JP2019029360A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期ハイレート特性測定時の充電容量特性に優れる非水電解液二次電池の提供。【解決手段】単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300〜900J/mol/μmである非水電解液二次電池用セパレータと、測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下である正極板と、前記静電容量が、4nF以上、8500nF以下である負極板と、を備える非水電解液二次電池。【選択図】なし
Description
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
非水電解液二次電池、特にリチウム二次電池は、エネルギー密度が高いのでパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用され、また最近では車載用の電池として開発が進められている。
リチウム二次電池に代表される非水電解液二次電池においては、安全性を確保する手段として、発熱時に溶融する材質からなるセパレータにより、異常発熱時に、正−負極間のイオンの通過を遮断して、さらなる発熱を防止するシャットダウン機能を非水電解液二次電池に付与する方法が一般的である。
このようなシャットダウン機能を有する非水電解液二次電池としては例えば、多孔質基材上に無機微粒子とバインダー高分子との混合物からなる活性層(コーティング層)が形成されてなるセパレータを含む非水電解液二次電池が提案されている(特許文献1〜3)。また、電極上にセパレータとして機能し得る、無機微粒子および結着剤(樹脂)からなる多孔膜を形成されてなるリチウム二次電池用電極を含む非水電解液二次電池も提案されている(特許文献4)。
しかしながら、上述の従来の非水電解液二次電池は、初期ハイレート特性測定時の充電容量の観点からは改善の余地があるものであった。すなわち、前記非水電解液二次電池に対しては、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させることが求められていた。
本発明は、以下に示す非水電解液二次電池を含む。
[1]単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下である非水電解液二次電池用セパレータと、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下である正極板と、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下である負極板と、を備える、非水電解液二次電池。
[2]前記正極板が、遷移金属酸化物を含む、[1]に記載の非水電解液二次電池。
[3]前記負極板が、黒鉛を含む、[1]または[2]に記載の非水電解液二次電池。
[1]単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下である非水電解液二次電池用セパレータと、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下である正極板と、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下である負極板と、を備える、非水電解液二次電池。
[2]前記正極板が、遷移金属酸化物を含む、[1]に記載の非水電解液二次電池。
[3]前記負極板が、黒鉛を含む、[1]または[2]に記載の非水電解液二次電池。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性に優れるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
[実施形態1:非水電解液二次電池]
本発明の実施形態1に係る非水電解液二次電池は、後述する非水電解液二次電池用セパレータ、後述する正極板および後述する負極板を備える。本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を構成する部材について以下に詳述する。
本発明の実施形態1に係る非水電解液二次電池は、後述する非水電解液二次電池用セパレータ、後述する正極板および後述する負極板を備える。本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を構成する部材について以下に詳述する。
[非水電解液二次電池用セパレータ]
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータは、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体や液体を通過させることが可能となっている。前記非水電解液二次電池用セパレータは、通常、ポリオレフィン多孔質フィルムを含む。ここで、「ポリオレフィン多孔質フィルム」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、多孔質フィルムに占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、多孔質フィルムを構成する材料全体の50体積%以上、好ましくは90体積%以上であり、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータは、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体や液体を通過させることが可能となっている。前記非水電解液二次電池用セパレータは、通常、ポリオレフィン多孔質フィルムを含む。ここで、「ポリオレフィン多孔質フィルム」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムである。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、多孔質フィルムに占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、多孔質フィルムを構成する材料全体の50体積%以上、好ましくは90体積%以上であり、より好ましくは95体積%以上であることを意味する。
また、本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータは、前記ポリオレフィン多孔質フィルムのみからなるセパレータであってもよいし、前記ポリオレフィン多孔質フィルムに加えて、さらに絶縁性多孔質層を備える積層セパレータであってもよい。すなわち、前記ポリオレフィン多孔質フィルムは、単独で非水電解液二次電池用セパレータとなり得、また、非水電解液二次電池用セパレータである積層セパレータの基材となり得る。
前記ポリオレフィン系樹脂には、重量平均分子量が3×105〜15×106の高分子量成分が含まれていることがより好ましい。特に、ポリオレフィン系樹脂に重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、前記ポリオレフィン多孔質フィルムを含む非水電解液二次電池用セパレータの強度が向上するのでより好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの主成分であるポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂である、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単量体が重合されてなる単独重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン)または共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体)が挙げられる。
ポリオレフィン多孔質フィルムは、これらのポリオレフィン系樹脂を単独にて含む層、又は、これらのポリオレフィン系樹脂の2種以上を含む層であり得る。このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止(シャットダウン)することができるため、ポリエチレンを含むことが好ましく、特に、エチレンを主体とする高分子量のポリエチレンを含むことが好ましい。なお、ポリオレフィン多孔質フィルムは、当該フィルムの機能を損なわない範囲で、ポリオレフィン以外の成分を含むことを妨げない。
前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン等が挙げられ、このうち、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンがさらに好ましく、重量平均分子量が5×105〜15×106の高分子量成分が含まれていることがさらに好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚は、特に限定されないが、4〜40μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。前記ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚が4μm以上であれば、電池の内部短絡を十分に防止することができるという観点から好ましい。一方、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの膜厚が40μm以下であれば、非水電解液二次電池の大型化を防ぐことができるという観点から好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの単位面積当たりの重量目付は、電池の、重量エネルギー密度や体積エネルギー密度を高くすることができるように、通常、4〜20g/m2であることが好ましく、5〜12g/m2であることがより好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの透気度は、十分なイオン透過性を示すという観点から、ガーレ値で30〜500sec/100mLであることが好ましく、50〜300sec/100mLであることがより好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより確実に阻止(シャットダウン)する機能を得ることができるように、20体積%〜80体積%であることが好ましく、30〜75体積%であることがより好ましい。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムが有する細孔の孔径は、十分なイオン透過性、および、電極を構成する粒子の入り込みを防止するという観点から、0.3μm以下であることが好ましく、0.14μm以下であることがより好ましい。
[絶縁性多孔質層]
前記絶縁性多孔質層は、通常、樹脂を含んでなる樹脂層であり、好ましくは、耐熱層または接着層である。絶縁性多孔質層(以下、単に、「多孔質層」とも称する)を構成する樹脂は、電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層は、通常、樹脂を含んでなる樹脂層であり、好ましくは、耐熱層または接着層である。絶縁性多孔質層(以下、単に、「多孔質層」とも称する)を構成する樹脂は、電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。
多孔質層は、必要に応じて、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層され、積層セパレータを構成する。前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面のみに多孔質層が積層される場合には、当該多孔質層は、好ましくは、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池において、前記ポリオレフィン多孔質フィルムにおける正極と対向する面に積層され、より好ましくは、正極と接する面に積層される。
多孔質層を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン;(メタ)アクリレート系樹脂;含フッ素樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ゴム類;融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;水溶性ポリマー等が挙げられる。
上述の樹脂のうち、ポリオレフィン、ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂および水溶性ポリマーが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、ポリアリレートおよび液晶ポリエステルが好ましい。
多孔質層は、微粒子を含んでもよい。本明細書における微粒子とは、一般にフィラーと称される有機微粒子または無機微粒子のことである。従って、多孔質層が微粒子を含む場合、多孔質層に含まれる上述の樹脂は、微粒子同士、並びに微粒子と多孔質フィルムとを結着させるバインダー樹脂としての機能を有することとなる。また、前記微粒子は、絶縁性微粒子が好ましい。
多孔質層に含まれる有機微粒子としては、樹脂からなる微粒子が挙げられる。
多孔質層に含まれる無機微粒子としては、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化チタン、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、マイカ、ゼオライトおよびガラス等の無機物からなるフィラーが挙げられる。これらの無機微粒子は、絶縁性微粒子である。前記微粒子は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記微粒子のうち、無機物からなる微粒子が好適であり、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、水酸化アルミニウム、またはベーマイト等の無機酸化物からなる微粒子がより好ましく、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、ベーマイトおよびアルミナからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子がさらに好ましく、アルミナが特に好ましい。
多孔質層における微粒子の含有量は、多孔質層の1〜99体積%であることが好ましく、5〜95体積%であることがより好ましい。微粒子の含有量を前記範囲とすることにより、微粒子同士の接触によって形成される空隙が、樹脂等によって閉塞されることが少なくなる。よって、十分なイオン透過性を得ることができると共に、単位面積当たりの目付を適切な値にすることができる。
微粒子は、粒子または比表面積が互いに異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔質層の厚さは、積層セパレータの片面あたり、0.5〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
多孔質層の厚さが0.5μm未満であると、電池の破損等による内部短絡を十分に防止することができない場合がある。また、多孔質層における電解液の保持量が低下する場合がある。一方、多孔質層の厚さが15μmを超えると、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性等の電池特性が低下する場合がある。
多孔質層の単位面積当たりの重量目付(片面当たり)は、1〜20g/m2であることが好ましく、4〜10g/m2であることがより好ましい。
また、多孔質層の1平方メートル当たりに含まれる多孔質層構成成分の体積(片面当たり)は、0.5〜20cm3であることが好ましく、1〜10cm3であることがより好ましく、2〜7cm3であることがさらに好ましい。
多孔質層の空隙率は、十分なイオン透過性を得ることができるように、20〜90体積%であることが好ましく、30〜80体積%であることがより好ましい。また、多孔質層が有する細孔の孔径は、電極を構成する粒子の細孔への入り込みを防止するという観点から、3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
[積層セパレータ]
本発明の一実施形態における積層セパレータ(以下、「積層体」とも称する)は、前記ポリオレフィン多孔質フィルムおよび絶縁性多孔質層を備え、好ましくは、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に上述の絶縁性多孔質層が積層された構成を備える。
本発明の一実施形態における積層セパレータ(以下、「積層体」とも称する)は、前記ポリオレフィン多孔質フィルムおよび絶縁性多孔質層を備え、好ましくは、前記ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に上述の絶縁性多孔質層が積層された構成を備える。
本発明の一実施形態における積層体の膜厚は、5.5μm〜45μmであることが好ましく、6μm〜25μmであることがより好ましい。
本発明の一実施形態における積層体の透気度は、ガーレ値で30〜1000sec/100mLであることが好ましく、50〜800sec/100mLであることがより好ましい。
尚、本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータは、前記ポリオレフィン多孔質フィルムおよび絶縁性多孔質層の他に、必要に応じて、さらに耐熱層や接着層、保護層等の公知の層(多孔質層など)を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。
[ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法]
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂と、石油樹脂と、可塑剤とを混練した後に押し出すことで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作成し、当該ポリオレフィン樹脂組成物を延伸した後、適当な溶媒にて可塑剤の一部または全てを除去し、乾燥・熱固定する方法が挙げられる。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂と、石油樹脂と、可塑剤とを混練した後に押し出すことで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作成し、当該ポリオレフィン樹脂組成物を延伸した後、適当な溶媒にて可塑剤の一部または全てを除去し、乾燥・熱固定する方法が挙げられる。
具体的には、以下に示す方法を挙げることができる。
(A)ポリオレフィン系樹脂と、石油樹脂とを混練機に加えて溶融混練し、溶融混合物を得る工程、
(B)得られた溶融混合物に、さらに可塑剤を加えて混練し、ポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(C)得られたポリオレフィン樹脂組成物を押し出し機のTダイより押し出し、冷却しながらシート状に成形し、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(D)得られたシート状のポリオレフィン樹脂組成物を、延伸する工程、
(E)延伸されたポリオレフィン樹脂組成物を、洗浄液を用いて洗浄する工程、
(F)洗浄されたポリオレフィン樹脂組成物を、乾燥・熱固定することにより、ポリオレフィン多孔質フィルムを得る工程。
(A)ポリオレフィン系樹脂と、石油樹脂とを混練機に加えて溶融混練し、溶融混合物を得る工程、
(B)得られた溶融混合物に、さらに可塑剤を加えて混練し、ポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(C)得られたポリオレフィン樹脂組成物を押し出し機のTダイより押し出し、冷却しながらシート状に成形し、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(D)得られたシート状のポリオレフィン樹脂組成物を、延伸する工程、
(E)延伸されたポリオレフィン樹脂組成物を、洗浄液を用いて洗浄する工程、
(F)洗浄されたポリオレフィン樹脂組成物を、乾燥・熱固定することにより、ポリオレフィン多孔質フィルムを得る工程。
工程(A)において、ポリオレフィン系樹脂の使用量は、得られるポリオレフィン樹脂組成物の重量を100重量%とした場合、6重量%〜45重量%であることが好ましく、9重量%〜36重量%であることがより好ましい。
石油樹脂としては、イソプレン、ペンテン、およびペンタジエンなどのC5石油留分を主原料に重合された脂肪族炭化水素樹脂;インデン、ビニルトルエン、およびメチルスチレンなどのC9石油留分を主原料に重合された芳香族炭化水素樹脂;それらの共重合樹脂;前記樹脂を水素化した脂環族飽和炭化水素樹脂;並びにそれらの混合物が挙げられる。石油樹脂は、好ましくは脂環族飽和炭化水素樹脂である。前記石油樹脂は、ラジカルを生成しやすい不飽和結合や第三級炭素を構造中に多数有するため、酸化され易いという特徴を有する。
石油樹脂をポリオレフィン樹脂組成物に混合することによって、得られるポリオレフィン多孔質フィルム内部の樹脂壁と、電荷担体との相互作用を調整することができる。すなわち、ポリオレフィン多孔質フィルムのイオン透過障壁エネルギーを好適に調節することができる。
ポリオレフィン系樹脂よりも酸化され易い成分である石油樹脂を混合することによって、得られるポリオレフィン系多孔質フィルム内部の樹脂壁を適度に酸化することができる。つまり、石油樹脂を加えない場合に比較して、石油樹脂を加えた場合には、得られるポリオレフィン多孔質フィルムのイオン透過障壁エネルギーは大きくなる。
前記石油樹脂は、軟化点が90℃〜125℃のものを使用することが好ましい。前記石油樹脂の使用量は、得られるポリオレフィン樹脂組成物の重量を100重量%とした場合、0.5重量%〜40重量%であることが好ましく、1重量%〜30重量%であることがより好ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、オレイルアルコール等の不飽和高級アルコール、パラフィンワックスやステアリルアルコール等の飽和高級アルコール、並びに、流動パラフィン等が挙げられる。
工程(B)において、可塑剤を混練機に加える際の混練機内部の温度は、好ましくは135℃以上、200℃以下、より好ましくは140℃以上、170℃以下である。
混練機内部の温度を上述の範囲に制御することによって、ポリオレフィン系樹脂と石油樹脂とが好適に混合された状態で可塑剤を加えることができる。その結果、ポリオレフィン系樹脂と石油樹脂とを混合する効果をより好適に得ることができる。
例えば、可塑剤を加える際の混練機内部の温度が低すぎると、ポリオレフィン系樹脂と石油樹脂との均一な混合ができず、ポリオレフィン系多孔質フィルム内部の樹脂壁を適度に酸化することができない場合がある。一方、前記温度が高すぎる場合(例えば200℃以上)には、樹脂の熱劣化が起こる場合がある。
工程(D)において、延伸は、MD方向のみに行ってもよいし、TD方向のみに行ってもよいし、MD方向とTD方向の両方の方向に行ってもよい。MD方向とTD方向の両方の方向に延伸する方法としては、MD方向に延伸した後、続いてTD方向に延伸する逐次二軸延伸、およびMD方向とTD方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸が挙げられる。
延伸には、チャックでシートの端を掴んで引き伸ばす方法を用いてもよいし、シートを搬送するロールの回転速度を変えることで引き伸ばす方法を用いてもよいし、一対のロールを用いてシートを圧延する方法を用いてもよい。
工程(D)において、前記シート状のポリオレフィン樹脂組成物をMD方向に延伸する際の延伸倍率は、好ましくは、3.0倍以上、7.0倍以下であり、より好ましくは4.5倍以上、6.5倍以下である。MD方向に延伸されたポリオレフィン樹脂組成物をさらにTD方向に延伸する際の延伸倍率は、好ましくは、3.0倍以上、7.0倍以下であり、より好ましくは4.5倍以上、6.5倍以下である。
延伸温度は、130℃以下が好ましく、110℃〜120℃が好ましい。
工程(E)において、洗浄液は、可塑剤等を除去できる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
工程(F)において、洗浄したポリオレフィン樹脂組成物を特定の温度にて熱処理することによって、乾燥・熱固定を行う。乾燥・熱固定は、通常、大気下で、通風乾燥機又は加熱ロール等を用いて行われる。
前記乾燥・熱固定は、ポリオレフィン多孔質フィルム内部の樹脂壁の酸化度合をさらに微調整し、ポリオレフィン多孔質フィルム内部の樹脂壁と電荷担体との相互作用を好適に制御する観点から、好ましくは100℃以上、150℃以下、より好ましくは110℃以上、140℃以下、さらに好ましくは120℃以上135℃以下の温度にて実施される。また、前記乾燥・熱固定は、好ましくは1分以上、60分以下、より好ましくは1分以上、30分以下の時間をかけて行われる。
[多孔質層、積層体の製造方法]
本発明の一実施形態における多孔質層および積層体の製造方法としては、例えば、後述する塗工液を前記ポリオレフィン多孔質フィルムの表面に塗布し、乾燥させることによって多孔質層を析出させる方法が挙げられる。
本発明の一実施形態における多孔質層および積層体の製造方法としては、例えば、後述する塗工液を前記ポリオレフィン多孔質フィルムの表面に塗布し、乾燥させることによって多孔質層を析出させる方法が挙げられる。
なお、前記塗工液を前記ポリオレフィン多孔質フィルムの表面に塗布する前に、当該ポリオレフィン多孔質フィルムの塗工液を塗布する表面に対して、必要に応じて親水化処理を行うことができる。
本発明の一実施形態における多孔質層の製造方法および積層体の製造方法に使用される塗工液は、通常、上述の多孔質層に含まれ得る樹脂を溶媒に溶解させると共に、上述の多孔質層に含まれ得る微粒子を分散させることにより調製され得る。ここで、樹脂を溶解させる溶媒は、微粒子を分散させる分散媒を兼ねている。ここで、樹脂は溶媒に溶解せずエマルションとして含まれていてもよい。
前記溶媒(分散媒)は、ポリオレフィン多孔質フィルムに悪影響を及ぼさず、前記樹脂を均一かつ安定に溶解し、前記微粒子を均一かつ安定に分散させることができればよく、特に限定されるものではない。前記溶媒(分散媒)としては、具体的には、例えば、水および有機溶媒が挙げられる。前記溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工液は、所望の多孔質層を得るのに必要な樹脂固形分(樹脂濃度)や微粒子量等の条件を満足することができれば、どのような方法で形成されてもよい。塗工液の形成方法としては、具体的には、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法等が挙げられる。また、前記塗工液は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記樹脂および微粒子以外の成分として、分散剤や可塑剤、界面活性剤、pH調整剤等の添加剤を含んでいてもよい。尚、添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲であればよい。
塗工液のポリオレフィン多孔質フィルムへの塗布方法、つまり、ポリオレフィン多孔質フィルムの表面への多孔質層の形成方法は、特に制限されるものではない。多孔質層の形成方法としては、例えば、塗工液をポリオレフィン多孔質フィルムの表面に直接塗布した後、溶媒(分散媒)を除去する方法;塗工液を適当な支持体に塗布し、溶媒(分散媒)を除去して多孔質層を形成した後、この多孔質層とポリオレフィン多孔質フィルムとを圧着させ、次いで支持体を剥がす方法;塗工液を適当な支持体に塗布した後、塗布面にポリオレフィン多孔質フィルムを圧着させ、次いで支持体を剥がした後に溶媒(分散媒)を除去する方法等が挙げられる。
塗工液の塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、例えば、グラビアコーター法、ディップコーター法、バーコーター法、およびダイコーター法等が挙げられる。
溶媒(分散媒)の除去方法は、乾燥による方法が一般的である。また、塗工液に含まれる溶媒(分散媒)を他の溶媒に置換してから乾燥を行ってもよい。
(単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギー)
本発明において、非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、非水電解液二次電池の作動時に、前記非水電解液二次電池用セパレータを電荷担体であるイオン(例えば、Li+)が通過する際の活性化エネルギー(障壁エネルギー)を当該非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除した値である。前記単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、前記非水電解液二次電池用セパレータにおけるイオンの透過のし易さを示す指標である。
本発明において、非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、非水電解液二次電池の作動時に、前記非水電解液二次電池用セパレータを電荷担体であるイオン(例えば、Li+)が通過する際の活性化エネルギー(障壁エネルギー)を当該非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除した値である。前記単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、前記非水電解液二次電池用セパレータにおけるイオンの透過のし易さを示す指標である。
前記単位膜厚あたりのイオン透過障壁エネルギーが小さい場合は、前記非水電解液二次電池用セパレータ内をイオンが透過し易いといえる。すなわち、非水電解液二次電池用セパレータ内部の樹脂壁とイオンとの相互作用が弱いといえる。一方、前記単位膜厚あたりのイオン透過障壁エネルギーが大きい場合は、前記非水電解液二次電池用セパレータ内をイオンが透過し難いといえる。すなわち、非水電解液二次電池用セパレータ内部の樹脂壁と陽イオンとの相互作用が強いといえる。
前記単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが過剰に低い場合、通常使用される膜厚を備える非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過障壁エネルギーが過剰に小さくなる。
従って、イオンが非水電解液二次電池用セパレータを透過する速度が過剰に速くなり、電極からセパレータに電解液が過剰に流れ、電極においてイオンが枯渇することに起因して、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性が低下すると考えられる。
ここで、「初期ハイレート特性測定時の充電容量特性」とは、初期充放電を行った非水電解液二次電池に対して、充電電流値1CのCC−CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2C、1C、5C、10Cの順により、温度:55℃、電圧範囲:2.7V〜4.2Vの条件下にて、各レートにつき充放電を3サイクル繰り返すCC放電を実施した際の、10C放電レート特性測定時の3サイクル目の1C充電のときの充電容量である。
また、前記単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが過剰に低い場合に、非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過障壁エネルギーを特定の範囲にするためには、膜厚を過剰に大きくする必要がある。その場合、イオンの移動距離が大きくなり、非水電解液二次電池内部におけるイオンの移動が阻害されるため、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性が低下すると考えられる。
従って、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の低下を防ぐ観点から、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは300J/mol/μm以上であり、好ましくは320J/mol/μm以上、より好ましくは、350J/mol/μm以上である。
一方、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが過剰に高い場合、通常使用される膜厚を備える非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過障壁エネルギーが過剰に高くなる。
従って、非水電解液二次電池用セパレータにおけるイオンの透過性が過剰に低くなり、非水電解液二次電池内部におけるイオンの移動が阻害されるため、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性が低下すると考えられる。
また、前記単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが過剰に高い場合に、非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過障壁エネルギーを特定の範囲にするためには、膜厚を過剰に小さくする必要がある。その場合、非水電解液二次電池用セパレータが過剰に薄く、破損し、短絡しやすいため、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性が低下するおそれがあると考えられる。
従って、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の低下を防ぐ観点から、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは900J/mol/μm以下であり、好ましくは800J/mol/μm以下であり、より好ましくは780J/mol/μm以下である。
(単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーの測定方法)
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、以下に示す方法にて算出される。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーは、以下に示す方法にて算出される。
まず、前記非水電解液二次電池用セパレータをφ17mmの円盤状に切断し、厚み0.5mm、φ15.5mmのSUS板2枚で挟み込み電解液を注液してコインセル(CR2032型)を作成する。前記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/5/2(体積比)の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6の濃度が1mol/Lの濃度となるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いる。
次に、作製したコインセルを、所定の温度に設定した恒温槽に設置し、ソーラトロン社製交流インピーダンス装置(FRA 1255B)およびセルテストシステム(1470E)を用い、周波数1MHz〜0.1Hz、振幅10mVでナイキストプロットを算出し、X切片の値から各温度での非水電解液二次電池用セパレータの液抵抗r0を求める。
より具体的には、恒温槽の温度を、50℃、25℃、5℃、および、−10℃に設定し、それぞれの温度における非水電解液二次電池用セパレータの液抵抗r0を測定し、イオン透過障壁エネルギーの算出を行う。
ここで、イオン透過障壁エネルギーは下記式(1)で表される。
k=1/r0=Aexp(−Ea/RT) (1)
Ea:イオン透過障壁エネルギー(J/mol)
k:反応定数
r0:液抵抗(Ω)
A:頻度因子
R:気体定数=8.314J/mol/K
T:恒温槽の温度(K)
式(1)の両辺の自然対数をとると下記式(2)となる。当該式(2)に基づき、温度の逆数(1/T)に対してln(1/r0)をプロットしてその傾きである−Ea/Rを求め、−Ea/Rの値に気体定数Rを乗じてEaを算出する。その後、算出したEaを非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除して、単位膜厚あたりのイオン透過障壁エネルギーを算出する。
Ea:イオン透過障壁エネルギー(J/mol)
k:反応定数
r0:液抵抗(Ω)
A:頻度因子
R:気体定数=8.314J/mol/K
T:恒温槽の温度(K)
式(1)の両辺の自然対数をとると下記式(2)となる。当該式(2)に基づき、温度の逆数(1/T)に対してln(1/r0)をプロットしてその傾きである−Ea/Rを求め、−Ea/Rの値に気体定数Rを乗じてEaを算出する。その後、算出したEaを非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除して、単位膜厚あたりのイオン透過障壁エネルギーを算出する。
ln(k)=ln(1/r0)=lnA−Ea/RT (2)
なお、頻度因子Aは、前記非水電解液二次電池用セパレータ内部を通過するイオンの態様、電荷量、大きさ、等によって決定される、温度変化によって変動しない固有の値である。頻度因子Aは、(1/T)=0の場合のln(1/r0)の値であり、前記プロットから実験的に算出される。
なお、頻度因子Aは、前記非水電解液二次電池用セパレータ内部を通過するイオンの態様、電荷量、大きさ、等によって決定される、温度変化によって変動しない固有の値である。頻度因子Aは、(1/T)=0の場合のln(1/r0)の値であり、前記プロットから実験的に算出される。
[正極板、負極板]
(静電容量)
本発明において、正極板の静電容量は、後述する電極板の静電容量の測定方法において、正極板の正極合剤層側の面に測定用電極(プローブ電極)を接触させて測定する値であり、主に正極板の正極合剤層の分極状態を表す。
(静電容量)
本発明において、正極板の静電容量は、後述する電極板の静電容量の測定方法において、正極板の正極合剤層側の面に測定用電極(プローブ電極)を接触させて測定する値であり、主に正極板の正極合剤層の分極状態を表す。
また、本発明において、負極板の静電容量は、後述する電極板の静電容量の測定方法において、負極板の負極合剤層側の面に測定用電極を接触させて測定する値であり、主に負極板の負極合剤層の分極状態を表す。
非水電解液二次電池においては、充電時、正極板から電荷担体としてのカチオン(例えば、リチウムイオン二次電池の場合、Li+)が、放出され、当該カチオンは、非水電解液二次電池用セパレータを通過し、その後、負極板に取り込まれる。
前記カチオンは、正極板から放出される場合において、正極板中および正極板と非水電解液二次電池用セパレータとが接触する場所にて電解液溶媒によって溶媒和される。また、前記カチオンは、負極板に取り込まれる場合において、負極板中および負極板と非水電解液二次電池用セパレータとが接触する場所にて、脱溶媒和される。
上述のカチオンの溶媒和の程度は、正極板の正極合剤層の分極状態に影響され、また、上述のカチオンの脱溶媒和の程度は、負極板の負極合剤層の分極状態に影響される。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における電極板(正極板・負極板)の静電容量を特定の範囲に制御することにより、正極板中および正極板と非水電解液二次電池用セパレータとが接触する場所における、電荷担体の溶媒和を促進させることができる。また、前記静電容量を特定の範囲に制御することにより、負極板中および負極板と非水電解液二次電池用セパレータとが接触する場所における、電荷担体の脱溶媒和を促進させることができる。その結果、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させることができる。
初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させる観点から、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量は1nF以上であり、2nF以上であることが好ましい。また、前記静電容量は3nF以上でもよい。また、同様の観点から、前記静電容量は、1000nF以下であり、600nF以下であることが好ましく、400nF以下であることがより好ましい。
前記正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が1nF未満である場合、当該正極板の分極能が低いため、前記静電容量は、前記溶媒和にほとんど寄与しない。それゆえに、当該正極板を組み込んだ非水電解液二次電池において、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の十分な向上は起こらないと考えられる。
一方、前記正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が1000nFより大きい場合、当該正極板の分極能が高くなり過ぎるため、当該正極板の空隙の内壁とカチオン(例えば、Li+)との親和性が高くなり過ぎる。そのため、当該正極板における正極合剤層中のカチオン(例えば、Li+)の移動(放出)が阻害される。それゆえに、当該正極板を組み込んだ非水電解液二次電池において、その初期ハイレート特性測定時の充電容量特性はかえって低下すると考えられる。
初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させる観点から、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量は4nF以上である。前記静電容量は、100nF以上でもよく、200nF以上でもよく、1000nF以上でもよい。また、同様の観点から、前記静電容量は、8500nF以下であり、3000nF以下であることが好ましく、2600nF以下であることがより好ましい。
前記負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が4nF未満の場合、当該負極板の分極能が低いため、前記静電容量は、前記脱溶媒和の促進にほとんど寄与しない。それゆえに、当該負極板を組み込んだ非水電解液二次電池において、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の十分な向上は起こらないと考えられる。
一方、前記負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が8500nFより大きい場合、当該負極板の分極能が高くなり過ぎるため、前記脱溶媒和が過剰に進行する。このとき、負極板内部を移動するための溶媒が脱溶媒和されると共に、負極板内部の空隙内壁と、脱溶媒和したカチオン(例えば、Li+)との親和性が高くなり過ぎるため、負極板内部におけるカチオン(例えば、Li+)の移動が阻害される。それゆえに、当該負極板を組み込んだ非水電解液二次電池において、その初期ハイレート特性測定時の充電容量特性はかえって低下すると考えられる。
すなわち、前記のとおり非水電解液二次電池用セパレータのイオン透過障壁エネルギーを適切な範囲に調整すると共に、正極板および負極板の静電容量を適切な範囲に調整することによって、これらの部材を備える非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性は十分に優れたものになると考えられる。
なお、本明細書において「測定面積」とは、後述する静電容量の測定方法において、LCRメーターの測定用電極(上部(主)電極、プローブ電極)における、測定対象(多孔質フィルム、正極板または負極板)と接している箇所の面積を意味する。従って、測定面積Xmm2当たりの静電容量の値とは、LCRメーターにおいて、測定対象と測定用電極とを、両者が重なっている箇所の当該測定用電極の面積がXmm2となるように、接触させて静電容量を測定した場合の測定値を意味する。
<静電容量の調整方法>
上述した、正極板および負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量は、それぞれ、正極合剤層および負極合剤層の表面積を調整することによって制御することができる。具体的には、例えば、正極合剤層および負極合剤層の表面を紙やすり等にて研磨することによって、前記表面積を増大させ、静電容量を増大させることができる。
上述した、正極板および負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量は、それぞれ、正極合剤層および負極合剤層の表面積を調整することによって制御することができる。具体的には、例えば、正極合剤層および負極合剤層の表面を紙やすり等にて研磨することによって、前記表面積を増大させ、静電容量を増大させることができる。
あるいは、正極板および負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量は、正極板および負極板の各々を構成する材料の比誘電率を調整することによって調整することもできる。前記比誘電率は、正極板および負極板の各々において、空隙の形状、空隙率、および空隙の分布を変えることにより、調整することができる。また、比誘電率は、正極板および負極板の各々を構成する材料を調整することによっても制御し得る。
<静電容量の測定方法>
(電極板の静電容量の測定方法)
本発明の一実施形態における、測定面積900mm2当たりの電極板(正極または負極)の静電容量は、LCRメーターを用いて、CV:0.010V、SPEED:SLOW2、AVG:8、CABLE:1m、OPEN:All,SHORT:All DCBIAS 0.00Vに設定し、周波数:300KHzの条件下で測定される。
(電極板の静電容量の測定方法)
本発明の一実施形態における、測定面積900mm2当たりの電極板(正極または負極)の静電容量は、LCRメーターを用いて、CV:0.010V、SPEED:SLOW2、AVG:8、CABLE:1m、OPEN:All,SHORT:All DCBIAS 0.00Vに設定し、周波数:300KHzの条件下で測定される。
なお、前記条件下においては、非水電解液二次電池に組み込む前の非水電解液二次電池用の電極板の静電容量を測定している。一方、静電容量は、固体絶縁材料(非水電解液二次電池用電極板)の形状(表面積)、構成材量、空隙の形状、空隙率、および空隙の分布等によって決定される固有の値である。そのため、非水電解液二次電池に組み込んだ後の非水電解液二次電池用の電極板の静電容量もまた、非水電解液二次電池に組み込む前に測定した静電容量の値と同等の値となる。
また、非水電解液二次電池に組み込んだ後に、充放電の履歴を経た電池から正極板および負極板を取り出し、当該正極板および当該負極板の静電容量を測定することもできる。
具体的には、例えば、以下の方法を挙げることができる。すなわち、非水電解液二次電池の外装部材から電極積層体(非水電解液二次電池用部材)を取り出して展開し、1枚の電極板(正極板または負極板)を取り出し、前述の電極板の静電容量の測定方法において測定対象とする電極板と同様のサイズに切り出して試験片を得る。その後、当該試験片をジエチルカーボネート(DEC)中にて数回(例えば、3回)洗浄する。当該洗浄は、DEC中に試験片を加えて洗浄した後、DECを新たなDECに入れ替えて試験片を洗浄する工程を数回(例えば、3回)繰り返すことにより、電極板の表面に付着した電解液、電解液分解生成物、およびリチウム塩などを除去する工程である。得られた洗浄済の電極板を十分乾燥させた後に、測定対象電極として用いる。正極板および負極板を取り出す対象とする電池の外装部材、積層構造の種類は、特に限定されない。
(正極板)
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における正極板は、測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下であれば特に限定されないが、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極合剤を正極集電体上に担持したシート状の正極板が用いられる。なお、正極板は、正極集電体の両面上に正極合剤を担持してもよく、正極集電体の片面上に正極合剤を担持してもよい。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における正極板は、測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下であれば特に限定されないが、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極合剤を正極集電体上に担持したシート状の正極板が用いられる。なお、正極板は、正極集電体の両面上に正極合剤を担持してもよく、正極集電体の片面上に正極合剤を担持してもよい。
前記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンまたはナトリウムイオン等の金属イオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、遷移金属酸化物が好ましく、当該遷移金属酸化物として、例えば、V、Mn、Fe、Co、Ni等の遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
前記リチウム複合酸化物のうち、平均放電電位が高いことから、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等のα−NaFeO2型構造を有するリチウム複合酸化物、リチウムマンガンスピネル等のスピネル型構造を有するリチウム複合酸化物がより好ましい。当該リチウム複合酸化物は、種々の金属元素を含んでいてもよく、複合ニッケル酸リチウムがさらに好ましい。
さらに、Ti、Zr、Ce、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、InおよびSnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素のモル数と、ニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、前記少なくとも1種の金属元素の割合が0.1〜20モル%となるように、当該金属元素を含む複合ニッケル酸リチウムを用いることが、非水電解液二次電池を高容量で使用する場合、当該非水電解液二次電池のサイクル特性が優れるとの理由から、特に好ましい。
前記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料等が挙げられる。前記導電剤は、1種類のみを用いてもよく、例えば人造黒鉛とカーボンブラックとを混合して用いる等、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、およびポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、並びに、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。尚、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。結着剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤を得る方法としては、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧して正極合剤を得る方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にして正極合剤を得る方法;等が挙げられる。
前記正極集電体としては、例えば、Al、Ni、ステンレス等の導電体が挙げられ、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
シート状の正極板の製造方法、即ち、正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、例えば、正極合剤となる正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にして正極合剤を得た後、当該正極合剤を正極集電体に塗工し、乾燥して得られたシート状の正極合剤を加圧して正極集電体に固着する方法;等が挙げられる。
(負極板)
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における負極板は、測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下あれば特に限定されないが、例えば、負極活物質を含む負極合剤を負極集電体上に担持したシート状の負極板が用いられる。シート状の負極板には、好ましくは前記導電剤、及び、前記結着剤が含まれる。なお、負極板は、負極集電体の両面上に負極合剤を担持してもよく、負極集電体の片面上に負極合剤を担持してもよい。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池における負極板は、測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下あれば特に限定されないが、例えば、負極活物質を含む負極合剤を負極集電体上に担持したシート状の負極板が用いられる。シート状の負極板には、好ましくは前記導電剤、及び、前記結着剤が含まれる。なお、負極板は、負極集電体の両面上に負極合剤を担持してもよく、負極集電体の片面上に負極合剤を担持してもよい。
前記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンまたはナトリウムイオン等の金属イオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料;正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行う酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物;が挙げられる。
前記負極活物質のうち、電位平坦性が高く、また平均放電電位が低いために正極と組み合わせた場合に大きなエネルギー密度が得られることから、黒鉛を含むものが好ましく、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を主成分とする炭素質材料がより好ましい。さらに、前記負極活物質は、黒鉛を主成分とし、加えてシリコンを含むものであってもよい。
負極合剤を得る方法としては、例えば、負極活物質を負極集電体上で加圧して負極合剤を得る方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得る方法;等が挙げられる。
前記負極集電体としては、例えば、Cu、Ni、ステンレス等が挙げられ、特にリチウムイオン二次電池においてはリチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
シート状の負極板の製造方法、即ち、負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、例えば、負極合剤となる負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にして負極合剤を得た後、当該負極合剤を負極集電体に塗工し、乾燥して得られたシート状の負極合剤を加圧して負極集電体に固着する方法;等が挙げられる。前記ペーストには、好ましくは前記導電剤、及び、前記結着剤が含まれる。
(非水電解液)
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池に含まれ得る非水電解液としては、例えばリチウム塩を電解液溶媒である有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、Li2B10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4等が挙げられる。前記リチウム塩は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池に含まれ得る非水電解液としては、例えばリチウム塩を電解液溶媒である有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、Li2B10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4等が挙げられる。前記リチウム塩は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記リチウム塩のうち、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、およびLiC(CF3SO2)3からなる群から選択される少なくとも1種のフッ素含有リチウム塩がより好ましい。
電解液溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン等のカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトン等の含硫黄化合物;並びに、前記有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒;等が挙げられる。前記有機溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記有機溶媒のうち、カーボネート類がより好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒、または、環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、作動温度範囲が広く、かつ、負極活物質として天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合においても難分解性を示すことから、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒がさらに好ましい。
(非水電解液二次電池の製造方法)
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造する方法として、例えば、前記正極、非水電解液二次電池用セパレータ、および負極をこの順で配置して非水電解液二次電池用部材を形成した後、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れ、次いで、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉することにより、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。非水電解液二次電池の形状は、特に限定されるものではなく、薄板(ペーパー)型、円盤型、円筒型、直方体等の角柱型等のどのような形状であってもよい。尚、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の製造方法を採用することができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造する方法として、例えば、前記正極、非水電解液二次電池用セパレータ、および負極をこの順で配置して非水電解液二次電池用部材を形成した後、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れ、次いで、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉することにより、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。非水電解液二次電池の形状は、特に限定されるものではなく、薄板(ペーパー)型、円盤型、円筒型、直方体等の角柱型等のどのような形状であってもよい。尚、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の製造方法を採用することができる。
[非水電解液二次電池用部材]
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用部材は、正極板と、非水電解液二次電池用セパレータと、負極板とがこの順で配置されている非水電解液二次電池用部材であって、前記非水電解液二次電池用セパレータは、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下であり、前記正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下であり、前記負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下という構成である。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用部材は、正極板と、非水電解液二次電池用セパレータと、負極板とがこの順で配置されている非水電解液二次電池用部材であって、前記非水電解液二次電池用セパレータは、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下であり、前記正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下であり、前記負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下という構成である。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用部材は、前記構成を備えることによって、当該非水電解液二次電池用部材を組み込んだ非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させることができる。
前記構成は、本発明の実施形態1に係る非水電解液二次電池の部材である正極板、負極板および非水電解液二次電池用セパレータとして説明したものとそれぞれ同一であるので、ここでは説明を省略する。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
実施例1〜7、比較例1〜3で用いた電極板(正極板または負極板)および非水電解液二次電池用セパレータの物性値、並びに、非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を、以下の方法で測定した。
実施例1〜7、比較例1〜3で用いた電極板(正極板または負極板)および非水電解液二次電池用セパレータの物性値、並びに、非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を、以下の方法で測定した。
(1)膜厚(単位:μm):
非水電解液二次電池用セパレータの膜厚、並びに、正極板および負極板の厚さを、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機(VL−50)を用いて測定した。
非水電解液二次電池用セパレータの膜厚、並びに、正極板および負極板の厚さを、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機(VL−50)を用いて測定した。
(2)非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギー(単位:J/mol/μm)
実施例1〜7、比較例1〜3で用いた非水電解液二次電池用セパレータ(ポリオレフィン多孔質フィルム)をφ17mmの円盤状に切断し、厚み0.5mm、φ15.5mmのSUS板2枚で挟み込み電解液を注液してコインセル(CR2032型)を作成した。ここで電解液としては、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/5/2(体積比)の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6の濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。
実施例1〜7、比較例1〜3で用いた非水電解液二次電池用セパレータ(ポリオレフィン多孔質フィルム)をφ17mmの円盤状に切断し、厚み0.5mm、φ15.5mmのSUS板2枚で挟み込み電解液を注液してコインセル(CR2032型)を作成した。ここで電解液としては、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/5/2(体積比)の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6の濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。
作製したコインセルを、後述する所定の温度に設定した恒温槽に設置した。続いて、ソーラトロン社製交流インピーダンス装置(FRA 1255B)およびセルテストシステム(1470E)を用い、周波数1MHz〜0.1Hz、電圧振幅10mVでナイキストプロットを算出し、X切片の値から各温度での非水電解液二次電池用セパレータの液抵抗r0を求めた。得られた値を用いて、下記の式(1)および(2)からイオン透過障壁エネルギーを算出した。具体的には、恒温槽の温度を、50℃、25℃、5℃、−10℃に設定し、それぞれの温度における非水電解液二次電池用セパレータの液抵抗r0を測定し、イオン透過障壁エネルギーの算出を行った。
ここで、イオン透過障壁エネルギーは下記式(1)で表される。
k=1/r0=Aexp(−Ea/RT) (1)
Ea:イオン透過障壁エネルギー(J/mol)
k:反応定数
r0:液抵抗(Ω)
A:頻度因子
R:気体定数=8.314J/mol/K
T:恒温槽の温度(K)
式(1)の両辺の自然対数をとると下記式(2)となる。当該式(2)に基づき、温度の逆数に対してln(1/r0)をプロットしてその傾きである−Ea/Rを求め、−Ea/Rの値に気体定数Rを乗じてEaを算出した。その後、算出したEaを非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除して、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーを算出した。
Ea:イオン透過障壁エネルギー(J/mol)
k:反応定数
r0:液抵抗(Ω)
A:頻度因子
R:気体定数=8.314J/mol/K
T:恒温槽の温度(K)
式(1)の両辺の自然対数をとると下記式(2)となる。当該式(2)に基づき、温度の逆数に対してln(1/r0)をプロットしてその傾きである−Ea/Rを求め、−Ea/Rの値に気体定数Rを乗じてEaを算出した。その後、算出したEaを非水電解液二次電池用セパレータの膜厚で除して、単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーを算出した。
ln(k)=ln(1/r0)=lnA−Ea/RT (2)
(3)電極板の静電容量の測定
実施例1〜7、比較例1〜3にて得られた正極板および負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量を、日置電機製LCRメーター(型番:IM3536)を用いて測定した。このとき、測定条件は、CV:0.010V、SPEED:SLOW2、AVG:8、CABLE:1m、OPEN:All,SHORT:All DCBIAS 0.00Vに設定し、周波数:300KHzとした。測定した静電容量の絶対値を測定面積900mm2当たりの静電容量とした。
(3)電極板の静電容量の測定
実施例1〜7、比較例1〜3にて得られた正極板および負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量を、日置電機製LCRメーター(型番:IM3536)を用いて測定した。このとき、測定条件は、CV:0.010V、SPEED:SLOW2、AVG:8、CABLE:1m、OPEN:All,SHORT:All DCBIAS 0.00Vに設定し、周波数:300KHzとした。測定した静電容量の絶対値を測定面積900mm2当たりの静電容量とした。
具体的には、測定対象とする、電極板から、3cm×3cmの正方形の電極合剤が積層された部位と、1cm×1cmの正方形の電極合剤が積層されていない部位とを、一体として切り出した。切り出された電極板の、電極合剤が積層されていない部位に、長さ6cm、幅0.5cmのタブリードを超音波溶接して、静電容量の測定用の電極板を得た。図1は、静電容量の測定対象である測定対象電極を示す模式図である。正極板のタブリードには、アルミ製のタブリードを用い、負極板のタブリードにはニッケル製のタブリードを用いた。
また、集電体から、5cm×4cmの長方形と、タブリード溶接用部位としての1cm×1cmの正方形とを、一体として切り出した。切り出された集電体のタブリード溶接用部位に、長さ6cm、幅0.5cmのタブリードを超音波溶接して、プローブ電極(測定用電極)を得た。図2は、静電容量の測定に使用するプローブ電極を示す模式図である。正極板の静電容量の測定用のプローブ電極には、厚さ20μmのアルミ製のプローブ電極を用い、負極板の静電容量の測定用のプローブ電極には厚さ20μmの銅製のプローブ電極を用いた。
その後、前記プローブ電極と、前記測定用の電極板の電極合剤が積層された部位(3cm×3cmの正方形の部分)とを重ね合わせて積層体を作製した。得られた積層体を2枚のシリコンゴムで挟み込み、さらにそれぞれのシリコンゴムの上から2枚のSUS板で0.7MPaの圧力で挟み込んで測定に供する積層体を得た。タブリードは測定に供する積層体から外に出し、当該タブリードの電極板に近い方から、LCRメーターの電圧端子と、電流端子とを接続した。
(4)正極合剤層の空隙率の測定
実施例1で用いた正極板が備える正極合剤層の空隙率を、下記の方法によって測定した。実施例2〜7、比較例1〜3で用いたその他の正極板が備える正極合剤層の空隙率も同様の方法によって測定した。
実施例1で用いた正極板が備える正極合剤層の空隙率を、下記の方法によって測定した。実施例2〜7、比較例1〜3で用いたその他の正極板が備える正極合剤層の空隙率も同様の方法によって測定した。
正極合剤(LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2/導電剤/PVDF(重量比92/5/3))が、正極集電体(アルミニウム箔)の片面に積層された正極板を14.5cm2(4.5cm×3cm+1cm×1cm)の大きさに切り出した。切り出された正極板の質量は0.215g、厚さ58μmであった。前記正極集電体を同サイズに切り出したところ、その質量は0.078g、厚さ20μmであった。
正極合剤層密度ρは、(0.215−0.078)/{(58-20)/10000×14.5}=2.5g/cm3と算出された。
正極合剤を構成する材料の真密度はそれぞれ、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2は4.68g/cm3であり、導電材は1.8g/cm3であり、PVDFは1.8g/cm3であった。
これらの値を用いて下記式に基づいて算出した正極合剤層の空隙率εは、40%であった。
ε=[1−{2.5×(92/100)/4.68+2.5×(5/100)/1.8+2.5×(3/100)/1.8}]*100=40%
(5)負極合剤層の空隙率の測定
実施例1における負極板が備える負極合剤層の空隙率を下記の方法を用いて測定した。実施例2〜7、比較例1〜3におけるその他の負極板が備える負極合剤層の空隙率も同様の方法によって測定した。
ε=[1−{2.5×(92/100)/4.68+2.5×(5/100)/1.8+2.5×(3/100)/1.8}]*100=40%
(5)負極合剤層の空隙率の測定
実施例1における負極板が備える負極合剤層の空隙率を下記の方法を用いて測定した。実施例2〜7、比較例1〜3におけるその他の負極板が備える負極合剤層の空隙率も同様の方法によって測定した。
負極合剤(黒鉛/スチレン−1,3−ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1))が、負極集電体(銅箔)の片面に積層された負極板を18.5cm2(5cm×3.5cm+1cm×1cm)の大きさに切り出した。切り出された負極板の質量は0.266g、厚さ48μmであった。前記負極集電体を同サイズに切り出したところ、その質量は0.162g、厚さ10μmであった。
負極合剤層密度ρは、(0.266−0.162)/{(48-10)/10000×18.5}=1.49g/cm3と算出した。
負極合剤を構成する材料の真密度はそれぞれ、黒鉛は2.2g/cm3であり、スチレン−1,3−ブタジエン共重合体は1g/cm3であり、カルボキシメチルセルロースナトリウムは1.6g/cm3であった。
これらの値を用いて下記式に基づいて算出した負極合剤層空隙率εは、31%であった。
ε=[1−{1.49×(98/100)/2.2+1.49×(1/100)/1+1.49×(1/100)/1.6}]*100=31%
(6)非水電解液二次電池の電池特性
以下の工程(A)〜工程(B)に示す方法によって、実施例、比較例にて製造された非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を測定した。
ε=[1−{1.49×(98/100)/2.2+1.49×(1/100)/1+1.49×(1/100)/1.6}]*100=31%
(6)非水電解液二次電池の電池特性
以下の工程(A)〜工程(B)に示す方法によって、実施例、比較例にて製造された非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を測定した。
(A)初期充放電試験
実施例1〜7、比較例1〜3にて製造された非水電解液二次電池用セパレータを用いた、充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池に対して、電圧範囲;2.7〜4.1V、充電電流値0.2CのCC−CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2CのCC放電(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下も同様)を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を25℃にて実施した。
実施例1〜7、比較例1〜3にて製造された非水電解液二次電池用セパレータを用いた、充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池に対して、電圧範囲;2.7〜4.1V、充電電流値0.2CのCC−CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2CのCC放電(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下も同様)を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を25℃にて実施した。
ここでCC−CV充電とは、設定した一定の電流で充電し、所定の電圧に到達後、電流を絞りながら、その電圧を維持する充電方法である。またCC放電とは、設定した一定の電流で所定の電圧まで放電する方法であり、以下も同様である。
(B)初期ハイレート特性測定時の充電容量特性(単位:mAh)
前記初期充放電を行った非水電解液二次電池に対して、充電電流値1CのCC−CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2C、1C、5C、10Cの順によりCC放電を実施した。各レートにつき充放電を3サイクル、55℃にて実施した。このとき、電圧範囲は2.7V〜4.2Vとした。このとき、10C放電レート特性測定時の3サイクル目の1C充電のときの充電容量を測定し、ハイレート特性測定時の充電容量とした。
前記初期充放電を行った非水電解液二次電池に対して、充電電流値1CのCC−CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2C、1C、5C、10Cの順によりCC放電を実施した。各レートにつき充放電を3サイクル、55℃にて実施した。このとき、電圧範囲は2.7V〜4.2Vとした。このとき、10C放電レート特性測定時の3サイクル目の1C充電のときの充電容量を測定し、ハイレート特性測定時の充電容量とした。
[実施例1]
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
超高分子量ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン145M、三井化学株式会社製)を18重量部、構造中に多数の3級炭素原子を有する石油樹脂(軟化点90℃の脂環族飽和炭化水素樹脂)2重量部を準備した。これらの粉末をブレンダーで、粉末の粒径が同じになるまで破砕混合し、混合物1を得た。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
超高分子量ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン145M、三井化学株式会社製)を18重量部、構造中に多数の3級炭素原子を有する石油樹脂(軟化点90℃の脂環族飽和炭化水素樹脂)2重量部を準備した。これらの粉末をブレンダーで、粉末の粒径が同じになるまで破砕混合し、混合物1を得た。
次に、混合物1を定量フィーダーより二軸混練機に加えて溶融混練した。この時、流動パラフィンを投入する直前の二軸混練機内部の温度を144℃に設定し、流動パラフィン80重量部をポンプで二軸混練機にサイドフィードした。なお、「二軸混練機内部の温度」とは、二軸混練機におけるセグメントタイプのバレル内部の部分の温度をいう。セグメントタイプのバレルは、任意の長さに連結可能なブロック型のバレルを指す。
その後、溶融混練した混合物1を、ギアポンプを経て210℃に設定したTダイからシート状に押し出して、シート状のポリオレフィン樹脂組成物1とした。押し出されたシート状のポリオレフィン樹脂組成物1を、冷却ロールに抱かせて冷却した。冷却後、シート状のポリオレフィン樹脂組成物1を、MD方向に6.4倍にて延伸した後、TD方向に6.0倍にて延伸する逐次延伸を行い、延伸されたポリオレフィン樹脂組成物2を得た。
延伸されたポリオレフィン樹脂組成物2を、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄した後、118℃の通風オーブン内に1分間静置することにより、洗浄後のシート(シート状のポリオレフィン樹脂組成物)の乾燥・熱固定を行い、ポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ1とした。
その後、上述の測定方法にて、非水電解液二次電池用セパレータ1の物性を測定した。非水電解液二次電池用セパレータ1の膜厚は23μm、透気度は128sec/100mLであった。
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2/導電材/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された正極を用いた。前記正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが45mm×30mmであり、かつ、その外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極板とした。前記正極板を正極板1とした。正極板1において、正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cm3であった。
(正極板の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2/導電材/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された正極を用いた。前記正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが45mm×30mmであり、かつ、その外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極板とした。前記正極板を正極板1とした。正極板1において、正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cm3であった。
(負極の作製)
黒鉛/スチレン−1,3−ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された負極を用いた。前記負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×35mmであり、かつ、その外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極板とした。前記負極板を負極板1とした。負極板1において、負極活物質層の厚さは49μm、密度は1.40g/cm3であった。
黒鉛/スチレン−1,3−ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された負極を用いた。前記負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×35mmであり、かつ、その外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極板とした。前記負極板を負極板1とした。負極板1において、負極活物質層の厚さは49μm、密度は1.40g/cm3であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
正極板1、負極板1および非水電解液二次電池用セパレータ1を使用して、以下に示す方法にて非水電解液二次電池を製造した。
正極板1、負極板1および非水電解液二次電池用セパレータ1を使用して、以下に示す方法にて非水電解液二次電池を製造した。
ラミネートパウチ内で、正極板1、非水電解液二次電池用セパレータ1、および負極板1をこの順で積層(配置)することにより、非水電解液二次電池用部材1を得た。このとき、正極板1の正極活物質層における主面の全部が、負極板1の負極活物質層における主面の範囲に含まれる(主面に重なる)ように、正極板1および負極板1を配置した。
続いて、非水電解液二次電池用部材1を、予め作製していた、アルミニウム層とヒートシール層とが積層されてなる袋に入れ、さらにこの袋に非水電解液を0.25mL入れた。前記非水電解液は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを3:5:2(体積比)の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6の濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させて調製した。そして、袋内を減圧しつつ、当該袋をヒートシールすることにより、非水電解液二次電池1を作製した。
その後、非水電解液二次電池1の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例2]
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
構造中に多数の3級炭素原子を有する石油樹脂として軟化点90℃の脂環式飽和炭化水素樹脂2重量部を使用したこと、流動パラフィンを二軸混練機に投入する直前の二軸混練機内部の温度を144℃に設定したこと、洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を100℃にて9分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ2とした。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
構造中に多数の3級炭素原子を有する石油樹脂として軟化点90℃の脂環式飽和炭化水素樹脂2重量部を使用したこと、流動パラフィンを二軸混練機に投入する直前の二軸混練機内部の温度を144℃に設定したこと、洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を100℃にて9分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ2とした。
その後、上述の測定方法にて、非水電解液二次電池用セパレータ2の物性を測定した。非水電解液二次電池用セパレータ2の膜厚は20μm、透気度は105sec/100mLであった。
[非水電解液二次電池の作製]
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池2とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池2とした。
その後、非水電解液二次電池2の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3]
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を134℃にて16分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ3とした。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を134℃にて16分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ3とした。
その後、上述の測定方法にて、非水電解液二次電池用セパレータ3の物性を測定した。非水電解液二次電池用セパレータ3の膜厚は12μm、透気度は124sec/100mLであった。
[非水電解液二次電池の作製]
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池3とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池3とした。
その後、非水電解液二次電池3の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例4]
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて3回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板2とした。正極板2の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて3回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板2とした。正極板2の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池4とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池4とした。
その後、非水電解液二次電池4の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例5]
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて5回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板3とした。正極板3の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて5回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板3とした。正極板3の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池5とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池5とした。
その後、非水電解液二次電池5の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例6]
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて3回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板2とした。負極板2の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて3回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板2とした。負極板2の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池6とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池6とした。
その後、非水電解液二次電池6の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[実施例7]
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて7回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板3とした。負極板3の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて7回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板3とした。負極板3の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池7とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池7とした。
その後、非水電解液二次電池7の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
超高分子量ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン145M、三井化学株式会社製)を20重量部、石油樹脂を無添加としたこと、流動パラフィンを二軸混練機に投入する直前の二軸混練機内部の温度を134℃に設定したこと、洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を118℃にて1分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にてポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ4とした。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
超高分子量ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン145M、三井化学株式会社製)を20重量部、石油樹脂を無添加としたこと、流動パラフィンを二軸混練機に投入する直前の二軸混練機内部の温度を134℃に設定したこと、洗浄液としてヘプタンを使用したこと、および、洗浄液(ヘプタン)を用いて洗浄したシートの乾燥・熱固定を118℃にて1分間かけて行ったこと以外は、実施例1と同様の方法にてポリオレフィン多孔質フィルムを得た。得られたポリオレフィン多孔質フィルムを非水電解液二次電池用セパレータ4とした。
その後、上述の測定方法にて、非水電解液二次電池用セパレータ4の物性を測定した。非水電解液二次電池用セパレータ4の膜厚は24μm、透気度は160sec/100mLであった。
[非水電解液二次電池の作製]
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池8とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、非水電解液二次電池用セパレータ4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池8とした。
その後、非水電解液二次電池8の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて10回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板4とした。正極板4の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(正極板の作製)
正極板1と同一の正極板の正極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて10回研磨し、正極板を得た。得られた正極板を正極板4とした。正極板4の正極合剤層の厚さは38μm、空隙率は40%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板4を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、非水電解液二次電池を作製した。得られた非水電解液二次電池を非水電解液二次電池9とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、正極板として、正極板1の代わりに、正極板4を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、非水電解液二次電池を作製した。得られた非水電解液二次電池を非水電解液二次電池9とした。
その後、非水電解液二次電池9の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[比較例3]
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて10回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板4とした。負極板4の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
[非水電解液二次電池の作製]
(負極板の作製)
負極板1と同一の負極板の負極合剤層側の表面を、永塚工業株式会社製 研摩布シート(型番TYPE AA GRIT No100)を用いて10回研磨し、負極板を得た。得られた負極板を負極板4とした。負極板4の負極合剤層の厚さは38μm、空隙率は31%であった。
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板4を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、非水電解液二次電池を作製した。得られた非水電解液二次電池を非水電解液二次電池10とした。
非水電解液二次電池用セパレータとして、非水電解液二次電池用セパレータ1の代わりに、実施例2で得た非水電解液二次電池用セパレータ2を使用し、負極板として、負極板1の代わりに、負極板4を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、非水電解液二次電池を作製した。得られた非水電解液二次電池を非水電解液二次電池10とした。
その後、非水電解液二次電池10の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
[結果]
表1に記載の通り、実施例1〜7にて製造された非水電解液二次電池は、比較例1〜3にて製造された非水電解液二次電池よりも、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性に優れる。
従って、非水電解液二次電池において、(i)非水電解液二次電池用セパレータの単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下、(ii)正極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が1nF以上、1000nF以下、(iii)負極板の、測定面積900mm2当たりの静電容量が4nF以上、8500nF以下、との3つの要件を充足することにより、当該非水電解液二次電池の初期ハイレート特性測定時の充電容量特性を向上させることができることが分かった。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、初期ハイレート特性測定時の充電容量特性に優れるため、パーソナルコンピュータ、携帯電話および携帯情報端末などに用いる電池、並びに、車載用電池として好適に利用することができる。
Claims (3)
- 単位膜厚当たりのイオン透過障壁エネルギーが300J/mol/μm以上、900J/mol/μm以下である非水電解液二次電池用セパレータと、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、1nF以上、1000nF以下である正極板と、
測定面積900mm2当たりの静電容量が、4nF以上、8500nF以下である負極板と、を備える、非水電解液二次電池。 - 前記正極板が、遷移金属酸化物を含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極板が、黒鉛を含む、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
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JP2018144407A JP2019029360A (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | 非水電解液二次電池 |
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