JP2019026626A - 細菌芽胞の殺菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対し、優れた殺菌効果を有し、対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れる殺菌方法を提供する。【解決手段】式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択した1種または2種以上を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することを含む殺菌方法とする。[式中、Raおよびnは、明細書記載のものと同義である。]【選択図】なし

Description

本発明は、栄養型細菌のみならず細菌芽胞に対しても有効な殺菌方法に関する。
食品工場、セントラルキッチン、スーパー、飲食店等の食品を取扱う施設、あるいは業務用クリーニングやリネンサプライといった業務用洗濯の分野等においては、殺菌や消毒を目的として種々の消毒剤が使用されている。
かかる消毒剤としては、消毒用エタノール、イソプロパノール等のアルコール製剤;次亜塩素酸ナトリウム等の塩素製剤、ヨードチンキ、複方ヨードグリセリン、ポビドンヨード等のヨード製剤といったハロゲン化合物;オキシドール、過酢酸等の過酸化物製剤;塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤;グルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン塩;フェノール、クレゾール石鹸等のフェノール類;グルタラール、フタラール等のアルデヒド類などが一般的に用いられている。
しかしながら、上記した汎用される消毒剤のうち、アルコール製剤、陽イオン界面活性剤、両イオン性界面活性剤、クロルヘキシジン塩およびフェノール類は細菌芽胞に対してほとんど効果がなく、ひとたび細菌芽胞に汚染された場合、その除去は困難である。芽胞を形成する細菌には、バチルス(Bacillus)属、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルフォトマキュラム(Desulfotomaculum)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアネロバクター(Thermoanaerobacter)属などがあり、食中毒や食品腐敗あるいは感染症の原因となるため、その対策に頭を悩ませている業者は多い。
細菌芽胞の殺菌には、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度で長時間作用させる方法があるが、消毒対象物に対して腐食などの悪影響を及ぼすという問題がある。また、過酢酸あるいはグルタラール等のアルデヒド類はきわめて強力な消毒剤であり、細菌芽胞に対しても幅広く有効であるが、皮膚刺激性などの問題があり人体には適さないため、取扱いには注意が必要である。
かかる状況の下、細菌芽胞に対する殺菌効果を有し、より安全に使用できる組成物の探求が進められており、ポリヘキサメチレングアニジン塩と、天然アルコール系非イオン界面活性剤、脂肪酸アルキロールアミドエチレンオキシド付加物または酵素を併用する除菌洗浄剤(特許文献1)、ポリヘキサメチレングアニジン塩、珪酸塩、炭素数12〜24の第2級アルコールのアルキレンオキシド付加物、および炭素数6〜8の第1級アルコールのアルキレンオキシド付加物を含有する殺菌洗浄剤組成物(特許文献2)が耐熱性芽胞形成菌に対して殺菌効果を有することが開示されている。
また、1重量%を超える高濃度の第4級アンモニウム塩を含む組成物を用いて、30℃〜80℃で表面を処理することにより、枯草菌およびスポロゲネス菌の芽胞を減少させ得ること(特許文献3)や、可食性の酸を添加した、ダイマー型ビス第四級アンモニウム塩の溶液を加温または超音波照射しながら接触させる細菌芽胞の殺菌方法(特許文献4)も開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された除菌洗浄剤の除菌効果は、適宜希釈された被験薬物を加えた培地に、一定量の試験菌体を接種して37℃で18〜20時間培養し、試験菌体の発育が認められるか否かにより評価され、特許文献2に記載された殺菌洗浄剤組成物の殺菌効果は、枯草菌をSCD寒天培地にて35℃で24時間培養して形成されたコロニーから菌体を採取して調製した菌液を用いて評価されているため、これら特許文献の実施例に示された除菌効果または殺菌効果が、細菌芽胞に対する効果なのか栄養型細菌に対する効果なのかが明確ではない。
また、特許文献3に記載された組成物は、高濃度での使用を前提にしているため、実用上は環境への負荷や経済的な面での課題が残り、特許文献4に記載された殺菌方法では、加食性の酸を高濃度に配合するためpHが強酸性となること、超音波処理を加えることなどの点で、実施が困難な場合が多い方法である。
本発明者らは、種々の施設においても容易に適用することができ、人体、動物に対し安全で、かつ細菌芽胞に対しても効果の高い殺菌剤組成物として、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である殺菌剤組成物を提案した(特許文献5)。
特許文献5に開示した殺菌剤組成物は、作用が温和な殺菌剤を用いながら、細菌芽胞に対して有効な組成物であるが、アルカリ剤を含有し、強いアルカリ性を示すことから、たとえば、毛、絹等の動物性繊維を用いた製品の殺菌、洗浄には不向きである。
特開2002−047111号公報 特開2009−108184号公報 特表2008−504910号公報 特開平10−295785号公報 特開2016−160245号公報
そこで、本発明は、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対し優れた殺菌効果を有し、消毒、殺菌処理の対象物についてより制限が少なく、安全性および取扱い性に優れる殺菌方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、単独では細菌芽胞に対して殺菌効果を示さないポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)等ポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することにより、バチルス属等の細菌芽胞に対する殺菌効果が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することを含む、対象物の殺菌方法。
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
[2]ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、上記[1]に記載の殺菌方法。
[3]組成物のpHが6以上である、上記[1]または[2]に記載の殺菌方法。
[4]組成物のpHが8以上11以下である、上記[1]または[2]に記載の殺菌方法。
[5]組成物が、さらに非イオン界面活性剤の1種または2種以上を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の殺菌方法。
[6]加温もしくは加熱処理の温度が40℃以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の殺菌方法。
[7]加温もしくは加熱処理の温度が50℃以上85℃以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の殺菌方法。
[8]さらに対象物を洗浄することを含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の殺菌方法。
[9]対象物が繊維製品である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の殺菌方法。
[10]細菌芽胞の殺菌方法である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の殺菌方法。
本発明の殺菌方法は、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対して良好な殺菌効果を示す。
また、本発明の殺菌方法の対象については制限が少なく、安全性および取扱い性に優れるため、幅広い対象物の消毒、殺菌に有用である。
本発明の殺菌方法は、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することを含む。
本発明の殺菌方法において用いる組成物に含有されるポリアルキレンビグアナイド化合物は、下記の式(1)で示される。
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
上記式(1)において、Rで示される炭素数2〜8のアルキレン基には、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン(ヘキサメチレン)、ヘプチレン(ヘプタメチレン)、オクチレン(オクタメチレン)等の直鎖状のものの他、イソプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、ジメチルプロピレン、ジメチルブチレン等の分岐鎖状のものも含まれるが、直鎖状のアルキレン基が好ましい。また、細菌芽胞に対する殺菌効果の点からは、炭素数4〜8のアルキレン基が好ましく、ヘキサメチレン基が特に好ましい。なお、式(1)におけるnは2〜18であり、細菌芽胞に対する殺菌効果、取扱い性等を考慮すると、10〜14であることが好ましく、11〜13であることがより好ましい。
式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物は、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、または酢酸、乳酸、グルコン酸等の有機酸との塩の形態でも用いることができる。かかる塩の中では、塩酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩が好ましく、塩酸塩が最も好ましく用いられる。本発明の殺菌方法に用いる組成物には、式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より、1種または2種以上を選択して含有させる。
本発明において用いるポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩は既知化合物であり、公知の方法、たとえば英国特許第702,268号明細書等に記載された方法に従って製造したものを用いることができるが、市販の製品を用いてもよい。市販製品としては、「エクリンサイドBG」(理工協産株式会社製)、「プロキセルIB」(アーチ・ケミカルズ社製)、「ロンザバックBG」(ロンザジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明の殺菌方法に用いる組成物には、上記ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上は、使用時の最終的な濃度にして、通常0.001質量%〜1.0質量%、好ましくは0.005質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.01質量%〜0.1質量%含有される。
細菌芽胞に対する殺菌効果の観点から、本発明の殺菌方法に用いる組成物は、pH調整剤により、pHを6以上に調整することが好ましい。
組成物のpHが12であれば、後述するように、40℃10分程度の処理時間で、細菌芽胞に対して有効な殺菌効果が認められるが、人体等への安全性や対象物への影響を考慮すると、組成物のpHは、8以上11以下であることがより好ましい。
pH調整剤としては、6以上のpHに調整することができ、上記組成物に良好に混和し得るものであれば特に制限されず、炭酸およびその塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、リン酸およびその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等)等の無機酸およびその塩、酢酸およびその塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等)、乳酸およびその塩(乳酸ナトリウム等)、クエン酸およびその塩(クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等)等の有機酸およびその塩、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等)等の無機塩基等が挙げられる。
なお、上記pH調整剤としては、各社より提供されている市販の製品を使用することができる。
なお、本発明の殺菌方法に用いる組成物のpH値は、日本工業規格(JIS) K 3362:2008「8.3 pH値」または医薬部外品原料規格 2006「一般試験法 55.pH測定法」に準拠して測定される。
本発明の殺菌方法に用いる組成物が、後述するペースト状等の高粘性の形態で提供される場合や、ゲル状等の半固形状の形態で提供される場合には、たとえば25℃にて、pHメーターの電極を直接試料に刺すまたは押し当てて測定される。また、本発明の殺菌方法に用いる組成物が、粉末状、顆粒状等の固形状の形態で提供される場合には、たとえば該組成物を一般的な使用濃度で精製水に懸濁し、25℃で測定される。
また、本発明の殺菌方法に用いる組成物には、本発明の特徴を損なわない限り、該組成物に良好に混和し得るもので、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上とともに用いることにより、殺菌効果を向上させ得る成分を含有させることができる。
かかる成分としては、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール等の炭素数5〜10の直鎖または分岐鎖一価アルカノール;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等の炭素数5〜10のアルカンジオール;ゲラニオール、シトロネロール、テルピネン−4−オール、ネロール、メントール、ラバンジュロール、リナロール、ツジョール、ボルネオール等のモノテルペンアルコール;グアイオール、サンタロール、ネロリドール、ビサボロール等のセスキテルペンアルコール;スクラレオール、フィトール等のジテルペンアルコール;フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、2−フェニルエタノール(フェネチルアルコール)、1−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェノキシエタノール、3−フェノキシプロパノール等のフェニル基またはフェノキシ基により置換された炭素数が1〜3のアルカノール等が挙げられる。
本発明の殺菌方法に用いる組成物は、液状担体、ゲル状担体、エマルション、固体担体等を用いて、溶液、乳液、懸濁液等の液状、ペースト、ゲル、クリーム等の半固形状、粉末、顆粒、錠剤、カプセル等の固形状等の種々の形態で提供することができるが、短時間に多量の対象物または広範囲の対象物に作用させるには、液状の組成物とすることが好ましい。
液状担体としては、水;エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコールなどの有機溶媒を用いることができるが、対象物に対する腐食性等の取扱い性および経済性等を考慮すると、水または水と前記有機溶媒との混合物を用いることが好ましい。
本発明の殺菌方法においては、上記したポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することにより、対象物を殺菌する。
「組成物を用いて」とは、本発明の殺菌方法に用いる組成物を、本発明の方法の対象物に接触させることをいい、具体的には 、上記本発明の殺菌方法に用いる組成物が液状等の流動性を有する組成物である場合、対象物を該組成物に浸漬し、場合により撹拌したり、対象物に該組成物を塗布すること、および散布すること等が挙げられる。
また、上記本発明の殺菌方法に用いる組成物が半固形状または固形状である場合、対象物に混合すること、および塗布すること等が挙げられる。
本発明の殺菌方法では、加温もしくは加熱処理することにより、殺菌効果が向上し、より短時間で殺菌効果を発揮し得る。また、組成物のpHが、人体や対象物への影響の小さい中性付近のpHであっても、十分な殺菌効果を得ることができる。処理温度が高いほど殺菌効果が向上するが、対象物に対する影響を考慮すると、加温もしくは加熱処理の温度は、40℃以上とすることが好ましく、50℃以上85℃以下とすることがより好ましい。
加温もしくは加熱処理の方法 としては、対象物を浸漬した上記組成物を加温もしくは加熱する、上記組成物に浸漬し、または上記組成物を塗布、散布、混合等して接触させた対象物を、加温もしくは加熱された恒温室内に静置する等の方法が挙げられる。
また、加温もしくは加熱した上記組成物に対象物を浸漬し、または加温もしくは加熱した上記組成物を対象物に塗布、散布、混合等して接触させてもよい。
本発明の殺菌方法において、加温もしくは加熱処理の時間は、用いる組成物のpHおよび加温もしくは加熱処理の温度により適宜定められるが、対象物に対する影響や殺菌処理の効率を考慮すると、10分間〜90分間とすることが好ましく、10分間〜60分間とすることがより好ましい。
本発明の殺菌方法を適用し得る対象物としては、細菌芽胞が存在する可能性のある場所、または細菌芽胞に汚染されている可能性のある物が該当し、食品工場、セントラルキッチン、スーパーのバックヤード、飲食店の厨房などの食品を取扱う施設内の諸設備、食器、調理器具、食品加工、処理用の機器、装置等や、病院、ホテル、飲食店等、細菌芽胞が存在する可能性のある場所や施設内で着用され、または使用される白衣、ユニフォーム、帽子等の衣類やリネン類等およびその洗濯用の機器、装置等が好適な例として挙げられる。
上記したように、本発明の殺菌方法は、腐食性の高い薬剤を用いることなく、また、殺菌剤を高濃度で用いる必要もなく、温和な条件での殺菌処理が可能である。また、本発明の殺菌方法は殺菌効果に優れ、細菌芽胞に対しても有効である。
従って、特に細菌芽胞に汚染される可能性の高い衣類やリネン類等、繊維製品の殺菌に適する。
本発明の殺菌方法は、上記したように、細菌芽胞に対する殺菌効果に優れる。
芽胞形成細菌としては、バチルス アンスラシス(Bacillus anthracis)(炭疽菌)、バチルス セレウス(Bacillus cereus)(セレウス菌)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)(枯草菌)、バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス シュードマイコイデス(Bacillus pseudomycoides)等のバチルス(Bacillus)属に属する細菌、アリサイクロバチルス アシドテレストリス(Alicyclobacillus acidoterrestris)、アリサイクロバチルス アシドフィルス(Alicyclobacillus acidiphilus)、アリサイクロバチルス ハーバリウス(Alicyclobacillus herbarius)等のアリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属に属する細菌、ブレビバチルス コシネンシス(Brevibacillus choshinensis)等のブレビバチルス(Brevibacillus)属に属する細菌、ゲオバチルス サーモデニトリフィカンス(Geobacillus thermodenitrificans)、ゲオバチルス カルドキシロシリティカス(Geobacillus caldoxylosilyticus)、ゲオバチルス ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)等のゲオバチルス(Geobacillus)属に属する細菌、パエニバチルス ボルテックス(Paenibacillus vortex)、パエニバチルス フクイネンシス(Paenibacillus fukuinensis)等のパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する細菌、スポロラクトバチルス イヌリナス(Sporolactobacillus inulinus)、スポロラクトバチルス ラエビス(Sporolactobacillus laevis)等のスポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する細菌、クロストリジウム テタニ(Clostridium tetani)(破傷風菌)、クロストリジウム ボツリヌム(Clostridium botulinum)(ボツリヌス菌)、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(ウェルシュ菌)、クロストリジウム ノビィ(Clostridium novyi)、クロストリジウム セプティクム(Clostridium septicum)(ガス壊疽菌群)、クロストリジウム ディフィシレ(Clostridium difficile)、クロストリジウム サーモセラム (Clostridium thermocellum )、クロストリジウム ブチリカム (Clostridium butyricum )、クロストリジウム アセトブチリクム (Clostridium acetobutylicum )等のクロストリジウム(Clostridium)属に属する細菌、デスルフォトマキュラム ニグリフィカンス(Desulfotomaculum nigrificans)、デスルフォトマキュラム サーモアセトキシダンス(Desulfotomaculum thermoacetoxidans)、デスルフォトマキュラム サーモベンゾイカム subsp. サーモベンゾイカム(Desulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermobenzoicum)、デスルフォトマキュラム サーモベンゾイカム subsp. サーモシントロフィカム(Desulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermosyntrophicum)、デスルフォトマキュラム サーモシステルナム(Desulfotomaculum thermocisternum)、デスルフォトマキュラム サーモサポボランス(Desulfotomaculum thermosapovorans)、デスルフォトマキュラム サーモサブテラネウム(Desulfotomaculum thermosubterraneum)等のデスルフォトマキュラム(Desulfotomaculum)属に属する細菌、ムーレラ サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ グリセリネ(Moorella glycerine)、ムーレラ ムルデリ(Moorella mulderi)、ムーレラ サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)等のムーレラ(Moorella)属に属する細菌、サーモアネロバクター マスラニイ(Thermoanaerobacter mathranii)、サーモアネロバクター アセトエチリカス(Thermoanaerobacter acetoethylicus)、サーモアネロバクター ブロキイ(Thermoanaerobacter brockii)、サーモアネロバクター セルロリティカス(Thermoanaerobacter cellulolyticus)、サーモアネロバクター エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、サーモアネロバクター イタリカス(Thermoanaerobacter italicus)、サーモアネロバクター キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、サーモアネロバクター シデロフィラス(Thermoanaerobacter siderophilus)、サーモアネロバクター スルフロフィラス(Thermoanaerobacter sulfurophilus)、サーモアネロバクター サーモコプリエ(Thermoanaerobacter thermocopriae)、サーモアネロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus)、サーモアネロバクター ウィエジェリイ(Thermoanaerobacter wiegelii)等のサーモアネロバクター(Thermoanaerobacter)属に属する細菌等が挙げられる。
本発明の殺菌方法は、これらの栄養型細胞のみならず、芽胞に対しても良好な殺菌効果を示す。
さらに本発明の殺菌方法は、対象物を洗浄することを含み得る。
対象物の洗浄は、本発明の殺菌方法に用いる組成物にさらに洗浄剤を含有させることにより、殺菌処理とともに行ってもよく、本発明の殺菌方法による殺菌処理を行った後に、洗浄剤により洗浄を行ってもよい。
洗浄剤としては、各種界面活性剤を用いることができる。
かかる界面活性剤としては、第1級〜第3級の脂肪アミン塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩等の陽イオン界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル(たとえば、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等)、ショ糖脂肪酸エステル(たとえば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル等)、ソルビタン脂肪酸エステル(たとえば、ラウリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン)等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(たとえば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(たとえば、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル)等のエーテル型界面活性剤;脂肪酸ポリエチレングリコール(たとえば、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール等)、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン(たとえば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)等のエステルエーテル型界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド(たとえば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド等)等のアルカノールアミド型界面活性剤;たとえば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド等のアルキルグルコシド型界面活性剤;たとえば、オクタノイル−N−メチルグルカミド、ヤシ油脂肪酸アシルメチルグルカミド等のアシルグルカミド型界面活性剤等の非イオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン(たとえば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)等のアルキルベタイン型界面活性剤;N−アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(たとえば、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等)等のアミノカルボン酸型界面活性剤;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタイン型界面活性剤;N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン(たとえば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)等のアルキルスルホベタイン型界面活性剤;2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型界面活性剤;N,N−ジメチルアルキルアミンN−オキシド(たとえば、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシド等)等のアルキルアミンオキシド型界面活性剤等の両イオン性界面活性剤などを用いることができる。
かかる界面活性剤のうち、ポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩と併用した際に殺菌効果の向上効果が得られることから、非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を用いることがより好ましい。
また、洗浄剤には、増泡、製剤安定性の向上、着色、着香等を目的として、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等の金属イオン封鎖剤;塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩;色素;香料などを添加してもよい。
対象物を洗浄することを含む本発明の殺菌方法は、食品工場、セントラルキッチン、スーパーのバックヤード、飲食店の厨房などの食品を取扱う施設内の諸設備の消毒、殺菌および洗浄、食器、調理器具、食品加工、処理用の機器、装置などの消毒、殺菌および洗浄、病院、ホテル、飲食店等、細菌芽胞が存在する可能性のある場所や施設内で着用され、または使用される白衣、ユニフォーム、帽子等の衣類やリネン類等およびその洗濯用の機器、装置等の消毒、殺菌および洗浄など、細菌芽胞が存在する可能性のある場所、または細菌芽胞に汚染されている可能性のある物の消毒、殺菌および洗浄などに幅広く用いることができる。
対象物を洗浄することを含む本発明の殺菌方法は、腐食性の高い薬剤を用いることなく、また、殺菌剤を高濃度で用いる必要もなく、温和な条件での殺菌洗浄処理が可能である。また、対象物を洗浄することを含む本発明の殺菌方法は殺菌、洗浄効果に優れ、細菌芽胞に対しても有効である。
従って、特に細菌芽胞に汚染される可能性の高い衣類やリネン類等の繊維製品の殺菌、洗浄に適する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下において、「%」は特に記載のない限り、質量%を意味する。
[実施例1〜3、比較例1〜6]
表1に示す各成分を順次イオン交換水に添加溶解し、表1に示すpHに調整して、実施例1〜3および比較例1〜6の各殺菌処理用組成物を調製した。
[試験例1]細菌芽胞に対する殺菌効果の評価
(1)供試芽胞
供試菌として、バチルス セレウス(Bacillus cereus) ATCC14579を用い、下記の通り調製した芽胞を使用した。
細菌芽胞は、供試菌を液体ブイヨン培地で24時間培養後、1/2濃度の標準寒天培地に塗抹して、偏光顕微鏡(「ECLIPSE E600」、株式会社ニコン製)下にて、観察される細菌の90%以上で芽胞形成が確認されるまで、2〜3週間培養した。次いで培地上に冷滅菌水を加えコンラージ棒で培地表面のコロニーを回収し、数回冷滅菌水で遠心分離して洗浄した後、80℃で10分間加熱処理し氷水で急冷し、さらに冷滅菌水で数回遠心分離して洗浄し、芽胞数が10〜10 Colony Forming Unit(CFU)/mLとなるように調製し、冷凍保存した。
(2)試験方法
供試芽胞を10〜10CFU/mLとなるように滅菌水で希釈し、芽胞懸濁液とした。各芽胞懸濁液1mLと、表1に示す各殺菌処理用組成物9mLとを混合した後、表1に示す温度にて表1に示す時間それぞれ処理した。なお、表1中、殺菌処理用組成物中の各成分についての数値は、芽胞懸濁液と混合した後の終濃度(%)を示す。
次いで、芽胞懸濁液および殺菌処理用組成物の混合液の0.5mLを、レシチン・ポリソルベート80加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCDLP)ブロス4.5mLに加え、順次10倍段階希釈を行った。この段階希釈液各0.1mLをSCDLP寒天培地平板に塗抹し、35℃で、48時間培養した。
培養後、培地上に発育したコロニー数から、各殺菌処理後の菌数を算出し、接種した菌数との差(Δlog10CFU/mL)により、各殺菌剤組成物の芽胞に対する殺菌効果を評価した。
本評価においては、Δlog10 CFU/mLが3.0以上である場合に、細菌芽胞に対する殺菌効果があると評価した。
(3)結果
実施例1〜3および比較例1〜6の殺菌処理用組成物を用いて加温もしくは加熱処理を行った場合の、供試芽胞に対する殺菌効果の評価結果を表1に併せて示した。
表1に示されるように、実施例1〜3の殺菌処理用組成物を用いて、40℃〜80℃で10分間処理した場合には、Δlog10CFU/mL値は3.0以上となっており、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を含有する組成物を用いて、8〜12のpHで加温もしくは加熱処理することにより、細菌芽胞に対して殺菌効果が得られることが認められた。
一方、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を含有しない組成物を用いた場合は、2.0〜12.0のいずれのpHで加熱処理(80℃で10分または60分)を行っても、細菌芽胞に対する殺菌効果は認められなかった。
[実施例4〜10、比較例7〜12]
表2に示す各成分を順次イオン交換水に添加溶解し、表2に示すpHに調整して、実施例4〜10および比較例7〜12の各殺菌処理用組成物を調製した。実施例4および9の各組成物は、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩の他に洗浄剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を含有する。
[試験例2]試験布に接種した細菌芽胞に対する殺菌効果の評価
(1)供試芽胞
供試芽胞は、上記試験例1の場合と同様に調製した。
(2)試験布の調製
5gのポリソルベート80および炭酸ナトリウム5gを水に溶解し、希釈して1000 mLとしたものを湿潤剤として用いた。この湿潤剤を2.5mLと、炭酸ナトリウム2.5gとを水に溶解して、5Lの洗浄液を調製した。
綿布(かなきん3号)を4〜5Lの上記洗浄液に入れ、1時間煮沸した。微量の湿潤剤を取り除くため、水を替えてさらに約5分間煮沸した。さらに、5Lの冷水で約5分間撹拌した後、自然乾燥させた。
乾燥後の綿布を2cm×2cmの大きさに裁断し、オートクレーブにて121℃で20分間滅菌処理した後、乾燥器で乾燥させて試験布とした。
(3)試験方法
供試芽胞を10CFU/mLとなるように滅菌水に懸濁し、供試芽胞懸濁液とした。
プラスチックシャーレに試験布5枚を重ならないように置き、試験布1枚につき、供試芽胞懸濁液0.02mLを接種してプラスチックシャーレの蓋を閉め、35℃の恒温槽内で1時間静置し、試験布を乾燥させた。
次いで、上記試験布5枚を、80℃に保持した実施例および比較例の各殺菌処理用組成物20mL中に入れ、ゆっくりと(300rpmで)撹拌しながら、80℃で10分間処理した。
上記処理の後、各試験液から試験布を取り出して、それぞれフタ付容器に入れたレシチン・ポリソルベート80加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCDLP)ブロス20mL中に入れ、1分間撹拌し、SCDLPブロスにより、前記撹拌液の10倍段階希釈を行った。この段階希釈液各0.1mLをSCDLP寒天培地平板に塗抹し、35℃で、48時間培養した。
培養後、培地上に発育したコロニー数を測定し、各殺菌処理用組成物にて処理した試験布に存在する生菌数を算出した。
なお、対照として、0.05(w/v)%のポリソルベート80水溶液を用い、同様に処理した。
実施例4〜10および比較例7〜12の各殺菌処理用組成物で処理した場合の生菌数(対数値)と、対照で処理した場合の生菌数(対数値)との差(Δlog10CFU/試験布)を求めた。本試験においては、「洗濯用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法(洗剤・石けん公正取引協議会)」による評価方法に準拠し、Δlog10CFU/試験布が2.0以上である場合に、細菌芽胞に対する殺菌効果があると評価した。
(4)結果
実施例4〜10および比較例7〜12の殺菌処理用組成物を用いて加温もしくは加熱処理を行った場合の供試芽胞に対する殺菌効果の評価結果を、表2に併せて示した。
表2に示されるように、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩あるいはさらに洗浄剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を含有する組成物を用いて、6〜11のpHで80℃にて10分間処理することにより、細菌芽胞に対して有効な殺菌効果が得られたことが認められた。
特に、非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを洗浄剤として含有する実施例4の殺菌処理用組成物を用いた場合、pHが6.0で、80℃で10分間という加熱処理によっても、細菌芽胞に対し十分な殺菌効果が得られた。
一方、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩も洗浄剤も含有しない組成物を用いた場合は、80℃で10分間の加熱処理を行っても、細菌芽胞に対する殺菌効果は認められなかった。
以上詳述したように、本発明により、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対して有効で、対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れる殺菌方法を提供することができる。

Claims (10)

  1. 式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上を含有する組成物を用いて、対象物を加温もしくは加熱処理することを含む、対象物の殺菌方法。
    [式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
  2. ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 組成物のpHが6以上である、請求項1または2に記載の殺菌方法。
  4. 組成物のpHが8以上11以下である、請求項1または2に記載の殺菌方法。
  5. 組成物が、さらに非イオン界面活性剤の1種または2種以上を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  6. 加温もしくは加熱処理の温度が40℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  7. 加温もしくは加熱処理の温度が50℃以上85℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  8. さらに対象物を洗浄することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  9. 対象物が繊維製品である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の殺菌方法。
  10. 細菌芽胞の殺菌方法である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の殺菌方法。
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