JP2019025197A - 一体発泡パッド - Google Patents

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芳朋 小林
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Abstract

【課題】シート構造に凹状の小物入れを簡便に形成できるようにすること。
【解決手段】着座者の荷重を弾性的に受け止めるクッションパッド10と、クッションパッド10を被覆するクッションカバー20と、が一体的に成形されるシートクッション3(一体発泡パッド)において、シートクッション3の表面部には、同表面部の一般面3Bから凹む開口形状の凹部3Aが設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、一体発泡パッドに関する。詳しくは、着座者の荷重を弾性的に受け止めるシートパッドと、シートパッドを被覆するシートカバーと、が一体的に成形される一体発泡パッドに関する。
従来、乗物用シートにおいて、シートクッションの着座面上に凹状に窪んだ小物入れが形成された構成が知られている(特許文献1)。上記小物入れは、シートパッドに形成された凹部内に容器状に形作られた樹脂部品が嵌め込まれた状態にセットされて、同凹部に臨むシートカバーの端末が上述した樹脂部品の周囲部に止着されることで見栄え良く覆い隠された状態に処理された構成とされている。
特開2012−30755号公報
上記従来技術では、小物入れの形成のために、樹脂部品を別途用意して組み付けなければならない煩雑な構成となっている。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シート構造に凹状の小物入れを簡便に形成できるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の一体発泡パッドは次の手段をとる。
第1の発明は、着座者の荷重を弾性的に受け止めるシートパッドと、シートパッドを被覆するシートカバーと、が一体的に成形される一体発泡パッドにおいて、一体発泡パッドの表面部には、同表面部の一般面から凹む開口形状の凹部が設けられているものである。
この第1の発明によれば、一体発泡パッドの表面部に部分的な凹部を設けるという簡便な構成により、樹脂部品等の別部品を用いることなく、シート構造に凹状の小物入れを合理的に形成することができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、次の構成とされているものである。凹部の開口近傍に、凹部の内部に張り出す張出部位を備える。
この第2の発明によれば、凹部の開口近傍に張出部位を設けることにより、凹部に差し込まれた容器のホールド性を高めるなどの機能向上を簡便に図ることができる。
第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、次の構成とされているものである。凹部の内周面が、シートカバーに接ぎ合わされた凹縫製部によって形成されている。
この第3の発明によれば、凹部をシートカバーに接ぎ合わされた凹縫製部によって一般面から落ち込み良く凹ませた形に形成することができる。
実施例1の一体発泡パッドの概略構成を表した斜視図である。 図1の平面図である。 図2のIII-III線断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
《一体発泡パッド(シートクッション3)の概略構成について》
始めに、実施例1の一体発泡パッド(シートクッション3)が適用されたシート1の構成について、図1〜図3を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、シート1の左右方向を指し、「シート高さ方向」と示す場合には、シート1の上下方向を指し、「シート前後方向」と示す場合には、シート1の前後方向を指すものとする。
本実施例のシート1は、図1に示すように、自動車の後部側座席として構成されており、同列に2人掛け可能な横長形状を備えたいわゆるベンチシートタイプの構成とされている。上述したシート1は、着座者の背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭凭れ部となる不図示のヘッドレストと、を備えた構成とされている。
上述したシートクッション3の左右の着座者の座る間の領域となるシート幅方向の中央領域の前部箇所には、シートクッション3の着座面となる一般面3Bから丸穴状に凹んだ凹部3Aが左右に2つ横並び状となって形成されている。これら凹部3Aは、シートクッション3に座る左右の着座者がそれぞれ飲物容器(不図示)を上側から差し込んで保持させておくカップホルダとしての用途や、何らかの小物(不図示)を入れておく小物入れの用途として使用することができるようになっているものである。
上述した各凹部3Aは、それぞれ、容器状に形作られた樹脂部品等の別部品がシートクッション3に組み込まれて構成されたものではなく、後述するシートクッション3の基本構造を成す発泡ウレタン製のクッションパッド10と合成皮革製のクッションカバー20とによって形作られたものとなっている。以下、上述したシートクッション3の各部の構成について詳しく説明する。
《シートクッション3の具体的な構成について》
上述したシートクッション3は、図1〜図3に示すように、着座者の荷重を弾性的に受け止める発泡ウレタン製のクッションパッド10と、クッションパッド10内にインサートされて一体発泡された複数本のワイヤ部材から成る図示しないインサートフレームと、クッションパッド10の表面全体に被覆されてシートクッション3の意匠面を成す合成皮革製のクッションカバー20と、によって概略構成されている。ここで、上述したクッションパッド10が本発明の「シートパッド」に相当し、クッションカバー20が本発明の「シートカバー」に相当し、シートクッション3が本発明の「一体発泡パッド」に相当する。
上述した不図示のインサートフレームは、上述したクッションパッド10を発泡成形する際に、不図示の成形型内にセットされた状態でクッションパッド10の発泡成形が行われることにより、クッションパッド10内に一体的に埋め込まれた状態となって設けられている(インサート成形)。上記成形されたインサートフレームは、そのクッションパッド10の下部から露出する部分が、不図示のフロアパネルに取り付けられた樹脂製のフック(タコツボ)に上側から差し込まれて固定される構成とされ、同固定により、シートクッション3をフロアパネル上に位置固定した状態として保持することができるようになっている。そして、上述したインサートフレームは、そのクッションパッド10内を方々に延びるワイヤの形状により、クッションパッド10を内部側から支持して、クッションパッド10が外部から受ける荷重によって過剰に押し潰されないように保持するようになっている。
上述したクッションパッド10は、その発泡成形される成形型内に上述したクッションカバー20が敷かれた状態で発泡成形される、いわゆる「表皮一体発泡工法」による成形により、その天板面と前後左右の各周囲側面とに亘って、クッションカバー20が一体的に接着された状態に被覆された状態として発泡成形された構成とされている。上記成形により、クッションパッド10は、その不図示の成形型の形に合わせて形成される凹凸のついた表面の形状に合わせて、上述したクッションカバー20が適切に追従した形に一体化されて形成された構成とされている。
クッションカバー20は、合成皮革材から成る表皮20Aと、同表皮20Aの裏面に一体的に積層されたスラブウレタン20Bと、の2層構造を持つ構成とされている。上述したクッションカバー20は、上述したクッションパッド10を発泡成形する際に、先にその成形型内に裏向きに敷かれた状態にセットされて、そのスラブウレタン20Bの臨む裏面上でクッションパッド10の発泡成形が行われることにより、同クッションパッド10の表面全体(天板面と前後左右の各周囲側面の全体)に一体的に接着された状態に被覆された状態として設けられるようになっている(表皮一体発泡工法)。
上記成形により、クッションカバー20は、クッションパッド10の持つ凹凸のついた表面形状を表側の意匠面に適切に再現する形でクッションパッド10の表面に一体的に接着された状態に被覆されている。上述したクッションカバー20は、詳しくは、その裏面側となるスラブウレタン20Bの裏面に発泡原料の含浸を防ぐ図示しない薄膜状のフィルムが一体的に積層された構成とされており、同フィルムにクッションパッド10の発泡原料が接着した状態に成形されることにより、クッションパッド10の表面に一体的に面接着された状態として形成されるようになっている。
ところで、上述したシートクッション3の基本形状を形作るクッションパッド10は、左右に座る着座者の尻部や大腿部をそれぞれ下側から略平坦な面形状で支える天板メイン部11と、各天板メイン部11の左右両サイドから盛り上がる形に膨らむ面形状とされて左右に座る着座者の尻部や大腿部を両外側から支える天板サイド部12と、を有した形に形成されている。そして、上述した両天板メイン部11の間に位置する中央の横並び状に位置する各天板サイド部12の前部箇所には、上述した丸穴状に凹んだ凹部3Aが横並び状に一対で形成されている。
上述した各凹部3Aは、上述したクッションカバー20の一部に容器状に凹む形に縫製された凹縫製部21と、これら凹縫製部21にクッションパッド10が裏側から一体発泡成形されることで各凹縫製部21を裏側から一体的に弾性支持するように形成されたクッションパッド10の一体発泡部10Aと、によって構成されている。上述した各凹縫製部21は、具体的には、各凹部3Aの凹形状の内周面を形作る円環状に巻かれたカバーピース21Aと、これらカバーピース21Aの下縁部に沿って縫合された(縫合部21C2)各凹部3Aの凹形状の底面を形作るカバーピース21Bと、によって、有底の円筒型形状に形作られている。
これら凹縫製部21を形成する各カバーピース21A,21Bは、上述したクッションカバー20の一般面部と同じく合成皮革材から成る表皮20Aの裏面にスラブウレタン20Bが一体的に積層された2層構造を持つ構成とされている。上述したスラブウレタン20Bの裏面には、発泡原料の含浸を防ぐ図示しない薄膜状のフィルムが一体的に積層されている。上述した各凹縫製部21を構成する各カバーピース21A,21Bの表皮20Aの表面には、水滴の浸透を防止する防水加工が施されている。このような防水加工は、クッションカバー20の一般面部を構成する表皮20Aの表面にも施されている。
上述した各凹縫製部21は、上述した円環状に巻かれた各カバーピース21Aの上縁部がクッションカバー20の正円状に刳り貫かれた各部分の内周縁に沿って裏側から縫合される(縫合部21C1)ことで、クッションカバー20の一般面部からそれぞれ段差状に落ち込む凹形状となって繋げられた形に形成されている。
そして、上述した各縫合部21C1,21C2には、それぞれ、これらの縫い代部分を裏側から被覆する形となって保護するシール材21Dが貼着されている。これらシール材21Dにより、上述したクッションパッド10をクッションカバー20と一体発泡成形する際に、その発泡原料が各縫合部21C1,21C2の各縫い代間から外部へと漏れ出ることが防止されるようになっている。なお、上述したシール材21Dは、上述したクッションカバー20のその他の縫合された各部位にも同様に貼設されている。
上述した各凹部3Aの凹形状は、詳しくは、それらの開口側となる上縁側から底面側となる下縁側に向かって、それらの開口広さが漸次先細り状に縮径されていくように、それらの内周面が傾斜した形状とされている。また、上述した各凹部3Aの開口側となる上縁付近には、それらの内周面が部分的に口内側へと張り出す形に膨らんだ張出部位3Aaが全周に亘って無端状に形成されている。これら凹部3Aの張出部位3Aaの張出形状は、各凹部3Aの内周面を形作る各カバーピース21Aの一部に部分的に周長を広げる張出面部21Aaが設定されることにより形成されており、これらカバーピース21Aに対するクッションパッド10の裏側からの一体発泡成形に伴う発泡圧によりこれらの張出形状が適切に再現された形となって形成されている。
上記のように構成された各凹部3Aは、それらの開口部分にペットボトル等の飲物容器(不図示)が上側から差し込まれることにより、それらの内周面によって差し込まれた飲物容器を外周側から囲い込んで転倒させない状態に保持することができるようになっている。その際、各凹部3Aが飲物容器を転倒させないように外周側から保持する力は、各凹部3Aの内周面を構成するクッションカバー20の各凹縫製部21に裏側からクッションパッド10の一体発泡部10Aが一体的に面着していることにより発揮される弾発力によって確保されるようになっている。
詳しくは、各凹部3Aは、それらの開口側となる上縁付近に口内側へと張り出す張出部位3Aaが形成されていることにより、それらの口内に差し込まれた飲物容器の周囲を各張出部位3Aaにより発揮される弾発力によって適切にホールドして転倒させないように保持することができるようになっている。その際、各凹部3Aは、それらの口内に飲物容器が差し込まれる過程で上述した各張出部位3Aaが飲物容器の底面と干渉したとしてもその差し込まれる力によって各張出部位3Aaが弾性的に外周側へと押し退けられるように潰されることで、飲物容器を底面上に底付きさせる位置まで適切に差し込むことができるようになっている。
また、各凹部3Aから飲物容器を引き抜く時も同様に、各張出部位3Aaを飲物容器を引き抜く力によって外周側へと押し潰しながら飲物容器を各凹部3Aから引き抜くことができるようになっている。その際、各凹部3Aから飲物容器が引き抜かれる摺動力によって各凹縫製部21がクッションパッド10の一体発泡部10Aから引き剥がされるような力を受けても、各凹縫製部21はクッションパッド10の一体発泡部10Aと一体化されていることから各凹部3Aの外へと捲り上げられることなく各凹部3Aの内周面を見栄え良く被覆した状態として保持されるようになっている。
《まとめ》
以上をまとめると、本実施例のシートクッション3は、次のような構成となっている。すなわち、着座者の荷重を弾性的に受け止めるシートパッド(10)と、シートパッド(10)を被覆するシートカバー(20)と、が一体的に成形される一体発泡パッド(3)において、一体発泡パッド(3)の表面部には、同表面部の一般面(3B)から凹む開口形状の凹部(3A)が設けられているものである。このように、一体発泡パッド(3)の表面部に部分的な凹部(3A)を設けるという簡便な構成により、樹脂部品等の別部品を用いることなく、シート構造に凹状の小物入れを合理的に形成することができる。
また、凹部(3A)の開口近傍に、凹部(3A)の内部に張り出す張出部位(3Aa)を備える。このように、凹部(3A)の開口近傍に張出部位(3Aa)を設けることにより、凹部(3A)に差し込まれた容器のホールド性を高めるなどの機能向上を簡便に図ることができる。
また、凹部(3A)の内周面が、シートカバー(20)に接ぎ合わされた凹縫製部(21)によって形成されている。このような構成とされていることにより、凹部(3A)をシートカバー(20)に接ぎ合わされた凹縫製部(21)によって一般面(3B)から落ち込み良く凹ませた形に形成することができる。
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の一体発泡パッドに係る構成は、自動車の後部側座席の他、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシート(椅子)や、家具用の椅子にも広く適用することができるものである。
また、本発明の一体発泡パッドに係る構成は、シートクッションの他、シートバックやヘッドレスト、オットマンやアームレストといった他のシート構造体にも広く適用することができるものである。また、シートパッドを被覆するシートカバーは、合成皮革等の皮革材の他、ファブリック材から成るものであってもよい。なお、シートカバーは、シートパッドと一体発泡成形されるものにおいて、表皮の裏側に積層されたスラブウレタンの裏面にシートパッドの発泡原料が含浸して一体的に硬化した状態に形成されるタイプのものであってもよい。
また、凹部の形成される一体発泡パッドの表面部は、一体発泡パッドにおける着座者の身体に面する天板面部の他、天板面部の周囲側面となるカマチ面部や背面部等の外面部であってもよい。各凹部は、上向きの他、横向きや下向きに開口する形状であっても、それらの開口内に差し込まれた容器等の物をシートパッドや凹縫製部の弾発力等の作用によって脱落させないようにホールドして保持するようになっているものであってもよい。
また、凹部の開口形状は、正円形状の他、三角形や四角形等の多角形状や楕円形状や長円形状等、様々な形状の開口形状を採用することができるものである。また、凹部は、開口側から底面側に向かって開口広さが先細り状となっていくものの他、開口広さが寸胴状となっているものであってもよい。また、凹部の内周面部に形成される張出部位は、全周に全域に亘って無端状に形成されるものの他、周方向の一部に形成されるものであってもよい。また、上記張出部位は、凹部の深さ方向の複数箇所に形成されていてもよい。
1 シート
2 シートバック
3 シートクッション(一体発泡パッド)
3A 凹部
3Aa 張出部位
3B 一般面
10 クッションパッド(シートパッド)
10A 一体発泡部
11 天板メイン部
12 天板サイド部
20 クッションカバー(シートカバー)
20A 表皮
20B スラブウレタン
21 凹縫製部
21A カバーピース
21Aa 張出面部
21B カバーピース
21C1 縫合部
21C2 縫合部
21D シール材

Claims (3)

  1. 着座者の荷重を弾性的に受け止めるシートパッドと、該シートパッドを被覆するシートカバーと、が一体的に成形される一体発泡パッドにおいて、
    前記一体発泡パッドの表面部には、該表面部の一般面から凹む開口形状の凹部が設けられている一体発泡パッド。
  2. 請求項1に記載の一体発泡パッドであって、
    前記凹部の開口近傍に、前記凹部の内部に張り出す張出部位を備える一体発泡パッド。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の一体発泡パッドであって、
    前記凹部の内周面が、前記シートカバーに接ぎ合わされた凹縫製部によって形成されている一体発泡パッド。
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