JP2019022193A - 交流発生装置 - Google Patents

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【課題】磁性発振素子をスレーブとして用いたマスタースレーブ方式の交流発生装置において、磁性発振素子の破壊を抑制する。【解決手段】交流磁界を発生させる発振器1と、直流電流または直流電圧を交流電力に変換する磁性発振素子2と、磁性発振素子2が発生させる交流電力の位相を制御する位相制御部6と、を備え、発振器1が発生させる交流磁界を磁性発振素子2に印加することによって、磁性発振素子2を共鳴させ、発振器1と磁性発振素子2とを同期させる。【選択図】図1

Description

本発明は、交流発生装置に関するものである。
近年、高周波技術の進歩により、周波数が30GHz〜300GHzのミリ波や、テラヘルツ波の利用が盛んになってきている。高周波を利用してレーダーやセンサを動作させるためには、位相の制御が必要になるが、位相の制御は利用周波数が増加するに従って難しくなる。
例えば、複数のアンテナと、各アンテナに1つずつ取り付けられてアンテナから発信される電磁波の位相を制御する移相器とを備えるフェーズドアレイレーダーが提案されているが、一般に高周波電磁波の位相を制御できる移相器は大型であり、高価でもある。
他に位相を制御する方法としては、マスターとなる高周波発振器からの高周波電流を、マスターとは別のスレーブとなる高周波発振器に注入するマスタースレーブ方式によって位相を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、スレーブはマスターと同期して、一定の周波数で発振するようになる。そして、これらが同期する前の周波数差は、位相差として現れる。また、一般に高周波発振器は電圧等の外力によって発振周波数を変化させることができる。そのため、同期状態のもと、スレーブに印加する電圧等を変化させた場合、周波数はマスターとの同期により固定されているため変化せず、位相のみが変化する。したがって、スレーブに印加する電圧等を変化させることにより、スレーブの位相を制御することができる。
特許第4724864号公報
近年では、供給された直流電流・電圧を、その大きさに応じた周波数の高周波電力に変換する磁性発振素子(STO:Spin Torque Oscillator)と呼ばれる高周波発振器が研究されている。STOは幅が数nm〜数μmと微細であるので、スレーブとしてSTOを用い、マスターからの高周波電流と、高周波電力を発生させるための直流電流・電圧とをSTOに供給する構成とすれば、交流発生装置を小型化することができる。
しかしながら、マスターからの高周波電流と、高周波電力を発生させるための直流電流・電圧との両方がSTOに印加されると、直流電流・電圧のみがSTOに印加される場合に比べてSTOに印加される電圧が大きくなり、STOが破壊されやすくなる。
例えば、STOの破壊閾値電圧が0.5Vの場合、STOに0.3Vの直流電圧のみが印加されていれば、STOは破壊されにくい。しかし、高周波電流が供給されることにより、STOにはさらに電圧が印加される。そして、この電圧の最大値が0.2V未満、例えば0.15V程度であっても、STOに印加される電圧の合計が破壊閾値電圧に近くなるため、STOを連続動作させた場合のSTOの寿命が短くなり、STOが破壊されやすくなる。また、高周波電流が供給されることにより印加される電圧の最大値が0.2V以上、例えば0.3V程度になると、STOに印加される電圧の合計が破壊閾値電圧よりも大きくなり、STOが破壊される。
また、直流電流・電圧を増減させるとSTOの発振周波数が変化するため、同期状態のもと直流電流・電圧を増減させることにより、STOが発生させる高周波電力の位相を変化させることができる。しかし、位相を変化させるために直流電流・電圧を増加させた場合、STOがより破壊されやすくなる。
また、STOを低い周波数で発振させてもマスタースレーブ方式で位相を制御することが可能であり、この場合にも直流電流・電圧の増加によりSTOが破壊されやすくなる。
本発明は上記点に鑑みて、STOをスレーブとして用いたマスタースレーブ方式の交流発生装置において、STOの破壊を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、交流磁界を発生させる発振器(1)と、直流電流または直流電圧を交流電力に変換する磁性発振素子(2)と、磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を制御する位相制御部(6、7)と、を備え、発振器が発生させる交流磁界を磁性発振素子に印加することによって、磁性発振素子を共鳴させ、発振器と磁性発振素子とを同期させる。
このように、発振器が発生させる交流磁界を磁性発振素子に印加する場合、発振器が出力する交流電流を磁性発振素子に直接注入する必要がない。そのため、発振器の出力電流を磁性発振素子に直接注入する場合に比べて磁性発振素子に印加される電圧の合計が小さくなる。したがって、請求項5に記載の発明のように、直流電流・電圧の大きさを変化させることで交流電力の位相を変化させる構成としても、磁性発振素子の破壊を抑制することができる。
また、請求項6に記載の発明では、磁性発振素子は、発振器により印加される交流磁界によって共鳴するとともに、磁界が印加されることにより磁化方向が変化する発振層(26)を有し、位相制御部は、発振層に磁界を印加することにより発振層の磁化方向を変化させ、磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる。
このように、発振層に位相制御部からの磁界を印加することで磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる構成では、磁性発振素子に供給する直流電流・電圧の大きさを一定としたまま交流電力の位相を変化させることができる。したがって、磁性発振素子の破壊をさらに抑制することができる。
また、請求項7に記載の発明では、磁性発振素子は、発振器により印加される交流磁界によって共鳴する発振層(26)と、電流が流されることにより発振層にスピン流を注入するスピン流注入層(29)と、を有し、位相制御部は、スピン流注入層に電流を流すことにより発振層にスピン流を注入し、磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる。
このように、発振層にスピン流を注入することで磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる構成においても、磁性発振素子に供給する直流電流・電圧の大きさを一定としたまま交流電力の位相を変化させることができる。したがって、磁性発振素子の破壊をさらに抑制することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかる交流発生装置の構成を示す図である。 図1の磁性発振素子の断面図である。 第1実施形態の変形例の回路図である。 第2実施形態にかかる交流発生装置の構成を示す図である。 第3実施形態にかかる交流発生装置における磁性発振素子の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の交流発生装置の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の交流発生装置100は、発振器1と、STO2と、接続部3と、電源4と、制御部5と、制御部6とを備えている。
発振器1は、電源4から制御部5を介して供給される直流電流・電圧を交流電流に変換して出力し、接続部3を介してSTO2に交流磁界を印加する装置である。
STO2は、供給された直流電流または直流電圧を交流電力に変換するものであり、複数の膜が積層されて構成されている。STO2の詳細については後述する。
発振器1が出力する交流電流、STO2が出力する交流電力は、例えば10kHz以上の高周波電流、高周波電力とされる。ここでは、発振器1が高周波電流を出力し、STO2に高周波磁界が印加され、STO2が高周波電力を出力する場合について説明する。
接続部3は、発振器1とSTO2とを磁気的に接続するものであり、導体部31と、配線32と、絶縁層33とを備えている。導体部31は、例えばCu、Au等、一般に配線として用いられている導電率の高い材料で構成される。接続部3は、導体部31に電流が流れることで発生する磁界をSTO2に印加することにより、発振器1とSTO2とを磁気的に接続している。
具体的には、導体部31は板状とされており、長手方向の両端部において、配線32を介して発振器1に接続されている。また、導体部31の上には絶縁層33が積層されており、絶縁層33の上にはSTO2を構成する複数の膜が積層されている。これにより、導体部31はSTO2と電気的に絶縁されている。そして、導体部31には発振器1が出力する高周波電流が流れ、これにより発生する高周波磁界がSTO2に印加される。
本実施形態では、導体部31に電流が流れることにより、STO2を構成する複数の膜の積層方向、および、導体部31において電流が流れる方向の両方に垂直な方向にSTO2を通る磁界が発生する。
電源4は、制御部5、制御部6を介して発振器1、STO2に直流電流・電圧を供給するものである。制御部5は、周波数制御部に相当し、電源4から発振器1に供給される直流電流・電圧の大きさを変化させることにより、発振器1が出力する高周波電流の周波数を調整する。
制御部6は、電源4から供給された直流電流・電圧の大きさを調整してSTO2に供給する。STO2は、後述する下部電極21および上部電極28において制御部6に接続されており、本実施形態では、制御部6からSTO2に供給される電流は、下部電極21から上部電極28の向きに流れる。
また、制御部6は、周波数制御部に相当し、STO2に供給する直流電流・電圧の大きさを変化させることにより、STO2が発生させる高周波電力の周波数を調整する。本実施形態では、制御部5、制御部6は、発振器1とSTO2とが同期するように、発振器1が出力する高周波電流とSTO2が発生させる高周波電力の周波数を調整する。
また、制御部6は、位相制御部に相当し、STO2に供給する直流電流・電圧の大きさを変化させることにより、STO2が発生させる高周波電力の位相を変化させる。
つぎに、図2を参照して、STO2の詳細について説明する。STO2は、下部電極21と、下地層22と、反強磁性層23と、非発振層24と、中間層25と、発振層26と、キャップ層27と、上部電極28とを備えており、これらが順に絶縁層33上に積層されて構成されている。
下部電極21は、Ru、Cu、CuN、Au等の導電性材料で構成されており、絶縁層33上に薄膜状に形成されている。下地層22は、Ta、Ru等で構成されており、下部電極21上に薄膜状に形成されている。下地層22は、結晶性、配向性を向上させて反強磁性層23を成膜するための下地となるものである。
反強磁性層23は、IrMn、PtMn等で構成されており、下地層22上に薄膜状に形成されている。反強磁性層23は、交換結合により、非発振層24の磁化方向を固定するためのものである。
非発振層24は、Co、Fe、Ni等の強磁性材料で、または強磁性材料とBとで構成されており、反強磁性層23上に薄膜状に形成されている。非発振層24は、非発振層24の平面方向、すなわち、厚さ方向に垂直な方向の磁化容易軸を有しており、反強磁性層23との交換結合により、非発振層24の磁化方向は、ここでは、非発振層24の平面方向に固定されている。なお、上記の材料に加え、Pt、Pdを用いて非発振層24を構成してもよい。また、GaMn、FePt(Pd)、CoPt(Pd、Ni)等の高磁気異方性材料を用いて非発振層24を構成してもよい。
なお、図示しないが、下地層22と反強磁性層23との間には、NiFe等で構成される磁性層が形成されている。また、反強磁性層23と非発振層24との間には、CoFe等で構成される磁性層と、Ru等で構成され、上下に形成された磁性層の磁化方向をRKKY相互作用により固定する層が形成されている。
つまり、反強磁性層23をIrMnで構成し、非発振層24をCoFeBで構成する場合、下地層22と中間層25に挟まれた層は、下地層22側から順に、NiFe/IrMn/CoFe/Ru/CoFeB等の積層構造とされている。
本実施形態のSTO2は、このように、Ru等のRKKY相互作用を用い、複数の磁性層により構成されたシンセティックフェリ磁性層を含んでいる。シンセティックフェリ磁性層を用いた構成では、Ruを挟んで上下に形成された2つの磁性層の磁化の向きを互いに逆にすることで、これら2つの磁性層からの漏れ磁界が発振層26に与える影響を低減することができる。
中間層25は、MgO、Al−O、Cu、Ag等で構成され、非発振層24上に薄膜状に形成されている。非発振層24の磁化方向と発振層26の磁化方向との間の角度によって、STO2のうち非発振層24、中間層25、発振層26で構成される部分の抵抗値が変化する。中間層25をMgO、Al−O等の絶縁体で構成した場合、非発振層24、中間層25、発振層26の積層によりTMR(Tunneling Magneto Resistance)素子が構成される。また、中間層25をCu、Ag等の導体で構成した場合、非発振層24、中間層25、発振層26の積層によりGMR(Giant Magneto Resistance)素子が構成される。なお、ここでは中間層25を絶縁体や導体で構成する場合について説明したが、中間層25を半導体で構成することもできる。
発振層26は、Co、Fe、Ni等の強磁性材料で、または強磁性材料とBとで構成されており、中間層25上に薄膜状に形成されている。発振層26は、厚さ方向の磁化容易軸を有しており、外部磁界によって磁化方向が変化する。なお、上記の材料に加え、Pt、Pdを用いて発振層26を構成してもよい。また、GaMn、FePt(Pd)、CoPt(Pd、Ni)等の高磁気異方性材料を用いて発振層26を構成してもよい。また、発振層26を、CoFeB/GaMn、CoFeB/FePt等の積層構造としてもよい。また、発振層26を、CoFeB/Ta/GaMn等の積層構造としてもよい。
後述するように、発振層26は高周波磁界によって共鳴する。発振層26を非発振層24よりも薄く形成することにより、非発振層24よりも発振層26の方が高周波磁界によって共鳴しやすくなるが、発振層26の厚さが非発振層24の厚さ以上とされていてもよい。
キャップ層27は、Ta、Ru等で構成されており、発振層26上に薄膜状に形成されている。キャップ層27は、発振層26を保護するためのものである。また、後述するように発振層26にCoFeB等を用いる場合は、CoFeB中のBを拡散させるための吸収層としての役割も担う。
上部電極28は、Au、Cu、CuN、Ru等の導電性材料で構成されており、キャップ層27上に薄膜状に形成されている。このようなSTO2は、絶縁層33上に各層を順に成膜していくことで製造できる。
非発振層24や発振層26にCoFeBを用いる場合は、まずCoFeBをアモルファス状に成膜する。ただし、Bを入れているので、特に何もしなくてもアモルファスとなる。そのアモルファスCoFeB上にMgOを(001)配向して成膜する。その上にCoFeBをアモルファス状に成膜し、キャップ層27を成膜する。その後、300〜350℃で熱処理を行うことで、CoFeB中のBがMgO層やキャップ層27、または下地層22に拡散し、アモルファスからbcc(001)配向に結晶化する。このようにCoFeB/MgO/CoFeBが結晶化することで、高いMR比(磁気抵抗比)、すなわち高周波電力の高出力化につながる。
交流発生装置100の動作について説明する。交流発生装置100は、発振器1をマスターとし、STO2をスレーブとしたマスタースレーブ方式により、発振器1とSTO2とを同期させる。
まず、電源4と制御部5により発振器1に直流電流・電圧が供給され、発振器1は供給された直流電流・電圧を高周波電流に変換して出力する。発振器1が出力した高周波電流は導体部31を流れ、これにより発生した高周波磁界がSTO2に印加される。
また、電源4と制御部6によりSTO2に直流電圧が印加され、STO2に直流電流が流れる。この直流電流は、本実施形態では、非発振層24から発振層26の向きに流れる。このとき、電子は発振層26から非発振層24へ移動する。
発振層26の磁化は、電子のスピントルクにより歳差運動している。そして、発振層26の磁化が歳差運動することで、MR効果によりSTO2の抵抗は常に変化し、STO2の両端には高周波電流・電圧が生じており、これによる高周波電力が生じる。つまり、直流電流・電圧が高周波電力に変換される。
この高周波電力の周波数は、STO2を構成する材料と、制御部6から供給される電流・電圧の大きさによって変化する。また、発振器1が出力する高周波電流、および、この高周波電流が導体部31を流れることにより発生する高周波磁界の周波数は、制御部5から供給される電流・電圧の大きさによって変化する。発振器1が出力する高周波電流の周波数をf1とし、STO2が発生させる高周波電力の周波数をf2とし、m、nを自然数とすると、制御部5および制御部6は、f2=f1・n/mとなるように、発振器1およびSTO2に供給する電流・電圧の大きさを変化させる。これにより、発振層26が高周波磁界によって共鳴し、発振器1とSTO2とが同期する。
なお、発振器1とSTO2は、m=1、すなわち、f2=f1・nのときに同期しやすく、さらに、nが小さいほど同期しやすい。また、発振器1とSTO2は、n=1、すなわち、f2=f1/mのときに同期しやすく、さらに、mが小さいほど同期しやすい。
具体的には、発振器1とSTO2は、周波数f2がf1/4、f1/3、f1/2、f1、2f1、3f1、4f1のいずれかに等しいときに同期しやすい。そして、発振器1とSTO2は、周波数f2がf1/2、f1、2f1のいずれかに等しいときに、より同期しやすく、f2=f1のとき特に同期しやすい。本実施形態では、制御部5および制御部6は、f2=f1となるように、発振器1およびSTO2に供給する直流電流・電圧の大きさを調整する。
交流発生装置100は、発振器1とSTO2とが同期した状態において、制御部6によって、STO2が発生させる高周波電力の位相を変化させる。
具体的には、発振器1とSTO2とが同期した状態において、制御部6がSTO2に供給する直流電流・電圧の大きさをわずかに変化させると、これらの同期により高周波電力の周波数f2は変化せず、位相が変化する。
例えば、周波数f1、f2が数GHzのとき、STO2に供給される直流電圧の大きさを数mV変化させることにより、高周波電流と高周波電力とが同期した状態を維持しながら、高周波電力の位相を変化させることができる。なお、STO2に供給される直流電流・電圧の大きさと高周波電力の周波数および位相との関係は、STO2を構成する材料などによって変化する。
このように、STO2には、制御部6から直流電流・電圧が供給されている。また、高周波電力の位相を変化させる際には、制御部6からSTO2に印加される電圧が増加する場合がある。このとき、発振器1が出力する高周波電流がSTO2に直接注入されていると、STO2に印加される電圧が大きくなるため、STO2が破壊されるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、発振器1が出力する高周波電流が導体部31を流れることによって発生した高周波磁界をSTO2に印加しており、発振器1が出力する高周波電流をSTO2に直接注入していない。そのため、高周波電流がSTO2に直接注入される場合に比べて、STO2に印加される電圧の合計が小さくなる。したがって、印加電圧の増加によるSTO2の破壊を抑制することができる。
なお、STO2にアンテナを接続して、このアンテナから高周波電磁波を発信する構成としてもよい。図3は、STO2にアンテナを接続する場合の回路の一例を示した図である。図3に示すように、STO2には、STO2に入力される直流電流とSTO2が出力する高周波電流とを分けるバイアスティ回路8が接続されている。バイアスティ回路8は、インダクタ81と、キャパシタ82とを備えており、STO2と制御部6との間にインダクタ81が接続されており、STO2はキャパシタ82を介してアンテナ9に接続されている。このような構成により、制御部6からの直流電流がアンテナ9に流れ込むことが抑制され、アンテナ9には、STO2が出力する高周波電力のみが供給される。そして、STO2が出力する高周波電流がアンテナ9に流れることにより、高周波電磁波が発信される。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して高周波電力の位相の制御方法を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態の交流発生装置100は、位相制御部7を備えている。
位相制御部7は、STO2が発生させる高周波電力の位相を制御するものであり、制御部71と、配線72とを備えている。
制御部71は、電源4から供給された直流電流・電圧の大きさを調整して配線72に供給する。配線72はSTO2の周囲に配置されており、配線72に電流が流れることにより、STO2を構成する複数の膜の積層方向にSTO2を通る磁界が発生する。
本実施形態の交流発生装置100は、発振器1とSTO2とが同期した状態において、位相制御部7によって、STO2が発生させる高周波電力の位相を変化させる。
具体的には、位相制御部7は、電源4と制御部71により配線72に直流電流が流れることで発生した磁界をSTO2に印加する。前述したように、STO2の発振層26は外部磁界によって磁化方向が変化するため、発振層26を含むSTO2に磁界を印加することにより、発振層26の磁化方向が変化する。高周波電力の周波数f2は、発振層26の磁化方向に応じて変化するので、発振器1とSTO2とが同期した状態において発振層26に印加する磁界をわずかに変化させることにより、高周波電力の位相を変化させることができる。
このように、発振層26に位相制御部7からの磁界を印加することでSTO2が発生させる高周波電力の位相を変化させる構成の本実施形態では、STO2に供給する直流電流・電圧の大きさを一定としたまま高周波電力の位相を変化させることができる。したがって、STO2の破壊をさらに抑制することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して高周波電力の位相の制御方法を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、制御部6は、電源4から供給された直流電流・電圧の大きさを調整してSTO2に供給するとともに、発振層26にスピン流を注入することにより高周波電力の周波数f2を変化させる。
具体的には、図5に示すように、STO2は、発振層26に対して中間層25と反対側に配置されたスピン流注入層29を備えている。スピン流注入層29は、発振層26にスピン流を注入するためのものであり、例えばPt等で構成される。
スピン流注入層29は、平面方向の両端部において制御部6に接続されており、制御部6からスピン流注入層29に電流が流されると、スピンホール効果によりスピン流注入層29から発振層26にスピン流が注入され、高周波電力の周波数f2が変化する。
そして、発振器1とSTO2とが同期している状態において、制御部6がスピン流注入層29に電流を流し、高周波電力の周波数f2をわずかに変化させることにより、高周波電力の位相が変化する。
このように、発振層26にスピン流を注入することでSTO2が発生させる高周波電力の位相を変化させる構成の本実施形態では、STO2に供給する直流電流・電圧の大きさを一定としたまま高周波電力の位相を変化させることができる。したがって、STO2の破壊をさらに抑制することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、絶縁層33の表面に下部電極21を形成し、下部電極21の上に下地層22から上部電極28までを積層したが、絶縁層33の表面に上部電極28を形成し、キャップ層27から下部電極21までを上部電極28の上に積層してもよい。
また、上記第1実施形態では、絶縁層33の上にSTO2を構成する複数の膜を積層したが、STO2の上に絶縁層33および導体部31を積層してもよい。また、STO2に磁界を印加することができる他の位置に導体部31および絶縁層33を配置してもよい。また、上記第1実施形態では導体部31を板状としたが、導体部31を他の形状としてもよい。
また、上記第1実施形態では、非発振層24は平面方向の磁化容易軸を有し、発振層26は厚さ方向の磁化容易軸を有しているが、非発振層24、発振層26が他の方向の磁化容易軸を有していてもよい。例えば、非発振層24が厚さ方向の磁化容易軸を有し、発振層26が平面方向の磁化容易軸を有していてもよい。また、STO2が下地層22、反強磁性層23、キャップ層27を備えていなくてもよい。
また、発振器1とSTO2はm=1またはn=1のときに同期しやすいが、m≠1かつn≠1、例えばf2=f1・2/3となるように、周波数f1、f2を調整してもよい。
また、上記第2、第3実施形態において、STO2にアンテナ9を接続してもよい。
また、交流発生装置100がSTO2を複数備えていてもよい。このような交流発生装置100において、制御部6が各STO2に供給する直流電流・電圧の大きさを個別に変化させる構成とすれば、各STO2が発生させる高周波電力の位相を個別に調整して、交流発生装置100を、例えば車車間通信や路車間通信のためのフェーズドアレイレーダーとして用いることができる。すなわち、STO2にアンテナ9を接続して、アンテナ9から高周波電磁波が発信される構成とし、さらに各STO2が発生させる高周波電力の位相を個別に調整することにより、複数のアンテナ9全体から発信される高周波電磁波の指向性を制御することができる。また、各STO2に対して配線72を設け、位相制御部7が各STO2に印加する磁界を個別に変化させる構成としても、同様に、交流発生装置100をフェーズドアレイレーダーとして用いることができる。
また、発振器1が出力する交流電流、STO2に印加される交流磁界、STO2が出力する交流電力が、10kHz未満の交流電流、交流磁界、交流電力であってもよい。
1 発振器
2 STO
6 制御部
7 位相制御部

Claims (10)

  1. 交流磁界を発生させる発振器(1)と、
    直流電流または直流電圧を交流電力に変換する磁性発振素子(2)と、
    前記磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を制御する位相制御部(6、7)と、を備え、
    前記発振器が発生させる交流磁界を前記磁性発振素子に印加することによって、前記磁性発振素子を共鳴させ、前記発振器と前記磁性発振素子とを同期させる交流発生装置。
  2. 前記交流電流の周波数をf1とし、
    前記交流電力の周波数をf2としたとき、
    前記周波数f2は、f1/4、f1/3、f1/2、f1、2f1、3f1、4f1のいずれかに等しい請求項1に記載の交流発生装置。
  3. 前記磁性発振素子に直流電流または直流電圧を供給するとともに、該直流電流または直流電圧の大きさを変化させることにより前記交流電力の周波数を調整し、前記発振器と前記磁性発振素子とを同期させる周波数制御部(6)を備える請求項1または2に記載の交流発生装置。
  4. 前記発振器の出力の周波数を調整し、前記発振器と前記磁性発振素子とを同期させる周波数制御部(5)を備える請求項1ないし3のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  5. 前記位相制御部は、前記磁性発振素子に供給する直流電流または直流電圧の大きさを変化させることにより前記磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  6. 前記磁性発振素子は、前記発振器により印加される交流磁界によって共鳴するとともに、磁界が印加されることにより磁化方向が変化する発振層(26)を有し、
    前記位相制御部は、前記発振層に磁界を印加することにより前記発振層の磁化方向を変化させ、前記磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  7. 前記磁性発振素子は、前記発振器により印加される交流磁界によって共鳴する発振層(26)と、電流が流されることにより前記発振層にスピン流を注入するスピン流注入層(29)と、を有し、
    前記位相制御部は、前記スピン流注入層に電流を流すことにより前記発振層にスピン流を注入し、前記磁性発振素子が発生させる交流電力の位相を変化させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  8. 前記磁性発振素子を複数備える請求項1ないし7のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  9. 前記発振器に電気的に接続されるとともに前記磁性発振素子と電気的に絶縁された導体部(31)を備え、
    前記発振器が出力する交流電流が前記導体部を流れることにより発生した交流磁界が前記磁性発振素子に印加される請求項1ないし8のいずれか1つに記載の交流発生装置。
  10. 前記導体部の表面に形成された絶縁層(33)を備え、
    前記磁性発振素子は、前記絶縁層の表面に形成されている請求項9に記載の交流発生装置。
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