次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。以下の実施例では、遊技に用いる遊技媒体が遊技球とされ、当該遊技球を遊技盤面に向けて発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機(弾球遊技機)に、本発明を適用したものについて説明する。具体的には、始動口への遊技球の入球に基づいて特別図柄の変動表示を行い、当該特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)が付与され得る大当り遊技(特別遊技)が実行可能となる所謂「1種タイプ」のパチンコ遊技機を例に説明する。
尚、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の手前側(遊技時に遊技者が位置する側)のことであり、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の背面側のことである。また、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、図1や図4における上側、下側、左側、右側を指す。
図1乃至図4に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図4は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外して正面視した場合を示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51(前面扉)と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1を遊技ホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51および本体枠52は、外枠53に対して一側端側(左端)で軸支され夫々開閉可能に構成されている(図2を参照)。
前面枠51には、当該前面枠51を閉めた状態で遊技盤2の表面(遊技盤面)を外部から視認可能とする視認窓51aが設けられている。この視認窓51aは透明のガラス板によって構成されており、遊技者は、この視認窓51aを通じて、遊技盤2の表面に形成される後述の遊技領域3や、遊技盤2の裏側に配置される後述の画像表示装置7の表示内容等を見ることが可能となっている。
前面枠51の前面であって視認窓51aの下方には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60と、遊技球を貯留可能で貯留した遊技球を発射装置側(遊技球発射位置)に供給可能な打球供給皿61と、打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留可能な余剰球受皿62とが設けられている。打球供給皿61は、視認窓51aの近傍に設けられるもので、前面枠51の左右に亘って前方(手前側)に突出している。また、余剰球受皿62は、打球供給皿61の下方に所定の間隔をあけて設けられるもので、前面枠51の左右方向の略中央において前方(手前側)に突出している。つまり、打球供給皿61は所謂「上皿」のことであり、余剰球受皿62は所謂「下皿」のことである。上皿61および下皿62の各皿間の間隔は、少なくとも、遊技者の手(拳)が入る程度の大きさとされるもので、上皿61の底面と下皿62の底面(球貯留凹部の底面)との間に形成される空間を利用して、下皿62に貯留されている遊技球を取り出すことが可能となっている。
図1および図9(a)に示すように、上皿61の上面(天面)には、第1演出ボタン63aとCR操作部130が設けられている。第1演出ボタン63aは、上皿61の左右方向の略中央に設けられており、その右側にCR操作部130が設けられている。CR操作部130は、遊技ホール(島設備)に設置されたパチンコ遊技機1に隣接して設けられる図示しないCRユニットに係る操作を行うためのものである。具体的に、CR操作部130は、CRユニットに受け付けられた記録媒体(例えばカードやコイン)に記録されている価値残高(有価残高)に基づく遊技球の貸出(球貸)を指示するための球貸ボタン130aと、CRユニットに受け付けられた記録媒体の返却を指示するための返却ボタン130bと、記録媒体に記録されている価値残高(有価残高)を表示する残高表示部130c(度数表示LED)とをユニット化(一体化)してなるものである。球貸ボタン130aおよび返却ボタン130bは下方に押圧操作することが可能となっている。
第1演出ボタン63aは、遊技の進行に伴って行われる遊技演出の実行中などに遊技者が所定の入力を行う入力手段として機能するもので、下方に押圧操作することが可能となっている。第1演出ボタン63aの操作に基づいて、後述の画像表示装置7等で所定の操作対応演出が行われる。この第1演出ボタン63aは、図10(a)に示すように、ケース体63eに収容されて第1演出ボタンユニット630として構成されている。具体的には、図10(a),(b)に示すように、第1演出ボタン検知スイッチ63cを実装した第1演出ボタン基板63fと、第1演出ボタン63aを上方に付勢するバネ63s(付勢部材)とともに、第1演出ボタン63aをケース体63eに収めてユニット化(一体化)したものを、第1演出ボタンユニット630としている。尚、第1演出ボタン63aは、ケース体63eの内部に上下動自在かつ抜け止め状に組み付けられる。
図10(b),(c)に示すように、上皿61には、第1演出ボタンユニット630(ケース体63e)を収容可能な凹部61aが設けられており、当該凹部61aに第1演出ボタンユニット630が組み付けられる。ケース体63eの底面にはネジ孔が形成されており、上皿61の底面には前述のネジ孔に対応するネジ挿入孔が形成されている。このネジ挿入孔は、後述する排出口62aの上方であって該排出口62の開口範囲内に位置するものとなっている。すなわち、図10(b),(c)に示すように、下皿62の上方に位置する上皿61の底面のうち、排出口62aの真上(鉛直上方)に位置する箇所(排出口62aと対向する箇所)にネジ挿入孔が形成されている。
本実施例では、図9(b)および図10(b),(c)に示すように、第1演出ボタンユニット630を1本のネジ64により固定するものとしている。本実施例のネジ64は、その頭部(ネジ頭)に十字状の溝(穴)が形成されており、いわゆるプラスドライバーを用いて回すことが可能となっている。したがって、第1演出ボタンユニット630を固定する場合には、ネジ64のネジ頭を下向きにして、当該ネジ64を上皿底面のネジ挿入孔に真っ直ぐ(鉛直状)に挿入して、工具(例えばプラスドライバー)を用いてケース体63eのネジ孔に螺合する。尚、ネジ頭に形成される十字状の溝のことを「十字溝」ともいう。
第1演出ボタンユニット630を上皿61(凹部61a)に組み付けた状態では、ネジ64の頭部(ネジ頭)は、上皿61の下方側(排出口62aの側)を向いて外部に露呈するものとなっている。このため、第1演出ボタンユニット630の組み付け後も、上皿61の下方側(底面側)から、工具(例えばプラスドライバー)を用いて、ネジ64を締め付けたり緩めたりすることが可能となっている。
また、前面枠51の前面下部であって下皿62の左側には、第2演出ボタン63bが設けられている。第2演出ボタン63bも、第1演出ボタン63aと同様、遊技演出の実行中などに遊技者が所定の入力を行う入力手段として機能する。第2演出ボタン63bは、後方側へ押圧操作することが可能であるとともに、左右方向(時計回り・反時計回り)に回転操作することが可能となっており、当該操作に基づいて、後述の画像表示装置7等で所定の操作対応演出が行われる。
このように、本実施例では、遊技者が演出に関与するための手段として、第1演出ボタン63aおよび第2演出ボタン63bの2つの入力手段(操作手段)を設けており、実行される遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けるものとなっている。例えば、遊技演出の実行中に演出ボタンを操作する時期が到来した場合、第1演出ボタン63aと第2演出ボタン63bの何れを操作すべきなのかを遊技者に知らせるための演出(操作指示演出)を行うことで、遊技者は2つの演出ボタンを使い分けることが可能となる。操作指示演出は、操作の対象となる第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bの外観を模した画像(ボタン画像)を画像表示装置7に表示したり、操作の対象となる第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bに設けられたLEDを発光させたりすることによって行われる。
尚、第1演出ボタン63aおよび第2演出ボタン63bの2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう。また、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであれば足り、例えば、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。さらに、演出ボタンが、上方や手前側に突出したり振動したりする等の演出動作を行うもの(可動式の演出操作手段)であってもよい。
一方、下皿62には、図9(a)および図10(a),(b)に示すように、貯留された遊技球(貯留球)を機外に排出するための排出口62aと、排出口62aを開閉する開閉体62bと、開閉体62bによる排出口62aの開閉操作を行うための操作片62cとが設けられている。操作片62cは左右方向にスライド可能となっており、当該操作片62cが所定の初期位置にあるときには(図1を参照)、開閉体62bが排出口62aを塞いだ状態となる。開閉体62bが排出口62aを塞ぐ(閉じる)ことで排出口62aは閉鎖状態となり、これにより下皿62は遊技球を貯留する状態となる。この状態から操作片62cを左方へスライドさせると、これに伴って開閉体62bが排出口62aを開放する開動作を行い、操作片62cが所定の動作位置に達すると、開閉体62bが排出口62aを完全に開放した状態となる。開閉体62bが排出口62aを開くことで排出口62aは開放状態となり、これにより下皿62は遊技球を排出する状態となる。
本実施例では、操作片62cは、常時、右方(初期位置側)へ付勢されるものとなっており、また、操作片62cを動作位置に保持(ロック)することが可能となっている。つまり、開閉体62bを排出口62aが開放状態となる位置(開放位置)に保持(ロック)することが可能となっている。このため、排出口62a(下皿62)は閉鎖状態(貯留状態)と開放状態(排出状態、球抜き状態)の各状態を維持することが可能となっている。尚、下皿62に設けられた(内蔵された)、開閉体62bによる排出口62aの開閉機構や、排出口62aを開放状態に保つためのロック機構等の詳細な構造については、本発明の要旨と直接には関係しないので、説明を省略する。
また、前面枠51には、図1に示すように、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の枠ランプ66や、遊技の状況に応じて様々な音(効果音)を発することが可能なスピーカ67等も設けられている。
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されており、レール部材4の先端には、球戻り防止片6が設けられている。球戻り防止片6は、一旦遊技領域へ誘導された遊技球を発射装置側へ戻るのを防止するためのものである。また、遊技盤2には、遊技の状況に応じて様々な光を発することが可能な装飾用の盤面ランプ5(図5を参照)も設けられている。
遊技領域3の中央付近には、演出表示手段の一態様である画像表示装置7が設けられている。本実施例の画像表示装置7は液晶表示装置からなるもので、その表示画面7aには、主として、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)と、表示画面7aの背景を構成する背景画像が表示される背景表示領域7cとが設けられている。演出図柄8L,8C,8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様があり、本実施例では、原則、上下方向にスクロール表示する。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。
本実施例の演出図柄8L,8C,8Rは、それぞれ「1」〜「9」までの数字を表した複数の図柄(識別情報)からなる。演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄の組み合わせ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の表示結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の表示結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果を、遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、変動表示している演出図柄8L,8C,8Rの停止順序を、原則、「左→右→中」としている。尚、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ということがある。また、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」「第1特図」、第2特別図柄を「特図2」「第2特図」ということがある。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、小当りとなった場合には「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。
ここで、演出図柄の停止表示態様のうち、特別図柄当否判定の結果が大当りの場合に対応する停止表示態様(本実施例ではゾロ目)のことを「大当り態様」や「特定態様」、「特定表示結果」等ということがあり、特別図柄当否判定の結果が外れの場合に対応する停止表示態様(本実施例ではバラケ目)のことを「外れ態様」や「非特定態様」、「非特定表示結果」等ということがある。また、特別図柄当否判定の結果が小当りの場合に対応する停止表示態様のことを「小当り態様」や「所定態様」、「所定表示結果」等ということがある。
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出や、客待ち用のデモ演出などが表示される。尚、演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の様々な演出画像も表示される。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とが設けられている。第1演出保留や第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の主表示器40に表示される第1特図保留の記憶数や第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、演出図柄表示領域7bを取り囲むように、センター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。またセンター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。さらにセンター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
また、センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。図4では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、比較的当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って可動装飾部材14が下方に落下することで、当該可動装飾部材14が表示画面7aの前面を覆い、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は当りへの期待感を高めることとなる。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
第1始動口20の下方には、遊技球の入球し易さが変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変式始動口」ともいう)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
可変入賞装置22は、可動部材23を備え、可動部材23の動作によって第2始動口21を開閉するものである。この開閉動作によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。つまり、可動部材23は、所定の動作(開閉動作)を行うことで、第2始動口21への遊技球の入球可能性を変化させるものである。この可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5を参照)により駆動される。本実施例では、第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう)を備えた第1大入賞装置31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5を参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1大入賞装置31は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、第2大入賞口35(「第2可変入球口」ともいう)を備えた第2大入賞装置36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5を参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第2大入賞装置36は、開閉部材37の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
第2大入賞装置36には、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39が形成されている。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。このような確変作動口としての特定領域39(V領域)を備える第2大入賞口35(第2大入賞装置36)のことを「Vアタッカー」ともいう。尚、高確率状態は、特別遊技とは別に遊技者に付与される遊技上の特典の一つである。
遊技領域3におけるセンター装飾体10の右側領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21を開状態となる。さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。本実施例では、一般入賞口27を4個設けてあり、そのうちの3個を第1始動口20の左方に設けられた左一般入賞口とし、1個を第1大入賞口30の右方に設けられた右一般入賞口としている。第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(賞球)が払い出される。具体的には、第1始動口20の賞球数は「4」、第2始動口21の賞球数は「2」、第1大入賞口20および第2大入賞口35の賞球数は「15」、一般入賞口27の賞球数は「10」としている。
このように複数の入球口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、一般入賞口27及びゲート28)等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域3A(第1領域)と、右側の右遊技領域3B(第2領域)と、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「左打ち」といい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。ここで、複数の入球口のうち、第1始動口20および3個の左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けてあり、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、右一般入賞口27およびゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けてある。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、原則、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。
また、図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示および停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示および停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示および停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになった場合に実行される当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向(右打ちを行うべき状態か左打ちを行うべき状態か)を示す発射方向表示器47と、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48と、が含まれている(図5を参照)。これらの主表示器40に含まれる各種表示器は、後述の主制御部によって表示制御される。
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて行われる。尚、以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して「特別図柄」ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して「特別図柄表示部」ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して「特図保留表示部」ということがある。
主表示器40の特別図柄表示部では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20または第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報)である場合、すなわち、特別図柄の停止表示の態様(特別図柄の変動表示の表示結果)が大当り図柄や小当り図柄等の当り態様である場合には、停止表示された当り図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)が行われる。尚、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
本実施例では、第1特別図柄表示器41aを複数のLEDにより構成しており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄(第1特図)を表示する。具体的には、第1特別図柄当否判定の結果として「15R第1大当り」、「15R第2大当り」、「5R第3大当り」および「2R第4大当り」の4種類の大当りと、第1小当りが設けられており(図6、図8を参照)、第1特別図柄表示器41aのLEDは、それら大当りや小当り、さらには外れに応じた表示態様を採ることが可能となっている。つまり、第1特別図柄表示器41aのLEDの表示態様によって、第1特別図柄の大当り図柄や小当り図柄、外れ図柄が表示される。
また、第2特別図柄表示器41bも同様に、複数のLEDにより構成しており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄(第2特図)を表示する。具体的には、第2特別図柄当否判定の結果として「15R第5大当り」と「15R第6大当り」の2種類の大当りと、第2小当りが設けられており(図6、図8を参照)、第2特別図柄表示器41bのLEDは、それら大当りや小当り、さらには外れに応じた表示態様を採ることが可能となっている。つまり、第2特別図柄表示器41bのLEDの表示態様によって、第2特別図柄の大当り図柄や小当り図柄、外れ図柄が表示される。
尚、特別図柄の停止表示態様(停止図柄)は、これらに限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば、予め定められた順序で光が左から右へ繰り返し流れるように各LEDを点灯させる態様とすることができる。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留(第1取得情報)として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留(第2取得情報)として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留(取得情報)の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値はそれぞれ「4」となっている。これら第1特図保留記憶部および第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」および「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示中や特別遊技中である場合であっても、所定数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、主表示器40に含まれる第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じて当該2個のLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。同様に、第2特図保留表示器43bは2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じて当該2個のLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものとなっている。これら特図保留表示器により特図保留数を表示する場合の表示態様は、例えば、保留数が「0」の場合は2個のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は2個のLEDのうち一方を消灯して他方を点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は2個のLEDを点灯させる表示態様とし、保留数が「3」の場合は2個のLEDのうち一方を点滅させて他方を点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は2個のLEDを点滅させる表示態様とすることができる。
また、主表示器40に含まれる普通図柄表示器42(普通図柄表示部)での普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。すなわち、普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、所定の表示態様で停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。尚、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
本実施例では、普通図柄表示器42を2個のLEDによって構成しており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には両LEDが点灯する態様の当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、2個のLEDのうち一方のみが点灯する態様の外れ普通図柄を停止表示する。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示中や補助遊技中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、主表示器40に含まれる普図保留表示器44に表示される。本実施例では、普図保留表示器44を2個のLEDにより構成しており、普図保留の数に応じてLEDの表示制御を行うことにより普図保留の数を表示するものとなっている。この普図保留数の表示は、前述した特図保留数の表示と同様に、点灯や点滅等の表示態様によって行われる。
次に図3及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7や演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。
また、図3に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上にはサブ制御基板90を収納したサブ制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
主制御基板80には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部とが設けられている。また、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)のRAM(主制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ49aおよび一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「遊技球検知手段」ともいう。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。非特定領域センサ49aは、第2大入賞口35内の非特定領域(図示せず)に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち非特定領域を通過した遊技球(つまり、特定領域39を通過しなかった遊技球)を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。
またソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33および第2大入賞口ソレノイド38が接続されている。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのものである。
さらに主制御基板80には、主表示器40を構成する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47および当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう)を介して発射装置112が接続されている。尚、発射装置112には、発射ハンドル60(図1を参照)が含まれる。
払出制御基板110は、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に隣接して設けられるCRユニットからの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。遊技者による発射装置112のハンドル60(図1を参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。尚、本実施例では、発射モータ113の駆動により発射装置112が連続して発射可能な遊技球の数は1分間で約100個となっている。
また、払出制御基板110には、CRユニット(図示せず)が接続可能なCRユニット接続端子板132が接続されており、CRユニット接続端子板132には、球貸操作基板131が接続されている。球貸操作基板131には、球貸ボタン130a(図9(a)を参照)が操作されたことを検知可能な球貸ボタン検知スイッチ(図示せず)と、返却ボタン130b(図9(a)を参照)が操作されたことを検知可能な返却ボタン検知スイッチ(図示せず)とが設けられている。尚、球貸操作基板131は、球貸ボタン130aや返却ボタン130b、残高表示部130cとともに、CR操作部130(図9(a)を参照)を構成するものである。
球貸操作基板131に設けられた球貸ボタン検知スイッチが球貸ボタン130aの操作を検知すると、球貸スイッチ信号がCRユニット接続端子板132を介してCRユニットに対して出力され、球貸操作基板131に設けられた返却ボタン検知スイッチが返却ボタン130bの操作を検知すると、返却スイッチ信号がCRユニット接続端子板132を介してCRユニットに対して出力される。これを受けて、CRユニットは、球貸スイッチ信号の入力に基づいて貸出要求完了確認信号(BRQ)を、CRユニット接続端子板132を介して払出制御基板110に対して出力し、払出制御基板110は、貸出要求完了確認信号(BRQ)の入力に基づいて払出装置120を動作させて、貸球としての遊技球の払い出しを行う。また、CRユニットは、返却スイッチ信号の入力に基づいて記録媒体(本実施例ではプリペイドカード)の排出を行う。
また、主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
また、図5に示すように、サブ制御基板90には、所定のプログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。また、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)のRAM(演出制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。尚、サブ制御基板90(サブ制御部)や画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を、対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる制御を行う演出制御手段(演出実行手段)として機能するものである。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a、及び演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示および停止表示にあわせて変動表示および停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数および第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。また、演出第2特図保留表示器103bは第2演出保留表示領域9dに表示される保留個数および第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)を被覆したりすることで、演出図柄、第1演出保留表示部、又は第2演出保留表示部の一部または全部が視認できない状態になることがあり得るため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えてVDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御用マイコン101に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
さらに、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10(装飾部材13の後方)に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、サブ制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて可動装飾部材14の動作を制御する。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、この場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
また、サブ制御基板90には、第1演出ボタン検知スイッチ63cが設けられた第1演出ボタン基板63fと、第2演出ボタン検知スイッチ63dが設けられた第2演出ボタン基板63gが接続されている。第1演出ボタン検知スイッチ63cは、第1演出ボタン63a(図1、図9(a)等を参照)が操作されたことを検知するもので、第2演出ボタン検知スイッチ63dは、第2演出ボタン63b(図1を参照)が操作されたことを検知するものである。従って、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチからサブ制御基板90に対して信号が出力され、当該信号に基づいて、入力操作(演出ボタン操作)に応じた演出(操作対応演出)がサブ制御基板90(演出制御用マイコン91)の制御下で行われる。尚、第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御(判定手段)について説明する。特別図柄当否判定の結果として、「大当り」、「小当り」、「外れ」がある。特別図柄当否判定の結果が「大当り」のときには、特別図柄表示部に「大当り図柄」が停止表示され、「小当り」のときには、特別図柄表示部に「小当り図柄」が停止表示され、「外れ」のときには、特別図柄表示部に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」といい、小当りとなって実行される特別遊技を「小当り遊技」という。
当りには複数の種別がある。図6に示すように大当りの種別としては、「15R(ラウンド)第1大当り」、「15R第2大当り」、「15R第3大当り」、「2R第4大当り」、「15R第5大当り」および「15R第6大当り」がある。「15R第1大当り」および「15R第5大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であり、1ラウンド目と2ラウンド目に、特定領域39への遊技球の通過(V通過)が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。この特定領域39への遊技球の通過を狙うラウンドを「Vラウンド」や「チャンスラウンド」ともいう。
「15R第2大当り」、「15R第3大当り」および「15R第6大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であるものの、前述のVラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目の開放時間が極短時間(一瞬開閉)で、特定領域39への遊技球の通過が困難(不可能としてもよい)な大当りである。すなわち、これらの大当りは、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させることのない大当りであるといえる。
「2R第4大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30または第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が2回であり、Vラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目に特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。但し、第2大入賞口35の開放時間が1ラウンド目と2ラウンド目を合わせても1.8秒であるので、15R第1大当りより特定領域への遊技球の通過可能性が低いものとなっている。
本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当り遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、特別図柄当否判定の結果が15R第1大当りまたは15R第5大当りとなった場合には、特定領域39への遊技球の通過可能性が極めて高い態様で1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。また、特別図柄当否判定の結果が2R第4大当りとなった場合には、15R第1大当りや15R第5大当りほどではないものの特定領域39への遊技球の通過可能性がある態様で1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができれば、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。
これに対して、特別図柄当否判定の結果が15R第2大当り、15R第3大当り又は15R第6大当りとなった場合には、1ラウンド目と2ラウンド目のVラウンドの開放時間が各0.1秒であるので、第2大入賞口へ遊技球を入球させるのが非常に困難であるので、当該大当り遊技の実行中における特定領域39への遊技球の通過可能性は極めて低くなり(実質的に不可能となり)、その大当り遊技後の遊技状態は、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が非常に高い(低確率状態になるといってもよい)。
一方、小当り(第1小当り、第2小当り)は、見かけ上2R第4大当りと同じ開放パターンで大入賞口(第2大入賞口35)を開放させる当りである。すなわち小当りでは、特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる。しかしながら、小当り遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったとしても、小当り遊技の実行後の遊技状態は小当り遊技の実行前から変化しないものとなっている。そのため、小当り遊技の実行前の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、小当り遊技の実行後の遊技状態も通常状態となる。そして遊技者から見れば、上記の2R第4大当りと小当りとは大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンを見ても区別することができない。すなわち遊技者は特別図柄当否判定の結果が「2R第4大当り」になったのか「小当り」になったのかを認識するのが困難である。そのため、2R第4大当りとしての特別遊技中(大当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が高確率状態に移行したかどうかを認識するのは困難である。また、小当りとしての特別遊技中(小当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が通常状態のままか、高確率状態に移行したかを認識するのは困難である。その結果、小当りとなった場合および2R第4大当りになった場合には、高確率状態であるかもしれないという期待感を持ちつつ遊技を進行することができ、遊技興趣を高めることができる。尚、小当りにおいては大入賞口の開放回数をラウンド数とはいわず、単に開放回数という。
本実施例のパチンコ遊技機1における各大当り及び小当りとなったときの大入賞口の開放パターンは、図6のようになっている。すなわち、15R第1大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第1大当り図柄が停止表示された場合)および15R第5大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第5大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rでは第2大入賞口35を最大28秒開放させ、3R〜15Rでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々28秒あるため、そのラウンド中(Vラウンド中)に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いものとなっている。
また、15R第2大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第2大当り図柄が停止表示された場合)と、15R第3大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第3大当り図柄が停止表示された場合)と、15R第6大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第6大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rでは第2大入賞口35を最大0.1秒開放させ、3R〜15Rでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々最大0.1秒と極短時間とされている(一瞬開閉)ため、そのラウンド中(Vラウンド中)に遊技球が特定領域39を通過することはほぼ不可能となっている。
このように、本実施例では、15R第2,第3,第6大当り用の開放パターンと、15R第1,第5大当り用の開放パターンと比べて第1ラウンドおよび第2ラウンド(Vラウンド)とでは、開放態様が異なっている。そして、15R第1,第5大当りでは、1ラウンド目と2ラウンド目に第2大入賞口35が28秒開放するため、当該Vラウンドでは、球詰まりや遊技球発射系のトラブル等が発生しない限り、略確実に遊技球が第2大入賞口35に入球して、高い確率で特定領域39を通過することとなる。これに対して、15R第2,第3,第6大当りでは、1ラウンド目と2ラウンド目に第2大入賞口35が0.1秒しか開放しない。そのため、第2大入賞口35に遊技球が入球することは非常に困難である。従って、15R第2,第3,第6大当りに係る大当り遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は、15R第1,第5大当りと比してかなり低くなっており、実質的には通過不可能といってもよい。
尚、特定領域39への遊技球の通過可能性(V通過可能性)が極めて高い態様でVラウンドが実行される大当りのことを「V通過予定大当り」ともいい、V通過可能性が極めて低い態様でVラウンドが実行される大当りのことを「V非通過予定大当り」ともいう。
また、図6に示すように、2R第4大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに2R第4大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまで第2大入賞口35を最大0.9秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目の第2大入賞口35の開放時間の合計が最大で1.8秒となるため、そのラウンド中に遊技球を第2大入賞口35に入球させて特定領域39を通過させることが可能となっている。本実施例の本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で1個の遊技球が発射されるようになっているので、第2大入賞口35の開放時間が1.8秒あれば、第2大入賞口35へ遊技球を入球させて特定領域39への遊技球の通過を狙うことは十分に可能である。但し、2R第4大当りは、第2大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、他の15R大当りのように多くの賞球(遊技利益)を望めるものではない。すなわち他の大当りに比してほとんど賞球の獲得できない大当りである。
また、第1小当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに第1小当り図柄が停止表示された場合)と、第2小当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに第2小当り図柄が停止表示された場合)には、第2大入賞口35の最大0.9秒間の開放を2回行う。すなわち、2R第4大当りと同じ開放パターンにて大入賞口を開放させる。この小当りにおいても、第2大入賞口35の開放時間が合計1.8秒あるため、遊技球を第2大入賞口35に入球させて特定領域39を通過させることが可能となっている。しかし、前述の通り、小当り遊技にて特定領域39への通過があっても、小当り遊技の前後で遊技状態の変化はない。また、小当り遊技では、大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、2R第4大当りと同様に多くの賞球を望めるものではない。すなわち小当りは、遊技状態の移行という点についても、賞球という点についても、遊技者にとっての特典がほぼ無いもの(入球による賞球のみ)となっている。
本実施例では、第2大入賞口35の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能(通過容易)な第1の開放パターンと(15第1大当り、15R第5大当り)、遊技球が特定領域39を通過困難(通過不能)な第2の開放パターンと(15R第2大当り、15R第3大当り、15R第6大当り)、遊技球が特定領域を通過可能であって第1の開放パターンより通過可能性が低い第3の開放パターンと(2R第4大当り)、を有するものとすることができる。また、小当り用の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能であるが通過した場合であっても特典を付与しない(高確率状態を発生しない)第4の開放パターンを有するものとすることができる。この第4の開放パターンは、他の態様として特定領域39を通過不能な開放パターンとしてもよい。
尚、第1特別図柄(特図1)の当否判定における各大当りへの振分確率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが20%、15R第3大当りが30%、2R第4大当りが10%となっている(図6の大当り種別決定用乱数の欄を参照)。これに対して、第2特別図柄(特図2)の当否判定における大当りは、15R第5大当りが80%、15R第6大当りが20%となっている(図6の大当り種別決定用乱数の欄を参照)。この振分確率は、大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性、すなわち高確率状態となる確率を表しているものといえ、また、後述の開放延長機能が作動する高ベース状態となる確率を表しているものといえる。
すなわち、高確率状態となる確率については、第1始動口20への入球に基づく当否判定(第1特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は少なくとも40%となっており、2R第4大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する場合を含めると、その確率は50%となっている。一方、第2始動口21への入球に基づく当否判定(第2特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は80%となっている。
また、高ベース状態となる確率については、開放延長機能が作動していない遊技状態(低ベース状態)において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は60%となっており、高ベース状態において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合の2R第4大当りを含めると、その確率は70%となっている。一方、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は100%となっている。そして、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合には、第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合に発生し得る2R大当りが発生することはなく、必ず15R大当りとなる。
このように本実施例のパチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる第1特別図柄当否判定(第1特別図柄の大当り抽選)において大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる第2特別図柄当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)において大当りとなる方が、第1特別図柄当否判定で大当りとなる場合に比べ、高確率状態になる確率や高ベース状態になる確率、さらには15R分の賞球を獲得できる可能性が高くなっている。つまり、第2特別図柄当否判定で大当りとなる場合の方が、第1特別図柄当否判定で大当りとなる場合に比べ、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されており、第2特別図柄を変動表示させた方が、第1特別図柄を変動表示させるよりも遊技者にとって有利に働く可能性が高いものとなっている。このため、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行うこととなる。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(高ベース状態)においては顕著である。尚、前述の振分確率は一例であり、遊技性やスペック等を考慮して任意に設定することができる。
また、本実施例では、第2特別図柄を第1特別図柄に比して優位にしていることから、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示が共に実行可能な場合、すなわち、第1特図保留と第2特図保留が共に「1」以上存在する場合には、第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)を第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)に優先して行うものとしている。これにより、第2始動口21への入球頻度が高まる高ベース状態は、第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まるので、遊技者にとって有利に遊技を進めることが可能な状態といえる。にもかかわらず、高ベース状態で第1特別図柄の変動表示が行われることは、遊技者にとっては、せっかくの有利な状態(高ベース状態)での遊技に水を差されることとなり、第1特別図柄の変動表示は第2特別図柄の変動表示に比べ不利に働く可能性もあることから、高ベース状態での第1特別図柄の変動表示は、遊技者にとって望ましいことではないといえる。
ここで、特別図柄の停止表示の態様として、大当り図柄のことを「特定態様」や「特定表示結果」ともいい、小当り図柄のことを「所定態様」や「所定表示結果」ともいい、外れ図柄のことを「非特定態様」や「非特定表示結果」ともいう。また、高ベース状態の設定契機とならない大当り図柄(15R第3大当り図柄、低ベース状態での2R第4大当り図柄)のことを「第1特定態様」や「第1特定表示結果」ともいい、高ベース状態の設定契機となる大当り図柄(15R第1,第2,第5,第6大当り図柄、高ベース状態での2R第4大当り図柄)のことを「第2特定態様」や「第2特定表示結果」ともいう。また、特別図柄が変動表示する際の遊技状態として、開放延長機能が作動しない遊技状態(低ベース状態)のことを「第1遊技状態」ともいい、開放延長機能が作動する遊技状態(高ベース状態)のことを「第2遊技状態」ともいう。
本パチンコ遊技機1では、大当りか、小当りか、外れかの判定は「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」、「図柄決定用情報」ともいう)」に基づいて行われる。図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0〜629」までの範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0〜99」までの範囲で値をとる。また、第1始動口20や第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数および大当り種別決定用乱数の他に「変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう)」がある。変動パターン乱数は、特別図柄の変動パターンを決めるための乱数であり、「0〜198」までの範囲で値をとる。尚、特別図柄の変動パターンは、特別図柄が変動表示する際の変動時間を規定するものである。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数であり、「0〜240」までの範囲で値をとる。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄に対する確率変動機能、普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能および開放延長機能の各機能が作動状態または非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態(「低確率状態」ともいう)」という。高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では通常状態用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が通常状態よりも多い高確率状態用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(図8(A)を参照)。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の表示結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。
また、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなる。すなわち、非時短状態においては、相対的に変動時間の長い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた非時短状態用の変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行い、時短状態においては、相対的に変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた時短状態用の変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う。その結果、時短状態では、非時短状態に比して特図保留の消化ペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能は同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(C)を参照)。つまり、普通図柄についての確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動表示の表示結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(D)を参照)。さらに時短状態では、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。加えて時短状態では、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。具体的には、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の可動部材23が0.2秒の開放動作を1回行い、時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の可動部材23が2.0秒の開放動作を3回行うものとなっている。
普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21への遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」ともいい、作動していない状態を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態では、手持ちの遊技球(持ち球)を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口21が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
本実施例のパチンコ遊技機1では、15R第1,第5大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
また、15R第2,第6大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過することは極めて困難であることから特別図柄の通常状態となり、これに加えて特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるまでに大当りに当選して当該大当りに係る特別遊技(大当り遊技)が実行されることにより終了する。尚、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第2,第6大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「高確高ベース状態」となる。また、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第1,第5大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「低確高ベース状態」となる。
また、15R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いことから、特別図柄の通常状態となり、これに加えて特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態は、本パチンコ遊技機1において基本となる遊技状態、すなわち初期の遊技状態である。尚、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第3大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は、後述の「高確低ベース状態」となる。
また、低確低ベース状態において、2R第4大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態となる(図6を参照)。この遊技状態を特に「高確低ベース状態」という。高確低ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
この高確低ベース状態は、高確率状態であることが潜伏している状態、すなわち高確率状態であることが遊技者にとって認識困難な状態である。つまり高確低ベース状態は、いわゆる「潜伏確変状態(「確率非報知状態」ともいう)」である。これに対して、上記の高確高ベース状態は、高確率状態であることが遊技者にとって明らかな状態である。つまり高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態」である。
また、高ベース状態において、2R第4大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば「高確高ベース状態」となる(図6を参照)。すなわち、特別図柄の時短機能およびベース状態については、大当り遊技の実行前の状態と同じ状態とされる。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、高ベース状態では、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行うことで、左打ちを行うよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知する。
これに対して、高確低ベース状態や低確低ベース状態といった低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となっているからである。そのため、低ベース状態では、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行うことで、右打ちを行うよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知する。
以上のように、本実施例のパチンコ遊技機1においては、小当り遊技や大当り遊技が行われていない低確低ベース状態を基準とすると、この低確低ベース状態を「通常遊技状態」もしくは「通常状態」として捉えることができ、当該状態にて特別図柄を変動表示させる遊技を「通常遊技」として捉えることができる。
そして、大当り遊技は、特別図柄を変動表示させて大当り図柄が停止表示されることで実行され得る遊技であって、遊技者にとっては、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により多量の賞球を得ることが可能な有利な遊技であることから、大当り遊技を「特別遊技」として捉えることができ、当該大当り遊技が行われる遊技状態を「特別遊技状態」として捉えることができる。
また、小当り遊技は、大当り遊技ほどではないものの、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により賞球を得ることは可能なので、一応は、通常遊技に比べ遊技者に有利な遊技といえる。よって、小当り遊技も「特別遊技」として捉えることができ、当該小当り遊技が行われる遊技状態も「特別遊技状態」として捉えることができる。尚、大当り遊技としての特別遊技と、小当り遊技としての特別遊技を区別するため、小当り遊技としての特別遊技を「小利益特別遊技」として捉えることもできる。
以上のように構成されたパチンコ遊技機1が遊技ホールで使用されるなか、例えば、第1演出ボタン63aを操作しても反応しない等の不具合が生じた場合、第1演出ボタンユニット630を修理したり新品に交換したりすることがあり得る。この場合、第1演出ボタンユニット630を上皿61に固定しているネジ64を緩めてその固定を解除し、第1演出ボタンユニット630を上皿61(凹部61a)から取り外すこととなる。本実施例では、前述したように、第1演出ボタンユニット630を固定するネジ64の頭部(一端)が、上皿61の底面にて下向きに露呈しているため(図9(b)、図10(b),(c)等を参照)、第1演出ボタンユニット630の修理・交換等(メンテナンス)を行う者(以下「作業者」という。)は、上皿61の下方側(底面側)から、工具(例えばプラスドライバー)を用いてネジ64を緩めることとなる。
ここで、本実施例では、前述したように、第1演出ボタンユニット630を固定するネジ64が、下皿62の排出口62aの上方であって、排出口62aの開口範囲内に位置するものとなっている。すなわち、図10(b),(c)に示すように、下皿62の上方に位置する上皿61の底面のうち、排出口62aの真上(鉛直上方)に位置する箇所(排出口62aと対向する箇所)にネジ挿入孔が形成されており、当該ネジ挿入孔を介して、ケース体63eのネジ孔にネジ64を螺合することが可能となっている。
このため、作業者は、ネジ64を回転させるための工具(例えばプラスドライバー)として、下皿62の底面(球貯留凹部の底面)と上皿61の底面との間の空間に収まる大きさ(長さ)の工具(小型の工具)の準備がある場合、その空間内で工具を略鉛直にして、工具の先端をネジ64の頭部(ネジ頭)に形成された十字溝に係合させて、ネジ64を緩める方向に工具を回転させることで、ネジ64を外して、第1演出ボタンユニット630を上皿61(凹部61a)から取り外すことが可能となる。
一方、前述のような小型の工具の準備がなく、下皿62の底面と上皿61の底面との間の空間に収まらない大きさの工具(大型の工具)の準備がある場合、図10(c)に示すように、下皿62の排出口62aを開放状態として、該排出口62aに工具を挿通させることで、工具の先端を、排出口62a側を向いているネジ頭の十字溝に係合させることが可能となり、この状態で、ネジ64を緩める方向に工具を回転させることで、ネジ64を外して、第1演出ボタンユニット630を上皿61(凹部61a)から取り外すことが可能となる。
このように、上皿61の下方側(下皿62側)からドライバー等の工具によりネジ64を緩めて、第1演出ボタンユニット630の固定を解除することは、第1演出ボタンユニット630の修理や交換等を行う作業者にとってそれほど難しい作業ではない。一方、当該作業者以外の第三者(遊技者等)が、安易に第1演出ボタンユニット630を取り外すことは行い難くなる。前述のように、第1演出ボタンユニット630を固定するネジ64の頭部(ネジ頭)は上皿61の下方を向いており、その上皿61の下方には下皿62が存在するとともに、上皿61と下皿62との間のスペース(空間)は然程広くないからである。
これにより、本実施例のパチンコ遊技機1によれば、第1演出ボタンユニット630の修理や交換等の作業性(メンテナンス性)が低下することを回避しつつ、第三者による第1演出ボタンユニット630の取り外し阻止を図ることが可能となる。特に、第三者による第1演出ボタンユニット630の取り外し阻止は、第1演出ボタンユニット630を故意に外して正常に機能しないようにしたり破壊したりする等の行為(悪戯)や、第1演出ボタンユニット630の取り外しを伴う不正行為等の抑制に繋がり、結果として、遊技の健全化を図ることが可能となる。
また、遊技ホールの島設備には、通常、遊技球を収容する箱を載置可能な載置棚が設けられており、当該載置棚は、島設備に設置されたパチンコ遊技機の下皿の下方に位置するものとなっている。このため、パチンコ遊技機1の前面枠51が閉じた状態にあるときには、下皿62と載置棚との間のスペースが狭く、工具を用いてネジ64を回転させる作業(ネジ64の取り外し作業)が行い難い場合もある。そこで、第1演出ボタンユニット630のメンテナンスに際しては、前面枠51を開けて(開放して)下皿62の下方スペース(下方空間)を広くした上で、下皿62の排出口62aを開放状態とすることで、ネジ64を回転させる作業が行いやすくなる。もちろん、作業者以外の第三者が前面枠51を開放することはできないため、前面枠51の開放によりネジ64の取り外し作業が容易となるといった恩恵を第三者が受られることはなく、前面枠51が閉じた状態での第三者による第1演出ボタンユニット630の取り外しは難しいものとなる。
また、本実施例では、前述したように、排出口62aを開放状態に保つことが可能なロック機構を下皿62に設けている。このため、工具を用いてネジ64を回転させる際は、排出口62aが開放状態となる位置で開閉体62b(操作片62c)をロックして、排出口62aを開放状態としておくことで、ネジ64を回転させる工具が扱いやすくなり、その結果、ネジ64の取り外し作業が行いやすくなる。このように、本実施例では、既存の排出口62aやロック機構等を活用して、第1演出ボタンユニット630の取り外しに係る作業性を向上させることが可能となっている。但し、ロック機構を備えていない場合であっても、排出口62aを開放状態として当該排出口に工具を挿通させることが可能であるため、第1演出ボタンユニット630の取り外しに係る作業性の向上に関して一定の効果は得られる。
尚、以上の説明では、第1演出ボタンユニット630を取り外す場合について述べたが、第1演出ボタンユニット630を取り付ける場合についても同様に、その作業性の向上を図ることが可能である。すなわち、第1演出ボタンユニット630を上皿61の凹部61aに収めた状態で、上皿61の下方側(底面側)から工具によりネジ64を締め付けることで、第1演出ボタンユニット630を上皿61(凹部61a)に固定することが可能である。このとき、前面枠51を開放して排出口62aを開放状態とすることで、第1演出ボタンユニット630の取り付けに係る作業性を向上させることが可能となる。つまり、本実施例によれば、第1演出ボタンユニット630の脱着に係る作業性を向上させることが可能となる。
次に、本発明の実施例2に係るパチンコ遊技機1について、図11〜図13に基づいて説明する。尚、以下では、実施例1と異なる点(構成、作用効果等)を中心に説明し、実施例1と共通する点(構成、作用効果等)については説明を省略する。
前述の実施例1では、第1演出ボタンユニット630を1本のネジ64で固定するものとなっていたが、本実施例では2本のネジで固定するものとなっている(図12(b)を参照)。また、前述の実施例1では、下皿62の排出口62aの上方にネジ64が位置するものとなっていたが、本実施例では、下皿62に排出口62aとは別に開口部62dを設け、当該開口部62dの上方に、第1演出ボタンユニットを固定する2本のネジが位置するものとなっている(図12、図13を参照)。
図11〜図13に示すように、本実施例では、下皿62の底面に、開口部62dと、開口部62dを塞ぐ閉塞体62eとが設けられている。開口部62dは、排出口62aの後方に設けられており、前面枠51の裏面に貫通している。また、閉塞体62eは、開口部62dと合致する形状の部位(閉塞部)を含んで構成されるもので、前面枠51の裏面側から抜き差し可能となっている。
閉塞体62eは、通常(普段)、前面枠51の裏面側から開口部62dに挿入されて、前面枠51の裏面に対して所定の固定具により固定されている。このとき、開口部62dは閉塞体62eにより塞がれた状態(閉鎖状態)となる。尚、固定具としては、ピンやビス等の公知の部材が用いられる。一方、固定具による固定を解除することで、閉塞体62eを前面枠51から取り外す(開口部62dから引き抜く)ことが可能となり、閉塞体62eを取り外す(引き抜く)ことで、下皿62の開口部62dが開放された状態(開放状態)となる。このような閉塞体62eの取り付け・取り外し(着脱)は、図11に示すように、前面枠51を開放しなければ、行うことができない。したがって、下皿62の開口部62dの開閉も、前面枠51を開放しなければ、行うことができない。
次に、本実施例における上皿61側の構成について説明する。本実施例においても、上皿61(凹部61a)には第1演出ボタンユニットが組み付けられている。本実施例の第1演出ボタンユニット631は、基本的には、前述した実施例1の第1演出ボタンユニット630と同様の構成であるが、ケース体の底面に形成されるネジ孔の位置および数が実施例1と異なる。また、これに伴い、上皿61の底面に形成されるネジ挿入孔の位置および数も実施例1と異なる。
すなわち、本実施例では、前述したように、下皿62の底面の後方寄り(排出口62aより後方)に開口部62dが設けられている。この開口部62dの上方に位置する上皿61の底面に、第1演出ボタンユニット631を固定する2本のネジ64a,64bの各々に対応する2つのネジ挿入孔が形成されている。また、これに伴い、ケース体631eの底面には、上皿61の2つのネジ挿入孔に対応する2つのネジ孔が形成されている。
ケース体631eの底面のネジ孔に螺合した2本のネジ64a,64bは、その頭部(ネジ頭)が若干後方側を向いており、ネジ全体が傾斜した状態となっている(図13を参照)。ネジ64a,64bのネジ頭は、それぞれ、下皿62の開口部62dの側を向いており、当該ネジ64a,64bのネジ頭から下方に延びる延長線上に、開口部62dが位置するものとなっている(図13(b)を参照)。
このように構成された本実施例のパチンコ遊技機1において、第1演出ボタンユニット631の修理や交換等のメンテナンスを行うに際し、第1演出ボタンユニット631を取り外す場合には、前面枠51を開放して、固定具による閉塞体62eの固定を解除し、閉塞体62eを前面枠51から取り外す(開口部62dから引き抜く)。これにより、下皿62の開口部62dが開放状態となる。こうして開口部62dを開放状態とすることで、該開口部62dにネジ64a,64bを回転させるための工具を挿通させることが可能となり、この結果、前述した実施例1と同様に、ネジ64a,64bを回転させる工具が扱いやすくなり、ネジ64a,64bの取り外し作業が行いやすくなる。
特に、本実施例では、前面枠51を開放しない限り、下皿62の開口部62dを開放状態とすることはできないため、作業者以外の第三者(遊技者等)が、安易に第1演出ボタンユニット631を取り外すことは一層難しく(実質的に不可能と)なる。また、本実施例では、第1演出ボタンユニット631を固定するネジ64a,64bの頭部(ネジ頭)が僅かに後方側を向いているため、このことも第1演出ボタンユニット631の安易な取り外しを阻止する一要因となり得る。
尚、以上の説明では、第1演出ボタンユニット631を取り外す場合について述べたが、第1演出ボタンユニット631を取り付ける場合についても同様に、その作業性の向上を図ることが可能である。すなわち、前面枠51を開放して開口部62dを開放した状態で、第1演出ボタンユニット631を収容した上皿61(凹部61a)の下方側(底面側)から工具によりネジ64a,64bを締め付けることで、第1演出ボタンユニット631を上皿61(凹部61a)に固定することが可能である。つまり、本実施例においても、前述した実施例1と同様に、第1演出ボタンユニット631の脱着に係る作業性を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態として実施例1,2を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
例えば、前述した実施例1では、第1演出ボタンユニット630を1本のネジ64により固定するものとしていたが、複数本のネジにより固定するものとしてもよい。この場合、複数本のネジのうち少なくとも1本のネジ(ネジ頭)が下皿62の排出口62aの開口範囲内に位置するものであればよい。同様に、前述した実施例2では、第1演出ボタンユニット631を2本の64a,64bにより固定するものとしていたが、1本のネジにより固定するものとしてもよく、あるいは、3本以上のネジにより固定するものとしてもよい。この場合も、少なくとも1本のネジ(ネジ頭)が下皿62の開口部62dの上方(開口範囲内)に位置するものであればよい。
また、前述した実施例1では、第1演出ボタンユニット630を固定するネジが鉛直状に配されるものとなっていたが、傾斜状に配されるものであってもよく、複数のネジで第1演出ボタンユニット630を固定する場合には、鉛直状に配されるものと傾斜状に配されるものとが混在するものであってもよい。同様に、前述した実施例2では、第1演出ボタンユニット631を固定するネジ64a,64bが共に傾斜状に配されるものとなっていたが、鉛直状に配されるものであってもよく、鉛直状に配されるものと傾斜状に配されるものとが混在するものであってもよい。
また、前述した実施例1では、下皿62の排出口62aの上方に第1演出ボタンユニット630を固定するネジが位置するものとし、前述した実施例2では、下皿62に排出口62aとは別に開口部62dを設けて該開口部62dの上方に第1演出ボタンユニット631を固定するネジ64a,64bが位置するものとしていたが、これら両実施例を組み合わせた構成を採ることも可能である。この場合、第三者による第1演出ボタンユニットの取り外し阻止に係る効果がより顕著なものとなる。
また、前述した実施例1,2では、第1演出ボタンユニットを固定するための部材(固定具)として頭部に十字溝が形成されたネジを用いるものとしていたが、固定具の種類やネジ頭に形成される溝(穴)の形状は実施例に限定されるものではなく、公知の種々の固定具を用いることが可能である。つまり、工具等を用いて第1演出ボタンユニットを固定したりその固定を解除したりすることができる固定具であれば、その種類は問わない。
また、前述した実施例1,2では、上皿61に設けられた演出ボタン(演出ボタンユニット)のネジによる固定および固定解除に関して説明したが、上皿61には、演出ボタンユニットの他にも、CR操作部130や、上皿に貯留されている遊技球を下皿に流下させる球抜きボタン(図示せず)、さらには、小型の液晶表示器(図示せず)等が設けられることもある。これら演出ボタン以外の各種部品の固定および固定解除に関しても、本発明を適用することが可能である。
また、前述した実施例1,2では、上皿61に演出ボタン(演出ボタンユニット)が1つ設けられる場合について説明したが、上皿に演出ボタンが複数設けられる場合にも、本発明を適用することが可能である。
ここで、実施例の主要な構成要素と本発明の主要な構成要素との対応関係を説明する。実施例の視認窓51aは本発明の「視認部」の一態様に相当し、実施例の上皿61は本発明の「突出部」の一態様に相当し、実施例の第1演出ボタンユニット630,631は本発明の「遊技機部品」の一態様に相当し、実施例のネジ64,64a,64bは本発明の「固定部材」の一態様に相当し、実施例のネジ64,64a,64bの頭部(ネジ頭)に形成された十字溝は本発明の「係合部」の一態様に相当し、実施例の下皿62は本発明の「貯留部」の一態様に相当し、実施例の排出口62aおよび開口部62dは本発明の「開口」の一態様に相当し、実施例の開閉体62bおよび閉塞体62eは本発明の「開閉部材」の一態様に相当し、実施例の前面枠51は本発明の「前面部材」の一態様に相当し、実施例の本体枠52は本発明の「枠部材」の一態様に相当する。尚、ここに示した対応関係は、あくまでも、本発明の実施の形態を具体的に示すための一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
[その他]
以下、本明細書で開示した実施形態(実施例)に基づいて導き出される、前述した課題を解決するための参考発明を開示しておく。
(1−1)遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域を視認可能とする視認部の下方にて前方へ突出する突出部と、
を備えた遊技機であって、
前記突出部に所定の遊技機部品が設けられており、
前記遊技機部品は、所定の固定部材によって固定されるとともに、前記固定部材による固定を解除することで前記突出部から取り外し可能とされており、
前記固定部材による固定は、前記固定部材の一端側から解除可能となっており、
前記固定部材の一端は、前記突出部の下方を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(1−1)の遊技機では、前方へ突出する突出部に設けられる遊技機部品が所定の固定部材により固定されており、固定部材よる固定を解除することで、遊技機部品を取り外すことが可能となっている。ここで、固定部材による固定は、当該固定部材の一端側から解除可能となっており、その固定部材の一端は突出部の下方を向いているため、遊技機部品の取り外しに際しては、突出部の下方側から、その固定解除に係る作業を行うこととなる。このため、遊技機部品の修理や交換等を行う作業者(遊技ホール店員、遊技機メーカー担当者等)以外の第三者(遊技者等)にとっては、安易に遊技機部品を取り外すことが難しくなる。これにより、遊技者等の第三者による遊技機部品の取り外し阻止を図りつつ、遊技機部品の修理や交換等に係る作業を容易に行えるようにすることが可能となる。
尚、「突出部の下方」の「下方」には、「鉛直下方」や「斜め下方」が含まれる。つまり、固定部材の一端が「鉛直下向き」となっているものや「斜め下向き」となっているものが含まれる。
(1−2)上記(1−1)の遊技機において、
前記固定部材は複数配されており、
前記複数の固定部材のうち少なくとも1つの固定部材の一端が、前記突出部の下方を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(1−2)の遊技機では、遊技機部品の固定に複数の固定部材が用いられるものとなっており、そのうちの少なくとも1つの固定部材の一端が、突出部の下方を向いている。このように、複数の固定部材のうちの少なくとも1つについて、その一端を突出部の下方に向けることで、第三者による遊技機部品の取り外し阻止を図りつつ、遊技機部品の修理や交換等に係る作業を容易に行えるようにすることが可能となる。
(1−3)上記(1−1)または上記(1−2)の遊技機において、
前記突出部の下方に、遊技球を貯留可能な貯留部が設けられており、
前記貯留部には、開口と該開口を開閉可能な開閉部材が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
上記(1−3)の遊技機では、固定部材の一端が向いている先、すなわち突出部の下方に、貯留部が存在するものとなっている。これにより、第三者が安易に遊技機部品を取り外すことを、より難しくすることが可能となる。また、固定部材の一端が向いている先に存在する貯留部には、開口と該開口を開閉可能な開閉部材が設けられている。これにより、例えば、遊技機部品の修理・交換等を行う作業者が工具等を用いて固定部材による固定を解除する際、貯留部の開口を開放することによって、当該開口を利用して工具等が使えるようになったり、あるいは使いやすくなったりするといった機能を実現することが可能となる。
(1−4)上記(1−3)の遊技機において、
前記固定部材の一端は、前記開口側を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(1−4)の遊技機では、固定部材の一端が開口側を向いているため、前述のように開口を開放した上で、工具等を用いて固定部材による固定を解除する際、その解除に係る作業が、より行い易いものとなる。
(2−1) 遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域を視認可能とする視認部の下方にて前方へ突出する突出部と、
を備えた遊技機であって、
前記突出部には、所定の遊技機部品が設けられており、
前記遊技機部品は、所定の固定部材によって固定されるとともに、前記固定部材による固定を解除することで前記突出部から取り外し可能とされており、
前記固定部材による固定は、前記固定部材の一端側から解除可能となっており、
前記突出部の下方には空間が形成されており、
前記固定部材の一端は、前記空間側を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(2−1)の遊技機では、前方へ突出する突出部に設けられる遊技機部品が所定の固定部材により固定されており、固定部材よる固定を解除することで、遊技機部品を取り外すことが可能となっている。ここで、固定部材による固定は、当該固定部材の一端側から解除可能となっており、その固定部材の一端は、突出部の下方に形成された空間を向いているため、遊技機部品の取り外しに際しては、突出部下方の空間側から、その固定解除に係る作業を行うこととなる。このため、遊技機部品の修理や交換等を行う作業者(遊技ホール店員、遊技機メーカー担当者等)以外の第三者(遊技者等)にとっては、安易に遊技機部品を取り外すことが難しくなる。これにより、遊技者等の第三者による遊技機部品の取り外し阻止を図りつつ、遊技機部品の修理や交換等に係る作業を容易に行えるようにすることが可能となる。
尚、「突出部の下方」の「下方」には、「鉛直下方」や「斜め下方」が含まれる。つまり、突出部の下方に形成される空間には、突出部の鉛直下方(真下)に存在する空間や、突出部の斜め下方に存在する空間が含まれる。したがって、「空間側を向いている」には、固定部材の一端が「鉛直下向き」となっているものや「斜め下向き」となっているものが含まれる。
(2−2)上記(2−1)の遊技機において、
前記固定部材は複数配されており、
前記複数の固定部材のうち少なくとも1つの固定部材の一端が、前記空間側を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(2−2)の遊技機では、遊技機部品の固定に複数の固定部材が用いられるものとなっており、そのうちの少なくとも1つの固定部材の一端が、突出部下方の空間側を向いている。このように、複数の固定部材のうちの少なくとも1つについて、その一端を突出部下方の空間側に向けることで、第三者による遊技機部品の取り外し阻止を図りつつ、遊技機部品の修理や交換等に係る作業を容易に行えるようにすることが可能となる。
(2−3)上記(2−1)または上記(2−2)の遊技機において、
前記突出部の下方に、遊技球を貯留可能な貯留部が設けられており、
前記空間は、前記突出部と前記貯留部との間に形成されている
ことを特徴とする遊技機。
上記(2−3)の遊技機では、固定部材の一端が向いている先、すなわち突出部下方の空間側に、貯留部が存在するものとなっている。これにより、第三者が安易に遊技機部品を取り外すことを、より難しくすることが可能となる。
(2−4)上記(2−3)の遊技機において、
前記貯留部には、開口と該開口を開閉可能な開閉部材が設けられており、
前記固定部材の一端は、前記開口側を向いている
ことを特徴とする遊技機。
上記(2−4)の遊技機では、固定部材の一端が向いている先に存在する貯留部には、開口と該開口を開閉可能な開閉部材が設けられている。これにより、例えば、遊技機部品の修理・交換等を行う作業者が工具等を用いて固定部材による固定を解除する際、貯留部の開口を開放することによって、当該開口を利用して工具等が使えるようになったり、あるいは使いやすくなったりするといった機能を実現することが可能となる。
(3−1)上記(1−3)、上記(1−4)または上記(2−4)の遊技機において、
前記開口は、前記貯留部に貯留された遊技球を排出する排出口である
ことを特徴とする遊技機。
上記(3−1)の遊技機では、貯留部に貯留された遊技球を排出可能な排出口を、前述の開口としている。これにより、既存の構造(球抜き用の開口、すなわち排出口)を利用して、固定部材による固定の解除に係る作業性の向上を図ることが可能となる。
(3−2)上記(1−3)、上記(1−4)または上記(2−4)の遊技機において、
前記遊技盤を支持する枠部材と、
前記枠部材の前面側に開閉可能に設けられる前面部材と、
を備え、
前記貯留部は、前記前面部材に設けられており、
前記開閉部材は、前記前面部材が開放状態にあるときに、前記開口を開放可能となる
ことを特徴とする遊技機。
上記(3−2)の遊技機では、遊技盤を支持する枠部材の前面側に開閉可能に設けられる前面部材に貯留部が設けられており、当該開閉部材が開放状態にあるときに、貯留部の開口を開放することが可能となる。ここで、枠部材の前面側の前面部材は、通常、遊技ホール店員や修理・交換等を行う作業者によって開閉されることはあっても、遊技者等の第三者によって開閉されることはない。このため、第三者が貯留部の開口を開放することは難しくなる(実質的に不可能となる)。これにより、第三者が安易に遊技機部品を取り外すことを、より一層難しくする(実質的に不可能とする)ことが可能となる。
(3−3)上記(1−1)ないし上記(3−2)の何れか一つの遊技機において、
前記固定部材はネジ部材であり、
前記ネジ部材の頭部には、該ネジ部材を回転させる工具と係合可能な係合部が形成されており、
前記固定部材の一端は、前記ネジ部材の頭部である
ことを特徴とする遊技機。
上記(3−3)の遊技機では、固定部材をネジ部材としており、当該ネジ部材を回転させる工具と係合可能な係合部が形成された頭部(ネジ頭)が、突出部の下方を向いているものとなっている。これにより、遊技機部品の修理や交換等に係る作業の容易性を確保することが可能となる。