JP2019029194A - 電子放出素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子放出素子1は、第1電極2と、第2電極6と、絶縁層3と、絶縁層3の開口部4内に形成された中間層5とを備える。第1電極2および第2電極6の間に電圧を印加することによって第2電極6から電子を放出させる電子放出素子1であって、中間層5には、導電性微粒子5bおよび略針状の絶縁性微粒子5aが含まれる。
【選択図】図1
Description
図3に示すように、第1電極2上に、絶縁層3を形成する。例えば、第1電極2は、アルミニウム板を使用した場合、絶縁層3は、スクリーン印刷法によって、中間層5に電流を流す領域のための開口部4を有するようにパターニング形成した後に、陽極酸化処理により絶縁層3部分にアルマイトを形成させることができる。また、絶縁層3に樹脂フィルムを使用する際は絶縁層部分の形状にカットした後に張り合わせて形成することもできる。なお、実際には、絶縁層3をアルマイトとすると、開口部4の端部は図1に示すようにきれいな壁状とはならず、logカーブのような鈍った形状となる。
図4に示すように、第1電極2上であって開口部4内に、中間層5を構成する略針状の絶縁性微粒子5aからなる絶縁性微粒子層5dを形成する。形成する方法としては、スピンコート法、滴下法、スプレーコート法等の塗布法や後述する電気泳動堆積法によって形成することができる。
図5に示すように、絶縁層3及び絶縁性微粒子5aからなる絶縁性微粒子層5dを形成した第1電極2のうち、絶縁性微粒子5aに導電性微粒子5bを担持させ担持粒子5cを形成する。導電性微粒子5bを担持させる手法については無電解メッキや担持させたい金属イオンを含む水溶液を還元して金属を担持させる方法として含浸法、クエン酸還元法、空気還元法や後述する光析出法がある。
図6に示すように、中間層5上に、第2電極6を、例えば金属を用いて真空蒸着法又はスパッタ法を用いて電極を形成する。第2電極6が2層以上の構成の場合は、各種金属をそれぞれのパターンに合わせて順次、真空蒸着法又はスパッタ法等を用いて形成する。
工程(2)で形成した絶縁性微粒子層5dにアニール処理を施す。アニーリング処理は空気中あるいは非酸化性雰囲気、真空中で、例えば100℃〜500℃の温度で、約1時間〜4時間行うことでできる。
バインダーである絶縁性樹脂を担持粒子5cかつ/または絶縁層3の上に供給して担持粒子5cを含んだ中間層5を形成する。このバインダー含有工程では、絶縁性樹脂の供給量や方法等によって中間層5の厚さを調整することで、第1電極2と第2電極6との距離を調整することができる。バインダーを含んだ中間層5の形成は、例えばスピンコート法やスプレーコート法を用いてシリコーン樹脂などを塗布して硬化させるなどの方法を用いることができる。
電気泳動堆積法:
電気泳動堆積法は微粒子を堆積させたい基板に形成するために、微粒子を分散媒に懸濁させた溶液中に、該基板を陽極もしくは陰極として、対極である陰極または陽極とともに浸漬した後、該基板と対極間に制御された電流および/または電圧を印加し、懸濁させた微粒子を該基板上に電気泳動で堆積させる方法である。ここで、懸濁させる微粒子は正または負に帯電し得るものである必要がある。また、分散媒としては、微粒子堆積を行っている間に分散媒自体の電気分解が起こること等による、微粒子堆積を阻害しない限り、特に制限がない。分散媒としては、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、プロピレンカーボネートやジメチルカーボネートのカーボネート類、ジメチルエーテルやエチルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルや酢酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等のフラン類などがある。分散媒以外に界面活性剤等の分散助剤を用いることも可能である。分散させるための微粒子の濃度は0.1〜10wt%が好ましい。分散する微粒子の粉体物性にもよるが、10wt%より大きいと分散が十分でない場合があり、0.1wt%より小さい場合は堆積する量が少なくなる場合がある。
ここでの光析出法とは、光触媒性能を持つ絶縁性材料上に、担持させたい金属に関連する金属イオン等を含む溶液(反応溶液)を接触させ、接触させた状態で、光触媒性能を発揮する光を当てることにより、光触媒性能を持つ絶縁性材料(半導体材料も含む)で励起した電子により、金属イオン等を還元し、光触媒性能を持つ絶縁性材料上に金属を担持させる方法である。ここで、担持させたい金属に関連する金属イオン等を含む溶液に用いられる溶媒としては、担持させたい金属に関連する金属イオン等が溶解しうる溶媒であれば特に制限がない。ただ、金属イオンが金属に還元されるので、それと対をなす光触媒性能を持つ絶縁性材料上でおこる酸化反応が、金属イオンの還元を邪魔しない溶媒であればよい。好適な溶媒としては水、メタノール水溶液等のアルコールと水の混合溶媒がある。アルコール溶媒を含むと光触媒材料のバンドギャップ以上のエネルギーをもつ光を照射することで価電子帯の電子が励起して伝導帯へ移り、価電子帯に生じた電子の穴、すなわち正孔と反応してアルコールを酸化させる。正孔が反応で消費されることで、励起電子と正孔の再結合を抑制し、還元反応を促進させることができる。光析出法は撹拌することでより反応が進行するため、撹拌しながら担持させたい金属を担持させてもよい。また、光を当てる際の用いる光源としては、光触媒性能を発揮することのできる波長を有する光源を用いる。例えば、酸化チタン(TiO2)の場合では、紫外線ランプを用いることができる。
第1電極2として厚み0.5mmのアルミ基板を用い、5mm×5mmの電子放出領域をマスキングし、20℃±1℃の15wt%硫酸浴で、電流密度1A/dm2で、250秒間アルミ基板を陽極酸化した。その後蒸留水(pH:6.0、90℃)で約30分間、封孔処理することで、厚さ2μmの絶縁層3を作製した。尚、封孔処理にはpH:5.5〜7.5の蒸留水を90〜100℃で行うことが可能である。
次に中間層5の電気泳動堆積法によって絶縁性微粒子層5dを形成させた。電気泳動堆積に用いる分散させた懸濁溶液200は、以下のように調製した。略針状のTiO2粒子(平均繊維長:1.68μm、アスペクト比:12:1)0.08g、よう素0.02g、アセトン100mlを混合し、30分間撹拌した。その後3分間超音波分散させ、TiO2を分散させた懸濁溶液(0.8g/L)を調製した。次に、図7(b)に示す、陰極に工程(1―1)で作製した絶縁層3を形成した第1電極2、対極400にアルミニウム板(厚さ0.5mm)を設置し、電圧10V、20秒間で略針状のTiO2粒子をアルミニウム基板が露出している部分に堆積させた。ここで、電極間の距離は1cmとしている。膜厚は1.3μmであった。
次に、図8に示す光析出法により、略針状のTiO2粒子状に導電性微粒子を担持させた。担持させたい金属の金属イオンを含む反応溶液500として5μmol/L硝酸銀水溶液100mlを用い、絶縁性微粒子層5dが浸る位置まで絶縁性微粒子層5dを形成した第1電極2を設置し、絶縁性微粒子層5dに紫外線が当たるよう、光源700に紫外線ランプを用い、照射した。酸化チタンの光触媒性能により、銀イオンがTiO2上で還元されて銀のナノ粒子を生成し、銀の微粒子が担持された担持粒子5cを得た。
続いてマグネトロンスパッタ装置を用いて、中間層5上にAuを材料とする層厚40nm、素子面積よりも一回り大きい7mm×7mmの範囲をスパッタリングして第2電極6を形成することにより、実施例の電子放出素子1を得た。
表面SEM観察:
実施例および比較例で作製したそれぞれの電子放出素子1について工程(1―3)を実施した後に表面のSEM観察を行った。
実施例および比較例で作製したそれぞれの電子放出素子1の断面STEMの観察および断面の点51で示す位置を含むEDX分析を行った。
図10に電子放出実験に用いた測定系を示す。電子放出素子1の第1電極2と第2電極6との間には、電源11AによりVdの電圧が印加され、対向電極12にはVeの電圧がかかるようになっている。第2電極6と電源11Aとの間を流れる電流を素子内電流Id、対向電極12に生じる電流を放出電流Ieとして測定する。このような測定系を大気中に配置して素子評価を行った。
図10の測定系について説明する。第1電極2に印加する電圧を駆動電圧Vdとし、駆動電圧Vdを印加して第2電極6まで生じた電流値を素子内電流Idとする。第2電極6と対向するように対向電極12を設置し、放出した電子に起因して生じる電流値を放出電流Ieとした。素子内電流Ieに対して放出電流Idの割合がどれくらいになるのかを効率η(=Ie/Id)で表す。対向電極12と第2電極6のギャップは0.5mm、対向電極の電圧Veは600Vとした。第1電極2に印加する駆動電圧Vdは0〜26Vで、第2電極6の電位はグランド電位とした。
実施例および比較例の表面SEM観察の結果を図11と図12に示す。これより、比較例に対して実施例の略針状の形状をもった絶縁性微粒子で形成させることにより、空間が広く開いており、担持するための溶液が侵入しやすく、光析出法での担持する導電性微粒子形成にための光が深さ方向にも当たる具合のよい構造であることが確認された。
2 第1電極
3 絶縁層
4 誘電体層
5 中間層
5a 絶縁性微粒子
5b 導電性微粒子
5c 担持粒子
5d 絶縁性微粒子層
6 第2電極
11A 電源(電源部)
11B 電源
12 対向電極
100 反応容器
200 懸濁溶液
300 電源
400 対極
500 反応溶液
600 容器
700 光源
Claims (7)
- 第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に設けられた中間層とを備え、
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加することによって前記第2電極から電子を放出させる電子放出素子であって、
前記中間層には、導電性微粒子および略針状の絶縁性微粒子が含まれることを特徴とする、電子放出素子。 - 前記絶縁性微粒子は光触媒機能を有することを特徴とする、請求項1記載の電子放出素子。
- 前記略針状はアスペクト比が10:1以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子放出素子。
- 前記略針状は前記アスペクト比が20:1〜10:1であることを特徴とする、請求項3に記載の電子放出素子。
- 前記中間層の前記導電性微粒子は前記略針状絶縁性微粒子に担持されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子放出素子。
- 前記導電性微粒子は3nm〜80nmであり、前記略針状絶縁性微粒子は繊維長が0.1μm〜5.0μmであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子放出素子。
- 前記導電性微粒子は貴金属であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子放出素子。
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