JP2019026623A - 膜構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水に対する飽和溶解度よりも高い溶解度を実現する難水溶性物質含有組成物の新たな製造方法の提供。【解決手段】(A)難水溶性物質を含有する膜構造体の製造方法であって、(A)難水溶性物質、(B)両親媒性物質、及び(C)水性媒体を含有する混合液を調製する工程と、前記混合液を100〜200℃で水熱処理する工程を含み、前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度が、水(25℃)に対する飽和溶解度以上であり、且つ、(A)難水溶性物質に対する(B)両親媒性物質の質量比[(B)/(A)]が4.0以上、100.0以下である、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、難水溶性物質を含有する膜構造体の製造方法に関する。
水に難溶解性の物質は、生体吸収性が低い、ハンドリング性が悪いという問題がある。
そこで従来、難水溶性物質の溶解性を改善する技術が検討され、例えば、水性媒体の存在下、難水溶性のポリフェノール類とカテキン類等の水溶性ポリフェノールを100〜180℃で加熱処理して、水に対する飽和溶解度より高い溶解度を実現する難水溶性のポリフェノール類含有組成物を製造する方法(特許文献1)が提案されている。
特開2013−13392号公報
しかし、本発明者の検討の結果、特許文献1の方法は、難水溶性物質の種類によっては、溶解性を改善しても、依然として、十分な溶解性が得られない場合があること、具体的には、難水溶性物質のlogP値が高くなるにつれ、溶解性改善後も溶解度が低くなる傾向があることを見出した。
本発明は、水に対する飽和溶解度よりも高い溶解度を実現する難水溶性物質含有組成物の新たな製造方法を提供することに関する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、水(25℃)に対する飽和溶解度以上の濃度の難水溶性物質と、両親媒性物質と、水性媒体とを含み、且つ当該難水溶性物質と両親媒性物質の質量比が所定の範囲である混合液を調製し、これを100〜200℃の温度範囲で水熱処理すると、意外にも、両親媒性物質が水性媒体中で形成する膜構造体に難水溶性物質を内包させることができ、室温下においても高濃度の難水溶性物質を可溶化することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)難水溶性物質を含有する膜構造体の製造方法であって、(A)難水溶性物質、(B)両親媒性物質、及び(C)水性媒体を含有する混合液を調製する工程と、前記混合液を100〜200℃で水熱処理する工程を含み、前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度が、水(25℃)に対する飽和溶解度以上であり、且つ、(A)難水溶性物質に対する(B)両親媒性物質の質量比[(B)/(A)]が4.0以上、100.0以下である、製造方法を提供するものである。
本発明によれば、難水溶性物質を高濃度で可溶化することができ、難水溶性物質の溶解性を改善することができる膜構造体が提供される。
本発明は、難水溶性物質を含有する膜構造体の製造方法であって、(A)難水溶性物質、(B)両親媒性物質、及び(C)水性媒体を含有する混合液を調製する工程と、前記混合液を100〜200℃で水熱処理する工程を含み、前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度が水(25℃)に対する飽和溶解度以上であり、且つ、(A)難水溶性物質に対する(B)両親媒性物質の質量比[(B)/(A)]が4.0以上、100.0以下である、製造方法である。
以下、本明細書において、水の温度は、特に明記しない限り、25℃である。
本明細書において(A)難水溶性物質とは、水(25℃)に対する飽和溶解度が0.1質量%以下の物質を意味する。本発明では、水への飽和溶解度が0.07質量%以下の物質が好ましく適用できる。
また、本発明では、(B)両親媒性物質、(C)水性媒体とともに100〜200℃で水熱処理した際に、水熱処理温度での飽和溶解度が、25℃における水に対する飽和溶解度の2.0倍以上である難水溶性物質が好ましく、更には4.0倍以上である物質が好ましく適用できる。
ここで溶解度は、溶液100g中に溶解している溶質の質量の比率を表し、単位は[質量%]である。
また、本発明では、(A)難水溶性物質として、logP値が−0.40以上の物質が好ましく適用できる。logP値は、1−オクタノール/水分配係数の常用対数をとった値である。logP値は、有機化合物の疎水性を示す指標で、この値が正に大きい程疎水性が高いことを表す。
(A)難水溶性物質のlogP値は、本発明の効果が有効に発揮される点から、好ましくは0.0以上である。
(A)難水溶性物質としては、分子内に疎水性部位として芳香族炭化水素環を有するものが好ましい。
具体的には、フェノール類、ポリフェノール類が挙げられる。(A)難水溶性物質は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
芳香族炭化水素環を有する難水溶性物質としては、芳香族炭化水素環にヒドロキシル基が1個結合したフェノール類、更に2個以上結合したポリフェノール性物質が好ましく適用できる。例えば、植物由来のフラボノイド、タンニン、フェノール酸、フラバノノール誘導体等が挙げられる。より好ましく適用できるフェノール類又はポリフェノール類としては、フラボノール類、フラバノン類、フラボン類、イソフラボン類、アントシアニジン類、ヒドロキシケイ皮酸誘導体、エラグ酸、リグナン、クルクミン類等が挙げられる。
具体的には、ケルセチン、フィセチン、ルチン、ケルシトリン、イソケルシトリン、ミリシトリン、ミリセチン等のフラボノール類;ヘスペリジン、ネオヘスペレチン、ヘスペレチン、ナリンギン、ナリンゲニン等のフラバノン類;スダチチン、リンゲニン、プルニン、アストラガリン、ケンフェロール、アピイン、アピゲニン、ノビレチン等のフラボン類;大豆イソフラボン、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、グリシチン、ゲニステイン、ゲニスチン等のイソフラボン類;デルフィニジン、デルフィン、ナスニン、ペオニジン、ペオニン、ペツニン、ペオニジン、マルビジン、マルビン、エニン、シアニジン、ロイコシアニジン、シアニン、クリサンテミン、ケラシアニン、イデイン、メコシアニン、ペラルゴニジン、カリステフィン等のアントシアニジン類;フェノールカルボン酸類、レスベラトロール等のヒドロキシケイ皮酸誘導体;エラグ酸;セサミン等のリグナン;クルクミン等のクルクミン類が挙げられる。
フェノールカルボン酸類としては、フェルラ酸、カフェ酸、p−クマル酸等が挙げられる。
フラバノノール誘導体としては、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン等が挙げられる。
ポリフェノール類に塩や水和物が存在する場合は、それらも含む。また、ポリフェノール類には、アグリコンのみならずアグリコンに糖が結合した配糖体が含まれる。例えば、ヘスペリジンは、ヘスペレチン(5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)の7位の水酸基にルチノース(L−ラムノシル−(α1→6)−D−グルコース)がβ結合した配糖体であり、アピインは、アピゲニンにアピオース及びグルコースが結合した配糖体、ルチンは、ケルセチンにルチノースが結合した配糖体、ケルシトリンは、ケルセチンにラムノースが結合した配糖体である。但し、本発明において好ましく適用できる難水溶性のポリフェノール類としては、本発明の効果が有効に発揮される点から、このような配糖体ではなくアグリコン型のポリフェノール類である。
本発明で用いられる(B)両親媒性物質は、分子内に疎水性部位と親水性部位を有する物質である。(B)両親媒性物質は、(C)水性媒体中で分子の疎水性部位または疎水性物質を中心にして会合(分子集合)し、ミセル、二分子膜又はこれが幾重にも重なった多層膜等の膜構造体を形成する。
(B)両親媒性物質は、水(25℃)に対する飽和溶解度が、(A)難水溶性物質の水(25℃)に対する飽和溶解度以上であることが好ましく、(A)難水溶性物質の水(25℃)に対する飽和溶解度より10質量倍以上であることがより好ましい。
(B)両親媒性物質の水(25℃)に対する飽和溶解度は、好ましくは0.6質量%以上である。
(B)両親媒性物質としては、疎水性部位として炭化水素基を有するものが好ましい。炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数は8〜22が好ましく、10〜20がより好ましい。
(B)両親媒性物質としては、水中で膜構造体を形成する脂質、ステロール類、界面活性剤(前記脂質及びステロール類を除く)が挙げられる。(B)両親媒性物質は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
水中で膜構造体として脂質二重膜を形成する脂質の例としては、リン脂質、糖脂質、これらの脂質にアミノ基、第4級アンモニウム基等が導入されたカチオン性脂質、これらの脂質にポリアルキレングリコールが導入されたポリアルキレングリコール修飾脂質、セラミド類等の複合脂質が挙げられる。なかでも、脂質二重膜の安定性の点から、リン脂質が好ましく、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールがより好ましく、ホスファチジルコリンを使用することが更に好ましい。
また、水中で膜構造体としてミセルを形成する脂質の例としてはリン脂質、糖脂質のリゾ体が挙げられる。
リン脂質は、動植物から抽出、精製した天然物であっても、化学合成したものであってもよく、水素添加、水酸化処理等の加工を施したものであってもよい。
例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール等のグリセロリン脂質;スフィンゴミエリン、セラミドシリアチン等のスフィンゴリン脂質;大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆レシチン水素添加物、卵黄レシチン水素添加物等が挙げられる。
糖脂質としては、例えば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリド等のグリセロ糖脂質;ガラクトシルセラミド、ラクトシルセラミド、ガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質が挙げられる。
セラミド類としては、例えば、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、さらにこれらのN−アルキル体等が挙げられる。
リン脂質のリゾ体としては、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジン酸等が挙げられる。
糖脂質のリゾ体としては、リゾガングリオシド等が挙げられる。
これら脂質を構成するアルキル基としては、飽和又は不飽和の直鎖炭化水素鎖が挙げられる。なかでも、炭素数12〜18の飽和又は不飽和炭化水素が好ましく、炭素数14〜18の飽和又は不飽和炭化水素が更に好ましい。
ステロール類としては、例えば、コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールコハク酸、コレスタノール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール等の動物由来ステロール;シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の植物由来ステロール;チモステロール、エルゴステロール等が挙げられる。
界面活性剤としては、イオン性界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、バイオサーファクタント等が挙げられる。
アニオン界面活性剤は、親水性部位として負電荷の親水基を有する。このような親水基としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、エトキシ硫酸エステル塩、エトキシ酢酸エステル塩、リン酸エステル塩等が挙げられる。
具体的には、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤は、親水性部位として正電荷の親水基を有する。このような親水基としては、例えば、第一級、第二級又は第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的には、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アシルアミノアルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
両性界面活性剤の親水基は正電荷と負電荷の両方を有する。
両性界面活性剤としては、例えば、アミドベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、アルキルベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は電荷のない親水基を有する。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン鎖を有するもの;ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ブチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、また、好ましくは20以下であり、より好ましくは17以下である。
本明細書においてHLBは、小田・寺村らによる無機性値、有機性値からHLBを算出することができる。
無機性値、有機性値から算出されるHLBは、具体的にはHLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10により計算される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定(例えば、甲田善生著、「有機概念図―基礎と応用―」11頁〜17頁、三共出版 1984年発行参照)されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のHLBが算出される。
尚、2種以上の非イオン性界面活性剤から構成される場合のHLBは、次式のように、各非イオン性界面活性剤のHLB値をその配合質量比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
(式中、HLBxは、非イオン性界面活性剤XのHLB値を示し、Wxは、HLBxの値を有する非イオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。)
エチレンオキサイド(EO)鎖をもつ界面活性剤を用いる場合、エチレンオキサイド付加モル数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上であり、また、好ましくは250以下、より好ましくは160以下、更に好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、更に好ましくは50以下、更に好ましくは25以下、更により好ましくは18以下である。
また、界面活性剤の脂肪酸部分、アルキル部分、アルキレン部分及びアルケニル部分の炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、更により好ましくは18以下である。
高分子界面活性剤は、親水性骨格と疎水性側鎖から構成されるもの、疎水性骨格と親水性側鎖から構成されるもの、親水性ブロックと疎水性ブロックから構成されるものが挙げられる。
バイオサーファクタントは、植物、動物又は微生物由来のものが挙げられる。
界面活性剤は、実用場面における生体との相互作用の点から、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上を使用することが好ましく、非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上を使用することがより好ましい。
更に、膜構造体には、必要に応じて、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等)、抗酸化剤(トコフェロール、アスコルビルパルミテート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、荷電物質(飽和又は不飽和脂肪族アミン等)、膜タンパク質等を用いてもよい。
本発明で用いられる(C)水性媒体とは、水、及び有機溶媒の水溶液をいう。水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、精製水が例示される。水は、塩類、糖類、pH調整剤等の溶質を含むものであってもよい。
有機溶媒は、水と均一に混合するものであれば特に限定されず、一価アルコールとしてはプロパノール、エタノール、二価アルコールとしてはブチレングリコール、プロピレングリコール、三価アルコールとしてはグリセリン等を好ましく利用できる。
有機溶媒は、膜構造体の安定性の観点より、使用量を少なくすることが望ましい。水溶液中の有機溶媒の濃度は、0〜60質量%が好ましく、更に0〜30質量%がより好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、0〜1質量%が更に好ましく、実質的に0質量%、すなわち有機溶媒を含まないのが更に好ましい。
本発明の(A)難水溶性物質を含有する膜構造体は、製造工程中に多量の有機溶媒を用いずに製造可能である。有機溶媒を用いなければより経口摂取に利用する際の安全性に優れ、当該膜構造体の飲食品への使用に好適である。
本発明では、(A)難水溶性物質、(B)両親媒性物質、及び(C)水性媒体を含有する混合液を調製する。
前記混合液(25℃)のpHは、装置の腐食の観点からpH1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。また、難水溶性物質の安定性の観点からpH12以下が好ましく、pH10以下が好ましく、pH9.0以下がより好ましい。
前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度は、水(25℃)に対する飽和溶解度以上である。混合液の水熱処理にあたって、混合液中の(A)難水溶性物質の濃度は、水に対する飽和溶解度(25℃)の10質量倍以上であることが(A)難水溶性物質の可溶化量を多くできる点で好ましい。
前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度は、その種類によって異なるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限は特に限定されるものではないが、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
前記混合液中の(B)両親媒性物質の含有量は、(B)両親媒性物質の分子が会合し、膜構造体を形成する濃度以上であり、その種類によって異なるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。上限は特に限定されるものではないが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
また、前記混合液中の(A)難水溶性物質に対する(B)両親媒性物質の含有質量比[(B)/(A)]は、4.0以上、100.0以下である。後記実施例に示すように、混合液における(A)難水溶性物質と(B)両親媒性物質の質量比が所定の範囲であると、(A)難水溶性物質の可溶化量を多くできる。斯かる質量比[(B)/(A)]は、(A)難水溶性物質の溶解性向上及び溶解安定性の点から、好ましくは4.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは10.0以上、更に好ましくは12.0以上、更に好ましくは14.0以上である。また、経済性の観点から(B)両親媒性物質の使用量は少ないほど好ましいため、好ましくは50.0以下、より好ましくは40.0以下、更に好ましくは30.0以下、更に好ましくは20.0以下である。
前記混合液を水熱処理する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。本明細書において水熱処理は、水が存在する状態で行う加熱処理である。
水熱処理は、閉鎖系内で行うことが好ましい。閉鎖系とは、水熱処理の間に(A)難水溶性物質や(B)両親媒性物質、(C)水性媒体の添加や除去が行われない密閉された系をいうが、完全な密閉状態である必要はなく、前記混合液の水熱処理が行われればよい。例えば、オートクレーブや耐圧耐熱容器等を用いることができる。
水熱処理の温度は、100℃〜200℃であるが、(A)難水溶性物質の溶解性の点から、好ましくは101℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、また、熱安定性の点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは160℃以下である。
なお、本発明において、水熱処理の温度とは、前記混合液を加熱する熱源の温度をいう。
水熱処理時の圧力は、水の飽和蒸気圧以上に設定するのが好ましい。また背圧弁により加圧する場合、ゲージ圧力で0〜10MPaが好ましい。ゲージ圧力は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.2MPa以上、更に好ましくは0.25MPa以上、更に好ましくは0.3MPa以上であり、また、好ましくは8MPa以下であり、より好ましくは6MPa以下、更に好ましくは4MPa以下、更に好ましくは2MPa以下、更に好ましくは1.5MPa以下である。なお、ゲージ圧とは、大気圧を0MPaとした圧力である。加圧には、ガスを用いてもよく、用いられるガスとしては、例えば、不活性ガス、水蒸気、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
水熱処理は、例えば、回分法、半回分法、流通法等いずれの方法によっても実施できる。なかでも、流通法は、水熱処理時間の制御が容易である点で好ましい。なお、本発明において、水熱処理の時間とは、前記混合液を100℃以上の熱源に接触開始した時点を起算点とし、 水熱処理液を90℃以下の冷媒に接触開始した時点を終点とする時間をいう。
水熱処理の時間は処理方法によって適宜選択してよく、回分式の場合、溶解性向上の点から、1.0分以上が好ましく、3.0分以上が更に好ましく、4.0分以上が更に好ましく、5.0分以上が更に好ましく、熱安定性の点から、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、10分以下が更に好ましい。
流通法で行う場合、水熱処理の時間は、加熱装置の高温高圧部の体積を前記混合液の供給速度で割ることにより算出される平均滞留時間を用いる。流通式の場合の水熱処理時間は、溶解性向上の点から、0.1分以上が好ましく、0.3分以上がより好ましく、0.5分以上が更に好ましく、1.0分以上が更に好ましい。熱安定性の点から、5分以下が好ましく、3分以下がより好ましく、2分以下が更に好ましい。
流通法で行う場合の水の流速は、加熱装置の体積によって異なるが、例えば、加熱部分の体積が500Lの場合、15〜5,000L/分が好ましく、更に30〜2,500L/分が好ましく、更に60L/分〜1,000L/分が好ましい。
水熱処理後は、水熱処理液を90℃以下まで冷却する工程を含むことが好ましい。水熱処理液の冷却温度(冷媒温度)は、後述する冷却速度の点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下である。また、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上である。
冷却は多段階的に行っても良い。例えば、95℃まで冷却後、いったん冷却を中断し、更に90℃以下まで冷却しても良い。
水熱処理の温度から90℃まで低下するのに要した時間から算出される水熱処理液の冷却速度は、0.2℃/s以上、更に0.5℃/s以上、更に0.8℃/s以上が好ましい。冷却速度が大きいほど(A)難水溶性物質の熱安定性の点で好ましい。このため、冷却速度の上限は特に定めないが、製造設備の制約等の観点から、例えば100℃/s以下、更に50℃/s以下が好ましい。
また、本発明では、保存性の点から、水熱処理液を冷却した後、水分を除去して、粉末状、顆粒状、固形状等の固体物の状態とすることもできる。水分を調整、除去する手段としては、凍結乾燥、蒸発乾固、噴霧乾燥等が挙げられる。これらの方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。
かくして(A)難水溶性物質を含有する膜構造体が得られる。当該膜構造体は、(A)難水溶性物質の水に対する飽和溶解度より高い溶解度を実現する。従って、当該膜構造体を用いることにより、(A)難水溶性物質の経口吸収性の向上、また、(A)難水溶性物質の高い生理活性発現が期待できる。
また、当該膜構造体は、水熱処理中に内部に取り込まれた難水溶性物質を冷却後も保持するため、冷却後においては、(A)難水溶性物質の同一組成の溶媒に対する飽和溶解度以上の溶解性を維持する。従って、本発明は、冷却後に、(A)難水溶性物質の水に対する飽和溶解度と比較した際の優位性がより明確になる。
そして、室温25℃まで冷却した際の(A)難水溶性物質を含有する膜構造体における(A)難水溶性物質の溶解度は、同一組成の溶媒に対する飽和溶解度(25℃)に対して、好ましくは1.1倍以上である。
(A)難水溶性物質を含有する膜構造体は、(B)両親媒性物質の親水性部位が外側(水側)に、疎水性部位が内側を向いて分子集合した膜構造を有する粒子である。(A)難水溶性物質は膜内部に含まれると推察される。当該構造体における膜は、ミセル、二分子膜又はこれが幾重にも重なった多層膜のいずれでもよい。
(A)難水溶性物質を含有する膜構造体の形態としては、水性媒体に分散した形態として、リポソーム(ベシクル)、ミセル(球状、円盤状、棒状、紐状等)、O/W型エマルション、W/O/W型エマルション等が挙げられる。生体適合性が高い点、表面特性の制御が容易である点から、好ましくはリポソーム、O/W型エマルションである。当該膜構造体における(B)両親媒性物質の数(会合数)は、その種類によって異なる。
ここで、(A)難水溶性物質を(B)両親媒性物質の分子集合した構造体への内封しやすさの観点から、(B)両親媒性物質の疎水性部位のサイズ(nm)に対する(A)難水溶性物質の分子サイズ(nm)の比は、2以下であることが好ましく、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下である。このサイズ比率である場合、(A)難水溶性物質が(B)両親媒性物質の分子集合した構造体よりも小さいため、内封がより容易となる。なお、本明細書における物質のサイズとは、分子モデリングソフトウェアChemBio3D 15.1(パーキンエルマー・インフォマティクス製)を用い推定した値を言う。
(A)難水溶性物質を含有する膜構造体の平均粒子径は、適宜調節することができるが、例えば、リポソーム、O/W型エマルションの場合、分散性の観点から40〜1,000nmの範囲であることが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
(A)難水溶性物質を含有する膜構造体の投与経路は、経口の他、経腸、経鼻、経粘膜、経皮、輸液、注射等の非経口が挙げられる。
(A)難水溶性物質を含有する膜構造体は、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品等の様々な分野に使用可能であり、とりわけ、水系の製品に利用するのが有用である。
例えば、飲食品としては、飲料、パン類、麺類、クッキー等の菓子類、スナック類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、粉末コーヒー等のインスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、調味料、栄養補助食品等の液状、固形状又は半固形状の飲食品が挙げられる。
また、医薬品又は医薬部外品としては、例えば、錠剤(チュアブル錠等を含む)、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤等の経口固形製剤;内服液剤、シロップ剤等の経口液状製剤;注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等の非経口製剤が挙げられる。
また、化粧品としては、洗浄料、化粧水、メイクアップ用化粧料、日焼け止め用化粧料、ニキビ用化粧料、デオドラント用化粧料、美白用化粧料、洗髪剤、育毛剤等が挙げられる。
[原材料]
(難水溶性物質)
・ケルセチン(Cayman社製、ケルセチン含有量97質量%)
・フィセチン(東京化成株式会社、フィセチン含有量90質量%)
・ヘスペレチン(和光純薬工業株式会社製、ヘスペレチン含有量96質量%)
・レスベラトロール(東京化成株式会社、レスベラトロール含有量99質量%)
・クルクミン(和光純薬工業株式会社製、クルクミン含有量95質量%)
・ルチン(東京化成株式会社製、ヘスペリジン濃度90質量%)
・ヘスペリジン(東京化成株式会社製、ヘスペリジン濃度90質量%)
なお、実施例表中、水溶解度[質量%]とあるのは、各物質の水(25℃)に対する飽和溶解度を示す。
(両親媒性物質)
・大豆リン脂質(SLP−PC70、辻製油株式会社製、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上、主要な疎水性部位=アルキル基、炭素数18、不飽和)
・大豆ホスファチジルコリン(コートソームNC20、日油株式会社製、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上、主要な疎水性部位=アルキル基、炭素数18、不飽和)
・大豆リゾリン脂質(SLP−LPC70、辻製油株式会社製、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上主要な疎水性部位=アルキル基、炭素数18、不飽和)
・ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(エマゾール L−120V、花王株式会社製、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上、疎水性部位=アルキル基、炭素数12、飽和)
・ポリオキシエチレン(60)ソルビタンモノステアレート(エマゾール S−120V、花王株式会社、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上、疎水性部位=アルキル基、炭素数18、飽和)
・ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレエート(エマゾール O−120V、花王株式会社、水(25℃)に対する飽和溶解度=6質量%以上、疎水性部位=アルキル基、炭素数18、不飽和)
(水溶性ポリフェノール)
・エピガロカテキンガレート(デアビゴ、DSM社製)
[難水溶性物質の測定]
難水溶性物質を含む液を、0.1mol/Lの酢酸−ジメチルスルホオキシド溶液で適宜希釈、溶解し試料を調製した。各難水溶性物質の測定は、高速液体クロマトグラフ(Prominence、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。
移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液はアセトニトリルとし、試料注入量は10μLで行った。グラジエントの条件は、以下のとおりである。 時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0.0 85 15
20.0 80 20
22.0 10 90
35.0 10 90
35.1 85 15
40.0 85 15
また、各難水溶性物質の検出波長は以下のとおりである。
ケルセチン 370nm
フィセチン 370nm
ヘスペレチン 283nm
レスベラトロール 310nm
クルクミン 370nm
ルチン 370nm
ヘスペリジン 283nm
[logP値の測定]
日本工業規格 Z7260−107記載のフラスコ振盪法に従って測定した。まず1−オクタノールと蒸留水を25℃で24時間振とうして平衡化させた。次いで蓋付きガラス瓶に試料10mgを量りとり、平衡化させた1−オクタノールと蒸留水をそれぞれ4mLずつ加え、25℃で4日間振とうした。遠心分離により1−オクタノール相と水相を分け、HPLCにより各相の試料の濃度を測定した。2相間の分配係数の常用対数を取った値をlogP値とした。
[難水溶性物質の水への飽和溶解度の測定]
過剰量の難水溶性物質とイオン交換水(25℃)を混合し、25℃で6時間以上混合した。その後孔径0.2μmのセルロースアセテート製フィルターを通過させ、未溶解の固形分を除いた。フィルターを通過した濾液に含まれる難水溶性物質を前述の高速液体クロマトグラフによって定量し、難水溶性物質の水への飽和溶解度とした。
[水に可溶化した難水溶性物質量の測定]
難水溶性物質を含む液(25℃)を、孔径0.2μmのセルロースアセテート製フィルターを通過させ、未溶解の固形分を除いた。フィルターを通過した濾液に含まれる難水溶性物質を前述の高速液体クロマトグラフによって定量し、水に可溶化した難水溶性物質の濃度とした。
[両親媒性物質の水への溶解度の測定]
両親媒性物質とイオン交換水(25℃)を混合し、25℃で6時間以上混合した。その後孔径0.2μmのセルロースアセテート製フィルターを通過させ、未溶解の固形分を除いた。フィルターを通過した濾液を計量済みのアルミ皿に添加し、添加量を記録した。これを90℃の電気乾燥機で6時間以上乾燥し、水分を除去した。その後アルミ皿と残存した固形分の合計質量を計量した。計量値を元に、次の式からろ液の両親媒性物質の濃度を計算し、水への溶解度とした。
(乾燥後のアルミ皿と固形分の合計質量g−アルミ皿の質量g)/アルミ皿に添加したろ液量g
[(A)難水溶性物質の分子サイズの推定]
(A)難水溶性物質のサイズは実測が困難なことから、分子モデリングソフトウェアChemBio3D 15.1(パーキンエルマー・インフォマティクス製)を用い推定した。物質の構造式を描写し、SpaceFittingで表示した後、MM2Dynamicsにて立体配座の安定性を考慮した3次元構造とした。その後、構造内における最も遠い原子間の距離を、分子サイズとした。
[(B)両親媒性物質の分子内疎水性部位サイズの推定]
(B)両親媒性物質の疎水性部位のサイズは実測が困難なことから、分子モデリングソフトウェアChemBio3D 15.1(パーキンエルマー・インフォマティクス製)を用い推定した。疎水性部位の構造式を描写しSpaceFittingで表示した後、構造内における最も遠い原子間の距離を、分子内の疎水性部位サイズとした。
[平均粒子径の測定]
膜構造体の粒子径の測定は、動的光散乱式粒度分布測定装置ELSZ−2000(大塚電子株式会社製)を用いて行った。ここで平均粒子径とは、体積基準の累積粒度分布において、累積値が50%(d50)に相当する粒子径をいう。
実施例1 ケルセチンの水可溶化
(1)大豆リン脂質10gを、490gのイオン交換水と混合した。混合物を70℃に加温しつつ、ホモミキサー(LABOLUTION、プライミクス株式会社製)を用い、70℃、8000r/minで20分間処理し室温に冷却し、平均粒子径132nmのリポソーム水分散液を得た。
(2)あらかじめ調整した大豆リン脂質の水分散液10gと、難水溶性物質としてケルセチンを、表1に示す仕込み濃度となるよう、容量15mLの耐圧耐熱瓶(ACE GLASS社製)に添加し、密栓した。混合物を25℃にて30分間震盪した。
次いで、耐圧耐熱瓶を120℃に加熱したオイルバス中で、7分間浸漬しつつ撹拌し、飽和蒸気圧で水熱処理した(平均滞留時間7分)。その後、耐圧耐熱瓶を氷水中で、3分間浸漬しつつ撹拌、冷却し、ケルセチン含有リポソーム分散液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
実施例2
加熱温度150℃とした以外は実施例1と同様にしてケルセチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
実施例3〜7
両親媒性物質として大豆ホスファチジルコリン(PC)を用い、表1に示す条件とした以外は実施例1と同様にしてケルセチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
比較例1
容量15mLの耐圧耐熱瓶(ACE GLASS社製)内で、エピガロカテキンガレート製剤(EGCg)とケルセチンを、表1に示す仕込み濃度となるよう、蒸留水10gに添加し、密栓した後25℃にて30分間震盪した。次いで、耐圧耐熱瓶を120℃に加熱したオイルバス中で、7分間浸漬しつつ撹拌し、飽和蒸気圧で水熱処理した(平均滞留時間7分)。その後、耐圧耐熱瓶を氷水中で、3分間浸漬しつつ撹拌、冷却し、反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
比較例2
加熱温度150℃とした以外は比較例1と同様にして反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した結果を表1に示す。
Figure 2019026623
実施例8〜9 フィセチンの水可溶化
難水溶性物質としてフィセチンを用い、表2に示す条件とした以外は実施例1と同様にしてフィセチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したフィセチンの濃度を測定した。
実施例10〜17及び比較例3
両親媒性物質として大豆ホスファチジルコリン(PC)を用い、表2に示す条件とした以外は実施例8と同様にしてフィセチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したフィセチンの濃度を測定した。
実施例18〜21
両親媒性物質として大豆リゾリン脂質を用い、表2に示す条件とした以外は実施例8と同様にしてフィセチン含有ミセル分散液を得た(ミセルの平均粒子径 2.8nm)。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したフィセチンの濃度を測定した。
比較例4及び5
難水溶性物質としてフィセチンを用い、表2に示す条件とした以外は比較例1と同様にして反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したフィセチンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したフィセチンの濃度を測定した結果を表2に示す。
Figure 2019026623
実施例22 ヘスペレチンの水可溶化
難水溶性物質としてヘスペレチンを用いた以外は実施例1と同様にしてヘスペレチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペレチンの濃度を測定した。
実施例23
加熱温度150℃とした以外は実施例22と同様にしてヘスペレチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペレチンの濃度を測定した。
比較例6及び7
難水溶性物質としてヘスペレチンを用い、表3に示す条件とした以外は比較例1と同様にして反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペレチンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したヘスペレチンの濃度を測定した結果を表3に示す。
Figure 2019026623
実施例24 レスベラトロールの水可溶化
難水溶性物質としてレスベラトロールを用いた以外は実施例1と同様にしてレスベラトロール含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したレスベラトロールの濃度を測定した。
実施例25
加熱温度150℃とした以外は実施例24と同様にしてレスベラトロール含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したレスベラトロールの濃度を測定した。
比較例8及び9
難水溶性物質としてレスベラトロールを用い、表4に示す条件とした以外は比較例1と同様にして反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したレスベラトロールの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したレスベラトロールの濃度を測定した結果を表4に示す。
Figure 2019026623
実施例26 クルクミンの水可溶化
難水溶性物質としてクルクミンを用いた以外は実施例1と同様にしてクルクミン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したクルクミンの濃度を測定した。
実施例27
加熱温度150℃とした以外は実施例26と同様にしてクルクミン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したクルクミンの濃度を測定した。
比較例10及び11
難水溶性物質としてクルクミンを用い、表5に示す条件とした以外は比較例1と同様にして反応液を回収した。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したクルクミンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したクルクミンの濃度を測定した結果を表5に示す。
Figure 2019026623
実施例28 ルチンの可溶化
難水溶性物質としてルチンを用いた以外は実施例1と同様にしてルチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したルチンの濃度を測定した。
実施例29
加熱温度150℃とした以外は実施例28と同様にしてルチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したルチンの濃度を測定した。
比較例12
加熱をせず25℃で30分間浸漬しつつ撹拌した以外は実施例1と同様にしてルチン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したルチンの濃度を測定した。
実施例30 ヘスペリジンの可溶化
難水溶性物質としてヘスペリジンを用いた以外は実施例1と同様にしてヘスペリジン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペリジンの濃度を測定した。
実施例31
加熱温度150℃とした以外は実施例30と同様にしてヘスペリジン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペリジンの濃度を測定した。
比較例13
加熱をせず25℃で30分間浸漬しつつ撹拌した以外は実施例1と同様にしてヘスペリジン含有リポソーム分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したヘスペリジンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したルチン、ヘスペリジンの濃度を測定した結果を表6に示す。
Figure 2019026623
実施例32〜実施例34 ケルセチンの可溶化
両親媒性物質として表7に示した量の界面活性剤を用いた以外は実施例1と同様にしてケルセチン含有ミセル分散液を得た。
25℃で1時間静置した後、水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した。
仕込み、処理条件と水に可溶化したケルセチンの濃度を測定した結果を表7に示す。
Figure 2019026623
表1〜7より明らかなように、本発明の方法によれば、難水溶性物質を膜構造体に内包することができ、当該難水溶性物質を水溶解度以上に可溶化できた。特にケルセチン、フィセチン、ヘスペレチン、レスベラトロール、クルクミン等のlogP値が0以上の難水溶性物質は水溶性ポリフェノールを用いて可溶化した比較例よりも溶解度が高く、溶解性が飛躍的に向上することが確認された。また、ルチン、ヘスペリジン等のlogP値が0未満の難水溶性物質についても、冷却後においては、飽和溶解度(比較例12及び13の溶解度)以上の溶解性を維持するよう可溶化できた。

Claims (13)

  1. (A)難水溶性物質を含有する膜構造体の製造方法であって、(A)難水溶性物質、(B)両親媒性物質、及び(C)水性媒体を含有する混合液を調製する工程と、前記混合液を100〜200℃で水熱処理する工程を含み、前記混合液中の(A)難水溶性物質の濃度が、水(25℃)に対する飽和溶解度以上であり、且つ、(A)難水溶性物質に対する(B)両親媒性物質の質量比[(B)/(A)]が4.0以上、100.0以下である、製造方法。
  2. (A)難水溶性物質が、水(25℃)に対する飽和溶解度が0.1質量%以下である物質である請求項1記載の製造方法。
  3. (B)両親媒性物質の水(25℃)に対する飽和溶解度が、(A)難水溶性物質の水(25℃)に対する飽和溶解度以上である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. (A)難水溶性物質が、logP値が0.0以上である物質である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. (B)両親媒性物質の疎水性部位のサイズに対する(A)難水溶性物質の分子サイズの比が2以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. (A)難水溶性物質が、分子内に疎水性部位として芳香族炭化水素環を有する物質である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. (B)両親媒性物質が、分子内に疎水性部位として炭化水素基を有する物質である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. (A)難水溶性物質が、難水溶性のフェノール類及びポリフェノール類から選ばれる1種以上の物質である請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
  9. (B)両親媒性物質が、水中で膜構造体を形成する脂質、ステロール類、及び界面活性剤(前記脂質及びステロール類を除く)から選ばれる1種以上の物質である請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. (B)両親媒性物質が、リン脂質である請求項1〜9のいずれか1項記載の製造方法。
  11. 前記界面活性剤が、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤である請求項9記載の製造方法。
  12. 膜構造体が、リポソーム又はミセルである請求項1〜11のいずれか1項記載の製造方法。
  13. 水熱処理が閉鎖系で行われる請求項1〜12のいずれか1項記載の製造方法。
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