JP2019029792A - 歪補償装置、送信機および歪補償方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】演算処理量の増大を抑制し、歪補償性能の劣化を抑える。【解決手段】歪補償装置は、第1歪補償部により、送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレートよりも高い第2サンプリングレートで、増幅器からのFB信号に基づいて、送信信号にPD処理を施して第1PD信号を生成する。歪補償装置は、第1PD信号から、第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。歪補償装置は、送信信号と周波数成分信号の逆位相信号を合成して入力信号として、後段の歪補償部である第2歪補償部に出力する。【選択図】図1
Description
本発明は、歪補償装置、送信機および歪補償方法に関する。
近年、無線通信の高速化に伴い、送信信号の広帯域化と高ダイナミックレンジ化が進んでいる。このような状況下で、信号品質の劣化を最小限に抑えるために、電力増幅器に高い線形性が要求されている。また、装置の小型化、運用コストの削減及び環境問題等の観点から、高い電力変換効率で動作する電力増幅器のニーズが高まっている。
一般的な電力増幅器では、線形性と電力変換効率とが相反関係にある。例えば、飽和電力からバックオフした線形領域で電力増幅器を動作させることで、非線形歪の発生を小さくすることができる。しかし、この場合、電力変換効率が著しく低下し、電力増幅器の消費電力が増加してしまう。そこで、線形性と電力変換効率とを両立させるために、電力変換効率の高い非線形領域で電力増幅器を動作させ、その際に発生する非線形歪を除去する歪補償を使用して線形性を維持することが行われている。この非線形歪を除去する歪補償技術として、プリディストーション(以下、「PD」と記載する)方式がある。PD方式は、電力増幅器の非線形歪の逆特性を予め送信信号に乗算することで電力増幅器の出力での線形性を高める技術である。
ここで、PD方式を用いた歪補償装置の一例を説明する。PD方式を用いた歪補償装置は、送信信号生成部、歪補償部、D/A(Digital to Analog)変換器、直交変調器(QMOD:Quadrature Modulator)、発振器、電力増幅器およびアンテナを有する。また、歪補償装置は、直交復調器(QDEM:Quadrature Demodulator)、発振器、A/D(Analog to Digital)変換器、減算器および係数生成部を有する。
送信信号生成部によって生成された送信信号は、歪補償部に入力され、歪補償部において歪補償係数と乗算される。そして、送信信号と歪補償係数とが乗算されて得られた信号が、PD信号として生成される。このPD信号は、電力増幅器の非線形歪の逆特性を有する歪成分を含んでいる。PD信号は、D/A変換器によってアナログ信号に変換され、QMODおよび発振器によってアップコンバートされ、電力増幅器に入力される。PD処理により非線形歪が除去された電力増幅器の出力信号は、方向性結合器等によって2つに分岐される。2つに分岐された出力信号の一方は、アンテナを介して外部の受信装置に向けて送信され、出力信号の他方は、QDEMおよび発振器によってダウンコンバートされ、A/D変換器によってディジタル信号に変換され、フィードバック(FB)信号となる。FB信号と送信信号生成部によって生成された送信信号とは、減算器に入力される。そして、減算器によってFB信号と送信信号との差分である誤差信号が算出され、係数生成部によって誤差信号が最小となるように歪補償係数が生成され、生成された歪補償係数が歪補償部に出力される。
ところが、上記歪補償装置では、歪補償部によってPD信号を生成するためのサンプリングレートを、D/A変換器によって信号をアナログ信号に変換するためのサンプリングレートと同等に設定している。このため、サンプリングレートが比較的に低いD/A変換器を用いた場合、歪補償部のサンプリングレートも低下する。したがって、歪補償部のサンプリングレートに応じた周波数帯域(以下「歪補償帯域」という)が、PD信号に現れる、電力増幅器の非線形歪の逆特性の歪成分のうち、高次歪成分を収容することが困難となる。PD信号に現れる高次歪成分が歪補償帯域に収容されない場合、収容されない高次歪成分が、歪補償帯域内に折り返る。補償帯域内に折り返った高次歪成分(以下「折り返り歪」という)は、PD処理により非線形歪が除去された電力増幅器の出力信号に残存し、結果として、歪補償性能が劣化してしまう。
そこで、第1従来例として、D/A変換器のサンプリングレート(第1サンプリングレート)よりも高いサンプリングレート(第2サンプリングレート)でPD信号を生成する技術が提案されている。第1従来例では、生成したPD信号から、第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去されたPD信号のサンプリングレートを第1サンプリングレートに変換する。そして、第1従来例では、D/A変換器においてPD信号を第1サンプリングレートでアナログ信号に変換し、変換されたPD信号を電力増幅器へ出力する。これにより、第1従来例では、D/A変換器のサンプリングレート(第1サンプリングレート)が比較的に低い場合でも、電力増幅器から出力される出力信号に折り返り歪が発生することを回避することができる。結果として、D/A変換器のサンプリングレート(第1サンプリングレート)が比較的に低い場合でも、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
第1従来例では、LPFによってPD信号から第1サンプリングレートに応じた周波数成分が除去される場合、除去される周波数成分が多くなるほど、PD信号の歪特性と、電力増幅器の非線形歪の歪特性とのずれが生じる可能性が高い。PD信号の歪特性と、電力増幅器の非線形歪の歪特性とのずれが生じると、電力増幅器から出力される出力信号に折り返り歪以外の歪(以下「残留歪」という)が残存し、結果として、歪補償性能の劣化を招く。
そこで、第2従来例として、電力増幅器の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)が付与されたPD信号である歪特性信号と、送信信号との差分を示す残差信号を、残留歪に相当する信号として予め生成する技術が提案されている。第2従来例では、LPFにより第1サンプリングレートに応じた周波数成分が除去されたPD信号から残差信号を減算し、減算後のPD信号を電力増幅器へ出力する。これにより、第2従来例では、電力増幅器に入力されるPD信号の歪特性と、電力増幅器の非線形歪の歪特性とのずれが軽減されるので、電力増幅器からの出力信号に現れる残留歪が抑制される。結果として、折り返り歪以外の歪の影響による歪補償性能の劣化を抑えることができる。
第2従来例では、第1従来例と同様に、歪補償係数を求めるために、電力増幅器の非線形歪の逆特性を同定している。しかしながら、第2従来例では、残留歪成分を求めるために、電力増幅器の非線形歪の歪特性も同定している。すなわち、第2従来例では、電力増幅器の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を生成するための演算処理を行なう。さらに、第2従来例では、PD信号に、電力増幅器の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を付与して、歪特性信号を生成するための演算処理を行なう。さらに、第2従来例では、歪特性信号と送信信号との差分を示す残差信号(残留歪に相当する信号)を生成するための演算処理を行なう。このように、第2従来例では、電力増幅器の非線形歪の逆特性に加えて、電力増幅器の非線形歪の歪特性を同定するため、演算処理量が増大する。
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、演算処理量の増大を抑制し、歪補償性能の劣化を抑えることができる歪補償装置、送信機および歪補償方法を提供することを目的とする。
1つの態様では、歪補償装置は、増幅器と、第1歪補償部と、抽出部と、入力信号出力部と、第2歪補償部と、除去部と、第1レート変換部とを有する。増幅器は、信号を増幅して出力する。第1歪補償部は、送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレートよりも高い第2サンプリングレートで、増幅器からのフィードバック信号に基づいて、送信信号にプリディストーション処理を施して第1プリディストーション信号を生成する。抽出部は、第1プリディストーション信号から、第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。入力信号出力部は、送信信号と周波数成分信号の逆位相信号を合成して入力信号として出力する。第2歪補償部は、第2サンプリングレートで入力信号にプリディストーション処理を施して第2プリディストーション信号を生成する。除去部は、第2プリディストーション信号から、第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去する。第1レート変換部は、周波数成分が除去された第2プリディストーション信号のサンプリングレートを第2サンプリングレートから第1サンプリングレートへ変換する。
1つの側面では、演算処理量の増大を抑制し、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
以下に、本願の開示する歪補償装置、送信機および歪補償方法の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
ここで、実施例1に係る送信機について説明する前に、参考例1における送信機について説明する。
[参考例1]
図14は、参考例1における送信機600の構成(インダイレクトラーニング構成)の一例を示す図である。
図14は、参考例1における送信機600の構成(インダイレクトラーニング構成)の一例を示す図である。
参考例1における送信機600は、送信信号生成部101、歪補償部102、LPF(Low Pass Filter)103、サンプリングレート変換部104およびD/A(Digital to Analog)変換器105を有する。また、送信機600は、直交変調器(QMOD:Quadrature Modulator)106、発振器107、電力増幅器108、BPF(Band Pass Filter)108aおよびアンテナ109を有する。また、送信機600は、直交復調器(QDEM:Quadrature Demodulator)110および発振器111を有する。また、送信機600は、A/D(Analog to Digital)変換器512、歪補償部513、減算器514および係数生成部515を有する。また、送信機600は、歪付与部601、LPF602、減算器603、減算器604、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607を有する。
送信信号生成部101は、ベースバンド信号を変調することによって送信信号S1となるキャリア(搬送波)を生成する。そして、送信信号生成部101は、生成した送信信号S1を歪補償部102および減算器603へ出力する。
歪補償部102は、後述するD/A変換器105のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で送信信号にプリディストーション(以下、「PD」と記載する)処理を施す。詳細には、歪補償部102は、送信信号S1の入力を送信信号生成部101から受け付ける。歪補償部102は、歪補償係数の入力を係数生成部515から受け付ける。そして、歪補償部102は、サンプリングレートR2で入力信号(送信信号S1)をリサンプリングし、リサンプリングされた送信信号S1に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施された送信信号S1(PD信号)を生成する。PD信号には、送信信号S1と、送信信号S1の3次歪成分および5次歪成分を含む歪成分D31、D32と、送信信号S1の5次歪成分D51、D52とが含まれる。すなわち、PD信号には、電力増幅器108の非線形歪の逆特性を有する歪成分が現れる。歪補償部102によって用いられるサンプリングレートR2は、例えば、サンプリングレートR2に応じた周波数帯域(歪補償帯域)BF2がPD信号に現れる歪成分を収容し得るように、選定される。そして、歪補償部102は、生成したPD信号をLPF103へ出力する。
LPF103は、PD信号の入力を歪補償部102から受け付ける。LPF103は、PD信号から、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を除去する。この場合、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号には、送信信号S1と、歪成分D31a、D32aとが含まれる。歪成分D31a、D32aには、電力増幅器108の非線形歪の歪特性とPD信号の歪特性とのずれに起因して発生した残留歪と、歪成分D31、D32とが含まれる。LPF103は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号を歪付与部601および減算器604へ出力する。
歪付与部601は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号の入力をLPF103から受け付ける。歪付与部601は、歪付与係数の入力を後述する歪付与係数生成部607から受け付ける。そして、歪付与部601は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号に歪付与係数を乗算することによって、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性が付与されたPD信号を生成する。ここで、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性は、電力増幅器108の非線形歪の歪特性のレプリカである。以下、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)が付与されたPD信号を「歪特性信号」という。歪付与部601は、生成した歪特性信号をLPF602へ出力する。歪付与部601から出力される歪特性信号には、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)の歪成分として、送信信号S1の5次歪成分D51、D52が含まれる。さらに、歪付与部601から出力される歪特性信号には、送信信号S1の帯域のエッジからLPF103の通過帯域である周波数帯域BF1のエッジに向けて増大する歪成分R71、R72が残留歪として含まれる。
LPF602は、歪特性信号の入力を歪付与部601から受け付ける。LPF602は、歪特性信号から、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を除去し、5次歪成分D51、D52が除去された歪特性信号を減算器603へ出力する。5次歪成分D51、D52が除去された歪特性信号には、送信信号S1と、残留歪である歪成分R71、R72とが含まれる。
減算器603は、歪特性信号の入力をLPF602から受け付ける。減算器603は、PD処理が未だ施されていない送信信号の入力を送信信号生成部101から受け付ける。そして、減算器603は、歪特性信号から送信信号を減算することによって、歪特性信号と送信信号との差分を示す残差信号を生成する。ここで、歪特性信号は、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)が付与されたPD信号である。したがって、歪特性信号と送信信号との差分を示す残差信号は、電力増幅器108の非線形歪の歪特性と、電力増幅器108に入力されるPD信号の歪特性とのずれに起因して発生する残留歪に相当する信号である。つまり、減算器603は、電力増幅器108の非線形歪のうち、PD信号により除去されない残留歪に相当する残差信号を生成する。減算器603は、生成した残差信号を減算器604へ出力する。減算器603から出力される残差信号には、残留歪である歪成分R71、R72のみが含まれる。
減算器604は、残差信号の入力を減算器603から受け付ける。減算器604は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号の入力をLPF103から受け付ける。LPF103により5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号には、送信信号の帯域のエッジからLPF103の通過帯域である周波数帯域BF1のエッジに向けて増大する歪成分が残留歪として現れる。減算器604は、LPF103により5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号から、残留歪に相当する残差信号を減算する。言い換えれば、減算器604は、残留歪に相当する残差信号の符号を反転し、符号の反転された残差信号をPD信号に加算することによって、PD信号に残留歪として含まれる歪成分と、残留歪に相当する残差信号とを相殺させる。PD信号に残留歪として含まれる歪成分と、残留歪に相当する残差信号とが相殺されると、電力増幅器108に入力されるPD信号の歪特性と、電力増幅器108の非線形歪の歪特性とのずれが軽減される。そして、減算器604は、残差信号が減算されたPD信号をサンプリングレート変換部104へ出力する。残差信号が減算されたPD信号には、送信信号S1と、歪成分D31、D32とが含まれる。
サンプリングレート変換部104は、5次歪成分D51、D52が除去され、かつ、残差信号が減算されたPD信号の入力を減算器604から受け付ける。サンプリングレート変換部104は、5次歪成分D51、D52が除去され、かつ、残差信号が減算されたPD信号のサンプリングレートを、歪補償部102のサンプリングレートR2からD/A変換器105のサンプリングレートR1へ変換する。詳細には、サンプリングレート変換部104は、PD信号を間引くことでPD信号のサンプリングレートを歪補償部102のサンプリングレートR2からD/A変換器105のサンプリングレートR1へ変換する。これにより、PD信号の存在する最低の周波数から最高の周波数に至る周波数帯域が、歪補償帯域BF2から、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1に調整される。なお、PD信号を間引くことには、PD信号に対して補間処理を施し、補間処理が施されたPD信号を間引くことも含まれる。そして、サンプリングレート変換部104は、サンプリングレートが変換されたPD信号をD/A変換器105、減算器514および歪付与部605へ出力する。
D/A変換器105は、サンプリングレートが変換されたPD信号の入力をサンプリングレート変換部104から受け付ける。D/A変換器105は、サンプリングレートR1でPD信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号に変換されたPD信号をQMOD106へ出力する。
QMOD106は、アナログ信号に変換されたPD信号の入力をD/A変換器105から受け付ける。QMOD106は、発振器107から入力される信号を用いてPD信号を無線周波数にアップコンバートし、アップコンバートしたPD信号を電力増幅器108へ出力する。
電力増幅器108は、PD信号の入力をQMOD106から受け付ける。電力増幅器108は、PD信号を増幅し、出力信号を生成する。そして、電力増幅器108から出力される出力信号は、2つに分岐される。そして、2つに分岐された出力信号のうち一方は、BPF108aおよびアンテナ109を介して外部の受信装置に向けて無線信号として送信され、他方は、QDEM110へ出力される。
ここで、PD信号から既に残留歪に相当する残差信号が減算されているので、電力増幅器108に入力されるPD信号の歪特性と、電力増幅器108の非線形歪の歪特性とのずれが軽減されている。したがって、PD信号により電力増幅器108の非線形歪が除去された結果、電力増幅器108からの出力信号に現れる残留歪が抑制される。例えば、電力増幅器108からの出力信号に残留歪として現れる歪成分R81、R82は、歪成分R71、R72よりも抑制される。
BPF108aは、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を通過帯域として有する。BPF108aは、電力増幅器108から出力された出力信号から、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去された出力信号をアンテナ109へ出力する。例えば、BPF108aは、出力信号から、D/A変換器105のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を除去し、5次歪成分D51、D52が除去された出力信号をアンテナ109へ出力する。
QDEM110は、電力増幅器108から出力された出力信号の入力を受け付ける。電力増幅器108からQDEM110へ出力された出力信号を、以下では「フィードバック(FB)信号」と呼ぶ。QDEM110は、発振器111から入力される信号を用いてFB信号をベースバンド信号の周波数にダウンコンバートし、ダウンコンバートしたFB信号をA/D変換器512へ出力する。
A/D変換器512は、ベースバンド信号の周波数にダウンコンバートされたFB信号の入力をQDEM110から受け付ける。A/D変換器512は、D/A変換器105のサンプリングレートR1でFB信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換されたFB信号を歪補償部513および減算器606へ出力する。
歪付与部605は、サンプリングレートがD/A変換器105のサンプリングレートR1へ変換されたPD信号の入力をサンプリングレート変換部104から受け付ける。歪付与部605は、歪付与係数の入力を後述する歪付与係数生成部607から受け付ける。そして、歪付与部605は、サンプリングレートがD/A変換器105のサンプリングレートR1へ変換されたPD信号に歪付与係数を乗算することによって、歪特性信号を生成する。歪付与部605は、生成した歪特性信号を減算器606へ出力する。
減算器606は、歪特性信号の入力を歪付与部605から受け付ける。減算器606は、D/A変換器105のサンプリングレートR1でディジタル信号に変換されたFB信号の入力をA/D変換器512から受け付ける。そして、減算器606は、歪特性信号とFB信号との差分を示す誤差信号を生成する。そして、減算器606は、生成した誤差信号を歪付与係数生成部607へ出力する。
歪付与係数生成部607は、誤差信号の入力を減算器606から受け付ける。歪付与係数生成部607は、誤差信号に基づいて、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)をPD信号に付与するための歪付与係数を生成する。例えば、歪付与係数生成部607は、LMSアルゴリズム等を用いた適応信号処理によって誤差信号が最小となるように、歪付与係数を生成する。そして、歪付与係数生成部607は、生成した歪付与係数を歪付与部601および歪付与部605へ出力する。これにより、歪付与部601および歪付与部605によって用いられる歪付与係数が更新される。
歪補償部513は、D/A変換器105のサンプリングレートR1でFB信号にPD処理を施す。詳細には、歪補償部513は、D/A変換器105のサンプリングレートR1でディジタル信号に変換されたFB信号の入力をA/D変換器512から受け付ける。歪補償部513は、歪補償係数の入力を係数生成部515から受け付ける。そして、歪補償部513は、D/A変換器105のサンプリングレートR1でFB信号をサンプリングする。歪補償部513は、サンプリングされたFB信号に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施されたFB信号(FB系PD信号)を生成する。歪補償部513は、生成したFB系PD信号を減算器514へ出力する。
減算器514は、サンプリングレートがD/A変換器105のサンプリングレートR1へ変換されたPD信号の入力をサンプリングレート変換部104から受け付ける。減算器514は、FB系PD信号の入力を歪補償部513から受け付ける。そして、減算器514は、PD信号とFB系PD信号との差分を示す誤差信号を生成する。減算器514は、生成した誤差信号を係数生成部515へ出力する。
係数生成部515は、誤差信号の入力を減算器514から受け付ける。係数生成部515は、誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。例えば、係数生成部515は、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム等を用いた適応信号処理によって誤差信号が最小となるように、歪補償係数を求める。そして、係数生成部515は、求めた歪補償係数を歪補償部102および歪補償部513へ出力する。これにより、歪補償部102および歪補償部513によって用いられる歪補償係数が更新される。
このように、参考例1における送信機600では、D/A変換器105のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2でPD信号を生成する。参考例1における送信機600では、生成したPD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去されたPD信号のサンプリングレートをサンプリングレートR1に変換する。そして、参考例1における送信機600では、D/A変換器105においてPD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換し、変換されたPD信号を電力増幅器108へ出力する。これにより、参考例1における送信機600では、D/A変換器105のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、電力増幅器108から出力される出力信号に折り返り歪が発生することを回避することができる。結果として、D/A変換器105のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
また、参考例1における送信機600では、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)が付与されたPD信号である歪特性信号と、送信信号との差分を示す残差信号を、残留歪に相当する信号として予め生成する。参考例1における送信機600では、LPF103により周波数成分が除去されたPD信号から残差信号を減算し、減算後のPD信号を電力増幅器108へ出力する。これにより、参考例1における送信機600では、電力増幅器108に入力されるPD信号の歪特性と、電力増幅器108の非線形歪の歪特性とのずれが軽減されるので、電力増幅器108からの出力信号に現れる残留歪が抑制される。結果として、折り返り歪以外の歪(残留歪)の影響による歪補償性能の劣化を抑えることができる。
しかしながら、参考例1における送信機600では、残差信号(残留歪に相当する信号)を生成するために複数の演算処理を実施している。例えば、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607により、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を生成するための演算処理(第1の演算処理)が行なわれる。また、歪付与部601により、PD信号に、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を付与して、歪特性信号を生成するための演算処理(第2の演算処理)が行なわれる。また、LPF602および減算器603により、歪特性信号と送信信号との差分を示す残差信号を生成するための演算処理(第3の演算処理)が行なわれる。
このように、参考例1における送信機600では、残差信号を生成するために複数の演算処理(第1〜第3の演算処理)を実施することにより、演算処理量が増大する。
図1は、実施例1に係る送信機31の構成(インダイレクトラーニング構成)の一例を示すブロック図である。
実施例1に係る送信機31は、送信信号生成部1、BPF(Band Pass Filter)8a、アンテナ9および歪補償装置41を有する。
歪補償装置41は、歪補償部2、LPF(Low Pass Filter)3、サンプリングレート変換部4、D/A(Digital to Analog)変換器5、直交変調器(QMOD:Quadrature Modulator)6、発振器7および電力増幅器8を有する。また、送信機31は、直交復調器(QDEM:Quadrature Demodulator)10、発振器11、A/D(Analog to Digital)変換器12、歪補償部13、減算器14および係数生成部15を有する。また、送信機31は、歪補償部16、HPF(High Pass Filter)17および加算器18を有する。
送信信号生成部1は、ベースバンド信号を変調することによって送信信号となるキャリア(搬送波)を生成する。そして、送信信号生成部1は、生成した送信信号を歪補償部16および加算器18へ出力する。
図2は、実施例1における送信信号生成部1から出力される送信信号(入力信号)の波形(A点の波形)の一例を示す図である。図2において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。図2に示すように、送信信号生成部1は、送信信号S1を生成し、生成した送信信号S1を歪補償部16および加算器18へ出力する。
歪補償部16は、後述するD/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で送信信号にプリディストーション(以下、「PD」と記載する)処理を施す。詳細には、歪補償部16は、送信信号S1の入力を送信信号生成部1から受け付ける。歪補償部16は、歪補償係数の入力を係数生成部15から受け付ける。そして、歪補償部16は、サンプリングレートR2で送信信号S1をリサンプリングし、リサンプリングされた送信信号S1に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施された送信信号S1(以下「PD信号」という)を生成する。PD信号には、電力増幅器8の非線形歪の逆特性を有する歪成分が現れる。歪補償部16によって用いられるサンプリングレートR2は、例えば、サンプリングレートR2に応じた周波数帯域(以下「歪補償帯域」という)BF2がPD信号に現れる歪成分を収容し得るように、選定される。そして、歪補償部16は、生成したPD信号をHPF17へ出力する。ここで、歪補償部16は、「第1歪補償部」の一例である。
図3は、実施例1における歪補償部16から出力されるPD信号の波形(B点の波形)の一例を示す図である。図3において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。図3に示すように、歪補償部16は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で送信信号S1をリサンプリングし、リサンプリングした送信信号S1に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部16は、生成したPD信号をHPF17へ出力する。歪補償部16から出力されるPD信号には、送信信号S1と、送信信号S1の3次歪成分および5次歪成分を含む歪成分D31、D32と、送信信号S1の5次歪成分D51、D52とが含まれる。
HPF17は、PD信号の入力を歪補償部16から受け付ける。HPF17は、PD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出した信号を生成する。以下、HPF17により周波数成分が抽出された信号を「周波数成分信号」という。HPF17は、生成した周波数成分信号を加算器18へ出力する。ここで、HPF17は、「抽出部」の一例である。
図4は、実施例1におけるHPF17から出力される周波数成分信号の波形(C点の波形)の一例を示す図である。図4において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。図4に示すように、HPF17は、PD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を抽出することにより、周波数成分信号を生成する。
加算器18は、周波数成分信号の入力をHPF17から受け付ける。加算器18は、送信信号S1の入力を送信信号生成部1から受け付ける。そして、加算器18は、送信信号S1に、周波数成分信号の逆位相を表す逆位相信号を加算する。すなわち、加算器18は、送信信号S1から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52の逆位相信号を加算する。これによって、加算器18は、送信信号S1に周波数成分信号の逆位相信号を合成した信号を生成する。以下、送信信号S1に周波数成分信号を合成した信号を「入力信号」という。加算器18は、入力信号を歪補償部2へ出力する。ここで、加算器18は、「入力信号出力部」の一例である。
図5は、実施例1における加算器18から出力される入力信号の波形(D点の波形)の一例を示す図である。図5において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。図5に示すように、加算器18から出力される入力信号には、送信信号S1と、送信信号S1の5次歪成分D51、D52の逆位相信号とが含まれる。
歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、入力信号にPD処理を施す。詳細には、歪補償部2は、入力信号の入力を加算器18から受け付ける。歪補償部2は、歪補償係数の入力を係数生成部15から受け付ける。そして、歪補償部2は、サンプリングレートR2で入力信号をサンプリングし、サンプリングされた入力信号に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施された入力信号を生成する。以下、PD処理が施された入力信号を「PD信号」という。ここで、歪補償部2により生成されたPD信号には、電力増幅器8の非線形歪の逆特性を有する歪成分が現れる。歪補償部2によって用いられるサンプリングレートR2は、例えば、サンプリングレートR2に応じた周波数帯域(以下「歪補償帯域」という)BF2がPD信号に現れる歪成分を収容し得るように、選定される。そして、歪補償部2は、生成したPD信号をLPF3へ出力する。ここで、歪補償部2は、「第2歪補償部」の一例である。
図6は、実施例1における歪補償部2から出力されるPD信号の波形(E点の波形)の一例を示す図である。図6において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。図6に示すように、歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で入力信号をサンプリングする。そして、歪補償部2は、サンプリングした入力信号に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部2は、生成したPD信号をLPF3へ出力する。歪補償部2から出力されるPD信号には、送信信号S1と、送信信号S1の3次歪成分および5次歪成分を含む歪成分D31、D32と、送信信号S1の5次歪成分D51、D52とが含まれる。
LPF3は、PD信号の入力を歪補償部2から受け付ける。LPF3は、PD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去されたPD信号をサンプリングレート変換部4へ出力する。詳細には、LPF3は、図6に示したPD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を除去する。この場合、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号には、送信信号S1と、歪成分D31、D32とが含まれる。ここで、LPF3は、「除去部」の一例である。
サンプリングレート変換部4は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号の入力をLPF3から受け付ける。サンプリングレート変換部4は、5次歪成分D51、D52が除去されたPD信号のサンプリングレートを、歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。詳細には、サンプリングレート変換部4は、PD信号を間引くことでPD信号のサンプリングレートを歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。なお、PD信号を間引くことには、PD信号に対して補間処理を施し、補間処理が施されたPD信号を間引くことも含まれる。そして、サンプリングレート変換部4は、サンプリングレートが変換されたPD信号をD/A変換器5および減算器14へ出力する。ここで、サンプリングレート変換部4は、「第1レート変換部」の一例である。
図7は、実施例1におけるサンプリングレート変換部4から出力されるPD信号の波形(F点の波形)の一例を示す図である。図7において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。サンプリングレート変換部4は、図6に示したPD信号のサンプリングレートを歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。これにより、PD信号の存在する最低の周波数から最高の周波数に至る周波数帯域が、図7に示すように、歪補償帯域BF2から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1に調整される。
D/A変換器5は、サンプリングレートが変換されたPD信号の入力をサンプリングレート変換部4から受け付ける。D/A変換器5は、サンプリングレートR1でPD信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号に変換されたPD信号をQMOD6へ出力する。ここで、D/A変換器5は、「第1信号変換部」の一例である。
QMOD6は、アナログ信号に変換されたPD信号の入力をD/A変換器5から受け付ける。QMOD6は、発振器7から入力される信号を用いてPD信号を無線周波数にアップコンバートし、アップコンバートしたPD信号を電力増幅器8へ出力する。
電力増幅器8は、PD信号の入力をQMOD6から受け付ける。電力増幅器8は、PD信号を増幅し、出力信号を生成する。そして、電力増幅器8から出力される出力信号は、2つに分岐される。そして、2つに分岐された出力信号のうち一方は、BPF8aおよびアンテナ9を介して外部の受信装置に向けて無線信号として送信され、他方は、QDEM10へ出力される。ここで、電力増幅器8は、「増幅器」の一例である。
図8は、実施例1における電力増幅器8から出力される出力信号の波形(G点の波形)の一例を示す図である。図8において、横軸は周波数を示しており、縦軸はパワーを示している。電力増幅器8から出力される出力信号には、送信信号S1と、電力増幅器8の出力信号に折り返り歪として現れる歪成分R91、R92とが含まれる。ここで、PD信号から既に折り返り歪に相当する周波数成分信号が減算(除去)されているので、電力増幅器8に入力されるPD信号の歪特性と、電力増幅器8の非線形歪の歪特性とのずれが軽減されている。したがって、PD信号により電力増幅器8の非線形歪が除去された結果、電力増幅器8からの出力信号に現れる折り返り歪が抑制される。
BPF8aは、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を通過帯域として有する。BPF8aは、電力増幅器8から出力された出力信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去された出力信号をアンテナ9へ出力する。例えば、BPF8aは、図8に示した出力信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分である5次歪成分D51、D52を除去し、5次歪成分D51、D52が除去された出力信号をアンテナ9へ出力する。ここで、BPF8aおよびアンテナ9は、「送信部」の一例である。
QDEM10は、電力増幅器8から出力された出力信号の入力を受け付ける。電力増幅器8からQDEM10へ出力された出力信号を、以下では「フィードバック(FB)信号」と呼ぶ。QDEM10は、発振器11から入力される信号を用いてFB信号をベースバンド信号の周波数にダウンコンバートし、ダウンコンバートしたFB信号をA/D変換器12へ出力する。
A/D変換器12は、ベースバンド信号の周波数にダウンコンバートされたFB信号の入力をQDEM10から受け付ける。A/D変換器12は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換されたFB信号を歪補償部13へ出力する。ここで、A/D変換器12は、「第2信号変換部」の一例である。
図9は、実施例1におけるA/D変換器12から出力されるFB信号の波形(H点の波形)の一例を示す図である。A/D変換器12から出力されるFB信号には、送信信号S1と、電力増幅器8の出力信号に折り返り歪として現れる歪成分R91、R92とが含まれる。
歪補償部13は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号にPD処理を施す。詳細には、歪補償部13は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でディジタル信号に変換されたFB信号の入力をA/D変換器12から受け付ける。歪補償部13は、歪補償係数の入力を係数生成部15から受け付ける。そして、歪補償部13は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号をサンプリングし、サンプリングされたFB信号に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施されたFB信号を生成する。PD処理が施されたFB信号を、以下では「FB系PD信号」と呼ぶ。歪補償部13は、生成したFB系PD信号を減算器14へ出力する。
減算器14は、サンプリングレートがD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換されたPD信号の入力をサンプリングレート変換部4から受け付ける。減算器14は、FB系PD信号の入力を歪補償部13から受け付ける。そして、減算器14は、PD信号とFB系PD信号との差分を示す誤差信号を生成する。減算器14は、生成した誤差信号を係数生成部15へ出力する。ここで、減算器14は、「誤差信号生成部」の一例である。
係数生成部15は、誤差信号の入力を減算器14から受け付ける。係数生成部15は、誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。例えば、係数生成部15は、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム等を用いた適応信号処理によって誤差信号が最小となるように、歪補償係数を求める。そして、係数生成部15は、求めた歪補償係数を歪補償部2、歪補償部13および歪補償部16へ出力する。これにより、歪補償部2、歪補償部13および歪補償部16によって用いられる歪補償係数が更新される。
次に、図10を参照して、実施例1に係る送信機31による信号送信における処理について説明する。図10は、実施例1に係る送信機31の動作の一例を示すフローチャートである。
A/D変換器12は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号をディジタル信号に変換する(ステップS101)。A/D変換器12は、ディジタル信号に変換されたFB信号を歪補償部13へ出力する。
歪補償部13は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号をサンプリングし、サンプリングされたFB信号に歪補償係数を乗算することによって、FB系PD信号を生成する(ステップS102)。歪補償部13は、生成したFB系PD信号を減算器14へ出力する。
減算器14は、サンプリングレート変換部4から入力されるPD信号と、歪補償部13から入力されるFB系PD信号との差分を示す誤差信号を生成する。減算器14は、生成した誤差信号を係数生成部15へ出力する。係数生成部15は、減算器14から入力される誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する(ステップS103)。係数生成部15は、歪補償係数を歪補償部2、歪補償部13および歪補償部16へ出力する。
歪補償部16は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、歪補償係数を用いて、送信信号生成部1から入力される送信信号から、PD信号を生成する(ステップS104)。具体的には、歪補償部16は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、送信信号生成部1から入力される送信信号をリサンプリングする。そして、歪補償部16は、リサンプリングされた送信信号に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部16は、生成したPD信号をHPF17へ出力する。
HPF17は、歪補償部16から入力されるPD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出することにより、周波数成分信号を生成する(ステップS105)。HPF17は、生成した周波数成分信号を加算器18へ出力する。
加算器18は、送信信号生成部1から入力される送信信号と、HPF17から入力される周波数成分信号の逆位相を表す逆位相信号とを合成して入力信号として生成する(ステップS106)。加算器18は、生成した入力信号を歪補償部2へ出力する。
歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、歪補償係数を用いて、加算器18から入力される入力信号からPD信号を生成する(ステップS107)。具体的には、歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、加算器18から入力される入力信号をサンプリングする。そして、歪補償部2は、サンプリングされた入力信号に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部2は、生成したPD信号をLPF3へ出力する。
LPF3は、歪補償部2から入力されるPD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去する(ステップS108)。LPF3は、周波数成分が除去されたPD信号をサンプリングレート変換部4へ出力する。
サンプリングレート変換部4は、LPF3から入力されるPD信号のサンプリングレートを、歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する(ステップS109)。サンプリングレート変換部4は、サンプリングレートが変換されたPD信号をD/A変換器5および減算器14へ出力する。
D/A変換器5は、サンプリングレート変換部4から入力されるPD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換する(ステップS110)。D/A変換器5は、アナログ信号に変換されたPD信号を出力する。
PD信号は、QMOD6および発振器7によりアップコンバートされて電力増幅器8へ入力される。電力増幅器8は、入力されるPD信号を増幅し、出力信号を生成する(ステップS111)。
電力増幅器8は、生成した出力信号を、BPF8aおよびアンテナ9を介して外部装置に向けて送信する(ステップS112)。
以上の説明により、実施例1に係る送信機31では、送信信号生成部1は、送信信号を生成して歪補償装置41に出力し、送信部(BPF8a、アンテナ9)は、歪補償装置41の出力を出力信号として送信する。
歪補償装置41において、第1歪補償部(歪補償部16)は、第2サンプリングレート(サンプリングレートR2)で、歪補償係数を用いて、送信信号にプリディストーション(PD)処理を施して第1PD信号を生成する。サンプリングレートR2は、送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレート(サンプリングレートR1)よりも高い。歪補償係数は、増幅器(電力増幅器8)からのフィードバック(FB)信号に基づいて生成される。抽出部(HPF17)は、第1PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。入力信号出力部(加算器18)は、送信信号と周波数成分信号の逆位相信号とを合成し、入力信号として、後段の第2歪補償部(歪補償部2)に出力する。歪補償部2は、歪補償係数を用いて、入力信号にPD処理を施して第2PD信号を生成する。除去部(LPF3)は、第2PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去する。第1レート変換部(サンプリングレート変換部4)は、周波数成分が除去された第2PD信号のサンプリングレートをサンプリングレートR2からサンプリングレートR1へ変換する。第1信号変換部(D/A変換器5)は、サンプリングレートが変換された第2PD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換する。電力増幅器8は、アナログ信号に変換されたPD信号を増幅する。第2信号変換部(A/D変換器12)は、サンプリングレートR1で電力増幅器8からの出力信号をディジタル信号に変換する。誤差信号生成部(減算器14)は、ディジタル信号に変換された出力信号と、サンプリングレートがサンプリングレートR1に変換された第2PD信号との差分を示す誤差信号を生成する。誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。
このように、実施例1に係る送信機31では、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2でPD信号を生成する。実施例1に係る送信機31では、生成したPD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去されたPD信号のサンプリングレートをサンプリングレートR1に変換する。そして、実施例1に係る送信機31では、D/A変換器5においてPD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換し、変換されたPD信号を電力増幅器8へ出力する。これにより、実施例1に係る送信機31では、D/A変換器5のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、電力増幅器8から出力される出力信号に折り返り歪が発生することを回避することができる。結果として、D/A変換器5のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
また、実施例1に係る送信機31では、オーバーサンプリング後の歪補償部2の前段で、電力増幅器8からのFB信号に基づく歪補償係数を用いて、歪補償部16で送信信号からPD信号を生成する。そして、実施例1に係る送信機31では、HPF17により、PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。そして、実施例1に係る送信機31では、加算器18により送信信号と周波数成分信号の逆位相信号とを合成し、入力信号として歪補償部2に出力する。このように、実施例1に係る送信機31では、オーバーサンプリング後の歪補償部2の前段で電力増幅器8の非線形歪の逆特性を求めているため、参考例1のような残留歪が電力増幅器8の出力信号に発生することを回避することができる。結果として、折り返り歪以外の歪の影響による歪補償性能の劣化を抑えることができる。
ここで、参考例1における送信機600では、残差信号(残留歪に相当する信号)を生成するために複数の演算処理を実施している。例えば、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607により、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を生成するための演算処理(第1の演算処理)が行なわれる。また、歪付与部601により、PD信号に、電力増幅器108の非線形歪の歪特性を模擬する歪特性(レプリカ)を付与して、歪特性信号を生成するための演算処理(第2の演算処理)が行なわれる。また、LPF602および減算器603により、歪特性信号と送信信号との差分を示す残差信号を生成するための演算処理(第3の演算処理)が行なわれる。一方、実施例1に係る送信機31では、オーバーサンプリング後の歪補償部2の前段で電力増幅器8の非線形歪の逆特性を求めることにより、参考例1のような複数の演算処理(第1〜第3の演算処理)を実施しなくてもよい。このため、実施例1に係る送信機31では、参考例1における送信機600に比べて、演算処理量の増大を抑制することができる。
また、実施例1に係る送信機31では、参考例1のような複数の演算処理(第1〜第3の演算処理)を実施しないため、参考例1における送信機600に比べて、歪補償性能が向上する。例えば、参考例1において、第1の演算処理は、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607により行われる。また、第3の演算処理は、LPF602および減算器603により行われる。これらの演算処理においては、減算器606および減算器603によりそれぞれ差分が取られるため、演算結果にずれが発生する可能性がある。一方、実施例1に係る送信機31では、参考例1のような複数の演算処理を実施しないため、演算結果にずれが発生することはない。図11は、実施例1における電力増幅器8および参考例1における電力増幅器108から出力される出力信号の波形の一例を示す図である。図11に示すように、実施例1における電力増幅器8の出力信号に現れる歪成分R91、R92は、参考例1における電力増幅器108の出力信号に現れる歪成分R81、R82よりも抑制される。
したがって、実施例1に係る送信機31によれば、演算処理量の増大を抑制し、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
ここで、実施例2に係る送信機について説明する前に、参考例2における送信機について説明する。
[参考例2]
図15は、参考例2における送信機の構成(ダイレクトラーニング構成)の一例を示す図である。図15において、図14と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図15は、参考例2における送信機の構成(ダイレクトラーニング構成)の一例を示す図である。図15において、図14と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
参考例2における送信機100は、図14に示したA/D変換器512、歪補償部513、減算器514、係数生成部515に代えて、A/D変換器112、歪補償部113、減算器114および係数生成部115を有する。また、参考例2における送信機100には、図14に示した歪付与部601、LPF602、減算器603、減算器604、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607が設けられていない。
A/D変換器112は、ベースバンド信号の周波数にダウンコンバートされたFB信号の入力をQDEM110から受け付ける。A/D変換器112は、歪補償部102と同一のサンプリングレート、すなわち、サンプリングレートR2でFB信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換されたFB信号を歪補償部113へ出力する。
歪補償部113は、歪補償部102と同様に、D/A変換器105のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2でFB信号にPD処理を施す。詳細には、歪補償部113は、ディジタル信号に変換されたFB信号の入力をA/D変換器112から受け付ける。歪補償部113は、歪補償係数の入力を係数生成部115から受け付ける。そして、歪補償部113は、サンプリングレートR2でFB信号をサンプリングし、サンプリングされたFB信号に歪補償係数を乗算することによって、PD処理が施されたFB系FB信号を生成する。歪補償部113は、生成したFB系PD信号を減算器114へ出力する。
減算器114は、PD信号の入力を歪補償部102から受け付ける。減算器114は、FB系PD信号の入力を歪補償部113から受け付ける。そして、減算器114は、PD信号とFB系PD信号との差分を示す誤差信号を生成する。そして、減算器114は、生成した誤差信号を係数生成部115へ出力する。
係数生成部115は、誤差信号の入力を減算器114から受け付ける。係数生成部115は、誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。例えば、係数生成部115は、LMSアルゴリズム等を用いた適応信号処理によって誤差信号が最小となるように、歪補償係数を求める。そして、係数生成部115は、求めた歪補償係数を歪補償部102および歪補償部113へ出力する。これにより、歪補償部102および歪補償部113によって用いられる歪補償係数が更新される。
なお、図15において、参考例2における送信機100には、図14に示した歪付与部601、LPF602、減算器603、減算器604、歪付与部605、減算器606および歪付与係数生成部607が設けられていない。このため、参考例2における送信機100では、折り返り歪以外の歪(残留歪)の抑制については考慮されていない。
図12は、実施例2に係る送信機32の構成(ダイレクトラーニング構成)の一例を示すブロック図である。図12において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施例2に係る送信機32は、図1に示した歪補償装置41に代えて、歪補償装置42を有する。
歪補償装置42は、歪補償部13、減算器14、係数生成部15に代えて、減算器24、係数生成部25およびサンプリングレート変換部20を有する。
サンプリングレート変換部20は、入力信号を加算器18から受け付ける。サンプリングレート変換部20は、入力信号のサンプリングレートを、歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。詳細には、サンプリングレート変換部20は、PD信号を間引くことで入力信号のサンプリングレートを歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。なお、入力信号を間引くことには、入力信号に対して補間処理を施し、補間処理が施された入力信号を間引くことも含まれる。そして、サンプリングレート変換部20は、サンプリングレートが変換された入力信号を減算器24へ出力する。ここで、サンプリングレート変換部20は、「第2レート変換部」の一例である。
減算器24は、サンプリングレートがD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換された入力信号の入力をサンプリングレート変換部20から受け付ける。減算器24は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でディジタル信号に変換されたFB信号の入力をA/D変換器12から受け付ける。そして、減算器24は、入力信号とFB信号との差分を示す誤差信号を生成する。減算器24は、生成した誤差信号を係数生成部25へ出力する。ここで、減算器24は、「誤差信号生成部」の一例である。
係数生成部25は、誤差信号の入力を減算器24から受け付ける。係数生成部25は、誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。例えば、係数生成部25は、LMSアルゴリズム等を用いた適応信号処理によって誤差信号が最小となるように、歪補償係数を求める。そして、係数生成部25は、求めた歪補償係数を歪補償部2および歪補償部16へ出力する。これにより、歪補償部2および歪補償部16によって用いられる歪補償係数が更新される。
次に、図13を参照して、実施例2に係る送信機32による信号送信における処理について説明する。図13は、実施例2に係る送信機32の動作の一例を示すフローチャートである。
A/D変換器12は、D/A変換器5のサンプリングレートR1でFB信号をディジタル信号に変換する(ステップS201)。A/D変換器12は、ディジタル信号に変換されたFB信号を減算器24へ出力する。
歪補償部16は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、歪補償係数を用いて、送信信号生成部1から入力される送信信号から、PD信号を生成する(ステップS202)。具体的には、歪補償部16は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、送信信号生成部1から入力される送信信号をリサンプリングする。そして、歪補償部16は、リサンプリングされた送信信号に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部16は、生成したPD信号をHPF17へ出力する。
HPF17は、歪補償部16から入力されるPD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出することにより、周波数成分信号を生成する(ステップS203)。HPF17は、生成した周波数成分信号を加算器18へ出力する。
加算器18は、送信信号生成部1から入力される送信信号と、HPF17から入力される周波数成分信号の逆位相を表す逆位相信号とを合成して入力信号として生成する(ステップS204)。加算器18は、生成した入力信号を歪補償部2およびサンプリングレート変換部20へ出力する。
サンプリングレート変換部20は、加算器18から入力される入力信号のサンプリングレートを、歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する。サンプリングレート変換部20は、サンプリングレートが変換されたPD信号を減算器24へ出力する。減算器24は、サンプリングレート変換部20から入力される入力信号と、A/D変換器12から入力されるFB信号との差分を示す誤差信号を生成する。減算器24は、生成した誤差信号を係数生成部25へ出力する。係数生成部25は、減算器24から入力される誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する(ステップS205)。係数生成部25は、歪補償係数を歪補償部2および歪補償部16へ出力する。
歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、歪補償係数を用いて、加算器18から入力される入力信号からPD信号を生成する(ステップS206)。具体的には、歪補償部2は、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2で、加算器18から入力される入力信号をサンプリングする。そして、歪補償部2は、サンプリングされた入力信号に歪補償係数を乗算することによって、PD信号を生成する。歪補償部2は、生成したPD信号をLPF3へ出力する。
LPF3は、歪補償部2から入力されるPD信号から、D/A変換器5のサンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去する(ステップS207)。LPF3は、周波数成分が除去されたPD信号をサンプリングレート変換部4へ出力する。
サンプリングレート変換部4は、LPF3から入力されるPD信号のサンプリングレートを、歪補償部2のサンプリングレートR2からD/A変換器5のサンプリングレートR1へ変換する(ステップS208)。サンプリングレート変換部4は、サンプリングレートが変換されたPD信号をD/A変換器5および減算器14へ出力する。
D/A変換器5は、サンプリングレート変換部4から入力されるPD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換する(ステップS209)。D/A変換器5は、アナログ信号に変換されたPD信号を出力する。
PD信号は、QMOD6および発振器7によりアップコンバートされて電力増幅器8へ入力される。電力増幅器8は、入力されるPD信号を増幅し、出力信号を生成する(ステップS210)。
電力増幅器8は、生成した出力信号を、BPF8aおよびアンテナ9を介して外部装置に向けて送信する(ステップS211)。
以上の説明により、実施例2に係る送信機32では、送信信号生成部1は、送信信号を生成して歪補償装置42に出力し、送信部(BPF8a、アンテナ9)は、歪補償装置42の出力を出力信号として送信する。
歪補償装置42において、第1歪補償部(歪補償部16)は、第2サンプリングレート(サンプリングレートR2)で、歪補償係数を用いて、送信信号にプリディストーション(PD)処理を施して第1PD信号を生成する。サンプリングレートR2は、送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレート(サンプリングレートR1)よりも高い。歪補償係数は、増幅器(電力増幅器8)からのフィードバック(FB)信号に基づいて生成される。抽出部(HPF17)は、第1PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。入力信号出力部(加算器18)は、送信信号と周波数成分信号の逆位相信号とを合成し、入力信号として、後段の第2歪補償部(歪補償部2)に出力する。歪補償部2は、歪補償係数を用いて、入力信号にPD処理を施して第2PD信号を生成する。除去部(LPF3)は、第2PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去する。第1レート変換部(サンプリングレート変換部4)は、周波数成分が除去された第2PD信号のサンプリングレートをサンプリングレートR2からサンプリングレートR1へ変換する。第1信号変換部(D/A変換器5)は、サンプリングレートが変換された第2PD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換する。電力増幅器8は、アナログ信号に変換されたPD信号を増幅する。第2信号変換部(A/D変換器12)は、サンプリングレートR1で電力増幅器からの出力信号をディジタル信号に変換する。第2レート変換部(サンプリングレート変換部20)は、入力信号のサンプリングレートをサンプリングレートR2からサンプリングレートR1へ変換する。誤差信号生成部(減算器24)は、ディジタル信号に変換された出力信号と、サンプリングレートがサンプリングレートR1に変換された入力信号との差分を示す誤差信号を生成する。係数生成部25は、誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する。
このように、実施例2に係る送信機32では、D/A変換器5のサンプリングレートR1よりも高いサンプリングレートR2でPD信号を生成する。実施例2に係る送信機32では、生成したPD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を除去し、周波数成分が除去されたPD信号のサンプリングレートをサンプリングレートR1に変換する。そして、実施例2に係る送信機32では、D/A変換器5においてPD信号をサンプリングレートR1でアナログ信号に変換し、変換されたPD信号を電力増幅器8へ出力する。これにより、実施例2に係る送信機32では、D/A変換器5のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、電力増幅器8から出力される出力信号に折り返り歪が発生することを回避することができる。結果として、D/A変換器5のサンプリングレートR1が比較的に低い場合でも、歪補償性能の劣化を抑えることができる。
また、実施例2に係る送信機32では、オーバーサンプリング後の歪補償部2の前段で、電力増幅器8からのFB信号に基づく歪補償係数を用いて、歪補償部16で送信信号からPD信号を生成する。そして、実施例2に係る送信機32では、HPF17により、PD信号から、サンプリングレートR1に応じた周波数帯域BF1を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する。そして、実施例2に係る送信機32では、加算器18により送信信号と周波数成分信号の逆位相信号とを合成し、入力信号として歪補償部2に出力する。このように、実施例2に係る送信機32では、オーバーサンプリング後の歪補償部2の前段で電力増幅器8の非線形歪の逆特性を求めているため、参考例1のような残留歪が電力増幅器8の出力信号に発生することを回避することができる。結果として、折り返り歪以外の歪の影響による歪補償性能の劣化を抑えることができる。
したがって、実施例2に係る送信機32においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
1 送信信号生成部
2 歪補償部
3 LPF
4 サンプリングレート変換部
5 D/A変換器
6 QMOD
7 発振器
8 電力増幅器
8a BPF
9 アンテナ
10 QDEM
11 発振器
12 A/D変換器
13 歪補償部
14 減算器
15 係数生成部
16 歪補償部
17 HPF
18 加算器
20 サンプリングレート変換部
24 減算器
25 係数生成部
31 送信機
32 送信機
41 歪補償装置
42 歪補償装置
2 歪補償部
3 LPF
4 サンプリングレート変換部
5 D/A変換器
6 QMOD
7 発振器
8 電力増幅器
8a BPF
9 アンテナ
10 QDEM
11 発振器
12 A/D変換器
13 歪補償部
14 減算器
15 係数生成部
16 歪補償部
17 HPF
18 加算器
20 サンプリングレート変換部
24 減算器
25 係数生成部
31 送信機
32 送信機
41 歪補償装置
42 歪補償装置
Claims (5)
- 信号を増幅して出力する増幅器と、
送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレートよりも高い第2サンプリングレートで、前記増幅器からのフィードバック信号に基づいて、前記送信信号にプリディストーション処理を施して第1プリディストーション信号を生成する第1歪補償部と、
前記第1プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する抽出部と、
前記送信信号と前記周波数成分信号の逆位相信号を合成して前記入力信号として出力する入力信号出力部と、
前記第2サンプリングレートで前記入力信号にプリディストーション処理を施して第2プリディストーション信号を生成する第2歪補償部と、
前記第2プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去する除去部と、
前記周波数成分が除去された前記第2プリディストーション信号のサンプリングレートを前記第2サンプリングレートから前記第1サンプリングレートへ変換する第1レート変換部と
を有することを特徴とする歪補償装置。 - サンプリングレートが変換された前記第2プリディストーション信号を前記第1サンプリングレートでアナログ信号に変換し、前記増幅器に出力する第1信号変換部と、
前記第1サンプリングレートで前記増幅器からの出力信号をディジタル信号に変換する第2信号変換部と、
前記ディジタル信号に変換された出力信号と、サンプリングレートが前記第1サンプリングレートに変換された前記第2プリディストーション信号との差分を示す誤差信号を生成する誤差信号生成部と、
前記誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する係数生成部と
を更に有し、
前記第1、第2歪補償部は、それぞれ、前記歪補償係数を用いて、前記送信信号、前記入力信号にプリディストーション処理を施して前記第1、第2プリディストーション信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の歪補償装置。 - サンプリングレートが変換された前記第2プリディストーション信号を前記第1サンプリングレートでアナログ信号に変換し、前記増幅器に出力する第1信号変換部と、
前記第1サンプリングレートで前記増幅器からの出力信号をディジタル信号に変換する第2信号変換部と、
前記入力信号のサンプリングレートを前記第2サンプリングレートから前記第1サンプリングレートへ変換する第2レート変換部と、
前記ディジタル信号に変換された出力信号と、サンプリングレートが前記第1サンプリングレートに変換された前記入力信号との差分を示す誤差信号を生成する誤差信号生成部と、
前記誤差信号に基づいて歪補償係数を生成する係数生成部と
を更に有し、
前記第1、第2歪補償部は、それぞれ、前記歪補償係数を用いて、前記送信信号、前記入力信号にプリディストーション処理を施して前記第1、第2プリディストーション信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の歪補償装置。 - 歪補償装置と、
送信信号を生成して前記歪補償装置に出力する送信信号生成部と、
前記歪補償装置の出力を出力信号として送信する送信部と、
を有し、
前記歪補償装置は、
信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレートよりも高い第2サンプリングレートで、前記増幅器からのフィードバック信号に基づいて、前記送信信号にプリディストーション処理を施して第1プリディストーション信号を生成する第1歪補償部と、
前記第1プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成する抽出部と、
前記送信信号と前記周波数成分信号の逆位相信号を合成して前記入力信号として出力する入力信号出力部と、
前記第2サンプリングレートで前記入力信号にプリディストーション処理を施して第2プリディストーション信号を生成する第2歪補償部と、
前記第2プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去する除去部と、
前記周波数成分が除去された前記第2プリディストーション信号のサンプリングレートを前記第2サンプリングレートから前記第1サンプリングレートへ変換する第1レート変換部と
を有することを特徴とする送信機。 - 送信信号をアナログ信号に変換するための第1サンプリングレートよりも高い第2サンプリングレートで、信号を増幅して出力する増幅器からのフィードバック信号に基づいて、前記送信信号にプリディストーション処理を施して第1プリディストーション信号を生成し、
前記第1プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を抽出して周波数成分信号を生成し、
前記送信信号と前記周波数成分信号の逆位相信号を合成して前記入力信号として出力し、
前記第2サンプリングレートで前記入力信号にプリディストーション処理を施して第2プリディストーション信号を生成し、
前記第2プリディストーション信号から、前記第1サンプリングレートに応じた周波数帯域を超える周波数成分を除去し、
前記周波数成分が除去された前記第2プリディストーション信号のサンプリングレートを前記第2サンプリングレートから前記第1サンプリングレートへ変換する、
処理を実行することを特徴とする歪補償方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017146501A JP2019029792A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 歪補償装置、送信機および歪補償方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017146501A JP2019029792A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 歪補償装置、送信機および歪補償方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019029792A true JP2019029792A (ja) | 2019-02-21 |
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ID=65476692
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017146501A Pending JP2019029792A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 歪補償装置、送信機および歪補償方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019029792A (ja) |
-
2017
- 2017-07-28 JP JP2017146501A patent/JP2019029792A/ja active Pending
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