JP2019029390A - 導電性パターン形成用キット、及び電子回路基板の製造方法 - Google Patents

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一令 塩入
泰世 上野山
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泰世 上野山
玲稲 前川
Reina Maekawa
玲稲 前川
智洋 阪上
Tomohiro Sakagami
智洋 阪上
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Abstract

【課題】分散性に優れ、低温焼成が可能でありながら、樹脂製基材との接着性が良好な回路を形成することができる導電性パターン形成用キット、及び銀ナノ粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】基材に導電性パターンを形成するための導電性パターン形成用キットであって、前記導電性パターン形成用キットは、導電性パターン形成用組成物と硬化剤組成物とを有し、前記導電性パターン形成用組成物は、銀ナノ粒子、並びに含窒素系モノマー単位、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Aを含有し、前記硬化剤組成物は、含窒素系モノマー、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Bを含有する、導電性パターン形成用キット。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性パターン形成用キット、及び電子回路基板の製造方法に関する。
従来、基材上に導電性パターン形成用組成物をプリントして導電性パターンを形成し、電子回路基板を製造する技術がある。当該導電性パターン形成用組成物には導電性微粒子が含有されており、これら導電性微粒子は基材の表面で焼成されることによって融着し、導電性パターンが形成される。
このような技術において、より低い温度で基材上に導電性パターンを形成することができる導電性パターン形成用組成物があれば、比較的耐熱性が低く加工が容易なポリエステル樹脂等の樹脂製基材に対しても導電性パターンを形成することができる。
低温焼成で導電性パターンを形成することができる材料としては銀ナノ粒子が挙げられる(例えば、特許文献1)。しかし、当該銀ナノ粒子は凝集しやすく、凝集した銀ナノ粒子は低温焼成の効果が得られにくいため、分散性に優れた銀ナノ粒子及びその製造方法が求められている(例えば、特許文献2〜7)。
特開2010−265543号公報 特開2006−219693号公報 特開2006−045655号公報 特開2008−091250号公報 特開2007−200775号公報 特開2003−176455号公報 特開2010−80438号公報
しかし、従来の技術で得られた銀ナノ粒子は分散性に優れ、低温焼成に関しては一定の効果を得ることができるものの、当該銀ナノ粒子を含む導電性パターン形成用組成物を用いて基材上に形成された導電性パターンは、ポリエステル樹脂等の樹脂製基材との接着性が十分ではない。また、樹脂製基材との接着性を上げるためにバインダーを添加することが考えられるが、従来のバインダーは樹脂製基材との接着性を上げることができるものの、回路基板の導電性が顕著に低下する。すなわち、従来の技術では導電性パターンと樹脂製基材の接着性と、回路基板の導電性を両立するのは困難であった。
本発明は、導電性パターンと樹脂製基材の接着性と、回路基板の導電性を両立することができる導電性パターン形成用キット、及び電子回路基板の製造方法を提供する。
本発明は基材に導電性パターンを形成するための導電性パターン形成用キットであって、前記導電性パターン形成用キットは、導電性パターン形成用組成物と硬化剤組成物とを有し、前記導電性パターン形成用組成物は、銀ナノ粒子、並びに含窒素系モノマー単位、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Aを含有し、前記硬化剤組成物は、含窒素系モノマー単位、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Bを含有する。
本発明は、前記導電性パターン形成用キットを用いた電子回路基板の製造方法であって、前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物の混合物を基材上に設ける第1工程、及び前記基材上に配置された前記導電性パターン組成物を加熱処理する第2工程を有する。
本発明によれば、導電性パターンと樹脂製基材の接着性と、回路基板の導電性を両立することができる導電性パターン形成用キット、及び電子回路基板の製造方法を提供することができる。
<導電性パターン形成用キット>
本実施形態の導電性パターン形成用キットは、基材に導電性パターンを形成するための導電性パターン形成用キットであって、前記導電性パターン形成用キットは、導電性パターン形成用組成物と硬化剤組成物とを有し、前記導電性パターン形成用組成物は、銀ナノ粒子、並びに含窒素系モノマー単位(以下、モノマー単位A1ともいう)、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位A2ともいう)、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位A3ともいう)を有する機能性高分子Aを含有し、前記硬化剤組成物は、含窒素系モノマー単位(以下、モノマー単位B1ともいう)、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位B2ともいう)、及びグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位B3ともいう)を有する機能性高分子Bを含有する。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、本明細書において「ナノ粒子」とは平均粒子径が5〜30nmである粒子を意味し、平均粒子径は粒度分布測定装置で測定された体積累積50%の平均粒子径を意味し、当該平均粒子径は実施例に記載の方法により測定する。本実施形態の導電性パターン形成用キットによれば、導電性パターンと樹脂製基材の接着性と、回路基板の導電性を両立することができる。
〔導電性パターン形成用組成物〕
前記導電性パターン形成用組成物は、銀ナノ粒子、及び機能性高分子Aを含有する。
[機能性高分子A]
(モノマー単位A1)
機能性高分子Aは、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、及び銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点からモノマー単位A1を有する。当該モノマー単位A1を誘導する為のモノマーの例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、ビニルピリジン、及びビニルピロリドン等が例示できる。これらの中でも、銀ナノ粒子への吸着性の観点から第3級アミノ基を有するものが好ましい。さらに、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点からビニルピロリドンがより好ましい。また、樹脂製基材との接着性の観点からは、アミド結合を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、及びジメチルアミノプロピルメタアクリルアミドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
前記機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A1の含有量は、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、及び銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。前記機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A1の含有量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点、及び樹脂製基材への接着性向上の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
(モノマー単位A2)
前記機能性高分子Aは、銀ナノ粒子の分散性向上の観点からモノマー単位A2を有する。当該モノマー単位A2のポリアルキレングリコール基は、前記機能性高分子Aの主鎖に対して側鎖にある。
前記モノマー単位A2中のポリアルキレングリコール基を構成する繰り返し単位としては、エチレンオキサイド、及びプロピレンオキサイドが例示できる。前記ポリアルキレングリコール基を構成する繰り返し単位はブロック付加体でもランダム付加体でもよいが、銀ナノ粒子の分散性を向上させる観点から、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール及びエチレングリコールとプロピレングリコールのブロック付加体からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
前記ポリアルキレングリコール基のアルキレンオキサイド平均付加モル数は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点から、4モル以上が好ましく、5モル以上がより好ましく、10モル以上が更に好ましい。前記ポリアルキレングリコール基のアルキレンオキサイド平均付加モル数は、モノマーの重合反応率向上の観点から、90モル以下が好ましく、50モル以下がより好ましく、30モル以下が更に好ましい。
前記モノマー単位A2が有する末端アルコキシ基の炭素数は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点から、1以上である。前記モノマー単位A2が有する末端アルコキシ基の炭素数は、銀ナノ粒子の保護コロイド性の観点から18以下が好ましく、12以下がより好ましい。
前記モノマー単位A2を誘導するためのモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が例示でき、他にもオクタノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が例示できる。前記モノマー単位A2を誘導するためのモノマーの市販品としては、ブレンマー(登録商標)PME−200、PME−400、PME−1000、PME−4000、PLE−200、PLE−1300、PSE−1300等(何れも日油株式会社製)がある。
前記モノマー単位A2を誘導するためのモノマーの重量平均分子量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点から、200以上が好ましく、400以上が好ましい。前記モノマー単位A2を誘導するためのモノマーの重量平均分子量は、モノマーの重合反応率向上の観点から、4,000以下が好ましい。
機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A2の含有量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A2の含有量は、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点、及び樹脂製基材への接着性向上の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
(モノマー単位A3)
前記機能性高分子Aは、樹脂製基材への接着性向上の観点からモノマー単位A3を有する。また、当該モノマー単位A3は、弱い還元作用を持つことから、銀ナノ粒子を製造する際に還元剤としても作用すると考えられる。前記モノマー単位A3を誘導するためのモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等が例示でき、これらの中でも樹脂製基材への接着性向上の観点から炭素鎖の末端に水酸基を有するものが好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートがより好ましい。
前記機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A3の含有量は、樹脂製基材への接着性向上の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A3の含有量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、及び銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(その他のモノマー単位)
前記機能性高分子Aは、本実施形態の効果を損なわない範囲で前記モノマー単位A1、前記モノマー単位A2、及び前記モノマー単位A3以外のモノマー単位を有していてもよい。前記モノマー単位A1、前記モノマー単位A2、及び前記モノマー単位A3以外のモノマー単位としては、アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位A4ともいう)が例示できる。前記機能性高分子Aと前記機能性高分子Bが架橋した際の網目構造の間隔は、銀ナノ粒子の導電性の観点から調整することがある。また、電子回路の強度の観点から、前記機能性高分子Aと前記機能性高分子Bの架橋物のガラス転移点を調整することがある。これらのような場合に前記機能性高分子Aは前記モノマー単位A4を有するのが好ましい。モノマー単位A4が有するアルキル基は、銀ナノ粒子の導電性の観点からメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、フェニール基、及びイソボルニル基からなる群より選ばれる1種以上である。
前記機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A4の含有量は、電子回路の導電性向上の観点、ガラス転移点の向上による電子回路の強度向上から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A4の含有量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、及び銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
前記機能性高分子Aの全構成単位中のモノマー単位A1の含有量、モノマー単位A2の含有量、及びモノマー単位A3の含有量の合計は、本実施形態の効果発現の観点から、25質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
前記機能性高分子Aの重量平均分子量は、銀ナノ粒子の分散性の観点から、5,000以上が好ましい。前記機能性高分子Aの重量平均分子量は、樹脂製基材との接着性の観点から、50,000以下が好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は実施例に記載の方法により測定する。
[機能性高分子Aの製造方法]
前記機能性高分子Aの製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。前記機能性高分子Aの製造方法としては、以下の溶液重合が例示できる。
(溶液重合)
当該溶液重合で用いる溶媒は公知の溶媒を用いることができる。当該溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、(イソ)ブタノール、オクタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が例示できる。
重合で用いる重合開始剤は公知の重合開始剤を用いることができる。当該重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、ヒドロ過酸化物、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル類、ケトンペルオキシド類が例示できる。
安定した重量平均分子量を有する機能性高分子を製造する観点から重合連鎖移動剤を用いることができる。当該重合連鎖移動剤としてはオクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカブタン、t−ドデシルメルカブタン、n−テトラデシルメルカブタン、及びメルカプトプロピオン酸等が例示できる。
重合反応終了後の経時的な重合反応の進行を防止する観点からメトキノン、ハイドロキノン、及びフェニチアジン等の重合禁止剤を用いることもできる。
重合反応は窒素雰囲気下、60℃以上120℃以下の温度条件下で行うのが好ましい。また、重合溶媒が、弱く還流する温度で行うことが好ましい。温度制御の観点から、原料モノマーの滴下重合が好ましい。
重合反応時間は仕込みモノマー量により適宜コントロールすることができ、加熱残分を測定して定める必要があるため、一概には定めることは困難であるが、一般的には4時間以上20時間以内である。
〔銀ナノ粒子〕
前記銀ナノ粒子は、公知のものを用いることができるが、銀ナノ粒子の分散性の観点、及び銀ナノ粒子の樹脂製基材への接着性の観点から前記機能性高分子Aが表面に存在する銀ナノ粒子が好ましい。前記機能性高分子Aが表面に存在する銀ナノ粒子は、硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液中で前記硝酸銀を還元して得ることができる。すなわち、前記機能性高分子Aが表面に存在する銀ナノ粒子の製造方法は、硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液中で前記硝酸銀を還元して銀ナノ粒子を得る銀ナノ粒子製造工程を有する。当該銀ナノ粒子の製造方法は、還元剤として前記機能性高分子Aを用いる以外は公知の手法を用いることができる。
[銀ナノ粒子製造工程]
硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液に係る溶媒は水と相溶出来る両親媒性の溶剤が好ましい。前記機能性高分子Aは、水に溶解していても懸濁していてもよい。
硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液中の硝酸銀の濃度は、硝酸銀の還元性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、銀ナノ粒子の分散性を確保する観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液中の前記機能性高分子Aの濃度は、還元効率、分散効率の観点から、前記硝酸銀に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液は、硝酸銀の還元性の観点から、多価アルコールを含有するのが好ましい。当該多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−ピロリドン、及びメチル−2−ピロリドン等が例示できる。これらの中でも、硝酸銀の還元性の観点から、2−ピロリドン及び/又はメチル−2−ピロリドンが好ましい。
硝酸銀と前記機能性高分子Aとを含有する溶液が前記多価アルコールを含有する場合、前記溶液中の前記多価アルコールの含有量は、硝酸銀の還元性の観点から20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、銀ナノ粒子分散性の観点、及び作業性の観点から60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
前記銀ナノ粒子製造工程後、ナノ分散した銀ナノ粒子を含有する溶液から濾過や遠心分離等で銀ナノ粒子を捕集する。銀ナノ粒子の捕集方法としては、過剰のメタノールで洗浄、デカンテーション後に濾過及び遠心分離を行ってもよい。
前記導電性パターン形成用組成物は、前記銀ナノ粒子及び前記機能性高分子Aを含有する以外は公知の導電性パターン形成用組成物と同様であり、組成は前記導電性パターンを基材上に設ける手法やその装置、その他種々の条件に合わせて適宜調整することができる。例えば、前記導電性パターン形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でアルコールや水等の溶剤;湿潤剤、乳化剤等を含有することができる。前記溶剤としてはN−ブタノール、オクタノール等のアルコールやメチルイソブチルケトン等が例示できる。また、インクジェット方式によって前記導電性パターン形成用組成物を基材上に配置する場合、一般的には前記導電性パターン形成用組成物の粘度を10mPa・s以下にするのが好ましい。なお、本明細書において粘度は実施例に記載の方法により測定する。
前記導電性パターン形成用組成物は、マイグレーション抑制の観点から、銀ナノ粒子以外の金属粒子を含有してもよい。当該金属粒子としては、金粒子、白金粒子、パラジウム粒子、銅粒子等が例示できる。これらの中でもマイグレーション抑制の観点からパラジウム粒子が好ましい。前記導電性パターン形成用組成物がパラジウム粒子を含有する場合、前記銀ナノ粒子の含有量と前記パラジウム粒子の含有量の比(前記銀ナノ粒子の含有量/前記パラジウム粒子の含有量)は90/10以上が好ましく、95/5以上がより好ましい。金属粒子の添加方法は特に限定されないが、例えば、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀と前記機能性高分子とを含有する水溶液に塩化パラジウムを添加する手法が挙げられる。
〔硬化剤組成物〕
前記硬化剤組成物は、機能性高分子Bを含有する。
[機能性高分子B]
(モノマー単位B1)
機能性高分子Bは、銀ナノ粒子の分散性の観点から前記モノマー単位B1を有する。当該モノマー単位B1を誘導する為のモノマーの例としては、前記モノマー単位A1を誘導するためのモノマーの例と同様のものが挙げられる。
前記機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B1の含有量は、銀ナノ粒子の分散性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。前記機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B1の含有量は、樹脂製基材への接着性向上の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
(モノマー単位B2)
前記機能性高分子Bは、銀ナノ粒子の分散性の観点からモノマー単位B2を有する。当該モノマー単位B2は、前記モノマー単位A2と同様である。また、当該モノマー単位B2を誘導するためのモノマーは、前記モノマー単位A2を誘導するためのモノマーと同様である。
機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B2の含有量は、樹脂製基材への接着性向上の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B2の含有量は、樹脂製基材への接着性向上の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
(モノマー単位B3)
前記機能性高分子Aは、樹脂製基材への接着性向上の観点からモノマー単位B3を有する。前記モノマー単位A3を誘導するためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレート誘導体が例示でき、これらの中でも樹脂製基材への接着性向上の観点からグリシジルメタクリレートが好ましい。
前記機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B3の含有量は、樹脂製基材への接着性向上の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B3の含有量は、銀ナノ粒子の分散性向上の観点、銀ナノ粒子を製造する際に硝酸銀を還元しつつ銀ナノ粒子の分散性を確保する観点、及び銀ナノ粒子の機能性高分子Aの付着性の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(その他のモノマー単位)
前記機能性高分子Bは、本実施形態の効果を損なわない範囲で前記モノマー単位B1、前記モノマー単位B2、及び前記モノマー単位B3以外のモノマー単位を有していてもよい。前記モノマー単位B1、前記モノマー単位B2、及び前記モノマー単位B3以外のモノマー単位としては、アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位(以下、モノマー単位B4ともいう)が例示できる。前記モノマー単位B4は前記モノマー単位A4と同様である。
前記機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B4の含有量は、電子回路の導電性向上の観点、ガラス転移点の向上による電子回路の強度向上から、20質量%以上が好ましい。機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B4の含有量は、銀ナノ粒子の分散性の観点、樹脂製基材への接着性向上の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
前記機能性高分子Bの全構成単位中のモノマー単位B1の含有量、モノマー単位B2の含有量、及びモノマー単位B3の含有量の合計は、本実施形態の効果発現の観点から、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
前記機能性高分子Bの重量平均分子量は、銀ナノ粒子の分散性の観点から、5,000以上が好ましい。前記機能性高分子Bの重量平均分子量は、樹脂製基材との接着性、銀ナノ粒子の分散性の観点から、50,000以下が好ましい。
[機能性高分子Bの製造方法]
前記機能性高分子Bの製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。前記機能性高分子Bの製造方法としては、前記機能性高分子Aに係る溶液重合が例示できる。
前記硬化剤組成物は、前記機能性高分子Bを含有する以外は公知の導電性パターン形成用組成物と同様であり、組成は前記導電性パターン形成用組成物を基材上に配置する手法やその装置、その他種々の条件に合わせて適宜調整することができる。例えば、前記硬化剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で溶剤;湿潤剤、乳化剤等を含有することができる。前記溶剤としてはN−ブタノール、オクタノール等のアルコールやメチルイソブチルケトン等が例示できる。また、インクジェット方式によって前記硬化剤組成物を基材上に配置する場合、一般的には前記硬化剤組成物の粘度を10mPa・s以下にするのが好ましい。
<電子回路基板の製造方法>
本実施形態の電子回路基板の製造方法は、前記導電性パターン形成用キットを用いた電子回路基板の製造方法であって、前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物の混合物(以下、導電性パターン組成物ともいう)を基材上に設ける第1工程、及び前記基材上に配置された前記導電性パターン組成物を加熱処理する第2工程を有する。
〔第1工程〕
前記第1工程では、基材の少なくとも一方の面に前記導電性パターン組成物を所定の形状になるように配置する。基材上に前記導電性パターン組成物を配置する手法としては特に限定されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スタンピング法、キャスト法、ディップ法、スピンコート法、スプレー法等が例示できる。例えば、インクジェット法では、インクジェットプリンタによって前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物の液滴を基材上に吐出し、前記導電性パターン組成物を形成する。この場合、前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物は、一方の組成物を基材上に吐出し、その上にさらにもう一方の組成物を吐出することによって基材上で前記導電性パターン組成物を得てもよいし、前記導電性パターン形成用組成物及び前記硬化剤組成物がそれぞれ貯蔵された各インクタンクから、前記導電性パターン形成用組成物及び前記硬化剤組成物がそれぞれ供給されてから基材に吐出されるまでの間で前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物を混合して前記導電性パターン組成物にしてから当該導電性パターン組成物を基材に吐出してもよい。前記導電性パターン形成用組成物及び前記硬化剤組成物の組成は基材上に前記導電性パターン組成物を配置する手法に応じて適宜変更できる。
前記基材としては、アルミナ焼結体、及びセラミック等の無機材料製基材が例示できるが、前記銀ナノ粒子は、分散性に優れるため低温で焼成することができ、さらに基材との接着性が良好であることから、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セラミック・エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂等の樹脂製基材も用いることができる。前記基材の形状は特に限定されず、例えば、基材が樹脂製基材の場合はフィルム状でもよい。前記基材がセラミックの場合は、電子回路と基材との接着性が強く要求される場合があるが、本実施形態の電子回路の製造方法によればこのような要求にも応えることができる。
〔第2工程〕
前記第2工程で基材上に配置された前記導電性パターン組成物を加熱処理する手法は機能性高分子Aの水酸基と機能性高分子Bのグリシジル基が反応すれば特に限定されず、オーブン中で加熱する方法の他、高周波加熱法等が例示できるが、基材保護の観点から、前記基材の融点よりも低い温度で加熱処理するのが好ましい。当該第2工程で機能性高分子Aと機能性高分子Bを硬化させ、基材上に導電性パターンを形成することによって電子回路基板を製造することができる。
<評価方法>
〔機能性高分子の重量平均分子量〕
機能性高分子の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定し、予め作成した検量線に基き算出した。検量線の作成には下記の標準試料を用いた。なお、定量は視差屈折率を利用して行い、溶離液はテトラヒドロフラン(THF)を用いた。
・測定装置名;島津高速液体クロマトグラフ(島津製作所社製)
・カラム;Shodex GPC KF−803L
・カラム温度;40℃
・検出器;示差屈折率検出器:RID−20A(島津製作所社製)
・溶離液;THF
・試料濃度;5mg/mL
・試料注入量;50μL
・標準試料;ポリスチレン
〔平均粒子径〕
粒度分布測定装置(ナノトラックUPA−EX150(日機装社製))を用い、動的散乱法によって体積累積50%の平均粒子径を測定し、平均粒子径とした。
〔体積固有抵抗値〕
基材上に形成した導電性パターンを膜厚0.5μmに調整後、四短針法により測定した。ロレスターGP(三菱化学アナリテック社製)を用い、JIS K−7194に準拠して測定した。
〔粘度〕
粘度(20℃、mPa・s)は、TOKI産業社製の粘度計(EHコーン型)を用いて測定した。
〔接着力の測定〕
JIS K−5600−5−6(クロスカット法)に準拠した方法で行い、定性的に評価した。具体的には銀ナノ粒子回線被膜の剥離が生じない場合、即ち、剥離分類が0〜2の範囲の場合「良好」と評価し、それ以外は「不良」と評価した
<機能性高分子Aの製造例>
〔製造例A1〕
撹拌機、温度計、環流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコ内にメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−400)30質量部、ラウロキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PLE−200)10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド20質量部、ビニルピロリドン20質量部、メチルエチルケトン(溶媒)300質量部、アゾイソブチロニトリル(重合開始剤)3質量部を仕込み、窒素ガス環境下でこれらを撹拌しながら80℃まで昇温した。80℃の状態で重合反応が始まって2時間経過後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−400)30質量部、ラウロキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PLE−200)10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド20質量部、ビニルピロリドン20質量部、メチルエチルケトン100質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル1質量部の混合物を滴下ロートから30分かけて滴下した。重合開始から合計で7時間後にメトキノン(重合禁止剤)を添加し、機能性高分子A1を得た。前記方法により測定した機能性高分子A1の重量平均分子量は27,000であった。
〔製造例A2〕
撹拌機、温度計、環流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコ内にメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−1000)30質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、ビニルピリジン25質量部、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート20質量部、メチルイソブチルケトン(溶媒)300質量部、V−30(重合開始剤:和光純薬株式会社製アゾニトリル)3質量部を仕込み、窒素ガス環境下でこれらを撹拌しながら110℃まで昇温した。110℃の状態で重合反応が始まって2時間経過後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−1000)30質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部、ビニルピリジン25質量部、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート20質量部、メチルイソブチルケトン100質量部、及びV−30(和光純薬株式会社製アゾニトリル)1質量部の混合物を滴下ロートから30分かけて滴下した。重合開始から合計で9時間後にハイドロキノン(重合禁止剤)0.3質量部添加し、機能性高分子A2を得た。前記方法により測定した機能性高分子A2の重量平均分子量は27,000であった。
<機能性高分子Bの製造例>
〔製造例B1〕
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコ内にメタクリル酸メチル20質量部、メタクリル酸ブチル20質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−400)10質量部、ビニルピロリドン30質量部、オクチルメルカプタン3質量部、メチルイソブチルケトン(溶媒)300質量部、アゾイソブチロニトリル3質量部を仕込み、窒素ガスを吹き込み攪拌しながら100℃まで昇温、3時間経過後、ハイドロキノン(重合禁止剤)1.5重量部を添加して、同温度で3時間重合を継続した。その後ハイドロキノン(重合禁止剤)0.3重量部を添加して、重合反応を終了してメチルイソブチルケトンに分散した機能性高分子B1を得た。機能性高分子B1の重量平均分子量は15,000であった。
〔製造例B2〕
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコ内にメタクリ酸メチル20質量部、メタクリル酸2―エチルヘキシル10質量部、グリシジルメタクリレート35質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PME−400)15質量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20質量部、メチルイソブチルケトン(溶媒)300質量部、アゾイソブチロニトリル3質量部を仕込み窒素ガスを吹き込みながら、攪拌、100℃まで昇温、3時間経過後、重合開始剤アゾイソブチロニトリル1.5質量部を仕込み、同温度で3時間重合を継続した。その後、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.3質量部を添加し、メチルイソブチルケトンに分散した機能性高分子B2を得た。機能性高分子B2の重量平均分子量は21,000であった。
〔製造例B3〕
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えたセパラブルフラスコ内にメタクリ酸メチル20質量部、メタクリル酸ブチル20質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート20質量部、ラウロキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製:ブレンマー(登録商標)PLE−200)10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド20質量部、アゾイソブチロニトリル3質量部、酢酸ブチル(溶媒)300質量部を仕込み窒素ガスを吹き込みながら、攪拌、100℃まで昇温、3時間経過後、重合開始剤アゾイソブチロニトリル1.5質量部を仕込み、同温度で3時間重合を継続した。その後、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.3質量部を添加し、酢酸ブチルに分散した機能性高分子B3を得た。機能性高分子B3の重量平均分子量は18,000であった。
<銀ナノ粒子の製造例>
〔製造例1〕
グリセリン10g、1,2,6−ヘキサントリオール10g、2−ピロリドン10g、イソブタノール10g、製造例1で調製した機能性高分子A1の添加量20g(固形分6g)、及び硝酸銀20gを精製水20gに溶解させた水溶液を4つ口フラスコに仕込み、イソブタノールの還流温度である80℃まで90分間かけて昇温し、さらに90分間撹拌すると褐色の液体が得られた。さらに、30分間ごとに銀ナノ粒子の平均粒子径を測定し、平均粒子径が一定になった状態で反応の停止とした。得られた褐色の液体を冷却した後、遠心分離にかけ、溶剤で洗浄して、機能性高分子A1を有する銀ナノ粒子1を捕集した。平均粒子径(D50)は18.3nmだった。
〔製造例2〕
機能性高分子A1を機能性高分子A2に変更した以外は実施例1と同様にして機能性高分子A2を有する銀ナノ粒子2を得た。平均粒子径(D50)は7.2nmだった。
<実施例及び比較例>
〔実施例1〕
前記製造例1で製造した銀ナノ粒子をメチルイソブチルケトンに分散させ、粘度10mPa・sの導電性パターン形成用組成物1を調製した。また、製造例B1で製造した機能性高分子B1が分散するメチルイソブチルケトン溶液にさらにメチルイソブチルケトンを添加し、粘度10mPa・sの硬化剤組成物1を調製した。インクジェットプリンタによって前記導電性パターン形成用組成物1をアルミナ製の基材上に吐出し、さらにその上に前記硬化剤組成物1を吐出して所定の形状の導電性パターンを形成した。その後、200℃で20分間焼成し、電子回路基板を製造した。体積固有抵抗値は3.5×10−5Ω・cm、電子回路と基板の接着性は良好であった。
〔実施例2〕
製造例B2で製造した機能性高分子B2が分散するメチルイソブチルケトン溶液にさらにメチルイソブチルケトンを添加し、粘度10mPa・sの硬化剤組成物2を調製した。インクジェットプリンタによって前記導電性パターン形成用組成物1をベークライト製の基材上に吐出し、さらにその上に前記硬化剤組成物2を吐出して所定の形状の導電性パターンを形成した。その後、120℃で20分間焼成し、電子回路基板を製造した。体積固有抵抗値は2.7×10−5Ω・cm、電子回路と基板の接着性は良好であった。
〔実施例3〕
製造例B3で製造した機能性高分子B3が分散する酢酸ブチル溶液にさらに酢酸ブチルを添加し、粘度10mPa・sの硬化剤組成物3を調製した。インクジェットプリンタによって前記導電性パターン形成用組成物1をガラスエポキシ製の基材上に吐出し、さらにその上に前記硬化剤組成物2を吐出して所定の形状の導電性パターンを形成した。その後、150℃で20分間焼成し、電子回路基板を製造した。体積固有抵抗値は5.6×10−5Ω・cm、電子回路と基板の接着性は良好であった。
〔実施例4〕
前記製造例2で製造した銀ナノ粒子をメチルイソブチルケトンに分散させ、粘度10mPa・sの導電性パターン組成物2を調製した。インクジェットプリンタによって前記導電性パターン形成用組成物2をポリエチレンテレフタレート製の基材上に吐出し、さらにその上に前記硬化剤組成物2を吐出して所定の形状の導電性パターンを形成した。その後、120℃で20分間焼成し、電子回路基板を製造した。体積固有抵抗値は3.2×10−4Ω・cm、電子回路と基板の接着性は良好であった。

Claims (3)

  1. 基材に導電性パターンを形成するための導電性パターン形成用キットであって、
    前記導電性パターン形成用キットは、導電性パターン形成用組成物と硬化剤組成物とを有し、
    前記導電性パターン形成用組成物は、銀ナノ粒子、並びに含窒素系モノマー単位、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Aを含有し、
    前記硬化剤組成物は、含窒素系モノマー単位、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートモノマー単位、及びグリシジル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する機能性高分子Bを含有する、導電性パターン形成用キット。
  2. 前記銀ナノ粒子は前記機能性高分子Aを表面に有する請求項1に記載の導電性パターン形成用キット。
  3. 請求項1又は2に記載の導電性パターン形成用キットを用いた電子回路基板の製造方法であって、前記導電性パターン形成用組成物と前記硬化剤組成物の混合物を基材上に設ける第1工程、及び前記基材上に配置された前記導電性パターン組成物を加熱処理する第2工程を有する。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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