JP2019032197A - 環境インジケータおよび包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費者が商品を受け取る時点で、配送の途中で商品の保管環境が所定の温湿度条件よりも高い状態が一定時間続いたことを容易に、かつ明瞭に確認でき、構造が簡易で低コストであり、食品類などの商品に添付しても安全性に問題がない環境インジケータを提供する。【解決手段】積層フィルムの縁を貼り合わせてなる袋体内部にクエン酸および重曹を収納して密封してなり、前記袋体の周囲温湿度の上昇に伴い収納されたクエン酸と重曹が反応することにより二酸化炭素ガスを発生して前記袋体が膨張することで、袋体の周囲温湿度が所定の温湿度よりも上昇したことを示す。【選択図】図1
Description
本発明は、商品等の流通過程での環境条件を検出する環境インジケータに関し、特に温湿度が所定の条件よりも高温高湿の条件になったことを容易に判別できる環境インジケータに関する。
購入した商品を店頭で受け取る代わりに配送業者に依頼して自宅まで配送してもらうサービスが以前から利用されている。近年になって、対象となる商品の種類が増え、生鮮食料品や冷蔵品、冷凍品などにも利用されるようになり、またインターネットを利用したいわゆるネットショッピングの普及拡大もあり、この種のサービスはますます利用が拡大してきている。
一方で、サービスの拡大に伴い問題も発生してきている。配送は多くの場合、配送業者の自動車を使用して行われるが、配送の過程で流通ターミナルでの滞留、荷物の積み替えなどが発生し、また配送時の車内環境自体も不安定で、特に夏季においては車内の温湿度は40℃から70℃という高温になることもあり、このような環境に商品が長時間にわたり晒されてしまうこともあった。こういった状況から、例えば冷凍状態で保持したまま配送されるべき商品が、配送途中で解凍されてしまい、再度冷凍されて配送されたり、ワインのように、冷蔵の必要は無いものの保存温湿度に敏感な商品が高温の状態で配送されたりするなどした結果、商品に品質不良が発生してしまうことがあり、消費者と配送業者の間でトラブルとなってしまうことがあった。
特に、消費者が受け取った時点で品質不良が発見しやすい商品であれば、その時点で配送業者の責任であることが明らかにできるが、商品によっては受け取った時点では品質不良が分からず、商品を使用するときになって始めて品質不良が分かるような商品の場合、責任の所在を明らかにすることが困難で、大きな問題となることがあった。
そのため、商品が配送される過程での環境条件を適切にトレースして、品質不良が発生しないような適切な環境条件が維持されていることを保証するシステムも提案されているが、システムが複雑であったり、運用が面倒であったり、安全性の面から食品類などには適用できなかったり、コストが掛かってしまったりするなどの問題点があり、普及が進んでいなかった。
このような従来技術として、例えば特許文献1には、高温になったときに特異な匂いを発生する匂い発生物質を内封した包装体が開示され、その匂いにより高温になったことを検知するシステムが開示されているが、ここで発泡剤として用いられている物質は、万一漏れ出したときには安全性の点で問題となる虞のある有機化合物であり、食品類にたいしては適用が難しかった。
また、特許文献2には、パン酵母と水を内封して時間と周囲温度により膨張変化するインジケータを圧力に応じて発光する感圧材を設けたホルダで挟持し、発光特性を検出して鮮度情報を得て流通過程での温度管理が適正になされたか判断するシステムが開示されている。しかしながら、パン酵母と水は安全性の点では問題ないものの、システム自体が大規模かつ複雑となり、また商品を受け取る消費者自身がその判断結果の正当性を簡単に判別する手段はなかった。
また、特許文献3には、酸素濃度に反応して不可逆的に色変化する酸素検知剤を、−1
0℃〜10℃の範囲で酸素ガス透過度が増加するフィルムで包装した温度履歴インジケータが開示されている。しかしながら、特許文献3に開示されたインジケータは、温度範囲が−10℃〜10℃の範囲に限られるほか、色変化の度合いを専門的な測定器である色差計で測定しなければならず、簡便性に欠け、一般の消費者が利用できるものではなかった。
0℃〜10℃の範囲で酸素ガス透過度が増加するフィルムで包装した温度履歴インジケータが開示されている。しかしながら、特許文献3に開示されたインジケータは、温度範囲が−10℃〜10℃の範囲に限られるほか、色変化の度合いを専門的な測定器である色差計で測定しなければならず、簡便性に欠け、一般の消費者が利用できるものではなかった。
また一方で、数秒間から数分間という短い時間高温環境に晒されるだけでは品質不良につながる虞は少ないので、このような場合は除外できないとかえって不正確な情報となってしまうため、少なくとも数十分から数時間に亘って高温環境に晒されたことを適切に検出できることが望ましいが、実現が難しかった。
こういった従来技術の問題点に鑑み、本発明は、配送された商品を受け取った消費者が、商品を受け取る時点で、配送の途中で商品の保管環境が所定の温湿度条件よりも高い状態が一定時間以上晒されたことを容易に、かつ明瞭に確認でき、構造が簡易で低コストであり、食品類などの商品に添付しても安全性に問題がない環境インジケータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
透湿性を有する積層フィルムの縁を貼り合わせてなる袋体内部にクエン酸および重曹を収納して密封してなり、前記袋体の周囲温湿度の上昇に伴い収納されたクエン酸と重曹が反応することにより二酸化炭素ガスを発生して前記袋体が膨張することで、前記袋体の周囲温湿度が所定の温湿度よりも上昇したことを示す環境インジケータである。
透湿性を有する積層フィルムの縁を貼り合わせてなる袋体内部にクエン酸および重曹を収納して密封してなり、前記袋体の周囲温湿度の上昇に伴い収納されたクエン酸と重曹が反応することにより二酸化炭素ガスを発生して前記袋体が膨張することで、前記袋体の周囲温湿度が所定の温湿度よりも上昇したことを示す環境インジケータである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記袋体内部に収納するクエン酸と重曹の重量比率が、クエン酸1に対して、重曹0.8〜3.5の比率であることを特徴とする請求項1に記載の環境インジケータである。
前記袋体内部に収納するクエン酸と重曹の重量比率が、クエン酸1に対して、重曹0.8〜3.5の比率であることを特徴とする請求項1に記載の環境インジケータである。
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記袋体に、前記二酸化炭素ガスによる膨張時に前記袋体の一部が破封する脆弱化部を設けてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の環境インジケータである。
前記袋体に、前記二酸化炭素ガスによる膨張時に前記袋体の一部が破封する脆弱化部を設けてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の環境インジケータである。
また、本発明の請求項4に係る発明は、
前記脆弱化部が、前記積層フィルムを貫通しないスリットまたは前記積層フィルムの縁を貼り合わせたシール部の一部に設けられた低シール強度部により形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の環境インジケータである。
前記脆弱化部が、前記積層フィルムを貫通しないスリットまたは前記積層フィルムの縁を貼り合わせたシール部の一部に設けられた低シール強度部により形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の環境インジケータである。
また、本発明の請求項5に係る発明は、
前記低シール強度部のシール強度が、他のシール部のシール強度の20〜90%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の環境インジケータである。
前記低シール強度部のシール強度が、他のシール部のシール強度の20〜90%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の環境インジケータである。
また、本発明の請求項6に係る発明は、
前記袋体の表面に、圧力に反応して発光状態が変化する感圧インクが塗布されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の環境インジケータである。
前記袋体の表面に、圧力に反応して発光状態が変化する感圧インクが塗布されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の環境インジケータである。
また、本発明の請求項7に係る発明は、
請求項1から6のいずれかに記載の環境インジケータを、ガスバリア性の包装袋に収納した包装体である。
請求項1から6のいずれかに記載の環境インジケータを、ガスバリア性の包装袋に収納した包装体である。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、透湿性を有する積層フィルムを貼り合わせて構成された袋体に、人体に無害な物質であるクエン酸と重曹を封入した、非常に簡便で、安全かつ低コストの環境インジケータで、配送する商品の品質保証をすることができる。周囲環境の温湿度の影響を受けてクエン酸と重曹が反応することで発生する二酸化炭素ガスもまた無害であり、使用に支障がない。配送途中に高温湿度環境下にあったことの検出は、袋体が大きく膨らんでいること、あるいは一旦膨らんだ袋から二酸化炭素ガスが放出されてたるんだ状態となっていることを目視または手触りで確認するだけで良く、特別な検出装置などを使用することなく、一般の消費者が商品受け取り時に容易に行うことができる。
また短時間、高温湿度の環境に置かれただけでは品質の劣化は生じないため、ある程度の時間に亘って高温湿度環境下にあったことを判別できることが望ましいが、クエン酸と重曹を内封した袋体は、概ね温度30℃以上、湿度50%以上の環境に置かれたときに反応が始まり、前述の様な車内の温湿度環境においては、袋体の容積と内封するクエン酸と重曹の量を適宜調節することで、例えば温度70℃環境下では30分、温度50℃環境下では12時間、温度40℃湿度70%環境下では6時間で反応が開始するようにでき、多くの食品類やワインの様な飲料類が品質劣化を起こす条件に合致し、これらの商品の品質劣化に繋がる温湿度環境であったことを好適に検出することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、クエン酸と重曹の重量比率を一定の範囲とすることで、袋体を商品に同封しやすいサイズとしたときに反応が開始する温湿度と反応速度をより適切なものとすることができ、より好ましい。
また、請求項3に記載の発明によれば、発生した二酸化炭素ガスにより袋体の内圧が高まり過ぎたときに。脆弱化部が破封して二酸化炭素ガスを逃がし、袋体が破裂することを防ぐことができる。破封することにより二酸化炭素ガスが放出され、袋体は縮小するが、一端膨らんだ袋体は積層フィルムが伸びてたるんだ態様となり、また破封されていることも容易に確認できるため、二酸化炭素ガスが発生したことの確認には支障がない。
また、請求項4に記載の発明によれば、脆弱化部をスリットまたは低シール強度部として設けることで、特別な別工程や別装置を使用することなく、通常の製袋装置およびプロセスの中で設けることができ、好ましい。
また、請求項5に記載の発明によれば、脆弱化部のシール強度を通常のシール部に対して20〜90%の範囲とすることで、発生した二酸化炭素ガスの過剰な内圧で袋体が破袋する前に確実に破封できる。
また、請求項6に記載の発明によれば、発生した二酸化炭素ガスにより袋体の内圧が高まって膨張したときに、感圧インクの発光状況が変化して所定のパターンが袋体に浮かび上がり、袋体が膨張したことをより分かりやすく表示することができ、より好ましい。
また、請求項7に記載の発明によれば、環境インジケータをガスバリア性の包装袋に収納することで、実際に環境インジケータとして商品に添付するまでは湿気などが入り込んでしまうことがなく、環境インジケータの性能を安定して状態で保存することができる包装体が得られる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明の環境インジケータの一実施形態の外観斜視図である。また図2は本発明の環境インジケータの一実施形態の断面模式図である。本発明の環境インジケータ1は、一対の積層フィルム100、110のシーラント層103、113同士を対向させ、周縁をヒートシールしてシール部11を設けて密封された袋体10に、クエン酸13と重曹14を内封して構成される。一方の積層フィルム100の最外層フィルムである表層101には、十字状にスリット12が設けられ、脆弱化部12となっている。
積層フィルム100、110は例えばシーラント層103、113と表層101、111に加え、中間層102、112を設けても良いが、これに限定されず、他の層、例えば印刷層などを加えても良い。シーラント層103、113を構成する樹脂材料としてはヒートシール性があれば特に限定されず、各種の熱可塑性樹脂を使用できるが、例えばポリオレフィン系樹脂であれば、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。シーラント層の膜厚は通常10μmから60μmである。本実施形態においては、厚さ40μmの低密度ポリエチレン樹脂層としている。
表層101、111を構成する樹脂材料としては、一般的に包装袋に用いられるもので、透湿性を有し十分な破断強度を持つものであれば特に限定されないが、例えばポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、直鎖状ポリプロピレン等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)などの合成樹脂などの公知のプラスチックフィルムから適宜選択して使用できる。本実施形態においては、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとしている。
表層101に設けられたスリット12は、表層部分のみに設けることにより、その部分が破断に対して脆弱化され、袋体10の内圧が、袋体10が破裂するようなレベルまで高まる前に先行して破断されて内圧を逃がすことで、袋体10の破裂を防止する。袋体が破裂すると、内部に封入されたクエン酸13や重曹14が飛び散るばかりでなく、袋体10自体が破裂した勢い商品などにぶつかり、商品にダメージを与える虞があり、避けなければならない。またクエン酸13や重曹14は無害ではあるが、飛び散ってしまうと見た目も悪く、取り除く手間もかかってしまう。スリット12は、レーザー照射加工、ハーフカット加工などの公知の加工法を適宜適用して設けることができる。なおスリット12は、袋体10の膨張が破裂する様なレベルに近づかなければ破封せず、破封しない場合は、周囲温湿度が一旦上昇して袋体10が図1の様に膨張した後に周囲温湿度が低下しても袋体10は膨張した状態を保ったままとなる。脆弱化部12のシール強度は、他の部分のシール強度に対して20〜90%の範囲とすると、袋体10が破裂する前に確実に破封できると共に、十分膨張する前に破封してしまうことがなく好ましい。
袋体10の透湿性の調整、あるいは破封に対する強度の調整などのために中間層を設けても良く、中間層を構成する樹脂材料としては特に限定されるものではなく、表層101を構成する樹脂材料と同様のものから適宜選択して用いることができるが、なかでも透湿性の比較的高いものが透湿性の調整に好適であり。本実施形態においては、ナイロンフィルムが用いられ、厚みは15μmである。
各層を接着して積層フィルム100、110とするには、特に限定するものではないが公知のドライラミネーション法、押出ラミネーション法などを適用して積層フィルムとすることができる。また袋体10の形状は、図1の様な四周をシールした四方シールのほか、1枚の積層フィルムをシーラント層が向かい合うように折り返して縁をシールした三方シールの形状でも良い。
内封されるクエン酸13と重曹14は、周囲にまったく水分がない状態では反応を起こさないが、周囲環境の湿度が高くなるとその影響を受け、反応を始める。また温度が高くなると飽和水蒸気圧が上昇するため相対湿度が変わらなくとも反応が起きやすくなる。そして、クエン酸13と重曹14の量と比率、及び袋体10の容積により、反応速度に違いが出るため、商品配送時の条件を考えたときに、品質劣化につながりやすい環境条件の判別に好適な比率とすると好ましく、クエン酸13と重曹14の重量比率が、クエン酸1に対して、重曹0.8〜3.5とすると好ましい。またクエン酸1に対して、重曹1.0〜1.6とするとさらに好適である。
袋体10のサイズは特に限定するものではないが、一般に大きすぎると商品に添付しにくく、小さすぎると紛失されやすく、また膨張したときの効果が分かりにくくなるため、50mm角以上100mm角以下などとするとシール部11の幅とのバランスなども良く好適である。例えば80mm角程度の方形の袋としたときは、シール部11の幅を15mmとすると好適なシール強度が得られ、その値は40N/15mmである。またその場合のクエン酸と重曹の封入量としては、例えばクエン酸1.4g、重曹を1.9gなどとすると好ましい。
上記のような袋体10のサイズ及びクエン酸13と重曹14の封入量として環境インジケータ1としたとき、周囲温湿度と二酸化炭素ガスが発生し始める反応開始時間の関係は、以下のようになる。なお湿度の指定が無いものは通常の湿度で、略50%の湿度である。
周囲温湿度:反応開始時間
40℃:24時間
40℃湿度70%:6時間
50℃:12時間
70℃:30分
80℃:6分
上記のように、食品類や飲料などの商品の品質劣化が生じやすい40℃を超える温度環境にある程度以上の時間に亘って晒されたときに、周囲環境の湿度の影響により二酸化炭素ガスの発生と袋体10の膨張が始まり、図1に示したように袋体10が膨張した状態となる。その後周囲温湿度が低下しても、袋体10は膨張したままなので、商品に添付されたときに容易に目視また触覚により確認できる。
周囲温湿度:反応開始時間
40℃:24時間
40℃湿度70%:6時間
50℃:12時間
70℃:30分
80℃:6分
上記のように、食品類や飲料などの商品の品質劣化が生じやすい40℃を超える温度環境にある程度以上の時間に亘って晒されたときに、周囲環境の湿度の影響により二酸化炭素ガスの発生と袋体10の膨張が始まり、図1に示したように袋体10が膨張した状態となる。その後周囲温湿度が低下しても、袋体10は膨張したままなので、商品に添付されたときに容易に目視また触覚により確認できる。
本発明の環境インジケータ1の脆弱化部12は、上記の例以外にも様々な形態とすることができる。図3は脆弱化部のその他の例を示す模式図である。すなわち表層101に十字状のスリットを設ける代わりに、周縁のシール部11の一部に他の部分よりも接着力の弱い低シール強度部15を脆弱化部15として設けるもので、その態様としては図3(a)のようにシール部11の一部を全体として接着力を弱めた低シール強度部15とすることが可能であり、このような態様は、低シール強度部15におけるヒートシール温度をシール部11の他の部分よりも低い温度とする、ヒートシール時間を短くする、ヒートシール圧を低く設定するなどの方法により実現できる。
また図3(b)に示す態様においては、脆弱化部15におけるヒートシールを格子状のパターンで行い、升目状にヒートシールしない部分を残すような態様とすることでこの部分のシール強度を低下させた低シール強度部15としたものである。あるいはまた、図3(c)に示すように、直線状または折れ線状などにヒートシールしない部分を設けるような態様とすることでこの部分のシール強度を低下させた低シール強度部15としたものである。図3(b)、図3(c)の例は、この部分のシール型をそれぞれのシールパタンに応じた形状とすることで実現できる。また図3(a)の方法と図3(b)、(c)の方法を組み合わせて低シール強度部15を設けても良い。
図4は、図3(b)の態様でヒートシールされた脆弱化部15の部分を拡大した断面模式図であり、シーラント層103、113の間に、ヒートシールされない非シール部16が残される態様となるため、この部分の接着力が弱くなり、脆弱化部15とすることができることを示している。
図5は、図2に示した本発明の環境インジケータ1が、周囲温湿度の上昇に伴い発生した二酸化炭素ガス17により膨張する様子を示す断面模式図である。周囲温湿度が上昇し、封入されたクエン酸13と重曹14の量および袋体10の容積などによって定まる反応開始温湿度を超えるレベルに達すると、クエン酸13と重曹14の反応が徐々に始まり、二酸化炭素ガス17が発生し、袋体10は徐々に膨み始める。周囲温湿度が高い状態が継続維持され、または周囲温湿度がさらに高まると、反応はさらに進み、袋体10はさらに膨張してゆく。脆弱化部12は、袋体10の内圧が、袋体10が破裂する虞が出るようなレベルに近づくまでは破封せず、袋体10は膨張した形状を保つ。
この段階で周囲温湿度が低下すれば、袋体10の膨張も止まり、周囲温湿度が低下した後も袋体10は膨張したままの状態となる。一方、温湿度がさらに上昇するか、上昇した状態が維持される場合、二酸化炭素ガスを放出する反応は続くため、袋体10の内圧はさらに高まってゆくが、袋体10が破裂する前の所定の段階で脆弱化部12が先に破封し、二酸化炭素ガス17を放出して内圧を逃がして破裂を未然に防ぐ。
図6は、膨張した本発明の環境インジケータの脆弱化部が破封してガスが抜ける様子の
説明図である。図6(a)は表層101にスリット12が脆弱化部12として設けられた場合の例であり、発生した二酸化炭素ガス17により膨張した袋体10がスリット12の部分から破封され、開口部18が形成されて二酸化炭素ガス17が放出されて内圧を逃がす。また図6(b)はシール部11に低シール強度部15が脆弱化部15として設けられた場合の例であり、図6(a)の場合と同様に、発生した二酸化炭素ガス17により膨張した袋体10が低シール強度部15から破封され、開口部18が形成されて二酸化炭素ガス17が放出されて内圧を逃がす。このように脆弱化部12、15が、袋体10が破裂する前に破封されて開口部を形成して内圧を逃がし、袋体10の破裂を防ぐ。
説明図である。図6(a)は表層101にスリット12が脆弱化部12として設けられた場合の例であり、発生した二酸化炭素ガス17により膨張した袋体10がスリット12の部分から破封され、開口部18が形成されて二酸化炭素ガス17が放出されて内圧を逃がす。また図6(b)はシール部11に低シール強度部15が脆弱化部15として設けられた場合の例であり、図6(a)の場合と同様に、発生した二酸化炭素ガス17により膨張した袋体10が低シール強度部15から破封され、開口部18が形成されて二酸化炭素ガス17が放出されて内圧を逃がす。このように脆弱化部12、15が、袋体10が破裂する前に破封されて開口部を形成して内圧を逃がし、袋体10の破裂を防ぐ。
図7は、本発明の環境インジケータの脆弱化部から二酸化炭素ガスが放出された後の状態の断面模式図である。クエン酸13と重曹14が反応することにより発生した二酸化炭素ガスにより膨張した袋体10の内圧が脆弱化部12を破封するレベルを超え、脆弱化部12が破封されて開口部18が形成され、内部のガスが放出されて袋体10が萎んだ状態である。袋体10が萎んだ後でも、一旦膨張した袋体10の積層フィルム100、110は伸ばされた状態のままであるため、図7に示すように弛んだ状態となる。このため商品に添付されたときに、消費者は容易に当初の膨張する前の状態と区別することができ、配送中の環境が好ましいものではなかったことが判別できる。
図8は、本発明の環境インジケータの一実施形態の袋体に感圧インクパターンが設けられた態様の外観斜視図である。感圧インクは周囲の酸素による消光効果が酸素分圧の変動に応じて変化することを利用して、感圧インクパターンの発光状況の変化を目視により確認することで袋体の内圧が高まって膨張していることを表示するものである。感圧インクパターンは袋体10の膨張により圧力が高まったことを分かりやすく表示するものであればどのようなパターンであっても良いが、例えば配送時の環境条件が不適切なものであったことを表示する文字パターン20や、より端的に圧がかかったことを表示する図形パターン21などであっても良い。
感圧インクに用いる色素としては、白金ポルフィリン錯体、ルテニウムピリジン錯体、ピレンなどを用いることができる。
本発明の環境インジケータは、周囲の温湿度に影響を受けるため、長期間保存する際には、ガスバリア性の包装袋に収納して保存することにより、湿気を遮断した環境で保存するのが望ましい。ガスバリア性の包装袋としては、プラスチックフィルムの積層フィルムの内層にアルミ箔を積層したものを貼り合わせてなる包装袋を用いるのが好適であるが、これに限定されず公知のガスバリア製の包装袋を適宜使用できる。
また本発明の環境インジケータを使用後に廃棄する際は、使用しているクエン酸、重曹共に無害な物質であるため、そのまま廃棄でき、手間がかからない。
以上説明したように、本発明の環境インジケータによれば、商品に添付したときに、商品の配送中に一定時間に亘って商品の品質低下に繋がるような高温湿度状態に晒されたか否かを、商品を受領した消費者が目視または触覚により、膨張した、または弛んだ袋体を確認することで容易に判別でき、また使用する材料がクエン酸および重曹という安全で無害な材料であるため食品類にも問題なく添付できる環境インジケータを提供できる。
1・・・環境インジケータ
10・・・袋体
11・・・シール部
12・・・脆弱化部(スリット)
13・・・クエン酸
14・・・重曹
15・・・脆弱化部(低シール強度部)
16・・・非シール部
17・・・二酸化炭素ガス
18・・・開口部
20・・・文字パターン
21・・・図形パターン
100、110・・・積層フィルム
101、111・・・表層
102、112・・・中間層
103、113・・・シーラント層
10・・・袋体
11・・・シール部
12・・・脆弱化部(スリット)
13・・・クエン酸
14・・・重曹
15・・・脆弱化部(低シール強度部)
16・・・非シール部
17・・・二酸化炭素ガス
18・・・開口部
20・・・文字パターン
21・・・図形パターン
100、110・・・積層フィルム
101、111・・・表層
102、112・・・中間層
103、113・・・シーラント層
Claims (7)
- 透湿性を有する積層フィルムの縁を貼り合わせてなる袋体内部にクエン酸および重曹を収納して密封してなり、前記袋体の周囲温湿度の上昇に伴い収納されたクエン酸と重曹が反応することにより二酸化炭素ガスを発生して前記袋体が膨張することで、前記袋体の周囲温湿度が所定の温湿度よりも上昇したことを示す環境インジケータ。
- 前記袋体内部に収納するクエン酸と重曹の重量比率が、クエン酸1に対して、重曹0.8〜3.5の比率であることを特徴とする請求項1に記載の環境インジケータ。
- 前記袋体に、前記二酸化炭素ガスによる膨張時に前記袋体の一部が破封する脆弱化部を設けてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の環境インジケータ。
- 前記脆弱化部が、前記積層フィルムを貫通しないスリットまたは前記積層フィルムの縁を貼り合わせたシール部の一部に設けられた低シール強度部により形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の環境インジケータ。
- 前記低シール強度部のシール強度が、他のシール部のシール強度の20〜90%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の環境インジケータ。
- 前記袋体の表面に、圧力に反応して発光状態が変化する感圧インクが塗布されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の環境インジケータ。
- 請求項1から6のいずれかに記載の環境インジケータを、ガスバリア性の包装袋に収納した包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017152300A JP2019032197A (ja) | 2017-08-07 | 2017-08-07 | 環境インジケータおよび包装体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017152300A JP2019032197A (ja) | 2017-08-07 | 2017-08-07 | 環境インジケータおよび包装体 |
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ID=65523154
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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2017
- 2017-08-07 JP JP2017152300A patent/JP2019032197A/ja active Pending
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