JP2019029194A - 電子放出素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子放出素子の電子放出特性の向上が可能な、新規な構成を有する電子放出素子を提供する。
【解決手段】電子放出素子1は、第1電極2と、第2電極6と、絶縁層3と、絶縁層3の開口部4内に形成された中間層5とを備える。第1電極2および第2電極6の間に電圧を印加することによって第2電極6から電子を放出させる電子放出素子1であって、中間層5には、導電性微粒子5bおよび略針状の絶縁性微粒子5aが含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子放出素子に関する。
本出願人は、大気中で動作可能な、新規な構造を有する電子放出素子を開発した(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電子放出素子は、一対の電極(基板電極および表面電極)の間に配置された、導電体からなり抗酸化力が高い導電性微粒子と、導電性微粒子より大きい絶縁体物質(絶縁性微粒子)とが含まれている中間層(電子加速層ともいう)を有する。中間層に数十ボルト程度の電圧を印加することによって、表面電極から電子を放出することができる(電界電子放出)。したがって、この電子放出素子は、強電界下の放電現象を利用する従来の電子放出素子(例えばコロナ放電器)のようにオゾンを発生することがないという利点を有している。
特許文献2(出願時未公開)には、中間層に、導電性微粒子を担持した光触媒機能を有する絶縁性微粒子が含まれる構成にすることにより、導電性微粒子の凝集や偏析を抑制し、安定した電子放出を可能とすることが記載されている。
特開2009−146891号公報(特許第4303308号公報) 特願2016−125228
しかしながら、上記の電子放出素子の電子放出特性の向上が望まれている。そこで、本発明は、上記の電子放出素子の電子放出特性の向上が可能な、新規な構成を有する電子放出素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、これまでの中間層の構成要素として使用されていた略球状である絶縁性微粒子により、導電性微粒子の分散等に不具合があることを突き止めた。特に、中間層を形成するにあたって、光触媒機能を有する絶縁性微粒子層を形成した後に導電性微粒子を光析出法によって担持する工程で作製する場合は、導電性微粒子の偏析、凝集はこの工程で防げるものの、光がよく当たる部分、すなわち上層部に導電性微粒子が集中して担持されることが判明した。
これは、導電性微粒子を担持する工程で用いている光析出法では、絶縁性微粒子層への担持させるための溶液(反応溶液)の浸透性や光のあたり具合に問題があると推測した。そこで、発明者らは中間層の絶縁性微粒子を略針状の形状をもつものを使用することにより、上記の問題が解決し、電子放出特性の向上が可能であることを見出した。
すなわち、本発明によれば、第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に設けられた中間層とを備え、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加することによって前記第2電極から電子を放出させる電子放出素子であって、前記中間層は、導電性微粒子および略針状の絶縁性微粒子が含まれることを特徴とする。
また、本発明によれば、前記絶縁性微粒子は光触媒機能を有することを特徴とする。
また、本発明によれば、前記略針状はアスペクト比が10:1以上であることを特徴とする。
また、本発明によれば、前記略針状はアスペクト比が20:1〜10:1であることを特徴とする。
また、本発明によれば、前記中間層の前記導電性微粒子は前記略針状絶縁性微粒子に担持されていることを特徴とする。
また、本発明によれば、前記導電性微粒子は3nm〜80nmであり、前記略針状絶縁性微粒子は繊維長が0.1μm〜5.0μmであることを特徴とする。
また、本発明によれば、前記導電性微粒子は貴金属であることを特徴とする。
本発明によれば、中間層に略針状の絶縁性微粒子から成ることにより、所望の電子放出を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態の電子放出素子の概略断面図である。 図1の電子放出素子の平面図である。 図1の電子放出素子の製造工程を示す概略断面図である。 図1の電子放出素子の製造工程を示す概略断面図である。 図1の電子放出素子の製造工程を示す概略断面図である。 図1の電子放出素子の製造工程を示す概略断面図である。 図1に示す電子放出素子1における中間層5を構成する絶縁性微粒子層5dを形成する手法の説明図である。 図1に示す電子放出素子1における中間層5を形成する手法の説明図である。 比較例の電子放出素子の概略断面図である。 電子放出素子に対して実施する電子放出実験の測定系を示す説明図である。 実施例の工程(3)を実施した後の表面SEM像を示す図である。 比較例の工程(3)を実施した後の表面SEM像を示す図である。 実施例の導電性微粒子を担持した略針状の絶縁性微粒子が含まれる中間層の断面および点51で示す位置を含む領域におけるEDX分析結果を示す図である。 比較例の導電性微粒子を担持した略球状の絶縁性微粒子が含まれる中間層の断面を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の電子放出素子について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の電子放出素子の概略断面図である。図2は、図1の平面図である。
電子放出素子1は、電極基板とも称される第1電極2と、所要の開口部4を有する絶縁層3と、絶縁層3の開口部4内に形成された電子加速層とも称される中間層5と第2電極6とを備える。
電子放出装置では電源の負極は第1電極2に接続され、電源の正極は第2電極6に接続される。このため、電子放出素子1を流れる電子は、中間層5において第1電極2から第2電極6に向けて加速され、一部の電子がホットエレクトロンとして第2電極6から放出される。このような電子放出装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置として好適に使用することができる。それ以外にも、電子線硬化装置や、発光体と組み合わせることによる画像表示装置、放出された電子が発生させるイオン風を利用するイオン風発生装置等に適用することができる。
第1電極2は、金属板などの電気伝導性を備えた支持体からなり、十分な電気伝導性を備えていれば良く、具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレスなどの導電性を有する材料から形成される。第1電極2は、これ自体の剛性を持たせるために、珪素、ガリウム、及びガリウム砒素などの半導体基板、表面に金属膜が形成されたガラス基板やプラスティック基板などとすることもできる。たとえば、FTO透明導電性基板や透明導電膜(ITO膜)ガラス基板を用いても良い。このとき、ガラス基板のような絶縁基板であるとき、金属膜との間に導電層を形成し、金属膜と導電層とを電極として用いてもよい。電極として機能する電極膜(陽極酸化後に残存する部分)の厚さは、例えば、10μm以上であることが好ましい。
絶縁層3は、第1電極2から第2電極6に対して直接的に電子が移動することで電子放出が妨げられることを防止するために、電気的に絶縁性を有すればよい。絶縁層3の厚みは、1μm〜5μm程度のとすればよい。1μmより薄いと短絡の危険性が増し、5μmより大きいと電子放出性能に影響を与える。
絶縁層3は、金属酸化物或いは金属窒化物などの無機材料、シリコーン系樹脂或いはフェノール系樹脂などの有機材料からなる。より具体的には、第1電極2にアルミを用い、金属酸化膜である酸化アルミニウム(Al)を、第1電極2上に陽極酸化処理などによって形成すればよい。この場合の絶縁層3の膜厚は、例えば2μm〜5μmとすればよい。また、他の具体例としては、絶縁層3は、感光性アクリル樹脂などの有機ポリマーや酸化珪素アクリル樹脂で形成することもできる。この場合、絶縁層3の膜厚は、中間層の膜厚に依存するが、0.5μm〜2μmとすればよい。
絶縁層3には、第1電極2で発生された電子を放出させるための開口部4が設けられている。したがって、開口部4の大きさは、第1電極2かつ/または第2電極6の大きさに対応する。例えば、開口部4は、第1電極2にアルミを用い、絶縁層3を陽極酸化処理などによって作製する場合、陽極酸化処理時にマスクをするか、全面に陽極酸化処理を施した後に、苛性ソーダなどを用いてエッチング処理を行うことで形成することで作製が可能である。中間層5は、第1電極2上であって開口部4内に形成される。中間層5の厚みは、0.3μm〜5μm程度のとすればよい。
中間層5は、略針状の絶縁性微粒子5aと、導電性微粒子5bを含んでいる。特に略針状の光触媒性能を有する絶縁性微粒子5aに導電性微粒子5bが担持された担持粒子を複数含んでいるのが好ましい。また、バインダーである絶縁性樹脂を含んでいても構わない。バインダー樹脂は、絶縁性を有する材料であれば特に限定は無く、殆どの樹脂が使用可能である。例えば、シリコーン樹脂を使用でき、その硬化タイプも特に限定されない。
略針状とは、通常はアスペクト比が5:1以上である。また好ましくはアスペクト比が10:1以上のものが、さらに好ましくは20:1〜10:1である。また、形状としては、樹枝状、紡錘形状、円柱形状のものも、略針状に含まれる。ここで、アスペクト比が10:1より小さいと、絶縁性微粒子の比表面積が小さくなるため、微粒子1個あたりに担持できる銀の量が減少し、導通路(絶縁性微粒子の関連する電気の通り道)が形成しにくくなり、電子放出量の減少につながる可能性がある。次に、略針状を持つ絶縁性微粒子5aの繊維長は0.1μm〜5.0μm程度のものである。5.0μmより長くなると、中間層の厚みとの関係上、製造する際に悪影響が出る場合がある。
絶縁性微粒子5aの材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、タンタル酸ナトリウム(NaTaO)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マンガン等の金属酸化物、LaTiON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、LaTaON、CaNbON、SrNbON、BaNbON、LaNbONといった遷移金属を含むタンタル(ニオブ)系酸窒化物、酸窒化タンタル等の酸窒化物、窒化アルミ、窒化ガリウム、窒化タンタル等の窒化物、硫化カドミウム等の硫化物などを用いることができる。特に、光触媒性能を有する絶縁性微粒子5aの材料としては、半導体材料であってもよく、光触媒機能を有する金属酸化物、酸窒化物、窒化物、硫化物が好ましく、例えば酸化チタン(TiO),チタン酸バリウム(BaTiO),チタン酸ストロンチウム(SrTiO),酸化タングステン(WO)、タンタル酸ナトリウム(NaTaO)、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどを用いることができる。又は、これらの組み合わせて使うことも可能である。特に、後述する光析出法を用いた製造方法を適用するためには光触媒として機能する金属酸化物、(酸)窒化物、硫化物であることが必須となる。この中で、好適には酸化チタン(TiO)を用いる。酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。また、略針状の酸化チタンは、例えば、繊維長が0.1μm〜5.0μm程度、繊維径が0.01μm〜0.2μm程度のものが用いられる。また、アスペクト比は1:10以上であり、20:1〜10:1程度であることが好ましい。ただし、このアスペクト比と同程度の範囲で、繊維長が0.1μm〜2.0μm程度、繊維径が0.1μm〜0.3μm程度のものが好適である。
導電性微粒子5bは、絶縁性微粒子5aで担持可能であれば、どのような導電体でも用いることができる。ただし、大気圧動作させた時の酸化劣化を避ける目的から、抗酸化力が高い導電体である必要があり、金属が好ましく、さらに貴金属が好ましい。例えば、金、銀、銅、ロジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、コバルトといった材料が挙げられる。また、導電性微粒子5bの材料は、フラーレン類やカーボンナノチューブ類などの金属以外の微小粉体も使用できる。導電性微粒子5bは絶縁性微粒子5aよりも粒径が小さく、その範囲は3nm〜80nmであり、好ましくは5nm〜10nmの範囲である。
第2電極6は、これに限定されるものではないが、全体としては過剰な破壊が防止されるように、金などの金属材料、半導体、ITO(indium tin oxide)、カーボン等のように電気伝導性の高い複数の導電性材料の薄膜によって構成することができる。第2電極6の総層厚は、その面内抵抗と電子放出量とを考慮して決定するとよいが、一例を示すと、例えば、0.01μm〜0.1μmとすればよい。第2電極6は、各層を順次成膜して積み上げてもよいし、一層形成後に当該層にイオン注入を行って変質させてもよい。
図3〜図6は、図1の電子放出素子1の製造工程の1例を示す概略平面図である。
工程(1):絶縁層3形成工程
図3に示すように、第1電極2上に、絶縁層3を形成する。例えば、第1電極2は、アルミニウム板を使用した場合、絶縁層3は、スクリーン印刷法によって、中間層5に電流を流す領域のための開口部4を有するようにパターニング形成した後に、陽極酸化処理により絶縁層3部分にアルマイトを形成させることができる。また、絶縁層3に樹脂フィルムを使用する際は絶縁層部分の形状にカットした後に張り合わせて形成することもできる。なお、実際には、絶縁層3をアルマイトとすると、開口部4の端部は図1に示すようにきれいな壁状とはならず、logカーブのような鈍った形状となる。
工程(2):絶縁性微粒子層5d形成工程
図4に示すように、第1電極2上であって開口部4内に、中間層5を構成する略針状の絶縁性微粒子5aからなる絶縁性微粒子層5dを形成する。形成する方法としては、スピンコート法、滴下法、スプレーコート法等の塗布法や後述する電気泳動堆積法によって形成することができる。
工程(3):導電性微粒子5b担持工程
図5に示すように、絶縁層3及び絶縁性微粒子5aからなる絶縁性微粒子層5dを形成した第1電極2のうち、絶縁性微粒子5aに導電性微粒子5bを担持させ担持粒子5cを形成する。導電性微粒子5bを担持させる手法については無電解メッキや担持させたい金属イオンを含む水溶液を還元して金属を担持させる方法として含浸法、クエン酸還元法、空気還元法や後述する光析出法がある。
工程(4):第2電極6形成工程
図6に示すように、中間層5上に、第2電極6を、例えば金属を用いて真空蒸着法又はスパッタ法を用いて電極を形成する。第2電極6が2層以上の構成の場合は、各種金属をそれぞれのパターンに合わせて順次、真空蒸着法又はスパッタ法等を用いて形成する。
上述の工程のほかに絶縁性微粒子層5dの密着性を高め、剥離を予防するために、上記工程(2)と(3)の間で絶縁性微粒子層5dのアニーリング工程を加えることも可能である。
工程(2’):絶縁性微粒子層5dアニーリング工程
工程(2)で形成した絶縁性微粒子層5dにアニール処理を施す。アニーリング処理は空気中あるいは非酸化性雰囲気、真空中で、例えば100℃〜500℃の温度で、約1時間〜4時間行うことでできる。
また、中間層5にバインダーを含ませる構造を作製するためには、上記工程(3)と(4)の間で、以下の工程を追加することも可能である。
工程(3’):バインダー含有工程
バインダーである絶縁性樹脂を担持粒子5cかつ/または絶縁層3の上に供給して担持粒子5cを含んだ中間層5を形成する。このバインダー含有工程では、絶縁性樹脂の供給量や方法等によって中間層5の厚さを調整することで、第1電極2と第2電極6との距離を調整することができる。バインダーを含んだ中間層5の形成は、例えばスピンコート法やスプレーコート法を用いてシリコーン樹脂などを塗布して硬化させるなどの方法を用いることができる。
図7および図8は、図1に示す電子放出素子1における中間層5を形成する一部の手法について示しており、図7(a)、(b)は電気泳動堆積法に関し、図8は光析出法に関する簡易説明図である
電気泳動堆積法:
電気泳動堆積法は微粒子を堆積させたい基板に形成するために、微粒子を分散媒に懸濁させた溶液中に、該基板を陽極もしくは陰極として、対極である陰極または陽極とともに浸漬した後、該基板と対極間に制御された電流および/または電圧を印加し、懸濁させた微粒子を該基板上に電気泳動で堆積させる方法である。ここで、懸濁させる微粒子は正または負に帯電し得るものである必要がある。また、分散媒としては、微粒子堆積を行っている間に分散媒自体の電気分解が起こること等による、微粒子堆積を阻害しない限り、特に制限がない。分散媒としては、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、プロピレンカーボネートやジメチルカーボネートのカーボネート類、ジメチルエーテルやエチルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルや酢酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等のフラン類などがある。分散媒以外に界面活性剤等の分散助剤を用いることも可能である。分散させるための微粒子の濃度は0.1〜10wt%が好ましい。分散する微粒子の粉体物性にもよるが、10wt%より大きいと分散が十分でない場合があり、0.1wt%より小さい場合は堆積する量が少なくなる場合がある。
懸濁する微粒子の粒子表面を正あるいは負に帯電させるには添加剤として帯電剤を使用することも可能である。例えば、正に帯電させるためには、ヨウ素が使用できる。また、負に帯電させるためにはH+を受け取るもの( プロトン受容体)としての塩基性化合物が使用できる。塩基性化合物としては、カルボン酸誘導体、脂肪族アミン、複素環アミン、芳香族アミン等が挙げられる。具体的には、カルボン酸誘導体としては、例えば、テトラメチルグアニジン( T M G ) 、グアニジン、ジフェニルグアニジン等が、脂肪族アミンとしては、例えば、エチルアミン、トリエチルアミン( T E A ) 、トリブチルアミン等が、複素環アミンとしては、ピリジン( P y )等 が、芳香族アミンとしてはアニリン等が挙げられる。
図7(a)、(b)は、例えば、絶縁性微粒子5aとして酸化チタン(TiO)を用いた場合の、電気泳動堆積法による絶縁性微粒子層5dの形成に関する簡易説明図である。
図7(a)には、絶縁性微粒子5aであるTiOが分散されたヨウ素とアセトンとを含む懸濁溶液200が反応容器100中に存在していることを示している。
図7(b)には、図7(a)に示す懸濁溶液200を用い、電源300に接続された電気泳動装置によって、第1電極2に絶縁性微粒子5aであるTiOを付着させた状態を示している。第1電極2を陽極電極として、対極400としてAl板を用いて陰極電極として、電源300に接続した。陰極電極は、一般的に、SUSやPtワイヤー等を用いられることが多い。この電源300は、定電流、定電流パルス、定電圧、定電圧パルス、定電力等、電流および/または電圧を制御することが可能であり、制御された電流および/または電圧を陽極電極と陰極電極との間に供給することが可能である。
また、この電源300によって印加する電圧は、約2V〜10Vとすればよい。この電源300から定電流/定電圧パルスを供給する場合には、1Hz〜1000Hzの周波数とすればよい。
さらに、電気泳動装置によって第1電極2を処理する時間は、約10秒〜5分とすればよい。この印加電圧が高いほど、また、処理時間が長いほど、中間層5の厚みが増すので、絶縁層3の厚さとの兼ね合いで、これらの電圧値または電流値及び処理時間を決定すればよい。
光析出法
ここでの光析出法とは、光触媒性能を持つ絶縁性材料上に、担持させたい金属に関連する金属イオン等を含む溶液(反応溶液)を接触させ、接触させた状態で、光触媒性能を発揮する光を当てることにより、光触媒性能を持つ絶縁性材料(半導体材料も含む)で励起した電子により、金属イオン等を還元し、光触媒性能を持つ絶縁性材料上に金属を担持させる方法である。ここで、担持させたい金属に関連する金属イオン等を含む溶液に用いられる溶媒としては、担持させたい金属に関連する金属イオン等が溶解しうる溶媒であれば特に制限がない。ただ、金属イオンが金属に還元されるので、それと対をなす光触媒性能を持つ絶縁性材料上でおこる酸化反応が、金属イオンの還元を邪魔しない溶媒であればよい。好適な溶媒としては水、メタノール水溶液等のアルコールと水の混合溶媒がある。アルコール溶媒を含むと光触媒材料のバンドギャップ以上のエネルギーをもつ光を照射することで価電子帯の電子が励起して伝導帯へ移り、価電子帯に生じた電子の穴、すなわち正孔と反応してアルコールを酸化させる。正孔が反応で消費されることで、励起電子と正孔の再結合を抑制し、還元反応を促進させることができる。光析出法は撹拌することでより反応が進行するため、撹拌しながら担持させたい金属を担持させてもよい。また、光を当てる際の用いる光源としては、光触媒性能を発揮することのできる波長を有する光源を用いる。例えば、酸化チタン(TiO)の場合では、紫外線ランプを用いることができる。
図8には、絶縁性微粒子5aに導電性微粒子5bを担持させたる光析出法の例を示す。この例では、絶縁性微粒子5aとして酸化チタン(TiO)上に導電性微粒子5bとして銀を担持させることとした場合、反応溶液500として硝酸塩水溶液が入れられた容器600に、光触媒性能を持つ絶縁性微粒子(TiO)から成る絶縁性微粒子層5dを形成した第1電極2を投入して、光析出法によって銀を析出させるために、光源700として紫外線照射器から紫外線を照射した。こうして、絶縁性微粒子5aであるTiOに対して、導電性微粒子5bである銀を担持させることができる。
以下の実施例では本発明の電子放出素子1について説明する。なお、この実施例は一例であって、本発明を制限するものではない。実施例に用いる電子放出素子1は以下のように製造した。
工程(1―1):
第1電極2として厚み0.5mmのアルミ基板を用い、5mm×5mmの電子放出領域をマスキングし、20℃±1℃の15wt%硫酸浴で、電流密度1A/dmで、250秒間アルミ基板を陽極酸化した。その後蒸留水(pH:6.0、90℃)で約30分間、封孔処理することで、厚さ2μmの絶縁層3を作製した。尚、封孔処理にはpH:5.5〜7.5の蒸留水を90〜100℃で行うことが可能である。
工程(1―2):
次に中間層5の電気泳動堆積法によって絶縁性微粒子層5dを形成させた。電気泳動堆積に用いる分散させた懸濁溶液200は、以下のように調製した。略針状のTiO2粒子(平均繊維長:1.68μm、アスペクト比:12:1)0.08g、よう素0.02g、アセトン100mlを混合し、30分間撹拌した。その後3分間超音波分散させ、TiO2を分散させた懸濁溶液(0.8g/L)を調製した。次に、図7(b)に示す、陰極に工程(1―1)で作製した絶縁層3を形成した第1電極2、対極400にアルミニウム板(厚さ0.5mm)を設置し、電圧10V、20秒間で略針状のTiO2粒子をアルミニウム基板が露出している部分に堆積させた。ここで、電極間の距離は1cmとしている。膜厚は1.3μmであった。
工程(1―3):
次に、図8に示す光析出法により、略針状のTiO2粒子状に導電性微粒子を担持させた。担持させたい金属の金属イオンを含む反応溶液500として5μmol/L硝酸銀水溶液100mlを用い、絶縁性微粒子層5dが浸る位置まで絶縁性微粒子層5dを形成した第1電極2を設置し、絶縁性微粒子層5dに紫外線が当たるよう、光源700に紫外線ランプを用い、照射した。酸化チタンの光触媒性能により、銀イオンがTiO上で還元されて銀のナノ粒子を生成し、銀の微粒子が担持された担持粒子5cを得た。
これを室温雰囲気中で一晩自然乾燥させ、担持粒子5Cからなる中間層5を持つ図5に示す構造体を作製した。
工程(1―4):
続いてマグネトロンスパッタ装置を用いて、中間層5上にAuを材料とする層厚40nm、素子面積よりも一回り大きい7mm×7mmの範囲をスパッタリングして第2電極6を形成することにより、実施例の電子放出素子1を得た。
尚、略針状の絶縁性微粒子の繊維長およびアスペクト比は、画像解析装置測定による体面積平均径より繊維長および繊維径を測定し、アスペクト比はその繊維長および繊維径より算出することができる。または、SEM等の画像よりおのおのの粒子のアスペクト比を算出し、平均することでも算出できる。
比較例
実施例の使用した略針状のTiO粒子(平均繊維長:1.68μm、アスペクト比:12:1)のかわりに略球状のTiO粒子(X線粒径:200nm、アスペクト比:1.3:1)を用いた以外は、実施例と同様に図9に示す電子放出素子1を作製した。
(評価)
表面SEM観察:
実施例および比較例で作製したそれぞれの電子放出素子1について工程(1―3)を実施した後に表面のSEM観察を行った。
断面STEMの観察:
実施例および比較例で作製したそれぞれの電子放出素子1の断面STEMの観察および断面の点51で示す位置を含むEDX分析を行った。
評価装置:
図10に電子放出実験に用いた測定系を示す。電子放出素子1の第1電極2と第2電極6との間には、電源11AによりVdの電圧が印加され、対向電極12にはVeの電圧がかかるようになっている。第2電極6と電源11Aとの間を流れる電流を素子内電流Id、対向電極12に生じる電流を放出電流Ieとして測定する。このような測定系を大気中に配置して素子評価を行った。
電子放出特性:
図10の測定系について説明する。第1電極2に印加する電圧を駆動電圧Vdとし、駆動電圧Vdを印加して第2電極6まで生じた電流値を素子内電流Idとする。第2電極6と対向するように対向電極12を設置し、放出した電子に起因して生じる電流値を放出電流Ieとした。素子内電流Ieに対して放出電流Idの割合がどれくらいになるのかを効率η(=Ie/Id)で表す。対向電極12と第2電極6のギャップは0.5mm、対向電極の電圧Veは600Vとした。第1電極2に印加する駆動電圧Vdは0〜26Vで、第2電極6の電位はグランド電位とした。
(結果)
実施例および比較例の表面SEM観察の結果を図11と図12に示す。これより、比較例に対して実施例の略針状の形状をもった絶縁性微粒子で形成させることにより、空間が広く開いており、担持するための溶液が侵入しやすく、光析出法での担持する導電性微粒子形成にための光が深さ方向にも当たる具合のよい構造であることが確認された。
図13(a)に実施例の電子放出素子の断面STEM観察の結果および(b)に図13(a)の点51で示す位置を含む領域におけるEDX分析結果を示す。これにより、導電性微粒子である銀微粒子は偏析、凝集することなく、ほぼ均一に(満遍なく)担持していることがわかる。
図14に比較例の電子放出素子の断面STEM観察の結果を示す。これにより、導電性微粒子である銀微粒子は第2電極側に多く分布している部分があることが判明した。これにより、光析出法による導電性微粒子の担持工程で光がよく当たる部分での還元が促進され、第2電極(上部)側に多く分布していることがわかった。
電子放出特性を評価した結果、実施例については、放出電流Ieの最大値が2×10−6A/cmでその際の効率ηは約0.003%であった。
比較例については、放出電流Ieの最大値が9×10−7A/cmでその際の効率ηは約0.003%であった。
実施例と比較例を比較するとアスペクト比が10:1以上の略針状の形状をもった絶縁性微粒子で形成させることにより電子放出電流Ieが2倍以上向上していることが確認できた。本性能の向上は、絶縁性微粒子に導電性微粒子が全体的に分散して担持しているため、電子の導通路を形成しやすかったからだと考えられる。
本発明に係る電子放出素子は、放電を伴わないためオゾンの発生が無く、また、安定な大気圧動作が可能である。よって、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の帯電装置や、電子線硬化装置、或いは発光体と組み合わせることにより画像表示装置、または放出された電子が発生させるイオン風を利用することにより送風装置等に、好適に適用することができる。
本発明は、各実施の形態で説明されたものに限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る電子放出素子は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びその帯電装置、電子線硬化装置、あるいは発光体と組み合わせることにより自発光デバイス、放出された電子が発生させるイオン風を利用することにより冷却装置等の各種装置に用いることができる。
1 電子放出素子
2 第1電極
3 絶縁層
4 誘電体層
5 中間層
5a 絶縁性微粒子
5b 導電性微粒子
5c 担持粒子
5d 絶縁性微粒子層
6 第2電極
11A 電源(電源部)
11B 電源
12 対向電極
100 反応容器
200 懸濁溶液
300 電源
400 対極
500 反応溶液
600 容器
700 光源

Claims (7)

  1. 第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に設けられた中間層とを備え、
    前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加することによって前記第2電極から電子を放出させる電子放出素子であって、
    前記中間層には、導電性微粒子および略針状の絶縁性微粒子が含まれることを特徴とする、電子放出素子。
  2. 前記絶縁性微粒子は光触媒機能を有することを特徴とする、請求項1記載の電子放出素子。
  3. 前記略針状はアスペクト比が10:1以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 前記略針状は前記アスペクト比が20:1〜10:1であることを特徴とする、請求項3に記載の電子放出素子。
  5. 前記中間層の前記導電性微粒子は前記略針状絶縁性微粒子に担持されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子放出素子。
  6. 前記導電性微粒子は3nm〜80nmであり、前記略針状絶縁性微粒子は繊維長が0.1μm〜5.0μmであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子放出素子。
  7. 前記導電性微粒子は貴金属であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子放出素子。
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