JP2019031463A - アゾール誘導体、およびその農園芸用薬剤としての利用 - Google Patents

アゾール誘導体、およびその農園芸用薬剤としての利用 Download PDF

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留美 佐野
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敬 下川原
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Taiji Miyake
泰司 三宅
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Abstract

【課題】広範な植物病害に対して高い防除効果を示す化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアゾール誘導体、その中間体化合物、およびアゾール誘導体の製造方法に関する。また、該アゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤、当該農園芸用薬剤により処理された種子、および当該農園芸用薬剤を用いた植物病害防除方法に関する。
ある種のアゾール誘導体は、植物病害に対して防除作用を示し、これを含有する農園芸用薬剤が知られている(例えば、特許文献1)。
国際公開WO2012/169516号公報
しかしながら、広範な植物病害に対して高い防除効果を示すさらなる農園芸用薬剤が求められている。また、植物の健全な生育に対する悪影響を最小限に抑えることができる、すなわち薬害が軽いさらなる農園芸用薬剤が求められている。
そこで、本発明は、上記の要望に応える化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体が、広範な植物病害に対して高い防除効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を提供する。
Figure 2019031463
(一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基または炭素数2〜6のアルキニル基を表し、
Yは、炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数1〜4のハロアルコキシ基を表し、
Aは、窒素原子またはメチン基を表す。)
本発明の一態様において、上記一般式(I)中、Yが炭素数1〜4のフッ化アルキル基または炭素数1〜4のフッ化アルコキシ基であることが好ましい。
本発明の一態様において、上記一般式(I)中、Yがトリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基であることがより好ましい。
本発明はまた、上記一般式(I)で示されるアゾール誘導体の製造における中間体化合物であって、下記一般式(II)で示される中間体化合物を提供する。
Figure 2019031463
(一般式(II)中、R、R、YおよびAは、それぞれ一般式(I)中のR、R、YおよびAと同一である。)
本発明はさらに、上記一般式(I)で示されるアゾール誘導体の製造方法であって、上記一般式(II)で示される中間体化合物を還元することにより、上記アゾール誘導体を得る工程を含む、アゾール誘導体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上述のアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤を提供する。
本発明の一態様において、上記農園芸用薬剤は、種子処理にて用いることもできる。
また、上記農園芸用薬剤により処理された種子も本発明の範疇に含まれる。
本発明はさらに、上記農園芸用薬剤を用いて茎葉処理または非茎葉処理を行う工程を含む植物病害防除方法を提供する。
また、本明細書等において、特に断りのない限り、各一般式において同一の官能基(または原子)を規定している符号は同一の符号を付してその詳細な説明については省略している。例えば、一般式(I)において示されるRと、異なる一般式において示されているRとは、特に断りのない限り、同一のものを示している。Rに限らず、他の官能基(または原子)も同様である。
本発明の一態様によれば、広範な植物病害に対して高い防除効果を示す化合物を提供することができる。
本発明に係るアゾール誘導体の一実施形態について以下に説明する。
〔アゾール誘導体〕
本実施形態におけるアゾール誘導体は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体(以下、アゾール誘導体(I))である。
Figure 2019031463
一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表している。炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、(1−メチル)エチル基、n−プロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、n−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、n−ペンチル基およびn−ヘキシル基等を挙げることができる。Rとしては、中でも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基または炭素数2〜6のアルキニル基を表している。炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、(1−メチル)エチル基、n−プロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、n−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基等を挙げることができる。また、炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、エテニル基、プロペン−1−イル基、プロペン−2−イル基、アリル基、および4−メチル−2−ブテニル基等が挙げられる。また、炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、およびプロパ−2−イン−1−イル基等が挙げられる。Rとしては、中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(I)中、Yは、炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数1〜4のハロアルコキシ基を表している。炭素数1〜4のハロアルキル基としては、具体的には、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、1−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、3−クロロプロピル基、2,3−ジクロロプロピル基、1−クロロ−1−メチルエチル基、2−クロロ−1−メチルエチル基、2−クロロプロピル基、4−クロロブチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、1−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、2,3−ジフルオロプロピル基、1−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、2−ブロモエチル基、1−ブロモエチル基、2,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、3−ブロモプロピル基、2,3−ジブロモプロピル基、1−ブロモ−1−メチルエチル基、2−ブロモ−1−メチルエチル基、2−ブロモプロピル基、4−ブロモブチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、2−ヨードエチル基、1−ヨードエチル基、2,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、3−ヨードプロピル基、2,3−ジヨードプロピル基、1−ヨード−1−メチルエチル基、2−ヨード−1−メチルエチル基、2−ヨードプロピル基、および4−ヨードブチル基等を挙げることができる。
炭素数1〜4のハロアルコキシ基としては、具体的には、クロロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、1−クロロエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、1,2−ジクロロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、2,3−ジクロロプロポキシ基、1−クロロ−1−メチルエトキシ基、2−クロロ−1−メチルエトキシ基、2−クロロプロポキシ基、4−クロロブトキシ基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、3−フルオロプロポキシ基、2,3−ジフルオロプロポキシ基、1−フルオロ−1−メチルエトキシ基、2−フルオロ−1−メチルエトキシ基、2−フルオロプロポキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、4−フルオロブトキシ基、ブロモメトキシ基、ジブロモメトキシ基、トリブロモメトキシ基、2−ブロモエトキシ基、1−ブロモエトキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、1,2−ジブロモエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,3−ジブロモプロポキシ基、1−ブロモ−1−メチルエトキシ基、2−ブロモ−1−メチルエトキシ基、2−ブロモプロポキシ基、4−ブロモブトキシ基、ヨードメトキシ基、ジヨードメトキシ基、2−ヨードエトキシ基、1−ヨードエトキシ基、2,2−ジヨードエトキシ基、1,2−ジヨードエトキシ基、2,2,2−トリヨードエトキシ基、3−ヨードプロポキシ基、2,3−ジヨードプロポキシ基、1−ヨード−1−メチルエトキシ基、2−ヨード−1−メチルエトキシ基、2−ヨードプロポキシ基等を挙げることができる。
Yは、炭素数1〜4のフッ化アルキル基または炭素数1〜4のフッ化アルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のトリフルオロアルキル基または炭素数1〜4のトリフルオロアルコキシ基であることが好ましい。また、Yは、炭素数1〜3であることが好ましく、炭素数1〜2であることがより好ましく、炭素数1であることがさらに好ましい。したがって、一例において、Yは、炭素数1〜3のハロアルキル基または炭素数1〜3のハロアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜3のフッ化アルキル基または炭素数1〜3のフッ化アルコキシ基であることがより好ましく、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基であることがさらに好ましい。
Yが炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数1〜4のハロアルコキシ基である上記アゾール誘導体(I)は、後述のように、薬害が小さく、且つ、特に優れた防除効果を示す。また、少ない工程数の製造方法により、簡便に製造することが可能である。
Yの結合位置に特に制限はないが、ベンジル基の4位の位置に結合していることが好ましい。
一般式(I)中、Aは、窒素原子またはメチン基を表している。Aとしては、中でも、窒素原子が好ましい。
なお、アゾール誘導体(I)には、シクロペンタン環に結合している有機基の立体配置に基づいて、下記一般式(CC)、(TT)、(CT)、(TC)で示す立体異性体が存在する。アゾール誘導体(I)は、これらの異性体を単独で含むもの、および、各異性体を任意の比率で含むものの何れであってもよい。
なお、下記一般式では、1位の水酸基と2位のエステル基(CO)がシス型であって、1位の水酸基と5位のベンジル基がシス型であるものの相対立体配置を(CC)としている。また、1位の水酸基と2位のエステル基(CO)がトランス型であって、1位の水酸基と5位のベンジル基がトランス型であるものの相対立体配置を(TT)としている。また、1位の水酸基と2位のエステル基(CO)がシス型であって、1位の水酸基と5位のベンジル基がトランス型であるものの相対立体配置を(CT)としている。更に、1位の水酸基と2位のエステル基(CO)がトランス型であって、1位の水酸基と5位のベンジル基がシス型であるものの相対立体配置を(TC)としている。なお、本明細書等では水酸基が結合した炭素をシクロペンタン環の1位とする。
Figure 2019031463
また、農園芸用薬剤は、R、R、YおよびAのうちの少なくとも1つが異なる2種類またはそれ以上のアゾール誘導体(I)を含んでいてもよい。
アゾール誘導体(I)は、植物病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を示す。また、アゾール誘導体(I)を有効成分として含む薬剤は、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示すことができる。
〔アゾール誘導体の製造方法〕
アゾール誘導体(I)は、下記全体スキームにしたがって、公知の技術により得られる化合物から製造することができる。
Figure 2019031463
以下、各工程について説明する。
(工程1:アルキル化)
工程1では、化合物(VI)をアルキル化することにより、化合物(V)を得る。
化合物(VI)および化合物(V)におけるRおよびRは、上記したRおよびRと同義である。より詳細には、アゾール誘導体(I)におけるRおよびRと同一の基である。
化合物(VI)をアルキル化する方法としては、例えば、公知の方法(例えば、特許文献:特開2013−100238号公報に記載の方法)によって、塩基の存在下、化合物(VI)を、一般式:R−L’で表されるハロゲン化アルキルと溶媒中で反応させる方法が挙げられる。ここで、L’はハロゲン原子を表しており、例えば、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
なお、化合物(VI)は、公知の反応を利用してアジピン酸ジエステル類から容易に合成でき、あるいは市販されている2−オキソシクロペンタンカルボン酸エステル類を使用してもよい。
(工程2:ベンジリデン化)
工程2では、化合物(V)をベンジリデン化して化合物(IV)を得る。
化合物(V)をベンジリデン化する方法としては、公知の方法(例えば、特許文献:特開2013−100238号公報に記載の方法)によって、塩基性の存在下、化合物(V)を、置換ベンズアルデヒドと溶媒中で反応させる方法を挙げることができる。なお、化合物(IV)におけるRは、上記したRと同義である。より詳細には、アゾール誘導体(I)におけるRと同一の基である。
置換ベンズアルデヒドとしては、Yを置換基として含むベンズアルデヒドが挙げられる。ここで、Yは、上記したYと同義である。より詳細には、アゾール誘導体(I)におけるYと同一の基である。
Yを置換基として含むベンズアルデヒドとしては、トリフルオロメトキシベンズアルデヒド、トリフルオロメチルベンズアルデヒド、トリクロロメトキシベンズアルデヒド、トリクロロメチルベンズアルデヒド、トリブロモメトキシベンズアルデヒド、およびトリブロモメチルベンズアルデヒド、ジフルオロメチルベンズアルデヒド、ジフルオロメトキシベンズアルデヒド等を挙げることができ、なかでも、トリフルオロメトキシベンズアルデヒドおよびトリフルオロメチルベンズアルデヒドが好ましく、また、パラ体が好ましく、p−トリフルオロメトキシベンズアルデヒドおよびp−トリフルオロメチルベンズアルデヒドが特に好ましい。
反応に用いる塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、ピリジン、トリエチルアミンおよび4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、並びに水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。
反応に用いられる溶媒は特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類等、並びにメタノール、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール類等を挙げることができる。
(工程3:オキシラン化)
工程3では、化合物(IV)をオキシラン化して化合物(III)を得る。
化合物(IV)をオキシラン化する方法としては、公知の方法(例えば、特許文献:特開2013−100238号公報に記載の方法)によって、化合物(IV)を、ジメチルスルホニウムメチリド等の硫黄イリドと溶媒中で反応させる方法を挙げることができる。
反応に用いられる溶媒は特に限定されず、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、並びにこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
反応に用いられるスルホニウムメチリド類は、溶媒中、スルホニウム塩(例えば、トリメチルスルホニウムヨージド、トリメチルスルホニウムブロミド、または、トリメチルスルホニウムメチルスルホネート等)を、塩基と反応させることにより生成させることができる。
スルホニウムメチリド類の生成に用いられる塩基は、特に限定されず、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化合物並びにナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等を挙げることができる。
(工程4:アゾール化)
工程4では、化合物(III)と、アゾール化合物とを反応させることにより、一般式(II)で示される中間体化合物を得る。
一般式(II)で示される中間体化合物は、公知の方法(例えば、特許文献:特開2013−100238号公報に記載の方法)によって、化合物(III)とアゾール化合物とを溶媒中で混合することにより、化合物(III)においてオキシラン環を構成する炭素原子とアゾール化合物の窒素原子との間に炭素−窒素結合が生成することで製造される。
アゾール化合物としては、トリアゾールまたはイミダゾールが挙げられる。
溶媒は、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、並びにジメチルスルホキシドを挙げることができる。
また、所望により塩基を添加してもよい。塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、並びに炭酸カリウム等を挙げることができる。
(工程5:還元反応)
工程5では、一般式(II)で示される中間体化合物を還元することにより、アゾール誘導体(I)を得る(反応式(1)参照)。
Figure 2019031463
一般式(II)で示される中間体化合物の還元方法としては通常の還元条件が用いられ、例えば接触還元が挙げられる。
接触還元を行う場合、パラジウム炭素、ロジウム炭素、白金炭素、ルテニウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金等の慣用の触媒の存在下で、一般式(II)で示される中間体化合物を水素と反応させることにより、アゾール誘導体(I)が得られる。
溶媒としては、例えば、エタノール、メタノールおよび2−プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチルおよび酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンおよび1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノンおよびジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸、ならびに水、またはこれらの混合溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
反応温度は、通常約0〜100℃で行われ、好ましくは5〜60℃であり、常圧または加圧下で行うことができる。
反応時間は、通常15分〜24時間程度である。
本発明の一態様において、一般式(II)で示されるベンジリデンアゾールを直接、接触還元等によって還元する方法によって、高い収率で目的のアゾール誘導体(I)を製造することができる。
すなわち、本発明の一態様に係るアゾール誘導体(I)は、上記工程1〜5という少ない工程数で、高収率で簡便に製造され得る。そして、上記アゾール誘導体(I)の製造方法は、一般式(II)で示される中間体化合物を還元する工程を含むことを特徴とする。
これに対し、芳香環上の置換基Yとして、炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数1〜4のハロアルコキシ基の代わりに、ハロゲン等の置換基を有するアゾール誘導体は、上記還元工程を含む方法によって製造することは困難であり、その製造にはより多くの反応工程が必要である。すなわち、芳香環上にハロゲン等の置換基がある場合、還元反応による脱ハロゲン等によって、ほぼ全ての置換基が脱離してしまう。したがって、これらの置換基を保持するアゾール誘導体は、上記の短いルートで製造することが極めて困難である。
〔農園芸用薬剤〕
(1)適用病害および適用植物
アゾール誘導体(I)は、広汎な植物病害に対して防除効果を呈する。そのため、農園芸用薬剤の適用病害の例として以下が挙げられる。なお、各病害の後ろの括弧内は、当該病害を引き起こす主な病原菌を示している。ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、ダイズ褐紋病(Zymoseptoria glycines)、ダイズ紫斑病(Cercospora kikuchii)、ダイズ褐点病(Alternaria sp.)、ダイズ炭疽病(Collectotrichum truncatum)、ダイズのFrogeye leaf spot(Cercocpora sojina)、ダイズのリゾクトニア根腐病(Rhizoctonia solani)、ダイズ葉腐病(Rhizoctonia solani)、ダイズ黒点病 (Diaporthe phaseolorum)、ダイズ茎疫病(Phytophthora sojae)、ナタネのPhoma leaf spot/stem canker(Leptosphaeria maculans、Leptosphaeria biglobosa)、ナタネのLight leaf spot(Pyrenopeziza brassicae)、ナタネ根瘤病Clubroot(Plasmodiophora brassicae)、ナタネのVerticillium wilt(Verticillium longisporum)、ナタネのBlackspot(Alternaria spp)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、イネごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideun)、イネばか苗病(Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病(Pythium aphanidermatum、Rhizopus oryzae)、イネ立枯病(Pythium graminicola)、オオムギうどんこ病(Erysiphe graminis f. sp hordei)、オオムギ黒さび病(Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病(Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病(Rhynchosporium secalis)、オオムギ裸黒穂病(Ustilago nuda)、オオムギ網斑病(Pyrenophora teres)、オオムギ赤かび病(Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis f. sp tritici)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病(Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギふ枯病(Phaeosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病(Septoria tritici)、コムギ紅色雪腐病(Microdochium nivale)、コムギ立枯病(Gaeumannomyces graminis)、コムギ黒点病(Epicoccum spp)、コムギ黄斑病(Pyrenophora tritici-repentis)、コムギ小粒菌核病(Typhula incarnate、Typhula ishikariensis)、シバダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、シバラージパッチ病(Rhizoctonia solani)、ブラウンパッチ病(Rhizoctonia solani)、シバ炭疽病(Colletotrichum graminicola)、シバのGray leaf Spot(Pyricularia grisea)、シバのネクロティックリングスポット病(Ophiosphaerella korrae)、シバのRed thread(Laetisaria fuciformis)、シバさび病(Puccinia zoysiae)、シバのサマーパッチ病(Magnaporthe poae)、シバのRoot decline of warm-season grasses(Gaeumannomyces graminis)、シバのブラウンリングパッチ(Waitea circinata)、シバフェアリーリング病(Agaricus、Calvatia、Chlorophyllum、Clitocybe、Lepiota、Lepista、Lycoperdon、Marasmius、Scleroderma、Tricholomaなど)、シバ紅色雪腐病(Microdochium nivale)、シバ雪腐小粒菌核病(Typhula incarnate、Typhula ishikariensis)、シバカーブラリア葉枯病(Curvularia sp.)、シバ疑似葉腐病(Ceratobasidium sp.)、シバ立枯病(Zoysia decline)、トウモロコシ黒穂病(Ustilago maydis)、トウモロコシ炭疽病(Colletotrichum graminicola)、トウモロコシ褐斑病(Kabatiella zeae)、トウモロコシ灰色斑点病(Cercospora zeae-maydis)、トウモロコシすす紋病(Setosphaeria turcica)、トウモロコシ北方斑点病(Cochliobolus carbonum)、トウモロコシ斑点病(Physoderma maydis)、トウモロコシさび病(Puccinia spp)、トウモロコシごま葉枯病(Bipolaris maydis)、トウモロコシ黄色ごま葉枯病(Phyllosticta maydis)、トウモロコシ赤かび病(Gibberella zeae)、サトウキビさび病(Puccinia spp)、ウリ類うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類炭疸病(Colletotrichum lagenarium、Glomerella cingulata)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病(Phytophthora capsici)、キュウリつる割病(Fusarium oxysporum f.sp.cucumerinum)、スイカつる割病(Fusarium oxysporum f.sp.niveum)、リンゴうどんこ病(Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病(Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病(Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病(Valsa mali)、ナシ黒斑病(Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病(Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病(Venturia nashicola)、イチゴうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、核果類果樹の灰星病(Monilinia fructicola)、カンキツ青かび病(Penicillium italicum)、ブドウうどんこ病(Uncinula necator)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病(Glomerella cingulata)、ブドウのさび病(Phakopsora ampelopsidis)、斑葉病(シガトカ病)(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)、トマトうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病(Alternaria solani)、ナスうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、ジャカイモの夏疫病(Alternaria solani)、ジャカイモ炭疽病(Colletotrichum coccodes)、ジャカイモうどんこ病(Erysiphe spp、Leveillula taurica)、ジャカイモ疫病(Phytophthora infestans)、タバコうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、タバコ赤星病(Alternaria longipes)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、テンサイうどんこ病(Erysiphe betae)、テンサイ葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、テンサイ根腐病(Thanatephorus cucumeris)、テンサイ黒根病(Aphanomyces cochlioides)、ダイコン萎黄病(Fusarium oxysporum f.sp.raphani)、チャ炭疽病(Discula theae-sinensis)、チャもち病(Exobasidium vexans)、チャ褐色円星病(Pseudocercospora ocellata、Cercospora chaae)、チャ輪紋病(Pestalotiopsis longiseta、Pestalotiopsis theae)、チャ網もち病(Exobasidium reticulatum)、ワタ黒斑病Alternaria leaf spot(Alternaria spp)、ワタ炭疽病(Glomerella spp)、ワタ輪紋病(Ascochyta gossypii)、ワタさび病(Puccinia spp、Phykopsora spp)、ワタのCercospora blight and leaf spot(Cercospora spp)、ワタのDiplopia boll rot(Diplopia spp)、ワタのHard lock(Fusarium spp)、ワタのPhoma blight(Phoma spp)、ワタのStemphyllium leaf spot(Stemphyllium spp)、ラッカセイ黒渋病(Cercosporidium personatum)、ラッカセイ褐斑病(Cercospora arachidicola)、ラッカセイ白絹病(Sclerotium rolfsii)、ラッカセイさび病(Puccinia arachidis)、種々の作物をおかす灰色かび病(Botrytis cinerea)、ピシウム属菌の病害(Pythium spp)および菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)など。また、Aspergillus属、Cochliobolus属、Corticium属、Diplodia属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Mucor属、Phoma属、Phomopsis属、Pyrenophora属、Pythium属、Rhizoctonia属、Rhizopus属、Thielaviopsis属、Tilletia属、Trichoderma属、およびUstilago属等によって引き起こされる各種植物の種子伝染性病害または生育初期の病害。
本実施形態における農園芸用薬剤は、一例において、殺菌剤として用いられる。また、本実施形態における農園芸用薬剤は、一例において、菌によって引き起こされる植物病害を防除する。
本実施形態における農園芸用薬剤は、全ての植物に利用することができるが、適用植物の例として以下を挙げることができる。イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、トリチケール、トウモロコシ、モロコシ(ソルガム)、サトウキビ、シバ、ベントグラス、バミューダグラス、フェスクおよびライグラスなどのイネ科類、ダイズ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウ、アズキおよびアルファルファなどのマメ科類、サツマイモなどのヒルガオ科類、トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、ジャガイモおよびタバコなどのナス科類、ソバなどのタデ科類、ヒマワリなどのキク科類、チョウセンニンジンなどのウコギ科類、ナタネ、ハクサイ、カブ、キャベツおよびダイコンなどのアブラナ科類、テンサイなどのアカザ科類、ワタなどのアオイ科類、コーヒーノキなどのアカネ科類、カカオなどのアオギリ科類、チャなどのツバキ科類、スイカ、メロン、キュウリおよびカボチャなどのウリ科類、タマネギ、ネギおよびニンニクなどのユリ科類、イチゴ、リンゴ、アーモンド、アンズ、ウメ、オウトウ、スモモ、モモおよびナシなどのバラ科類、ニンジンなどのセリ科類、サトイモなどのサトイモ科類、マンゴーなどのウルシ科類、パイナップルなどのパイナップル科類、パパイアなどのパパイア科類、カキなどのカキノキ科類、ブルーベリーなどのツツジ科類、ペカンなどのクルミ科類、バナナなどのバショウ科類、オリーブなどのモクセイ科類、ココヤシおよびナツメヤシなどのヤシ科類、みかん、オレンジ、グレープフルーツおよびレモンなどのミカン科類、ブドウなどのブドウ科類、草花(Flowers and ornamental plants)、果樹以外の樹ならびにその他の観賞用植物。また、野生植物、植物栽培品種、異種交配もしくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物および植物栽培品種、ならびに遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物および植物栽培品種を挙げることができる。遺伝子組み換え植物および植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、および収量向上作物などを挙げることができる。遺伝子組み換え植物栽培品種としては、具体的に、Roundup Ready、Liberty Link、B.t.、BXN、Poast Compatible、AgriSure、Genuity、Optimum、Powercore、DroughtGard、YieldGard、Herculex、WideStrike、Twinlink、VipCot、GlyTol、NewleafおよびBollgardなどの登録商標を含むものを挙げることができる。
(2)製剤
農園芸用薬剤は、有効成分であるアゾール誘導体(I)を固体担体または液体担体(希釈剤)、界面活性剤およびその他の製剤補助剤等と混合して粉剤、水和剤、粒剤および乳剤等の種々の形態に製剤して使用する。
これらの製剤には有効成分としてアゾール誘導体(I)を、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%、より好ましくは2〜80重量%含まれるように製剤する。
製剤補助剤として使用する固体担体、液体担体および界面活性剤を例示すれば、まず、固体担体としては、粉末担体および粒状担体などとして用いられ、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、酸性白土、活性白土、アッタパルジャイト、方解石、バーミキュライト、パーライト、軽石、珪砂などの鉱物;尿素などの合成有機物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、消石灰、重曹などの塩類;ホワイトカーボンなどの非晶質シリカや二酸化チタンなどの合成無機物;木質粉、トウモロコシ茎(穂軸)、クルミ殻(堅果外皮)、果実核、モミガラ、オガクズ、ふすま、大豆粉、粉末セルロース、デンプン、デキストリン、糖類などの植物性担体;架橋リグニン、カチオンゲル、加熱または多価金属塩でゲル化するゼラチン、寒天などの水溶性高分子ゲル、および塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、尿素−アルデビド樹脂などの種々の高分子担体;などを挙げることができる。
液体担体としては、脂肪族溶剤(パラフィン類)、芳香族溶剤(キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなど)、混合溶剤(灯油)、マシン油(精製高沸点脂肪族炭化水素)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなど)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、多価アルコール誘導体類(プロピレン系グリコールエーテルなど)、ケトン類(アセトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなど)、エステル類(脂肪酸メチルエステル(ヤシ油脂肪酸メチルエステル)、乳酸エチルヘキシル、炭酸プロピレン、二塩基酸メチルエステル(コハク酸ジメチルエステル、グルタミン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル))、含窒素担体類(N−アルキルピロリドン類)、油脂類(ヤシ油、大豆油、菜種油など)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、(N,N−ジメチルオクタンアミド、N,N−ジメチルデカン−1−アミド、5−(ジメチルアミノ)−4−メチル−5−オキソ−吉草酸メチルエステル、N−アシルモルホリン系溶剤(CAS No.887947−29−7など))、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水などを挙げることができる。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル, ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンエーテルおよびエステル型シリコンおよびフッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェートなどのサルフェート類の塩、パラフィン(アルカン)スルホネート、α−オレフィンスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホネート、モノまたはジアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、リグニンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステルなどのスルホネート類の塩、脂肪酸、N−メチル−脂肪酸サルコシネート、樹脂酸などの脂肪酸類の塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンモノまたはジアルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキルホスフェートなどホスフェール類の塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド、アルキルN−メチルピリジウムブロマイド、モノまたはジアルキルメチル化アンモニウムクロライド、アルキルペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム塩類およびアルキルジメチルベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム塩類が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、pH調節剤としてのナトリウムおよびカリウムなどの無機塩類、フッ素系、シリコーン系の消泡剤、食塩などの水溶性の塩類、増粘剤として用いられるキサタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体、多糖類などの水溶性高分子、アルギン酸およびその塩、崩壊分散剤として用いられるステアリン酸金属塩、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、その他、防腐剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および薬害軽減剤などが挙げられる。
製剤には、そのまま使用するものと水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用するときのアゾール誘導体(I)の濃度は0.001〜1.0%の範囲が望ましい。
また、アゾール誘導体(I)の使用量は、畑、田、果樹園および温室等の農園芸地1haあたり、20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
さらに、アゾール誘導体(I)と他の有効成分、例えば以下に例示するような殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、および除草剤等と組み合わせればより高性能な農園芸用薬剤となる。
<抗菌性物質>
アシベンゾラーSメチル、2−フェニルフェノール(OPP)、アザコナゾール、アゾキシストロビン、アミスルブロム、ビキサフェン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、ビカルボネイト、ビフェニル、ビテルタノール、ブラスチシジン−S、ボラックス、ボルドー液、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブロノポール、ブピリメート、セックブチラミン、カルシウムポリスルフィド、カプタフォル、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、キノメチオネート、クロロネブ、クロロピクリン、クロロタロニル、クロゾリネート、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリン、ジメトモルフ、ジメトキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エディフェンフォス、エポキシコナゾール、エタポキサム、エトキシキン、エトリジアゾール、エネストロブリン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオロミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、フォセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルオピコリド、フルオピラム、グアザチン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、銅調製物例えば水酸化銅、ナフテン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン−銅、クレゾキシムメチル、マンコカッパー、マンコゼブ、マネブ、マンジプロパミド、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メトミノスウトロビン、ミルジオマイシン、ミクロブタニル、ニトロタル−イソプロピル、ヌアリモル、オフレース、オキサジキシル、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、オリサストロビン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ピリベンカルブ、フサライド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾフォス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、硫黄および硫黄調製物、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロフォス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、アミスルブロム、セダキサン、フルチアニル、バリフェナール、アメトクトラジン、ジモキシストロビン、メトラフェノン、ヒドロキシイソキサゾール並びにメタスルホカルブ等。
<殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤>
アバメクチン、アセフェート、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アレトリン、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アザメチフォス、アジンフォス−エチル、アジンフォス−メチル、アゾサイクロチン、バシルス・フィルムス、バシルス・ズブチルス、バシルス・ツリンジエンシス、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメイト、ビフェナゼイト、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオレスメトリン、ビストリフルロン、ブプロフェジン、ブトカルボキシン、ブトキシカルボキシン、カズサフォス、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、カータップ、CGA50439、クロルデイン、クロレトキシフォス、クロルフェナピル、クロルフェンビンフォス、クロルフルアズロン、クロルメフォス、クロルピリフォス、クロルピリフォスメチル、クロマフェノザイド、クロフェンテジン、クロチアニジン、クロラントラリニプロール、コウンパフォス、クリオライト、シアノフォス、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シフェノトリン、シロマジン、シアザピル、シエノピラフェン、DCIP、DDT、デルタメトリン、デメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジクロロフェン、ジクロロプロペン、ジクロルボス、ジコフォル、ジクロトフォス、ジシクラニル、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメチルビンフォス、ジノブトン、ジノテフラン、エマメクチン、エンドスルファン、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトフェンプロックス、エトプロフォス、エトキサゾール、ファムフル、フェナミフォス、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンチオン、フェンバレレート、フイプロニル、フロニカミド、フルアクロピリム、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェノクスロン、フルメトリン、フルバリネート、フルベンジアミド、フォルメタネート、フォスチアゼート、ハルフェンプロクス、フラチオカルブ、ハロヘノジド、ガンマ−HCH、ヘプテノフォス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、イソプロカルブ、イソキサチオン、ルフェヌロン、マラチオン、メカルバム、メタム、メタミドフォス、メチダチオン、メチオカルブ、メトミル、メトプレン、メトスリン、メトキシフェノジド、メトルカルブ、ミルベメクチン、モノクロトフォス、ナレド、ニコチン、ニテンピラム、ノバルロン、ノビフルムロン、オメトエート、オキサミル、オキシデメトンメチル、パラチオン、パーメトリン、フェントエート、フォレート、フォサロン、フォスメット、フォスファミドン、フォキシム、ピリミカルブ、ピリミフォスメチル、プロフェノフォス、プロポクスル、プロチオフォス、ピメトロジン、ピラクロフォス、ピレスリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、ピリフルキナゾン、ピリプロール、キナルフォス、シラフルオフェン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマット、スルフラミド、スルフォテップ、SZI−121、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムフォス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメフォス、テルブフォス、テトラクロルビンフォス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、トルフェンピラド、トラロメトリン、トラロピリル、トリアザメート、トリアゾフォス、トリクロルフオン、トリフルムロン、バミドチオン、バリフェナール、XMC、キシリルカルブ、イミシアホスおよびレピメクチン等。
<植物成長調節剤>
アンシミドール、6−ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、ジクロブトラゾール、ウニコナゾール、メチルシクロプロペン、メピコートクロリド、エセフォン、クロルメコートクロライド、イナベンフィド、プロヘキサジオンおよびその塩、並びにトリネキサパックエチル等。また、植物ホルモンとしてのジャスモン酸、ブラシノステロイドおよびジベレリン等。
アゾール誘導体(I)を有効成分として含む農園芸用薬剤は、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示すとともに、薬害が小さいという効果を奏する。
〔植物病害防除方法〕
本実施形態における農園芸用薬剤は、例えば、畑、水田、芝生、および果樹園などの農耕地または非農耕地において使用することができる。また、本実施形態における農園芸用薬剤は、茎葉散布といった茎葉処理に加えて、球根および塊茎などへの処理も含めた種子処理、潅注処理、および水面処理などの非茎葉処理によっても施用できる。したがって、本実施形態における植物病害防除方法は、上述の農園芸用薬剤を用いて茎葉処理または非茎葉処理を行う手順を含む方法である。なお、非茎葉処理を行う場合には、茎葉処理を行う場合に比べて、労力を低減させることができる。
種子処理による施用では、水和剤および粉剤などを種子と混合し攪拌することにより、あるいは希釈した水和剤などに種子を浸漬することにより、薬剤を種子に付着させる。また、種子コーティング処理も含まれる。種子処理の場合の有効成分の使用量は、種子100kgに対して例えば0.01〜10000gであり、好ましくは0.1〜1000gである。農園芸用薬剤で処理した種子については、通常の種子と同様に利用すればよい。
潅注処理による施用は、苗の移植時などに植穴またはその周辺に粒剤などを処理したり、種子または植物体の周囲の土壌に粒剤および水和剤などを処理したりすることによって行う。潅注処理の場合の有効成分の使用量は、農園芸地1mあたり例えば0.01〜10000gであり、好ましくは0.1〜1000gである。
水面処理による施用は、水田の田面水に粒剤などを処理することによって行う。水面処理の場合の有効成分の使用量は、水田10aあたり例えば0.1〜10000gであり、好ましくは1〜1000gである。
茎葉散布に用いる場合の有効成分の使用量は、畑、田、果樹園および温室などの農園芸地1haあたり例えば20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。
なお、使用濃度および使用量は、剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
また、本実施形態に係る農園芸用薬剤は、薬害が小さい。一般的に、種子処理の方が茎葉散布処理よりも薬害が出にくいため、一例において、本実施形態に係る農園芸用薬剤は、種子処理に好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔実施例1〕
実施例1では、RおよびRがメチル基、Yがトリフルオロメチル基、Aが窒素原子であるアゾール誘導体(I)(下記「アゾール誘導体(I−1)」)を製造した具体例について説明する。
Figure 2019031463
(ベンジリデン化工程)
ベンジリデン化工程では、ケトエステル(V−1)からベンジリデンケトン(IV−1)を製造した。
〔製造例1−(1):メチル(E)−1−メチル−2−オキソ−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(IV−1)の合成〕
Figure 2019031463
化合物(V−1)1.618gおよびp−トリフルオロメチルベンズアルデヒド1.724gを3mLのメタノールに溶解し、4.5℃まで氷水で冷却した。次いで、得られた溶液に、28質量%ナトリウムメトキシド0.393gを滴下し、同温で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、トルエンで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去してメチル(E)−1−メチル−2−オキソ−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(IV−1)を無色透明の油状物3.055g(収率83.6%)として得た。
(オキシラン化工程、アゾール化工程)
オキシラン化工程およびアゾール化工程では、ベンジリデンケトン(IV−1)から、オキシラン(III−1)を得て、ベンジリデンアゾール(II−1)(メチル(E)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート)を製造した。
〔製造例1−(2):メチル−2−〔(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔(E)−4−(トリフルオロメチル)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(II−1)の合成〕
Figure 2019031463
窒素雰囲気下、トリメチルスルホニウムメチルスルホネート2.360gをアセトニトリル18.4mLに溶解し、氷水で冷却した。次いで、得られた溶液にtert−ナトリウムブトキシド1.209gを添加し、同温で30分撹拌した後、アセトニトリル5mlに溶解させた化合物(IV−1)3.056gを滴下した。1時間後、反応液に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して化合物(III−1)2.339gを得た。
この粗化合物(III−1)2.339gをN,N−ジメチルホルムアミド8.4mLに溶解し、50℃に加熱した。そこに1,2,4−トリアゾール0.694gおよび炭酸カリウム0.230gを添加し、4.5時間撹拌後、反応温度を75℃に昇温した。7.5時間後、反応液に酢酸エチルおよび水を加えて分配し、水層を酢酸エチルで再抽出した。有機層を合わせ、水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧下で溶媒を留去して、黄色の固体として化合物(II−1)2.584gを得た。化合物(II−1)の異性体比は、シス体(II−1a):トランス体(II−1b)=3:7であった。この固体をトルエンで洗浄後ろ過し、白色粉末0.618gを得た。得られた白色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、1,2,4−トリアゾール体(II−1b)0.520g(トランス体)を得た。2工程での収率は15.7%であった。トランス体(II−1b)のNMRデータを測定した。
<トランス体(II−1b)>
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ : 1.25 (s, 3H), 1.91 (t, J=9.2Hz, 1H), 2.49 (t, J=8.01H),2.74 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 4.33 (s,2H), 6.00 (s,1H), 7.28 (d, J=9.2Hz, 2H), 7.54 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.87 (s,1H), 8.11 (s,1H)
(還元工程)
還元工程では、接触還元により、ベンジリデンアゾール(II−1b)からアゾール誘導体(I−1)を製造した。
〔製造例1−(3):メチル−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(I−1)の合成〕
Figure 2019031463
10mLナスフラスコに化合物(II−1b)301.5mg(トランス体)を秤量した。メタノール12.02gを加え50℃に昇温し、化合物(II−1b)を均一に溶解した。得られた溶液に5%パラジウム炭素0.292g(EB型、川研ファインケミカル(株)製)を添加した。水素ガスを置換し、50℃で激しく撹拌した。1.5時間後にセライトろ過し、溶媒を留去して無色の油状物321.5mgを得た。この粗反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、メチル(1SR,2SR,3RS)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート((I−1a):TC体)171.6mg、メチル(1SR,2SR,3SR)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート((I−1b):TT体)73.4mg、および、(I−1a)と(I−1b)との混合物54.5mgを得た。TC体(I−1a)およびTT体(I−1b)のNMRデータを測定した。
メチル(1SR,2SR,3RS)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート((I−1a):TC体)
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ : 0.71 (s, 3H), 1.55(m, 1H), 1.73 (m,1H), 2.07(m, 1H), 2.39 (tt, J=7.6, 8.4Hz, 1H), 2.76 (d, J=7.2Hz, 2H), 3.69 (s, 3H), 4.23 (d, J=14.0Hz, 1H), 4.65 (d, J=14.0Hz, 1H), 7.28(d, J=8.8Hz, 2H), 7.52 (d, J=8.0Hz, 2H), 8.00 (s,1H), 8.13 (s,1H)
メチル(1SR,2SR,3SR)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメチル)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート((I−1b):TT体)
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ : 1.06 (s, 3H), 1.42 (m, 1H), 1.75 (m,1H), 2.07(m, 1H), 2.28 (td, J=12.8 3.6Hz, 1H), 2.40 (t, J=14.4Hz, 1H), 2.49 (m, 1H), 3.05 (d, J=14.4Hz, 1H), 3.51 (s, 3H), 4.38 (d, J=14.0Hz, 1H), 4.68 (d, J=15.2Hz, 1H), 4.70 (s, 1H), 7.28(d, J=8.4Hz, 2H), 7.54 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.99(s,1H), 8.11 (s,1H)
〔実施例2〕
実施例2では、RおよびRがメチル基、Yがトリフルオロメトキシ基、Aが窒素原子であるアゾール誘導体(I)(下記「アゾール誘導体(I−2)」)を製造した具体例について説明する。
Figure 2019031463
(ベンジリデン化工程)
ベンジリデン化工程では、ケトエステル(V−2)からベンジリデンケトン(IV−2)(メチル(E)−1−メチル−2−オキソ−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート)を製造した。
〔製造例2−(1):メチル(E)−1−メチル−2−オキソ−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(IV−2)の合成〕
Figure 2019031463
化合物(V−2)2.464gおよびp−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド3.292gを4.7mLのメタノールに溶解し、4.5℃まで氷水で冷却した。次いで、得られた溶液に、28質量%ナトリウムメトキシド0.618gを滴下し、同温で2時間撹拌した。反応終了後、水を加え、トルエンで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去して目的のベンジリデンケトン(IV−2)を無色透明の油状物5.204g(収率92.2%)として得た。
(オキシラン化工程、アゾール化工程)
オキシラン化工程およびアゾール化工程では、ベンジリデンケトン(IV−2)から、オキシラン(III−2)を得て、ベンジリデンアゾール(II−2)(メチル(1SR,2SR)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔(E)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート)を製造した。
〔製造例2−(2):メチル−2−〔(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔(E)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンジリデン〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(II−2)の合成〕
Figure 2019031463
窒素雰囲気下、トリメチルスルホニウムメチルスルホネート2.933gをアセトニトリル20mLに溶解し、氷水で冷却した。次いで、得られた溶液にtert−ナトリウムブトキシド1.503gを添加し、同温で30分撹拌した後、アセトニトリル10mlに溶解した化合物(IV−2)4.001gを滴下した。1.5時間後、反応液に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して、黄色の油状物として化合物(III−2)2.861gを得た。
得られた粗化合物(III−2)2.861gをN,N−ジメチルホルムアミド12mLに溶解し、78℃で加熱した。そこに1,2,4−トリアゾール0.996gおよび炭酸カリウム0.330gを添加し、撹拌した。7時間後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して黄色の油状物3.38gを得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、淡黄色固体としてベンジリデンアゾール(II−2)1.243g(収率24.3%、トランス体/シス体=81/19)を得た。この異性体混合物をトルエンで再結晶を行い、白色結晶0.813g(トランス体/シス体=95/5、収率16.1%)を得た。
(還元工程)
還元工程では、接触還元により、ベンジリデンアゾール(II−2)からアゾール誘導体(I−2)(メチル(1SR,2SR,3RS)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート)を製造した。
〔製造例2−(3):メチル−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(I−2)の合成〕
Figure 2019031463
100mLナスフラスコに化合物(II−2)500.8mg(トランス体/シス体=95/5)を秤量した。メタノール55mLを加え50℃に昇温し、化合物(II−2)を均一に溶解した。得られた溶液に5%パラジウム炭素(EB型、川研ファインケミカル(株)製)0.22gを添加した。水素ガスを置換し、50℃で激しく撹拌した。1時間後にセライトろ過し、溶媒を留去して無色の油状物519mg(TC体/TT体=74/26)を得た。この粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート(I−2)のTC体239.3mg(収率46.7%)を得た。
メチル(1SR,2SR,3RS)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−〔4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル〕シクロペンタン−1−カルボキシレート((I−2):TC体)
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ : 0.71 (s, 3H), 1.57(m, 1H), 1.74 (m,2H), 2.04(d, J=12.4Hz, 1H), 2.36 (t, J=8.0Hz, 1H), 2.69 (d, J=7.2Hz, 2H), 3.69 (s, 3H), 4.23 (d, J=14.0Hz, 1H), 4.64 (d, J=13.6Hz, 1H), 4.64(s, 1H, OH), 7.11(d, J=8.4Hz, 2H), 7.18 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.99 (s,1H), 8.13 (s,1H)
〔評価試験〕
実施例1および2で合成したアゾール誘導体(I−1a)、(I−1b)および(I−2)を用いて、以下の評価試験を行った。
なお、対照としては、メトコナゾールとして上市されている公知の対照化合物1((1RS,5SR)−5−(4−クロロベンジル)−2−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンタノール)、並びに、芳香環上の置換基としてハロアルキル基またはハロアルコキシ基の代わりに塩素基を有する対照化合物2(メチル(1SR,2SR,3SR)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(4−クロロベンジル)シクロペンタン−1−カルボキシレート:TT体)および対照化合物3(メチル(1SR,2SR,3RS)−2−〔(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−3−(4−クロロベンジル)シクロペンタン−1−カルボキシレート:TC体)を用いた。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
〔試験例1:コムギ種子処理による生育抑制の薬害評価試験>
ポット試験により種子処理による生育抑制の薬害を評価した。まず、処理量が20g ai/100kg seedsとなるように、アゾール誘導体(I−1a)、(I−1b)および対照化合物1、2をそれぞれDMSOに溶解して農園芸用薬剤を調製した。調製した農園芸用薬剤をバイアル内でコムギ種子に塗沫した後、8粒のコムギ種子を80cmポットに播種した。温室内で下部給水管理し、播種14日後にコムギの生育程度を調査した。表1に示す基準から生育抑制指数を算出した。生育抑制指数が小さいほど、薬剤処理による生育抑制の薬害が小さいことを示している。結果を表2に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
表2に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物1または2を含む農園芸用薬剤よりも生育抑制指数が低く、薬害が小さいという点で優位性が見られた。
<試験例2:種子処理によるコムギ赤さび病の防除効果>
ポット試験により、種子処理によるコムギ赤さび病の防除効果を評価した。まず、処理量が20g ai/100kg seedsとなるようにアゾール誘導体(I−1a)および対照化合物1をそれぞれDMSOに溶解して農園芸用薬剤を調製した。調製した農園芸用薬剤をバイアル内でコムギ種子に塗沫した後、8粒のコムギ種子を80cmポットに播種した。温室内で下部給水管理し、播種14日後にコムギ赤さび病菌を接種し、湿箱に2日間保管した。その後、再び温室内で下部給水管理し、菌接種後13日目に、コムギ赤さび病の発病面積率を調査し、下記式および表3をもとに防除価を算出した。
防除価(%)=(1−(処理区平均罹病度/無処理区平均罹病度))×100
結果を表4に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
表4に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物1を含む農園芸用薬剤よりも防除価が高く、コムギ赤さび病に対する防除効果が高い点で優位性が見られた。
<試験例3:種子処理によるコムギうどんこ病の防除効果>
ポット試験により、種子処理によるコムギうどんこ病の防除効果を評価した。まず、処理量が200g ai/100kg seedsとなるようにアゾール誘導体(I−1a)、対照化合物1および対照化合物3をそれぞれDMSOに溶解して農園芸用薬剤を調製した。調製した農園芸用薬剤をバイアル内でコムギ種子に塗沫した後、8粒のコムギ種子を80cmポットに播種した。温室内で下部給水管理し、播種14日後にコムギうどんこ病菌を接種し、菌接種後13日目に、コムギうどんこ病の発病面積率を調査し、試験例2に記載の式および表5をもとに防除価を算出した。結果を表6に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
表6に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物1または3を含む農園芸用薬剤よりも防除価が高く、コムギうどんこ病に対する防除効果が高い点で優位性が見られた。
<試験例4:茎葉散布処理によるキュウリ灰色かび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いてキュウリ(品種:相模半次郎節成)を子葉期まで栽培した。農園芸用薬剤をアセトンに溶解させ、水で所定濃度(アゾール誘導体(I−1a)、(I−2)については200mg/L、対照化合物2については400mg/L)に希釈懸濁し、1,000L/haの割合でキュウリに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、灰色かび病菌の胞子液をしみこませたペーパーディスク(直径8mm)をキュウリ子葉に乗せ、20℃高湿度条件下に保った。菌接種後5〜6日目に、キュウリ灰色かび病の発病面積率を調査して、試験例2に記載の式および表7をもとに防除価を算出した。結果を表8に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
表8に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物2を含む農園芸用薬剤の50%濃度で供試する場合であっても、これと同等の防除価を示し、キュウリ灰色かび病に対する高い防除効果が見られた。
<試験例5:茎葉散布処理によるコムギ赤さび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を第2葉期まで栽培した。農園芸用薬剤(アゾール誘導体(I−1a)および(I−2)並びに対照化合物2)をそれぞれアセトンに溶解させ、水で所定濃度に希釈懸濁し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギ赤さび病菌の胞子(200個/視野に調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、25℃高湿度条件下に48時間保った。その後は温室内で管理した。接種後10〜14日目に、試験例2と同様にして防除価を算出した。結果を表9に示す。
Figure 2019031463
表9に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物2を含む農園芸用薬剤に比して極めて低濃度で供試する場合であっても、これを上回る防除価を示し、コムギ赤さび病に対する防除効果が高い点で優位性が見られた。
<試験例6:茎葉散布処理によるコムギうどんこ病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を第2葉期まで栽培した。農園芸用薬剤(アゾール誘導体(I−1a)、(I−1b)および(I−2)並びに対照化合物2)をそれぞれアセトンに溶解させ、水で所定濃度に希釈懸濁し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギうどんこ病に感染したコムギ苗から、うどんこ病菌をふりかけ接種した。菌接種後7〜12日目に、試験例2と同様にして防除価を算出した。結果を表10に示す。
Figure 2019031463
表10に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物2を含む農園芸用薬剤に比して極めて低濃度で供試する場合であっても、これを上回る防除価を示し、コムギうどんこ病に対する防除効果が高い点で優位性が見られた。
<試験例7:茎葉散布処理によるコムギ赤かび病防除効果試験>
農園芸用薬剤(アゾール誘導体(I−1a)および(I−2)並びに対照化合物2)をそれぞれアセトンに溶解させ、水で所定濃度に希釈懸濁し、1,000L/haの割合で開花期のコムギ穂部(品種:農林61号)に散布した。コムギ赤かび病菌の胞子懸濁液(2×10個/mLに調整、終濃度60ppmのグラミンSを含む)を噴霧接種し、20℃、高湿度条件下に保持した。菌接種後、5日目にコムギ赤かび病の罹病度を表11に示す調査基準により調査して、試験例2に記載の式により防除価を算出した。結果を表12に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
表12に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物2を含む農園芸用薬剤に比して低濃度で供試する場合であっても、これをはるかに上回る防除価を示し、コムギ赤かび病に対する防除効果が高い点で優位性が見られた。
<試験例8:茎葉散布処理によるダイズさび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いてダイズ(品種:エンレイ)を第1、第2複葉展開期まで栽培した。農園芸用薬剤(アゾール誘導体(I−1a)、(I−1b)および(I−2)並びに対照化合物2)をそれぞれアセトンに溶解させ、水で所定濃度に希釈懸濁し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、ダイズさび病菌の胞子(1×10個/mLに調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、25℃高湿度条件下に48時間保った。その後は温室内で管理した。接種後15〜20日目に、試験例2と同様にして防除価を算出した。結果を表13に示す。
Figure 2019031463
表13に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、対照化合物2を含む農園芸用薬剤に比して低濃度で供試する場合であっても、ダイズさび病に対して高い防除効果を示した。
<試験例9:茎葉散布処理によるコムギ葉枯れ病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いてコムギ(品種:農林61号)を第1.5葉期まで栽培した。農園芸用薬剤(アゾール誘導体(I−1a)および(I−1b)および(I−2))をそれぞれアセトンに溶解させ、水で所定濃度に希釈懸濁し、1,000L/haの割合でコムギに散布した。植物体上の散布液を風乾させた後、コムギ葉枯病菌の胞子(1×107個/mLに調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、20℃高湿度条件下に48時間保った。その後は人工気象室内で管理した。接種後27〜33日目に、試験例2と同様にして防除価を算出した。結果を表14に示す。
Figure 2019031463
表14に示すように、アゾール誘導体(I)を含む農園芸用薬剤は、コムギ葉枯れ病に対して十分に高い防除効果を示した。
<試験例10:病原菌に対する抗菌性試験>
本試験例では、各種植物病原性糸状菌に対する抗菌性を試験した。各化合物をジメチルスルホキシドに溶解して調製した農園芸用薬剤を、60℃前後のPDA培地(ポテト−デキストロース−アガー培地)に加え、よく混合した後、シャーレ内に流し固化させて、所定の濃度(5mg/L)の平板培地を作製した。
一方、予め平板培地上で培養した供試菌を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の薬剤含有平板培地上に接種した。接種後、各菌の生育適温にて1〜14日間培養し、菌の生育をコロニー直径で測定した。薬剤含有平板培地上で得られた菌の生育程度を、薬剤無添加区における菌の生育程度と比較して、下記式により菌糸伸長抑制率を求めた。なお、下記式中、Rは菌糸伸長抑制率(%)、dcは無処理平板上のコロニー直径、dtは薬剤処理平板上のコロニー直径を示している。
R=100(dc−dt)/dc
上記により得られた結果を以下に示す表15の基準から求めた。結果を表16〜19に示す。
Figure 2019031463
Figure 2019031463
Figure 2019031463
Figure 2019031463
Figure 2019031463
なお、表16〜19において略語で示した菌種の名称、並びに各菌種における培養温度および調査日数を表20に示す。
Figure 2019031463
本発明に係るアゾール誘導体は、広範な植物病害に対して高い防除効果を示す農園芸用薬剤の有効成分として好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体。
    Figure 2019031463
    (一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
    は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基または炭素数2〜6のアルキニル基を表し、
    Yは、炭素数1〜4のハロアルキル基または炭素数1〜4のハロアルコキシ基を表し、
    Aは、窒素原子またはメチン基を表す。)
  2. 上記一般式(I)中、Yが炭素数1〜4のフッ化アルキル基または炭素数1〜4のフッ化アルコキシ基である、請求項1に記載のアゾール誘導体。
  3. 上記一般式(I)中、Yがトリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基である、請求項1または2に記載のアゾール誘導体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアゾール誘導体の製造における中間体化合物であって、下記一般式(II)で示される中間体化合物。
    Figure 2019031463
    (一般式(II)中、R、R、YおよびAは、それぞれ一般式(I)中のR、R、YおよびAと同一である。)
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアゾール誘導体の製造方法であって、
    下記一般式(II)で示される中間体化合物を還元することにより、上記アゾール誘導体を得る工程を含む、アゾール誘導体の製造方法。
    Figure 2019031463
    (一般式(II)中、R、R、YおよびAは、それぞれ一般式(I)中のR、R、YおよびAと同一である。)
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤。
  7. 種子処理にて用いられる請求項6に記載の農園芸用薬剤。
  8. 請求項6または7に記載の農園芸用薬剤により処理された種子。
  9. 請求項6に記載の農園芸用薬剤を用いて茎葉処理または非茎葉処理を行う工程を含む植物病害防除方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110204500A (zh) * 2019-07-17 2019-09-06 九江德思光电材料有限公司 一种叶菌唑的制备方法

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