以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の電話自動応答補助システムを含む電話自動応答システム10の全体構成が示されている。電話自動応答補助システムは、従来から行われているいわゆる電話の自動応答を補助するシステムである。また、図2には、通話内容モニタ画面の一例が示されている。さらに、図3には、電話自動応答システム10による自動応答処理の流れ、図4には、割込処理の流れ、図5および図6には、2系統の自動応答復帰処理の流れが、それぞれフローチャートで示されている。
<電話自動応答補助システムを含む電話自動応答システム10の全体構成>
図1において、電話自動応答システム10は、複数の電話の話者α,β,γ,δ,…が操作する各通話用機器20との通信網1を介した音声通話のための接続処理を実行するとともに複数の管理者A,B,…が操作する各通話用機器30との通信回線2を介した音声通話のための接続処理を実行する電話制御装置40と、この電話制御装置40とそれぞれ通信回線3で接続された自動応答発信装置50、通話内容テキスト化装置60、および通話内容モニタ装置70とを備えて構成されている。
ここで、話者の通話用機器20と電話制御装置40とを接続する通信網1は、例えば、公衆電話網、携帯電話網、インターネット等のような比較的広域をカバーする各種の通信回線により構成され、音声通話のための音声信号を伝送することができれば、アナログ回線であるか、デジタル回線であるかは問わず、また、有線であるか、無線であるか、有線・無線の混在型であるかも問わない。なお、本発明における「電話」は、音声を電気信号に変えて伝送する通信方式(途中で光信号等への変換が行われる場合も含む。)を広く指しているので、通信網1は、全国各地にある電話局や基地局あるいはインターネット上の遠隔地の外部サーバを経由するような広域の通信網である必要はなく、例えば、室内、フロア内、ビル内、工場内、団地内、遊園地や公園やホテルの敷地内等のような比較的狭い区域内に設けられた通話用の通信網(主として、公衆向けではないプライベートな通信網であるが、民間による構築には限定されず、政府や地方公共団体等が構築する特定目的の通信網も含む。)であってもよく、この場合には、通信網1は、下記の通信回線2と略同等になる(すなわち、共に比較的狭い同一の区域内に設けられた通信回線となる)ので、通信網1と通信回線2とを共通の回線で構成してもよい。
管理者の通話用機器30と電話制御装置40とを接続する通信回線2は、室内、フロア内、ビル内、工場内、団地内、遊園地や公園やホテルの敷地内等のような比較的狭い区域内(従って、通常は、社内、団体内等のように、同一の管理主体により管理される区域内)に設置された回線であり、例えば、アナログの電話回線等であるが、デジタル回線としてもよく、後者のようにデジタル回線とする場合には、通信回線2は、下記の通信回線3で兼用してもよい。
各装置40,50,60,70間を接続する通信回線3は、例えば、室内、フロア内、ビル内、工場内、団地内、遊園地や公園やホテルの敷地内等のような比較的狭い区域内(従って、通常は、社内、団体内等のように、同一の管理主体により管理される区域内)に設置されたネットワーク(例えばTCP/IPネットワーク等)であり、具体的には、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やイントラネット等である。また、図1では、説明の便宜上、通信回線3は、各装置40,50,60,70間を個別に接続するような状態で図示されているが、ネットワークの接続形態は、バス型(イーサネット等)、リング型(トークンリング等)、スター型のいずれでもよい。
通話用機器20,30は、例えば、固定電話機、携帯電話機(従来型の携帯電話機およびスマートフォンを含む。)、パーソナル・コンピュータ(以下、PCと略記することがある。)、タブレット型端末等であり、アナログの音声信号を取り扱う機器であるか、デジタルの音声信号を取り扱う機器であるかは問わず、要するに、音声通話ができればよい。なお、通話用機器20,30が、PCやタブレット型端末といった汎用の通信機器である場合(通話を主な機能とした機器ではない場合)は、それらに搭載された通話用のプログラムや、マイクロフォンおよびスピーカを含めて通話用機器であるものとする。
<電話制御装置40の構成>
電話制御装置40は、1台または複数台のコンピュータ(サーバ)により構成され、電話制御手段41と、自動応答復帰指示認識手段42と、転送後通話内容テキスト化手段43とを含んで構成されている。なお、自動応答復帰指示認識手段42や転送後通話内容テキスト化手段43の設置は省略してもよい。
電話制御手段41は、電話の接続制御の処理を実行するものであり、具体的には、(1)複数の電話の話者α,β,γ,δ,…が操作する各通話用機器20と、自動応答発信装置50の自動応答処理手段51との接続処理、(2)複数の電話の話者α,β,γ,δ,…が操作する各通話用機器20と、複数の管理者A,B,…が操作する各通話用機器30のいずれかとの選択的な接続処理、(3)前記(1)の接続状態から前記(2)の接続状態へ切り換える転送処理(すなわち、自動応答を切断して管理者の通話用機器30に繋ぐ処理)、および、(4)前記(2)の接続状態から前記(1)の接続状態へ切り換える復帰処理(すなわち、管理者の通話用機器30との接続を切断して自動応答を再開させる処理)を実行する。このうち、(1)の接続処理は、従来から電話の自動応答で行われている処理である。
この際、電話制御手段41は、(1)の接続状態や(2)の接続状態を確立するにあたり、必要に応じ、音声信号の変換処理を実行する。この変換処理には、使用する回線の種別や通信プロトコルに応じ、例えば、VoIPゲートウェイ、モデム、ルータ、DSU、TA等が行う各種の処理が含まれる。
すなわち、電話制御手段41が話者の各通話用機器20から通信網1を介して受信する音声信号は、アナログの音声信号である場合と、デジタルの音声信号である場合とがあり、また、電話制御手段41が管理者の各通話用機器30から通信回線2を介して受信する音声信号も、アナログの音声信号である場合と、デジタルの音声信号である場合とがあり、さらに、デジタル音声データでも通信プロトコルが相違する場合があるので、電話制御手段41は、それぞれの音声信号に応じた変換処理を実行する。
具体的には、電話制御手段41は、(1)の接続処理において、話者の各通話用機器20からの音声信号をアナログの音声信号として受信する場合には、デジタル音声データ(例えば、通信プロトコルであるTCP/IPに準拠したVoIPデータ等)への変換処理を実行し、変換後のデジタル音声データを、通信回線3を介して自動応答発信装置50の自動応答処理手段51へ送信する。この送信は、本実施形態では、通話内容テキスト化装置60を経由しての送信となる。そして、自動応答処理手段51から各通話用機器20へ向かう逆の流れでは、逆の変換処理を実行する。
また、電話制御手段41は、(1)の接続処理において、話者の各通話用機器20からの音声信号をデジタルの音声信号として受信する場合には、そのまま通信回線3に送出することができる音声信号であるときには、そのまま送出し、そのまま通信回線3に送出することができない音声信号であるときには、通信回線3に送出するための通信プロトコルに準拠したデジタル音声データへの変換処理を実行し、変換後のデジタル音声データを、通信回線3を介して自動応答発信装置50の自動応答処理手段51へ送信する。この送信は、本実施形態では、通話内容テキスト化装置60を経由しての送信となる。そして、自動応答処理手段51から各通話用機器20へ向かう逆の流れでは、逆の変換処理を実行する。
さらに、電話制御手段41は、(2)の接続処理において、話者の各通話用機器20からの音声信号をアナログの音声信号として受信する場合には、管理者の各通話用機器30に向けて、そのままアナログの音声信号を送出することができるとき(通信回線2がアナログ回線であるとき)には、そのまま送出し、そのままアナログの音声信号を送出することができないとき(通信回線2がデジタル回線であるとき)には、通信回線2に送出するための通信プロトコルに準拠したデジタル音声データ(通信回線3を介して自動応答処理手段51へ送信する際の通信プロトコルと同じ通信プロトコルに準拠したデジタル音声データでもよく、異なる通信プロトコルに準拠したデジタル音声データでもよい。)への変換処理を実行し、変換後のデジタル音声データを、管理者の各通話用機器30へ送信する。そして、管理者の各通話用機器30から話者の各通話用機器20へ向かう逆の流れでは、逆の変換処理を実行する。
また、電話制御手段41は、(2)の接続処理において、話者の各通話用機器20からの音声信号をデジタルの音声信号として受信する場合には、管理者の各通話用機器30に向けて、そのままデジタルの音声信号を送出することができるとき(通信回線2がデジタル回線であり、かつ、同じ通信プロトコルに準拠するとき)には、そのまま送出し、通信回線2がアナログ回線であるために、そのままデジタルの音声信号を送出することができないときには、デジタルからアナログへの音声信号の変換処理を実行し、変換後のアナログの音声信号を、管理者の各通話用機器30へ送信し、通信回線2がデジタル回線ではあるものの通信プロトコルが異なるために、そのままデジタルの音声信号を送出することができないときには、通信回線2に送出するための通信プロトコルに準拠したデジタル音声データへの変換処理を実行し、変換後のデジタル音声データを、管理者の各通話用機器30へ送信する。そして、管理者の各通話用機器30から話者の各通話用機器20へ向かう逆の流れでは、逆の変換処理を実行する。
さらに、電話制御手段41は、(3)の転送処理については、転送指示情報を受け取ったときに実行し、(4)の復帰処理については、再転送指示情報を受け取ったときに実行する。
自動応答復帰指示認識手段42は、自動応答処理手段51から通話を引き継いだ管理者が発した通話内容を示す音声信号(管理者の通話用機器30から通信回線2を介して送信されてくる音声信号)を取得して音声認識を行い、この通話内容の中に、当該管理者による自動応答処理に戻す要求が含まれているか否かを判断し、要求が含まれている場合には、電話制御手段41に対し、通話中の話者の通話相手となる接続先を、管理者の操作する通話用機器30から自動応答処理手段51へ切り換える(元の自動応答に戻す)ための再転送指示情報(復帰対象話者識別情報を含み、さらに復帰ステップ情報が含まれている場合もある。)を出力する処理を実行するものである。
この自動応答復帰指示認識手段42により実行される音声認識処理は、自動応答処理手段51により実行される音声認識処理と同様な処理でよい。この際、管理者の各通話用機器30から通信回線2を介して送信されてくる音声信号がアナログの音声信号である場合には、自動応答復帰指示認識手段42は、そのアナログの音声信号を、音声認識のための学習段階で使用したデジタル音声データと同じ形式のデジタル音声データに変換する処理を実行し、変換後のデジタル音声データを、音声認識器(自動応答復帰指示認識手段42のうちの音声認識器に該当する部分)に入力する。
また、「管理者による自動応答処理に戻す要求」というのは、管理者が、話者との通話中に、自分で声に出して言う自動応答復帰指示情報であり、例えば、通話中の話者に対して「それでは、○○秒後に自動応答に戻ります。自動応答を△△についてのご質問から再開させていただきます。」等のような予め定められた特定内容の音声を発した場合に、それを管理者の要求(指示情報)とみなすものである。
さらに、「管理者による自動応答処理に戻す要求」の中には、いずれのステップから自動応答処理に戻すのか(自動応答を再開するのか)を示す復帰ステップ情報が含まれている場合がある。上記の例では「自動応答を△△についてのご質問から再開させていただきます。」の△△の部分が復帰ステップ情報に該当する。そして、音声認識で把握した復帰ステップ情報は、再転送指示情報に含ませることにより自動応答復帰指示認識手段42から電話制御手段41へ送信し、さらに、電話制御手段41から通信回線3を介して自動応答処理手段51へ送信する。但し、自動応答を中断した位置(ステップ)に戻る等、復帰ステップ情報が必要ない場合には、必ずしも「管理者による自動応答処理に戻す要求」の中に、復帰ステップ情報を含ませる必要はない。
転送後通話内容テキスト化手段43は、自動応答処理手段51から管理者への通話相手の交代が行われた後に、電話制御手段41から管理者の通話用機器30へ送信される話者による通話内容を示す音声信号を取得し、テキストデータに変換する処理を実行するとともに、管理者の通話用機器30から電話制御手段41へ送信される管理者による通話内容を示す音声信号を取得し、テキストデータに変換する処理を実行し、得られたテキストデータを、通信回線3を介して通話内容モニタ装置70の通話内容表示処理手段71に送信する処理を実行するものである。
この転送後通話内容テキスト化手段43により実行されるテキスト化の処理は、通話内容テキスト化装置60の通話内容テキスト化手段61により実行されるテキスト化の処理と同様な処理でよい。この際、電話制御手段41から管理者の通話用機器30へ送信される話者による通話内容を示す音声信号、および、管理者の通話用機器30から電話制御手段41へ送信される管理者による通話内容を示す音声信号は、前述したように、アナログの音声信号である場合と、デジタルの音声信号である場合とがあるが、それらの音声信号が、音声認識のための学習段階で使用された形式のデジタル音声データになっていない場合には、A/D変換を行って当該形式のデジタル音声データとしてからテキスト化の処理を実行する。
電話制御装置40には、この他に、自動応答復帰指示認識手段42や転送後通話内容テキスト化手段43を構成する各音声認識器で使用される、学習で得られた各モデル(パラメータ等)を記憶するモデル記憶手段が設けられているが、図示は省略されている。
<自動応答発信装置50の構成>
自動応答発信装置50は、1台または複数台のコンピュータ(サーバ)により構成され、自動応答処理手段51と、割込処理手段52と、応答データ記憶手段53と、割込指示情報記憶手段54とを含んで構成されている。
自動応答処理手段51は、(1)電話制御手段41から出力される話者が発した通話内容を示すデジタル音声データを通信回線3を介して受信し、受信したデジタル音声データを入力データとして音声認識器で音声認識処理を行い、応答データ記憶手段53に記憶された応答データを用いて、認識された話者の通話内容に応答するためのデジタル音声データを出力して電話制御手段41へ送信する処理、(2)割込処理手段52に対し、割込指示情報記憶手段54に割込指示情報が記憶されているか否かを確認させるための確認指示を出す処理、および、(3)電話制御手段41に対し、所定の場合に該当したときに話者の通話相手を自分(自動応答処理手段51)から管理者に切り換える転送指示情報を出力する処理を実行するものである。このうち、(1)の音声認識処理は、従来から電話の自動応答で行われている処理である。
この自動応答処理手段51による(1)の音声認識処理については、本実施形態では、入力されたデジタル音声データについて、全文の音声認識を行う音声認識器を使用するのではなく、入力されたデジタル音声データに含まれている特定の言葉(単語や文章)を抽出するスロット型の音声認識器を使用する。そして、自動応答処理手段51は、音声認識により、特定の言葉を抽出することができた場合には、抽出された特定の言葉に応じ(例えば、“はい”、“いいえ”の別などに応じ)、予め用意されたシナリオに沿って、自動応答のための次の文章データを用意する。従って、このようなシナリオは、条件分岐的に用意されており、通話用機器20から送信されてくる話者の通話内容に従って、多岐のシナリオが展開される。
応答データ記憶手段53には、各シナリオおよび各シナリオに沿って用意された応答データが記憶されている。応答データには、固定的な応答データと、可変部を含む応答データとがある。また、応答データ記憶手段53には、詳細は後述するが、転送指示情報を出力するか否かを判断するための転送判定データも記憶されている。
固定的な応答データは、例えば「了解しました。」等のデータであり、可変部がないので、そのまま出力して電話制御手段41へ送信することができるように、デジタル音声データで用意されている。但し、固定的な応答データをテキストデータで用意しておき、自動応答処理手段51により、デジタル音声データへの変換処理を実行して電話制御手段41へ送信してもよい。
一方、可変部を含む応答データとは、例えば「保守担当の○○さんですか?」等のデータであり、○○という可変部があるので、テキストデータで用意されている。そして、○○という可変部の情報は、例えば、話者との通話で音声認識により得られた情報、またはその情報を用いて取得した情報である。具体的には、自動応答処理手段51が、例えば、話者との通話の開始時に、話者に対して従業員番号等を尋ね、それに応じた話者の回答を音声認識し、音声認識で得られた従業員番号等に対応する名前のテキストデータをデータベース(不図示)から取得し、応答データ記憶手段53に記憶された「保守担当の○○さんですか?」というテキストデータと、取得した名前のテキストデータとを合成(結合)することにより、自動応答用の文章となるテキストデータを完成させ、このテキストデータを変換してデジタル音声データを生成し、生成したデジタル音声データを出力して電話制御手段41へ送信する。
なお、本発明における「自動応答処理手段」で採用する音声認識の方式は任意であり、電話の自動応答に適するものであれば、既存のいずれの音声認識器を用いてもよく、また、今後、開発される音声認識器を用いてもよく、さらには、特定の言葉を抽出するスロット型の音声認識器に限らず、全文の音声認識を行う音声認識器を使用してもよい。
自動応答処理手段51による(2)の確認指示を出す処理は、自動応答が行われている最中に、いつでも管理者による通話への割込みを許容するのではなく、シナリオの進行中における適切なタイミングで割込みを許容するために行われる。
自動応答処理手段51による(3)の転送指示情報の出力処理は、[1]通話中の話者が発した通話内容の中に、当該話者による管理者への通話相手の交代の要求(「人に代わってください。」、「管理者を出してください。」等の所定の内容)が含まれている場合、[2]通話中の話者が発した通話内容の中に、管理者への交代が必要であるとの自動判断を行うための予め定められた特定の内容(応答データ記憶手段53に転送判定データとして記憶されている特定の内容)が含まれている場合、[3]通話中の話者が発した通話内容を認識することができない場合に該当するか否かをそれぞれ判断し、[1]〜[3]のうちのいずれかの場合に該当したときに、電話制御手段41に対し、通話中の話者の通話相手となる接続先を、自分(自動応答処理手段51)から管理者の通話用機器30へ切り換えるための転送指示情報を、通信回線3を介して出力する処理である。なお、この場合の転送指示情報には、いずれの話者と機械との間の通話に管理者を割り込ませるのかを識別する割込対象話者識別情報は含まれるが、空いている任意の管理者の通話用機器30へ転送する場合には、通話に割り込む管理者を識別する割込管理者識別情報は含まれていなくてもよい。但し、空いている任意の管理者ではなく、通話内容に対応可能な管理者を自動選択し、その管理者の通話用機器30へ切り換えてもよく、その場合は、転送指示情報には、割込対象話者識別情報のみならず、割込管理者識別情報も含まれる。
応答データ記憶手段53に記憶されている転送判定データは、例えば「障害による業務影響があります。」等であり、自動応答処理手段51は、話者による通話内容の中に「障害による業務影響があります。」等の特定の内容が含まれていると判断した場合に、転送指示情報を出力し、この転送指示情報を通信回線3を介して電話制御手段41に送信する。
割込処理手段52は、通話内容モニタ装置70の割込指示受付手段72による割込指示情報(いずれの話者と機械との間の通話に割り込むのかを識別する割込対象話者識別情報、および、いずれの管理者が割り込むのかを識別する割込管理者識別情報を含む。)の受付があったときに割込指示受付手段72から通信回線3を介して送信されてくる割込指示情報を受信して割込指示情報記憶手段54に記憶させるとともに、自動応答処理手段51による確認指示(自動応答実行中の通話相手の話者についての話者識別情報を含む。)があったときに割込指示情報記憶手段54に割込指示情報(確認指示に係る話者識別情報と一致する割込対象話者識別情報を含む割込指示情報)が記憶されているか否かを確認し、該当する割込指示情報が記憶されている場合には、電話制御手段41に対し、通話中の話者(割込対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、自動応答処理手段51から管理者(割込管理者識別情報で指定された管理者)の通話用機器30へ切り換えるための転送指示情報(割込対象話者識別情報および割込管理者識別情報を含む。)を出力する処理を実行するものである。なお、割込処理手段52は、電話制御手段41への転送指示情報の送信を、自動応答処理手段51を経由させて行ってもよい。
割込指示情報記憶手段54には、割込指示受付手段72から通信回線3を介して送信されてきて割込処理手段52で受信した割込指示情報(割込対象話者識別情報および割込管理者識別情報を含む。)が記憶されているが、その他に、割込みが実行されたか否か(自動応答処理手段51による確認指示に基づく割込処理手段52による確認処理があったか否か)を示す割込実行済フラグが割込指示情報と対応付けられて記憶されている。なお、割込実行済フラグを設けるのではなく、自動応答処理手段51による確認指示に基づき、割込処理手段52が確認処理を行ったときに、確認した割込指示情報を削除する処理を行ってもよい。
自動応答発信装置50には、この他に、自動応答処理のための音声認識器で使用される、学習で得られたモデル(パラメータ等)を記憶するモデル記憶手段が設けられているが、図示は省略されている。
<通話内容テキスト化装置60の構成>
通話内容テキスト化装置60は、1台または複数台のコンピュータ(サーバ)により構成され、通話内容テキスト化手段61を含んで構成されている。
通話内容テキスト化手段61は、(1)電話制御手段41から自動応答処理手段51へ送信される話者による通話内容を示すデジタル音声データを取得し、これをテキストデータに変換した後、得られたテキストデータを通話内容モニタ装置70の通話内容表示処理手段71に送信する処理を実行するとともに、(2)自動応答処理手段51から電話制御手段41へ送信される自動応答処理手段51による通話内容を示すデジタル音声データを取得し、これをテキストデータに変換した後、得られたテキストデータを通話内容モニタ装置70の通話内容表示処理手段71に送信する処理を実行するものである。
具体的には、本実施形態では、一例として、(1)の処理については、電話制御手段41から自動応答処理手段51へ通話内容テキスト化装置60経由で通信回線3を介して送信されるデジタル音声データを、通信回線3の途中で取得し、テキスト化を行った後、得られたテキストデータを、通信回線3を介して通話内容表示処理手段71に送信する。また、(2)の処理については、自動応答処理手段51から電話制御手段41へ通話内容テキスト化装置60経由で通信回線3を介して送信されるデジタル音声データを、通信回線3の途中で取得し、テキスト化を行った後、得られたテキストデータを、通信回線3を介して通話内容表示処理手段71に送信する。
なお、(2)の処理については、自動応答処理手段51から出力されるデジタル音声データを取得し、それをテキスト化するのではなく、自動応答処理手段51から、デジタル音声データ変換前のテキストデータを取得し、そのテキストデータを通話内容表示処理手段71に送信してもよい。この際、本実施形態では、自動応答処理手段51は、前述したように、可変部を含む応答データ(例えば「保守担当の○○さんですか?」等のデータ)については、テキストデータで応答データを生成し(複数のテキストを結合して応答データを完成させ)、それをデジタル音声データに変換して出力するので、そのデジタル音声データ変換前のテキストデータを取得すればよい。一方、本実施形態では、自動応答処理手段51は、固定的な応答データ(例えば「了解しました。」等のデータ)については、デジタル音声データで応答データを予め用意する構成とされているが、そのような構成ではなく、例えば、本発明における自動応答処理手段が、固定的な応答データについても、テキストデータで応答データを予め用意しておき、それをデジタル音声データに変換して出力する構成とされている場合には、そのデジタル音声データ変換前のテキストデータを取得すればよい。
また、本実施形態では、電話制御手段41、自動応答処理手段51、通話内容テキスト化手段61、および通話内容表示処理手段71は、それぞれ別のコンピュータからなる装置に設けられているが、これらの装置が1つのコンピュータにより構成されていれば、通信回線3を介したデータの送受信は、同じコンピュータ内でのデータの受け渡しとなる。従って、この場合には、上述した本実施形態における通信回線3の途中でのデータの取得処理(通話内容テキスト化装置60を経由させてのデータの取得処理)は、電話制御手段41と自動応答処理手段51との間で受け渡されるデータを取得する処理となる。
さらに、通話内容テキスト化装置60を経由させてのデジタル音声データの取得処理に限定されるものではなく、例えば、(1)の処理については、電話制御手段41から自動応答処理手段51へのデジタル音声データの送信とは別に、同じデジタル音声データを電話制御手段41から通話内容テキスト化手段61へも送信するようにしてもよく、(2)の処理については、自動応答処理手段51から電話制御手段41へのデジタル音声データの送信とは別に、同じデジタル音声データを自動応答処理手段51から通話内容テキスト化手段61へも送信するようにしてもよい。
通話内容テキスト化装置60には、この他に、音声データからテキストデータへの変換処理で使用される、学習で得られたモデル(パラメータ等)を記憶するモデル記憶手段が設けられているが、図示は省略されている。
<通話内容モニタ装置70の構成>
通話内容モニタ装置70は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、通話内容表示処理手段71と、割込指示受付手段72と、自動応答復帰指示受付手段73と、表示手段74と、入力手段75とを含んで構成されている。なお、自動応答復帰指示受付手段73の設置は省略してもよい。
通話内容表示処理手段71は、通話内容テキスト化手段61から通信回線3を介して送信されてくるテキストデータを受信し、受信したテキストデータを用いて、話者と自動応答処理手段51との間の双方の通話内容を、テキストで表示手段74に画面表示する処理を実行するものである。なお、電話の自動応答であるため、通常は、話者による通話内容と、自動応答処理手段51(機械)による通話内容とが、交互に画面表示される。
この際、通話内容表示処理手段71は、通話中の話者が複数いる場合には、通話中の複数の話者の各々と自動応答処理手段51との間の各々の通話内容を、同時に表示手段74に画面表示する。
そして、通話内容表示処理手段71は、通話内容テキスト化手段61から受信したテキストデータを用いて画面表示するテキストの中に、予め定められた特定のテキストが含まれているか否かを判断し、特定のテキストが含まれている場合には、特定のテキストについて、他のテキストと区別するための強調表示処理を実行する。ここで、強調表示とは、例えば、特定のテキストを点滅させる、アンダーラインを引く、枠で囲う、網掛けにする、文字の色を変える、背景色を変える、太文字にする等である。この際、通話内容モニタ装置70には、強調表示の対象となる特定のテキストを記憶する特定テキスト記憶手段(不図示)が設けられているので、通話内容表示処理手段71は、この特定テキスト記憶手段から処理に必要な特定テキストを取得する。
また、通話内容表示処理手段71は、自動応答処理手段51から管理者への通話相手の交代が行われた後に、転送後通話内容テキスト化手段43から通信回線3を介して送信されてくるテキストデータを受信し、受信したテキストデータを用いて、話者と管理者との間の通話内容を、テキストで表示手段74に画面表示する処理も実行する。なお、通常は、話者による通話内容と、管理者による通話内容とが、交互に画面表示されるが、自動応答ほどは表示順序に規則性はない。
この際、通話内容表示処理手段71は、通話中の話者と管理者との組合せが複数組ある場合には、複数組の各々の通話内容を、同時に画面表示する。なお、話者と管理者との間の通話内容を画面表示する位置は、自動応答処理手段51(機械)から管理者への通話相手の交代前に行われていた話者と機械との間の通話内容の画面表示に続くような位置とすることが好ましい。例えば、同じ枠内や同じウィンドウ内に表示するか、あるいは同じ枠内や同じウィンドウ内でなくても、管理者が、上から下へ、左から右へ、右から左へと視線を移したときに、交代前後の通話が円滑に繋がって見えるような位置に画面表示することが好ましい。
なお、通話内容表示処理手段71は、上述したような自動応答処理手段51(機械)から管理者への通話相手の交代後における話者と管理者との間の通話内容の画面表示を行わない構成とした場合には、交代前に行われていた当該話者と機械との間の通話内容の表示部(既に管理者との通話、すなわち人間同士の通話に切り替わっている場合の当該話者のための表示部)と、他の話者と機械との間の通話内容の表示部(まだ機械との通話が続いている話者のための表示部)とを区別するための識別表示を行うことが好ましい。このような識別表示を行えば、当該話者については、既に管理者との通話に切り替わっているということを、他の管理者(当該話者と通話中の管理者以外の管理者)が容易に把握することができるようになるので、他の管理者による監督対象の話者を減らすことができる。識別表示は、具体的には、例えば、表示部の枠の色を変える、表示部の背景色を変える、表示部のテキストの色を変える等である。
さらに、通話内容表示処理手段71は、管理者から自動応答処理手段51(機械)への通話相手の交代後(自動応答復帰後)においても、最初に話者と機械との間の通話内容をテキストで画面表示していたときと同様に、話者と機械との間の通話内容を、テキストで表示手段74に画面表示する処理を実行する。この場合も、最初の自動応答における話者と機械との間の通話内容、その後(自動応答中断後)における話者と管理者との間の通話内容、そして自動応答復帰後における話者と機械との間の通話内容が、円滑に繋がって見えるような位置に画面表示することが好ましい。従って、通話内容モニタ装置70には、画面のいずれの位置に、いずれの話者と機械との間の通話内容の画面表示が行われているのかという情報、あるいは、画面のいずれの位置に、いずれの話者といずれの管理者との間の通話内容の画面表示が行われているのかという情報を、表示位置情報、話者識別情報(割込対象話者識別情報)、および割込管理者識別情報を対応付けることにより記憶する表示位置記憶手段(不図示)が設けられている。
割込指示受付手段72は、通話内容表示処理手段71により表示手段74に画面表示されたテキストを見ている管理者による、入力手段75を用いた通話への割込みのための割込指示情報(いずれの話者と機械との間の通話に割り込むのかを識別する割込対象話者識別情報、および、いずれの管理者が割り込むのかを識別する割込管理者識別情報を含む。)の入力を受け付け、受け付けた割込指示情報を、通信回線3を介して自動応答発信装置50の割込処理手段52へ送信する処理を実行するものである。
自動応答復帰指示受付手段73は、自動応答処理手段51から通話を引き継いだ管理者による、入力手段75を用いた自動応答処理に戻すための自動応答復帰指示情報(自動応答を復帰させる対象となる話者を識別する復帰対象話者識別情報、および、いずれのステップから自動応答を再開するのかを示す復帰ステップ情報を含む。)の入力を受け付け、自動応答復帰指示情報を受け付けた場合に、電話制御手段41に対し、通話中の話者(復帰対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、管理者の操作する通話用機器30から自動応答処理手段51へ切り換えるための再転送指示情報(復帰対象話者識別情報および復帰ステップ情報を含む。)を、通信回線3を介して出力する処理を実行するものである。但し、自動応答を中断した位置(ステップ)に戻る等、復帰ステップ情報が必要ない場合には、必ずしも自動応答復帰指示情報やそれに基づく再転送指示情報の中に、復帰ステップ情報を含ませる必要はない。なお、再転送指示情報を受信した電話制御手段41は、その再転送指示情報に含まれる復帰ステップ情報を、自動応答処理手段51へ通信回線3を介して送信する。
表示手段74は、管理者が見るテキストを画面表示するためのディスプレイであり、具体的には、例えば、液晶ディスプレイ等である。表示手段74は、固定設置されるものに限らず、携帯可能(移動可能)なものとしてもよい。なお、複数の管理者がいる場合には、管理者毎に表示手段74を設けてもよく、あるいは、例えば同じ室内にいる複数の管理者が同時に見ることができるような大画面の表示手段74であれば、複数の管理者に共通の表示手段74としてもよい。前者の場合には、各管理者の表示手段74には、原則として同じ画面表示が行われるので、すべての管理者が、すべての通話中の話者と機械との間の通話内容を見ることができるようになっている。
入力手段75は、管理者が割込指示情報や自動応答復帰指示情報を入力操作するツールであり、具体的には、例えば、タブレット、スタイラスペン、タッチパネル、マウス、キーボード等である。入力手段75は、表示手段74と一体化されていてもよい。
そして、表示手段74は、管理者が見るものであり、入力手段75は、管理者が入力操作するものであるから、これらは、管理者に比較的近い位置に設置されるが、通話内容表示処理手段71、割込指示受付手段72、および自動応答復帰指示受付手段73については、管理者から離れた位置に設置されていてもよい。従って、例えば、通話内容モニタ装置70をサーバ・クライアント型の装置として構築する場合には、管理者の操作するクライアント側に表示手段74や入力手段75を設け、サーバ側に通話内容表示処理手段71、割込指示受付手段72、および自動応答復帰指示受付手段73を設ければよい。また、サーバ・クライアント型の装置にしない場合には、通話内容表示処理手段71、割込指示受付手段72、および自動応答復帰指示受付手段73が設けられた装置本体(コンピュータ本体)と、周辺機器である表示手段74や入力手段75とを、無線または有線で接続すればよい。なお、通話用機器30も、表示手段74や入力手段75の場合と同様に、管理者に比較的近い位置に設けるべきものであるから、通話用機器30を電話の機能を主とする機器(固定電話機、携帯電話機)としない場合には、通話用機器30と、表示手段74や入力手段75を備えた機器とを、同じ機器(例えば、PCやタブレット型端末等)で構成してもよい。
図2において、通話内容モニタ画面200は、通話内容表示処理手段71により表示手段74に表示される画面の一例であり、この通話内容モニタ画面200には、通話中の電話の各話者(図示の例では、話者α,β,γ,δ)と自動応答処理手段51(機械)との間の通話内容の各々をテキストで表示する表示部201,202,203,204と、割込指示情報を入力する割込指示情報入力部210と、自動応答復帰指示情報を入力する自動応答復帰指示情報入力部220とが設けられている。なお、自動応答復帰指示情報入力部220の設置は省略してもよい。
各表示部201,202,203,204には、各話者α,β,γ,δの通話内容を示すテキストと、自動応答処理手段51(機械)の通話内容を示すテキストとが、原則として交互に表示されるようになっている。図2の例では、各話者α,β,γ,δは、オンライントレードシステム(DOT)の保守担当者であるが、本実施形態の電話自動応答システム10による自動応答は、この例のような社内や団体内の業務連絡や報告や指示といった特定の者だけが関与する通話に限定されるものではなく、例えば、商品の購入、解約、相談、苦情等の受付のような一般の顧客(不特定多数の者)向けの各種サービスにおける通話、火災や地震や事故等の災害時・緊急時の通報や安否確認という意味合いの通話、選挙の動向調査や各種アンケートのような調査目的の通話等に広く適用することができる。
割込指示情報入力部210には、入力した割込指示情報を自動応答発信装置50の割込処理手段52に送信するための割込ボタン211と、割込指示情報として通話中の各話者α,β,γ,δのうちのいずれの話者の通話に割り込むかを識別する割込対象話者識別情報(ここでは、一例として通話番号とする。)を入力する通話番号入力フィールド212と、割込指示情報として管理者A,Bのうちのいずれの管理者が通話への割込みを行うのかを識別する割込管理者識別情報(ここでは、一例として割込管理者番号とする。)を入力する割込管理者番号入力フィールド213とが設けられている。
自動応答復帰指示情報入力部220には、入力した自動応答復帰指示情報に基づき再転送指示情報を電話制御装置40の電話制御手段41に送信するための自動応答復帰ボタン221と、自動応答復帰指示情報として通話中の各話者α,β,γ,δのうちのいずれの話者の通話を自動応答に戻すのかを識別する復帰対象話者識別情報(ここでは、一例として通話番号とする。)を入力する通話番号入力フィールド222と、自動応答を再開するステップを示す復帰ステップ情報を入力する自動応答復帰ステップ入力フィールド223とが設けられている。
<電話自動応答システム10の全体的なデバイス構成>
以上において、電話制御装置40に設けられた電話制御手段41、自動応答復帰指示認識手段42、転送後通話内容テキスト化手段43、自動応答発信装置50に設けられた自動応答処理手段51、割込処理手段52、通話内容テキスト化装置60に設けられた通話内容テキスト化手段61、通話内容モニタ装置70に設けられた通話内容表示処理手段71、割込指示受付手段72、自動応答復帰指示受付手段73は、各装置40,50,60,70を構成する各コンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに主メモリ等の作業用メモリにより実現される。
また、自動応答発信装置50に設けられた応答データ記憶手段53、割込指示情報記憶手段54は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)等の他の記録媒体により構成してもよい。図示されないモデル記憶手段、特定テキスト記憶手段、表示位置記憶手段、その他の記憶手段も同様である。
さらに、本実施形態では、電話制御装置40、自動応答発信装置50、通話内容テキスト化装置60、および通話内容モニタ装置70は、それぞれ別のコンピュータにより構成され、各装置40,50,60,70で実現される各機能は、図1に示された状態で分散されているが、これは機能分散の一例であり、これらの装置40,50,60,70で実現される各機能は、1つのコンピュータにまとめてもよく、図1に示された状態とは異なる状態で、幾つかのコンピュータに分散させてもよい。例えば、自動応答発信装置50と通話内容テキスト化装置60とを一体化させてもよく、電話制御装置40と自動応答発信装置50と通話内容テキスト化装置60とを一体化させてもよく、通話内容モニタ装置70の表示手段74や入力手段75を、管理者に比較的近い位置に設けるという条件を満たせば、4つの装置40,50,60,70を一体化させてもよく、通話内容テキスト化装置60と通話内容モニタ装置70とを一体化させてもよい。また、逆に、例えば、電話制御装置40に設けられている自動応答復帰指示認識手段42および転送後通話内容テキスト化手段43を、電話制御手段41を実現するコンピュータとは異なるコンピュータに分離させる機能分散を行ってもよく、自動応答発信装置50に設けられている自動応答処理手段51と割込処理手段52とを、別のコンピュータに分離させる機能分散を行ってもよく、割込処理手段52を通話内容モニタ装置70に設けてもよい。
<電話自動応答システム10の自動応答処理の流れ>
このような本実施形態においては、電話自動応答システム10により、以下のようにして電話の自動応答処理が行われる。
図3において、電話の話者の操作する通話用機器20から通信網1を介して送信されてくる話者の音声信号を電話制御手段41により受信すると(ステップS1)、電話制御手段41は、音声信号の変換(必要な場合のみでよい。)を行い、話者の発したデジタル音声データを通信回線3を介して通話内容テキスト化装置60経由で自動応答処理手段51に送信する(ステップS2)。
通話内容テキスト化装置60では、通話内容テキスト化手段61により、電話制御手段41からの話者のデジタル音声データを取得し、そのデジタル音声データをテキストに変換し(ステップS3)、変換で得られた話者のテキストデータを、通信回線3を介して通話内容モニタ装置70に送信する(ステップS4)。
通話内容モニタ装置70では、通話内容テキスト化手段61から送信されてくる話者のテキストデータを通話内容表示処理手段71により受信すると(ステップS5)、通話内容表示処理手段71は、話者のテキストデータを用いて、図2に示すように、話者の通話内容をテキストで表示手段74に画面表示する(ステップS6)。この際、通話内容表示処理手段71は、画面表示するテキストの中に、特定のテキストが含まれていれば、その特定のテキストについて強調表示処理を行う。
これと並行して、自動応答発信装置50では、電話制御手段41から通信回線3を介して通話内容テキスト化装置60経由で送信されてくる話者のデジタル音声データを自動応答処理手段51により受信すると(ステップS7)、自動応答処理手段51は、受信したデジタル音声データを用いて、音声認識を行い、応答データ記憶手段53に記憶された応答データを用いて、自動応答のデジタル音声データを用意する(ステップS8)。
この際、自動応答処理手段51により、管理者への電話の転送が必要か否か、すなわち自動応答処理手段51(機械)による自動応答から管理者による対応への切替えが必要か否かを判断する(ステップS9)。なお、説明の便宜上、ステップS8,S9を分けて記載しているが、ステップS8,S9の処理は、併せて行われる処理である。
具体的には、自動応答処理手段51は、[1]通話中の話者が発した通話内容の中に、当該話者による管理者への通話相手の交代の要求(「人に代わってください。」、「管理者を出してください。」等の所定の内容)が含まれている場合、[2]通話中の話者が発した通話内容の中に、管理者への交代が必要であるとの自動判断を行うための予め定められた特定の内容(応答データ記憶手段53に転送判定データとして記憶されている特定の内容、例えば「障害による業務影響があります。」等)が含まれている場合、[3]通話中の話者が発した通話内容を認識することができない場合に該当するか否かをそれぞれ判断する(ステップS9)。
ここで、自動応答処理手段51により、上記の[1]〜[3]のうちのいずれの場合にも該当しないと判断した場合、すなわち管理者への電話の転送は必要ないと判断した場合には、用意した自動応答のデジタル音声データを、通信回線3を介して通話内容テキスト化装置60経由で電話制御手段41に送信する(ステップS10)。そして、自動応答を中断または中止してもよいタイミング(一連のプログラム処理における適切な区切りの位置)であれば、自動応答処理手段51により、割込処理手段52に対し、割込指示情報の有無の確認指示を出力する(ステップS11)。
また、通話内容テキスト化装置60では、通話内容テキスト化手段61により、自動応答処理手段51から送信されてくる自動応答のデジタル音声データを取得し、そのデジタル音声データをテキストに変換し(ステップS12)、変換で得られた自動応答のテキストデータを、通信回線3を介して通話内容モニタ装置70に送信する(ステップS13)。
通話内容モニタ装置70では、通話内容テキスト化手段61から送信されてくる自動応答のテキストデータを通話内容表示処理手段71により受信すると(ステップS14)、通話内容表示処理手段71は、自動応答のテキストデータを用いて、図2に示すように、自動応答の通話内容をテキストで表示手段74に画面表示する(ステップS15)。この際、通話内容表示処理手段71は、画面表示するテキストの中に、特定のテキストが含まれていれば、その特定のテキストについて強調表示処理を行う。
これと並行して、電話制御装置40では、自動応答処理手段51から通信回線3を介して通話内容テキスト化装置60経由で送信されてくる自動応答のデジタル音声データを電話制御手段41により受信すると(ステップS16)、電話制御手段41は、受信したデジタル音声データの変換(必要な場合のみでよい。)を行い、自動応答の音声信号を通信網1を介して話者の通話用機器20に送信する(ステップS17)。
一方、前述したステップS9で、自動応答処理手段51により、管理者への電話の転送が必要であると判断した場合には、自動応答処理手段51は、通話中の話者の通話相手となる接続先を、自分(自動応答処理手段51)から管理者の通話用機器30へ切り換えるための転送指示情報(割込対象話者識別情報を含む。)を出力し、通信回線3を介して電話制御手段41に送信する(ステップS18)。
電話制御装置40では、電話制御手段41により、自動応答処理手段51から送信されてくる転送指示情報(割込対象話者識別情報を含む。)を受信すると(ステップS19)、話者(転送指示情報に含まれる割込対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、自動応答処理手段51(機械)から管理者(空いている任意の管理者)の通話用機器30へ切り換える(ステップS20)。すなわち、自動応答を切断し、話者の通話用機器20と管理者の通話用機器30との接続状態を確立する。なお、空いている任意の管理者ではなく、通話内容に対応可能な管理者を自動選択し、その管理者の通話用機器30へ切り換えてもよく、その場合は、転送指示情報には、割込対象話者識別情報のみならず、割込管理者識別情報が含まれる。
その後、話者と管理者との間での音声信号の交換が行われ、人間同士の通話が行われる(ステップS21)。具体的には、電話制御手段41により、話者の通話用機器20から通信網1を介して送信されてくる話者の音声信号を受信し、必要な場合には音声信号の変換を行った後、話者の音声信号を通信回線2を介して管理者の通話用機器30へ送信する。また、逆方向の処理として、電話制御手段41により、管理者の通話用機器30から通信回線2を介して送信されてくる管理者の音声信号を受信し、必要な場合には音声信号の変換を行った後、管理者の音声信号を通信網1を介して話者の通話用機器20へ送信する。
図4において、通話内容モニタ装置70では、前述した図3のステップS6,S15の処理が繰り返されるので、表示手段74の画面上には、話者と自動応答処理手段51(機械)との間の通話内容のテキスト表示が、時間の経過とともにリアルタイムで増えていく。管理者は、この表示手段74での画面表示をリアルタイムで見て、あるいはそこで行われている強調表示をリアルタイムで見て、話者と機械との間の通話への割込みが必要であると判断した場合には、入力手段75を操作し、割込指示情報の入力を行う。そして、この割込指示情報の入力は、割込指示受付手段72により受け付けられる(ステップS41)。
具体的には、管理者が、図2の通話内容モニタ画面200の通話番号入力フィールド212に、通話への割込みを行う対象となる話者の通話番号(割込対象話者識別情報)を入力し、かつ、割込管理者番号入力フィールド213に、割込みを行う管理者の割込管理者番号(割込管理者識別情報)を入力してから、割込ボタン211の押下操作を行うと、入力した割込指示情報(割込対象話者識別情報および割込管理者識別情報を含む。)が、割込指示受付手段72により受け付けられ、通信回線3を介して自動応答発信装置50の割込処理手段52に送信される(ステップS41)。この際、割込管理者番号の入力は、自分で自分の番号を入力してもよく、他の管理者が近くにいて会話が交わせるような場合等には、他の管理者の番号を入力してもよい。例えば、管理者Aが、管理者Bの番号を、割込管理者番号入力フィールド213(図2参照)に入力してもよい。なお、前述したように、例えば、表示手段74が大画面である場合等には、複数の管理者に対して1つの表示手段74を設置してもよく、入力手段75も同様である。
自動応答発信装置50では、割込処理手段52により、割込指示受付手段72から通信回線3を介して送信されてくる割込指示情報を受信し、割込指示情報記憶手段54に記憶させる(ステップS42)。
一方、自動応答処理手段51による前述した図3のステップS11の処理、すなわち、割込処理手段52に対して割込指示情報の有無の確認指示を出力する処理が続いているので、割込処理手段52が、上記のステップS42で割込指示情報を受信して割込指示情報記憶手段54に記憶させた後に、割込指示情報の有無の確認指示(自動応答実行中の通話相手の話者についての話者識別情報を含む。)を受信したときには(ステップS43)、割込処理手段52は、割込指示情報記憶手段54に割込指示情報(確認指示に係る話者識別情報と一致する割込対象話者識別情報を含む割込指示情報)が記憶されているか否かを確認し、割込指示情報があると判断する(ステップS44)。
続いて、割込処理手段52により、割込指示情報があると判断した後に、通話中の話者(割込対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、自動応答処理手段51(機械)から管理者(割込管理者識別情報で指定された管理者)の通話用機器30へ切り換えるための転送指示情報(割込対象話者識別情報および割込管理者識別情報を含む。)を、通信回線3を介して電話制御手段41に送信する(ステップS45)。なお、割込処理手段52は、電話制御手段41への転送指示情報の送信を、自動応答処理手段51を経由させて通信回線3を介して行ってもよい。
電話制御装置40では、電話制御手段41により、割込処理手段52から送信されてくる転送指示情報(割込対象話者識別情報および割込管理者識別情報を含む。)を受信すると(ステップS46)、話者(転送指示情報に含まれる割込対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、自動応答処理手段51(機械)から管理者(割込管理者識別情報で指定された管理者)の通話用機器30へ切り換える(ステップS47)。すなわち、自動応答を切断し、話者の通話用機器20と管理者の通話用機器30との接続状態を確立する。
その後、話者と管理者との間での音声信号の交換が行われ、人間同士の通話が行われる(ステップS48)。具体的には、電話制御手段41により、話者の通話用機器20から通信網1を介して送信されてくる話者の音声信号を受信し、必要な場合には音声信号の変換を行った後、話者の音声信号を通信回線2を介して管理者の通話用機器30へ送信する。また、逆方向の処理として、電話制御手段41により、管理者の通話用機器30から通信回線2を介して送信されてくる管理者の音声信号を受信し、必要な場合には音声信号の変換を行った後、管理者の音声信号を通信網1を介して話者の通話用機器20へ送信する。
図5において、図3のステップS21および図4のステップS48における話者と管理者との間での音声信号の交換が行われているときに、自動応答処理手段51(機械)から通話を引き継いだ管理者が、機械による自動応答(話者と機械との間の通話)に戻すという判断をした場合には、通話内容モニタ装置70で、入力手段75を操作し、自動応答復帰指示情報の入力を行う。そして、この自動応答復帰指示情報の入力は、自動応答復帰指示受付手段73により受け付けられる(ステップS61)。
具体的には、機械から通話を引き継いだ管理者が、図2の通話内容モニタ画面200の通話番号入力フィールド222に、自動応答に戻す対象となる話者の通話番号(復帰対象話者識別情報)を入力し、かつ、自動応答復帰ステップ入力フィールド223に、いずれのステップから自動応答を再開するのかを示す復帰ステップ情報を入力してから、自動応答復帰ボタン221の押下操作を行うと、入力した自動応答復帰指示情報(復帰対象話者識別情報および復帰ステップ情報を含む。)が、自動応答復帰指示受付手段73により受け付けられる。そして、自動応答復帰指示受付手段73は、通話中の話者(復帰対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、管理者の操作する通話用機器30から自動応答処理手段51へ切り換えるための再転送指示情報(復帰対象話者識別情報および復帰ステップ情報を含む。)を、通信回線3を介して電話制御手段41に送信する(ステップS61)。
電話制御装置40では、電話制御手段41により、自動応答復帰指示受付手段73から送信されてくる再転送指示情報(復帰対象話者識別情報および復帰ステップ情報を含む。)を受信すると(ステップS62)、話者(再転送指示情報に含まれる復帰対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、管理者の通話用機器30から自動応答処理手段51(機械)へ切り換える(ステップS63)。すなわち、管理者の通話用機器30との接続を切断し、自動応答を再開する。なお、再転送指示情報を受信した電話制御手段41は、その再転送指示情報に含まれる復帰ステップ情報を、自動応答処理手段51へ通信回線3を介して送信する。
その後、図3のステップS1以降に示された自動応答処理に戻り、話者と自動応答処理手段51(機械)との間での音声信号の交換が行われる。
図6において、図3のステップS21および図4のステップS48における話者と管理者との間での音声信号の交換が行われているときには、常に、自動応答復帰指示認識手段42により、次の処理が行われる(ステップS81)。すなわち、自動応答復帰指示認識手段42は、自動応答処理手段51(機械)から通話を引き継いだ管理者が発した通話内容を示す音声信号(管理者の通話用機器30から通信回線2を介して送信されてくる音声信号)を取得し、この音声信号を用いて音声認識を行い(音声信号が、音声認識器に入力できるデジタル音声データではない場合には、デジタル音声データへの変換を行ってから音声認識器に入力する。)、この通話内容の中に、当該管理者による自動応答処理に戻す要求が含まれているか否かを判断する(ステップS81)。
ここで、自動応答処理に戻す要求が含まれていない場合には、話者と管理者との間での音声信号の交換が継続することになる。一方、自動応答復帰指示認識手段42により、自動応答処理に戻す要求が含まれていると判断した場合には、電話制御手段41に対し、通話中の話者の通話相手となる接続先を、管理者の操作する通話用機器30から自動応答処理手段51へ切り換える(元の自動応答に戻す)ための再転送指示情報(復帰対象話者識別情報を含み、さらに復帰ステップ情報が含まれている場合もある。)を出力する(ステップS82)。
電話制御装置40では、電話制御手段41により、自動応答復帰指示認識手段42からの再転送指示情報(復帰対象話者識別情報を含み、さらに復帰ステップ情報が含まれている場合もある。)を受信すると(ステップS83)、話者(再転送指示情報に含まれる復帰対象話者識別情報で指定された話者)の通話相手となる接続先を、管理者の通話用機器30から自動応答処理手段51(機械)へ切り換える(ステップS84)。すなわち、管理者の通話用機器30との接続を切断し、自動応答を再開する。なお、再転送指示情報を受信した電話制御手段41は、再転送指示情報に復帰ステップ情報が含まれている場合には、その復帰ステップ情報を通信回線3を介して自動応答処理手段51に送信する。
その後、図3のステップS1以降に示された自動応答処理に戻り、話者と自動応答処理手段51(機械)との間での音声信号の交換が行われる。
<本実施形態の効果>
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、電話自動応答システム10は、通話内容テキスト化手段61および通話内容表示処理手段71を備えているので、話者と自動応答処理手段51(機械)との通話内容が、テキストで画面表示されるため、管理者は、この画面表示されたテキストの内容を見ることにより、話者と機械との間の通話内容を、容易に確認し、把握することができる。
このため、管理者は、話者と機械との間の通話への割込みを行うにあたり、従来の監督者(顧客とオペレータとの間の通話への割込みを行う者)のように、通話を傍聴し、通話内容を聞き取ることに専念する必要がなくなるので、管理者の手間を軽減することができ、人員コストの削減を図ることができる。
また、図2に示すように、通話内容モニタ画面200には、複数の通話中の話者と自動応答処理手段51(機械)との間の通話内容をそれぞれテキスト表示する複数の表示部201,202,203,204が設けられているので、管理者は、画面表示されている複数の話者と機械との間の各々の通話の状況を、同時若しくは略同時に容易に確認し、把握することができる。従って、1人の管理者が、複数の通話中の話者との間の各通話の引継ぎを担当することができ(但し、同時に引き継ぐことができるという意味ではない。)、人員コストの削減を、より一層図ることができる。
さらに、電話自動応答システム10では、管理者が通話に割り込む際には、画面表示されたテキストを見て通話内容を既に把握しているので、電話先の相手の話者を待たせる時間がなくなるため、質の高い電話サービスを提供することができる。
そして、管理者が通話に割り込んだ後も、必要に応じて、画面表示されたテキストを見ることにより、割込み前における話者と機械との間の通話内容をいつでも確認することができるので、電話先の相手の話者と円滑なコミュニケーションを図ることができる。
また、電話自動応答システム10では、管理者が、それまでに行われた話者と機械との間の通話内容を把握した状態で、途中から通話を引き継ぐことができるので、従来は困難と考えられていた複雑な通話の機械化を促進することができる。すなわち、従来の機械による自動応答は、定型的な応答のみを行い、それ以外は、最初から人間のオペレータに繋ぐのが一般的であった。また、仮に、技術の進歩で自動応答処理が高度化し、自動応答による通話内容の複雑化が進んだとしても、その自動応答で進行した複雑な通話内容を人間がすぐに把握することはできないので、話者と機械との間で交わされた複雑な内容の通話を、途中から人間が引き継ぐことは困難であった。しかし、電話自動応答システム10では、複雑な内容の通話であっても、管理者は、その複雑な通話内容を的確に把握した状態で、途中からすぐに通話を引き継ぐことができるので、複雑な通話の機械化を促進することができる。さらには、話者が、そのような管理者による引継ぎがあることを前提として、不安感を持つことなく、機械との複雑な通話に移行することができるので、それにより、複雑な通話の機械化を、より一層促進することができる。
さらに、電話自動応答システム10では、自動応答処理手段51(機械)から管理者への引継ぎが必要か否かの判断は、画面表示されたテキストを見ている管理者により行われ、そのような判断をした管理者による割込指示情報を割込指示受付手段72により受け付けるようになっているので、話者の音声を認識できない状況であるか否か等の機械的判定だけに頼る場合に比べ、引継ぎが必要な状況を的確に捉えることができる。このため、話者へのサービスレベルを維持することができるうえ、不必要な状況での引継ぎも未然に防止することができるので、人員コストの削減も図ることができる。
また、割込処理手段52は、割込指示受付手段72により管理者による割込指示情報の入力を受け付けたときに、すぐに電話制御手段41に対して転送指示情報を出力するのではなく、自動応答処理手段51による確認指示があったときに、割込指示情報記憶手段54に割込指示情報が記憶されているか否かを確認し、割込指示情報が記憶されていれば、電話制御手段41に対して転送指示情報を出力する構成とされているので、電話制御手段41に対して転送指示情報を出力するタイミングを、自動応答処理手段51によりコントロールすることができる。このため、適切なタイミングでの割込処理を実現することができる。
さらに、図2の通話内容モニタ画面200には、通話番号入力フィールド212および割込管理者番号入力フィールド213が設けられているので、管理者は、割込指示情報として、通話中の複数の話者α,β,γ,δのうちのいずれの話者の通話に割り込むかを識別する割込対象話者識別情報(通話番号)、および複数の管理者A,Bのうちのいずれの管理者が通話への割込みを行うのかを識別する割込管理者識別情報(割込管理者番号)を入力することができる。このため、複数の管理者により、通話に割り込む作業を分担することができる。すなわち、いずれの管理者が、複数の通話中の話者のうちのいずれの話者との通話を引き継ぐのかを、自在に指定することができる。
また、電話自動応答システム10では、自動応答処理手段51が転送指示情報を出力することによる通話の引継ぎの場合(図3のステップS9,S18参照)が3形態あり、これらに加え、割込指示受付手段72が管理者による割込指示情報の入力を受け付けることによる通話の引継ぎの場合(図4のステップS41参照)がある。従って、自動応答処理手段51(機械)から管理者への通話の引継ぎが行われる形態が複数あるので、通話の引継ぎが必要な状況を、より一層的確に捉えることができ、話者へのサービスの向上を図ることができる。
そして、後者の場合、すなわち割込指示受付手段72が管理者による割込指示情報の入力を受け付けることによる通話の引継ぎの場合(図4のステップS41参照)は、通話内容表示処理手段71によりテキストの強調表示処理を行うことで、管理者に気づきを与え、割込指示情報の入力を促すことにより、通話の引継ぎを実現することができる。
さらに、電話自動応答システム10は、自動応答復帰指示受付手段73を備えているので、話者と機械との間の通話を、一旦、管理者が引き継いだ後、再び、話者と機械との間の通話に戻ることができる。このため、人員コストの削減を図ることができる。また、通話内容は、簡単な内容から複雑な内容へ、またはそれとは逆に、複雑な内容から簡単な内容へと途中で変化する場合があり、さらには、話題自体が切り替わることもあるので、そのような様々な変化に柔軟に対応することができる。
また、電話自動応答システム10は、自動応答復帰指示認識手段42を備えているので、これによっても、話者と機械との間の通話を、一旦、管理者が引き継いだ後、再び、話者と機械との間の通話に戻ることができる。このため、上述した自動応答復帰指示受付手段73の設置効果と同様な効果を得ることができる。
そして、電話自動応答システム10は、転送後通話内容テキスト化手段43を備えているので、機械から管理者への引継ぎが行われた後の通話についても、テキストの画面表示を行うことができる。このため、別の管理者へ通話を引き継ぐことができる。例えば、通話内容が別の話題に切り替わり、担当を現在の管理者から別の管理者に交代させたほうがよい場合に、その別の管理者は、それまでの通話内容(交代前の現在の管理者による通話内容を含む。)を、画面表示されたテキストを見て容易に確認し、把握することができるので、円滑な管理者の交代を実現することができる。
また、話者との間の通話が、機械から管理者に引き継がれ、その後、再び、管理者から機械に戻されることもあり得るが、その場合に、一連の通話内容が途切れることなく、テキストで画面表示されるようになるので、例えば、さらにその後、通話が同じ管理者に引き継がれ、あるいは別の管理者に引き継がれる事態が生じても、それらの管理者は、円滑に通話を引き継ぐことができる。つまり、ある1人の話者の通話相手について、機械から管理者への切換と、管理者から機械への切換とが、交互に何回も繰り返される場合もあり得るが、そのような場合でも、管理者は、円滑に通話を引き継ぐことができる。
<変形の形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、電話制御装置40に自動応答復帰指示認識手段42が設けられるとともに、通話内容モニタ装置70に自動応答復帰指示受付手段73が設けられていたが、これらの双方または一方の設置を省略してもよい。しかし、これらの少なくとも一方を設置しておけば、自動応答処理に戻ることができるので、人員コストの削減を、より一層図ることができる。なお、自動応答復帰指示受付手段73の設置を省略する場合は、図2の通話内容モニタ画面200の自動応答復帰指示情報入力部220の設置も省略してよい。
また、前記実施形態では、電話制御装置40に転送後通話内容テキスト化手段43が設けられていたが、この設置を省略してもよい。しかし、転送後通話内容テキスト化手段43を設けておけば、別の管理者へ通話を円滑に引き継ぐことができる。
さらに、前記実施形態の図3で示した自動応答処理の流れでは、電話の話者からの通話で自動応答が始まっていたが、自動応答処理手段51(機械)の発信から自動応答を始めてもよい。