JP2019031185A - 倒立型二輪車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と実際の左右旋回状態とをよりマッチさせること。【解決手段】倒立型二輪車両は、搭乗者の足が乗る搭乗部が設けられた台車部と、台車部に設けられた左右一対の車輪を夫々駆動する一対の駆動部と、搭乗部の前後及び左右の位置に夫々設けられ、該位置にかかる荷重を検出する少なくとも4つの荷重センサと、各荷重センサにより検出された荷重に応じて、各駆動部を制御する制御部と、を備える。制御部は、荷重センサにより検出された左右の位置の荷重に応じて台車部を左右方向に旋回制御する際に、搭乗部の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する台車部の旋回の応答速度を変更する。【選択図】図3
Description
本発明は、倒立状態を維持して走行する倒立型二輪車両に関する。
搭乗者の足が乗る搭乗部の前後及び左右の位置に設けられ、該位置にかかる荷重を検出する4つの荷重センサと、各荷重センサにより検出された荷重に応じて、左右一対の駆動部を制御する制御部と、を備える倒立型二輪車両が知られている(特許文献1参照)。搭乗者は、搭乗部に対し左右方向へ荷重をシフトすることで、倒立型二輪車を左右旋回させる。
ところで、本願発明者は、鋭意研究の結果、搭乗者が爪先側に荷重をかけつつ左右方向へ荷重をシフトさせる場合と、踵側に荷重をかけつつ左右方向へ荷重をシフトさせる場合と、で搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と、実際の倒立型二輪車の左右旋回状態と、が必ずしもマッチしないことを発見した。
すなわち、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトさせる場合、自身の筋肉で支えながら荷重をかけるため、この筋肉の支えがクッションとなる。したがって、この足のクッションによるバネ成分が荷重入力に組込まれることになり、搭乗者による左右方向の荷重シフト操作に対する旋回の応答速度が遅くなる傾向にある。一方で、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、足のバネ成分が荷重入力に入り難くなるため、搭乗者による左右方向の荷重シフト操作に対する旋回の応答速度が速くなる傾向にある。上述した、搭乗者が左右方向へ荷重をシフトする際の爪先側荷重および踵側荷重の相違によって、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と、実際の倒立型二輪車の左右旋回状態と、がマッチしない問題が生じている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と実際の左右旋回状態とがよりマッチした倒立型二輪車両を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
搭乗者の足が乗る搭乗部が設けられた台車部と、
前記台車部に設けられた左右一対の車輪を夫々駆動する一対の駆動部と、
前記搭乗部の前後及び左右の位置に夫々設けられ、該位置にかかる荷重を検出する少なくとも4つの荷重センサと、
前記各荷重センサにより検出された荷重に応じて、前記各駆動部を制御する制御部と、
を備える倒立型二輪車両であって、
前記制御部は、
前記荷重センサにより検出された左右の位置の荷重に応じて前記台車部を左右方向に旋回制御する際に、前記搭乗部の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する前記台車部の旋回の応答速度を変更する、
ことを特徴とする倒立型二輪車両
である。
搭乗者の足が乗る搭乗部が設けられた台車部と、
前記台車部に設けられた左右一対の車輪を夫々駆動する一対の駆動部と、
前記搭乗部の前後及び左右の位置に夫々設けられ、該位置にかかる荷重を検出する少なくとも4つの荷重センサと、
前記各荷重センサにより検出された荷重に応じて、前記各駆動部を制御する制御部と、
を備える倒立型二輪車両であって、
前記制御部は、
前記荷重センサにより検出された左右の位置の荷重に応じて前記台車部を左右方向に旋回制御する際に、前記搭乗部の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する前記台車部の旋回の応答速度を変更する、
ことを特徴とする倒立型二輪車両
である。
本発明によれば、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と実際の左右旋回状態とがよりマッチした倒立型二輪車両を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る倒立型二輪車両の概略的な構成を示す概略図である。本実施形態に係る倒立型二輪車両1は、例えば、倒立状態を維持しつつ、搭乗者の重心移動に応じて所望の走行を行う。
倒立型二輪車両1は、例えば、搭乗者が搭乗する台車部2と、台車部2に設けられ搭乗者が操作する操作ハンドル3と、台車部2に回転可能に設けられた一対の車輪4と、を備えている。
台車部2の上面には、搭乗者の左右足が夫々乗る左右一対のステップ部21が設けられている。ステップ部21は、搭乗部の一具体例である。台車部2の左右側面には、左右一対の車輪4が回転可能に夫々設けられている。操作ハンドル3は、例えば、台車部2の前方側かつ中央付近に前後方向へ傾斜可能に設けられている。
図2は、本実施形態に係る倒立型二輪車両の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態に係る倒立型二輪車両1は、姿勢センサ5と、左右一対の回転センサ6と、左右一対の車輪駆動ユニット7と、制御装置8と、ステップ部21にかかる荷重を検出する第1乃至第4荷重センサ11、12、13、14(以下、11〜14)と、を備えている。
姿勢センサ5は、台車部2のステップ部21のピッチ角度、ピッチ角速度、ピッチ角加速度、ロール角度、ロール角速度、ロール角加速度、ヨー角度、ヨー角速度、ヨー角加速度等の姿勢情報を検出する。姿勢センサ5は、例えば、搭乗者が重心を前後へ移動させることで生じた台車部2のステップ部21のピッチ角度(傾斜角度)を検出することができる。
姿勢センサ5は、制御装置8に接続されており、検出した姿勢情報を制御装置8に対して出力する。なお、姿勢センサ5は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、角度センサなどにより構成されている。
各回転センサ6は、台車部2に設けられた車輪4の回転数、回転角度、回転速度、回転加速度等の回転情報を検出する。回転センサ6は、例えば、エンコーダである。回転センサ6は、制御装置8に接続されており、検出した回転情報を制御装置8に対して出力する。
各車輪駆動ユニット7は、駆動部の一具体例である。各車輪駆動ユニット7は、台車部2に回転可能に設けられた各車輪4を夫々駆動することで、台車部2を走行させる。各車輪駆動ユニット7は、例えば、モータ71と、モータ71を駆動する駆動回路72と、モータ71の回転軸に動力伝達可能に連結された減速ギア73などによって構成することができる。駆動回路72は、例えば、モータドライバIC(Integrated Circuit)やMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などである。各車輪駆動ユニット7は、制御装置8に接続されており、制御装置8からの制御信号(回転指令値)に応じて、各車輪4を駆動する。
第1荷重センサ11は、右側ステップ部21の前方側に設けられている。第1荷重センサ11は、搭乗者の右足の爪先による荷重を検出する。第2荷重センサ12は、右側ステップ部21の後方側に設けられている。第2荷重センサ12は、搭乗者の右足の踵による荷重を検出する。
第3荷重センサ13は、左側ステップ部21の前方側に設けられている。第3荷重センサ13は、搭乗者の左足の爪先による荷重を検出する。第4荷重センサは、左側ステップ部21の後方側に設けられている。第4荷重センサ14は、搭乗者の左足の踵による荷重を検出する。第1乃至第4荷重センサ11〜14は、検出した右側及び左側ステップ部21の荷重を制御装置8に出力する。
なお、左右のステップ部21には、夫々、2つずつの荷重センサが設けられているが、これに限定されない。左右の各ステップ部21に、3つ以上の荷重センサが設けられていてもよい。
制御装置8は、台車部2が、例えば、倒立状態を維持する倒立制御を行いつつ、所望の走行(前進、後進、加速、減速、停止、左旋回、右旋回等)を行うように、各車輪駆動ユニット7を制御して、各車輪4の回転を制御する。
制御装置8は、姿勢センサ5により検出された台車部2の姿勢情報と、回転センサ6により検出された各車輪4の回転情報と、に基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行う。
なお、制御装置8は、例えば、制御処理、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)8a、CPU8aによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)からなるメモリ8b、外部と信号の入出力を行うインターフェイス部(I/F)8c、などからなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。CPU8a、メモリ8b、及びインターフェイス部8cは、データバスなどを介して相互に接続されている。
図3は本実施形態に係る制御装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態に係る制御装置8は、倒立制御部83と、旋回制御部84と、減算器85と、加算器86と、を有している。
倒立制御部83は、搭乗者が重心を前後に移動させたときに、姿勢センサ5により検出された台車部2のステップ部21のピッチ角度に応じて、各車輪駆動ユニット7を介して各車輪4の回転を制御することで、台車部2を倒立状態に維持しつつ前進又は後進させる。
倒立制御部83は、姿勢センサ5から出力される台車部2のステップ部21のピッチ角速度と、メモリ8bに記憶された倒立制御ゲインと、に基づいて、姿勢速度指令値Vpを算出する。倒立制御部83は、算出した姿勢速度指令値Vpを減算器85及び加算器86に出力する。
旋回制御部84は、搭乗者が重心を左右に移動させたときの、右側及び左側ステップ部21の荷重比に応じて、各車輪駆動ユニット7を介して各車輪4の回転を制御することで、台車部2を左右旋回させる。
旋回制御部84は、例えば、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、右側及び左側ステップ部21の荷重比を算出する。より具体的には、旋回制御部84は、第1及び第2荷重センサ11、12により検出された荷重を加算して、右側ステップ部21にかかる荷重を算出する。制御装置8は、第3及び第4荷重センサ13、14により検出された荷重を加算して、左側ステップ部21に掛かる荷重を算出する。旋回制御部84は、算出した右側ステップ部21の荷重と、左側ステップ部21の荷重と、に基づいて、右側及び左側ステップ部21の荷重比を算出する。
旋回制御部84は、算出した右側及び左側ステップ部21の荷重比と、予め設定されたマップ情報と、に基づいて、旋回速度指令値を算出する。例えば、右側及び左側ステップ部21の荷重比(%)と、倒立型二輪車両を旋回させるための旋回速度指令値(rad/s)との関係を示すマップ情報が予めメモリ8bなどに設定されている。旋回制御部84は、算出した旋回速度指令値Vrを減算器85及び加算器86に出力する。
減算器85は、倒立制御部83から出力された姿勢速度指令値Vpから、旋回制御部84から出力された旋回速度指令値Vrを、減算し、左車輪速度指令値VLを算出する。加算器86は、倒立制御部83から出力された姿勢速度指令値Vpと、旋回制御部84から出力された旋回速度指令値Vrと、を加算し、右車輪速度指令値VRを算出する。
減算器85は、算出した左車輪速度指令値VLを駆動回路72を介して左車輪駆動ユニット7に出力することで、左車輪駆動ユニット7の駆動を制御する。加算器86は、算出した右車輪速度指令値VRを駆動回路72を介して右車輪駆動ユニット7に出力することで、右車輪駆動ユニット7の駆動を制御する。これにより、各車輪駆動ユニット7は、左右車輪4に回転差を生じさせる。倒立型二輪車両1は、所望の車速度及び旋回方向で旋回走行を行う。
上述のような車両制御の構成により、倒立型二輪車両1は、例えば、搭乗者が重心を前後方向に移動させ台車部2のステップ部21を前後に傾斜させることで前進後退を行い、搭乗者が荷重を左右方向へシフトすることで、左右旋回を行うことができる。
ところで、本願発明者は、鋭意研究の結果、搭乗者が爪先側に荷重をかけつつ左右方向へ荷重をシフトさせる場合と、踵側に荷重をかけつつ左右方向へ荷重をシフトさせる場合と、で搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と、実際の倒立型二輪車の左右旋回状態と、が必ずしもマッチしないことを発見した。
すなわち、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトさせる場合、自身の筋肉で支えながら荷重をかけるため、この筋肉の支えがクッションとなる。したがって、この足のクッションによるバネ成分が荷重入力に組込まれることになり、搭乗者による左右方向の荷重シフト操作に対する旋回の応答速度が遅くなる傾向にある。一方で、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトさせる場合、足のバネ成分が荷重入力に入り難くなるため、搭乗者による左右方向の荷重シフト操作に対する旋回の応答速度が速くなる傾向にある。上述した、搭乗者が左右方向へ荷重をシフトする際の爪先側荷重および踵側荷重の相違によって、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と、実際の倒立型二輪車の左右旋回状態と、がマッチしない問題が生じている。
これに対し、本実施形態に係る倒立型二輪車両1において、旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された左右の位置の荷重に応じて台車部2を左右方向に旋回制御する際に、台車部2の各ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を変更する。
これにより、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトさせる場合、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を早くでき、逆に、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を遅くできる。したがって、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と実際の左右旋回状態とをよりマッチさせることができる。
旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、ステップ部21の前後方向の荷重配分を算出する。例えば、旋回制御部84は、第1荷重センサ11により検出された荷重と、第3荷重センサ13により検出された荷重と、を加算してステップ部21の前側荷重を算出する。旋回制御部84は、第2荷重センサ12により検出された荷重と、第4荷重センサ14により検出された荷重と、を加算してステップ部21の後側荷重を算出する。旋回制御部84は、算出した前側荷重と後側荷重とを比較する。旋回制御部84は、前側荷重が後側荷重よりも大きい場合、ステップ部21の前後方向の荷重配分が爪先側荷重であると判断する。一方、旋回制御部84は、後側荷重が前側荷重よりも大きい場合、ステップ部21の前後方向の荷重配分が踵側荷重であると判断する。旋回制御部84は、前側荷重と後側荷重とが略等しい場合、ステップ部21の前後方向の荷重配分が中央荷重であると判断する。
旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、例えば、右側及び左側ステップ部21の荷重比と旋回速度指令値との関係を示すマップ情報を切替える。
図4は、本実施形態に係るマップ情報の一例を示す図である。マップ情報には、例えば、図4に示す如く、爪先側荷重(1)、踵側荷重(2)、及び中央荷重(3)のときの、荷重比(%)と旋回速度指令値(rad/s)との関係が設定されている。
爪先側荷重の場合は、踵側荷重の場合と比較して、荷重比に対する旋回速度指令値の値がより大きく設定されている。したがって、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度をより早くできる。逆に、踵側荷重の場合は、爪先側荷重の場合と比較して、荷重比に対する旋回速度指令値の値がより小さく設定されている。したがって、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度を遅くできる。なお、中央荷重の場合、その荷重比に対する旋回速度指令値の値が、爪先側荷重および踵側荷重の場合の値の間に、設定されている。したがって、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度は、通常の速度となる。
さらに、荷重比に対する旋回速度指令値の増加勾配及び減少勾配を変化させることで、ステップ部21の左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度をより高精度に調整できる。
例えば、図4に示すように、荷重比が50%前後で旋回速度指令値の増加勾配及び減少勾配を大きくし、荷重比0%及び100%に近付くに従がって旋回速度指令値の増加勾配及び減少勾配を小さくするのが好ましい。これにより、荷重比が50%前後(右側及び左側ステップ部21の荷重バランスがとれている状態)で、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度をより大きくし、その反応を良くすることができる。一方、荷重比0%及び100%(右側及び左側ステップ部21の一方に荷重がかかっている状態)に近付くに従がって、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度をより小さくし、その反応を鈍くすることができる。
旋回制御部84は、上述の如く切替え設定したマップ情報と、算出した右側及び左側ステップ部21の荷重比と、に基づいて、旋回速度指令値を算出し、算出した旋回速度指令値を減算器85及び加算器86に出力する。
図5は、本実施形態に係る倒立型二輪車両の制御方法のフローを示すフローチャートである。
第1乃至第4荷重センサ11〜14は、台車部2の各ステップ部21の荷重を検出し、制御装置8に出力する(ステップS101)。
旋回制御部84は、例えば、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、右側及び左側ステップ部21の荷重比を算出する(ステップS102)。
旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、ステップ部21の前後方向の荷重配分を算出する(ステップS103)。
旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、例えば、右側及び左側ステップ部21の荷重比と旋回速度指令値との関係を示すマップ情報を切替える(ステップS104)。
旋回制御部84は、上述の如く切替え設定したマップ情報と、算出した右側及び左側ステップ部21の荷重比と、に基づいて、旋回速度指令値を算出し、算出した旋回速度指令値を減算器85及び加算器86に出力する(ステップS105)。
倒立制御部83は、姿勢センサ5から出力される台車部2のステップ部21のピッチ角速度と、メモリ8bに記憶された倒立制御ゲインと、に基づいて、姿勢速度指令値Vpを算出する。倒立制御部83は、算出した姿勢速度指令値Vpを減算器85及び加算器86に出力する(ステップS106)。
減算器85は、倒立制御部83から出力された姿勢速度指令値Vpから、旋回制御部84から出力された旋回速度指令値Vrを、減算し、左車輪速度指令値VLを算出する。減算器85は、算出した左車輪速度指令値VLを駆動回路72を介して左車輪駆動ユニット7に出力することで、左車輪駆動ユニット7の駆動を制御する(ステップS107)。
加算器86は、倒立制御部83から出力された姿勢速度指令値Vpと、旋回制御部84から出力された旋回速度指令値Vrと、を加算し、右車輪速度指令値VRを算出する。加算器86は、算出した右車輪速度指令値VRを駆動回路72を介して右車輪駆動ユニット7に出力することで、右車輪駆動ユニット7の駆動を制御する(ステップS108)。
以上、本実施形態に係る倒立型二輪車両1は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された左右の位置の荷重に応じて台車部2を左右方向に旋回制御する際に、台車部2の各ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を変更する。
これにより、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトさせる場合、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を早くでき、逆に、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、該左右の位置の荷重に対する台車部2の旋回の応答速度を遅くできる。したがって、搭乗者が感じる左右旋回の操作感覚と実際の左右旋回状態とをよりマッチさせることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
上記実施形態において、旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、右側及び左側ステップ部21の荷重比を算出しているが、これに限定されない。旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、右側及び左側ステップ部21の荷重差を算出してもよい。この場合、旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、右側及び左側ステップ部21の荷重差と旋回速度指令値との関係を示すマップ情報を切替えて、旋回速度指令値を算出する。
上記実施形態において、旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、右側及び左側ステップ部21の荷重比と旋回速度指令値との関係を示すマップ情報を切替えているが、これに限定されない。旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、旋回速度指令値に対する旋回制御ゲインを切替えてもよい。マップ情報には、例えば、図6に示す如く、爪先側荷重(1)、踵側荷重(2)、及び中央荷重(3)のときの、荷重比(%)と旋回制御ゲインとの関係が設定されている。
爪先側荷重の場合は、踵側荷重の場合と比較して、荷重比に対する旋回制御ゲインの値がより大きく設定されている。したがって、搭乗者が爪先側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度をより早くできる。逆に、踵側荷重の場合は、爪先側荷重の場合と比較して、荷重比に対する旋回制御ゲインの値がより小さく設定されている。したがって、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度を遅くできる。なお、中央荷重の場合、その荷重比に対する旋回制御ゲインの値が、爪先側荷重および踵側荷重の場合の値の間に、設定されている。したがって、搭乗者が踵側荷重で左右方向へ荷重をシフトする場合、ステップ部21の左右位置の荷重に対する台車部2の旋回応答速度は、通常の速度となる。
旋回制御部84は、第1乃至第4荷重センサ11〜14により検出された荷重に基づいて、ステップ部21の前後方向の荷重配分を算出する。旋回制御部84は、ステップ部21の前後方向の荷重配分に応じて、右側及び左側ステップ部21の荷重比と旋回制御ゲインとの関係を示すマップ情報を切替える。旋回制御部84は、切替え設定したマップ情報と、算出した右側及び左側ステップ部21の荷重比と、に基づいて、旋回制御ゲインを算出する。旋回制御部84は、算出した旋回制御ゲインに基づいて、旋回速度指令値を算出し、算出した旋回速度指令値を減算器85及び加算器86に出力する。
1 倒立型二輪車両、2 台車部、3 操作ハンドル、4 車輪、5 姿勢センサ、6 回転センサ、7 車輪駆動ユニット、8 制御装置、11 第1荷重センサ、12 第2荷重センサ、13 第3荷重センサ、14 第4荷重センサ、21 ステップ部、71 モータ、72 駆動回路、73 減速ギア、83 倒立制御部、84 旋回制御部、85 減算器、86 加算器
Claims (1)
- 搭乗者の足が乗る搭乗部が設けられた台車部と、
前記台車部に設けられた左右一対の車輪を夫々駆動する一対の駆動部と、
前記搭乗部の前後及び左右の位置に夫々設けられ、該位置にかかる荷重を検出する少なくとも4つの荷重センサと、
前記各荷重センサにより検出された荷重に応じて、前記各駆動部を制御する制御部と、
を備える倒立型二輪車両であって、
前記制御部は、
前記荷重センサにより検出された左右の位置の荷重に応じて前記台車部を左右方向に旋回制御する際に、前記搭乗部の前後方向の荷重配分に応じて、該左右の位置の荷重に対する前記台車部の旋回の応答速度を変更する、
ことを特徴とする倒立型二輪車両。
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