JP3886403B2 - 軟x線撮影用の試料容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、軟X線撮影用の試料容器に係り、特に、大気中、或いは、水中での生体試料の軟X線を用いた観察に際して好適に採用され得る軟X線撮影用の試料容器に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、可視光線や電子線の代わりにX線を用いたX線顕微鏡が知られており、なかでも、軟X線を用いた軟X線顕微鏡は、生きたままの生体試料を光学顕微鏡よりも高分解能で観察出来ることから、生体試料観察用の顕微鏡として注目されている。
【0003】
かかる軟X線顕微鏡は、軟X線を試料に照射し、試料を透過した軟X線をディテクタ(検出器)で検出することにより、試料内部の組成の違いに基づく軟X線の透過率の違いを利用して試料の観察を行うようになっている。また、略1〜10nmとされている軟X線の波長領域のなかでも、酸素の吸収端(略2.4nm)と炭素吸収端(略4.3nm)の間の所謂「水の窓」領域においては、水の吸収とたんぱく質の吸収とが大きく異なっており、特に、かかる領域の軟X線を利用することによって、可視領域では殆どコントラストがつかない生体試料を有利に観察することが出来る。
【0004】
ところで、軟X線は、大気による吸収が大きいことから、従来の軟X線顕微鏡では、一般に、軟X線光源からディテクタまでを真空チャンバ内に収容することにより、軟X線が通る部分を試料の配置領域を含めて真空雰囲気としていた。そこで、生体試料を真空に直接に晒さないために、例えば、特開平7−174898号公報等に記載されているように、窓枠材の顕微鏡窓部を薄膜で覆った窓材を一対用意すると共に、それら一対の窓材をスペーサを介して所定距離離隔せしめて対向配置し、スペーサと一対の窓材に設けられた薄膜により形成される空間に試料を収容配置する試料容器が提案されている。
【0005】
しかしながら、このような試料容器は、製造が面倒であると共に、繰り返し使用することに適していないという問題がある。また、かかる試料容器は、真空チャンバ内に収容配置されることから、顕微鏡窓部を覆う薄膜に対して耐圧性と軟X線に対する高い透過率が要求されることとなり、それら二つの要求を満たすためには、顕微鏡窓部の大きさを小さくしなければならず、それによって、観察できる生体試料の大きさが制限されるという問題があった。
【0006】
また、生体試料を直接に真空に晒さないために、軟X線光源とディテクタ(検出器)を、それぞれ、別々の真空チャンバ内に収容配置して、軟X線光源が収容された真空チャンバとディテクタ(検出器)が収容された真空チャンバの間に生体試料が収容された試料容器を配置する軟X線顕微鏡も提案されている。このような軟X線顕微鏡においては、試料容器が大気中に配置されることから、試料容器の取り扱いが簡便となり、試料の観察態様の選択自由度が大幅に向上される。
【0007】
ところが、かかる軟X線顕微鏡では、試料容器が大気中に位置せしめられていることから、軟X線が、少なくとも軟X線光源が収容配置された真空チャンバと試料容器の対向面間にある大気と、ディテクタ(検出器)が収容配置された真空チャンバと試料容器の対向面間にある大気を通ることとなり、上述のように真空チャンバ内に収容配置される試料容器をそのまま用いると、軟X線の透過率が著しく低下してしまうために、軟X線による観察を行うことが難しいという不具合があった。
【0008】
なお、このような軟X線顕微鏡に採用可能な試料容器として、特開平6−123800号公報には、容器基板に形成された貫通孔内に表面張力によって自己保持される水膜を形成し、かかる水膜内に生体試料を保持せしめる試料容器が提案されているが、かかる試料容器は、貫通孔内に形成された水膜の表面張力を利用していることから、生体試料を安定して保持することが難しいことに加えて、観察できる生体試料の大きさが制限されてしまうという問題があった。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、簡単な構造で製作性に優れており、特に、生体試料を大気中、或いは、水中で観察する際に好適に採用することが出来る、新規な構造の軟X線撮影用の試料容器およびかかる軟X線撮影用の試料容器の製造方法を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
先ず、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第一の態様は、厚さ方向に貫通した貫通孔を設けた本体プレートにおける厚さ方向一方の面に対して、軟X線を透過する薄肉のシート材が重ね合せられて固着されており、該シート材によって該貫通孔の一方の開口部が流体密に閉塞されることによって観察試料が収容配置される試料収容穴が形成されていることを、特徴とする。
【0012】
このような本態様に係る軟X線撮影用の試料容器においては、軟X線が透過せしめられる試料収容穴の底壁部が試料収容穴の周壁部を形成する本体プレートと別体形成されたシート材で構成されていることから、かかる底壁部の形成材料を本体プレートに要求される剛性や強度、更には製造コスト等による制約を受けることなく、選定することが出来ると共に、本体プレートを形成するための金型製作上の制限も受けることなく、例えば、カレンダ加工等のシート成形法によってかかる底壁部を充分に薄肉に形成することが可能となる。
【0013】
それ故、本態様に従う構造とされた軟X線撮影用の試料容器においては、軟X線の透過率が高い底壁部を備えた試料収容穴が有利に実現可能となるのであり、それによって、例えば、大気中で試料収容穴に収容された観察試料を観察する場合でも、軟X線の透過率の低下が充分に小さく抑えられ得て、軟X線による観察が有利に実現され得ることとなるのである。
【0014】
また、本態様においては、貫通孔の一方の開口部をシート材で流体密に閉塞することにより、観察試料を収容配置する試料収容穴が形成されていることから、観察試料が生体試料である場合には、試料収容穴内で生体試料を育成乃至は培養することも可能であり、試料収容穴に水等を収容せしめることにより水棲の生体試料にも対応することも出来る。そして、それによって、試料収容穴に収容された生体試料の育成や培養の過程を略リアルタイムに近い状態で観察することが可能となると共に、観察を行う毎に他の容器から移しかえる手間を省くことも出来る。
【0015】
なお、本態様において、軟X線を透過する薄肉のシートとしては、シート材を透過した後の軟X線の強度が、被検物の観察を可能とする程度のコントラスト影像を得ることが出来る程に大きいシート材が、軟X線の強度や投射する環境,観察対象等を考慮して、適宜に選択され得る。また、シート材肉厚寸法は、シート材を形成する材料の強度や歪等の物性の他、要求される特性等も考慮して変更やシート材の厚さ寸法の変更等によって、適宜に調節することが出来る。具体的には、本態様におけるシート材としては、ポリエステルやポリエチレンを主成分とするもの、或いは、6−ナイロン,66−ナイロン等の合成樹脂製のシート材が好適には、0.005〜0.015mmのシート厚さで採用される。
【0016】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記シート材が可視光線を透過する透明材であることを、特徴とする。このような本態様に係る軟X線撮影用の試料容器においては、観察試料を試料収容穴に収容した状態のままで、観察試料を光学顕微鏡で観察することが可能となることから、観察態様の自由度が向上される。なお、本態様における可視光線の透過率は、軟X線の透過率と同様、シート材を形成する材料の変更やシート材の厚さ寸法の変更等によって、調節することが出来る。
【0017】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記試料収容穴が複数設けられており、それら複数の試料収容穴が規則的に配列されていると共に、前記本体プレートの同一面に開口せしめられていることを、特徴とする。このような本態様に従う軟X線撮影用の試料容器においては、複数の観察試料の観察を有利に行うこと等も可能となり、多用な観察態様に広く対応することが出来る。
【0018】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記本体プレートが、少なくとも前記シート材よりも軟X線を透過し難い材料で形成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う軟X線撮影用の試料容器においては、本体プレートにおける軟X線の透過を抑えて、試料以外における軟X線の被曝を抑えることが可能となる。特に、本態様は、第三の態様と組み合わせて採用することが望ましく、それによって、隣接する試料収容穴に収容配置された他の観察試料の軟X線による被曝を有利に軽減乃至は防止することが出来るのである。
【0019】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記試料収容穴が複数設けられていると共に、隣接する該試料収容穴を仕切る隔壁部分に、軟X線を実質的に透過しないバリヤ部材が配設されていることを、特徴とする。このような本態様に従う軟X線撮影用の試料容器においては、隣接する試料収容穴に収容配置された観察試料への軟X線による被曝を一層有利に軽減乃至は防止することが出来るのである。
【0020】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記試料収容穴が複数設けられていると共に、それら複数の試料収容穴を識別するための符号が付されていることを、特徴とする。このような本態様に従う軟X線撮影用の試料容器においては、複数の観察試料を扱う場合において、それら複数の観察試料の識別が容易となる等という利点がある。
【0021】
また、本態様における識別符号としては、アルファベットや数字等の文字の他、凹凸等の適当な各種記号が何れも採用され得る。また、そのような符号は、本体プレートの外周縁部に設けることも可能であるが、例えば、シート材における貫通孔の開口部を閉塞している部分や試料収容穴の開口部付近において、軟X線の透過率の違いを利用したものが好適に採用され、それによって、軟X線による観察試料の観察時においても、各試料収容穴を容易に識別することが可能となる。
【0022】
また、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係る軟X線撮影用の試料容器において、前記試料収容穴の開口部を閉塞する蓋体が設けられており、該蓋体が可視光線を透過する透明材であることを、特徴とする。このような本態様に従う軟X線撮影用の試料容器においては、蓋体で試料収容穴の開口を覆うことにより試料収容穴に埃や塵等が入ることを有利に防止することが出来るのであり、例えば、試料収容穴に生体試料を収容させたままで育成や培養して一定時間毎に軟X線観察するような場合に、軟X線による観察の合間に試料収容穴に蓋体を被せて保護することが可能となる。また、本態様は、第二の態様と組みあわあせて採用することが望ましく、それによって、光学顕微鏡を用いた観察試料の観察を有利に行うことが出来る。
【0023】
また、軟X線撮影用の試料容器の製造方法に関する本発明の第一の態様は、軟X線撮影用の試料容器に関する本発明の第一乃至第七の何れかの態様に係る軟X線撮影用の試料容器の製造方法であって、(a)前記本体プレートに前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、(b)前記本体プレートの厚さ方向一方の面に前記シート材を重ね合わせて固着することにより、前記貫通孔の一方の開口部を流体密に閉塞して前記試料収容穴を形成する試料収容穴形成工程とを、含むことを、特徴とする。
【0024】
このような本態様に従えば、本発明に従う構造とされた軟X線撮影用の試料容器を容易に製造することが出来るのであり、また、本体プレートの形成後に貫通孔を穿孔形成することにより、試料収容穴の形状や寸法を、後から設定したり変更することも可能となり、複数種類の試料容器を製造するに際しても、製造コストを抑えることが出来るのである。
【0025】
また、軟X線撮影用の試料容器の製造方法に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る軟X線撮影用の試料容器の製造方法であって、前記貫通孔の一方の開口部が位置せしめられる前記本体プレートの厚さ方向一方の面に対して、該本体プレートと前記シート材を固着せしめる接着剤を塗布する接着剤塗布工程の後、前記貫通孔形成工程が行われることを、特徴とする。このような本態様に従えば、シート材において試料収容穴の底壁部を形成する部位への接着剤の付着が効果的に防止され得るのであり、それによって、試料収容穴に収容配置された観察試料や観察精度に対する接着剤の悪影響を回避することが出来るのである。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1及び図2には、本発明の一実施形態としての試料容器10が示されている。この試料容器10は、試料収容穴12に収容配置される図示しない観察試料としての生体試料を、軟X線顕微鏡で観察する際に用いられる。
【0028】
より詳細には、試料容器10は、本体プレートとしてのプレート14とシート材としての透過シート16によって構成されている。プレート14は、全体として矩形平板形状を有しており、透過シート16よりも軟X線に対する透過率が低い材料、特に、本実施形態では、厚いソリッド状のアクリル樹脂によって形成されている。また、本実施形態では、プレート14は、可視光線に対して透明とされている。更に、プレート14には、厚さ方向に略一定の円形断面で貫通する貫通孔18が複数個(本実施形態では96個)形成されており、特に本実施形態では、それら複数の貫通孔18は、縦方向(図1中上下方向)に8個の貫通孔18が等間隔に位置せしめられていると共に、横方向(図1中左右方向)に12個の貫通孔18が等間隔に位置せしめられている。要するに、本実施形態では、96個の貫通孔18が、8の行と12の列を構成するように規則的に配列されているのである。更に、隣接する貫通孔18の間隔は、6〜12mmにすることが望ましい。即ち、6mmより小さい間隔では、軟X線による被曝の影響があり、また、12mmより大きい間隔では、スペース的に無駄になるからである。なお、プレート14の外周縁部には、各貫通孔18を利用して形成される各試料収容穴12を識別するための記号が記されており、特に本実施形態では、図1中の上端縁部に数字が記されていると共に、図1中の左端縁部にアルファベットが記されている。
【0029】
一方、透過シート16は、ポリエステル等によって形成されており、プレート14の厚さ方向一方の面に対応した形状とされている。また、本実施形態では、透過シート16の厚さ寸法は、好ましくは5〜15μmとされている。それによって、本実施形態では、透過シート16を透過した後の軟X線の強度が生体試料の観察を可能とするコントラスト影像を得ることが出来る程度の大きさに設定されている。また、本実施形態では、透過シート16は、可視光線に対して透明とされている。
【0030】
そして、このような透過シート16がプレート14の厚さ方向一方の面に重ね合せられて固着されることにより、貫通孔18の一方の開口部が透過シート16によって流体密に閉塞されることとなり、それによって、貫通孔18と透過シート16で形成された試料収容穴12を複数備えた試料容器10が構成されている。
【0031】
このような構造とされた試料容器10は、試料収容穴12の底壁部を構成する透過シート16として、軟X線を透過する薄肉のシート材が採用されていることから、試料容器10を大気中に配置して試料収容穴12に収容される生体試料の観察を行う場合においても、軟X線の透過率の低下を有利に防止することが可能となり、それによって、生体試料の軟X線による観察を有利に行うことが出来るのである。
【0032】
また、本実施形態では、試料収容穴12の側壁部分を構成するプレート14と、試料収容穴12の底壁部分を構成する透過シート16が、それぞれ、可視光線に対して透明とされていることから、観察試料を試料収容穴12に収容した状態で、光学顕微鏡によって観察することも出来るのである。
【0033】
続いて、本実施形態の試料容器10の製造方法について、図3に基づいて、説明する。先ず、図3(a)に示されているように、射出成形や切削加工等によって成形されたプレート14を用意する。このプレート14の厚さ方向一方の面に対して、プレート14と透過シート16を接着せしめる接着剤20を塗布する接着剤塗布工程を行い、図3(b)に示されているように、厚さ方向一方の面に接着剤20が塗布されたプレート14を作成する。このように厚さ方向一方の面に接着剤20が塗布されたプレート14に対して、厚さ方向他方から厚さ方向に貫通する貫通孔18を形成する貫通孔形成工程を行い、図3(c)に示されているように、厚さ方向一方の面に接着剤20が塗布されていると共に、複数の貫通孔18が形成されているプレート14を作成する。続いて、図3(d)に示されているように、透過シート16をプレート14における接着剤20が塗布された厚さ方向一方の面に重ね合せてプレート14に接着し、プレート14に形成された貫通孔18の一方の開口部を流体密に覆蓋する。それによって、目的とする試料収容穴12を備えた試料容器10を形成することが出来るのである。
【0034】
ここにおいて、透過シート16は、例えば、所定の組成のポリエステルをダイを通して溶融押出し、予め20〜40℃程度に設定されたキャスティングドラム上にて急冷固化せしめることによって得られた未延伸フィルムを公知の条件で延伸し、その後、所定の形状に切断することにより、形成される。
【0035】
このような試料容器10の製造方法に従えば、目的とする試料容器10を容易に製造することが出来るのである。
【0036】
因みに、図4には、本実施形態の試料容器10の試料収容穴12に収容された観察試料としての魚を軟X線撮影装置により撮影した撮影像が示されている。この撮影像は、図5に示されているような軟X線撮影装置22によって撮影された。かかる軟X線撮影装置22は、X線制御装置24によって制御されるX線発生装置26で発生した軟X線を、スリット28を介して、試料台制御装置30によって制御される可動試料台に固定された試料容器10の試料収容穴12に収容された魚に照射して、かかる魚を透過した軟X線をディテクタ32で検出し、かかるディテクタ32で検出された軟X線による魚の撮影像をディテクタ32に設けられたCCDカメラ34で撮影し、その撮影像を、画像積算装置36および画像処理装置38で処理するようになっている。そこにおいて、本実施形態では、X線発生装置26に採用されているX線管球として、焦点が5〜7μmの微少焦点X線が採用されており、また、試料容器10は、大気中に位置せしめられている。なお、撮影時の管電圧は、20kVであった。
【0037】
図4に示された撮影像から明らかなように、本実施形態の試料容器10を採用することにより、軟X線による魚(生体試料)の撮影を有利に行うことが出来るのである。
【0038】
また、図6乃至図9には、魚の初期胚における骨形成の様子を、軟X線撮影装置によって観察した撮影像が示されている。そこにおいて、発生から23.5時間後の様子が撮影されている図6では、まだ、骨形成が始まっていないが、発生から24時間後の様子が撮影された図7及び図8では、図中の円で囲った部分において、骨形成の始まりを確認することが出来る。また、発生から25時間後の様子が撮影された図9では、図中の円で囲った部分において、骨形成が進んでいることを確認することが出来るのである。なお、図6乃至図9の撮影時における管電圧は、それぞれ、20kVであった。
【0039】
このことから明らかなように、本実施形態の試料容器を採用することにより、魚の初期胚における骨形成の様子を観察することも出来るのである。即ち、本実施形態の試料容器を採用することにより、試料収容穴に収容された生体試料の育成又は培養の過程を略リアルタイムに近い状態で観察することが出来るのである。それ故、他の容器で培養乃至は育成した生体試料を軟X線観察用の容器に移し変える手間を省くことが出来るのである。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について、詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0041】
例えば、前記実施形態では、試料収容穴12は略一定の円形断面で厚さ方向に延びるように形成されていたが、開口部側に行くに従って次第に拡径するテーパ形状とすることも可能であり、それによって、試料収容穴への観察試料の収容を容易に行うことが出来るのである。また、試料収容穴の断面形状や深さ寸法の大きさ等は、収容される観察試料の大きさに応じて、適宜に変更されるものであるが、観察試料が生体試料とされている場合には、試料収容穴に収容された生体試料の動きを拘束する程度の大きさとすることが望ましく、それによって、生体試料の観察を有利に実現することが出来る。更に、試料収容穴12の数も、前記実施形態のものに限定されない。更にまた、試料収容穴の断面形状も、円形に限定されることなく、例えば、楕円形状や矩形形状であっても良い。
【0042】
また、プレート14の形成材料や透過シート16の形成材料や厚さ寸法は、前記実施形態のものに限定されない。更に、プレート14の成形方法や透過シート16の成形方法は、前記実施形態のものに限定されず、例えば、プレート14の成形方法としては、押出成形や射出成形,圧縮成形等の各種成形方法が採用可能であり、透過シート16の成形方法としては、押出成形やインフレーション,注型,カレンダ加工,真空成形等の各種の成形方法が採用可能である。また、プレート14や透過シート16の形状は、前記実施形態のものに限定されることなく、例えば、円形状や多角形状等であっても良い。
【0043】
また、前記実施形態において、試料容器10における試料収容穴12が形成されていない部分に軟X線を実質的に透過しないバリヤ部材を埋めこむことも可能であり、それによって、複数の試料収容穴に観察試料が収容されている場合において、一つの観察試料を観察する際に、隣接する試料収容穴に収容されている観察試料の被曝を有利に防止することが出来る。そこにおいて、バリヤ部材は、試料収容穴を全周に亘って囲むようにして埋め込まれていることが望ましい。具体的には、例えば、円筒形状のバリヤ部材を試料収容穴に対して略同心的に位置せしめても良いし、或いは、格子状のバリヤ部材を採用し、かかる格子状のバリヤ部材によって形成された枠の中に試料収容穴を位置せしめても良い。また、バリヤ部材としては、鉛が好適に採用される。
【0044】
さらに、前記実施形態においては、各貫通孔18、即ち、各試料収容穴12を識別するための記号がプレート14の外周縁部に設けられていたが、例えば、透過シート16における貫通孔18の開口部を閉塞している部分に透過シート16の軟X線透過率と異なる軟X線透過率を有する材料によって記号を設けても良いし、或いは、試料収容穴12の開口部付近にプレート14の軟X線透過率と異なる軟X線透過率を有する材料によって記号を設けることも良い。それによって、軟X線による観察試料の観察時においても、各試料収容穴12を容易に識別することが出来るのである。
【0045】
また、前記実施形態において、各試料収容穴12の開口部を閉塞する蓋体を設けることも可能であり、それによって、試料収容穴12内に埃やゴミ等の異物が侵入することによる試料収容穴12に収容された観察試料の観察への悪影響を有利に防止することが出来るのである。
【0046】
さらに、前記実施形態では、プレート14及び透過シート16が、何れも、可視光線に対して透明とされていたが、それらプレート14や透過シート16は、可視光線に対して透明である必要はない。
【0047】
また、本発明において、本体プレートにおける貫通孔の形成は、本体プレートの成形と同時に行なうことも可能であるが、ドリル等で穿孔加工する他、レーザ等を用いて行なうことも可能であり、それによって、多様な形状の貫通孔を容易に形成することが出来る。
【0048】
さらに、本発明においては、本体プレートの厚さ方向一方の面への接着剤の付着は、貫通孔を形成した後に行なうことも可能であるが、貫通孔の形成前に行うことが望ましく、それによって、接着剤のはみ出しを容易に防止することが出来るのである。
【0049】
また、前記実施形態において、プレート14と透過シート16は、接着剤によって接着されていたが、熱や超音波等による融着でプレート14と透過シート16を固着しても良い。
【0050】
加えて、前記実施形態では、観察試料が魚の初期胚や魚とされていたが、本発明は、その他の各種生体試料や、或いは生体以外の試料を観察するための試料容器にも適用可能であることは、言うまでもない。
【0051】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0052】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた軟X線撮影用の試料容器においては、本体プレートに形成された貫通孔の一方の開口部を別体のシート材で流体密に閉塞せしめた特徴的な構造を採用したことにより、軟X線の透過率を極めて高く設定することが出来るのであり、それ故、例えば、大気中で試料収容穴に収容された観察試料の軟X線による観察を高精度に行うことが可能となる。
【0053】
また、本発明方法に従えば、本体プレートの成形が容易となることに加えて、目的とする形状の試料収容穴を高精度で且つ容易に形成することが可能となり、以て、目的とする本発明に従う構造とされた軟X線撮影用の試料容器を有利に製造することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての試料容器を示す平面図である。
【図2】図1におけるI−I断面図である。
【図3】図1に示された試料容器の製造工程を概略的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態の試料容器の収容穴に収容された魚の軟X線撮影装置による撮影像である。
【図5】軟X線撮影装置の概略を示す図である。
【図6】本実施形態の試料容器の試料収容穴に収容された魚の受精卵の発生から23.5時間後の様子を撮影した撮影像である。
【図7】本実施形態の試料容器の試料収容穴に収容された魚の受精卵の発生から24時間後の様子を撮影した撮影像である。
【図8】本実施形態の試料容器の試料収容穴に収容された魚の受精卵の発生から24時間後の様子を拡大して撮影した撮影像である。
【図9】本実施形態の試料容器の試料収容穴に収容された魚の受精卵の発生から25時間後の様子を拡大して撮影した撮影像である。
【符号の説明】
10 試料容器
12 試料収容穴
14 プレート
16 透過シート
18 貫通孔

Claims (9)

  1. 厚さ方向に貫通した貫通孔を設けた本体プレートにおける厚さ方向一方の面に対して、軟X線を透過する薄肉のシート材が重ね合せられて固着されており、該シート材によって該貫通孔の一方の開口部が流体密に閉塞されることによって観察試料が収容配置される試料収容穴が形成されていることを特徴とする軟X線撮影用の試料容器。
  2. 前記シート材が可視光線を透過する透明材である請求項1に記載の軟X線撮影用の試料容器。
  3. 前記試料収容穴が複数設けられており、それら複数の試料収容穴が規則的に配列されていると共に、前記本体プレートの同一面に開口せしめられている請求項1又は2に記載の軟X線撮影用の試料容器。
  4. 前記本体プレートが、少なくとも前記シート材よりも軟X線を透過し難い材料で形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の軟X線撮影用の試料容器。
  5. 前記試料収容穴が複数設けられていると共に、隣接する該試料収容穴を仕切る隔壁部分に、軟X線を実質的に透過しないバリヤ部材が配設されている請求項1乃至4の何れかに記載の軟X線撮影用の試料容器。
  6. 前記試料収容穴が複数設けられていると共に、それら複数の試料収容穴を識別するための符号が付されている請求項1乃至5の何れかに記載の軟X線撮影用の試料容器。
  7. 前記試料収容穴の開口部を閉塞する蓋体が設けられており、該蓋体が可視光線を透過する透明材である請求項1乃至6の何れかに記載の軟X線撮影用の試料容器。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の軟X線撮影用の試料容器の製造方法であって、
    前記本体プレートに前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記本体プレートの厚さ方向一方の面に前記シート材を重ね合わせて固着することにより、前記貫通孔の一方の開口部を流体密に閉塞して前記試料収容穴を形成する試料収容穴形成工程とを、
    含むことを特徴とする軟X線撮影用の試料容器の製造方法。
  9. 前記貫通孔の一方の開口部が位置せしめられる前記本体プレートの厚さ方向一方の面に対して、該本体プレートと前記シート材を固着せしめる接着剤を塗布する接着剤塗布工程の後、前記貫通孔形成工程が行われる請求項8に記載の軟X線撮影用の試料容器の製造方法。
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