5(b)では、Onとなるクロックを1フレーム期間の先頭側に連続して図示したが、Onとなるクロック数がC2回となるように、図5(a)でOnとなるクロックに合わせて、1フレーム期間内で何れのクロックをOnとしてもよい。
また、前記した例では、DMD素子130,140が横4096画素×横2160画素である一方、4K映像が横3840画素×縦2160画素なので、DMD素子130,140に余分な画素が生じてしまう。この場合、DMD素子130,140の余分な画素は、Offとすればよい。
[制御装置の動作]
図6を参照し、図4の制御装置20の動作について説明する。
パラメータ設定部21は、プロジェクタ装置10の制御に必要なパラメータとして、処理ブロックサイズ、1フレーム期間及び光拡大サイズを設定する(ステップS1)。
第1変調制御部23は、入力された4K映像に基づいて、第1変調部13(DMD素子130)を駆動する。ここで、第1変調制御部23は、1フレーム期間のうち、前記した式(7)で表されるC1クロックだけ、処理ブロック毎にDMD素子130をOnとする(ステップS2)。
第2変調制御部25は、入力された4K映像に基づいて、第2変調部14(DMD素子140)を駆動する。ここで、第2変調制御部25は、1フレーム期間のうち、前記した式(8)で表されるC2クロックだけ、画素毎にDMD素子140をOnとする(ステップS3)。
なお、ステップS1〜S3の処理を順に説明したが、実際には、ステップS1の処理をステップS2,S3の前に実行しておく。そして、クロック単位でDMD素子130,140が同期して駆動するように、ステップS2,S3の処理を実行することが好ましい。
[作用・効果]
以上のように、本発明の第1実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタ1は、DMD素子130を処理ブロック毎に駆動することで、DMD素子130からの反射光の拡がりを抑えられるので、リレーレンズを不要とし、簡易な構成を実現することができる。
つまり、2重変調方式プロジェクタ1は、従来に比べ、DMD素子130,140の間隔を短くできるので、プロジェクタ装置10を小型化することができる。さらに、2重変調方式プロジェクタ1は、リレーレンズを必要としないので、低コストである。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタ1B(図11)について、第1実施形態と異なる点を説明する。
この2重変調方式プロジェクタ1Bは、表現できる階調数が増加した点が第1実施形態と異なる。
[2重変調方式プロジェクタにおける輝度制御]
本実施形態の前提として、図2の2重変調方式プロジェクタ90Bにおける輝度制御のシミュレーションについて説明する。具体的には、1段目のDMD素子9の輝度を変化させたときの、2段目のDMD素子9に入射する光の分布をシミュレーションした。
ここで、シミュレーション条件は、DMD素子9が解像度4K(横4096画素×横2160画素)、対角長1.4インチ(16.6mm×31.5mm)であり、DMD素子9,9の間隔が400mmであり、光源91からの出射光の波長が0.55μmであり、処理ブロックのサイズが横60画素×縦60画素である。
図7(a)に示すように、DMD素子9の中央に位置する1処理ブロックに含まれる全画素をOnとし、他の画素を全てOffとした。この場合、図7(b)に示すように、DMD素子9では、その中央付近に光が分布する。
なお、図7(a)では、横軸が処理ブロックの画素位置を表し、縦軸がOn/Offの状態を表す。また、図7(b)では、横軸がDMD素子9の画素位置を表し、縦軸が強度(振幅)を表す(図8〜図10も同様)。
また、図7では、垂直方向のシミュレーション結果を図示したが、水平方向でも同様の結果となる。
次に、図8(a)に示すように、DMD素子9の中央に位置する1処理ブロックにおいて、2画素おきにOnとし、他の画素を全てOffとした。つまり、1処理ブロックで垂直方向60画素のうち、3画素につき1画素がOnになるので、垂直方向で20画素がOnとなる。
この場合、図8(b)に示すように、DMD素子9では、その中央付近に光が分布するが、図7(b)に比べて光の強度が約1/3となる。これを水平方向及び垂直方向の2次元で考えると、1処理ブロックが横60画素×縦60画素なので、横3画素×縦3画素の合計9画素のうち1画素をOnとすれば、全画素をOnとした場合に比べて、輝度を1/9にできる。
次に、図9(a)に示すように、DMD素子9の中央に位置する1処理ブロックにおいて、5画素おきにOnとし、他の画素を全てOffとした。つまり、1処理ブロックで垂直方向60画素のうち、6画素につき1画素がOnになるので、垂直方向で10画素がOnとなる。
この場合、図9(b)に示すように、DMD素子9では、その中央以外の部分にも光の分布が生じてしまう。
そこで、図10(a)に示すように、DMD素子9の中央に位置する1処理ブロックにおいて、中央30画素の領域のみを2画素おきにOnとし、他の画素を全てOffとした。つまり、1処理ブロックで垂直方向30画素のうち、3画素につき1画素がOnになるので、垂直方向で10画素がOnとなる。
この場合、図10(b)に示すように、光の分布範囲はやや広がるが、図7(b)に比べて光の強度が約1/6となる。これを2次元で考えると、横60画素×縦60画素の処理ブロックのうちの横30画素×縦30画素の部分において、横3画素×縦3画素の合計9画素のうち1画素をOnとすることになる。この場合、1処理ブロックの全画素をOnとした場合に比べて、輝度を1/36にできる。すなわち、Onとする画素領域を適切に設定することで、光分布の範囲を制御できる。
このように、DMD素子9において、1処理ブロックでOnにする画素間隔及び領域を適切に設定することで、DMD素子9での輝度を制御できることがわかる。
なお、このシミュレーションの結果は、処理ブロックを横120画素×縦120画素とした場合にも適用できることは言うまでもない。
[2重変調方式プロジェクタの構成]
図11を参照し、本発明の第2実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタ1Bの構成について説明する。
図11に示すように、2重変調方式プロジェクタ1Bは、HDRに対応した2重変調方式のプロジェクタであり、プロジェクタ装置10と、制御装置20Bとを備える。
なお、プロジェクタ装置10は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
<制御装置>
制御装置20Bは、プロジェクタ装置10を制御するものであり、パラメータ設定部21Bと、第1変調制御部23Bと、第2変調制御部25Bと、駆動パターン設定部27とを備える。
パラメータ設定部21Bは、プロジェクタ装置10の制御に必要な各種パラメータを予め設定するものである。このパラメータとしては、要求階調数と、処理ブロックサイズ、1フレーム期間及び光拡大サイズをあげることができる。
要求階調数とは、HDR対応のプロジェクタ装置10に要求される階調数のことであり、4K映像の階調数及びガンマ関数により定まる。HDRに対応するには、RGBの1チャンネルにつき、階調数1024(10ビット)が必要となる。さらに、DMD素子130,140が光を扱うことから、映像信号と光の関係も考慮しなければならない。ここで、映像信号と光の関係は非線形なガンマ関数で定義され、映像信号の4倍以上の細かな精度が要求される。例えば、要求階調数は、HDR対応も考慮して9倍の精度を確保するため、映像信号の階調数1024×9=9216に設定することとする。
他の点、パラメータ設定部21Bは、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
以下、駆動パターン設定部27を先に説明した後、第1変調制御部23B及び第2変調制御部25Bを説明する。
駆動パターン設定部27は、DMD素子130の駆動に必要な駆動パターン情報を予め設定するものである。本実施形態では、駆動パターン設定部27は、利用者から駆動パターン情報の入力を受け付けて、入力された駆動パターン情報を設定する。
<駆動パターン情報>
図12〜図15を参照し、駆動パターン情報を詳細に説明する。
この駆動パターン情報は、第1変調制御部23Bによって参照される。例えば、この駆動パターン情報としては、全体駆動パターン、部分駆動パターン及び階調拡張駆動をあげることができる。
なお、処理ブロックが横120画素×縦120画素であることとする。
全体駆動パターンとは、処理ブロック内の全画素で光を反射する駆動方法、つまり、処理ブロック内の全画素をOnとする駆動方法のことである。以後、全体駆動パターンを駆動Aと記載する。駆動Aでは、1クロックの間、処理ブロックに含まれる横120画素×縦120画素が全てOnとなる。
部分駆動パターンとは、駆動Aに対する輝度比が予め設定した値だけ減少する駆動方法のことであり、異なる輝度比で複数の部分駆動パターンが設定される。本実施形態では、部分駆動パターンとして、4つの第1部分駆動パターン〜第4部分駆動パターンが設定されることとする。
なお、輝度比とは、駆動Aの輝度と各部分駆動パターンとの比を表す。つまり、輝度比は、処理ブロックの全画素数と、各部分駆動パターンでOnになる画素数との比になる。
第1部分駆動パターンは、駆動Aに対して輝度比が1/3になる駆動方法のことである。以後、第1部分駆動パターンを駆動Bと記載する。図12に示すように、駆動Bでは、1クロックの間、横120画素×縦120画素の処理ブロックにおいて、2列おきで画素がOnとなる。
なお、図12では、Onの画素を白色とし、Offの画素をハッチングで図示した。
また、図12では、図面を見やすくするため、処理ブロックの一部のみを図示した。
第2部分駆動パターンは、駆動Aに対して輝度比が1/9になる駆動方法のことである。以後、第2部分駆動パターンを駆動Cと記載する。図13に示すように、駆動Cでは、1クロックの間、横120画素×縦120画素の処理ブロックにおいて、水平方向及び垂直方向で2画素おきにOnとなる(つまり、9画素のうち1画素がOn)。
第3部分駆動パターンは、駆動Aに対して輝度比が1/18になる駆動方法のことである。以後、第3部分駆動パターンを駆動Dと記載する。図14に示すように、駆動Dでは、1クロックの間、横120画素×縦120画素の処理ブロックのうち、横60画素×縦120画素の画素領域(図14の破線領域)において、水平方向及び垂直方向で2画素おきにOnとなる。つまり、駆動Dは、1処理ブロックの半分を駆動Cとすることである。
なお、図14では、図面を見やすくするため、Onとなる画素の一部を省略した(正確には破線内部の800画素がOnとなる)。
第4部分駆動パターンは、駆動Aに対して輝度比が1/36になる駆動方法のことである。以後、第4部分駆動パターンを駆動Eと記載する。図15に示すように、駆動Eでは、1クロックの間、横120画素×縦120画素の処理ブロックのうち、横60画素×縦60画素の画素領域(図15の破線領域)において、水平方向及び垂直方向で2画素おきにOnとなる。つまり、駆動Eは、1処理ブロックの1/4を駆動Cとすることである。
なお、図15では、図面を見やすくするため、Onとなる画素の一部を省略した(正確には破線内部の400画素がOnとなる)。
階調拡張駆動とは、複数の部分駆動パターンのうちの最小輝度比単位で4K映像の1階調を表現可能な部分駆動パターンの組み合わせである。
ここで、駆動B〜駆動Eのうち、駆動Eの輝度比が1/36で最小となるため、最小輝度比単位が1/36となる。従って、階調拡張駆動は、4K映像の1階調(0/36〜35/36)を最小輝度比単位1/36で表現可能な駆動B〜駆動Eの組み合わせとなる。
具体的には、2クロックの駆動B、2クロックの駆動C、1クロックの駆動D、2クロックの駆動Eを組み合わせることで、4K映像の1階調に対応する1/36〜35/36を表現可能となる。つまり、階調拡張駆動は、図16に示すように、1フレーム期間のうち、2クロックの駆動Bと、2クロックの駆動Cと、1クロックの駆動Dと、2クロックの駆動Eとで構成された合計7クロックとなる。
例えば、輝度比1/36の駆動Eを1クロックを行うと、階調1/36を表現できる。これを1/36=駆動E×1とする。また、例えば、輝度比1/36の駆動Eを1クロックを行い、輝度比1/18の駆動Dを1クロックを行うと、階調3/36を表現できる。これを3/36=駆動E×1+駆動D×1とする。以下、階調1/36〜35/36の表現に必要な駆動B〜駆動Eの組み合わせを列挙する。
1/36=駆動E×1
2/36=駆動D×1
3/36=駆動D×1+駆動E×1
4/36=駆動C×1
5/36=駆動C×1+駆動E×1
6/36=駆動C×1+駆動D×1
7/36=駆動C×1+駆動D×1+駆動E×1
8/36=駆動C×2
9/36=駆動C×2+駆動E×1
10/36=駆動C×2+駆動D×1
11/36=駆動C×2+駆動D×1+駆動E×1
12/36=駆動B×1
13/36=駆動B×1+駆動E×1
14/36=駆動B×1+駆動D×1
15/36=駆動B×1+駆動D×1+駆動E×1
16/36=駆動B×1+駆動C×1
17/36=駆動B×1+駆動C×1+駆動E×1
18/36=駆動B×1+駆動C×1+駆動D×1
19/36=駆動B×1+駆動C×1+駆動D×1+駆動E×1
20/36=駆動B×1+駆動C×2
21/36=駆動B×1+駆動C×2+駆動E×1
22/36=駆動B×1+駆動C×2+駆動D×1
23/36=駆動B×1+駆動C×2+駆動D×1+駆動E×1
24/36=駆動B×2
25/36=駆動B×2+駆動E×1
26/36=駆動B×2+駆動D×1
27/36=駆動B×2+駆動D×1+駆動E×1
28/36=駆動B×2+駆動C
29/36=駆動B×2+駆動C×1+駆動E×1
30/36=駆動B×2+駆動C×1+駆動D×1
31/36=駆動B×2+駆動C×1+駆動D×1+駆動E×1
32/36=駆動B×2+駆動C×2
33/36=駆動B×2+駆動C×2+駆動E×1
34/36=駆動B×2+駆動C×2+駆動D×1
35/36=駆動B×2+駆動C×2+駆動D×1+駆動E×1
図11に戻り、2重変調方式プロジェクタ1Bの構成について説明を続ける。
第1変調制御部23Bは、4K映像が入力され、入力された4K映像に基づいて、処理ブロック毎にDMD素子130を駆動するものである。
第2変調制御部25Bは、4K映像が入力され、入力された4K映像に基づいて、画素毎にDMD素子140を駆動するものである。
<DMD素子の駆動方法>
図17を参照し、第1変調制御部23B及び第2変調制御部25BによるDMD素子130,140の駆動方法について詳細に説明する(適宜図11参照)。
この例では、処理ブロックサイズが横120画素×縦120画素であり、1フレーム期間が256クロックであり(N=256)、光拡大サイズが横30画素×縦30画素であり、要求階調数が9216であることとする。
また、前記した駆動A〜駆動Eが設定されたこととする。さらに、階調拡張駆動として、2クロックの駆動B、2クロックの駆動C、1クロックの駆動D、2クロックの駆動Eの組み合わせが設定されたこととする。
また、4K映像に含まれる画素(n,m)の画素値Co(n,m)が4626であることとする。なお、この例では、1画素(n,m)のみ説明するが、4K映像の全画素に同様の処理を行うことは言うまでもない。
最初に、第1変調制御部23BによるDMD素子130の駆動方法について説明する。
具体的には、第1変調制御部23Bは、処理ブロックサイズを光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックに含まれる4K映像の各画素の最大画素値を求める。ここで、第1変調制御部23Bは、第1実施形態と同様、式(7)を用いて、最大画素値C1を求めることができる。
また、第1変調制御部23Bは、図17(a)に示すように、1フレーム期間において、最大画素値に応じたC1クロックの駆動Aと、7クロックの階調拡張駆動とでDMD素子130を駆動する。このとき、1フレーム期間からC1クロック及び階調拡張駆動を減算したクロック数(N−C1−7)だけOffの状態となり、光の漏れが発生する。
次に、第2変調制御部25BによるDMD素子140の駆動方法について説明する。
具体的には、第2変調制御部25Bは、要求階調数を1フレーム期間のクロック数で除算した階調比を求める。この例では、第2変調制御部25Bは、階調比=9216/256=36を求める。
ここで、画素位置(n,m)での希望出力(1フレーム期間でOnになる駆動クロック数)をCo(n,m)とする。このとき、最小輝度比単位が1/36なので、Co(n,m)は、整数値をC2(n,m)、小数値をM/36として、下記の式(10)で表すことができる。
Figure 2019032487
また、第2変調制御部25Bは、4K映像の各画素の画素値を階調比で除算した駆動クロック数を求める。この例では、第2変調制御部25Bは、画素(n,m)の駆動クロック数=4626/36=128.5を求める。駆動クロック数=128.5のとき、整数値C2(n,m)=128となり、小数値M/36=0.5となる。
そして、第2変調制御部25Bは、駆動クロック数の小数値に輝度比の合計が等しくなる1以上の部分駆動パターンを求める。この例では、第2変調制御部25Bは、駆動クロック数の小数値0.5=18/36に等しくなるように、駆動B×1+駆動C×1+駆動D×1を求める。
そして、第2変調制御部25Bは、DMD素子130の駆動Aに同期して、駆動クロック数の整数値に応じたクロック数だけDMD素子140を駆動する。この例では、第2変調制御部25Bは、図17(b)に示すように、駆動クロック数の整数値C2=128クロックだけ、DMD素子140を駆動する。
さらに、第2変調制御部25Bは、DMD素子130の階調拡張駆動に同期して、求めた1以上の部分駆動パターンでDMD素子140を駆動する。この例では、第2変調制御部25Bは、図17(b)に示すように、階調拡張駆動の駆動Bに同期して1クロック、階調拡張駆動の駆動Cに同期して1クロック、階調拡張駆動の駆動Dに同期して1クロック、合計3クロックでDMD素子140を駆動する。
ここで、プロジェクタ装置10における各画素(n,m)の出力Po(n,m)は、下記の式(11)で表すことができる。この式(11)のように、2重変調方式プロジェクタ1Bでは、細かな階調表現が可能となっている。
Figure 2019032487
以上のように、制御装置20Bは、1フレーム期間に階調拡張駆動を設け、この階調拡張駆動で階調の小数値を表現することで、下記式のように階調数を増加させることができる。この例では、階調数が、(256−7)×36=8964まで増加する。
階調数=(Nクロック−階調拡張駆動のクロック数)×最小輝度比単位の逆数
なお、式(11)では、M1は、DMD素子130の階調拡張駆動に同期して、DMD素子140を駆動するクロック数を表す。この例では、階調拡張駆動に同期して3クロックだけDMD素子140を駆動するので、M1=3となる。
また、図17(a)では、階調拡張駆動を1フレーム期間の末尾側に連続して図示したが、1フレーム期間内のどこで階調拡張駆動を行ってもよい。また、階調拡張駆動は、駆動B〜Eの順番は任意であり、駆動B〜Eが連続していなくともよい。さらに、2クロックの駆動Bの代わりに1クロックの駆動Cを用いてもよい。
[2重変調方式プロジェクタの動作]
図18を参照し、図11の2重変調方式プロジェクタ1Bの動作について説明する。
パラメータ設定部21Bは、プロジェクタ装置10の制御に必要なパラメータとして、要求階調数、処理ブロックサイズ、1フレーム期間及び光拡大サイズを設定する(ステップS10)。
駆動パターン設定部27は、DMD素子130の駆動に必要な駆動パターン情報として、駆動A〜E、階調拡張駆動を設定する(ステップS11)。
第1変調制御部23Bは、入力された4K映像に基づいて、第1変調部13(DMD素子130)を駆動する。ここで、第1変調制御部23Bは、1フレーム期間において、最大画素値に応じたクロック数の駆動Aと、7クロックの階調拡張駆動とでDMD素子130を駆動する(ステップS12)。
第2変調制御部25Bは、入力された4K映像に基づいて、第2変調部14(DMD素子140)を駆動する。ここで、第2変調制御部25Bは、4K映像の各画素の画素値を階調比で除算した駆動クロック数を求め、駆動クロック数の小数値に輝度比の合計が等しくなる1以上の部分駆動パターンを求める。そして、第2変調制御部25Bは、DMD素子130の駆動Aに同期して、駆動クロック数の整数値に応じたクロック数だけDMD素子140を駆動し、DMD素子130の階調拡張駆動に同期して、1以上の部分駆動パターンでDMD素子140を駆動する(ステップS13)。
なお、ステップS10〜S13の処理を順に説明したが、実際には、ステップS10,S11の処理をステップS12,S13の前に実行しておく。そして、クロック単位でDMD素子130,140が同期して駆動するように、ステップS12,S13の処理を実行することが好ましい。
[作用・効果]
以上のように、本発明の第2実施形態にかかる2重変調方式プロジェクタ1Bは、第1実施形態と同様、リレーレンズを不要とし、小型で簡易な構成を実現することができる。
さらに、2重変調方式プロジェクタ1Bは、駆動B〜Eを組み合わせた階調拡張駆動でDMD素子130を駆動し、この階調拡張駆動に同期して、所望の階調が得られるようにDMD素子140を駆動することで、表現できる階調数を増加させることができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した各実施形態では、映像信号が4K映像であることとして説明したが、本発明は、これに限定されない。
前記した各実施形態では、パラメータの一例として、処理ブロックサイズ、1フレーム期間、光拡大サイズ、要求階調数の具体的数値をあげて説明したが、パラメータはこれらに限定されない。
前記した第2実施形態では、駆動B〜Eにおいて、処理ブロックに一定間隔でOnとなるように画素を設定したが、本発明は、これに限定されない。例えば、駆動B〜Eでは、Onとなる画素をランダムに選択してもよい。例えば、図19に示すように、ある処理ブロックにおいて、3画素のうちの1画素をランダムにOnとすることで、輝度比が1/3となる(駆動B)。また、図20に示すように、ある処理ブロックにおいて、9画素のうちの1画素をランダムにOnとすることで、輝度比が1/9となる(駆動C)。また、ある処理ブロックにおいて、18画素のうちの1画素をランダムにOnとすることで、輝度比が1/18となる(駆動D、不図示)。また、図21に示すように、ある処理ブロックにおいて、36画素のうちの1画素をランダムにOnとすることで、輝度比が1/36となる(駆動E)。
前記した第2実施形態では、部分駆動パターンとして、駆動B〜Eを例示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、以下の駆動F〜Iを部分駆動パターンとして設定してもよい。この場合、階調拡張駆動は、駆動F〜Iを1クロックずつ組み合わせることで、映像信号の1階調に対応する0/16〜15/16を表現可能となる。
駆動F:2画素のうち1画素をOnとすることで、輝度比が1/2
駆動G:4画素のうち1画素をOnとすることで、輝度比が1/4
駆動H:8画素のうち1画素をOnとすることで、輝度比が1/8
駆動I:16画素のうち1画素をOnとすることで、輝度比が1/16
前記した実施形態では、制御装置を独立したハードウェアとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明は、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、前記した制御装置として協調動作させるプログラムで実現することもできる。これらのプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。
(実施例)
以下、本発明の実施例として、図4の2重変調方式プロジェクタ1の具体的なサイズについて説明する。
ここでは、DMD素子130,140が、対角長1.4インチ(16.6mm×31.5mm)であり、光を±12°で反射することとする。この場合、2重変調方式プロジェクタ1では、入射光及び反射光の干渉を防止するため、DMD素子130,140の間隔を最短でも145mm以上、余裕をもって200mm以上とする。
また、比較例として、従来の2重変調方式プロジェクタ90(図22)の具体的なサイズについても説明する。
ここで、DMD素子9の仕様が、DMD素子130,140と同一の場合であることとする。この場合、2重変調方式プロジェクタ90では、リレーレンズ93を用いるので、DMD素子9とリレーレンズ93との間隔を200mm以上とし、リレーレンズ93とDMD素子9との間隔も200mm以上とする必要がある。つまり、2重変調方式プロジェクタ90において、DMD素子9,9の間隔は、400mmと、リレーレンズ93のサイズ(例えば、100mm以上)とを加えたものとなる。
このように、実施例の2重変調方式プロジェクタ1は、比較例の2重変調方式プロジェクタ90と比較して、リレーレンズ93を備える必要がないので、大幅に小型化できることがわかった。
1 2重変調方式プロジェクタ
10 プロジェクタ装置
11 光源
12 色分解部
13 第1変調部
14 第2変調部
15,15 反射鏡
16 色合成部
17 投射レンズ
130,130,130,130 DMD素子(第1微小鏡面素子)
140,140,140,140 DMD素子(第2微小鏡面素子)
20,20B 制御装置
21,21B パラメータ設定部
23,23B 第1変調制御部
25,25B 第2変調制御部
27 駆動パターン設定部

Claims (7)

  1. 光源と、平面状に配列された微小鏡面が前記光源からの入射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで前記入射光を変調する第1微小鏡面素子と、平面状に配列された微小鏡面が前記第1微小鏡面素子からの反射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで前記反射光を前記クロック単位で変調する第2微小鏡面素子と、前記第2微小鏡面素子からの光を投射する投射レンズとを備える2重変調方式プロジェクタの制御装置であって、
    映像信号が入力され、入力された前記映像信号に基づいて、複数の前記微小鏡面で構成される処理ブロック毎に前記第1微小鏡面素子を駆動する第1変調制御部と、
    前記映像信号に基づいて、前記微小鏡面毎に前記第2微小鏡面素子を駆動する第2変調制御部と、
    を備えることを特徴とする2重変調方式プロジェクタの制御装置。
  2. 前記処理ブロックの大きさを微小鏡面数で表す処理ブロックサイズと、前記映像信号の1フレームを表示するクロック数を表す1フレーム期間と、前記第1微小鏡面素子から前記第2微小鏡面素子までの間に光が拡大する大きさを微小鏡面数で表す光拡大サイズと、を予め設定するパラメータ設定部、をさらに備え、
    前記第1変調制御部は、前記処理ブロックサイズを前記光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックに含まれる前記映像信号の各画素の最大画素値を求め、前記1フレーム期間のうち、求めた前記最大画素値に応じたクロック数だけ前記第1微小鏡面素子に前記入射光を反射させ、
    前記第2変調制御部は、前記1フレーム期間のうち、前記映像信号の各画素の画素値に応じたクロック数だけ前記第2微小鏡面素子に前記反射光を反射させることを特徴とする請求項1に記載の2重変調方式プロジェクタの制御装置。
  3. 前記処理ブロックの大きさを微小鏡面数で表す処理ブロックサイズと、前記映像信号の1フレームを表示するクロック数を表す1フレーム期間と、前記第1微小鏡面素子から前記第2微小鏡面素子までの間に光が拡大する大きさを微小鏡面数で表す光拡大サイズと、前記2重変調方式プロジェクタに要求される要求階調数と、を予め設定するパラメータ設定部と、
    前記処理ブロック内の全微小鏡面で光を反射する全体駆動パターンと、前記全体駆動パターンに対する輝度比が予め設定した値だけ減少するように一部の前記微小鏡面で光を反射する複数の部分駆動パターンと、前記複数の部分駆動パターンのうちの最小輝度比単位で前記映像信号の1階調を表現可能な部分駆動パターンの組み合わせである階調拡張駆動と、を予め設定する駆動パターン設定部と、をさらに備え、
    前記第1変調制御部は、前記処理ブロックサイズを前記光拡大サイズだけ拡大した拡大ブロックに含まれる前記映像信号の各画素の最大画素値を求め、前記1フレーム期間において、求めた前記最大画素値に応じたクロック数の前記全体駆動パターンと、前記階調拡張駆動に含まれる部分駆動パターン数に等しいクロック数の前記階調拡張駆動とで前記第1微小鏡面素子を駆動し、
    前記第2変調制御部は、前記要求階調数を前記1フレーム期間のクロック数で除算した階調比を求め、前記映像信号の各画素の画素値を前記階調比で除算した駆動クロック数を求め、前記第1微小鏡面素子の前記全体駆動パターンに同期して、前記駆動クロック数の整数値に応じたクロック数だけ前記第2微小鏡面素子を駆動し、前記駆動クロック数の小数値に前記輝度比の合計が等しくなる1以上の前記部分駆動パターンを求め、前記第1微小鏡面素子の前記階調拡張駆動に同期して、求めた1以上の前記部分駆動パターンで前記第2微小鏡面素子を駆動することを特徴とする請求項1に記載の2重変調方式プロジェクタの制御装置。
  4. 前記駆動パターン設定部は、
    前記部分駆動パターンとして、前記全体駆動パターンに対して前記輝度比が1/3になる第1部分駆動パターン、前記全体駆動パターンに対して前記輝度比が1/9になる第2部分駆動パターン、前記全体駆動パターンに対して前記輝度比が1/18になる第3部分駆動パターン、及び、前記全体駆動パターンに対して前記輝度比が1/36になる第4部分駆動パターンが予め設定され、
    前記階調拡張駆動として、2クロックの前記第1部分駆動パターンと、2クロックの前記第2部分駆動パターンと、1クロックの前記第3部分駆動パターンと、2クロックの前記第4部分駆動パターンとの組み合わせが予め設定されたことを特徴とする請求項3に記載の2重変調方式プロジェクタの制御装置。
  5. 前記駆動パターン設定部は、それぞれの前記部分駆動パターンにおいて、光を反射する前記微小鏡面の位置がランダムに設定されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の2重変調方式プロジェクタの制御装置。
  6. コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の制御装置として機能させるための2重変調方式プロジェクタの制御プログラム。
  7. 光源と、
    平面状に配列された微小鏡面が前記光源からの入射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで前記入射光を変調する第1微小鏡面素子と、
    平面状に配列された微小鏡面が前記第1微小鏡面素子からの反射光をクロック単位で反射又は遮蔽することで前記反射光を前記クロック単位で変調する第2微小鏡面素子と、
    前記第2微小鏡面素子からの光を投射する投射レンズと、
    請求項1から請求項5の何れか一項に記載の制御装置と、
    を備えることを特徴とする2重変調方式プロジェクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021043287A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日本放送協会 2重変調方式プロジェクタの制御装置及びそのプログラム、並びに、2重変調方式プロジェクタ

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