JP2019028376A - 観察容器および観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察する。【解決手段】軸方向の両端が開口する貫通孔4を有する筒状部材3と、筒状部材3の一端の開口3aを閉塞可能な閉塞部材5と、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから挿入され、貫通孔4の内部で細胞シートSを内包する溶液のゲル化物Gを閉塞部材5を外した一端の開口3aから突出させるように押し出す押し出し部材7とを備える観察容器1を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、観察容器および観察方法に関するものである。
従来、ライトシート顕微鏡によってミクロンレベルの高い解像度で3次元画像データを得るための試料の作成方法および準備方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の方法は、例えば、観察対象物とともにアガロースのようなゲル溶液をシリンジ内に吸引し、シリンジ内で観察対象物を内包したゲル溶液をゲル化させ、シリンジを操作して流体または気体媒体によりゲル溶液のゲル化物を押し出して保持することで、ゲル化物に内包されている観察対象物をライトシート顕微鏡により観察可能にしている。
国際公開第2009/149873号
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、大量の試料、例えばマルチウエルプレートのようなアレイ配列された多数の試料を撮像する、といった観点でこれを実現させることが容易でないばかりか、オルガノイドのような数ミリメートに亘るような大きな試料や積層構造を持つ細胞シート等を、前述した従来技術の方法でライトシート顕微鏡の観察に適用させるのは実質的に不可能である。なぜなら、シリンジへのゲル溶液の吸引は基本的に表面張力に基づいており、吸引部の断面積に制約が生じるからである。したがって、この技術で使われる試料は、例えばゼブラフィッシュのような長さは長くても断面の小さな試料に限定されるのが実情である。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる観察容器および観察方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の第1態様は、軸方向の両端が開口する貫通孔を有する筒状部材と、該筒状部材の一端の前記開口を閉塞可能な閉塞部材と、前記筒状部材の前記貫通孔に他端の前記開口から挿入され、前記貫通孔の内部で試料を内包する溶液のゲル化または固体化物を前記閉塞部材を外した前記一端の前記開口から突出させるように押し出す押し出し部材とを備える観察容器である。
本態様によれば、筒状部材の一端の開口を閉塞部材により閉塞して貫通孔に試料と共に溶液を注入し、貫通孔内で試料を内包する溶液をゲル化または固体化することにより、そのゲル化または固体化物内で試料の位置を固定することができる。そして、閉塞部材を外して筒状部材の貫通孔に他端の開口から押し出し部材を挿入し、試料を内包する溶液のゲル化または固体化物を筒状部材の一端の開口から突出させるように押し出すことで、溶液のゲル化または固体化物に内包された試料を筒状部材により保持することができる。
これにより、溶液のゲル化または固体化物の外側から試料に照明光を照射し、試料からの観察光を溶液のゲル化または固体化物の外側で検出して試料を観察することができる。したがって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる。
上記態様においては、前記押し出し部材が、前記貫通孔に嵌合状態に挿入されて前記ゲル化または固体化物に接触させられる接触部を有することとしてもよい。
このように構成することで、筒状部材の貫通孔に他端側から押し出し部材を挿入し、貫通孔内で溶液のゲル化または固体化物に接触部を接触させて軸方向に押圧することにより、溶液のゲル化または固体化物を全体的に筒状部材の一端側に移動させて、開口から突出させるように押し出すことができる。
上記態様においては、前記押し出し部材が、前記貫通孔に挿入された状態で前記他端側から前記一端側に前記溶液が通過可能な通過孔を有することとしてもよい。
このように構成することで、筒状部材の貫通孔内の途中位置まで押し出し部材を挿入した状態でも、筒状部材の他端の開口から溶液を注入して押し出し部材の通過孔を通過させ、閉塞部材と押し出し部材との間の空間に貯留させることができる。
また、貫通孔の一端側から押し出し部材の通過孔を介して他端側にかけて溶液を充填させた状態でゲル化または固体化すれば、そのゲル化または固体化物を押し出し部材に固定することができる。したがって、押し出し部材により溶液のゲル化または固体化物を押圧して筒状部材の一端の開口から突出させるように押し出した状態で保持する際に、溶液のゲル化または固体化物が筒状部材から抜け落ちるのを防止することができる。
上記態様においては、前記貫通孔に挿入された前記押し出し部材を前記軸方向の所定の位置で位置決めする位置決め機構を備えることとしてもよい。
このように構成することで、位置決め機構により、筒状部材の貫通孔内での押し出し部材の押し込み量を制御することができる。
上記態様においては、前記位置決め機構が、前記筒状部材と前記押し出し部材とを連結する連結部材を有し、前記筒状部材が、前記軸方向に交差する方向に前記連結部材を案内する第1ガイド部を有し、前記押し出し部材が、前記第1ガイド部により前記連結部材を案内する方向に交差し、かつ、前記ゲル化または固体化物を押し出す方向に交差する方向に前記連結部材を案内する第2ガイド部を有し、前記連結部材が、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部による案内に従って移動することにより、前記貫通孔内に前記溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置と、前記ゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させた状態で保持する位置とに前記押し出し部材の位置を切り替えることとしてもよい。
このように構成することで、筒状部材の第1ガイド部と押し出し部材の第2ガイド部とによる案内に従って連結部材の位置を切り替えるだけで、貫通孔内で試料を内包する溶液をゲル化または固体化させる場合の位置と、そのゲル化または固体化物を筒状部材の一端の開口から突出させた状態で保持する場合の位置とに押し出し部材を容易に設定することができる。
上記態様においては、前記位置決め機構が、前記貫通孔内に前記溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置に前記押し出し部材を位置決めする第1位置決め部と、前記ゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させた状態で保持する位置に前記押し出し部材を位置決めする第2位置決め部とを備えることとしてもよい。
このように構成することで、第1位置決め部および第2位置決め部により、貫通孔内で試料を内包する溶液をゲル化または固体化させる場合の位置と、そのゲル化または固体化物を筒状部材の一端の開口から突出させた状態で保持する場合の位置とに押し出し部材を容易に設定することができる。
上記態様においては、前記閉塞部材が、前記一端の前記開口を閉塞する面の少なくとも一部に非接着性表面処理が施されていることとしてもよい。
このように構成することで、溶液のゲル化または固体化物から閉塞部材を離間し易くすることができる。これにより、筒状部材の一端の開口から溶液のゲル化または固体化物が突出するように保持された状態で、閉塞部材を容易に取り外すことができる。
上記態様においては、前記筒状部材と前記閉塞部材の組が複数配列されてなることとしてもよい。
このように構成することで、筒状部材と閉塞部材の組の数だけ、試料を内包した溶液のゲル化または固体化物を露出させた状態で保持することができる。
本発明の第2態様は、軸方向の両端が開口する貫通孔を有する筒状部材と、該筒状部材の一端に着脱可能に装着され、該一端に装着された状態で前記貫通孔に注入された試料および溶液を貯留可能な凹形状の貯留部材とを備え、前記筒状部材が、前記貫通孔および前記貯留部材の内部で前記溶液が前記試料を内包しつつゲル化または固体化した状態で前記貯留部材を脱離させることにより、前記試料を内包した前記溶液のゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させるように保持可能な観察容器である。
本態様によれば、筒状部材の一端に貯留部材を装着し、筒状部材の貫通孔に試料と共に溶液を注入して、貫通孔および貯留部材の内部で試料を内包する溶液をゲル化または固体化することにより、そのゲル化または固体化物内で試料の位置が固定される。そして、貯留部材を脱離させることにより、溶液のゲル化または固体化物に内包された試料が筒状部材の一端の開口から突出した状態で保持される。
これにより、溶液のゲル化または固体化物の外側から試料に照明光を照射し、試料からの観察光を溶液のゲル化または固体化物の外側で検出して試料を観察することができる。したがって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる。
上記態様においては、前記筒状部材の前記貫通孔が、前記一端に向かって先細になるテーパ状に形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、試料を内包した溶液のゲル化または固体化物は、筒状部材の一端側よりも他端側の方が横断面積が広い形状となる。したがって、テーパ状に形成された先細の一端の開口から溶液のゲル化または固体化物が抜け落ちるのを防止して保持することができる。
上記態様においては、前記筒状部材の前記貫通孔が、前記軸方向に交差する方向に突出する突起部を有することとしてもよい。
このように構成することで、試料を内包した溶液のゲル化または固体化物と貫通孔との摩擦力を増大することができる。これにより、筒状部材の一端の開口から溶液のゲル化または固体化物が抜け落ちるのを抑制して保持することができる。
上記態様においては、前記筒状部材が、前記貫通孔の対向する内面間に架け渡される架け渡し部材を有することとしてもよい。
このように構成することで、架け渡し部材を浸漬させた状態で溶液をゲル化または固体化することにより、そのゲル化または固体化物が架け渡し部材に固定される。したがって、筒状部材の一端の開口から溶液のゲル化または固体化物が抜け落ちるのを防止して保持することができる。
上記態様においては、前記貯留部材が、前記凹形状の内面の少なくとも一部に非接着性表面処理が施されていることとしてもよい。
このように構成することで、溶液のゲル化または固体化物から貯留部材を離間し易くすることができる。これにより、筒状部材の一端の開口から溶液のゲル化または固体化物が突出するように保持された状態で、貯留部材を容易に取り外すことができる。
上記態様においては、前記筒状部材と前記貯留部材との組が複数配列されてなることとしてもよい。
このように構成することで、筒状部材と貯留部材の組の数だけ、試料を内包した溶液のゲル化または固体化物を露出させた状態で保持することができる。
本発明の第3態様は、一端が閉塞された筒状部材の内部に試料と溶液を注入し、前記試料を内包する前記溶液をゲル化または固体化させるステップと、前記筒状部材の前記一端を開放するステップと、前記筒状部材の内部で前記試料を内包する前記溶液のゲル化または固体化物を、開放した前記筒状部材の前記一端から突出させるように押し出すステップと、前記一端から突出するように押し出された前記ゲル化または固体化物に内包されている前記試料に対して、前記筒状部材の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップとを含む観察方法である。
本態様によれば、筒状部材の内部で試料を内包する溶液をゲル化または固体化することにより、そのゲル化または固体化物内で試料の位置を固定することができる。また、試料を内包する溶液のゲル化または固体化物を筒状部材の一端の開口から突出させるように押し出すことで、筒状部材により溶液のゲル化物または固体化物に内包された試料を保持することができる。
そして、溶液のゲル化物または固体化物の外側から試料に照明光を照射することにより、試料からの観察光を溶液のゲル化物または固体化物の外側で検出して試料を観察することができる。したがって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる。
上記態様においては、前記ゲル化または固体化物を押圧するための押し出し部材を前記筒状部材の内部に挿入し、前記筒状部材の前記一端側から前記押し出し部材における前記溶液が通過可能な通過孔を介して前記他端側にかけて前記溶液を充填させた状態で該溶液をゲル化または固体化させることとしてもよい。
このように構成することで、溶液が押し出し部材の通過孔内にも満たされた状態でゲル化または固体化するので、溶液のゲル化または固体化物を押し出し部材に固定することができる。したがって、押し出し部材により溶液のゲル化または固体化物を押圧して筒状部材の一端の開口から突出させるように押し出して保持する際に、溶液のゲル化または固体化物が筒状部材から抜け落ちるのを防止することができる。
本発明の第4態様は、軸方向の一端に凹形状の貯留部材が装着された筒状部材の内部に試料と溶液を注入し、前記貯留部材および前記筒状部材の内部で前記試料を内包する前記溶液をゲル化または固体化させるステップと、前記一端に装着された前記貯留部材を取り外し、前記一端に突出するように保持されている前記ゲル化または固体化物を露出させるステップと、前記筒状部材の前記一端から露出された前記ゲル化または固体化物に内包されている前記試料に対して、前記筒状部材の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップとを含む観察方法である。
本態様によれば、筒状部材の一端に貯留部材を装着し、筒状部材の内部に試料と共に溶液を注入して、筒状部材および貯留部材の内部で試料を内包する溶液をゲル化または固体化することにより、そのゲル化または固体化物内で試料の位置が固定される。また、貯留部材を脱離させることにより、試料を内包する溶液のゲル化または固体化物が筒状部材の一端の開口から突出するように保持される。
そして、溶液のゲル化または固体化物の外側から試料に照明光を照射することにより、試料からの観察光を溶液のゲル化または固体化物の外側で検出して試料を観察することができる。したがって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる。
本発明によれば、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができるという効果を奏する。
(a)は本発明の第1実施形態に係る観察容器の筒状部材の一端を閉塞部材により閉塞した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材から閉塞部材を脱離させた状態を示す縦断面図であり、(c)は筒状部材を顕微鏡可動ステージに搭載した様子を示す縦断面図であり、(d)は筒状部材の一端の開口からゲル化物を突出させるように押し出して細胞シートに照明光を照射する様子を示す縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る観察方法により細胞シートを観察する方法を説明するフローチャートである。 (a)は本発明の第1実施形態の変形例に係る観察容器の筒状部材の一端を閉塞部材により閉塞した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材から閉塞部材を脱離させた状態を示す縦断面図であり、(c)は筒状部材を顕微鏡可動ステージに搭載した様子を示す縦断面図であり、(d)は筒状部材の一端の開口からゲル化物を突出させるように押し出して細胞シートに照明光を照射する様子を示す縦断面図である。 (a)は本発明の第1実施形態の他の変形例に係る観察容器の筒状部材の一端を閉塞部材により閉塞した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材から閉塞部材を脱離させた状態を示す縦断面図であり、(c)は筒状部材を顕微鏡可動ステージに搭載した様子を示す縦断面図であり、(d)は筒状部材の一端の開口からゲル化物を突出させるように押し出して試料に照明光を照射する様子を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係る観察容器の各筒状部材の一端を各閉塞部材により閉塞した状態を示す縦断面図である。 図5の観察容器の各筒状部材から各閉塞部材を脱離させた状態を示す縦断面図である。 図6の観察容器の筒状部材ユニットを顕微鏡可動ステージに搭載した様子を示す縦断面図である。 図7の各観察容器の筒状部材の一端の開口からゲル化物を突出させるように押し出した様子を示す図である。 図8の各観察容器の筒状部材の一端の開口から押し出されたゲル化物に内包されている細胞シートに照明光を照射する様子を示す図である。 (a)は本発明の第3実施形態に係る観察容器の筒状部材の一端に貯留部材を装着した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材から貯留部材を脱離させた状態を示す縦断面図であり、(c)は筒状部材の一端から突出するように保持されたゲル化物に内包されている細胞シートに照明光を照射する様子を示す縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る観察方法により細胞シートを観察する方法を説明するフローチャートである。 (a)は本発明の第3実施形態の変形例に係る観察容器の筒状部材の一端に貯留部材を装着した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材の一端から突出するように保持されたゲル化物に内包されている細胞シートに照明光を照射する様子を示す縦断面図である。 (a)は本発明の第3実施形態の他の変形例に係る観察容器の筒状部材の一端に貯留部材を装着した状態を示す縦断面図であり、(b)は筒状部材の一端から突出するように保持されたゲル化物に内包されている細胞シートに照明光を照射する様子を示す縦断面図である。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る観察容器および観察方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る観察容器1は、図1に示すように、軸方向の両端が開口する貫通孔4を有する筒状部材3と、筒状部材3の一端の開口3aを閉塞可能な閉塞部材5と、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから挿入される押し出し部材7とを備えている。
筒状部材3は、略円筒状または略多角筒状の形態を有し、プラスチックを材料として射出成型で形成されている。図1では、略四角筒状の筒状部材3を例示している。この筒状部材3は、軸方向の他端に径方向外方に広がるフランジ部3cを有している。
閉塞部材5は、筒状部材3よりも太径で軸方向の長さが短い筒形状の形態を有し、プラスチックを材料として射出成型で形成されている。この閉塞部材5は、軸方向の一端を閉塞する底部5aと、軸方向の他端に開口する円柱状または多角柱状の穴6とを有している。図1では、四角柱状の穴6を例示している。
また、この閉塞部材5は、穴6に筒状部材3を嵌合状態に挿入して、筒状部材3の軸方向の一端の開口3aを底部5aの内面に密着させることができるようになっている。閉塞部材5の底部5aの内面には非接着性表面処理が施されている。
これら筒状部材3および閉塞部材5は、閉塞部材5の穴6に嵌合状態に挿入された筒状部材3の軸方向の一端の開口3aを閉塞部材5の底部5aの内面に密着させた状態では、筒状部材3の貫通孔4に溶液を貯留可能な容器を形成することができるようになっている。
押し出し部材7は、筒状部材3よりも細径で軸方向の長さが短い筒形状の形態を有し、プラスチックを材料として射出成型で形成されている。この押し出し部材7は、軸方向の一端を閉塞するように形成された押圧部(接触部)8を有している。また、この押し出し部材7は、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから嵌合状態に挿入され、貫通孔4内の内容物に押圧部8を接触させて内容物を軸方向に押圧することができるようになっている。
また、押し出し部材7には、外周面の軸方向の途中位置における周方向の少なくとも一部に配置された外方に突出する弾性部材(第1位置決め部)7aと、軸方向の他端に配置された径方向外方に広がるフランジ部(第2位置決め部)7bとが設けられている。
弾性部材7aは、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから押し出し部材7を挿入した場合に開口3bに引っかかり、筒状部材3の一端と押圧部8との間に溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置に押し出し部材7を位置決めするようになっている。押し出し部材7に軸方向にさらに負荷をかけると、弾性部材7aは貫通孔4によって内方に変形し、押し出し部材7を筒状部材3の軸方向にさらに押し込むことができるようになっている。
フランジ部7bは、押し出し部材7を筒状部材3の軸方向にさらに押し込むことによって筒状部材3のフランジ部3cに突き当たり、筒状部材3の貫通孔4内の内容物を一端の開口3aから突出させた状態で保持する位置に押し出し部材7を位置決めするようになっている。
押圧部8には、押し出し部材7の軸方向に貫通し、溶液および試料を通過させることができる微小な通過孔8aが設けられている。これにより、筒状部材3の貫通孔4内の途中位置まで押し出し部材7を挿入した状態で、筒状部材3の他端の開口3bから溶液および試料を注入すると、溶液および試料が押し出し部材7の通過孔8aを通過して、閉塞部材5と押圧部8との間の空間に貯留されるようになっている。
次に、本実施形態に係る観察方法は、図2のフローチャートに示されるように、閉塞部材5により筒状部材3の軸方向の一端の開口3aを閉塞するステップSA1と、一端が閉塞された筒状部材3の貫通孔4に試料と溶液を注入し、試料を内包する溶液をゲル化または固体化させるステップSA2と、筒状部材3の一端の開口3aを開放するステップSA3と、筒状部材3の内部で試料を内包する溶液のゲル化または固体化物を開放した筒状部材3の一端の開口3aから突出させるように押し出すステップSA4と、突出するように押し出されたゲル化または固体化物に内包されている試料に対して、筒状部材3の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップSA5とを含んでいる。
このように構成された観察容器1および観察方法の作用について説明する。
本実施形態に係る観察容器1および観察方法により試料を観察するには、まず、図1(a)に示すように、閉塞部材5の穴6に筒状部材3を嵌合状態に挿入し、筒状部材3の一端の開口3aを閉塞部材5の底部5aの内面に密着させて閉塞する(ステップSA1)。
次いで、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから押し出し部材7を挿入し、開口3bに弾性部材7aを引っかけて、閉塞部材5の底部5aと押圧部8との間に溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置に押し出し部材7を位置決めする。
次いで、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bからアガロースゲル溶液を注入し、押し出し部材7の通過孔8aを通過させて閉塞部材5の底部5aと押圧部8との間の空間にアガロースゲル溶液を貯留する。そして、アガロースゲル溶液をゲル化させてゲル層L1を生成し、細胞培養のための環境(培養床)を提供する。
アガロースゲル溶液は、例えば、32℃〜45℃程度に温度が下がるとゲル化する性質を有しているので、温度を下げることによりアガロースゲル溶液をゲル化させることとしてもよい。環境(培養床)はゲルの他、場合によってはフィーダー細胞であってもよい。これらの環境(培養床)は目的の細胞種によって決定される。
次いで、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから目的の細胞を注入するとともに、更に培養液とアルギン酸ナトリウムを注入し、押し出し部材7の通過孔8aを通過させてアガロースゲル溶液のゲル層L1上にこれらを貯留する。そして、細胞を培養し、細胞シート(試料)Sを形成する。
次いで、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから押し出し部材7の通過孔8aを介してカルシウム溶液を注入し、アルギン酸ナトリウム溶液をゲル化させる(ステップSA2)。これにより細胞シートSがアガロースゲル溶液のゲル層L1とアルギン酸ナトリウム溶液のゲル層L2に挟まれる。以下、ゲル層L1,L2を合わせてゲル化物Gという。
次いで、筒状部材3のフランジ部3cをロボットハンド11で把持し、図1(b)に示すように、閉塞部材5に対して筒状部材3を上方に引き上げて閉塞部材5を脱離させ、筒状部材3の一端の開口3aを開放する(ステップSA3)。閉塞部材5の底部5aの内面には非接着性表面処理が施されているので、ゲル化物Gが閉塞部材5の底部5aから離間し易く、細胞シートSを内包するゲル化物Gは筒状部材3内に残された状態で引き上げられる。
次いで、図1(c)に示すように、ロボットハンド11により、筒状部材3を顕微鏡可動ステージ13に搭載し、押し出し部材7のフランジ部7bを把持して、フランジ部7bが筒状部材3のフランジ部3cに突き当たるまで押し出し部材7を筒状部材3の軸方向にさらに押し込む。
これにより、図1(d)に示すように、貫通孔4内のゲル化物Gに押圧部8が接触して軸方向に押圧し、細胞シートSを内包するゲル化物Gが、全体的に筒状部材3の一端側に移動して一端の開口3aから突出するように押し出された状態に保持される(ステップSA4)。
続いて、筒状部材3の一端から突出するように保持されたゲル化物Gに内包されている細胞シートSに対して、筒状部材3の軸方向に直交する方向から照明光を照射する(ステップSA5)。すると、照明光の入射平面に沿って細胞シートS内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生するので、顕微鏡可動ステージ13の下方において鉛直上向きに保持された対物レンズ15によりその蛍光を集光し、図示しない撮像素子により撮影する。これにより、細胞シートSにおける対物レンズ15の光軸に直交する断層像が得られる。
図1(d)において、符号17は、対物レンズ15の光軸に沿う方向にパワーを有するシリンドリカルレンズを示している。このシリンドリカルレンズ17は、略平行光束からなる照明光を対物レンズ15の光軸に沿う方向に集光して、対物レンズ15の光軸に直交する平面状の照明光を細胞シートSに入射させ、対物レンズ15の光軸上で焦点を結ばせるようになっている。
以上説明したように、本実施形態に係る観察容器1および観察方法によれば、筒状部材3の貫通孔4内で細胞シートSを内包する溶液をゲル化することにより、そのゲル化物G内で細胞シートSの位置を固定することができる。そして、細胞シートSを内包するゲル化物Gを筒状部材3の一端の開口3aから突出させるように押し出すことで、ゲル化物Gに内包された細胞シートSを筒状部材3により保持することができる。
これにより、ゲル化物Gの外側から細胞シートSに照明光を照射し、細胞シートSからの観察光をゲル化物Gの外側で検出して細胞シートSを観察することができる。したがって、照明光学系の光軸が検出光学系の光軸とは向きが異なる顕微鏡で、組織やオルガノイド、細胞シートのような大きな試料を容易に観察することができる。また、筒状部材3、閉塞部材5および押し出し部材7により観察容器1を構成することで、ロボットハンド11の移動距離を短くすることができ、高スループットの観察が可能になる。
本実施形態は以下のように変形することができる。
例えば、本実施形態においては、試料として細胞シートSを例示し、細胞シートSを2つのゲル層L1,L2により挟むこととしたが、これに代えて、例えば、試料としてオルガノイドを採用するとともに、溶液としてアルギン酸ナトリウム溶液と培養液の混合液を採用し、オルガノイドを内包するアルギン酸ナトリウム溶液と培養液の混合液をゲル化させることとしてもよい。
また、例えば、図3に示すように、押し出し部材7が押圧部8に通過孔8aを有さないこととしてもよい。このようにすることで、押し出し部材7による細胞シートSの押し出しを確実に行うことができる。
この場合、図3(a)に示すように、筒状部材3の貫通孔4に押し出し部材7を挿入する前に、貫通孔4内で細胞シートSを内包するゲル化物Gを生成することとすればよい(ステップSA2)。そして、図3(b)に示すように、筒状部材3の一端の開口3aを開放して(ステップSA3)、図3(c)に示すように、筒状部材3を顕微鏡可動ステージ13に搭載したら、図3(d)に示すように、筒状部材3の貫通孔4に他端の開口3bから押し出し部材7を挿入することとすればよい。
図3(c),(d)は、顕微鏡可動ステージ13の直下で対物レンズ15の上方に、側壁部と底部が透明なガラスチャンバ19を配置し、筒状部材3の一端の開口3aから突出させるように押し出したゲル化物Gをガラスチャンバ19内に貯留されている媒質溶液Wに浸漬させた状態で、ガラスチャンバ19の側壁部を介して細胞シートSに照明光を照射し、ガラスチャンバ19の底部を介して対物レンズ15により蛍光を集光する様子を示している。
媒質溶液Wの屈折率はゲル層L1,L2と細胞シートSの屈折率と同等であることが望ましい。このようにすることで、顕微鏡可動ステージ13を駆動して細胞シートSの観察位置を変えても、対物レンズ15の焦点位置が変化しないので、焦点位置の修正が不要であり、観察/撮像スループットを向上することができる。また、対物レンズ15として液浸対物レンズを採用することとしてもよい。液浸対物レンズを採用すれば高解像の観察画像を得ることができる。
また、本実施形態においては、図4に示すように、押し出し部材7を筒状部材3の内部に挿入し、筒状部材3の一端側から押し出し部材7の通過孔8aを介して他端側にかけて溶液を充填させた状態で、溶液をゲル化または固体化させることとしてもよい。
図4は、筒状部材3、閉塞部材5の穴6および押し出し部材7が、横断面円形の形態を有する場合を例示している。また、押し出し部材7が、押圧部8に通過孔8aを5つ有する場合を例示している。また、試料としてオルガノイドOを採用するとともに、溶液としてアルギン酸ナトリウム溶液と培養液の混合液を採用し、オルガノイドOを内包するアルギン酸ナトリウム溶液と培養液の混合液をゲル化させる場合を例示している。
この場合、図4(a)に示すように、オルガノイドOを内包する溶液が押し出し部材7の通過孔8a内にも満たされた状態で、溶液をゲル化させてそのゲル化物Gを生成したら、図4(b)に示すように、閉塞部材5に対して筒状部材3を上方に引き上げて閉塞部材5を脱離させ、筒状部材3の一端の開口3aを開放することとすればよい(ステップSA3)。
そして、図4(c)に示すように、筒状部材3を顕微鏡可動ステージ13に搭載し、図4(d)に示すように、押し出し部材7を筒状部材3の軸方向にさらに押し込んで、オルガノイドOを内包したゲル化物Gを一端の開口3aから突出させるように押し出すこととすればよい(ステップSA4)。
この場合において、溶液が押し出し部材7の通過孔8a内にも満たされた状態でゲル化することにより、押し出し部材7にゲル化物Gを固定することができる。これにより、押し出し部材7によりゲル化物Gを筒状部材3の一端の開口3aから突出させるように押し出して保持する際に、ゲル化物Gが筒状部材3から抜け落ちるのをより確実に防止することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る観察容器および観察方法について説明する。
本実施形態に係る観察容器21は、図5に示すように、筒状部材3、閉塞部材5および押し出し部材7の組が複数配列されてなるマルチウエルプレートを構成する点で第1実施形態と構成が異なる。
以下、第1実施形態に係る観察容器1および観察方法と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る観察容器21は、筒状部材3、閉塞部材5および押し出し部材7の組が互いに直交する水平方向に3行×4列に配列されて構成されている。具体的には、観察容器21は、12個の筒状部材3が互いに直交する方向に3行×4列に配列されて一体型に形成された筒状部材ユニット23と、12個の閉塞部材5が互いに直交する方向に3行×4列に配列されて一体型に形成された閉塞部材ユニット25と、12個の押し出し部材7が互いに直交する方向に3行×4列に配列されて一体型に形成された押し出し部材ユニット27とを備え、筒状部材3、閉塞部材5および押し出し部材7の組が12個形成されるようになっている。
また、観察容器21は、筒状部材ユニット23と押し出し部材ユニット27とを連結する板状の連結部材29を2つ備えている。これら連結部材29は、互いに行方向に対向するように、筒状部材ユニット23および押し出し部材ユニット27に取り付けられている。各連結部材29は、一平面上に設けられたアリ状の突起29aと、その一平面上に設けられた2つのピン29bとを有している。
突起29aは、2つのピン29bの配列方向に沿って直線状に延び、これら2つのピン29bに対してその配列方向に直交する方向に間隔をあけて配置されている。
2つのピン29bは、互いに間隔をあけて配置され、板厚方向に突出している。
筒状部材ユニット23は、各筒状部材3の軸方向に直交する方向に各連結部材29を案内するスライド機構(第1ガイド部、位置決め機構)23aを有している。スライド機構23aは、筒状部材ユニット23の列方向に沿う外縁部に設けられたアリ溝である。
このスライド機構23aは、列方向に沿って延び、一方の連結部材29の突起29aが噛み合わされるようになっている。またスライド機構23aは、筒状部材ユニット23の行方向の反対側の外縁部にももう1つ設けられており、他方の連結部材29の突起29aが噛み合わされるようになっている。
押し出し部材ユニット27は、スライド機構23aにより連結部材29を案内する方向に交差し、かつ、各筒状部材3の軸方向に交差する方向に連結部材29を案内する2つ1組のカム溝(第2ガイド部、位置決め機構)27aを有している。各カム溝27aは、押し出し部材ユニット27の列方向に沿う外縁部に設けられ、互いに列方向に間隔をあけて配置されている。
これらカム溝27aは、互いに平行に列方向に交差するように斜めに延び、一方の連結部材29のピン29bがそれぞれ挿入されている。また、これら2つ1組のカム溝27aは、行方向の反対側の外縁部にももう1組設けられており、他方の連結部材29のピン29bがそれぞれ挿入されている。
各連結部材29は、筒状部材ユニット23のスライド機構23aに沿って突起29aが移動するとともに、押し出し部材ユニット27のカム溝27aに沿ってピン29bが移動することにより、筒状部材ユニット23に対して押し出し部材ユニット27を鉛直方向に上下動させるようになっている。すなわち、ピン29bがカム溝27aに沿って斜め下方に移動するに従い押し出し部材ユニット27を上昇させ、ピン29bがカム溝27aに沿って斜め上方に移動するに従い押し出し部材ユニット27を下降させるようになっている。
このように構成された観察容器21および観察方法の作用について説明する。
本実施形態に係る観察容器21および観察方法により試料を観察するには、図5に示すように、閉塞部材ユニット25の各閉塞部材5に筒状部材ユニット23の各筒状部材3を嵌合状態に挿入し、各筒状部材3の軸方向の一端の開口3aを閉塞する(ステップSA1)。
そして、ロボットハンド11により、ピン29bがカム溝27aにおける下端側に位置するように連結部材29を移動させ、筒状部材ユニット23に対して押し出し部材ユニット27を上昇させた状態で、細胞シートSを内包するゲル化物Gを生成する(ステップSA2)。
次いで、図6に示すように、ロボットハンド11により筒状部材ユニット23を把持し、閉塞部材ユニット25に対して筒状部材ユニット23を上方に引き上げて各閉塞部材5を脱離させ、各筒状部材3の一端を開放する(ステップSA3)。
次いで、ロボットハンド11により、図7に示すように、顕微鏡可動ステージ13に筒状部材ユニット23および押し出し部材ユニット27を搭載する。顕微鏡可動ステージ13は、図示しないクランプ機構により筒状部材ユニット23を固定することとすればよい。
次いで、ロボットハンド11により、図8に示すように、ピン29bがカム溝27aにおける上端側に移動するように連結部材29を移動させ、押し出し部材ユニット27を下降させる。これにより、貫通孔4内のゲル化物Gに押圧部8が接触して軸方向に押圧し、細胞シートSを内包するゲル化物Gが、全体的に筒状部材3の一端側に移動して一端の開口3aから突出するように押し出される(ステップSA4)。
そして、図9に示すように、側壁部と底部が透明なガラスチャンバ19内に貯留された媒質溶液Wに、いずれかの筒状部材3により突出した状態に保持された細胞シートSを内包するゲル化物Gを浸漬させる。この状態で、細胞シートSに対して、筒状部材3の軸方向に直交する方向から照明光を照射する(ステップSA5)。
これにより、照明光の入射平面において発生した蛍光が顕微鏡可動ステージ13の下方において対物レンズ15により集光され、図示しない撮像素子により撮影される。これにより、細胞シートSにおける対物レンズ15の光軸に直交する断層像が得られる。
同様にして、顕微鏡可動ステージ13により筒状部材ユニット23および押し出し部材ユニット27を移動させ、他の筒状部材3により突出した状態に保持された細胞シートSについてもシリンドリカルレンズ17および対物レンズ15の光軸上に配置して観察する。
以上説明したように、本実施形態に係る観察容器21および観察方法によれば、筒状部材3と閉塞部材5の組の数だけ、細胞シートSを内包したゲル化物Gを露出させた状態で保持することができる。そして、筒状部材ユニット23のスライド機構23aと押し出し部材ユニット27のカム溝27aとによる案内に従って連結部材29の位置を切り替えるだけで、貫通孔4内で細胞シートSを内包する溶液をゲル化させる場合の位置と、そのゲル化物Gを筒状部材3の一端の開口から突出させた状態で保持する場合の位置とに押し出し部材ユニット27を容易に設定することができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る観察容器および観察方法について説明する。
本実施形態に係る観察容器31は、図10に示すように、軸方向の両端が開口する貫通孔34を有する筒状部材33と、筒状部材33の一端に着脱可能に装着される貯留部材35とにより構成される点で第1実施形態と構成が異なる。
以下、第1実施形態に係る観察容器1および観察方法と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
筒状部材33は、略円筒状または略多角筒状の形態を有し、プラスチックを材料として射出成型で形成されている。この筒状部材33は、軸方向の一端に形成された開口33aと他端に形成された開口33bを有し、軸方向の他端には径方向外方に広がるフランジ部33cを有している。また、この筒状部材33は、貫通孔34が、一端の開口33aに向かって先細になるテーパ状に形成されている。
貯留部材35は、筒状部材33の一端に装着された状態で貫通孔34に注入された試料および溶液を貯留可能な凹形状を有している。具体的には、貯留部材35は、軸方向の一端に開口する円柱状または多角柱状の穴36を有している。また、貯留部材35は、穴36を構成する壁部および底部の内面に非接着性表面処理が施されている。
次に、本実施形態に係る観察方法は、図11のフローチャートに示すように、筒状部材33の一端に貯留部材35を装着するステップSB1と、貯留部材35が装着された筒状部材33の穴36に試料と溶液を注入し、貯留部材35および筒状部材33の内部で試料を内包する溶液をゲル化または固体化させるステップSB2と、貯留部材35を取り外し、一端に突出するように保持されているゲル化または固体化物を露出させるステップSB3と、筒状部材33の一端から露出されたゲル化または固体化物に内包されている試料に対して、筒状部材33の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップSB4とを含んでいる。
このように構成された観察容器31および観察方法の作用について説明する。
本実施形態に係る観察容器31および観察方法により試料を観察するには、まず、図10(a)に示すように、筒状部材33の一端に貯留部材35を装着する(ステップSB1)。
次いで、筒状部材33の貫通孔34に他端の開口33bからアガロースゲル溶液を注入し、貯留部材35内でアガロースゲル溶液をゲル化させてゲル層L1を生成し、細胞培養のための環境(培養床)を提供する。
次いで、筒状部材33の貫通孔34に他端の開口3bから目的の細胞を注入するとともに、更に培養液とアルギン酸ナトリウムを注入してゲル層L1上に貯留し、細胞を培養して細胞シートSを形成する。
次いで、筒状部材33の貫通孔34に他端の開口3bからカルシウム溶液を注入し、アルギン酸ナトリウム溶液をゲル化させる(ステップSB2)。これにより細胞シートSがゲル層L1,L2に挟まれる。
次いで、筒状部材33のフランジ部3cをロボットハンド11で把持し、図10(b)に示すように、筒状部材33を上方に引き上げて貯留部材35を脱離させ、筒状部材33の一端に突出するように保持されているゲル化物Gを露出させる(ステップSB3)。貯留部材35の穴36を構成する底部や側部の内面に非接着性表面処理が施されているので、ゲル化物Gが貯留部材35から離間し易く、細胞シートSとゲル化物Gは筒状部材33に保持された状態で引き上げられる。
この場合において、筒状部材33の貫通孔34が、一端に向かって先細になるテーパ状に形成されているので、細胞シートSを内包したゲル化物Gは、筒状部材33の一端側よりも他端側の方が横断面積が広い形状となる。したがって、テーパ状に形成された筒状部材33の先細の一端の開口33aからゲル化物Gが抜け落ちるのを防止して保持することができる。
次いで、図10(c)に示すように、ロボットハンド11により、筒状部材33を顕微鏡可動ステージ13に搭載し、筒状部材33の貫通孔34の一端から突出するように保持されているゲル化物Gをガラスチャンバ19内の媒質溶液Wに浸漬させて、細胞シートSに対して筒状部材33の軸方向に直交する方向から照明光を照射する(ステップSB4)。
そして、照明光の入射平面に沿って細胞シートS内の蛍光物質が励起されることにより発生する蛍光を対物レンズ15により集光し、図示しない撮像素子により撮影する。これにより、細胞シートSにおける対物レンズ15の光軸に直交する断層像が得られる。
以上説明したように、本実施形態に係る観察容器31および観察方法によれば、貯留部材35および筒状部材33の貫通孔34内で細胞シートSを内包するゲル化物Gを形成した状態で貯留部材35を脱離させることにより、貯留部材35内で形成された細胞シートSを内包するゲル化物Gが筒状部材33の一端の開口33aから突出するように保持される。したがって、押し出し部材7を不要とするとともに、筒状部材33からゲル化物Gを突出させるように押し出す手間を省くことができる。
本実施形態においては、例えば、図12(a),(b)に示すように、筒状部材33の貫通孔34が、軸方向に交差する方向に突出する突起部34aを有することとしてもよい。このようにすることで、細胞シートSを内包したゲル化物Gと貫通孔34との摩擦力を増大することができる。これにより、筒状部材33の一端の開口3aからゲル化物Gが抜け落ちるのを抑制して保持することができる。図12(a),(b)に示す例では、貫通孔34の大きさが軸方向の全域にわたって一定の筒状部材33を例示している。貫通孔34の形状をテーパ状にしなくても、突起部34aによりゲル化物Gを保持することができる。また、貯留部材35の内壁面にテーパを設けてもよい。これにより、貯留部材35の取り外しを容易に行える。この場合、細胞シートSとの屈折率差を考慮して、例えば図12(b)に示すように、細胞シートS内での照明光が観察光軸に直交するように照明光の入射角を設定できる。
また、本実施形態においては、例えば、図13(a),(b)に示すように、筒状部材33が、貫通孔34の対向する内面間に架け渡される棒状のバー(架け渡し部材)37を有することとしてもよい。このようにすることで、バー37を浸漬させた状態で溶液をゲル化することにより、そのゲル化物Gがバー37に固定される。したがって、筒状部材33の一端の開口33aからゲル化物Gが抜け落ちるのを防止して保持することができる。
また、本実施形態においては、第2実施形態と同様に、筒状部材33と貯留部材35の組が複数配列されてなるマルチウエルプレートを構成することとしてもよい。このようにすることで、筒状部材33と貯留部材35の組の数だけ、細胞シートSを内包した溶液のゲル化物Gを露出させた状態で保持することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
また、上記各実施形態およびその変形例においては、溶液をゲル化させてゲル化物Gを生成する場合を例示して説明したが、これに代えて、細胞シート(試料)Sを内包する溶液を固体化して固体化物を生成することとしてもよい。
1,21,31 観察容器
3,33 筒状部材
4,34 貫通孔
5 閉塞部材
7 押し出し部材
7a 弾性部材(第1位置決め部)
7b フランジ部(第2位置決め部)
8 押圧部
8a 通過孔
23a スライド機構(第1ガイド部、位置決め機構)
27a カム溝(第2ガイド部、位置決め機構)
29 連結部材(位置決め機構)
34a 突起部
35 貯留部材
37 バー(架け渡し部材)

Claims (17)

  1. 軸方向の両端が開口する貫通孔を有する筒状部材と、
    該筒状部材の一端の前記開口を閉塞可能な閉塞部材と、
    前記筒状部材の前記貫通孔に他端の前記開口から挿入され、前記貫通孔の内部で試料を内包する溶液のゲル化または固体化物を前記閉塞部材を外した前記一端の前記開口から突出させるように押し出す押し出し部材とを備える観察容器。
  2. 前記押し出し部材が、前記貫通孔に嵌合状態に挿入されて前記ゲル化または固体化物に接触させられる接触部を有する請求項1に記載の観察容器。
  3. 前記押し出し部材が、前記貫通孔に挿入された状態で前記他端側から前記一端側に前記溶液が通過可能な通過孔を有する請求項1または請求項2に記載の観察容器。
  4. 前記貫通孔に挿入された前記押し出し部材を前記軸方向の所定の位置で位置決めする位置決め機構を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の観察容器。
  5. 前記位置決め機構が、前記筒状部材と前記押し出し部材とを連結する連結部材を有し、
    前記筒状部材が、前記軸方向に交差する方向に前記連結部材を案内する第1ガイド部を有し、
    前記押し出し部材が、前記第1ガイド部により前記連結部材を案内する方向に交差し、かつ、前記ゲル化または固体化物を押し出す方向に交差する方向に前記連結部材を案内する第2ガイド部を有し、
    前記連結部材が、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部による案内に従って移動することにより、前記貫通孔内に前記溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置と、前記ゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させた状態で保持する位置とに前記押し出し部材の位置を切り替える請求項4に記載の観察容器。
  6. 前記位置決め機構が、前記貫通孔内に前記溶液を貯留可能な貯留空間を形成する位置に前記押し出し部材を位置決めする第1位置決め部と、前記ゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させた状態で保持する位置に前記押し出し部材を位置決めする第2位置決め部とを備える請求項4に記載の観察容器。
  7. 前記閉塞部材が、前記一端の前記開口を閉塞する面の少なくとも一部に非接着性表面処理が施されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の観察容器。
  8. 前記筒状部材と前記閉塞部材の組が複数配列されてなる請求項1から請求項7のいずれかに記載の観察容器。
  9. 軸方向の両端が開口する貫通孔を有する筒状部材と、
    該筒状部材の一端に着脱可能に装着され、該一端に装着された状態で前記貫通孔に注入された試料および溶液を貯留可能な凹形状の貯留部材とを備え、
    前記筒状部材が、前記貫通孔および前記貯留部材の内部で前記溶液が前記試料を内包しつつゲル化または固体化した状態で前記貯留部材を脱離させることにより、前記試料を内包した前記溶液のゲル化または固体化物を前記一端の前記開口から突出させるように保持可能な観察容器。
  10. 前記筒状部材の前記貫通孔が、前記一端に向かって先細になるテーパ状に形成されている請求項9に記載の観察容器。
  11. 前記筒状部材の前記貫通孔が、前記軸方向に交差する方向に突出する突起部を有する請求項9に記載の観察容器。
  12. 前記筒状部材が、前記貫通孔の対向する内面間に架け渡される架け渡し部材を有する請求項9に記載の観察容器。
  13. 前記貯留部材が、前記凹形状の内面の少なくとも一部に非接着性表面処理が施されている請求項9から請求項12のいずれかに記載の観察容器。
  14. 前記筒状部材と前記貯留部材との組が複数配列されてなる請求項9から請求項13のいずれかに記載の観察容器。
  15. 一端が閉塞された筒状部材の内部に試料と溶液を注入し、前記試料を内包する前記溶液をゲル化または固体化させるステップと、
    前記筒状部材の前記一端を開放するステップと、
    前記筒状部材の内部で前記試料を内包する前記溶液のゲル化または固体化物を、開放した前記筒状部材の前記一端から突出させるように押し出すステップと、
    前記一端から突出するように押し出された前記ゲル化または固体化物に内包されている前記試料に対して、前記筒状部材の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップとを含む観察方法。
  16. 前記ゲル化または固体化物を押圧するための押し出し部材を前記筒状部材の内部に挿入し、前記筒状部材の前記一端側から前記押し出し部材における前記溶液が通過可能な通過孔を介して前記他端側にかけて前記溶液を充填させた状態で該溶液をゲル化または固体化させる請求項15に記載の観察方法。
  17. 軸方向の一端に凹形状の貯留部材が装着された筒状部材の内部に試料と溶液を注入し、前記貯留部材および前記筒状部材の内部で前記試料を内包する前記溶液をゲル化または固体化させるステップと、
    前記一端に装着された前記貯留部材を取り外し、前記一端に突出するように保持されている前記ゲル化または固体化物を露出させるステップと、
    前記筒状部材の前記一端から露出された前記ゲル化または固体化物に内包されている前記試料に対して、前記筒状部材の軸方向に交差する方向から照明光を照射するステップとを含む観察方法。
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