JP2019028433A - 光学フィルタ - Google Patents
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Abstract
Description
のアルキル基、又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、
0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IRカットオフ波長が波長620nm〜680nmの範囲内に存在し、
(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UV
カットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
光学フィルタを提供する。
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率
(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率及び波長620nm〜680nmの範囲内に存在する第一IRカットオフ波長
(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率及び波長380nm〜430nmの範囲内に存在する第一UVカットオフ波長
において1%以下の分光透過率を有する。これにより、光学フィルタ1aは、紫外線領域の光をより効果的にカットできる。
射膜に要求される反射性能のレベルを低くできるので、光反射膜における誘電体の積層数を低減でき、光反射膜の形成に要するコストを低減できる。
(vi)波長1000〜1100nmにおいて3%以下の分光透過率
1100〜1200nm)を有する赤外線をカットできる。これにより、誘電体多層膜を用いなくとも又は誘電体多層膜における誘電体の積層数が少なくても、光学フィルタ1aがこの波長の光を効果的にカットできる。
(vii)波長1100〜1200nmにおいて15%以下の分光透過率
せたときのUVカットオフ波長である。この場合、光学フィルタ1aに入射する光の入射角度が大きく変化しても、光学フィルタ1aの第一UVカットオフ波長付近の透過率特性の変化を抑制できる。その結果、広い画角で撮像可能な撮像装置の撮像素子の前方に光学フィルタ1aを配置しても、良質な画像が得られやすい。
(xii)波長800〜950nmにおいて0.5%以下の分光透過率、より望ましくは0.1%以下の分光透過率
(xiii)波長800〜1000nmにおいて0.5%以下の分光透過率、より望ましくは
0.1%以下の分光透過率
により、このような画像の不具合を防止できる。
を有する。この場合、より確実に、光学フィルタ1aが上記(i)〜(v)の光学性能を発揮しやすい。
能基である。
させることができ、熱硬化又は紫外線硬化が可能な樹脂である。さらに、マトリクス樹脂として、その樹脂によって0.1mmの樹脂層を形成した場合に、その樹脂層の波長350nm〜900nmに対する透過率が例えば70%以上であり、望ましくは75%以上であり、より望ましくは80%以上である樹脂を用いることができる。ホスホン酸の含有量は、例えば、マトリクス樹脂100質量部に対して3〜180質量部である。
る結晶性の基板であってもよい。例えば、サファイアは高硬度であるので、傷がつきにくい。このため、板状のサファイアは、耐擦傷性の保護材料(プロテクトフィルタ)として、スマートフォン及び携帯電話等の携帯端末に備えられているカメラモジュール又はレンズの前面に配置される場合がある。このような板状のサファイア上にUV‐IR吸収層10が形成されることにより、カメラモジュール及びレンズの保護とともに、紫外線又は赤外線を遮蔽できる。これにより、紫外線又は赤外線の遮蔽性を備える光学フィルタをCCDやCMOSなどの撮像素子の周辺又はカメラモジュールの内部に配置する必要がなくなる。このため、板状のサファイア上にUV‐IR吸収層10を形成すれば、カメラモジュールの低背位化に貢献できる。
液を得るために用いたトルエン(沸点:約110℃)などの溶媒も揮発する。この溶媒は、UV‐IR吸収性組成物においてある程度残留していることが望ましいので、この観点から溶媒の添加量及び脱溶媒処理の時間が定められているとよい。なお、C液を得るためにトルエンに代えてo‐キシレン(沸点:約144℃)を用いることもできる。この場合、o‐キシレンの沸点はトルエンの沸点よりも高いので、添加量をトルエンの添加量の4分の1程度に低減できる。
光学フィルタ1aを製造できる。なお、一般的にはモノマーを含むアルコキシシランの加水分解及び縮重合反応においては、アルコキシシランと水とを液状組成物内に併存させてこれらの反応を行わせる場合がある。しかし、光学フィルタを作製するときに予めUV‐IR吸収性組成物に水を添加しておくと、UV‐IR吸収層の形成の過程でリン酸エステル又はUV‐IR吸収剤が劣化してしまい、UV‐IR吸収性能が低下したり、光学フィルタの耐久性を損ねたりする可能性がある。このため、所定の加熱処理により塗膜を硬化させた後に加湿処理を行うことが望ましい。
光学フィルタ1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、光学フィルタ1aは、
図1B〜図1Fに示す光学フィルタ1b〜1fにそれぞれ変更されてもよい。光学フィルタ1b〜1fは、特に説明する場合を除き、光学フィルタ1aと同様に構成されている。光学フィルタ1aの構成要素と同一又は対応する光学フィルタ1b〜1fの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。光学フィルタ1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り光学フィルタ1b〜1fにも当てはまる。
0と、その両面に配置された一対の反射防止膜30とを備えている。この場合、光学フィルタ1eは、撮像素子及び光学系の低背位化に貢献でき、かつ、光学フィルタ1dに比べて可視光領域の光量を増大させることができる。
ると、光学フィルタの表裏両面で応力がバランスし、光学フィルタが反りにくい。反射膜が誘電体多層膜である場合、例えば、高屈折率材料としてはTiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnO、及びIn2O3等の1.7〜2.5の屈折率を有する材料が用いられ、低屈折率材料としてはSiO2、Al2O3、及びMgF2等の1.2〜1.6の屈折率を有する材料が用いられる。誘電体多層膜を形成する方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法、スパッタ法、又は真空蒸着法である。
波長300nm〜1200nmの光を実施例及び比較例に係る光学フィルタに入射させたときの透過率スペクトルを、紫外線可視分光光度計(日本分光社製、製品名:V−670)を用いて測定した。光学フィルタに対する入射光の入射角度を0°から65°まで5°刻みで変化させてそれぞれの角度における透過率スペクトルを測定した。
実施例及び比較例に係る光学フィルタの厚みをデジタルマイクロメータで測定した。実
施例及び比較例に係る光学フィルタのうちガラス等の透明誘電体基板を有する光学フィルタについては、デジタルマイクロメータで測定した光学フィルタの厚みからガラス基板の厚みを差し引いて光学フィルタにおけるUV‐IR吸収層の厚みを決定した。
酢酸銅一水和物((CH3COO)2Cu・H2O)1.125gとテトラヒドロフラン
(THF)60gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208N(第一工業製薬社製)を0.412g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸(C6H5PO(OH)2)(日産化学工業社製)0.441gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−
1液を得た。4‐ブロモフェニルホスホン酸(C6H4BrPO(OH)2)(東京化成工
業社製)0.661gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−2液を得た。次に、B−1液とB−2液とを混ぜて1分間撹拌し、メチルトリエトキシシラン(MTES:CH3Si(OC2H5)3)(信越化学工業社製)1.934gとテトラエトキシシラン(TEOS:Si(OC2H5)4)(キシダ化学社製 特級)0.634gを加えてさらに1
分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。このC液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)によって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後のD液を取り出した。フェニルホスホン酸銅及び4‐ブロモフェニルホスホン酸銅を含むフェニル系ホスホン酸銅(吸収剤)の微粒子の分散液であるD液は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
H9PO(OH)2)(日本化学工業社製)0.144gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後のH液を取り出した。ブチルホスホン酸銅の微粒子の分散液であるH液は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。その後、温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽内に、上記の塗膜が形成された透明ガラス基板を20時間置いて加湿処理を行い、透明ガラス基板上にUV‐IR吸収層が形成された実施例1に係る光学フィルタを得た。加湿処理は、透明ガラス基板上に塗布されたUV‐IR吸収性組成物に含まれるアルコキシシランの加水分解及び縮重合を促進させ、UV‐IR吸収層において硬質で緻密なマトリクスを形成するために行った。実施例1に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みは170μmであった。実施例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°、及び60°における透過率スペクトルを図3に示す。実施例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。表8における「透過率78%以上の波長範囲」は、波長400nm〜600nmにおいて78%以上の分光透過率を示す波長範囲である。表8における赤外線領域特性に関する「透過率1%以下の波長範囲」は、波長700nm〜1200nmにおいて1%以下の分光透過率を示す波長範囲である。表8における赤外線領域特性に関する「透過率0.1%以下の波長範囲」は、波長700nm〜1200nmにおいて0.1%以下の分光透過率を示す波長範囲である。表8における紫外線領域特性に関する「透過率1%以下の波長範囲」は、波長300nm〜400nmにおいて1%以下の分光透過率を示す波長範囲である。表8における紫外線領域特性に関する「透過率0.1%以下の波長範囲」は、波長300nm〜400nmにおいて0.1%以下の分光透過率を示す波長範囲である。このことは、表10、表12、表14、表16、表18、及び表20においても当てはまる。さらに、実施例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果(入射角度:0°〜65°)を表11及び表12に示す。
各化合物の添加量を表1に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15に係るUV‐IR吸収性組成物を調製した。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、実施例2〜15に係るUV‐IR吸収性組成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを表1に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施例2〜15に係る光学フィルタを作製した。各ホスホン酸の物質量基準の含有量及び含有率を表2に示す。各ホスホン酸の含有率は、小数第2位を四捨五入して求めているため、合計が100mol%にならない場合がある。実施例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°及び60°における透過率スペクトルを図4に示す。実施例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。さらに、実施例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果を表13及び表14に示す。また、実施例3〜15に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263)の一方の主面の中心部の30mm×30mmの範囲にディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布して所定の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス基板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を有する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。その後、この塗膜を透明ガラス基板から剥離させた。温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽内に、剥離させた塗膜を20時間置いて加湿処理を行い、UV‐IR吸収層のみから構成
された実施例16に係る光学フィルタを得た。デジタルマイクロメータによる計測は、光吸収層のみの厚みを測定した。その結果、実施例16に係る光学フィルタの厚みは132μmであった。実施例16に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°、及び60°における透過率スペクトルを図5に示す。実施例16に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。さらに、実施例16に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果を表15及び表16に示す。
76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263)の一方の主面の中心部の30mm×30mmの範囲にディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布し、実施例2における塗膜の厚みの約半分の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス基板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を有する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。次に、透明ガラス基板の他方の主面の中心部の30mm×30mmの範囲にディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布し、実施例2における塗膜の厚みの約半分の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス基板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を有する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。次に、温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽内に、両主面に上記の塗膜が形成された透明ガラス基板を20時間置いて加湿処理を行い、透明ガラス基板の両面にUV‐IR吸収層が形成された実施例17に係る光学フィルタを得た。透明ガラス基板の両面に形成されたUV‐IR吸収層の合計の厚みは193μmであった。実施例17に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°及び60°における透過率スペクトルを図6に示す。実施例17に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。実施例17に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果を表17及び表18に示す。
実施例17で用いた透明ガラス基板の代わりに、0.07mmの厚みを有する実施例17で用いた透明ガラス基板と同一種類の透明ガラス基板を用いた以外は、実施例17と同様にして、透明ガラス基板の両面にUV‐IR吸収層が形成された実施例18に係る光学フィルタを作製した。透明ガラス基板の両面に形成されたUV‐IR吸収層の合計の厚みは183μmであった。実施例18に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°及び60°における透過率スペクトルを図7に示す。実施例18に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。実施例18に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果を表19及び表20に示す。
リン酸エステル化合物として、プライサーフA208Nの代わりに、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)を用い、各化合物の添加量を表1に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例19に係るUV‐IR吸収性組成物を調製した。実施
例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、実施例19に係るUV‐IR吸収性組成物を用い、UV‐IR吸収層の厚みを198μmに調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例19に係る光学フィルタを作製した。実施例19に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
4‐ブロモフェニルホスホン酸の代わりに、4‐フルオロフェニルホスホン酸(C6H4FPO(OH)2)(東京化成工業社製)を用い、各化合物の添加量を表1に示す通り調
節した以外は、実施例1と同様にして、実施例20に係るUV‐IR吸収性組成物を調製した。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、実施例20に係るUV‐IR吸収性組成物を用い、UV‐IR吸収層の厚みを168μmに調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例20に係る光学フィルタを作製した。実施例20に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
実施例2で用いた透明ガラス基板の代わりに、100μmの厚みを有する赤外線吸収ガラス基板を用い、UV‐IR吸収層の厚みを76μmに調節した以外は、実施例2と同様にして実施例21に係る光学フィルタを作製した。この赤外線吸収ガラス基板は銅を含有しており、図8Aに示す透過率スペクトルを有していた。実施例21に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルを測定した。その結果を図8Bに示す。また、実施例21に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
乾燥された塗膜の加湿処理の条件を表3に示す通りに変更し、UV‐IR吸収層の厚みを表3に示す通りに調節した以外は、実施例2と同様にして、実施例22〜37に係る光学フィルタをそれぞれ作製した。実施例22〜24に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルを測定した。その結果をそれぞれ図9〜図11に示す。また、実施例22〜24に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。実施例25〜37に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
実施例2で用いた透明ガラス基板の代わりに、0.3mmの厚みを有するサファイア基板を用い、UV‐IR吸収層の厚みを168μmに調節した以外は、実施例2と同様にして実施例38に係る光学フィルタを作製した。実施例38に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルを測定した。その結果を図12に示す。実施例38に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。
各化合物の添加量を表4及び表5に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散液)を調製した。比較例1に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を2.200g添加し30分間撹拌して、比較例1に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例1に係るUV‐IR吸収性組成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを126μmに調節した以外は、実施例1と同様にして比
較例1に係る光学フィルタを作製した。比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に示す。また、比較例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例1に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを200μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例1として示す。
各化合物の添加量を表4及び表5に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散液)をそれぞれ調製した。比較例2に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を4.400g添加し30分間撹拌して、比較例2に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例2に係るUV‐IR吸収性組成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを217μmに調節し、塗膜を硬化させるための加熱処理及び加湿処理の条件を表6に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る光学フィルタを作製した。比較例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に示す。また、比較例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例2に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを347μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例2として示す。
酢酸銅一水和物1.125gとTHF60gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)を0.624g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸(日産化学工業社製)0.832gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−1液を得た。B−1液に、MTES(信越化学工業社製)1.274gとTEOS(キシダ化学社製 特級)1.012gを加えてさらに1分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。このC液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)によって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の比較例3に係るD液を取り出した。比較例3に係るD液(フェニルホスホン酸銅の微粒子の分散液)は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
酢酸銅一水和物1.125gとTHF60gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208Fを0.891g加えて30分間撹拌し、E液を得た。また、n‐ブチルホスホン酸(日本化学工業社製)0.670gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の比較例4に係るH液を取り出した。ブチルホスホン酸銅の微粒子の分散液であるH液は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
UV‐IR吸収層の厚みを191μmに調節し、塗膜の加湿処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして比較例5に係る光学フィルタを作製した。比較例5に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に示す。比較例5に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例5に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを148μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例5として示す。
UV‐IR吸収層の厚みを表9に示す通りに調節し、塗膜の加湿処理を表6に示す通り調節した以外は、実施例2と同様にして比較例6及び7に係る光学フィルタを作製した。比較例6及び7に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表9及び表10に示す。比較例6に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例6に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを155μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例6として示す。また、比較例7に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例7に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを161μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例7として示す。
比較例1と同様にして、比較例8に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散液)を調製した。酢酸銅一水和物0.225gとTHF36gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208F(第一工業製薬社製)を0.178g加えて30分間撹拌し、E液を得た
。また、n‐ブチルホスホン酸(日本化学工業社製)0.134gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の比較例8に係るH液を取り出した。比較例8に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を2.200g添加し30分間撹拌して、比較例8に係るI液を得た。比較例8に係るH液を比較例8に係るI液に加えて撹拌したが、ホスホン酸銅粒子の凝集が生じ、高い透明性を有するUV‐IR吸収性組成物を得ることはできなかった。
表4に示す分量でホスホン酸としてn‐ブチルホスホン酸のみを含み、アルコキシシランモノマーを含まないUV‐IR吸収性組成物の調製を試みたが、ホスホン酸銅粒子の凝集が生じてしまい、高い透明性を有する均質なUV‐IR吸収性組成物を得ることはできなかった。
能を有していた。また、表11、表13、表15、表17、及び表19によれば、実施例1、2、16〜18に係る光学フィルタは、上記(viii)〜(xi)の光学性能をさらに有していた。また、実施例3〜15及び実施例19〜38に係る光学フィルタに関する透過率スペクトル測定の別の結果(入射角度:0°〜65°、図示省略)によれば、これらの実施例に係る光学フィルタも上記(viii)〜(xi)の光学性能をさらに有していた。
光学性能を有しておらず、赤外線領域において所望の特性を有していなかった。また、比較計算例1によれば、UV‐IR吸収層の厚みを大きくすることにより、赤外線領域における特性を向上させることができるものの、第一IRカットオフ波長が短くなって(iv)の光学性能を実現できないことが示唆された。このように、比較例1に係るUV‐IR吸収性組成物を用いても、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。同様に、表9における比較例2及び比較計算例2並びに比較例3及び比較計算例3の結果によれば、比較例2及び3に係るUV‐IR吸収性組成物を用いても、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。
有しておらず、紫外線領域において所望の特性を有していなかった。また、比較計算例4−Aによれば、UV‐IR吸収層の厚みを大きくすることにより、上記(iii)及び(v
)の光学性能を実現できるものの、上記(i)の光学性能を実現することが難しいことが示唆された。また、比較計算例4−Bによれば、UV‐IR吸収層の厚みを小さくすることにより、上記(i)の光学性能は向上するものの、上記(iii)及び(v)の光学性能
がさらに悪化し、加えて、波長750〜1080nmにおける最大透過率も増加することが示唆された。このため、比較例4に係るUV‐IR吸収性組成物を用いても、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。
すべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。UV‐IR吸収性組成物に含まれるアルコキシシランモノマーの加水分解及び縮重合が加湿処理により促進され、UV‐IR吸収層の硬化が進むことに加えて、加湿処理が光学フィルタの透過率スペクトルにも影響を及ぼすことが示唆された。
6〜8、実施例9及び実施例10、並びに実施例11〜15においても同じことがいえた。
吸収性組成物は、実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物と同様に調製されているものの、表7〜表10に示す通り、これらの実施例及びこれらの比較例に係る光学フィルタは、実施例2に係る光学フィルタとは異なる光学性能を有していた。上記の通り、UV‐IR吸収性組成物に含まれる、アルコキシシランの加水分解及び縮重合を促進させる目的で加湿処理が行われてはいるが、加湿処理の態様により、これらの実施例及びこれらの比較例に係る光学フィルタにおいて、波長450〜600nmにおける平均透過率及びIRカットオフ波長について差異が生じた。
定義した。表3及び表6に示す通り、加湿処理において、温度が60℃以上の場合、相対湿度は70%以上で処理時間1時間以上のときに良好な光学性能が得られることが示唆された。この処理条件は、5.0[mol/m3・時間]以上の曝露水蒸気量の条件に相当
するが、加湿処理での温度が40℃と低く相対湿度が70%である場合、及び、加湿処理での温度が60℃で相対湿度が40%と低い場合でも、処理時間を延ばして同程度の曝露水蒸気量とすることで良好な光学性能が得られることが示唆された。これらの結果から、60℃以上の温度及び70%以上の相対湿度の環境において短時間の加湿処理を行うことが、良好な光学性能を効率良く光学フィルタにもたらす観点から望ましいことが示唆された。
2 レンズ系
3 ローパスフィルタ
4 撮像素子
5 回路基板
7 光学フィルタ支持筐体
8 光学系筐体
10 UV‐IR吸収層
20 透明誘電体基板
30 反射防止膜
40 反射膜
100 カメラモジュール
Claims (12)
- 赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、
0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IRカットオフ波長が波長620nm〜680nmの範囲内に存在し、
(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UVカットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
光学フィルタ。 - 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(vi)波長1000〜1100nmにおいて3%以下の分光透過率を有する、
請求項1に記載の光学フィルタ。 - 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(vii)波長1100〜1200nmにおいて15%以下の分光透過率を有する、
請求項1又は2に記載の光学フィルタ。 - 40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第二IRカットオフ波長と、前記第一IRカットオフ波長との差の絶対値が10nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第三IRカットオフ波長と、前記第一IRカットオフ波長との差の絶対値が15nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第二UVカットオフ波長と、前記第一UVカットオフ波長との差の絶対値が10nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第三UVカットオフ波長と、前記第一UVカットオフ波長との差の絶対値が15nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 前記UV‐IR吸収層は、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 前記ホスホン酸は、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む、請求項8に記載の光学フィルタ。
- 前記第一ホスホン酸は、その一部において、フェニル基における少なくとも1つの水素
原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基を有する、請求項9に記載の光学フィルタ。 - 前記ホスホン酸は、アルキル基を有する第二ホスホン酸をさらに含む、請求項9又は10に記載の光学フィルタ。
- 前記UV‐IR吸収層は、単一の層として形成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
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